JP3997273B2 - 単板カラーカメラの信号補間方法 - Google Patents

単板カラーカメラの信号補間方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単板カラーカメラの再生画像において、被写体像の境界部分に発生する偽の色信号を軽減しようとする単板カラーカメラの信号補間方法に関わり、特に、ある透過光の微小色フィルタが市松状に配置された、いわゆるベイヤ配列の色フィルタを用いた単板カラーカメラの信号補間方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
2次元状に画素を並べた固体撮像素子を一つだけ用いて、カラーのビデオ信号を得る単板カラーカメラは、家庭用ビデオカメラや電子スチルカメラなど、広い分野で利用されている。単板カラーカメラでは、固体撮像素子の各画素に数種類の微小色フィルタを周期的に対応させて、それぞれの画素から微小色フィルタの透過光に対応した色信号を得る。したがって、各色信号は空間的に異なる位置の被写体像に対応したものであるので、被写体像の境界部では偽の色信号が発生しやすい。
【0003】
ある透過光の微小色フィルタが市松状に配置されたいわゆるベイヤ配列の原色型色フィルタを用いて、被写体像の境界部で発生する偽の色信号の発生原因を説明する。ベイヤ配列の原色型色フィルタは図2に示す構成が一般的である。図2において、Rは赤色光、Gは緑色光、Bは青色光を透過させる微小色フィルタであり、それぞれ固体撮像素子の1画素に対応している。また、微小色フィルタの配列の上部に記された番号は、水平方向の位置番号であり、左側に記された番号は垂直方向の位置番号である。以後、図2において、水平方向の位置番号が2nで、垂直方向の位置番号が2mである画素を「水平位置2n,垂直位置2mの画素」と呼ぶ。
【0004】
ここで図2において斜線のある部分が暗く、斜線のない部分が明るい無彩色の被写体像が結像した場合を考える。明るい部分に対応する各画素の出力がR信号、G信号、B信号とも1.0で、暗い部分に対応する各画素の出力がR信号、G信号、B信号とも0.2であるとすると、垂直位置2mの画素列にある各画素の出力は図3(a)に示すとおりである。これをR信号とG信号に分離して、それぞれの色信号において画素の位置に存在しない信号を一般的に行われているように前後の当該色の画素で得られる信号から線形補間すると、図3(b)に示すR信号と、図3(c)に示すG信号が得られる。図3(b)、図3(c)からわかるように水平位置2(n+1)+1の画素の位置ではR信号が点線で示した本来得られるべき信号より大きくなり、水平位置2(n+1)の画素の位置ではG信号の大きさが本来得られるべき信号より小さくなる。この結果、それぞれの位置で偽色が発生する。
【0005】
図2に示すベイヤ配列の色フィルタは、たとえば水平位置2n,垂直位置2mの画素を中心に90度回転したものの構成は元と同じものになる。したがって、上述の説明は水平方向の画素列を対象に行ったが、垂直方向の画素列を対象としても同様である。
【0006】
以上、単板カラーカメラにおける偽の色信号の発生過程を、空間的な信号波形を用いて説明した。次に、周波数領域の信号を用いて単板カラーカメラにおける偽の色信号の発生過程を説明する。
【0007】
図2に示したベイヤ配列の原色型色フィルタによって得られる各色信号の空間的な関数は、当該色信号が得られる画素の空間的な位置をあらわす関数と、被写体像の当該色信号に対応する成分の大きさをあらわす関数を掛け合わせたものである。したがって各色信号のもつ周波数成分は、周波数領域での位置をあらわす関数と被写体の各色成分がもつ周波数成分との重畳積分(コンボリューション)となることがフーリエ変換の定理から知られている。ここで重畳積分は、次の数1で示す関係である。
【0008】
【数1】
Figure 0003997273
【0009】
図2に示す色フィルタは水平方向2画素、垂直方向2画素の最小単位が繰り返されるから、画素の空間的な位置をあらわす関数は4種類を考慮すればよい。ここで、水平方向の画素間隔をdx、垂直方向の画素間隔をdy、正方形である画素の一辺の長さをdwとする。また、水平位置と垂直位置がともに0であるRの画素の中心位置を、空間的な座標(0,0)にとる。
【0010】
水平位置2n、垂直位置2m(nおよびmは任意の整数)の画素からはR信号が得られ、その2次元の周波数成分をSr(fx,fy)とすると次の数2となる。また、水平位置2n+1、垂直位置2mの画素からはG信号が得られ、その2次元の周波数成分をSg1(fx,fy)とすると次の数3となる。同様に水平位置2n、垂直位置2m+1の画素からはG信号が得られ、その2次元の周波数成分をSg2(fx,fy)とすると次の数4となる。さらに、水平位置2n+1、垂直位置2m+1の画素からはB信号が得られ、その2次元の周波数成分をSb(fx,fy)とすると次の数5となる。
【0011】
【数2】
Figure 0003997273
【0012】
【数3】
Figure 0003997273
【0013】
【数4】
Figure 0003997273
【0014】
【数5】
Figure 0003997273
【0015】
数2ないし数5において、fx、fyはそれぞれ水平方向と垂直方向の周波数である。Frx、Fryは被写体像のR成分、Fgx、Fgyは被写体像のG成分、Fbx、Fbyは被写体像のB成分のそれぞれ水平方向の周波数成分と垂直方向の周波数成分をあらわす関数である。また、「*」は数1に示した重畳積分をあらわす。デルタ関数は、サンプリングに起因して発生する高調波成分の発生位置をあらわす関数である。また、Fax、Fayはそれぞれ画素のアパーチャに起因して発生する周波数レスポンスであり、次の数6、数7のとおりである。
【0016】
【数6】
Figure 0003997273
【0017】
【数7】
Figure 0003997273
【0018】
数2と数3の比較、あるいは数4と数5の比較から、水平方向の位置がdxだけ異なると、サンプリングに起因して発生する水平方向の高調波成分の位相が-jkπ(kは整数)だけ回転することがわかる。同様に数2と数4の比較、あるいは数3と数5の比較から、垂直方向の位置がdyだけ異なると、サンプリングに起因して発生する垂直方向の高調波成分の位相が-jlπ(lは整数)だけ回転することがわかる。
【0019】
ここで、たとえば図2に示した垂直位置が2mの画素列のみに注目する。垂直位置が同一の画素列上では、垂直方向の変化は考慮する必要がないので、水平方向の周波数成分のみを検討すればよい。このとき、数2および数3は次の数8および数9のように書き換えることができる。
【0020】
【数8】
Figure 0003997273
【0021】
【数9】
Figure 0003997273
【0022】
数8、数9において被写体像が無彩色でFgx(fx)=Frx(fx)であり、その水平方向の周波数成分が図4(a)に示すものであるとする。このとき数8、数9の示す各信号の持つ水平方向の周波数成分Sr(fx)、Sg1(fx)はそれぞれ図4(b)、図4(c)に示すものとなる。数9における高調波成分の-jkπの位相回転は、図4(b)と図4(c)の比較から明らかなように1/2dxを中心に発生する高調波成分が逆極性となって現れることにつながる。
【0023】
ここで、Sr(fx)とSg1(fx)のうちの図に斜線で示す0から1/4dxの周波数領域をローパスフィルタで取り出して色信号に用いると、1/2dxを中心に発生する高調波成分の一部が有効帯域内に混入する。有効帯域に混入するのは被写体像の1/4dxよりも高い周波数成分であるが、ステップ状に明るさが変化するなど広い範囲の周波数成分を持つ被写体像では、有効帯域への混入成分が無視できない大きさとなる。なおかつ、Sr(fx)とSg1(fx)では高調波成分の混入が逆相となり、その影響が全く逆の方向に現れるので、混入成分の大きさに対応した偽の色信号が発生する。
【0024】
以上が偽の色信号の発生原因を、周波数領域から説明したものである。無彩色の被写体像の境界部分で発生する偽の色信号は、本来無彩色である部分が着色して再現されるので、視覚上特に目立ちやすい。これに対して、彩度の高い被写体像の境界部分の色相が変化する偽の色信号は、一般に色信号では周波数帯域を狭帯域に制限して用いることから目立ちにくくなる。そこで、彩度の高い被写体像の境界部分よりも、無彩色の被写体像の境界部分で発生する偽の色信号を抑圧する方が大きな改善効果を期待できる。
【0025】
偽の色信号を低減する第1の従来の方法は、特開平3−124190に示された本発明の発明者による方法である。特開平3−124190の方法は、例えば上述のSr(fx)の低周波成分とSg1(fx)の低周波成分の比を求めて、それをSg1(fx)に乗算し、得られた信号をSr(fx)の補間信号として用いるものである。以下に、特開平3−124190の方法を、図5に示す構成図を用いて説明する。
【0026】
図5に示す構成において、例えば図2の垂直位置2mの画素列における偽の色信号を低減する動作はつぎのとおりである。なお、図5において、固体撮像素子1には図2に示すベイヤ配列の原色型色フィルタが組み合わされているものとする。また、固体撮像素子1は垂直方向の画素列を1列づつ順番に読み出す、いわゆる全画素順次読み出し型のものであるとする。
【0027】
固体撮像素子1から得られた画素信号を、サンプラ2、サンプラ3に加えてそれぞれR信号sr(x)とG信号sg1(x)に分離する。さらにサンプラ2、サンプラ3から得られたR信号とG信号を、それぞれfaよりも低い周波数成分を通過させるローパスフィルタ4、ローパスフィルタ5に加える。ここでローパスフィルタ4、ローパスフィルタ5から得られた出力信号srl(x)、sg1l(x)の持つ周波数成分Srl(fx)、Sg1l(fx)は、図4(d)、図4(e)に斜線で示すものである。図4(d)、図4(e)からわかるようにSrl(fx)、Sg1l(fx)は、それぞれ被写体の持つ周波数成分Fr(fx)、Fg(fx)のうちのfaよりも低い周波数範囲の成分Frl(fx)、Fgl(fx)と、1/2dxを中心とする高調波となってfa以下の帯域に混入する、(1/2dx−fa)よりも高い周波数範囲の成分Frh(fx)、Fgh(fx)を加えたものである。すなわち、Srl(fx)、Sg1l(fx)は数10、数11の関係となる。
【0028】
【数10】
Figure 0003997273
【0029】
【数11】
Figure 0003997273
【0030】
図4(d)、(e)あるいは数10、数11より、Frh(fx)、Fgh(fx)が小さければSrl(fx)、Sg1l(fx)はそれぞれ被写体のもつ低周波成分Frl(fx)、Fgl(fx)にほぼ等しい大きさとなる。また、局所での被写体像の色相の変化が小さいときには、その周辺で任意の2つの色信号のもつ周波数成分はすべての周波数範囲でほぼ一定の比率になることが期待できる。これらの条件が満足されるとき、低周波成分の比は全体の周波数成分の比にほぼ等しくなり、次の数12が成り立つ。
【0031】
【数12】
Figure 0003997273
【0032】
さらに、次の数13に示すパーシバルの定理によれば、空間領域の関数を積分したパワー値は、周波数領域の関数を積分したパワー値に等しい。そこで有限の積分範囲内でも空間領域の関数を積分したパワー値と周波数領域の関数を積分したパワー値が近いものとなることを期待し、さらに進めて、ローパスフィルタ出力の瞬時値も、その周辺での周波数成分と相関があることを期待する。
【0033】
【数13】
Figure 0003997273
【0034】
そこで図5に示す構成では、ローパスフィルタ4、ローパスフィルタ5の出力信号をゲート回路6およびゲート回路7に加える。さらにゲート回路6およびゲート回路7の出力信号を割り算器8に加える。ここでゲート回路6、ゲート回路7は、たとえば垂直位置2mの画素列において、固体撮像素子1からR信号が得られるときには割り算器8の除数側にローパスフィルタ4の出力srl(x)が加わり、被除数側にローパスフィルタ5の出力sg1l(x)が加わるように動作する。また、固体撮像素子1からG信号が得られるときには、割り算器8の除数側にローパスフィルタ5の出力sg1l(x)が加わり、被除数側にローパスフィルタ4の出力srl(x)が加わるように動作する。この結果割り算器8は、固体撮像素子1からR信号が得られるときにはSg1l(fx)をSrl(fx)で割った値に対応する信号を出力し、G信号が得られるときにはSrl(fx)をSg1l(fx)で割った値に対応する信号を出力する。さらに割り算器8の出力信号を固体撮像素子1から得られる画素信号とともに掛け算器9に加えて補間信号sig(x)を得る。
【0035】
この結果、たとえば固体撮像素子1からR信号が得られるときには、掛け算器9から得られる補間信号sig(x)のもつ周波数成分Sig(fx)は次の数14で表されるものとなる。
【0036】
【数14】
Figure 0003997273
【0037】
数14に数8、数12を用いると、数14は次の数15のように書き改められるので、Sig(fx)は図6(a)に示すものとなる。
【0038】
【数15】
Figure 0003997273
【0039】
なお、数15におけるegは補間信号の精度をあらわす係数で、数10、数11と数12より次の数16の関係である。数16より、被写体像のfaより低い帯域の成分が1/2dx-faより高い帯域の成分に比べて大きいほどegが1に近づき、補間信号の精度が向上する。
【0040】
【数16】
Figure 0003997273
【0041】
数15と数9との比較、あるいは図4(c)と図6(a)の比較から、egが1に近いとき、掛け算器9から得られる補間信号の周波数成分は、G信号の持つ周波数成分Sg1(fx)とは奇数次の高調波成分の位相が逆相となることがわかる。この結果、固体撮像素子1から得られるG信号sg1(x)と、掛け算器9から得られる補間信号sig(x)をゲート回路10によって選択して加え合わせたG信号の周波数成分は、奇数次の高調波成分がほぼ相殺されて図6(b)に示すものとなる。
【0042】
同様に、固体撮像素子1からG信号が得られるときには掛け算器9から、R信号sr(x)の持つ周波数成分Sr(fx)とは奇数次の高調波成分の位相が逆相である補間信号が得られる。この結果、固体撮像素子1から得られるR信号と、掛け算器9から得られる補間信号をゲート回路11によって選択して加え合わせたR信号の周波数成分も、奇数次の高調波成分がほぼ相殺されて図6(c)に示すものとなる。
【0043】
こうして得られるゲート回路10、ゲート回路11の出力をローパスフィルタ12、ローパスフィルタ13に加え、1/4dx以下の周波数帯域を取り出してG信号、R信号を得る。図6(b)、図6(c)からわかるように、G信号、R信号では有効帯域に混入する1/2dxを中心に発生した高調波成分が十分抑圧され、これに起因する偽の色信号が改善される。
【0044】
以上の説明は、垂直位置が2mのRとGが繰り返される画素列を例にとって行なったが、垂直位置が2m+1の画素列ではG信号とB信号の間で同様の補間処理が実現できる。ところが、垂直位置が2mの画素列に存在しないB信号、あるいは垂直位置が2m+1の画素列に存在しないR信号を補間する方法については述べられておらず、すべての画素列に対応する各色信号を得ることができない。
【0045】
これに対して、ベイヤ配列の原色型フィルタにおいてRとGが繰り返される画素列のB信号、あるいはGとBが繰り返される画素列のR信号を補間する第2の従来の方法が特開平7−236147で述べられている。特開平7−236147の方法では、ある画素の周辺に存在する複数の画素の信号を利用して、当該画素に対する複数の色信号を得る補間処理手段が述べられている。また同時に、補間処理を行なう当該画素における垂直方向および水平方向の相関値を得る手段を備え、この相関に基づいて補間処理の動作を制御する方法が述べられている。この方法を図7を用いて説明する。
【0046】
図7(a)は、例えば図2に示すベイヤ配列の原色型フィルタの水平位置2(n+1)、垂直位置2m+1の画素を中心とする9画素を取りだしたものである。ここで水平方向の被写体像の変化が少ないものと仮定したときのG22の位置における補間信号Rh、Gh、Bhを、次の数17、数18、数19の演算で求める。
【0047】
【数17】
Figure 0003997273
【0048】
【数18】
Figure 0003997273
【0049】
【数19】
Figure 0003997273
【0050】
また、垂直方向の被写体像の変化が少ないものと仮定したときのG22の位置における補間信号Rv、Gv、Bvを次の数20、数21、数22の演算で求める。
【0051】
【数20】
Figure 0003997273
【0052】
【数21】
Figure 0003997273
【0053】
【数22】
Figure 0003997273
【0054】
一方、垂直方向の相関を判定する垂直相関係数Svと水平方向の相関を判定する水平相関係数Shは次の数23、数24あるいは数25、数26で求める。数23、数24は、被写体像の彩度が高いときに適用し、数25、数26は無彩色のときに適用する。さらに、垂直相関係数Svと水平相関係数Shから次の数27、数28に示す水平方向の係数Khと垂直方向の係数Kvを得る。
【0055】
【数23】
Figure 0003997273
【0056】
【数24】
Figure 0003997273
【0057】
【数25】
Figure 0003997273
【0058】
【数26】
Figure 0003997273
【0059】
【数27】
Figure 0003997273
【0060】
【数28】
Figure 0003997273
【0061】
水平方向の係数Khは、水平方向の被写体像の変化が小さいものとして求めた補間信号Rh、Gh、Bhの増幅率であり、垂直方向の係数Kvは垂直方向の被写体像の変化が小さいものとして求めた補間信号Rv、Gv、Bvの増幅率である。それぞれの係数で増幅したRhとRv、GhとGv、BhとBvを加算して、最終的な補間信号とする。数23、数24あるいは数25、数26と数27、数28より、たとえば垂直方向の変化のみが大きな被写体像ではSvの値が大きくなり、Shが0になるのでKh=1、Kv=0となる。このとき最終的な補間信号は、水平方向の被写体像の変化が小さいものとして求めた補間信号Rh、Gh、Bhのみで構成される。一方、水平方向の変化のみが大きな被写体像ではShの値が大きくなり、Svが0になるのでKh=0、Kv=1となる。このとき最終的な補間信号は、垂直方向の被写体像の変化が小さいものとして求めた補間信号Rv、Gv、Bvのみで構成される。
【0062】
また図7(b)は、図2における水平位置2(n+1)+1、垂直位置2m+1の画素を中心とする9画素を取りだしたものである。B22の位置における水平方向の被写体像の変化が少ないものと仮定したときの補間信号Rh、Gh、Bhは、次の数29、数30、数31の演算で求め、垂直方向の被写体像の変化が少ないものと仮定したときの補間信号Rv、Gv、Bvは、次の数32、数33、数34で求める。
【0063】
【数29】
Figure 0003997273
【0064】
【数30】
Figure 0003997273
【0065】
【数31】
Figure 0003997273
【0066】
【数32】
Figure 0003997273
【0067】
【数33】
Figure 0003997273
【0068】
【数34】
Figure 0003997273
【0069】
ここで、図7(a)において斜線で示す部分が暗く、斜線のない部分が明るい無彩色の被写体像が結像したものとする。暗い部分の信号の大きさがR、G、Bとも0.2で、明るい部分の信号の大きさがR、G、Bとも1.0であるとして、数17ないし数28にしたがって補間信号を求める。このとき、Kh=1、Kv=0となるのでRh=1.0、Gh=1.0、Bh=1.0が補間信号として出力され、それぞれ本来得られるべき色信号と一致する。ところが図7(a)に示す被写体像が緑色で、斜線のない部分のGが1.0でR、Bが0.2、斜線で示す部分のR、G、Bが0.2であるとする。数17ないし数28にしたがって補間信号を求めると、Kh=1、Kv=0となるのでRh=1.0、Gh=1.0、Bh=0.2が補間信号として出力される。このときR信号が本来得られるべきものと異なり、偽の色信号が発生する。
【0070】
このように特開平7−236147に述べられている第2の従来の方法では、たとえばRの画素がない画素列に対応するR信号を補間して無彩色の被写体像での偽の色信号を軽減することができるが、彩度の高い被写体像での偽の色信号が防止できないという問題点があった。また、特開平7−236147に述べられている方法では、無彩色の被写体像と彩度の高い被写体像で相関判定方法を変えるなど、複雑な相関検出方法を要するので回路規模が増大する。
【0071】
なお上述の説明は図7(a)、図7(b)に示すような水平方向3画素の範囲で補間処理を行なう場合を例にとったが、特開平7−236147には水平方向5画素の範囲の画素を用いた補間処理についても述べられている。しかし彩度の高い被写体像の変化する部分では偽の色信号が軽減できないことは変わらないので、詳細な説明は省略する。
【0072】
一方、ベイヤ配列の原色型フィルタにおいてRとGが繰り返される画素列のB信号、あるいはGとBが繰り返される画素列のR信号を補間する第3の従来の方法が特開昭61−501424で述べられている。特開昭61−501424の方法を、図8を用いて以下に説明する。
【0073】
まず、図8におけるR、Bの画素の位置のG信号を、上下左右にある4つのGの画素の信号の平均値で補間する。すなわち、例えば図8における斜線で示すB9の位置のG信号は、次の数35であらわされるG9で補間する。
【0074】
【数35】
Figure 0003997273
【0075】
G信号を補間したあとのR信号、B信号の補間方法は次の通りである。補間する位置の左右の画素が補間しようとする当該色の画素である場合、たとえば図8における砂地模様で示したG2の位置のR信号R2は、次の数36の演算で得る。
【0076】
【数36】
Figure 0003997273
【0077】
また、たとえばRの画素のない画素列でのR信号を補間するに際して、上下の画素がRの画素である場合、たとえば図8における2重枠で示したG5の位置のR信号R5は次の数37の演算で得る。
【0078】
【数37】
Figure 0003997273
【0079】
そして、斜め4方向の画素が補間しようとする当該色の画素である場合、たとえば図8におけるB9の位置のR信号R9は次の数38の演算で得る。Bの画素のない画素列でのB信号を補間する場合も同様の処理を行えばよい。
【0080】
【数38】
Figure 0003997273
【0081】
ここで、図8(a)に示したG5の画素の周辺を抜き出して図8(b)としたとき、斜線で示す部分が暗く、斜線のない部分が明るい緑色の被写体像が結像したとする。斜線でしめす部分のG、R、Bが0.2で、斜線のない部分のGが1.0、R、Bが0.2であるとき、数35ないし数37にしたがってG5の位置のR、G、Bを求めるとG5=1.0、R5=0.35、B5=0.25となり、R信号は本来得られるべき信号よりも若干大きくなるり、B信号は若干小さくなるが、前述の第2の従来の方法に比べると大幅に改善される。
【0082】
一方、図8(b)において斜線で示す部分のG、R、Bが0.2で、斜線のない部分のR、G、Bが1.0である無彩色の被写体像が結像したとする。数35ないし数37にしたがってG5の位置のR、G、Bを求めると、G5=1.0、R5=0.75、B5=1.25となる。このようにR信号は本来得られるべき信号よりも若干小さくなり、B信号は若干大きくなるので前述の第2の従来の方法に比べると偽の色信号が大きくなる。
【0083】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、上述の第1の従来の方法は、ベイヤ配列の原色型色フィルタにおいてRとGが繰り返される画素列のB信号、あるいはGとBが繰り返される画素列のR信号を補間する処理に対応していないという問題点がある。また、上述の第2の従来の方法は、ベイヤ配列の原色型色フィルタにおけるRとGが繰り返される画素列のB信号、GとBが繰り返される画素列のR信号を補間して無彩色の被写体像での偽の色信号を十分低減できるが、彩度の高い被写体像では大きな偽の色信号が発生するという問題点がある。また、相関の検出方法が複雑であるという問題点も合わせ持つ。さらに、上述の第3の従来の方法では、無彩色の被写体像の場合と彩度の高い被写体像の場合の両方で偽の色信号を軽減できるが、軽減量が十分でないという問題点があった。
【0084】
本発明の目的は、ベイヤ配列の色フィルタを用いた場合にも、ある色信号の画素が存在しない画素列で当該色信号を補間して、被写体像が無彩色の場合の偽の色信号の発生を十分に軽減すると同時に、被写体像の彩度が高い場合にも偽の色信号が大きく増加することのない単板カラーカメラの信号補間方法を提供することにある。
【0085】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の単板カラーカメラの信号補間方法では、分光感度特性の異なる複数種の画素群を2次元状に、しかも上記複数種の画素群のうち第1の種類に対応する第1の画素群が隣接画素列の間で互いに補間する関係に配され、少なくとも上記複数種の画素群のうち上記第1の種類とは異なる第2の種類に対応する第2の画素群の画素が1画素列おきに存在するよう配された撮像素子を用いて少なくともすべての画素列に対応した上記第2の種類の信号を生成する単板カラーカメラの信号補間方法において、上記第2の画素群が存在しない画素列から任意に選んだ第1の画素列に存在する第1の画素の位置における上記第1の画素群の信号である第1の信号を取り出し、上記第1の画素列に隣接する第2の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号と上記第1の画素列に隣接し、かつ上記第2の画素列とは異なる第3の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第1の低周波信号を取り出し、上記第2の画素列上の上記第2の画素群に属する画素の信号と上記第3の画素列上の上記第2の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第2の低周波信号を取り出し、上記第1の低周波信号に対する上記第2の低周波信号の大きさに対応した第1の係数信号を上記第1の信号に乗算した第1の補間信号を取り出して上記第1の画素の位置における上記第2の種類の信号として用いることとした。このとき、上記第1の画素が上記第1の画素群に属するときには上記第1の画素の信号を上記第1の信号とし、上記第1の画素が上記第1の画素群に属するものではないときには上記第1の画素列上に存在し、上記第1の画素に両側で隣接する上記第1の画素群に属する第2の画素と第3の画素の信号の平均値信号を上記第1の信号とすることが望ましい。
【0086】
また上記撮像素子は、上記画素列の方向の解像度を低下させる光学ローパスフィルタを組み合わせたものであってもよい。
【0087】
さらに、分光感度特性の異なる複数種の画素群を2次元状に、しかも上記複数種の画素群のうち第1の種類に対応する第1の画素群が隣接画素列の間で互いに補間する関係に配され、少なくとも上記複数種の画素群のうち上記第1の種類とは異なる第2の種類に対応する第2の画素群の画素が1画素列おきに存在するよう配された撮像素子を用いて、上記第2の画素群を除くすべての画素の位置に対応する上記第2の種類の信号をすくなくとも2つの方法で生成した補間信号によって補間する単板カラーカメラの信号補間方法において、上記第2の画素群に属さない画素から任意に選んだ第1の画素を含む第1の画素列に隣接する第2の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号と上記第1の画素列に隣接し、かつ上記第2の画素列とは異なる第3の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第1の低周波信号を生成し、上記第2の画素列上の上記第1の画素群に属さない画素の信号と上記第3の画素列上の上記第1の画素群に属さない画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第2の低周波信号を生成し、上記第1の画素列上に存在して上記第1の画素に隣接する第2の画素をとおり、上記第1の画素列に垂直の方向の第1のライン上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号と上記第1の画素列上に存在して上記第1の画素に対して上記第2の画素とは反対側に隣接する第3の画素をとおり、上記第1の画素列に垂直の方向の第2のライン上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素に対応する第3の低周波信号を生成し、上記第1のライン上に存在する上記第1の画素群に属さない画素の信号と上記第2のライン上に存在する上記第1の画素群に属さない画素の信号を加算した信号から上記第1の画素に対応する第4の低周波信号を生成し、上記第1の低周波信号と上記第2の低周波信号の加算値に対する上記第1の低周波信号と上記第2の低周波信号の差の絶対値の比に対応した第1の係数信号を生成し、上記第3の低周波信号と上記第4の低周波信号の加算値に対する上記第3の低周波信号と上記第4の低周波信号の差の絶対値の比に対応した第2の係数信号を生成し、上記第1の係数信号と上記第2の係数信号の加算値に対する上記第1の係数信号の比に対応した第1の増幅度を生成し、上記第1の係数信号と上記第2の係数信号の加算値に対する上記第2の係数信号の比に対応した第2の増幅度を生成し、上記第1の増幅度と上記第2の増幅度を用いて上記2つの方法で生成した補間信号を合成するようにしても良い。
【0088】
このとき好適な構成方法としては上記2つの方法で生成した補間信号は、上記第1の低周波信号に対する上記第2の低周波信号の比に対応した信号を上記第1の画素列上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号から得た上記第1の画素の位置における上記第1の種類に対応する信号に乗算した第1の補間信号と、上記第3の低周波信号に対する上記第4の低周波信号の比に対応した信号を上記第1の画素をとおり、上記第1の画素列に垂直の方向の第3のライン上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号から得た上記第1の画素の位置における上記第1の種類に対応する信号に乗算した第2の補間信号であり、上記第1の補間信号を上記第2の増幅度で増幅し、上記第2の補間信号を上記第1の増幅度で増幅することである。
【0089】
【作用】
上記の構成により、ローパスフィルタの出力信号の比から被写体像の成分比に近い値が得られるので、ベイヤ配列の色フィルタを用いた場合にもある色信号の画素が存在しない画素列で本来得られるべき当該色信号に十分近い補間信号が生成できる。これにより、被写体像が無彩色の場合の偽の色信号の発生を十分に軽減すると同時に、被写体像が彩度の高い場合にも偽の色信号が大きく増加することのない単板カラーカメラの信号補間方法が実現できる。
【0090】
また、2つの補間信号を重み付けして最終的な補間信号を生成するときにも、補間信号を生成する際に用いるローパスフィルタの出力信号を利用して重み付けの増幅度を得るので、構成が複雑にならない。
【0091】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1に示す構成図を用いて説明する。図1において、固体撮像素子1は図2に示すベイヤ配列の原色型色フィルタを組み合わせたものである。
【0092】
本発明では図1の構成において、固体撮像素子1の出力を遅延時間が1水平走査期間に等しい1H遅延回路14に加える。さらに、1H遅延回路14の出力信号を1H遅延回路15に加える。これによって、たとえば固体撮像素子1から図2に示す垂直位置2(m+1)の画素列の信号が得られるとき、1H遅延回路14からは垂直位置2m+1の画素列の信号、1H遅延回路15からは垂直位置2mの画素列の信号が同時に得られる。
【0093】
一方、固体撮像素子1から得られた垂直位置2(m+1)の画素列の信号はサンプラ2、サンプラ3に加えられ、それぞれR信号とG信号に分離される。同様に、1H遅延回路15から得られた垂直位置2mの画素列の信号はサンプラ16、サンプラ17に加えられ、それぞれR信号とG信号に分離される。さらにサンプラ2、サンプラ3、サンプラ16、サンプラ17の出力は、周波数faよりも低い帯域を通過させるローパスフィルタ4、ローパスフィルタ5、ローパスフィルタ18、ローパスフィルタ19にそれぞれ加えられて低周波成分が取り出される。このとき得られたローパスフィルタ4の出力とローパスフィルタ18の出力は加算器20に加えられ、ローパスフィルタ5の出力とローパスフィルタ19の出力は加算器21に加えられる。この結果、加算器20からは垂直位置2mの画素列のR信号の低周波成分と、垂直位置2(m+1)の画素列のR信号の低周波成分の加算信号が得られる。同様に加算器21からは垂直位置2mの画素列のG信号の低周波成分と、垂直位置2(m+1)の画素列のG信号の低周波成分の加算信号が得られる。
【0094】
ここで、1H遅延回路14から得られる垂直位置2m+1の画素列の信号を基準に考えると、1H後の垂直位置2(m+1)の画素列の信号は垂直方向に-dyだけシフトして利用することに当たり、1H前の垂直位置2mの画素列の信号は垂直方向に+dyだけシフトして利用することに当たる。すなわち垂直位置2mおよび2(m+1)の画素列のR信号の低周波の信号がsrl(x,y)ならば、加算器20から得られるsra(x,y)は次の数39に示すとおりである。
【0095】
【数39】
Figure 0003997273
【0096】
yのシフトによる周波数レスポンスの変化を求めるためsrl(x,y)=exp(jωy)とおく。この結果、数39は次の数40のように書き改められ、垂直位置2mの画素列と2(m+1)の画素列を加算して垂直位置2m+1で利用することによる周波数レスポンスはcosωdyとなる。すなわち加算器20から得られる信号sra(x,y)の持つ周波数成分Sra(fx,fy)は、Sr(fx,fy)の水平方向の帯域をローパスフィルタで制限したものに、垂直の周波数が1/4dyのときレスポンスが0となる垂直方向の周波数レスポンスcosωdyを掛け合わせたものとなる。加算器21から得られるG信号の周波数成分についても同様である。
【0097】
【数40】
Figure 0003997273
【0098】
なお、1H遅延回路14、1H遅延回路15の遅延量が正確に1水平走査期間に設定されているとき、固体撮像素子1から得られる信号と1H遅延回路15から得られる信号の図2における画素の水平位置は同一である。そこで、図9に示す本発明の第2の実施例の構成では、固体撮像素子1の出力と1H遅延回路15の出力を加算器20で加算する。加算器20の出力は、たとえば垂直位置2mの画素列と垂直位置2(m+1)の画素列における、水平位置が同一で同色の画素同志が加算されたものとなるから、サンプラ2、サンプラ3に加えて一括してR信号とG信号に分離することができる。このとき、サンプラ2、サンプラ3の出力をローパスフィルタ4、ローパスフィルタ5に加えて得られる信号は、図1において加算器20、加算器21から得られる信号と同一であることは明らかである。したがって、図9の構成におけるローパスフィルタ4、ローパスフィルタ5以降の説明は、以下に述べる図1の構成に対するものと同様である。
【0099】
ところで、垂直位置2mの画素列と垂直位置2(m+1)の画素列のR信号が持つ周波数成分Sr(fx,fy)は数2で示されるものであり、G信号が持つ周波数成分Sg1(fx,fy)は数3で示されるものであった。また、垂直位置2m+1の画素列のG信号が持つ周波数成分Sg2(fx,fy)は数4で示されるものであり、B信号が持つ周波数成分Sb(fx,fy)は数5で示されるものであった。ここで被写体像が無彩色で、その被写体像が持つ2次元の周波数成分F(fx,fy)が図10(a)に円で示すものであるとき、Sr(fx,fy)、Sg1(fx,fy)、Sg2(fx,fy)、Sb(fx,fy)は、それぞれ図10(b)ないし図10(e)に示すような高調波成分を持ったものとなる。図10において、斜線を施した円で示す周波数成分は、被写体像の持つ周波数成分とは位相が逆相であることをあらわす。
【0100】
数2と数3の比較、あるいは図10(b)と図10(c)の比較から、Sr(fx,fy)とSg1(fx,fy)では水平周波数の奇数次に発生する高調波成分が逆相で、垂直周波数に発生する高調波成分の位相は一致することがわかる。ここでローパスフィルタ4、ローパスフィルタ5、ローパスフィルタ18、ローパスフィルタ19の水平方向の周波数レスポンスが図11(a)に示すものであると、加算器20、加算器21から得られる信号はそれぞれ図11(b)、図11(c)に示すように水平方向の周波数帯域がfa以下に制限されたものとなる。
【0101】
そこで図1に示す構成では、加算器20から得られるR信号の低周波成分srl(x,y)を割り算器8の被除数側に加え、加算器21から得られるG信号の低周波成分sg1l(x,y)を割り算器8の除数側に加える。図11(b)、図11(c)に示すようにsrl(x,y)とsg1l(x,y)がもつ垂直周波数の高調波成分は位相が一致しているので、混入成分の影響は同方向となる。したがって被写体像が無彩色であれば、加算器20と加算器21の出力信号の比率が被写体像の持つR成分とG成分の比率から異なる要因は、水平方向の周波数における奇数次の高調波成分の影響のみである。これは、第1の従来の方法における1つの画素列のみを考えた場合と同様であり、被写体像のもつ水平方向の(1/2dx-fa)を超える周波数領域の成分が小さいほど、加算器20と加算器21から得られるR信号の低周波成分とG信号の低周波成分の比が被写体像のR成分とG成分の比に近くなる。
【0102】
一方、1H遅延回路14から得られる信号は位相調整器22に加えられる。さらに位相調整器22の出力をサンプラ23、サンプラ24に加え、たとえば1H遅延回路14から垂直位置2m+1の画素列の信号が得られる場合にはG信号とB信号に分離する。位相調整器22では、一般的に水平方向のローパスフィルタで発生する信号遅延が補償され、これによって割り算器8から得られる信号と、サンプラ23から得られる信号の図2における水平位置が一致するように調整される。
【0103】
こうして得られた割り算器8の出力とサンプラ23から得られたG信号を掛け算器9で掛け合わせて、垂直位置2m+1の画素列に対応したRの補間信号sir(x,y)を生成する。掛け算器9の出力信号sir(x,y)は、図10(d)に示す垂直位置2m+1の画素列のG信号にSrl(fx,fy)/Sg1l(fx,fy)を乗算したものとなる。すなわちsir(x,y)の持つ周波数成分Sir(fx,fy)は次の数41であらわされ、図11(d)に示すものとなる。
【0104】
【数41】
Figure 0003997273
【0105】
ここで、第1の従来の技術の場合における数12と同様に、次の数42の関係が見込めるとき、数41は次の数43のように置き換えることができる。数2と数43の比較、あるいは図10(b)と図11(d)の比較から、掛け算器9から得られたRの補間信号sir(x,y)は、垂直位置2mあるいは2(m+1)の画素列のR信号とは垂直方向の奇数次の高調波成分が逆相の関係にある。そこで、掛け算器9の出力とサンプラ24の出力をゲート回路25に加え、補間信号sir(x,y)と垂直位置2m(mは任意の整数)でのR信号sr(x,y)とを画素列ごとに選択的に合成すると、図11(e)に示すように垂直方向の奇数次の高調波成分が相殺されて軽減される。同様に、B信号をゲート回路26によって選択的に合成すれば、Sb(fx,fy)から垂直方向の奇数次の高調波成分が相殺される。
【0106】
【数42】
Figure 0003997273
【0107】
【数43】
Figure 0003997273
【0108】
ここで、たとえば被写体像が無彩色で、図12に示す斜線の部分のR、G、Bが0.2で、斜線のない部分のR、G、Bが1.0であるとする。このときローパスフィルタ4から得られる垂直位置2(m+1)の画素列のR信号の低周波成分は1.0、ローパスフィルタ18から得られる垂直位置2mの画素列のR信号の低周波成分は0.2となり、同様に、ローパスフィルタ5から得られる垂直位置2(m+1)の画素列のG信号の低周波成分が1.0、ローパスフィルタ19から得られる垂直位置2mの画素列のG信号の低周波成分が0.2となることは明らかである。この結果、加算器20、加算器21を経て割り算器8から得られる信号の大きさは1.0となり、これを数41にしたがってサンプラ23から得られるG信号と掛け算器9で掛け合わせた水平位置2(n+1)、垂直位置2m+1のR信号は本来得られるべき信号に等しい1.0となる。
【0109】
一方、被写体像が緑色で、図12に示す斜線の部分のR、G、Bが0.2で、斜線のない部分のGが1.0、R、Bが0.2であるとする。このとき、ローパスフィルタ4から得られる垂直位置2(m+1)の画素列のR信号の低周波成分とローパスフィルタ18から得られる垂直位置2mの画素列のR信号の低周波成分はともに0.2となり、ローパスフィルタ5から得られる垂直位置2(m+1)の画素列のG信号の低周波成分が1.0、ローパスフィルタ19から得られる垂直位置2mの画素列のG信号の低周波成分が0.2となる。この結果、加算器20、加算器21を経て割り算器8から得られる信号の大きさは0.33となり、これをG信号と掛け合わせた水平位置2(n+1)、垂直位置2m+1のR信号は0.33となる。これは前述の第2の従来の方法や第3の従来の方法よりも本来得られるべき信号に近い大きさである。
【0110】
このように本発明の実施例によれば、ベイヤ配列の色フィルタを用いた場合にも、ある色信号が得られない画素列で当該色信号を補間できる。しかも、被写体像が無彩色の場合には本来得られるべき信号に一致した補間信号が得られるので、偽の色信号が十分に軽減できる。また、被写体像の彩度が高い場合にも本来得られるべき信号に近い大きさの補間信号が得られ、偽の色信号の発生が抑圧される。
【0111】
なお、図1においてローパスフィルタ4等から得られる信号には被写体像のもつ水平方向の周波数成分のうち、(1/2dx-fa)を越える領域の成分が混入するが、固体撮像素子1の前面に光学ローパスフィルタを挿入してこれを低減すれば、ローパスフィルタから得られる2つの色信号の低周波成分の比を被写体像の持つ当該色成分の比に一層近づけることができる。光学ローパスフィルタの一例は、図13に示すように、固体撮像素子1の水平方向の画素間隔dxに等しい距離だけずれた二重像を生成する水晶板54が適用可能である。
【0112】
また、図1の構成では位相調整器22から得られた信号をサンプラ23、サンプラ24に加えてG信号とR信号あるいはB信号を分離したが、図14に示す本発明の第3の構成例のように線形補間回路27に加えてもよい。線形補間回路27は、G信号とB信号に分離するだけでなく、一般的な線形補間を同時に実現する。ここで線形補間回路27は図15に示す構成で実現できる。図15において、線形補間回路27への入力信号は画素遅延回路28に加えられ、画素遅延回路28の出力はさらに画素遅延回路29に加えられる。画素遅延回路28、画素遅延回路29の遅延時間は、それぞれ一画素分の遅延時間に等しいものとする。さらに線形補間回路27への入力信号と画素遅延回路29の出力は加算平均回路30に加えられて、2つの入力の加算平均値に対応する信号を出力する。画素遅延回路28の出力と加算平均回路30の出力は、それぞれ同時にゲート回路31とゲート回路32に加えられる。この結果、たとえば線形補間回路27への入力が図2における水平位置2(n+1),垂直位置2m+1の画素のG信号であるときは、画素遅延回路28から水平位置2n+1の画素のB信号が得られ、画素遅延回路29から水平位置2nの画素のG信号が得られる。このとき、ゲート回路31は加算平均回路30から得られる水平位置2nと2(n+1)の画素のG信号の平均値を出力し、ゲート回路32は画素遅延回路28から得られる水平位置2n+1の画素のB信号を出力するよう動作する。また、線形補間回路27への入力が水平位置2(n+1)+1、垂直位置2m+1の画素のB信号であるときは、ゲート回路31が画素遅延回路28からの信号を出力し、ゲート回路32が加算平均回路30からの信号を出力すれば、G信号とB信号の分離と一般的な線形補間処理が同時に達成できる。なお図14に示す構成の他の部分の動作は、同じ番号を付した図1に示す構成のものと同一である。
【0113】
以上の説明は、ある水平方向の画素列に存在しない色信号を、その上下の水平方向画素列での当該色信号とG信号の関係を用いて補間する場合を例に取った。しかし、前述のようにベイヤ配列の色フィルタは90度回転させても配列のパターンが変わらないので、垂直方向の画素列の間で補間を行なうことも可能である。これには、図16に示す本発明の第4の実施例による構成のように、1H遅延回路を複数段重ねて垂直方向の画素列の信号を同時化して用いればよい。
【0114】
図16の構成では、固体撮像素子1の出力を直列に接続した1H遅延回路14、1H遅延回路15、1H遅延回路33、1H遅延回路34に順次加える。これによって、図2において垂直位置が連続する5つの画素列の信号が同時に得られる。また、固体撮像素子1の出力は、遅延時間がそれぞれ一画素分で互いに直列接続された画素遅延回路28、画素遅延回路29に順次加えられる。同様に、1H遅延回路14の出力は画素遅延回路35、画素遅延回路36に順次加えられ、1H遅延回路15の出力は画素遅延回路37、画素遅延回路38に順次加えられる。また、1H遅延回路33の出力は画素遅延回路39、画素遅延回路40に順次加えられ、1H遅延回路34の出力は画素遅延回路41、画素遅延回路42に順次加えられる。
【0115】
固体撮像素子1と画素遅延回路29の出力は加算平均回路30に加えられ、両者の平均値に対応した信号が出力される。同様に、1H遅延回路14と画素遅延回路36の出力は加算平均回路43、1H遅延回路15と画素遅延回路38の出力は加算平均回路44、1H遅延回路33と画素遅延回路40の出力は加算平均回路45、1H遅延回路34と画素遅延回路42の出力は加算平均回路46に加えられ、それぞれ両入力信号の平均値に対応した信号が出力される。この結果、画素遅延回路28、画素遅延回路35、画素遅延回路37、画素遅延回路39、画素遅延回路41から図2における水平位置2n+1の画素列の信号が得られるとき、加算平均回路30、加算平均回路43、加算平均回路44、加算平均回路45、加算平均回路46からは、水平位置2nと2(n+1)の画素列の加算平均値に対応した信号が得られる。
【0116】
さらに、加算平均回路30、加算平均回路44、加算平均回路46の出力は垂直ローパスフィルタ47に加えられ、加算平均回路43、加算平均回路45の出力は垂直ローパスフィルタ48に加えられる。ここで垂直ローパスフィルタ47は、加算平均回路30の出力信号の1/4倍、加算平均回路44の出力信号の1/2倍、加算平均回路46の出力信号の1/4倍を加え合わせるものとする。また、垂直ローパスフィルタ48は、加算平均回路43の出力信号の1/2倍、加算平均回路45の出力信号の1/2倍を加え合わせるものとする。このとき垂直ローパスフィルタ48の周波数レスポンスは、前述のように数40に示したとおりである。これに対して垂直ローパスフィルタ47の周波数レスポンスは数40を求めた方法と同様に、次の数44のように(1+cos2ωdy)/2と求められる。
【0117】
【数44】
Figure 0003997273
【0118】
この結果、垂直ローパスフィルタ47の周波数レスポンスは図17(a)に示すものであり、垂直ローパスフィルタ48の周波数レスポンスは図17(b)に示すものであるから、レスポンスが0となる周波数がともに1/4dyで一致する。このように、連続する5つの画素列の信号を同時に得ることは、交互に得られる2つの色信号の間で周波数帯域が近い垂直ローパスフィルタを構成する上での最低限の条件である。連続する3つの画素列の信号のみを用いるときには、2つの色信号の一方は1画素のみからの信号となるので垂直ローパスフィルタが構成できない。このとき、2つの色信号の間では混入する高調波成分の影響が大きく異なるので、両者の比が被写体像の持つ当該色成分の比をあらわすことが期待できない。1H遅延回路をさらに増やして垂直ローパスフィルタのタップ数を増加させるほど、2つの色信号の垂直ローパスフィルタのレスポンスが近づくので、被写体像の持つ当該色成分の比を得る上では好ましいことは明らかである。
【0119】
さらに図16に示す構成では、垂直ローパスフィルタ47および垂直ローパスフィルタ48の出力を、それぞれゲート回路49およびゲート回路50に同時に加える。ゲート回路49の出力は割り算器8の被除数側に加えられ、ゲート回路50の出力は割り算器8の除数側に加えられる。このときゲート回路49、ゲート回路50は、割り算器8の被除数側にR信号あるいはB信号の低周波成分が加わり、割り算器8の除数側にG信号の低周波成分が加わるよう動作する。
一方、画素遅延回路35と画素遅延回路39の出力は加算平均回路51に加えられて垂直方向の線形補間信号が生成される。さらに加算平均回路51と画素遅延回路37の出力は、それぞれゲート回路52とゲート回路53に同時に加えられる。このときゲート回路52とゲート回路53は、ゲート回路52からG信号が得られ、ゲート回路53からR信号あるいはB信号が得られるよう動作する。
【0120】
この結果、たとえば画素遅延回路37から図2に示す水平位置2n+1、垂直位置2(m+1)の画素のG信号が得られるとき、垂直ローパスフィルタ47からはそれぞれ垂直位置2mで水平位置2nと2(n+1)のR信号、垂直位置2(m+1)で水平位置2nと2(n+1)のR信号、および垂直位置2(m+2)で水平位置2nと2(n+1)のR信号を加え合わせてから垂直方向に帯域制限した信号が得られる。一方、垂直ローパスフィルタ48からはそれぞれ垂直位置2m+1で水平位置2nと2(n+1)のG信号、垂直位置2(m+1)+1で水平位置2nと2(n+1)のG信号を加え合わせてから垂直方向に帯域制限した信号が得られる。
【0121】
このとき割り算器8から得られる水平位置2nと2(n+1)の画素列におけるG信号の低周波成分に対するR信号の低周波成分の比に対応した信号は掛け算器9に加えられる。同時に掛け算器9には、ゲート回路52を経て出力された水平位置2n+1、垂直位置2(m+1)の画素のG信号が加えられる。掛け算器9の出力はゲート回路25で選択され、水平位置2n+1、垂直位置2(m+1)の画素に対応したRの補間信号となる。このとき加算平均回路51から得られる水平位置2n+1で垂直位置2m+1と2(m+1)+1のB信号の平均値に対応した信号は、ゲート回路53、ゲート回路26で選択されて水平位置2n+1、垂直位置2(m+1)の画素に対応するB信号となる。
【0122】
画素遅延回路37から得られる信号が1画素分ずれて、図2における水平位置2(n+1),垂直位置2(m+1)の画素のものとなったときには、垂直ローパスフィルタ47から水平位置2n+1と2(n+1)+1の画素列のG信号の低周波成分が得られ、垂直ローパスフィルタ48からB信号の低周波成分が得られる。また、加算平均回路51からは水平位置2(n+1)で垂直位置2m+1と2(m+1)+1のG信号の平均値に対応した信号が得られる。このときゲート回路49とゲート回路50は、割り算器8の除数側に垂直ローパスフィルタ47から得られるG信号の低周波成分が加わり、被除数側に垂直ローパスフィルタ48から得られるB信号の低周波成分が加わるよう動作し、ゲート回路52は掛け算器9に加算平均回路51のG信号が加わるよう動作する。さらにゲート回路25はゲート回路53を経て画素遅延回路37から得られる水平位置2(n+1),垂直位置2(m+1)のR信号が出力されるよう動作し、ゲート回路26は掛け算器9から得られるBの補間信号が出力されるよう動作する。
【0123】
さらに画素遅延回路37から得られる信号の図2における位置がずれても、同様にゲート回路49とゲート回路50は割り算器8の除数側にG信号の低周波成分が加わり、被除数側にR信号あるいはB信号の低周波成分が加わるよう動作すればよい。またゲート回路52とゲート回路53は掛け算器9にG信号が加わり、ゲート回路25、ゲート回路26にR信号あるいはB信号が加わるよう動作し、ゲート回路25とゲート回路26はそれぞれからR信号とB信号が得られるよう動作すればよい。
【0124】
以上述べたように図16に示す構成を用いれば、図1に示した構成による上下の水平方向画素列を用いた垂直方向の補間処理を、左右の垂直方向画素列を用いた水平方向の補間処理に変換した動作を実現できる。
【0125】
また、図18に本発明の第5の実施例の構成を示す。図18の構成は、図16に示した左右の垂直方向画素列を用いた水平方向の補間信号を生成する構成に、図9に示した上下の水平方向画素列を用いた垂直方向の補間信号を生成する構成を組み合わせたものである。図18において、同じ番号を付した部分の動作はそれぞれ図16あるいは図9のものと同様である。ここで左右の垂直方向画素列を用いた水平方向の補間処理後のR信号、B信号、G信号を出力するゲート回路25−1、ゲート回路26−1およびゲート回路52の出力は、それぞれゲインコントロール回路55、ゲインコントロール回路56、ゲインコントロール回路57に加えられる。また、上下の水平方向画素列を用いた垂直方向の補間処理後のR信号、B信号、G信号を出力するゲート回路25−2、ゲート回路26−2およびサンプラ23の出力は、それぞれゲインコントロール回路58、ゲインコントロール回路59、ゲインコントロール回路60に加えられる。さらに、ゲインコントロール回路55とゲインコントロール回路58の出力は加算器61、ゲインコントロール回路56とゲインコントロール回路59の出力は加算器62、ゲインコントロール回路57とゲインコントロール回路60の出力は加算器63でそれぞれ加え合わされる。
【0126】
ここで、ゲート回路49から得られるR信号あるいはB信号の垂直方向の低周波成分srlv(x,y)あるいはsblv(x,y)と、ゲート回路50から得られるG信号の垂直方向の低周波成分sglv(x,y)は、それぞれ加算器64と減算絶対値回路65に加えられて、両者の加算値に対応した信号sav(x,y)と両者の差の絶対値に対応した信号sdv(x,y)が出力される。さらに加算器64の出力sav(x,y)は割り算器66の除数側に加えられ、減算絶対値回路65の出力sdv(x,y)は割り算器66の被除数側に加えられる。この結果、割り算器66からは次の数45であらわされるSv(x,y)が得られる。
【0127】
【数45】
Figure 0003997273
【0128】
一方、ローパスフィルタ4から得られるR信号あるいはB信号の水平方向の低周波成分srlh(x,y)あるいはsblh(x,y)と、ローパスフィルタ5から得られるG信号の水平方向の低周波成分sglh(x,y)は、それぞれ加算器67と減算絶対値回路68に加えられて、両者の加算値に対応した信号sah(x,y)と両者の差の絶対値に対応した信号sdh(x,y)が出力される。加算器67の出力sah(x,y)は割り算器69の除数側に加えられ、減算絶対値回路68の出力sdh(x,y)は割り算器69の被除数側に加えられる。この結果、割り算器69からは次の数46であらわされるSh(x,y)が得られる。
【0129】
【数46】
Figure 0003997273
【0130】
割り算器66の出力Sv(x,y)と割り算器69の出力Sh(x,y)は加算器70に加えられて、両者の加算信号を出力する。さらに加算器70の出力は割り算器71と割り算器72の除数側に加えられる。また、割り算器71の被除数側には割り算器66の出力信号Sv(x,y)が加えられ、割り算器72の被除数側には割り算器69の出力信号Sh(x,y)が加えられる。この結果、割り算器71からは次の数47であらわされる垂直補間係数Gv(x,y)が得られ、割り算器72からは次の数48であらわされる水平補間係数Gh(x,y)が得られる。
【0131】
【数47】
Figure 0003997273
【0132】
【数48】
Figure 0003997273
【0133】
割り算器71から得られた垂直補間係数Gv(x,y)は掛け算器58、掛け算器59、掛け算器60に加えられて、上下の水平方向画素列を用いた垂直方向の補間信号のゲインとなる。また、割り算器72から得られた水平補間係数Gh(x,y)は掛け算器55、掛け算器56、掛け算器57に加えられて、左右の垂直方向画素列を用いた水平方向の補間信号のゲインとなる。
【0134】
ここで被写体像が無彩色で、垂直方向の変化が水平方向の変化に比べて小さいときには、srlv(x,y)あるいはsblv(x,y)とsglv(x,y)とがより近い値となる。このとき、数45ないし数48の関係から垂直補間係数Gv(x,y)が小さく、水平補間係数Gh(x,y)が大きな値となることがわかる。この結果、加算器61ないし63の出力では、ゲインコントロール回路55ないし57から得られる左右の垂直方向画素列を用いた水平方向の補間信号が大きな割合を占める。
【0135】
また、水平方向の変化が垂直方向の変化に比べて小さいときにはsrlh(x,y)あるいはsblh(x,y)とsglh(x,y)とがより近い値となるので、水平補間係数Gh(x,y)が小さく、垂直補間係数Gv(x,y)が大きくなる。この結果、加算器61ないし63の出力では、ゲインコントロール回路58ないし60から得られる上下の水平方向画素列を用いた垂直方向の補間信号が大きな割合を占める。
【0136】
このように図18に示す構成によれば、R信号(あるいはB信号)とG信号の差が小さい方向の低周波成分を用いて補間信号を生成するよう動作する。これによって被写体像の変化が小さく、無彩色に近い方向から補間信号生成の際の係数を得るよう働くので、係数への高調波成分の影響が少なく、本来得られるべき信号に近い補間信号の生成が期待できる。さらに、補間信号を生成する際に用いるローパスフィルタの出力を利用して垂直方向と水平方向の補間信号の重みづけを決定するので、回路規模の大きな増加を防止できる。
【0137】
なお本発明の実施例は、図2に示すGを市松状に配した色フィルタを用いる場合を例にとって説明したが、その動作から、図19に示すようにW(透明)を市松状に配した色フィルタをはじめ、任意のフィルタを市松状に配した色フィルタに適用できることは明らかである。
【0138】
さらに、本発明の実施例はハードウェアによる処理を例にとって説明したが、ソフトウェアによる汎用コンピュータ上での処理によっても実現できることは明らかである。
【0139】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の単板カラーカメラの信号補間方法によれば、ベイヤ配列の色フィルタを用いた場合にも、ある色信号が得られない画素列で当該色信号を補間できる。しかも、被写体像が無彩色の場合には本来得られるべき信号に一致した補間信号が得られるので、偽の色信号が十分に軽減できる。また、被写体像の彩度が高い場合にも本来得られるべき信号に近い大きさの補間信号が得られ、偽の色信号の発生を抑圧できる。
【0140】
また、本発明の単板カラーカメラの信号補間方法によれば、左右の垂直方向画素列を用いた補間信号と上下の水平方向画素列を用いた補間信号の重み付けを、補間信号を生成する際に用いるローパスフィルタの出力を利用して決定するので、回路規模を大きく増加することなく本来得られるべき信号に近い補間信号の生成が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法における第1の実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法に用いられるベイヤ配列の原色型フィルタの構成を示す図である。
【図3】従来の単板カラーカメラにおいて偽の色信号が発生する原因を説明するための図である。
【図4】従来の単板カラーカメラにおいて固体撮像素子から得られる画素の信号がもつ周波数成分の例を示す図である。
【図5】第1の従来の単板カラーカメラの信号補間方法における構成を示す図である。
【図6】第1の従来の単板カラーカメラの信号補間方法で得られる色信号の周波数成分の一例を示す図である。
【図7】第2の従来の単板カラーカメラの信号補間方法における演算処理の説明に用いる図である。
【図8】第3の従来の単板カラーカメラの信号補間方法における演算処理の説明に用いる図である。
【図9】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法における第2の実施例の構成を示す図である。
【図10】ベイヤ配列の原色型色フィルタで得られる色信号の周波数成分の一例を示す図である。
【図11】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法で得られる色信号の周波数成分の一例を示す図である。
【図12】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法で、偽の色信号を軽減する補間処理の動作を説明する図である。
【図13】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法で併用可能な光学ローパスフィルタの動作を示す図である。
【図14】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法における第3の実施例の構成を示す図である。
【図15】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法における第3の実施例の構成に用いることのできる線形補間回路の構成を示す図である。
【図16】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法における第4の実施例の構成を示す図である。
【図17】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法における第4の実施例で用いた垂直ローパスフィルタの周波数レスポンスを示す図である。
【図18】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法における第5の実施例の構成を示す図である。
【図19】本発明の単板カラーカメラの信号補間方法が適用可能な他のフィルタの一例を示す図である。
【符号の説明】
1 固体撮像素子
2、3、16、17、23、24 サンプラ
4、5、12、13、18、19 ローパスフィルタ
6、7、10、11、25、26、31、32、49、50、52、53 ゲート回路
8、66、69、71、72 割り算器
9 掛け算器
14、15、33、34 1H遅延回路
20、21、61、62、63、64、67、70 加算器
22 位相調整器
27 線形補間回路
28、29、35、36、37、38、39、40、41、42 画素遅延回路
30、43、44、45、46、51 加算平均回路
47、48 垂直ローパスフィルタ
55、56、57、58、59、60 ゲインコントロール回路
65、68 減算絶対値回路
54 水晶板

Claims (5)

  1. 分光感度特性の異なる複数種の画素群を2次元状に、しかも上記複数種の画素群のうち第1の種類に対応する第1の画素群が隣接画素列の間で互いに補間する関係に配され、少なくとも上記複数種の画素群のうち上記第1の種類とは異なる第2の種類に対応する第2の画素群の画素が1画素列おきに存在するよう配された撮像素子を用いて少なくともすべての画素列に対応した上記第2の種類の信号を生成する単板カラーカメラの信号補間方法において、上記第2の画素群が存在しない画素列から任意に選んだ第1の画素列に存在する第1の画素の位置における上記第1の画素群の信号である第1の信号を取り出し、上記第1の画素列に隣接する第2の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号と上記第1の画素列に隣接し、かつ上記第2の画素列とは異なる第3の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第1の低周波信号を取り出し、上記第2の画素列上の上記第2の画素群に属する画素の信号と上記第3の画素列上の上記第2の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第2の低周波信号を取り出し、上記第1の低周波信号に対する上記第2の低周波信号の大きさに対応した第1の係数信号を上記第1の信号に乗算した第1の補間信号を取り出して上記第1の画素の位置における上記第2の種類の信号として用いることを特徴とする単板カラーカメラの信号補間方法。
  2. 上記第1の画素が上記第1の画素群に属するときには上記第1の画素の信号を上記第1の信号とし、上記第1の画素が上記第1の画素群に属するものではないときには上記第1の画素列上に存在し、上記第1の画素に両側で隣接する上記第1の画素群に属する第2の画素と第3の画素の信号の平均値信号を上記第1の信号とすることを特徴とする請求項1記載の単板カラーカメラの信号補間方法。
  3. 上記撮像素子は、上記画素列の方向の解像度を低下させる光学ローパスフィルタを組み合わせたものであることを特徴とする請求項1記載の単板カラーカメラの信号補間方法。
  4. 分光感度特性の異なる複数種の画素群を2次元状に、しかも上記複数種の画素群のうち第1の種類に対応する第1の画素群が隣接画素列の間で互いに補間する関係に配され、少なくとも上記複数種の画素群のうち上記第1の種類とは異なる第2の種類に対応する第2の画素群の画素が1画素列おきに存在するよう配された撮像素子を用いて、上記第2の画素群を除くすべての画素の位置に対応する上記第2の種類の信号をすくなくとも2つの方法で生成した補間信号によって補間する単板カラーカメラの信号補間方法において、上記第2の画素群に属さない画素から任意に選んだ第1の画素を含む第1の画素列に隣接する第2の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号と上記第1の画素列に隣接し、かつ上記第2の画素列とは異なる第3の画素列上の上記第1の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第1の低周波信号を生成し、上記第2の画素列上の上記第1の画素群に属さない画素の信号と上記第3の画素列上の上記第1の画素群に属さない画素の信号を加算した信号から上記第1の画素の位置に対応する第2の低周波信号を生成し、上記第1の画素列上に存在して上記第1の画素に隣接する第2の画素をとおり、上記第1の画素列に垂直の方向の第1のライン上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号と上記第1の画素列上に存在して上記第1の画素に対して上記第2の画素とは反対側に隣接する第3の画素をとおり、上記第1の画素列に垂直の方向の第2のライン上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号を加算した信号から上記第1の画素に対応する第3の低周波信号を生成し、上記第1のライン上に存在する上記第1の画素群に属さない画素の信号と上記第2のライン上に存在する上記第1の画素群に属さない画素の信号を加算した信号から上記第1の画素に対応する第4の低周波信号を生成し、上記第1の低周波信号と上記第2の低周波信号の加算値に対する上記第1の低周波信号と上記第2の低周波信号の差の絶対値の比に対応した第1の係数信号を生成し、上記第3の低周波信号と上記第4の低周波信号の加算値に対する上記第3の低周波信号と上記第4の低周波信号の差の絶対値の比に対応した第2の係数信号を生成し、上記第1の係数信号と上記第2の係数信号の加算値に対する上記第1の係数信号の比に対応した第1の増幅度を生成し、上記第1の係数信号と上記第2の係数信号の加算値に対する上記第2の係数信号の比に対応した第2の増幅度を生成し、上記第1の増幅度と上記第2の増幅度を用いて上記2つの方法で生成した補間信号を合成することを特徴とする単板カラーカメラの信号補間方法。
  5. 上記2つの方法で生成した補間信号は、上記第1の低周波信号に対する上記第2の低周波信号の比に対応した信号を上記第1の画素列上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号から得た上記第1の画素の位置における上記第1の種類に対応する信号に乗算した第1の補間信号と、上記第3の低周波信号に対する上記第4の低周波信号の比に対応した信号を上記第1の画素をとおり、上記第1の画素列に垂直の方向の第3のライン上に存在する上記第1の画素群に属する画素の信号から得た上記第1の画素の位置における上記第1の種類に対応する信号に乗算した第2の補間信号であり、上記第1の補間信号を上記第2の増幅度で増幅し、上記第2の補間信号を上記第1の増幅度で増幅することを特徴とする請求項4記載の単板カラーカメラの信号補間方法。
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