JP3997121B2 - ビニル化脂環状炭化水素系重合体から成る成形材料 - Google Patents

ビニル化脂環状炭化水素系重合体から成る成形材料 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る成形材料とその用途に関し、さらに詳しくは低分子量成分含量・遷移金属原子含有量が低いビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る成形材料、接触する薬剤を変質させない医療用器材、電気絶縁性、高周波特性などに優れた電気絶縁材料、及び耐熱性、耐薬品性などに優れた電子部品処理用器材に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用器材は、繰り返し使用によるウィルスの二次感染を防止するために、最近では、使い捨てのものに置き換えられつつある。また、注射薬なども、従来は注射の際に滅菌されたアンプル中から注射器で吸引して用いていたが、最近は、予め注射器中に注射薬を吸入してあるプレフィルドシリンジが流通し、注射後の注射器は廃棄されるようになった。
【0003】
医療用の薬品容器においては、内容物の視認が容易になるように、ある程度以上の透明性が必要である。そのため、従来から、ガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等が用いられている。しかし、ガラスは割れることがあり、重く、アルカリイオンなどが溶出しやすく、破片処理が危険であり、焼却処分が困難であるため、使い捨てにするのは困難であった。また、ポリエチレン、ポリプロピレンなどからは、低分子の有機成分が溶出することがあり、ポリ塩化ビニルからは塩素が溶出し、内容物が変質することがあった。
【0004】
電気絶縁材料としては、ポリ塩化ビニルやポリエチレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン系樹脂が多く用いられてきた。これらは、高絶縁抵抗性、高絶縁破壊電圧、低誘電率などの優れた電気特性、低吸水性、耐薬品性などに優れているが、耐熱性は不十分であり、過酷な条件下では使用できない。また、ポリスチレンは耐アーク性や耐トラッキング性に劣り、さらに融点と熱分解開始温度の差が小さいため、溶融成形が可能な温度範囲が290〜300℃と狭いため成形が困難であるなどの問題があった。
【0005】
また、優れた電気特性と機械的強度、透明性などを兼ね備え、広く用いられている電気絶縁材料として、ポリエチレンテレフタレートがあるが、熱水やアルカリによって加水分解を起こしたり、吸水性が大きいなどの問題がある。
【0006】
さらに、プリント基板、積層基板、導電性フィルムなどの複合材料に用いられている絶縁材料として、ポリサルホン、ポリエーテルサルホンなど、耐熱性に優れた樹脂やエポキシ樹脂、ポリイミドが用いられているが、これらはいずれも吸水性が大きい、導電層との複合の際に真空蒸着法やスパッター法などの工程を経る必要のある用途では、それらの工程において、樹脂中の水分のために、必要な真空度に上げるのに長時間を要して生産性が悪くなるなどの問題がある。また、エポキシ樹脂やポリイミドは、高周波用として使用するには、誘電率、誘電損失が大きすぎて適さない。
【0007】
また、ウェハ・キャリアなどの電子部品処理用器材においては、真鍮などの金属、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンやペルフルオロアルコキシフッ素樹脂などのフッ素樹脂が用いられている。しかし、金属製のものは重すぎ、また、電子部品処理に用いる酸への耐性がなく、ポリプロピレンは寸法精度が悪く、ポリテトラフルオロエチレンは射出成形ができず削り出し加工によるため生産性が悪く、寸法精度も悪く、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂は成形収縮が大きく、寸法精度も悪く、また、樹脂の合成が困難であった。
【0008】
近時、ビニルシクロヘキサン系重合体が光学材料として使用できることは、特開昭63−43910号、特開平1−132603号などに開示されている。しかし、ビニルシクロヘキサン系重合体を含むビニル化脂環状炭化水素系重合体の耐薬品性、低溶出性、さらに電気絶縁性、高周波特性などについては知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定のビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物が、耐薬品性、高周波電気絶縁性に優れ、不純物の溶出や薬剤成分の吸着がないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、25℃のトルエン中で測定した極限粘度[η]が0.1〜20dl/g、分子量2000以下の樹脂成分含有量が1重量%以下、重合触媒及び水素添加触媒由来の遷移金属原子残留量が1ppm以下であるビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物からなる成形材料が提供される。
【0011】
(ビニル化脂環状炭化水素系重合体)
本発明で用いられる樹脂は、下記一般式1、一般式2、または一般式3で表される繰り返し単位から成るビニル脂環状炭化水素系重合体である。
【0012】
一般式1:
【化1】
Figure 0003997121
【0013】
一般式2:
【化2】
Figure 0003997121
【0014】
一般式3:
【化3】
Figure 0003997121
【0015】
なお、上記一般式1、一般式2、一般式3において、R1〜R42は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、または、R4〜R12、R16〜R26、R30〜R42は環を形成する隣接する炭素原子を表し一部が二重結合を形成してもよい。
【0016】
本発明のビニル化脂環状炭化水素系重合体を得るために用いられるビニル化環状炭化水素系単量体としては、例えば、ビニルシクロペンタン、イソプロペニルシクロペンタンなどのビニルシクロペンタン系単量体、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテンなどのビニルシクロペンテン系単量体などのビニル化五員環炭化水素系単量体; スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−フェニルスチレンなどのスチレン系単量体、ビニルシクロヘキサン、3−メチルイソプロペニルシクロヘキサンなどのビニルシクロヘキサン系単量体、4−ビニルシクロヘキセン、4−イソプロペニルシクロヘキセン、1−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、1−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセン、2−メチル−4−ビニルシクロヘキセン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロヘキセンなどのビニルシクロヘキセン系単量体、d−テルペン、l−テルペン、ジテルペンなどのテルペン系単量体などのビニル化六員環炭化水素系単量体; ビニルシクロヘプタン、イソプロペニルシクロヘプタンなどのビニルシクロヘプタン系単量体、4−ビニルシクロヘプテン、4−イソプロペニルシクロヘプテンなどのビニルシクロヘプテン系単量体などのビニル化炭化水素系単量体; などが挙げられる。なかでも、六員環炭化水素系単量体が好ましい。ただし、芳香環を含有するスチレン系単量体を用いる場合は、水素添加反応により、芳香環が実質的に残らないようにする。
【0017】
また、本発明においては、重合体中の繰り返し単位が10重量%未満となる範囲でビニル化環状炭化水素系単量体以外の単量体を共重合させてもよい。共重合可能な単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィン系単量体; シクロペンタジエン、1−メチルシクロペンタジエン、2−メチルシクロペンタジエン、2−エチルシクロペンタジエン、5−メチルシクロペンタジエン、5,5−ジメチルシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエン系単量体; シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエンなどの環状オレフィン系単量体; ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、フラン、チオフェン、1,3−シクロヘキセンなどの共役ジエン系単量体; エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、トリオキサン、ジオキサン、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル系単量体;メチルビニルエーテル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニル−2−ピロリドンなどの複素環含有ビニル化合物系単量体; などが挙げられる。一般に、ビニル化環状炭化水素系単量体以外の単量体に由来する繰り返し単位の含有量が多くなると、本発明のビニル化脂環状炭化水素系重合体の透明性が低下する。
【0018】
本発明において重合に用いられる触媒は、特に限定されず、公知のカチオン重合触媒、リビングカチオン重合触媒、チーグラー触媒、カミンスキー触媒などが使用できる。カチオン重合触媒としては、AlCl3、AlBr3、BF3、BCl3、BF3・OEt2、TiCl4、TiBr4、FeCl3、FeCl2、SnCl4、SnCl2、TiCl4/Cl3CCOOH、SnCl4/Cl3CCOOH、WCl6、MoCl5などのハロゲン化金属; Pd(CH3CN)2Cl2、Pd(C65CN)2Cl2、Pd(CH3CN)4(BF42などのPd触媒; HCl、HF、H2SO4、H3BO3、HClO4、CF3COOH、CCl3COOHなどの水素酸; などが挙げられ、ルイス酸と開始剤化合物を併用するリビングカチオン重合触媒としては、TiCl4/2−メトキシ−2−フエニルプロパン、TiCl4/t−ブタノール、TiCl4/1,4−ビス(2−メトキシ−2−プロピル)ベンゼン、TiCl4/2−フェニル−2−プロパノールなどが挙げられ、チーグラー触媒として、TiCl4−Et3Al、TiCl3−Et3AlOEt、TiCl3−Bu3Al2などが挙げられ、カミンスキー触媒としては、ジシクロペンタジエニルジコニウム(IV)ジクロライド−メチルアルミノキサン、シクロペンタジエニルチタン(III)ジクロライド−メチルアルミノキサン、(イソプロピリデン−9−フルオレニル−シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロライド−メチルアルミノキサン、ジメチルシリルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロライド−メチルアルミノキサンなどが挙げられる。
【0019】
重合触媒の使用量は、単量体に対して、モル比で0.000001〜1倍、好ましくは0.0001〜0.5倍の範囲である。
【0020】
本発明において、単量体の重合は、通常、溶媒を使用して行われる。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒; ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの炭化水素系溶媒; 塩化メチル、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒; などが挙げられる。通常,炭化水素系溶媒、特に、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどが重合体の溶解性に優れるので好ましい。
【0021】
本発明において重合は、通常、−100〜100℃、好ましくは−50〜50℃の範囲で行う。
【0022】
不飽和結合を有するビニル化脂環状炭化水素系重合体は、耐光劣化性、耐熱劣化性、耐酸化劣化性などを高めるために、水素添加してもよい。水素添加する場合は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、特に好ましくは90%以上水素添加する。スチレン系単量体に由来する芳香環構造を多く含有している重合体は、熱分解温度が低く、溶融成形する場合には樹脂温度の制御が困難であるため、水素添加して、芳香環構造を飽和させる。後述の水素添加反応の際に遷移金属化合物とアルキル金属化合物の組み合わせ触媒を選択して使用すると、スチレン系単量体に由来する芳香環構造は選択的に水素添加されずに残るので、スチレン系単量体を用いた場合は、それ以外の水素添加触媒を用いることが好ましい。
【0023】
水素添加反応に用いる水素添加触媒は、特に限定されず、オレフィン化合物の水素化に使用されているものが使用できる。例えば、ニッケル、パラジウム、白金などの触媒金属;ウィルキンソン錯体; 酢酸コバルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリイソブチルアルミニウムなどのチーグラー触媒; ケイソウ土、マグネシア、アルミナ、合成ゼオライトなどに、ニッケル、パラジウム、白金等触媒金属を担持させた不均一触媒; などが挙げられ、中でも、マグネシア、活性アルミナ、合成ゼオライトを担体とした細孔容積0.5cm3/g以上、好ましくは0.7cm3/g以上、また好ましくは比表面積250m2/g以上の不均一触媒が好ましい。これらの担体は、重合触媒由来の遷移金属や塩素原子を吸着する。さらに、不均一系触媒として、粒径0.2μm以上のもの、即ち、粒径が0.2μm未満のものを実質的に含まないものを用いると、濾過による不均一系触媒の除去が容易であるので好ましい。粒径が小さすぎると濾過の際にリークしやすく、また遠心しても除去が困難になり、ビニル化脂環状炭化水素系重合体中の重合触媒や水素添加触媒の残渣である遷移金属原子量が多くなる。また、リークしないように孔径の小さなフィルターを用いて濾過すると目詰まりを起こしやすく、作業効率が悪い。
【0024】
水素添加反応を行う場合、イソプロピルアルコールなどのアルコール類を少量添加して反応性を高めることができる。その場合のアルコール類の添加量は溶液100重量部当たり0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部である。
【0025】
水素添加反応は、通常、不活性有機溶媒中で実施する。ビニル化脂環状炭化水素系重合体は、実質的にゲルを含まないので、適当な不活性有機溶媒に可溶性のものであり、水素添加しやすい。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒が好ましく、その中でも生成するビニル化脂環状炭化水素重合体の溶解性に優れた環状炭化水素系溶媒が特に好ましい。具体例としては、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、n−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環族炭化水素、メチレンジクロリド、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、これらの2種以上を混合して使用することもできる。通常は、重合反応溶媒と同じでよく、重合反応溶液にそのまま、水素添加触媒等を添加して、反応させればよい。溶媒を使用する場合は、ビニル化脂環状炭化水素系重合体1重量部に対する溶媒の使用量は、0.8〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
【0026】
水素添加反応時における水素圧力は特に制限は無いが、通常、10〜200kg/cm2、好ましくは20〜150kg/cm2、さらに好ましくは30〜100kg/cm2である。反応圧力や反応時間を調節して、水素添加率が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上になるようにする。
【0027】
水素添加反応終了後の触媒の除去は遠心、濾過などの常法に従って行えばよい。遠心方法や濾過方法は用いた触媒が除去できる条件であれば、特に限定されない。濾過による除去は簡便かつ効率的であるので好ましい。濾過する場合、加圧濾過しても吸引濾過してもよく、また、効率の点から、ケイソウ土、パーライトなどの濾過助剤を用いることが好ましい。前述の水素添加触媒の担体等の、重合触媒に由来する遷移金属原子に対する吸着剤を濾過助剤として用いてもよい。
【0028】
本発明で用いられるビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物の25℃のトルエン中で測定した極限粘度〔η〕は、重合時間や反応液中の単量体濃度などにより変化するが、0.1〜20dl/g、好ましくは0.2〜10dl/g、より好ましくは0.3〜8dl/gである。極限粘度が小さすぎると機械的強度が劣り、大きすぎると成形性が悪くなる。また、このビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物(以下単に樹脂ということがある。)は、トルエンを溶媒とした高速液体クロマトグラフィー分析によるポリスチレン換算分子量が2,000以下の成分含有量が1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることが特に好ましい。低分子量成分含量がそれ以上の場合は、樹脂に対する良溶媒と貧溶媒との混合溶媒中に樹脂溶液を注入して樹脂を凝固させる方法、樹脂溶液に徐々に貧溶媒を加えて樹脂を凝固させる方法、樹脂溶液を貧溶媒中に注いで凝固を行う方法等を1回以上行い、低下させればよい。低分子量成分が多いと医療用器材が生体や薬品との接触により溶出する恐れがある。また、本発明に用いる樹脂のガラス転移温度(以下、Tgという)は100℃〜200℃程度である。
【0029】
本発明に用いるビニル化脂環状炭化水素系重合体又はその水素添加物は結晶性でも非晶性でもよい。結晶性の場合は、熱変形温度が高く、耐熱性に優れ、医療用途でのスチーム滅菌処理や電気絶縁材料用途でのハンダ付け処理などに有利となる反面、成形歪みを生じやすく、精密成形が困難である。非晶性の場合は、熱変形温度がTg以下であり、耐熱性に劣るが、精密射出成形が可能であり、電子部品処理用器材、特にウェハーキャリア等の用途に好適である。
【0030】
(添加剤)
本発明で用いられるビニル化脂環状炭化水素系重合体又はその水素添加物には、所望により、各種添加剤を添加してもよい。用いられる添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、ゴム質重合体、石油樹脂、異種熱可塑性樹脂などがある。また、成形性、物性などを改良する目的で、例えば、ガラスファイバー、カーボンファイバーなどの繊維状充填剤;シリカ、アルミナ、タルク、ガラスビーズ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの微粒子状充填剤; テトラキス〔2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート〕メタン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールなどのフェノール系、リン系などの酸化防止剤; カーボン、グラファイト、アルコール化合物、多価アルコールの部分エステル等の導電性付与剤、もしくは帯電防止剤; などが添加できるほか、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、難燃剤、顔料、染料、アンチブロッキング剤などを添加しても良い。一般に、重合体からの溶出をさけるため、これらの添加剤は、分子量の大きいものほど好ましく、また、添加量が少ないほど好ましい。なお、本発明に用いる樹脂にガラスファイバーやシリカ微粒子等の無機質充填剤を配合すると透明性が失われやすいが、特に結晶性の樹脂の場合は熱変形温度が高くなり、耐熱性が改善されるので好ましい。無機質充填剤の配合量は、樹脂100重量部に対し、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは5〜100重量部、特に好ましくは10〜50重量部である。
【0031】
溶液流延法でシートを形成する場合には、表面粗さを小さくするため、レベリング剤の添加してもよい。レベリング剤は、例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など、塗料用レベリング剤を用いることができ、それらの中でも溶媒との相溶性の良いものが好ましい。
【0032】
また、添加剤を添加する場合、目的に応じた範囲で添加する。例えば、添加剤を添加すると、一般に透明性が低下するが、薬品容器に成形する場合などには内容物の量や状態が確認できる程度の透明性が必要であり、そのため必要とされる光線透過率は、厚さ2mmの成形板を用いた場合の全光線透過率が、通常20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。電子部品処理用器材としても透明性に優れたものが好ましい。また、添加剤は電気特性にも影響する。電気絶縁材料として使用する場合には、体積固有抵抗値は1015Ωcm以上、誘電率は102Hz、106Hz、109Hzの周波数のいずれにおいても3以下、好ましくは2.5以下、誘電正接は102Hz、106Hz、109Hzの周波数のいずれにおいても10-3以下、好ましくは7×10-4以下である。
【0033】
(成形)
本発明のビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物の成形方法は、特に限定されない。重合体の融点やTg、使用目的、使用形状などに応じて成形方法を選択すればよい。例えば、射出成形法、プレス成形法、溶液流延法、ブロー成形法、インフレーション成形法、押し出し成形法などを用いることができる。
【0034】
(医療用器材)
本発明の医療用器材は、上記のようにして得たビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る。本発明で用いる重合体またはその水素添加物は、薬品、特に、アルコール類、アミン類、エステル類、アミド類、エーテル類、カルボン酸類、アミノ酸類などの極性基を有する薬品の吸着が少なく、また、樹脂中に不純物として含有している有機物などが染み出すことが少ないので、薬品と接触しても変質させることがない。さらに、細孔容積0.5cm3/g以上、好ましくは0.7cm3/g以上、また好ましくは比表面積250m2/g以上のマグネシア、活性アルミナ、または合成ゼオライトなどからなる吸着材で処理したり、樹脂溶液を酸性水と純水で繰り返し洗浄することにより、重合触媒由来の遷移金属原子などの残留量を下げ、これらの残留量を1ppm以下にすることができるので、医療用器材として用いることができる。
【0035】
本発明の医療用器材としては、注射用の液体薬品容器、アンプル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、固体薬品容器、点眼薬容器、点滴薬容器などの液体または粉体、固体の薬品容器; 食品容器; 血液検査用のサンプリング用試験管、採血管、検体容器などのサンプル容器; 注射器などの医療器具;メスや鉗子、ガーゼ、コンタクトレンズなど生体と接触する医療器具などの滅菌に用いる滅菌容器; ビーカー、シャーレ、フラスコ、試験管、遠心管などの実験・分析器具; 医療検査用プラスチックレンズなどの医療用光学部品; 医療用輸液チューブ、配管、継ぎ手、バルブなどの配管材料; 義歯床、人工心臓、人造歯根などの人工臓器やその部品; などが例示される。特に、長期に渡り、薬品、特に液体薬品を保存する薬ビン、プレフィルドシリンジ、密封された薬袋、アンプル、バイアル、点眼薬用容器などにおいては、従来の樹脂製のものに比較して、透明性、物理的性質などのほかに、樹脂から溶出する不純物等がなく、耐薬品性に優れ、また、薬品を吸着しないので、薬品の変質が少ないという好ましい性質を有する。
【0036】
本発明の電気絶縁材料は、上記のようにして得たビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る。本発明で用いる重合体またはその水素添加物は、電気絶縁材料として広範な分野において有用である。例えば、電線・ケーブル用被覆材料や、民生用・産業用電子機器、複写器・コンピューター・プリンター等のOA機器、計器類などの一般絶縁材料; 硬質プリント基板、フレキシブルプリント基板、多層プリント配線板などの回路基板、特に高周波特性が要求される、衛生通信機器用などの高周波回路基板; 液晶基板・光メモリー・自動車や航空機のデフロスタなどの面発熱体などの透明導電性フィルムの基材; トランジスタ・IC・LSI・LEDなどの半導体封止材や部品; モーター・コネクター・スイッチ・センサーなどの電気・電子部品の封止材料; テレビやビデオカメラなどのボディ材料; パラボラアンテナ・フラットアンテナ・レーダードームの構造部材; などに好適に用いることができる。
【0037】
本発明の電子部品処理用器材は、上記のようにして得たビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成るものである。本発明で用いる重合体またはその水素添加物、特に前述のような方法で遷移金属残渣を1ppm以下にしたものは、樹脂から溶出する不純物等が実質的になく、耐熱性などの物理的性質に優れ、また、電子部品処理用に用いられる多くの薬品、特に、硫酸を除くほとんどの強酸に対して耐性を有することから、電子部品処理用器材として、好ましい性質を有する。
【0038】
電子部品処理用器材とは、(A)IC、LSIなどの半導体やハイブリッドIC、液晶表示素子、発光ダイオードなどの電子部品と接触する器材、(B)ウェハ、液晶基板、これらに透明電極層や保護層などを積層したものなどの製造中間体と接触する器材、及び(C)電子部品の製造工程にいうて製造中間体の処理に用いる薬液や超純水などの処理液と接触する器材をいう。(A)電子部品と接触する器材、(B)電子部品の製造中間体と接触する器材としては、例えば、タンク、トレイ、キャリア、ケース等の処理用、および移送用容器; キャリアテープ、セパレーション・フィルム等の保護材; などが挙げられる。(C)処理液と接触する器材としては、例えば、パイプ、チューブ、バルブ、シッパー、流量計、フィルター、ポンプ等の配管類; サンプリング容器、レジスト容器、現像液容器、剥離液容器、洗浄液容器、ボトル、アンプル、バッグなどの液用容器類; などが挙げられる。
【0039】
【実施例】
以下に参考例、及び実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
【0040】
参考例1
スチレン120重量部、トルエン120重量部、重合触媒アゾイソブチロニトリル0.01重量部を窒素置換した反応容器内にいれ、撹拌しながら、80℃に加熱して、5時間反応させた。反応溶液を多量のメタノールに加えて重合体を析出させ、濾別し、1mmHgの減圧下で24時間保持して乾燥し、105重量部のポリスチレンを得た。25℃のトルエン中で測定した極限粘度は0.55dl/gであり、Tgは99℃であった。
【0041】
得られたポリスチレン100重量部をテトラヒドロフラン300重量部、シクロヘキサン300重量部の混合溶媒に溶解し、ケイソウ土担持ニッケル触媒(ニッケル35%担持)を10重量部加え、オートクレーブ中、200℃、水素圧50kg/cm2で5時間反応させた。反応終了後、濾過によりニッケル触媒を除去し、反応溶液を1000部のメタノールに撹拌しながら加えて重合体を析出させ、濾別し、5torr以下の減圧下で60℃に24時間保持して乾燥し、94部のポリスチレン水素添加物を得た。
【0042】
このポリスチレン水素添加物の極限粘度は0.55dl/gであり、1H−NMRから測定した芳香族炭化水素環の水素添加率は91%であり、Tgは130℃であった。また、ポリスチレン水素添加物の10重量%シクロヘキサン溶液を原子吸光分析した結果、ニッケル原子量が1.6ppm、アルミニウム原子量は2.22ppmであった。
【0043】
実施例1
参考例1で得たポリスチレン水素添加物97重量部を含むシクロヘキサン溶液800重量部を、活性アルミナ(水澤化学製、ネオビードD)4.5重量部を充填した内径10cm、長さ100cmのカラムに滞留時間100秒になるように通過させ、24時間循環させた。イソプロピルアルコール2500重量部中へ攪拌しながら注ぎ、ポリスチレン水素添加物を凝固させた。凝固したポリスチレン水素添加物を濾過して回収し、イソプロピルアルコール430重量部で2回洗浄した後、回転式減圧乾燥器中で5torr、100℃で48時間乾燥し、78重量部を回収した。
【0044】
このポリスチレン水素添加物は極限粘度、Tgは参考例1のものと差が認められなかったが、窒素中での熱重量分析法(昇温速度10℃/min)による熱分解温度(5%重量現象温度)は405℃、ニッケル原子量は0.1ppm(検出限界)以下、アルミニウム原子量は0.21ppm、分子量2000以下の樹脂成分は0.1%であった。
【0045】
実施例2
実施例1で得たポリスチレン水素添加物99.8重量部にゴム質重合体(旭化成社製タフテックH11052、ガラス転移温度0℃以下)0.2重量部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.05重量部を添加し、2軸混練機(東芝機械社製TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数250rpm、樹脂温度240℃、フィードレート10kg/時間)で混練し、押し出し、ペレットとした。
【0046】
実施例3
実施例2で得たペレットを用いて、射出成形(型締め圧350トン、樹脂温度260℃、金型温度100℃)し、直径200mm、高さ130mm、平均厚み3mmの円筒状の側面と一つの底面を有する透明な容器と100mm×50mm×2.0mmの試験片A25枚、外径18mm、内径14mm、長さ110mmの内容量10ml用の注射器シリンダー3本を作製した。
【0047】
試験片Aの全光線透過率を測定したところ90.5%で透明性は良好であった。また、濁度を測定したところ、0.1%であった。成形した容器の中に、LB培地(バクトトリプトン1重量%、イーストエクストラクト0.5重量%、NaCl1重量%、グルコース0.1重量%の水溶液をpH7.5に調整)300ml、寒天6g、試験片Aの一枚を入れ、アルミ箔でキャップして、オートクレーブで、121℃、30分のスチーム滅菌を行った。
【0048】
処理後、37℃に3日間保温したが、菌類の増殖は認められなかった。
【0049】
処理後の透明容器の外観は良好であり、目視で白濁、割れ、熱による変形は確認されなかった。容器から取り出した試験片Aから寒天により固化したLB培地を除去した後に測定した濁度は0.28%、また、全光線透過率は90.0%であった。
【0050】
また、試験片Aを1枚づつ、エタノール、70%硝酸、燐酸、フッ硝酸(フッ酸7重量%、硝酸42重量%、水51%)、37%塩酸、30%希硫酸、濃硫酸、30%過酸化水素水、水酸化カリウム飽和水溶液、29%アンモニア水、アセトン、イソプロピルアルコール、トリクロロエチレン、2.38重量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液、アルミニウム用エッチング液(濃リン酸80重量%、硝酸5重量%、氷酢酸5重量%、水10重量%)に5分間浸漬した。トリクロロエチレンに浸漬した試験片で膨張が認められ、濃硫酸に浸漬した試験片で表面が炭化したが、その他の薬品による影響は認められなかった。さらに37%塩酸、水酸化カリウム飽和水溶液、エタノールに48時間浸漬したが、影響は認められなかった。
【0051】
硬質ガラスフラスコに蒸留水200gを入れ、硬質ガラス製の蓋をして、オートクレーブで121℃、1時間のスチーム滅菌を行い、室温になるまで冷却した後、24時間静置して、蒸留水を回収した。
【0052】
さらに、試験片Aを蒸留水中で20分間超音波洗浄した後、40℃で10時間乾燥した。この試験片Aを10mm幅に切り、20gを硬質ガラスフラスコに入れ、蒸留水200gを加え、硬質ガラス製の蓋をして、オートクレーブで121℃、1時間のスチーム滅菌し、室温になるまで冷却した後、24時間静置して、蒸留水を回収した。
【0053】
この2種類の蒸留水の原子吸光法やイオンクロマトグラフィ、燃焼−非分散型赤外線ガス分析法などによる分析結果の差から、試験片からの溶出量を求めた結果、ニッケル原子溶出量は0.01ppm(検出限界)以下、アルミニウム原子溶出量は0.01ppm(検出限界)以下、全有機炭素量2ppm(検出限界)以下であった。
【0054】
上記試験片Aを日本薬局方第12改正「輸液用プラスチック試験法」に従い、溶出物試験を行った。泡立ちは3分以内に消失し、pH差は−0.04、紫外線吸収は0.006、過マンガン酸カリウム性還元物質0.13mlであった。
【0055】
注射器シリンダーを蒸留水中で20分間超音波洗浄した後、40℃で10時間乾燥した。この注射器シリンダー3本の先端部をテフロン(登録商標)製の栓で塞ぎ、先端部を下向きにしてホルダーに保持し、それぞれ、濃度800ppmのビタミンB2水溶液、濃度300ppmの塩酸メタンフェタミン水溶液、濃度1000ppmのトラネキサム酸水溶液を10ml入れ、後端部をテフロン(登録商標)製の栓で密栓した。常温で暗所に30日間静置した後、高速液体クロマトグラフィ分析の結果、ビタミンB2濃度は約790ppm、塩酸メタンフェタミン濃度は約290ppm、トラネキサム酸濃度は約980ppmであった。
【0056】
このことからこのペレットが医療用器材、電子部品処理用器材として優れた成形材料であることがわかる。
【0057】
実施例4
実施例1で得たペレットを用いて、射出成形(型締め圧350トン、樹脂温度260℃、金型温度100℃)し、直径100mm、厚さ1.2mmの円板10枚、127mm×12.7mm×4.0mmの試験片B20枚を作製した。
【0058】
この直径100mmの円板について、JIS K6911の方法にて体積固有抵抗、誘電率、誘電正接を、実施例1で得た試験片Bについて、ASTM−D−790の方法にて曲げ強度を測定した。曲げ強度は410kgf/cm2、体積固有抵抗は5×1016Ωcm以上、誘電率は102Hz、106Hz、109Hzの周波数のいずれにおいても2.37、誘電正接は102Hz、106Hz、109Hzの周波数のいずれにおいても5×10-4であった。
【0059】
このことから、このペレットが電気絶縁材料として優れた成形材料であることがわかる。
【0060】
実施例5
トルエン400重量部を窒素置換した反応容器内に入れ、攪拌しながら、(イソプロピリデン−9−フルオレニル−シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロライドの0.1重量%トルエン溶液20重量部およびAl原子換算で5.25重量%のメチルアルミノキサン(メチル基:Al=1.7:1)のトルエン溶液40重量部を加えた。25℃で20分間攪拌した後、25℃に保ったまま、4−ビニルシクロヘキセン100重量部を30分間に渡って、連続的に加え、さらに5時間反応させた。
【0061】
反応溶液にイソプロピルアルコール5重量部および水2重量部を加えた後、60℃で2時間攪拌した。25℃に冷却した後、攪拌しながら無水硫酸カルシウム粉末5重量部を加え、攪拌したまま2時間反応させた。反応溶液中の不溶物を、ケイソウ土を濾過床とした加圧濾過器で濾過して除去し、透明な反応溶液を得た。反応溶液を1500重量部のメタノール中に激しく攪拌しながら注いで重合体を析出させ、濾別し、5torr以下の減圧下、80℃で24時間乾燥して64重量部のポリ−4−ビニルシクロヘキセンを得た。
【0062】
このポリ−4−ビニルシクロヘキセン64重量部をシクロヘキサン600重量部に溶解し、実施例1と同様のカラムによる処理を行った。イソプロピルアルコール1800重量部中へ攪拌しながら注ぎ、重合体を析出させた。析出した重合体を濾別回収して、5torr以下の減圧下、100℃で48時間乾燥し、55重量部を得た。
【0063】
このポリ−4−ビニルシクロヘキセンは極限粘度0.61dl/g、Tgは135℃、融点は262℃、熱分解温度(5%重量減少温度)は420℃、ジルコニウム原子量は0.1ppm(検出限界)以下、アルミニウム原子は0.45ppm、分子量2000以下の樹脂成分は0.1%以下であった。
【0064】
実施例6
実施例5で得たポリ−4−ビニルシクロヘキセン50重量部に実施例2で使用したのと同じゴム質重合体0.1重量部、老化防止剤(イルガノックル1010、チバガイギー社製)0.2重量部およびメチルトリメトキシシランで表面処理した平均直径20μm、平均長さ6mmのガラスファイバー25重量部を添加し、実施例2で使用したのと同じ2軸混練機でスクリュー回転数200rpm、樹脂温度280℃、フィードレート10kg/時間の条件で混練し、押し出し、ペレットとした。
【0065】
実施例7
実施例6で得たペレットを用いて、射出成形(型締め圧350t、樹脂温度300℃、金型温度100℃)し、実施例3と同様の容器と試験片を作製し、同様の処理を行った。試験片Aの全光線透過率は、30.5%であった。
【0066】
スチーム滅菌後に菌の増殖、変形、割れなどは認められず、試験片Aの全光線透過率は、30.1%であった。
【0067】
また、薬剤への浸漬では、トリクロロエチレンに浸漬した試験片で膨張が認められ、濃硫酸に浸漬した試験片で表面が炭化したが、その他の薬品による影響は認められなかった。さらに37%塩酸、水酸化カリウム飽和水溶液、エタノールに48時間浸漬したが、影響は認められなかった。
【0068】
試験片Aの切片20gからのスチーム滅菌、24時間静置での溶出量はジルコニウム原子0.02ppm(検出限界)以下、アルミニウム原子溶出量は0.01ppm(検出限界)以下、全有機炭素量2ppm(検出限界)以下であった。
【0069】
また、溶出物試験では、泡立ちは3分以内に消失し、pH差は−0.05、紫外線吸収は0.007、過マンガン酸カリウム性還元物質0.09mlであった。
【0070】
このことからこのペレットが医療用器材、電子部品処理用器材として優れた成形材料であることがわかる。
【0071】
実施例8
実施例6のペレットを用いて、実施例4と同様に円板と試験片Bを作製して体積固有抵抗、誘電率、誘電正接を、ASTM−D−790の方法にて曲げ強度を測定した。曲げ強度は430kgf/cm2、体積固有抵抗は5×1016Ωcm以上、誘電率は102Hz、106Hz、109Hzの周波数でそれぞれ、2.93、2.81、2.80、誘電正接は102Hz、106Hz、109Hzの周波数でそれぞれ、0.004、0.001、0.001であった。
【0072】
また、実施例7で得た試験片Aを240℃のハンダに10秒間接触させても変化は認められなかった。
【0073】
このことから、このペレットが電気絶縁材料として優れた成形材料であることがわかる。
【0074】
【発明の効果】
本発明のビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る医療用器材は、接触する薬剤を変質させず、電気絶縁材料は電気絶縁性、高周波特性などに優れ、電子部品処理用器材は耐熱性、耐薬品性などに優れる。

Claims (5)

  1. 25℃のトルエン中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜20dl/g、分子量2000以下の樹脂成分含有量が1重量%以下、重合触媒及び水素添加触媒由来の遷移金属原子残留量が1ppm以下であるビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る成形材料。
  2. 25℃のトルエン中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜20dl/g、分子量2000以下の樹脂成分含有量が1重量%以下、重合触媒及び水素添加触媒由来の遷移金属原子残留量が1ppm以下であるビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る医療用器材。
  3. 25℃のトルエン中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜20dl/g、分子量2000以下の樹脂成分含有量が1重量%以下、重合触媒及び水素添加触媒由来の遷移金属原子残留量が1ppm以下であるビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る電気絶縁材料。
  4. 25℃のトルエン中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜20dl/g、分子量2000以下の樹脂成分含有量が1重量%以下、重合触媒及び水素添加触媒由来の遷移金属原子残留量が1ppm以下であるビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物から成る、(A)電子部品と接触する器材、(B)電子部品の製造中間体と接触する器材および(C)該製造中間体の処理に用いる処理液と接触する器材から選ばれる少なくとも一つの電子部品処理用器材。
  5. ビニル化環状炭化水素系単量体を含む単量体を重合し、次いで、得られた重合体の不飽和結合を水素添加し、さらにマグネシア、活性アルミナ又は合成ゼオライトからなる吸着材で処理して、25℃のトルエン中で測定した極限粘度〔η〕が0.1〜20dl/g、分子量2000以下の樹脂成分含有量が1重量%以下、重合触媒及び水素添加触媒由来の遷移金属原子残留量が1ppm以下であるビニル化脂環状炭化水素系重合体またはその水素添加物からなる成形材料を製造する方法。
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