JP3995843B2 - チタンハニカムの製造方法 - Google Patents

チタンハニカムの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3995843B2
JP3995843B2 JP24258599A JP24258599A JP3995843B2 JP 3995843 B2 JP3995843 B2 JP 3995843B2 JP 24258599 A JP24258599 A JP 24258599A JP 24258599 A JP24258599 A JP 24258599A JP 3995843 B2 JP3995843 B2 JP 3995843B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
release agent
base material
titanium
binder
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP24258599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001062536A (ja
Inventor
克憲 松岡
順 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Aircraft Industry Co Ltd
Original Assignee
Showa Aircraft Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Aircraft Industry Co Ltd filed Critical Showa Aircraft Industry Co Ltd
Priority to JP24258599A priority Critical patent/JP3995843B2/ja
Publication of JP2001062536A publication Critical patent/JP2001062536A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3995843B2 publication Critical patent/JP3995843B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタンハニカムの製造方法に関する。すなわち、チタンTiやチタンTi合金を母材とした、中空柱状のセルの平面的集合体よりなる、チタンハニカムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
まず、技術的背景について詳述する。セル壁にて区画形成された中空柱状のセルの平面的集合体よりなるハニカムコアは、重量比強度に優れるのを始め種々の優れた特性を備え、各種の構造材として広く用いられている。
ハニカムコアのセル壁の母材としては、用途に応じ、金属,プラスチック,紙等が用いられるが、金属としては、ステンレスやアルミAl合金が代表的であるが、最近は、チタンTiやチタンTi合金の採用も進展しつつある。周知のごとく、チタンTiやチタンTi合金は、強度,耐熱性,耐食性,軽量性等々に極めて優れる、という優れた基本性能を備えている。
【0003】
次に、ハニカムコアの製造方法としては、展張方式とコルゲート方式が一般的である。展張方式では、まず、箔状の母材に条線状に接着剤やろう材を塗布した後、多数枚を半ピッチずつずれた位置関係でブロック状に重積し、次に、加圧,加熱して母材間を条線状に接着やろう付けしてから、重積方向に引張力を加えて展張することにより、ハニカムコアを製造していた。
コルゲート方式では、箔状の母材を波板にコルゲート成形した後、成形された多数枚の波板を半ピッチずつずらせ、谷部と頂部とを合わせる位置関係で重積すると共に、相互間を接着剤やろう材にて、条線状に接着やろう付けすることにより、ハニカムコアを製造していた。
【0004】
さて上述したように、ハニカムコアの製造方法では、展張方式およびコルゲート方式共に、従来は、条線状の接合対象部の接合に、接着剤やろう材が用いられていた。
しかしながら、接着剤は耐熱温度が低く(一般的には300℃以下)、接合強度も弱いので、チタンTiやチタンTi合金を母材としたハニカムコアの製造に際し、接着剤を用いて接着を行うと、製造されたハニカムコアについて、母材の優れた基本性能が生かされなくなり、高温強度や耐熱性に難点が生じる。
【0005】
他方、ろう材は、例えば1000℃程度の所定温度でろう付けされるので、ある程度の高温強度や耐熱性は期待できるものの、所定温度以上では溶融してしまう。そこで、チタンTiやチタンTi合金を母材としたハニカムコアの製造に際し、ろう材を用いてろう付けを行うと、製造されたハニカムコアについて、母材の優れた基本性能が生かされなくなることが多々あり、高温強度や耐熱性に限界が指摘されていた。
更に、ろう付け時の加圧,加熱により、母材たるチタンTiやチタンTi合金がろう材にて浸食され、表面に剥離,穴等が形成されるエロージョン現象が発生しやすい、という指摘もあった。又、母材たるチタンTiやチタンTi合金と、ろう材との間に、両者が溶融,反応した固くて脆い金属間化合物が生成されやすい、という指摘もあった。
母材としてチタンTiやチタンTi合金を用いると共に、接着剤やろう材を用いてハニカムコアを製造すると、このように、ハニカムコアの特性や母材の基本性能が生かされにくくなる、という難点,限界が生じていた。技術的背景については、以上の通り。
【0006】
さて、このような技術的背景のもと、拡散接合を利用したチタンハニカムの製造方法が、開発されつつある。すなわち、チタンTiやチタンTi合金を用いた母材について、条線状の接合対象部を接合する際、接着剤やろう材を一切用いず、拡散接合にて直接的に接合する、チタンハニカムの製造方法が最近開発されつつある。
この製造方法によると、母材間が同一組成にて直接接合され、接着剤やろう材が一切介在しないので、製造されたハニカムコアは、母材たるチタンTiやチタンTi合金の基本性能がそのまま生かされ、強度,耐熱性,耐食性等に優れると共に、重量比強度に優れるというハニカムコアの特性も生かされる。
ところで、このチタンハニカムの製造方法は、展張方式に適用され、コルゲート方式には適用されない。すなわち、拡散接合を行うためには、母材間を、加熱すると共に高圧にて加圧することが必要であり、展張方式では、重積された平坦な箔状の母材を上下から加圧するので、母材が加圧力に耐えることができるが、コルゲート方式では、コルゲート成形され重積された箔状の母材つまり波板を、拡散接合のために上下から加圧することになり、これでは、波板たる母材が加圧力に耐えることができない。
【0007】
さて、この最近開発された拡散接合を利用した製造方法により、チタンTiやチタンTi合金を母材とし展張方式によりハニカムコアを製造する際は、離型剤が必須的に使用される。
すなわち、このチタンハニカムの製造方法では、まず、箔状の母材に離型剤が、条線状に地肌を残しつつ塗布される。つまり、母材を地肌間にて条線状に拡散接合するのに先立ち、拡散接合対象部以外の非接合部について、予め、離型剤を塗布して覆っておき拡散接合されないようにしておくこと、が必要となる。
それから、塗布された離型剤を乾燥した後、母材を半ピッチずつずらしつつブロック状に重積してから、真空炉内で加圧,加熱することにより、拡散接合対象部たる露出,接触した地肌間にて、条線状に拡散接合が行われる。しかる後、重積方向に引張力を加え、離型剤にて覆われていた非接合部を展張することにより、母材をセル壁としたハニカムコアが製造される。製造されたハニカムコアは、事後に洗浄され、残存していた離型剤の離型粉末等が除去される。
【0008】
拡散接合を利用した展張方式によるチタンハニカムの製造方法では、このように、離型剤が使用されていた。そして、この離型剤は、離型効果を発揮する離型粉末と共に、離型粉末を塗布可能にして母材に固定するバインダー、を必須的に含有していた。
(離型剤=離型粉末+バインダー)
そして従来、このような離型剤のバインダーとしては、作業性の面から紫外線(UV)硬化型樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられていた。又、この離型剤のバインダーは、真空炉内における母材間の拡散接合に際し、加圧,加熱により、熱分解,揮発,蒸発してガス化,消失するか、灰化し灰となって残留する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この最近開発されたチタンハニカムの製造方法にあっては、従来、次の問題が指摘されていた。
第1に、チタンTiやチタンTi合金は、高温での反応性に富んだ活性金属であり、拡散接合に際し加圧,加熱されると、離型剤中のバインダーと反応する危険がある。
つまり、母材として用いられたチタンTiやチタンTi合金は、350℃以上の温度では、炭素C,水素H,窒素N,酸素O等の軽元素と、反応しやすくなる。そこで拡散接合に際し、塗布により母材に接触していた離型剤中のバインダー、つまり紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化性樹脂が、加圧,加熱により熱分解,揮発,蒸発し、もってガス化したガス成分中に含まれる軽元素が、チタンTiやチタンTi合金よりなる母材の表層部と反応して、硬くて脆い窒化チタンTiNその他の化合物を生成しやすい、という問題が指摘されていた。
【0010】
すなわち従来、離型剤のバインダーとして用いられた紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化性樹脂は、母材たるチタンTiやチタンTi合金を拡散接合するための加圧,加熱により、熱分解,揮発,蒸発してガス化し、残りが灰化する。
そしてまず、紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化性樹脂は、熱分解,揮発,蒸発に際して、発生するガス量が極めて多量であり、例え350℃未満でガス化しても、そのガス成分は、ブロック状に重積された母材間に残留して、350℃以上となる。又、紫外線(UV)硬化型樹脂や熱硬化性樹脂は、350℃未満で熱分解,揮発,蒸発してガス化するより、350℃以上で熱分解,揮発,蒸発してガス化する量の方が多い。つまり、熱分解が遅れがちとなる。
そこで、拡散接合に際し真空炉内が加熱され350℃以上に達すると、ブロック状に重積されて加圧されるチタンTiやチタンTi合金よりなる母材の表層部と、塗布されていた離型剤中のバインダーが熱分解したガス成分中の軽元素と、が反応する。そして、母材の表層部に硬くて脆い化合物を生成し、脆化層が形成される。つまり、母材本来の引張強度が変化し、破断伸び量が大きく低下する。
このように、この種従来例では、第1に、拡散接合に際し離型剤中のバインダーが、チタンTiやチタンTi合金よりなる母材と反応して、化合物を生成してしまう、という問題が指摘されていた。
【0011】
第2に、そこで展張に支障が生じたり、事後の離型剤の洗浄,除去が困難化したり、製造されたハニカムコアの耐食性等が低下する、等々の問題も指摘されていた。すなわち拡散接合に際し、上述した第1の点で述べたように、ブロック状に重積されたチタンTiやチタンTi合金よりなる母材の表層部に、硬くて脆い化合物,脆化層が生成,形成され、破断伸び量が大きく低下する。
【0012】
そこで、次に行われる展張に際し、ブロック状に重積されると共に条線状に拡散接合された母材に引張力を加えると、このように生成されていた脆化層に起因して、母材に切損,割れ等の損傷が生じることがあった。又、硬化そして伸び不足に起因して、母材の展張自体が困難化することもあった。
更に、次に行われる製造されたハニカムコアの洗浄に際し、残存していた離型剤の離型粉末が、母材つまりセル壁の表層部に生成されていた化合物,脆化層に起因して、母材から離れにくく付着したようになり、洗浄による除去が非常に困難化することもあった。これに加え、離型剤中のバインダーは熱分解,揮発,蒸発してガス化,消失するが、残りは灰となって残留するので、このように残留した灰が、洗浄,除去を一段と困難化させていた。
更に、製造されたハニカムコアについて、事後の耐食性等が低下する、という指摘もあった。つまり、母材つまりセル壁の表層部に生成された化合物,脆化層に起因して、耐食性等が低下し、脆化,高温酸化,粒界腐食等が発生しやすく、ハニカムコアの品質上問題が生じることもあった。
【0013】
本発明は、このような実情に鑑み、この最近開発された拡散接合による展張方式のチタンハニカムの製造方法における、この種従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして、3A族元素の酸化物の粉末よりなる離型粉末と、ポリビニル系樹脂よりなるバインダーと、溶剤とを含有してなる離型剤を、所定のごとく組み合わせて採用したことにより、第1に、拡散接合に際し母材と離型剤との反応が抑えられ、第2に、もって展張が支障なく行われ、離型剤の洗浄,除去も容易化され、製造されたハニカムコアの耐食性等も維持されるようになり、第3に、溶剤の乾燥,揮発,蒸発が順調に行われると共に、その際、離型粉末の飛散,斑の発生も抑えられる、チタンハニカムコアの製造方法を提案することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。すなわち、このチタンハニカムの製造方法では、まず、350℃以上の高温での反応性に富んだ活性金属である箔状の純チタンやチタン合金を母材とし、該母材に離型剤を、条線状に地肌を残しつつ塗布して乾燥させる。次に、複数枚の該母材を、該離型剤間に条線状に残されて露出した地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積してから、加圧,加熱することにより、該母材間を、接触した該地肌間にて条線状に拡散接合させる。それから、重積方向に引張力を加えて展張することにより、該母材をセル壁とし、該セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体たる、ハニカムコアを得る。
そして、このようなチタンハニカムの製造方法において、該離型剤としては、5重量%以上で60重量%以下よりなり、周期表の3A族元素の酸化物の粉末が用いられた離型粉末と、1重量%以上で40重量%以下よりなり、ポリビニル系樹脂が用いられたバインダーと、30重量%以上で94重量%以下よりなる溶剤と、を含有したものが用いられている。
そして、該離型剤の該バインダーは、300℃から350℃の熱分解温度域で熱分解,揮発,蒸発してしまうポリビニル系樹脂よりなる。又、該離型剤の該溶剤は、沸点が100℃以上で300℃以下よりなると共に、相互の沸点が20℃以上異なる2種類以上のものが混合された混合溶剤よりなる。
【0015】
そして、塗布された該離型剤中の該溶剤は、前記乾燥工程で乾燥されることにより、揮発,蒸発,消失する。これと共に、該乾燥時の該溶剤の揮発,蒸発は、沸点が異なる混合溶剤よりなることにより揮発,蒸発の温度範囲が広く、徐々に段階的に緩慢なスピードで行われ、もって、一度に一気に揮発,蒸発してしまうことがなく、該離型剤の離型粉末の飛散,斑の発生が抑えられる。
又、塗布された該離型剤中の該バインダーは、前記拡散接合工程当初の初期段階において、300℃から350℃の熱分解温度域での加圧,加熱により、熱分解,揮発,蒸発,消失する。これと共にその際、加熱昇温中の該初期段階においては、加熱温度が、該熱分解温度域にてそのまま一旦保持されることにより、該バインダーの熱分解,揮発,蒸発,消失が一段と促進される。なお事後、更に加熱を進め温度が上昇することにより、該母材間の拡散接合が開始されるようになり、
かつ、該離型剤中の該バインダーは、100重量%完全ケン化に至らず部分ケン化度が80重量%以下と、生成反応が未完成な部分ケン化のものが用いられている。もって該バインダーは、熱分解,揮発,蒸発に際し、まず、より不安定な状態にある未ケン化部分が、先に熱分解,揮発,蒸発し、次に、完全ケン化部分が熱分解,揮発,蒸発し、結局、未ケン化部分と完全ケン化部分とで部分的に熱分解,揮発,蒸発温度が異なるので、これらの温度範囲が広がって、該バインダーは熱分解,揮発,蒸発が、一段と容易化し促進され時間短縮されること、を特徴とする。
【0016】
本発明のチタンハニカムの製造方法は、このようになっているので、次のようになる。
第1に、拡散接合に際し、母材と離型剤との反応は抑えられる。すなわち、母材の純チタンやチタン合金は、350℃以上の高温での反応性に富んだ活性金属である。
そこで、このチタンハニカムの製造方法では、離型剤について、まずa.離型粉末として、熱力学的に安定している3A族元素の酸化物の粉末を用いてなる。
b.バインダーとして、300℃から350℃の熱分解温度域で熱分解,揮発,蒸発してしまうポリビニル系樹脂を用いてなる。
c.そして、このバインダーは、拡散接合当初の初期段階において、300℃から350℃の熱分解温度域での加圧,加熱により、しかも、この熱分解温度域で一旦保持されることにより、熱分解,揮発,蒸発が促進され、ほとんど熱分解,揮発,蒸発してしまう。そしてそれから、その後の加熱,温度上昇により、母材間の拡散接合が開始されることになる。
d.しかも、このバインダーは、部分ケン化度が80重量%以下の部分ケン化のものが採用されている。そこで、まず未ケン化部分が次に完全ケン化部分が、熱分解,揮発,蒸発するようになり、もって熱分解,揮発,蒸発温度範囲が部分的に異なり広がるので、その分、熱分解,揮発,蒸発が一段と促進され時間も短縮される。
e.更にバインダーを多量の溶剤で希釈し、バインダー濃度を低減してなる。
これらa,b,c,d,eの組み合わせにより、母材間の拡散接合に際し、塗布された離型剤の離型粉末やバインダーが、加圧,加熱により、純チタンやチタン合金よりなる母材の表層部と反応して、硬くて脆い化合物,脆化層を生成,形成してしまうことは、回避される。すなわち、離型剤において、溶剤は勿論のことバインダーは既に消失しており、母材と反応することは回避され、残っている離型粉末は、母材とは反応しない。
【0017】
第2に、もって展張が支障なく行われ、離型剤の洗浄,除去も容易化され、製造されたハニカムコアの耐食性等も維持される。すなわち、このチタンハニカムの製造方法では、拡散接合に際し上述した第1のように、純チタンやチタン合金よりなる母材の表層部について、硬くて脆い化合物,脆化層の生成,形成は回避される。
そこでa.展張すべく母材に引張力を加えても、母材は支障なく展張される。つまり、引張力を加えた場合に、母材に切損,割れ等の損傷が生じたり母材の展張自体が困難化することは、回避される。
又b.母材の表層部について、化合物,脆化層の生成,形成が回避されるので、製造されたハニカムコアについて実施される洗浄により、残存していた離型剤の離型粉末は、困難化することなく簡単容易に除去される。これに加え、離型剤中の溶剤は、乾燥時に揮発,蒸発,消失してしまい、離型剤中のバインダーは、拡散接合の初期段階の加圧,加熱により熱分解,揮発,蒸発,消失してしまい、残留することが無いので、洗浄に際し離型剤として残存するのは離型粉末のみであり、この面からも洗浄,除去が簡単容易化される。
更にc.製造されたハニカムコアについて、母材つまりセル壁の表層部に化合物,脆化層が生成,形成されないので、耐食性等が低下すること無く維持され、もって、製造されたハニカムコアについて、脆化,高温酸化,粒界腐食等の発生も回避される。
第3に、溶剤の乾燥,揮発,蒸発が順調に行われると共に、離型粉末の飛散,斑の発生も抑えられる。すなわち、この製造方法では、離型剤の溶剤として沸点が100℃以上のものを用いてなるので、塗布時に溶剤が乾燥,揮発,蒸発しないと共に、溶剤の沸点が300℃以下なので、その後の乾燥により容易に揮発,蒸発,消失してしまう等、作業性に優れている。
そして、この溶剤は、沸点が20℃以上異なる2種類以上の混合溶剤よりなるので、揮発,蒸発は、徐々に段階的に緩慢なスピードで行われる。もしも溶剤が一度に一気に揮発,蒸発すると、離型剤の塗布膜について、離型粉末の飛散,斑により気泡,空孔,亀裂等の破損が発生し、母材からの剥離,脱落の危険すらあるが、これらは確実に回避される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図2,図3,図4は、本発明の実施の形態の説明に供する。
そして、図1は斜視説明図であり、(1)図は準備された母材を、(2)図は離型剤を塗布した状態を、(3)図は重積する状態を、(4)図は拡散接合した状態を、(5)図はスライスする状態を、それぞれ示す。
図2は斜視説明図であり、(1)図は展張した状態を、(2)図はトリミングした状態を、(3)図は得られたハニカムコアの要部を、それぞれ示す。図3は正面拡大図であり、(1)図は離型剤を塗布した状態を、(2)図は拡散接合時の状態を示す。図4は要部の正面説明図であり、(1)図は、母材間が拡散接合される前の状態を、(2)図は、母材間が拡散接合される直前の状態を、(3)図は、母材間が拡散接合された後の状態を示す。
【0019】
最初に、離型剤1について詳細に説明する。
本発明に係るチタンハニカムの製造方法では、次のような離型剤1が採用されている。すなわち、この離型剤1は、母材2たる箔状のチタンTiやチタンTi合金を拡散接合する際に、非接合部3を設定すべく、予め塗布して使用される(図1の(2)図,図3の(1)図を参照)。
そして、この離型剤1は、離型粉末とバインダーと溶剤とを、必須的に含有してなり、更に、その他として分散剤や消泡材が、適宜必要に応じ含有せしめられる。
(離型剤1=離型粉末+バインダー+溶剤+その他)
【0020】
まず、離型剤1の離型粉末について述べる。離型粉末は、母材2たるチタンTiやチタンTi合金と反応性が少なく、母材2間の離型効果に優れたものが選択使用される。つまり、母材2たるチタンTiやチタンTi合金相互間の拡散接合を防止すべく使用される。
そして、この離型粉末としては、周期表(長周期表)の3A族元素の酸化物の粉末が用いられる。すなわち、元素の中でも3A族元素、例えばスカンジウムSc,イットリウムY,ランタノイド元素La〜Lu,アクチノイド元素Ac〜Lrは、その標準生成自由エネルギーが低く熱力学的に安定している。又、元素の化合物、例えば窒化物,酸化物,硫化物,塩化物,炭化物等々の中で、酸化物は、その標準生成自由エネルギーが低く熱力学的に安定している。
従って、離型粉末としては3A族元素の酸化物の粉末、例えばセリアCe,イットリアY,トリアThO等の粉末が選択使用され、特にイットリアYの粉末は、セラミック材料,電子部品,その他各種用途に広く使用されており、コスト的に最も適している。そして、イットリアY等の3A族元素の酸化物は、チタンTiやチタンTi合金よりなる母材2の拡散接合に際し、700℃から1000℃程度の加熱により、還元そして母材2と反応しないのは勿論のこと、事後、例えば1000℃以上の高温環境下でも母材2と反応することはない。
【0021】
この離型剤1では、このように離型粉末として、3A族元素の酸化物の粉末が使用される。そして、この離型粉末は、5重量%以上で60重量%以下含有されると共に、粒径が10μm以下のものが好ましく、例えば粒径1μm程度のものが用いられる。まず、この離型粉末の粒径は10μm以下が好ましく、もしも10μmを越えると、その粒径の大きさが支障となって離型剤1を薄く塗布できなくなるおそれがある。
又、この離型粉末は、離型剤1中に最低5重量%以上の割合で含有され、もしも含有率が5重量%未満だと、離型剤1としての離型効果が不足する。更に、この離型粉末は、離型剤1中に最高60重量%以下の割合で含有され、もしも含有率が60重量%を越えると、離型粉末が多過ぎて、離型剤1としての液状化,ペースト状化,調製が困難化すると共に、離型剤1として薄く塗布することが困難化する。この離型剤1は、このような離型粉末を、必須的に含有している。
【0022】
次に、離型剤1のバインダーについて述べる。バインダーは、上述した離型粉末を離型剤1として塗布可能とするため、そして、離型剤1として塗布された後に、離型粉末が母材2から剥離,脱落しないよう接着固定すべく、糊として用いられる。
このバインダーとしては、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、その中でも本発明では、ポリビニル系樹脂が用いられている。熱可塑性樹脂特にポリビニル系樹脂は、350℃未満程度の低温加熱によって、比較的容易に熱分解,揮発,蒸発,消失しやすいことが知られている。
すなわちポリビニル系樹脂は、真空炉内等における350℃未満の加熱によって、大部分が熱分解して揮発,蒸気し、ガス化して消失してしまい、熱分解が遅れ、350℃以上の加熱に際し未分解のまま残っていることは少ない。又、このように350℃未満の加熱により、ほとんど熱分解,揮発,蒸発,ガス化,消失してしまい、灰化し灰となって残留することも少ない。
【0023】
このようにバインダーとして用いられるポリビニル系樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVAC)やポリビニルアセタール、そしてポリビニルアルコール(PVA,PVAL),ポリビニルホルマール(PVF),ポリビニルエタノール,ポリビニルプロパノール,ポリビニルブチラール(PVB),ポリビニルベンザール、更には、ポリビニルエーテル(ポリビニルメチルエーテル,ポリビニルエチルエーテル,ポリビニルイソブチルエーテル)、等が代表的である。そしてこれらは、適宜バインダーとして選択使用されるが、いずれも水を含む1種類以上の溶剤に可溶であり、このような溶剤に溶解,希釈して使用される。
又、これらのポリビニル系樹脂の中でも、ポリビニルブチラール(PVB)のように、特に熱分解,揮発,蒸発しやすく、350℃未満の加熱により、ほぼ完全に熱分解,揮発,蒸発してしまうものが、このバインダーとして特に適している。なお、ポリビニル系樹脂ではあるが、塩化ビニル樹脂は、加熱により熱分解した際、人体に有害な物質である塩素を含む化合物が生じやすいので、この離型剤1のバインダーとしては使用されない。
【0024】
ところで、このようにバインダーとして用いられるポリビニル系樹脂は、勿論、完全ケン化(鹸化)されたものも考えられるが、部分ケン化(鹸化)されたものを使用すると更に好適であり、本発明では部分ケン化されたものが採用されている。
すなわち、100重量%完全ケン化に至らず部分ケン化度が80重量%以下と、生成反応が未完成な部分ケン化のものを用いられているので、熱分解,揮発,蒸発が、一段と容易化し促進されるようになる。つまり、部分ケン化のものでは、まず未ケン化部分が、より不安定な状態にあるので極めて容易に熱分解,揮発,蒸発しやすく、先に熱分解,揮発,蒸発し、それから次に完全ケン化部分が、熱分解,揮発,蒸発するようになる。
このように、部分ケン化されたポリビニル系樹脂では、未ケン化部分と完全ケン化部分とで部分的に熱分解,揮発,蒸発温度が異なり、これらの温度範囲が広くなるが、同じ機能は、熱分解,揮発,蒸発温度が異なる2種類以上のポリビニル系樹脂を混ぜて使用すること、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)とポリビニルブチラール(PVB)との混合バインダーを使用することによっても、達成される。勿論、これに加え更に、上述した部分ケン化のものを併用するようにしてもよい。
いずれにしても,このように部分ケン化度が80重量%以下のものを用いた場合には、部分ケン化度が80重量%を超えたものを用いた場合に比べ、熱分解,揮発,蒸発時間が短縮される。
【0025】
なお、重合度については、例えば重合度400以上で800以下程度が好ましい。ポリビニル系樹脂例えばポリビニルブチラール(PVB)をバインダーとして用いた場合、重合度400未満では、バインダーとしての接着固定効果が不足し、重合度800を越えると、粘度が高くなり過ぎ、離型剤1としてのペースト状化,調製が困難化する。
【0026】
この離型剤1では、このようなバインダーが使用される。そして、このポリビニル系樹脂よりなるバインダーは、離型剤1中に、1重量%以上で40重量%以下の割合で含有される。
つまり、バインダー・糊としての機能を発揮するため、最低1重量%以上必須的に含有されると共に、最高40重量%以下含有され、40重量%を越える高濃度の場合は、溶剤で希釈しても熱分解,揮発,蒸発が遅れる事態が発生したり、熱分解,揮発,蒸発により発生するガス量が過多となる。この離型剤1は、このようなバインダーを、必須的に含有している。
【0027】
次に、離型剤1の溶剤について述べる。溶剤は、上述したバインダーを溶かして液状化したり薄めるために、つまり溶解,希釈するために用いられる。そして、この溶剤は、バインダーがポリビニル系樹脂よりなり粉末状をなすので、離型剤1として塗布可能な粘度を得べく必須的に使用されると共に、更なる粘度の調整や更なる希釈を目的として使用され、用いられるポリビニル系樹脂の種類に適したものが選択使用される。
この溶剤としては、ポリビニル系樹脂よりなるバインダーに溶解しやすい、ケトン系の例えばイソホロン,N-メチル2-ピロリドン(NMP)等、芳香族系の例えばキシレン,シクロヘキサン等、アルコール類の例えばエタノール,メタノール,エチレングリコール,ジエチレングリコール,トリエチレングリコール,デカノール,トリデカノール、等々が適宜選択使用される。水もこの溶剤として使用可能である。勿論、バインダーは、用いられた溶剤に可溶なものが選択使用される。
【0028】
そして、この溶剤は、バインダーを大幅に希釈する目的と、離型剤1の塗布厚T(図3を参照)を極薄化する目的のため、離型剤1中に多量に含有せしめられている。
すなわち溶剤は、離型剤1中に、30重量%以上で94重量%以下の割合で含有されている。最低でも30重量%以上含有されることが必要であり、もしも含有率30重量%未満だと、離型剤1として塗布可能な粘度が得られなくなる。又、最高で94重量%以下(前述した離型粉末の含有率5重量%以下と、バインダーの含有率1重量%以上に対応)、含有される。
このように、この離型剤1は、5重量%以上で60重量%以下の離型粉末と、1重量%以上で40重量%以下のバインダーと、30重量%以上で94重量%以下の溶剤と、を含有してなる。なお、離型粉末とバインダーとの合計含有率は、70重量%未満に設定される(溶剤の30重量%以上に対応)。このように、この離型剤1では、バインダーの接着固定効果が損なわれない程度に、バインダーが多量の溶剤にて希釈されており、バインダーの絶対量が低下せしめられている。
【0029】
ところで、離型剤1塗布時の溶剤の乾燥,揮発,蒸発防止の目的と、事後の乾燥時の揮発,蒸発スピードの緩慢化の目的のため、溶剤として、沸点が100℃以上で300℃以下であると共に、相互に沸点が異なる2種類以上が混ぜ合わされた混合溶剤、を用いる構成が採用されている。
この場合、沸点(VP)が100℃から300℃と高沸点の溶剤としては、ケトン系では、例えばイソホロン(VP≒215℃),N-メチル-2-ピロリドン(NMP)(VP≒204℃)等、芳香族系では、例えばシクロヘキサン(VP≒156℃)等、アルコール類では、例えばエチレングリコール(VP≒197℃),ジエチレングリコール(VP≒244℃),トリエチレングリコール(VP≒287℃),デカノール(VP≒230℃),トリデカノール(VP≒253℃)、等々が代表的であり、適宜選択使用される。勿論、水も使用可能である。
沸点が100℃未満の溶剤では、塗布作業時の乾燥,揮発,蒸発防止の上記目的が達成困難となり、沸点が300℃を越える溶剤では、事後の乾燥による揮発,蒸発に高温を要し面倒となり、拡散接合との絡みでも好ましくない。
そして、このように沸点が100℃以上で300℃以下である高沸点の溶剤について、2種類以上のものが選択,混合される。その際、それぞれの溶剤の沸点が20℃以上異なるものを選択することが、乾燥時の揮発,蒸発スピードの段階的な緩慢化の上記目的上、特に好ましい。このように、高沸点の混合溶剤を用いる構成が考えられる。この離型剤1は、このような溶剤を、必須的に含有してなる。
【0030】
離型剤1は、このように3A族元素の酸化物の粉末よりなる離型粉末と、ポリビニル系樹脂よりなるバインダーと、溶剤と、を含有してなる。組合わせ例としては、例えば、離型粉末たるイットリアY+バインダーたるポリビニルアルコール(PVA)+溶剤たる水や、例えば、離型粉末たるイットリアY+バインダーたるポリビニルブチラール(PVB)+溶剤たるイソホロン+溶剤たるシクロヘキサン、等がある。
なお、離型剤1については、更に必要に応じ適宜、分散剤や消泡材が含有せしめられる。分散剤は、離型剤1中の離型粉末が相互に凝集,結合,固化しないように混入され、消泡材は、離型剤1塗布時の泡立ちを防止すべく混入される。
このような分散剤や消泡材としては、例えばメタノール等の有機溶剤が用いられ、ケイ素Si等を含有した無機溶剤は用いない。すなわち、無機系元素を含有した分散剤や消泡剤は、後述する拡散接合のための加圧,加熱時に350℃以上の温度でも残り、高温での反応性に富んだ母材2のチタンTiやチタンTi合金と反応して、硬くて脆い化合物,脆化層を生成,形成してしまい、各種の問題を発生させるので、用いられない。なお、この分散剤や消泡剤は、離型剤1中に0重量%以上で10重量%以下の割合で、含有される。
【0031】
さて離型剤1は、上述したように離型粉末,バインダー,溶剤,その他の分散剤,消泡材等を、前述した所定の含有率に基づき、配合,調合してなる。
(離型剤1=離型粉末+バインダー+溶剤+その他)
すなわち、溶剤で溶解,希釈されたバインダー中に、離型粉末を混合,分散させることにより、離型剤1は配合,調合される。その際、次に述べる塗布方式に応じ、その塗布方式に最適な粘度を得るため必要な場合は、離型粉末や溶剤の含有率が調整され、離型剤1としての粘度が調整される。いずれにしても離型剤1は、ある程度の粘性を備えた液状又はペースト状をなすが、エマルジョン化していても良い。
【0032】
ここで、離型剤1の塗布方式について述べておく。離型剤1の母材2への塗布は、塗装方式や印刷方式にて行われる。
塗装方式は、予め条線状の拡散接合対象部4を、それぞれマスキングしておいてから、スプレーや浸漬・ディッピング等にて、離型剤1を非接合部3に対して塗装,塗布した後、マスキングを除去することにより行われる。
印刷方式としては、スクリーン印刷等の孔版印刷や、転写ロール印刷等の凹版印刷や、凸版印刷等が、利用される。スクリーン印刷は、母材2を所定長さに切断した後に行うのに適しているが、勿論、ロール・ツー・ロールにて行うこと(切断前の帯状の母材2をロール間にて流しつつ印刷すること)も可能であり、転写ロール印刷は、ロール・ツー・ロールの印刷に適している。
このような塗装方式や印刷方式等の塗布方式により、離型剤1が母材2に対し、条線状に地肌5を残しつつ、塗布される(図1の(2)図や図3の(1)図を参照)。そして、母材2に対する離型剤1の塗布厚T(図3を参照)は、いずれの塗布方式によっても、実際上従来は、塗布時において30μm程度が一般的に制御可能な限界値とされていたが、理論上、拡散接合時における離型効果の面からは、最低1μm以上は必要である。離型剤1の塗布は、このように行われる。
離型剤1は、以上詳細に説明した構成よりなる。
【0033】
次に、チタンハニカムの製造方法について、工程の順に詳細に説明する。
本発明に係るチタンハニカムの製造方法では、以上説明したような離型剤1が採用されており、この離型剤1は、所定の離型粉末,バインダー,溶剤等を含有してなり、塗装方式や印刷方式にて塗布される。
そして、このチタンハニカムの製造方法では、(1)準備工程,(2)塗布工程,(3)乾燥工程,(4)重積工程,(5)接合工程,(6)展張工程,(7)洗浄工程、等の各製造工程を順に辿る展張方式により、ハニカムコアHが製造される。
【0034】
まず、(1)準備工程について述べる。この製造方法では、まず、図1の(1)図に示したように、母材2が準備される。この母材2は、ハニカムコアHの製造に供されることに鑑み、肉厚が200μm以下、例えば100μmや50μm程度の極薄の箔状をなし、チタンTiやチタンTi合金よりなる。
チタンTiやチタンTi合金は、周知のごとく、強度,耐熱性,耐食性,軽量性等々に極めて優れてなる、という基本性能を備えている。チタンTi合金において、チタンTiに添加される合金元素としては、アルミAl,バナジウムV,クロムCr,マンガンMn,鉄Fe,ジルコニウムZr,モリブデンMo,スズSn、等々が考えられる。このようなチタンTi合金としては、例えば、α合金たるTi−5Al−2.5Snや、α−β合金たるTi−3Al−2.5VやTi−6Al−4V、等が代表的である。
そして、このようなチタンTiやチタンTi合金よりなる箔状の母材2は、帯状に圧延された後、必要に応じ脱脂その他により洗浄されてから、一定幅や一定長さ(例えば600mm×100mm)毎に切断される。一定長さへの切断は、図示例によらず、次に述べる(2)塗布工程や(3)乾燥工程の後に行ってもよい。なお、母材2たるチタンTiやチタンTi合金の地肌5表面は、通常、酸化皮膜6(図4の(1)図を参照)にて覆われており、洗浄してもすぐに酸化されて酸化皮膜6が形成される。(1)準備工程では、このような母材2が準備される。
【0035】
次に、(2)塗布工程について述べる。この製造方法では、図1の(2)図や図3の(1)図に示したように、次に離型剤1が塗布される。すなわち、上述した(1)準備工程で準備された母材2に対し、離型剤1が、条線状に地肌5を残しつつ塗布される。離型剤1は、前に詳述した構成よりなり、各種の塗布方式にて塗布される。
そして離型剤1は、母材2に対し、拡散接合対象部4(ノード部)となる地肌5を、一定幅とピッチの条線状に残すように間隔を存しつつ、所定幅とピッチで例えば幅方向に塗布され、このように離型剤1が塗布された部分が、母材2の非接合部3となる。図示例では、母材2の片面(表面)に対してのみ、離型剤1が所定幅とピッチで塗布され、このような母材2のみが、以下に述べるように重積,接合,展張される。
なお、このような図示例によらず、母材2の両面(表面と裏面)に対して、離型剤1が所定幅とピッチで塗布される場合もあり、この場合は、このように両面に離型剤1が塗布された母材2と、離型剤1が両面共に全く塗布されないままの母材2とが、順次交互に重積された後、接合,展張されることになる。(2)塗布工程では、このように離型剤1の塗布が行われる。
【0036】
次に、(3)乾燥工程について述べる。この製造方法では、(2)塗布工程で離型剤1が塗布された母材2は、次に乾燥される。
すなわち、離型剤1が塗布された母材2は、直ちに、常温程度から300℃以下程度に温度設定された乾燥炉へと搬入され、熱風等により乾燥される。そして、このような乾燥により、塗布された離型剤1中に含有されていた溶剤が、揮発,蒸発,消失せしめられると共に、離型剤1が母材2にしっかりと固定される。(3)乾燥工程では、このように母材2が乾燥される。
【0037】
次に、(4)重積工程について述べる。この製造方法では、図1の(3)図に示したように、母材2の重積が行われる(図3の(2)図も参照)。すなわち、上述した(2)塗布工程で離型剤1が塗布された後、(3)乾燥工程で離型剤1が乾燥された母材2は、次に複数枚が、離型剤1間に条線状に残されて露出した地肌5が半ピッチずつずれた位置関係で、重積される。
例えば、400枚程度の母材2が、上下にブロック状に重積され、その際、図示例では片面について条線状に残された地肌5が、上下の各母材2間で、左右に互いに半ピッチずつずれた位置関係で、位置決めされる。(4)重積工程では、このように母材2が重積される。
【0038】
次に、(5)接合工程について述べる。この製造方法では、図1の(4)図や図3の(2)図に示したように、次に、母材2間の拡散接合が行われる。すなわち、上述した(4)重積工程でブロック状に重積された母材2間を、加圧,加熱することにより、接触した地肌5間にて条線状に拡散接合する。
このような拡散接合について、更に詳述する。重積されたブロック状の母材2は、適当な治具に拘束されると共に必要な荷重が加えられ、真空炉等に搬入されて所定の温度と時間にて加熱され、もって条線状に固相のまま拡散接合される。
【0039】
まず、この固相拡散接合は、次のa.温度,b.荷重,c.雰囲気,d.時間、等の条件下で行われる。これらの各条件は、母材2たるチタンTiやチタンTi合金の具体的な構成内容・材質や、他の条件との兼合いによって変化するが、一応次のように設定されることが多い。
a.温度条件は、700℃から1000℃程度、例えば900℃に設定され、もって重積された母材2が加熱される。
b.荷重条件は、0.1g/mmから10g/mm程度、例えば1g/mmに設定され、もって重積された母材2が加圧される。
c.雰囲気条件は、真空雰囲気が代表的であり、もってこの固相拡散接合は、重積された母材2を真空炉中に搬入して行われることが多い。他に、還元雰囲気,不活性ガス雰囲気,アルゴンAr等を加えた減圧雰囲気、等のもとでも可能であり、これらの場合には、それぞれの専用炉が用いられる。
d.時間条件は、5分間から10時間程度、例えば8時間に設定され、もって重積された母材2が、この設定時間、真空炉中等で加圧,加熱される。
【0040】
このようなa.温度,b.荷重,c.雰囲気,d.時間等の条件下で、固相拡散接合が実施される。もって、母材2の非接合部3を設定する離型剤1間の条線状に露出した地肌5が、各々拡散接合対象部4として接触,当接,密着される。図示例では、重積されてそれぞれ上下に対向する母材2について、下側の母材2表面の条線状に露出した地肌5と、上側の母材2裏面の離型剤1が塗布されずに全面的に露出した地肌5との間が、拡散接対象部4となって接触,当接,密着される。
そして、このような地肌5の拡散接合対象部4間で、母材2のチタンTiやチタンTi合金元素について、原子が粒界面で拡散移動し、もって、ブロック状に重積されていた各母材2間が、条線状に固相拡散接合される。
【0041】
図4の(1)図,(2)図,(3)図には、このような固相拡散接合の要部の進行状態が示されている。すなわち、まず図4の(1)図に示したように、固相拡散接合前において、チタンTiやチタンTi合金よりなる母材2は、その地肌5表面が、酸化皮膜6にて覆われている。次に、図4の(2)図に示したように、固相拡散接合のための加圧,加熱開始により、この酸化皮膜6は、その酸素Oが母材2のチタンTiやチタンTi合金中へと拡散,固溶することにより、分散,破壊,除去,消失せしめられる。
それから、図4の(3)図に示したように、母材2のチタンTiやチタンTi合金が、無垢の状態で露出して、所期の固相拡散接合が進行する。
【0042】
なお、このような固相拡散接合に際し、離型剤1に含有されたポリビニル系樹脂よりなるバインダーの熱分解,揮発,蒸発,消失を促進するため、つまり、なるべく熱分解,揮発,蒸発,消失させてしまうため、その熱分解温度域にて一旦保持するとよい。すなわち、固相拡散接合当初の初期段階において、バインダーとして使用されたポリビニル系樹脂の熱分解温度域、つまり300℃から350℃にて、加熱温度をそのまま途中で一旦保持する。
(5)接合工程において、加熱昇温途中の初期段階で加熱温度を、このような熱分解温度域にて一旦保持することにより、離型剤1中のポリビニル系樹脂よりなるバインダーが、熱分解,揮発,蒸発,消失する。そして事後、更に加熱を進め、温度が上昇して前述した温度条件に達すると、母材2間の固相拡散接合が開始されることになる。
このように、固相拡散接合の開始前の初期段階で、離型剤1中のバインダーの熱分解,揮発,蒸発,消失が促進されると、事後のチタンTiやチタンTi合金よりなる母材2との反応が回避されると共に、事後の固相拡散接合の開始時の雰囲気を清浄に保つことができる、という利点がある。(5)接合工程では、このように拡散接合が行われる。
【0043】
次に、(6)展張工程について述べる。この製造方法では、次に、図1の(5)図に示したようにスライスが行われた後、図2の(1)図に示したように展張が行われる。
すなわち、上述した(5)接合工程で条線状に拡散接合された、ブロック状に重積された母材2は、まず、長さ方向に沿ってスライスされ、必要な大きさに切断される。このスライスは、例えばウォータージェット,ワイヤー放電,バンドソー,切断砥石、等を利用した方式にて行われる。図中7は、そのスライス具である。それから、このように必要な大きさにスライスされたブロック状の母材2は、重積方向Dに引張力を加えて、展張される。
すなわち、ブロック状に重積されると共に条線状に拡散接合された母材2は、図面上では上下の重積方向Dに沿って引張力が加えられて、展張される。もって各母材2は、条線状の拡散接合対象部4の縁に沿って上下方向に折曲されると共に、拡散接合対象部4以外の離型剤1にて覆われていた非接合部3が、伸長を伴い広がるように上下に分離,離隔される。(6)展張工程では、このように展張が行われる。
【0044】
次に、(7)洗浄工程について述べる。この製造方法では、次に、上述した図2の(1)図の(6)展張工程で展張されて得られたハニカムコアHは、図2の(2)図に示したように、外周部がトリミングされ、必要な大きさに切断され整えられる。トリミングは、前述したスライスに準じた方式にて行われる。
そして、製造されたハニカムコアHは、事後、エアブローや水洗等にて洗浄され、残存していた離型剤1の離型粉末や僅かなバインダーの灰等が、除去される。(7)洗浄工程では、このように洗浄が行われる。
【0045】
このチタンハニカムの製造方法は、以上詳細に説明したようになっている。そして、(1)準備工程,(2)塗布工程,(3)乾燥工程,(4)重積工程,(5)接合工程,(6)展張工程,(7)洗浄工程、等を順に辿る展張方式により、ハニカムコアHを製造する。
製造されたハニカムコアHは、図2の(2)図や(3)図に示したように、条線状に拡散接合されたチタンTiやチタンTi合金よりなる母材2を、セル壁8とし、セル壁8にて区画形成された中空柱状の多数のセル9の平面的集合体よりなる。
このハニカムコアHは、このように、セル壁8の母材2として、チタンTiやチタンTi合金が用いられると共に、セル壁8は、このような母材2が加圧,加熱による拡散接合にて、条線状に接合されてなる。セル壁8そしてセル9の断面形状は、図示の正六角形状のものが代表的であるが、これによらず縦長や横長の六角形状,その他の六角形状,台形状,略四角形状,その他各種形状のものも可能である。
【0046】
ハニカムコアHは、多くの場合、その両開口端面たるセル端面に、それぞれ表面板が接合され、もってハニカムサンドイッチパネルとして、使用に供される。そして、このハニカムコアHやそのハニカムサンドイッチパネルは、一般のものと同様に、重量比強度に優れ、軽量であると共に高い剛性・強度を備えてなり、更に整流効果に優れ,単位容積当たりの表面積が大である等々の特性を備え、ハニカムサンドイッチパネルは、平面精度,保温性,遮音性等にも優れてなる。
そして、このハニカムコアHは、更に母材2たるチタンTiやチタンTi合金の基本性能を生かし、特に強度,耐熱性,耐食性,軽量性等に優れており、例えば航空機用や鉄道車輌用の構造材,構造部品としての用途、その他各種の用途に使用される。本発明のチタンハニカムの製造方法では、このようなハニカムコアHが製造される。
【0047】
本発明は、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。
このチタンハニカムの製造方法では、まず、(1)準備工程で準備された母材2たる箔状のチタンTiやチタンTi合金は、(2)塗布工程で、条線状に地肌5を残しつつ離型剤1が塗布され、(3)乾燥工程で乾燥された後、(4)重積工程で、半ピッチずつずらして複数枚が重積され、(5)接合工程において、真空炉中等で加圧,加熱することにより、拡散接合される(図1の(1)図,(2)図,(3)図,(4)図や図3の(1)図,(2)図等を参照)。
すなわち、母材2の離型剤1間の条線状に露出した地肌5が、各々拡散接合対象部4となって接触,当接,密着し、もって母材2のチタンTiやチタンTi合金元素について、原子が粒界面で拡散移動することにより、重積された母材2間が拡散接合される(図4の(1)図,(2)図,(3)図等を参照)。しかる後、このように重積,拡散接合された母材2を、(6)展張工程において、重積方向Dに引張力を加えて展張することにより、母材2は、条線状の拡散接合対象部4の縁に沿って折曲されると共に、離型剤1にて覆われていた非接合部3が、分離,離隔される(図2の(1)図を参照)。
このようにして、チタンTiやチタンTi合金よりなる母材2をセル壁8とし、セル壁8にて区画形成された中空柱状の多数のセル9の平面的集合体たる、ハニカムコアHが製造される(図2の(2)図,(3)図等を参照)。製造されたハニカムコアHは、(7)洗浄工程で洗浄される。
【0048】
さて、このチタンハニカムの製造方法では、離型剤1として、5重量%以上で60重量%以下の3A族元素の酸化物の粉末よりなる離型粉末と、1重量%以上で40重量%以下のポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニル系樹脂よりなるバインダーと、30重量%以上で94重量%以下の溶剤と、を含有したものが採用されている。
そして、(2)塗布工程で塗布された離型剤1は、まず、(3)乾燥工程で乾燥されることにより、溶剤が揮発,蒸発,消失し、次に、(4)重積工程後の(5)接合工程に際し、つまり重積後の母材2間の拡散接合に際し、当初の初期段階の加圧,加熱により、ポリビニル系樹脂よりなるバインダーが熱分解,揮発,蒸発,消失し、熱分解の遅れや灰となって残留することは少ない。
【0049】
さてそこで、このチタンハニカムの製造方法にあっては、次の第1,第2,第3,第4のようになる。
第1に、母材2として用いられたチタンTiやチタンTi合金は、高温での反応性に富んだ活性金属であり、350℃以上の温度では、炭素C,水素H,窒素N,酸素O等の軽元素と反応しやすい。そこで、このチタンハニカムの製造方法では、塗布される離型剤1について、次のa.b.c.d.e.の構成を採用してなる。
【0050】
a.この離型剤1は離型粉末として、熱力学的に極めて安定している、例えばイットリアY等の3A族元素の酸化物の粉末を用いてなる。
3A族元素の酸化物は、(5)接合工程での拡散接合に際し、350℃以上つまり700℃から1000℃程度に加熱されても、母材2のチタンTiやチタンTi合金と反応することはない(図1の(4)図,図3の(2)図を参照)。すなわち、3A族元素,その酸化物は、標準生成自由エネルギー(生成熱)が低く、熱的安定性・化学的安定性が高いので、加熱により、例えばその酸素OがチタンTiやチタンTi合金と反応して、酸化チタンTiO等の酸化物を生成するようなことはない。その他、窒化物,炭化物,金属間化合物等を生成せしめるようなことはなく、離型効果の低下もない。
【0051】
b.この離型剤1はバインダーとして、300℃から350℃の熱分解温度域で、熱分解,揮発,蒸発しやすいポリビニル系樹脂を用いてなる。
ポリビニル系樹脂は、(5)接合工程当初の初期段階において、350℃未満の加熱により、大部分が熱分解して揮発,蒸発、つまり二酸化炭素CO等となってガス化し消失してしまい、350℃以上に加熱された際、未分解のまま残っていることは少ない(図1の(4)図,図3の(2)図を参照)。つまり熱分解が遅れ、母材2間の拡散接合のために350℃以上に加熱されてから、熱分解,揮発,蒸発,ガス化し、ガス成分中に含まれた炭素C,水素H,窒素N,酸素O等の軽元素が、母材2のチタンTiやチタンTi合金と反応する事態は回避される。
又、灰化し炭素Cを主成分とする灰となって残留することも少なく、ほぼ熱分解,揮発,蒸発,消失してしまう。特に、ポリビニル系樹脂の中でもポリビニルブチラール(PVB)のように、350℃未満の加熱によりほぼ完全に熱分解,揮発,蒸発,消失してしまうものが、この意味からは最適である。
なお、バインダーの熱分解,揮発,蒸発により発生したガス成分は、軽元素を含有するので、350℃未満で発生したものについても、排気が実施される。すなわち、(5)接合工程の真空炉,その他の専用炉には、排気装置が付設されており、バインダーの熱分解により発生したガス成分は、適宜外部に排気される。
【0052】
c.そして、この離型剤1のバインダーは、拡散接合当初の初期段階において、300℃から350℃の熱分解温度域での加圧,加熱により、しかも、この熱分解温度域で一旦保持されることにより、熱分解,揮発,蒸発が促進され、殆ど熱分解,揮発,蒸発してしまう。そしてそれから、その後の加熱,温度上昇により、母材2間の拡散接合が開始されることになる。
d.しかも、この離型剤1のバインダーは、部分ケン化度が80重量%以下の部分ケン化のものが採用されている。そこで、上述した初期段階において、まず、未ケン化部分が熱分解,揮発,蒸発し、次に、完全ケン化部分が、熱分解,揮発,蒸発するようになる。もって、熱分解,揮発,蒸発温度範囲が部分的に異なり広がるので、その分、熱分解,揮発,蒸発が一段と促進され時間も短縮される。
e.しかもこの離型剤1は、溶剤が多量に含有せしめられており、バインダーは大幅に希釈されている。溶剤は、離型剤1中に30重量%以上で94重量%以下の割合で、多量に含有せしめられており、その分、離型剤1中のバインダーの含有率・濃度・絶対量が大幅に低減せしめられ、希釈されている。そこでこの面からも、前述したb.のバインダーのガス化量が少なくなり、熱分解の遅れも一段と減少し、灰の残留量も更に少なくなる。
なお溶剤は、離型剤1の塗布直後の(3)乾燥工程において、揮発,蒸発,消失せしめられ、事後の(5)接合工程においては存在しない。
【0053】
この製造方法では、このようなa.b.c.d.e.の構成が、離型剤1の離型粉末,バインダー,溶剤に関して、採用されている。
そこで、(5)接合工程における350℃以上の加熱により、つまり母材2のチタンTiやチタンTi合金を拡散接合させるための700℃から1000℃程度の加熱により、母材2の表層部と、塗布された離型剤1とが反応することは防止される(図1の(4)図,図3の(2)図を参照)。もって、母材2の表層部に、硬くて脆い例えば窒化チタンTiNその他の化合物,脆化層が生成,形成されることは、回避される。このように第1に、母材2と離型剤1との反応は抑えられる。
【0054】
第2に、そこでこのチタンハニカムの製造方法では、次のa.b.c.のようになる。まずa.(6)展張工程における展張が、支障なく行われるようになる(図2の(1)図を参照)。
すなわち、上述したように(5)接合工程において、母材2の表層部に硬くて脆い化合物,脆化層が生成,形成されることは回避され、母材2本来の引張強度は変化せず、破断伸び量も維持される。そこで(6)展張工程において、ブロック状に重積されると共に条線状に拡散接合された母材2に、引張力を加えた場合、母材2は支障なく順調に展張される。
つまり母材2は、切損,割れ等の損傷が生じることなく、所期のとおり、条線状の拡散接合対象部4の縁に沿って折曲されると共に、非接合部3が伸長を伴い広がるように分離,隔離される。このように、(6)展張工程の展張が支障なく行われる。
【0055】
又b.このチタンハニカムの製造方法では、(7)洗浄工程における洗浄も支障なく行われるようになる。
すなわち、上述したように(5)接合工程において、母材2の表層部に化合物,脆化層が生成,形成されることは回避される。更に、離型剤1中のバインダーは、(5)接合工程当初の初期段階の350℃未満の加熱により、熱分解,揮発,蒸発,消失してしまい、灰となって残留することは少ない。そこで、(7)洗浄工程に際し、離型剤1として残存していた離型粉末は、エアーブローや水洗等にて洗浄されることにより、簡単容易に除去される。このように、(7)洗浄工程において、ハニカムコアHは所期のとおり洗浄される。
【0056】
更にc.このチタンハニカムの製造方法では、製造されたハニカムコアHについて、耐食性等が維持される。すなわち、前述した(5)接合工程において、母材2つまりセル壁8の表層部に化合物,脆化層が生成,形成されないので、製造されたハニカムコアHについて、母材2の基本性能たる耐食性等は、低下することなく維持される。
このように第2に、(6)展張工程や(7)洗浄工程が支障なく行われると共に、耐食性等も維持される。
【0057】
第3に、このチタンハニカムの製造方法において、離型剤1の溶剤として、沸点が100℃以上で300℃以下のものを用いた場合、更には沸点が異なる2種類以上の混合溶剤を用いた場合は、次のようになる。
まず、離型剤1の溶剤の沸点が100℃以上の場合、(2)塗布工程で離型剤1を塗布する際、溶剤が乾燥,揮発,蒸発することはない(図1の(2)図,図3の(1)図を参照)。つまり、塗布作業が行われる100℃未満の温度環境下において、塗布される離型剤1中から溶剤が乾燥,揮発,蒸発して行くようなことはなく、作業性が向上する。しかも、この溶剤は沸点が300℃以下なので、その後の(3)乾燥工程における乾燥により、簡単容易に揮発,蒸発,消失する。
【0058】
そして、このような(3)乾燥工程での乾燥,揮発,蒸発に際し、この離型剤1中の溶剤が、上述した100℃から300℃の範囲内において沸点が20℃以上異なる2種類以上のものが混合された混合溶剤よりなるので、揮発,蒸発の温度範囲が広い。
つまり(3)乾燥工程において、乾燥による離型剤1中の溶剤の揮発,蒸発は、段階的つまり徐々に段階的に緩慢なスピードのもとに行われ、母材2に塗布された離型剤1の塗布膜中から(図3の(1)図等を参照)、一度に一気に揮発,蒸発してしまうようなことはない。
もって、溶剤の一度の一気の揮発,蒸発に起因して、離型粉末が飛散して斑が発生することは回避され、離型剤1の塗布膜に、細かい多数の気泡,空孔,亀裂,破損等の欠陥が発生することも抑えられる。もって、(3)乾燥工程や事後の(4)重積工程,(5)接合工程等において、塗布されていた離型剤1が、母材2から剥離,脱落することもなくなる。このように第3に、溶剤の乾燥,揮発,蒸発が順調に行われ、離型粉末の飛散,斑の発生も抑えられる。
【0059】
第4に、このチタンハニカムの製造方法では、(5)接合工程における拡散接合開始時において、離型剤1の塗布厚Tを極めて薄くすることができる。
まずa.この離型剤1の離型粉末は、粒径が10μm以下と小さく、含有率も60重量%以下に限定されている。そこで(2)塗布工程において、離型剤1を、比較的薄い塗布厚Tで塗ることができる(図1の(2)図,図3の(1)図を参照)。
b.離型剤1の溶剤は、30重量%以上で94重量%以下と多量に用いられると共に、(3)乾燥工程において揮発,蒸発,消失せしめられる。もってその分、塗布されていた離型剤1の塗布厚Tが一段と薄くなる。
c.離型剤1のバインダーは、1重量%以上で40重量%以下程度含有されているが、(5)接合工程当初の加圧,加熱により、ほとんどが熱分解,揮発,蒸発,消失せしめられる。もってその分、塗布されていた離型剤1の塗布厚Tが一層薄くなる。
d.(5)接合工程において、僅かに発生したバインダーの灰は、拡散接合のための加圧により、離型粉末間の隙間に事実上無視できる程度に圧縮,充填される(図1の(4)図,図3の(2)図を参照)。そこで、塗布されていた離型剤1の塗布厚Tは、この面からも薄くなる。
【0060】
これらa.b.c.d.により、この離型剤1は、まず(2)塗布工程の塗布時に、これまでより薄い塗布厚T(例えば30μm未満)で塗ることができると共に、(5)接合工程の拡散接合開始時には、塗布厚Tを塗布時より更に一段と薄く(例えば15μm程度まで)減少させることができる。
そこで、重積された母材2は、条線状に露出した上下の地肌5間が、左右の離型剤1の塗布厚Tに邪魔されることなく、加圧,加熱により、確実に接触,当接,密着するようになる(図3の(2)図,図4の(3)図を参照)。従って、重積された母材2は、相互間が条線状に確実に拡散接合される。
【0061】
つまり(5)接合工程において、離型剤1の塗布厚Tが支障となって、母材2の拡散接合対象部4たる地肌5間が、ぴったりと接触,当接,密着せず、もって接合強度が不足したり未接合箇所が発生したりすること(製造されたハニカムコアHについて、各セル9間がセル壁8にて確実に区画されない目飛びが発生すること)は、確実に回避される。
これらの点は、セルサイズS(図2の(3)図を参照)が例えば10mm以下等、セルサイズSが小さなハニカムコアHを製造する際、特に顕著となる。又、拡散接合時の加圧を、比較的低圧,低荷重(例えば0.1g/mmから10g/mm程度)にて、行えるようになる。このように第4に、離型剤1の塗布厚Tを極薄化できる。
【0062】
【発明の効果】
本発明に係るチタンハニカムの製造方法は、以上説明したように、3A族元素の酸化物の粉末よりなる離型粉末と、ポリビニル系樹脂よりなるバインダーと、溶剤とを含有してなる離型剤を、所定のごとく組み合わせて採用したことにより、次の効果を発揮する。
【0063】
第1に、拡散接合に際し、母材と離型剤との反応は抑えられる。すなわち、母材として用いられた純チタンやチタン合金は、350℃以上の高温での反応性に富んだ活性金属である。そこで、このチタンハニカムの製造方法では、離型剤について、まずa.離型粉末として、熱力学的に安定している3A族元素の酸化物の粉末を用いると共に、b.バインダーとして、300℃から350℃の熱分解温度域で熱分解,揮発,蒸発しやすいポリビニル系樹脂を用いてなる。
しかもc.拡散接合の初期段階で、このバインダーをその熱分解温度域で一旦保持して、熱分解,揮発,蒸発してしまうと共に、d.部分ケン化のバインダーを用いてなることにより、この熱分解,揮発,蒸発が、更に一段と促進される。e.更にこのようなバインダーを多量の溶剤で希釈し、バインダー濃度を低減してなる。
そこで、前述したこの種従来例のように、拡散接合に際し、塗布された離型剤の離型粉末やバインダーが、加圧,加熱により、純チタンやチタン合金よりなる母材の表層部と反応して、硬くて脆い化合物,脆化層を生成,形成してしまうことは、回避される。
【0064】
第2に、もって展張が支障なく行われ、離型剤の洗浄,除去も容易化され、製造されたハニカムコアの耐食性等も維持される。すなわち、このチタンハニカムの製造方法では、拡散接合に際し上述した第1のように、純チタンやチタン合金よりなる母材の表層部について、硬くて脆い化合物,脆化層の生成,形成は回避される。
そこでa.展張すべく母材に引張力を加えても、母材は支障なく展張される。つまり、前述したこの種従来例のように、展張すべく引張力を加えた場合に、母材に切損,割れ等の損傷が生じたり母材の展張自体が困難化するようなことは、回避される。
【0065】
又b.母材の表層部について、化合物,脆化層の生成,形成が回避されるので、製造されたハニカムコアについて実施される洗浄により、残存していた離型剤の離型粉末は、前述したこの種従来例のように困難化することなく、簡単容易に除去される。これに加え、離型剤中のバインダーは、熱分解,揮発,蒸発,消失してしまい、灰となって残留することがほとんど無いので、洗浄に際し離型剤として残存するのは離型粉末のみであり、この面からも洗浄,除去が、前述したこの種従来例に比し簡単容易化される。
更にc.製造されたハニカムコアについて、母材つまりセル壁の表層部に化合物,脆化層が生成,形成されないので、前述したこの種従来例のように耐食性等が低下すること無く、維持される。もって、脆化,高温酸化,粒界腐食等の発生も回避され、ハニカムコアの品質が向上する。
【0066】
更に、離型剤について、沸点が100℃以上で300℃以下よりなると共に沸点が異なる2種類以上の溶剤を採用したことにより、上述に加え、次の第3の効果を発揮する。
第3に、溶剤の乾燥,揮発,蒸発が順調に行われると共に、離型粉末の飛散,斑の発生も抑えられる。
【0067】
すなわち、このチタンハニカムの製造方法では、離型剤の溶剤として沸点が100℃以上のものを用いてなるので、離型剤の塗布時に溶剤が乾燥,揮発,蒸発しないと共に、溶剤の沸点が300℃以下なので、その後の乾燥により簡単容易に溶剤が揮発,蒸発,消失してしまう等、作業性に優れている。
そして、この溶剤は、沸点が20℃以上異なる2種類以上の混合溶剤よりなるので、揮発,蒸発は、徐々に段階的に緩慢なスピードで行われる。もしも溶剤が一度に一気に揮発,蒸発すると、離型剤の塗布膜について、離型粉末の飛散,斑により気泡,空孔,亀裂等の破損が発生し、母材からの剥離,脱落の危険すらあるが、これらは確実に回避される。もって、離型剤の離型効果が全うされ、製造されたハニカムコアの品質も向上する。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るチタンハニカムの製造方法について、発明の実施の形態の説明に供する斜視説明図であり、(1)図は、準備された母材を、(2)図は、離型剤を塗布した状態を、(3)図は、重積する状態を、(4)図は、拡散接合した状態を、(5)図は、スライスする状態を、それぞれ示す。
【図2】 同発明の実施の形態の説明に供する斜視説明図であり、(1)図は、展張した状態を、(2)図は、トリミングした状態を、(3)図は、得られたハニカムコアの要部を、それぞれ示す。
【図3】 同発明の実施の形態の説明に供する正面拡大図であり、(1)図は、離型剤を塗布した状態を、(2)図は、拡散接合時の状態を示す。
【図4】 同発明の実施の形態の説明に供する要部の正面説明図であり、(1)図は、母材間が拡散接合される前の状態を、(2)図は、母材間が拡散接合される直前の状態を、(3)図は、母材間が拡散接合された後の状態を示す。
【符号の説明】
1 離型剤
2 母材
3 非接合部
4 拡散接合対象部
5 地肌
6 酸化皮膜
7 スライス具
8 セル壁
9 セル
D 重積方向
H ハニカムコア
S セルサイズ
T 塗布厚

Claims (1)

  1. 350℃以上の高温での反応性に富んだ活性金属である箔状の純チタンやチタン合金を母材とし、該母材に離型剤を、条線状に地肌を残しつつ塗布して乾燥させた後、
    複数枚の該母材を、該離型剤間に条線状に残されて露出した地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積してから、加圧,加熱することにより、該母材間を、接触した該地肌間にて条線状に拡散接合させた後、重積方向に引張力を加えて展張することにより、該母材をセル壁とし、該セル壁にて区画形成された中空柱状の多数のセルの平面的集合体たるハニカムコアを得る、チタンハニカムの製造方法において、
    該離型剤として、5重量%以上で60重量%以下よりなり、周期表の3A族元素の酸化物の粉末が用いられた離型粉末と、1重量%以上で40重量%以下よりなり、ポリビニル系樹脂が用いられたバインダーと、30重量%以上で94重量%以下よりなる溶剤と、を含有したものが用いられており、
    該離型剤の該バインダーは、300℃から350℃の熱分解温度域で熱分解,揮発,蒸発してしまうポリビニル系樹脂よりなり、又、該離型剤の該溶剤は、沸点が100℃以上で300℃以下よりなると共に、相互の沸点が20℃以上異なる2種類以上のものが混合された混合溶剤よりなり、
    塗布された該離型剤中の該溶剤は、前記乾燥工程で乾燥されることにより、揮発,蒸発,消失すると共に、該乾燥時の該溶剤の揮発,蒸発は、沸点が異なる混合溶剤よりなることにより揮発,蒸発の温度範囲が広く、徐々に段階的に緩慢なスピードで行われ、もって、一度に一気に揮発,蒸発してしまうことがなく、該離型剤の離型粉末の飛散,斑の発生が抑えられ、
    又、塗布された該離型剤中の該バインダーは、前記拡散接合工程当初の初期段階において、300℃から350℃の熱分解温度域での加圧,加熱により、熱分解,揮発,蒸発,消失すると共に、その際、加熱昇温中の該初期段階においては、加熱温度が、該熱分解温度域にてそのまま一旦保持されることにより、該バインダーの熱分解,揮発,蒸発,消失が一段と促進されるが、事後、更に加熱を進め温度が上昇することにより、該母材間の拡散接合が開始されるようになり、
    かつ、該離型剤中の該バインダーは、100重量%完全ケン化に至らず部分ケン化度が80重量%以下と、生成反応が未完成な部分ケン化のものが用いられており、もって該バインダーは、熱分解,揮発,蒸発に際し、まず、より不安定な状態にある未ケン化部分が、先に熱分解,揮発,蒸発し、次に、完全ケン化部分が熱分解,揮発,蒸発し、結局、未ケン化部分と完全ケン化部分とで部分的に熱分解,揮発,蒸発温度が異なるので、これらの温度範囲が広がって、該バインダーは熱分解,揮発,蒸発が、一段と容易化し促進され時間短縮されること、
    を特徴とするチタンハニカムの製造方法。
JP24258599A 1999-08-30 1999-08-30 チタンハニカムの製造方法 Expired - Fee Related JP3995843B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24258599A JP3995843B2 (ja) 1999-08-30 1999-08-30 チタンハニカムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24258599A JP3995843B2 (ja) 1999-08-30 1999-08-30 チタンハニカムの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001062536A JP2001062536A (ja) 2001-03-13
JP3995843B2 true JP3995843B2 (ja) 2007-10-24

Family

ID=17091258

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24258599A Expired - Fee Related JP3995843B2 (ja) 1999-08-30 1999-08-30 チタンハニカムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3995843B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110666451A (zh) * 2019-09-18 2020-01-10 南京航空航天大学 一种金属蜂窝芯的制备方法及实现该方法的装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110666451A (zh) * 2019-09-18 2020-01-10 南京航空航天大学 一种金属蜂窝芯的制备方法及实现该方法的装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001062536A (ja) 2001-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3798320B2 (ja) 反応性多層フォイルの製造方法および得られる製品
KR930010221A (ko) 다결정 다이아몬드 절삭공구 및 이의 제조방법
CN112846563B (zh) 焊膏及其制备方法,器件及焊接方法
JP2012072044A (ja) 炭化ホウ素含有セラミックス接合体及び該接合体の製造方法
JP2005205696A (ja) 接合用品
JPH06502222A (ja) 改良ダイレクト・カッパー・ライティング法およびそのための溶液
CN110734295A (zh) 一种氮化铝陶瓷覆铜板的制备方法
JP3995843B2 (ja) チタンハニカムの製造方法
JP3798191B2 (ja) 金属ハニカムの製造方法
JP3839187B2 (ja) 金属ハニカムの製造方法
JP2019026884A (ja) 金属−炭素粒子複合材
TWI322995B (ja)
JP2000158257A (ja) チタンハニカムの製造方法
JP3993345B2 (ja) 金属ハニカムの製造方法
JP5150394B2 (ja) プリント配線板の製造方法およびプリント配線板製造用マスキングテープ
JP4635015B2 (ja) 金属ハニカムの製造方法
JP4137658B2 (ja) アルミハニカムの製造方法
JP6125293B2 (ja) フラックス付ブレージングシートおよびフラックス付ブレージングシートの製造方法
JP2017005182A (ja) セラミックス配線板の製造方法
JP4946721B2 (ja) 水素透過膜およびその製造方法
JPH11232926A (ja) セラミック内部電極用ペースト
JP3402940B2 (ja) 窒化アルミニウム接合構造体
JP2514043B2 (ja) ハニカム構造体の製造方法
JP2004304000A (ja) 積層セラミック電子部品用の積層体ユニットの製造方法および積層セラミック電子部品用の積層体ユニット
CN110901197A (zh) 一种ptfe粘结片的应用方法及制备得到的ptfe板材

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050407

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060425

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060607

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070731

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070801

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3995843

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130810

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees