JP4137658B2 - アルミハニカムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミハニカムの製造方法に関する。すなわち、アルミニウム箔を母材とした中空柱状のセルの集合体よりなるアルミハニカムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
《技術的背景について》
アルミハニカムは、他のハニカムコアと同様に、展張方式やコルゲート方式にて製造されている。そして、展張方式の製造方法では、→まず、アルミニウム箔製の母材に、条線状に接着剤やろう材を塗布して乾燥させた後、→多数枚の母材を、半ピッチずつずれた位置関係で重積してから、→加熱加圧により、母材間を条線状に接着やろう付けにより接合してから、→重積方向に引張力を加えて展張することにより、→アルミハニカムを成形していた。
このように、アルミハニカムの展張方式による製造方法では、他のハニカムコアの場合と同様、条線状の接合対象部の接合に、接着材やろう材が使用されていた。そこで、製造されたアルミハニカムについて、母材のアルミニウムの基本性能が生かされなくなり、高温強度,耐熱性,その他に難点が指摘されていた。
【0003】
《従来技術》
そこで最近、条線状の接合対象部の接合に、接着剤やろう材を一切使用せず、拡散接合にて直接的に接合する、アルミハニカムの製造方法が開発されている。図2は、この種従来例のアルミハニカムの製造方法の説明に供し、(1)図は、重積工程の拡大した正断面説明図であり、(2)図,(3)図,(4)図は、成形されたアルミハニカムの正面説明図である。
そして、この拡散接合による展張方式のアルミハニカム1の製造方法では、→まず、アルミニウム箔製の母材2に、離型剤3を、条線状に地肌4を残しつつ塗布して乾燥させた後、→多数枚の母材2を、条線状の地肌4が半ピッチずつずれた位置関係で、ブロック状に重積してから、→母材2間を、加熱加圧により接触した地肌4間にて条線状に拡散接合させ、→それから、重積方向に引張力を加えて展張することにより、→アルミハニカム1を成形していた。
【0004】
そして従来、このように非接合部を覆って拡散接合されないようにしておく離型剤3としては、希土類元素の酸化物、特に、入手しやすい酸化イットリウムが用いられていた。
すなわち、この種従来例のアルミハニカム1の製造方法、つまり拡散接合による展張方式の製造方法で用いられる離型剤3は、離型効果を発揮する離型粉末として、まずセラミックス粉末が考えられるが、中でも熱的安定性・化学的安定性が高く、拡散接合のために加熱してもアルミニウム箔製の母材2との反応が抑えられる、周期律表の3A族元素の酸化物の粉末、特に、入手が容易な酸化イットリウム(イットリア)Yの粉末が、代表的に用いられていた。
【0005】
《先行技術文献情報》
このようなこの種従来例の製造方法で用いられる離型剤3としては、次の特許文献1,2,3,4中に示されたものが、挙げられる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−129346号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2001−001168号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2001−030086号公報
【0009】
【特許文献4】
特開2001−047164号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
《第1の問題点について》
ところで、このようなこの種従来例そして離型剤3については、次の問題が指摘されていた。
第1に、材料コスト面に問題が指摘されていた。すなわち、この種従来例のアルミハニカム1の製造方法では、離型剤3の離型粉末として、希土類元素の酸化物の粉末、特に酸化イットリウム(イットリア)Yが、代表的に用いられていたが、非常に高価であり(20,000円/kg程度)、材料コスト面に問題が生じていた。
【0011】
《第2の問題点について》
第2に、品質面に問題が指摘されていた。すなわち、希土類元素例えば酸化イットリウム(イットリア)Y等は、その粒径サイズが例えば1μm以下等、小さなものは現状では入手困難である。
→そこで、このような離型粉末とバインダーとからなる従来の離型剤3は、スクリーン印刷等にて極く薄く塗布したとしても、→その塗布厚Aが、5μm〜10μmが限界であり(図2の(1)図を参照)、これ以上薄く塗布することは、現状では困難である。
→そして、この厚い塗布厚Aが原因となって、拡散接合のための接合幅Bが、得られなくなっていた(図2の(1)図を参照)。→すなわち、非接合部となる離型剤3の上下の塗布厚Aの高さ・厚みが、邪魔となって、上下で隣接する母材2の接合対象部となる露出した地肌4間の条線状の接触面積が、減少してしまい、→所定の条線幅つまり接合幅Bが得られなくなっていた。
【0012】
この種従来例の製造方法は、このように、母材2間の条線状の接触面積が減少し、必要な条線幅,接合幅Bが得られず、接合荷重が十分作用しないので、品質面での信頼性等に、次の問題が発生していた。
まず、製造されたアルミハニカム1について、接合幅Bが不足しており(図2の(2)図を参照)、接合強度が不足する、という問題が指摘されていた。そして、アルミハニカム1に未接合箇所が点在する目飛び(図2の(3)図を参照)や、未接合箇所が連続する接合不良(図2の(4)図を参照)の発生も、報告されていた。又、セルサイズCの小さなアルミハニカム1は、製造困難とされていた。
【0013】
《第3の問題点について》
第3に、製造コストや運転コスト面にも、問題が指摘されていた。まず、上述したように、接触面積が減少し接合幅Bが不足するので、接合時間が長時間化すると共に、接合温度も高温化していた。つまり拡散接合に際し、原子の粒界面での拡散移動のために、より長時間を要しより高温を要する、という問題が指摘されていた。
これに加え、酸化イットリウム(イットリア)Y等の希土類元素は、セラミックスであり、熱伝導率が極めて低い。そこで、離型剤3付でブロック状に重積された母材2を、加熱加圧して拡散接合する際に(この際には、離型剤3のバインダーの乾燥,熱分解,除去も同時に行われるが)、→ブロックの中心部が、なかなか接合温度に達せず、→この面からも、接合時間が長時間化し、接合温度も高温化する、という問題が指摘されていた。
この種従来例のアルミハニカム1の製造方法は、このように接合時間が長時間化し、接合温度も高温化するので、製造コストや運転コストがかさむ、という難点があった。
【0014】
《本発明について》
本発明のアルミハニカムの製造方法は、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、拡散接合による展張方式のアルミハニカムの製造方法において、離型剤の離型粉末として、粒径サイズが5μm以下のカーボンや黒鉛の粉末を採用し、離型剤の塗布厚を0.05μm〜5μmとしたこと、を特徴とする。そして、離型剤の溶剤が、塗布後の乾燥により、又、離型剤のバインダーが、拡散接合の初期段階の加熱により、それぞれ、揮発,蒸発,消失してしまうこと、を特徴とする。
もって本発明は、第1に、材料コスト面に優れ、第2に、品質面における信頼性が向上し、第3に、製造コスト面や運転コスト面にも優れた、アルミハニカムの製造方法を提案すること、を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。本発明のアルミハニカムの製造方法では、まず、アルミニウム箔製の母材の片面に、離型剤を、一定幅とピッチで条線状に地肌を残しつつ塗布して、乾燥させる。そして次に、複数枚の該母材を、該離型剤間に条線状に残されて露出した該地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積する。
それから、加熱加圧することにより、該母材間を、接触した該地肌間にて条線状に拡散接合させる。しかる後、重積方向に引張力を加えて展張することにより、該離型剤の塗布部分が離隔して、アルミハニカムが成形される。
該離型剤として、0.1重量%以上のカーボンや黒鉛よりなる離型粉末と、バインダーと、溶剤とを含有した、液状やペースト状のものが用いられている。
該カーボンや黒鉛の離型粉末としては、粒径が5μm以下のものが用いられる。
該バインダーとしては、350℃未満の低温加熱により容易に熱分解,揮発,蒸発,ガス化する、熱可塑性樹脂が用いられている。
該溶剤は、粉末状をなす該バインダーを溶かし,液状化し,薄めるため、つまり溶解,希釈するために用いられ、もって、該離型剤として塗布可能な粘度を得ると共に、その塗布厚を薄くするために用いられている。
そして該母材は、該離型剤が塗布厚が0.05μmから5μmで上記塗布された後、直ちに、常温から300℃以下に温度設定された乾燥炉へと搬入されて上記乾燥され、もって、該離型剤に含有されていた該溶剤が、揮発,蒸発,消失せしめられて、該離型剤が該母材にしっかりと固定される。
しかる後、該母材は、上記重積後の上記拡散接合の初期段階の加熱加圧に際し、該離型剤に含有されていた該バインダーが、その熱分解温度域である300℃から400℃の加熱にて、熱分解,揮発,蒸発,消失してしまう。
【0016】
《作用について》
本発明は、このようになっているので、次のようになる。
(1)この製造方法では、まず、アルミニウム箔の母材の片面に、離型剤が一定幅とピッチで、条線状に地肌を残しつつ塗布される。それから母材は、条線状の地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積される。
(2)そして加熱加圧により、母材間が拡散接合される。すなわち、重積された母材は、条線状に露出した地肌が接合対象部となって、対応する母材の地肌に密着し、もってアルミニウム等の金属元素について、原子が粒界面で拡散移動することにより、条線状に拡散接合される。
(3)それから母材は、重積方向に引張力を加えて展張され、もってアルミハニカムが製造される。
(4)さて、この製造方法で採用される離型剤は、0.1重量%以上で粒径が5μm以下のカーボンや黒鉛の離型粉末と、バインダーと、溶剤とを含有しており、液状やペースト状なし、塗布厚が0.05μm〜5μmよりなる。
【0017】
(5)そこで、この製造方法は、第1に、離型剤として安価なカーボンや黒鉛が採用されており、材料コスト面に優れている。
第2に、このカーボンや黒鉛の離型粉末は、粒径が5μm以下とされ、ナノサイズのものも容易に入手可能であるので、離型剤は、0.05μm〜5μmの極薄の塗布厚で、塗布される。
それから、塗布粘度を得るためと塗布厚を薄くするために離型剤に含有されていた溶剤が、次の乾燥炉における乾燥により、揮発,蒸発,消失せしめられ、もって離型剤は、母材にしっかりと固定される。
そこで、接合対象部となる条線状の地肌について、所定の接触面積が確保され、拡散接合に必要な接合幅が得られて、接合荷重が十分に作用する。離型剤間に露出した地肌が、離型剤の塗布厚に邪魔されることなく、対向する母材の地肌に確実にピッタリと密着するので、母材間が確実に拡散接合される。もって、製造されたアルミハニカムは、接合強度に優れており、目飛びや接合不良の発生は回避される。
第3に、上述したように、接合対象部となる条線状の地肌について、接触面積が確保され必要な接合幅が得られており、接合荷重が十分に作用するので、拡散接合のための加熱加圧時間が短くて済み、加熱加圧温度も低温側に広げることができる。
そして特に、離型剤に含有されていたバインダーは、拡散接合の初期段階の加熱加圧により、熱分解,揮発,蒸発,消失してしまっており、しかも、カーボンや黒鉛は熱伝導率が極めて高いので、離型剤付で重積された母材を、加熱加圧して拡散接合する際に、母材の重積ブロックの中心部が、短時間の内に接合温度に達するようになる。
これらにより、拡散接合のための加熱加圧が、短時間化され低温化されるので、その分、製造コスト面に優れている。
【0018】
【発明の実施の形態】
《図面について》
以下本発明を、図面に示す発明の実施の形態に基づいて、詳細に説明する。図1,図3,図4,図5等は、本発明の実施の形態の説明に供する。
そして、図1の(1)図は、重積工程の拡大した正断面説明図、(2)図は、成形されたアルミハニカムの拡大した正面説明図である。
図3の斜視図において、(1)図は、準備された母材を、(2)図は、離型剤の塗布工程を、(3)図は、重積工程を、(4)図は、接合工程を、(5)図は、スライス中の状態を示す。図4の斜視図において、(1)図は、展張工程を、(2)図は、成形されたアルミハニカムを示す。図5の領域図において、(1)図は、離型効果と離型剤塗布厚との関係を示し、(2)図は、ハニカム接合状態と離型剤塗布厚との関係を示す。
【0019】
《離型剤5について》
最初に、離型剤5について、図1,図3を参照しつつ説明する。本発明のアルミハニカム6の製造方法では、離型剤5が、母材2たるアルミニウム箔を拡散接合する際に、非接合部を設定するために、予め塗布して使用される。
この離型剤5としては、0.1重量%以上のカーボン又は黒鉛の粉末と、バインダーと、溶剤とを含有した、液状やペースト状のものが用いられる。そして離型剤5は、粒径が5μm以下のカーボンや黒鉛の粉末が用いられており、その塗布厚Aが、0.05μmから5μm程度で塗布される。
【0020】
このような離型剤5について、更に詳述する。この離型剤5は、離型粉末であるカーボンや黒鉛の粉末と、バインダーと、溶剤とを含有しており、更に必要に応じ、分散剤や消泡剤を含有している。
まず、カーボンや黒鉛は、炭素Cや炭素Cの同素体よりなり、例えば、炭素Cを含む化合物を不完全燃焼させたカーボンブラックが使用されるが、その他各種のカーボン又は黒鉛の化合物等が、選択使用される。そしてカーボンや黒鉛は、アルミニウム箔製の母材2の離型効果に優れており、重積された母材2相互間の拡散接合を防止するために使用される。又、アルミニウム箔に対する熱的安定性・化学的安定性が高く、拡散接合に際し加熱しても、母材2と反応することはない。
このような離型粉末として使用されるカーボンや黒鉛は、粒径が、多くの場合1μm以下の微粉末、例えば10nm程度の微粉末が使用されるが、塗布厚Aとの関係から5μmを超えることはない。又、離型剤5中に最低0.1重量%以上の割合で、例えば1重量%の割合で含有されており、もしも含有率が0.1重量%以未満だと、離型剤5としての離型効果が不足する。
【0021】
バインダーは、このようなカーボンや黒鉛の粉末を、離型剤5として塗布可能とするため、そして塗布された後に母材2から剥離,脱落しないように接着固定すべく、用いられる。
このような離型剤5のバインダーとしては、熱可塑性樹脂特にポリビニル系樹脂、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVAC)や、ポリビニルアルコール(PVA,PVAL)等が用いられる。これらの樹脂は、350℃未満程度の低温加熱によって、容易に熱分解,揮発,蒸発,ガス化する。そこで、拡散接合の初期段階の加熱加圧によって、消失してしまい、事後にほとんど残留することはない。
更に、離型剤5には、溶剤が含有されている。この溶剤は、粉末状をなす上記バインダーを溶かし,液状化し,薄めるために、つまり溶解,希釈するために用いられ、特に、離型剤5として塗布可能な粘度を得ると共に、その塗布厚Aを薄くするため用いられる。
離型剤5は、このようなカーボンや黒鉛の粉末,バインダー,溶剤等が混ぜ合わせられて、液状又はペースト状をなし、塗装方式や印刷方式にて母材2に塗布される。その塗布厚Aは、最低0.05μm〜最高5μmとされ(図1の(1)図を参照)、0.05μm未満だと、薄過ぎて離型効果が不足し、5μmを越えると、厚過ぎて母材2間に未接合箇所が発生する。
離型剤5は、このように構成されている。
【0022】
《アルミハニカム6の製造方法について》
次に、アルミハニカム6の製造方法について、図1,図3,図4を参照しつつ説明する。この製造方法は、上述した離型剤5を用いると共に、準備工程→塗布工程→重積工程→接合工程→展張工程等を順次辿る展張方式により、アルミハニカム6を製造する。
まず準備工程について述べる。準備工程では、図3の(1)図に示したように、母材2としてアルミニウム箔が準備される。このアルミニウム箔としては、通常、アルミニウム合金箔が使用される。すなわち、アルミニウムAlにマグネシウムMgを添加してなると共に、更に必要に応じ、シリコンSi,鉄Fe,銅Cu,マンガンMn,クロムCr,亜鉛Zn,チタニウムTi等を選択的に含有した、アルミニウム合金箔が使用される。
そして、このようなアルミニウム箔製の母材2は、通常、肉厚が1mm以下、代表的には200μm以下よりなり、帯状に圧延されたものが脱脂,洗浄されてから、一定幅や一定長さ(例えば600mm×100mm)毎に切断されて、準備される。
【0023】
次に、塗布工程について述べる。塗布工程では、図3の(2)図に示したように、離型剤1が塗布される。すなわち、上述した準備工程で準備された母材2に対し、前述した離型剤5が、条線状に地肌4を残しつつ塗布される。
そして離型剤5は、母材2の片面(表面)に対し、拡散接合対象部(ノード部)となる地肌4を、一定幅とピッチの条線状に残すように間隔を存しつつ、一定幅とピッチで例えば幅方向に塗布される。このように離型剤5が塗布された部分が、母材2の非接合部となる。このように離型剤5が塗布された母材2は、直ちに、常温程度から300℃以下程度に温度設定された乾燥炉へと搬入され、熱風等により乾燥される。もって、離型剤5中に含有されていた溶剤が、揮発,蒸発,消失せしめられると共に、離型剤5が母材2にしっかりと固定される。
【0024】
次に、重積工程について述べる。重積工程では、図3の(3)図や図1の(1)図に示したように、母材2の重積が行われる。
すなわち、上述した塗布工程で離型剤5が塗布されて乾燥された母材2は、次に多数枚が、離型剤5間に条線状に残されて露出した地肌4が半ピッチずつずれた位置関係で、重積される。例えば、400枚程度の母材2が、上下にブロック状に重積されるが、その際、片面について条線状に残された地肌5が、上下の各母材2間で左右に互いに半ピッチずつずれた位置関係で、位置決めされる。
【0025】
次に、接合工程について述べる。接合工程では、図3の(4)図に示したように、母材2間の拡散接合が行われる(図1の(1)図も参照)。すなわち、上述した重積工程でブロック状に重積された母材2間を、加熱加圧することにより、接触した地肌4間にて条線状に固相のまま拡散接合する。このような拡散接合について、更に詳述すると、この拡散接合は、次のa.温度,b.荷重,c.雰囲気,d.時間、等の条件下で行われる。
a.温度条件は、400℃以上例えば500℃から600℃程度に設定され、もって重積された母材2が加熱される。
b.荷重条件は、1gf/mmから10gf/mm程度に設定され、もって重積された母材2が加圧される。
c.雰囲気条件は、真空雰囲気が代表的であり、もってこの拡散接合は、重積された母材2を真空炉中に搬入して行われることが多い。他に、還元雰囲気,不活性ガス雰囲気,アルゴンAr等を加えた減圧雰囲気、等のもとでも可能であり、これらの場合には、それぞれの専用炉が用いられる。
d.時間条件は、5分間から10時間程度、例えば8時間に設定され、もって重積された母材2が、この設定時間、真空炉中等で加熱加圧される。
【0026】
そして、このような加熱加圧により、母材2の非接合部を設定する離型剤5間の条線状に露出した各地肌4が、接合対象部として接触,当接,密着される。図示例では、重積されてそれぞれ上下に対向する母材2について、下側の母材2表面の条線状に露出した地肌4と、上側の母材2裏面の離型剤5が塗布されずに全面的に露出した地肌4との間が、接合対象部となって接触,当接,密着される。
もって、このような地肌4の接合対象部間で、母材2のアルミニウムAl等の元素について、原子が粒界面で拡散移動することにより、ブロック状に重積されていた各母材2間が、条線状に拡散接合される。
なお、拡散接合前において、アルミニウム箔よりなる母材2は、その地肌4表面が、酸化皮膜(アルミナAl)にて覆われているが、加熱加圧開始により、この酸化皮膜は、母材2中に含有されたマグネシウムMgが蒸気化することを利用して、還元,分散,破壊,除去,消失せしめられる。もって、母材2のアルミニウム箔が、無垢の状態で露出して、拡散接合が可能となる。
又、このような拡散接合に際し、離型剤5に含有されていたバインダーは、拡散接合の初期段階の加熱加圧により、つまり、その熱分解温度域である300℃から400℃程度の加熱にて、熱分解,揮発,蒸発,消失する。
【0027】
次に、展張工程について述べる。展張工程では、まず図3の(5)図に示したように、予めスライスが行われた後、図4の(1)図に示したように、展張が行われる。ブロック状に重積された母材2は、上述した接合工程で条線状に拡散接合された後、スライス具7にて長さ方向に沿ってスライスされ、必要な大きさに切断されてから、重積方向Dに引張力を加えて、展張される。
すなわち、ブロック状に重積されると共に条線状に拡散接合された母材2は、図面上では上下の重積方向Dに沿って、引張力が加えられて、展張される。もって各母材2は、条線状の接合対象部の縁に沿って上下方向に折曲されると共に、接合対象部以外つまり塗布された離型剤5にて覆われていた非接合部が、伸長を伴いつつ広がるように上下に分離,離隔される。そして、このように展張されて得られたアルミハニカム6は、外周部がトリミングされ、必要な大きさに切断され整えられた後、洗浄され、もって残存していた離型剤5の離型粉末や僅かなバインダーの灰等が、除去される。
アルミハニカム6の製造方法は、このようになっている。
【0028】
《アルミハニカム6について》
このアルミハニカム6の製造方法は、以上説明したようになっている。そして、準備工程→塗布工程→重積工程→接合工程→展張工程、等を順に辿る展張方式により、アルミハニカム6を製造する。
製造されたアルミハニカム6は、図1の(2)図や図4の(2)図に示したように、条線状に拡散接合されたアルミニウム箔よりなる母材2を、セル壁8とし、セル壁8にて区画形成された中空柱状の多数のセル9の平面的集合体よりなる。セル壁8そしてセル9の断面形状は、図示の正六角形状のものが代表的であるが、これによらず縦長や横長の六角形状,その他の六角形状,台形状,略四角形状,その他各種形状のものも可能である。
アルミハニカム6は、多くの場合、その両開口端面たるセル端面に、それぞれ表面板が接合され、もってハニカムサンドイッチパネルとして、使用に供される。そして、一般のものと同様に、重量比強度に優れ、軽量であると共に高い剛性・強度を備えており、更に整流効果に優れ,単位容積当たりの表面積が大である等々の特性を備え、ハニカムサンドイッチパネルは、更に平面精度,保温性,遮音性等にも優れている。そして、このアルミハニカム6は、更に母材2たるアルミニウム箔の基本性能を生かし、特に耐熱性,耐酸化性,耐食性,加工性,軽量性等に優れており、例えば、航空機用や鉄道車輌用の構造材,構造部品としての用途、その他各種の用途に使用される。
アルミハニカム6は、このようになっている。
【0029】
《作用等について》
本発明に係るアルミハニカム6の製造方法は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)まず、準備工程で準備されたアルミニウム箔製の母材2は(図3の(1)図を参照)、塗布工程において、片面に離型剤5が一定幅とピッチで、条線状に地肌4を残しつつ塗布されて、乾燥される(図3の(2)図を参照)。
それから、このように離型剤5が塗布された多数枚の母材2が、重積工程において、離型剤5間に条線状に残されて露出した地肌4が半ピッチずつずれた位置関係で、重積される(図3の(3)図,図1の(1)図を参照)。
(2)そして接合工程において、加熱加圧により、各母材2間が条線状に拡散接合される。すなわち、重積された各母材2は、離型剤5間の条線状に露出した地肌4が各々接合対象部となって、対応する母材2の地肌4に接触,当接,密着される。そして、母材2のアルミニウム箔を構成するアルミニウム等の金属元素について、原子が粒界面で拡散移動することにより、重積された母材2間が条線状に拡散接合される(図3の(4)図,図1の(1)図を参照)。
(3)それから、このように重積,拡散接合された各母材2は、スライスされた後(図3の(5)図を参照)、展張工程において、重積方向Dに引張力を加えて展張することにより、条線状の接合対象部の縁に沿って折曲されると共に、離型剤5の塗布部分つまり離型剤5にて覆われていた非接合部が、分離,離隔される(図4の(1)図を参照)。
(4)このような工程を辿ることにより、アルミハニカム6が成形される。すなわち、アルミニウム箔の母材2をセル壁8とし、セル壁8にて区画形成された中空柱状の多数のセル9の平面的集合体である、アルミハニカム6が製造される(図4の(2)図,図1の(2)図を参照)。
【0030】
(5)さて、このアルミハニカム6の製造方法で採用される離型剤5は、0.1重量%以上のカーボンや黒鉛の離型粉末と、バインダーと、溶剤とを含有しており、液状やペースト状なす。
【0031】
(6)そこで、このアルミハニカム6の製造方法によると、次の第1,第2,第3のようになる。
第1に、この製造方法では、前記塗布工程で塗布される離型剤5の離型粉末として、カーボンや黒鉛の粉末が採用されており、このカーボンや黒鉛の粉末は、安価である。
つまり、前述したこの種従来例のアルミハニカム1の製造方法において(図2の(1)図を参照)、離型剤3の離型粉末としてこれまで用いられていた酸化イットリウム(イットリア)Y等の希土類元素の酸化物の粉末に比べ、非常に安価である(300円/kg程度)。もって、このアルミハニカム6の製造方法は、材料コスト面に優れている。
【0032】
第2に、この製造方法では、前記塗布工程において塗布される離型剤5の離型粉末として、カーボンや黒鉛の粉末が採用されており、このカーボンや黒鉛の粉末は、粒径サイズが、少なくとも5μm以下とされ、1μm以下のナノサイズのものが、容易に入手可能である。もって離型剤5は、0.05μm〜5μmの極薄の塗布厚Aで、塗布される(図1の(1)図を参照)。
それから、その塗布粘度を得るためと塗布厚を薄くするために離型剤5に含有されていた溶剤が、次に実施される乾燥炉における乾燥により、揮発,蒸発,消失せしめられ、もって離型剤5は、母材2にしっかりと固定されるようになる。
そこで、事後の前記接合工程において、母材2間の接合対象部となる条線状の地肌4について、所定の接触面積が減少することなく確保され、拡散接合に必要な接合幅Bが不足せずに得られて、接合荷重が十分に作用するようになる(図1の(1)図を参照)。すなわち、前記重積工程において重積された各母材2は、次の前記接合工程において、左右の離型剤5間に条線状に露出した地肌4が、その左右の離型剤5の塗布厚Aにて邪魔されることなく、加熱加圧により、上下対向する母材2の地肌4に対し、確実にピッタリと接触,当接,密着する。もって、重積された母材2は、相互間が条線状に確実に拡散接合される。
前述したこの種従来例のアルミハニカム1の製造方法のように(図2の(1)図を参照)、離型剤3の塗布厚Aが邪魔となって、上下対向する母材2間の密着が阻害され、もって接触面積が減少し、接合幅Bが不足するような事態の発生は、確実に防止される。
このように、この製造方法により製造されたアルミハニカム6は、十分な接合幅Bが確保されており、接合強度に優れている。接合強度が不足したり、未接合箇所が発生することはなく、未接合箇所が点在する目飛びの発生や、未接合箇所が連続する接合不良の発生は(図2の(2)図,(3)図,(4)図を参照)、確実に回避される。又、小さなセルサイズCのアルミハニカム6も、問題なく製造可能となる(図1の(2)図を参照)。
【0033】
第3に、この製造方法では、上述したように、離型剤5の塗布厚Aが極薄であるので、母材2間の接合対象部となる条線状の地肌4について、所定の接触面積が確保され、拡散接合に必要な接合幅Bが得られており、接合荷重が十分に作用する(図1の(1)図を参照)。
そこで、前述したこの種従来例のアルミハニカム1の製造方法のように(図2の(1)図を参照)、離型剤3の塗布厚Aが厚く接合幅Bが不足する場合に比べ、前記接合工程において、原子の粒界面での拡散移動時間が短縮化されるので、拡散接合のための加熱加圧時間(時間条件)が短くて済み、加熱加圧温度(温度条件)も低温側に広げることができる。このように、接合時間が短縮化されると共に、接合温度も低温化される。
そして特に、離型剤5に含有されていたバインダーは、拡散接合の初期段階の加熱加圧により、熱分解,揮発,蒸発,消失してしまっており、ほとんど残留しておらず、しかも、離型剤5の離型粉末として採用されたカーボンや黒鉛は、熱伝導率が極めて高い。
そこで、前記重積工程において、離型剤5付でブロック状に重積された母材2を、次の前記接合工程において、加熱加圧して拡散接合する際に、離型剤5の離型粉末として熱伝導率が低いものを用いた場合に比べ、母材2の重積ブロックの中心部が、より短時間の内に接合温度に達するようになる。もって、この面からも、接合時間が短縮化されると共に、接合温度も低温化される。
この製造方法では、これらにより、接合工程の加熱加圧が短時間化され低温化されるので、その分、アルミハニカム6の製造が簡単容易化される等、製造コスト面に優れるようになる。
【0034】
《確認事例について》
次に、確認事例について述べる。図5の(1)図に示した確認事例1では、離型効果と離型剤5の塗布厚Aとの関係について、テストした。
まず、離型剤5としては、1重量%で粒径が10nmのカーボンブラックの粉末とバインダーを含有したものを、準備した。そして、この離型剤5を、肉厚50μmの2枚のアルミニウム箔間に介装,塗布すると共に、その際、離型剤5の介装,塗布厚Aを、各種パターンに変化させて、その影響をテストした(図1の(1)図も参照)。
そして、各種パターンの塗布厚Aの離型剤5が介装,塗布されつつ重ね合わされた各グループのアルミニウム箔対を、それぞれ、550℃にて加熱しつつ、1gf/mmの荷重を加えて加圧した。それから常温に戻した後、各塗布厚Aの各グループ毎に、重ね合わせていた両アルミニウム箔が、拡散接合されることなく上下に離れるか否か、つまり離型効果の有無についてテストした。
この確認事例1の結果は、図5の(1)図に示した通りである。すなわち、まず塗布厚Aが、0.05μm以上の各パターン・グループについては、両アルミニウム箔間が拡散接合されることがなく、優れた離型効果が得られた。
これに対し、塗布厚Aが、0.01μm以上で0.05μm未満と薄い各パターン・グループについては、両アルミニウム箔間が一部拡散接合してしまい、離型効果が少ない、という結果となった。更に、塗布厚Aが、0.01μm未満と極薄の各パターン・グループについては、両アルミニウム箔間が全面的に拡散接合してしまい、離型効果が全く得られなかった。これらにより、本発明で用いられる離型剤5は、その塗布厚Aが最低0.05μm以上必要である旨、確認された。
【0035】
次に、図5の(2)図に示した確認事例2では、アルミハニカム6の接合状態と離型剤5の塗布厚Aとの関係について、テストした。準備,使用した離型剤5,母材2(アルミニウム箔),加熱温度,加圧荷重等の諸条件については、前述した確認事例1と同一とする。
そして離型剤5を、アルミニウム箔製の母材2に、地肌4の接合幅Bを2.3mmに設定しつつ条線状に塗布した後、重積,加熱加圧,拡散接合,展張して、アルミハニカム6を製造した(図1,図3,図4等も参照)。そしてその際、離型剤5の塗布厚Aを、各種パターンに変化させ、もって各パターン毎に、製造されたアルミハニカム6の接合状態への影響を、チェックした。
この確認事例2の結果は、図5の(2)図に示した通りである。すなわち、まず図5の(1)図の確認事例においても確認されたように、塗布厚Aが0.05μm未満の場合は、薄過ぎて離型効果が不十分となるので、最低0.05μm以上の塗布厚Aは、必要である。
これに対し、塗布厚Aが5μmを越えた場合は、拡散接合に際し、密着されるべき母材2の地肌4間に必要な荷重が加わらなかった(図1の(1)図も参照)。塗布厚Aが厚くなり過ぎると、地肌4間が、塗布厚Aに邪魔されて、十分に密着されず、接触面積が減少し接着幅Bが不足して(図2の(2)図も参照)、加圧が不足する。もって、母材2の拡散接合が不確実となり、未接合箇所が発生し、目飛びや接合不良が生じるようになった。
このように、塗布厚Aが5μmを越えると、アルミハニカム6に接合不良が発生していた。そして、塗布厚Aが8μmを越えると、全く接合されなくなり、アルミハニカム6自体の製造が不能となっていた。これらにより、本発明で用いられる離型剤5は、塗布厚Aが5μm以下であることが必要である旨、確認された。
確認事例については、以上の通りである。
【0036】
【発明の効果】
《本発明の特徴》
本発明に係るアルミハニカムの製造方法は、以上説明したように、拡散接合による展張方式において、離型剤の離型粉末として、粒径サイズが5μm以下のカーボンや黒鉛の粉末を採用し、離型剤の塗布厚を0.05μm〜5μm程度としたこと、を特徴とする。そして、離型剤の溶剤が、塗布後の乾燥により、又、離型剤のバインダーが、拡散接合の初期段階の加熱により、それぞれ、揮発,蒸発,消失してしまうこと、を特徴とする。
そこで、本発明のアルミハニカムの製造方法は、次の効果を発揮する。
【0037】
《第1の効果》
第1に、材料コスト面に優れている。すなわち、本発明のアルミハニカムの製造方法では、離型剤として、カーボンや黒鉛の粉末を採用している。
そして、このカーボンや黒鉛の粉末は非常に安価であり、前述したこの種従来例の製造方法に比べ、つまり高価な酸化イットリウム(イットリア)等の希土類元素の酸化物の粉末に比べ、1/100程度の価格である。もって、アルミハニカムが低コストで製造可能となる。
【0038】
《第2の効果》
第2に、品質面における信頼性が向上する。すなわち、本発明のアルミハニカムの製造方法では、離型剤として、カーボンや黒鉛の粉末を採用している。
そこで、ナノサイズのものも容易に入手でき、もって離型剤を、0.05μm〜5μmの極薄の塗布厚で、塗布可能となる。そして、このように塗布厚を薄くするため等のため離型剤に含有されていた溶剤は、塗布後直ちに揮発,蒸発,消失せしめられ、もって離型剤が、母材にしっかりと固定される。
従って、酸化イットリウム(イットリア)等の希土類元素を離型剤に用い、厚い塗布厚となっていた前述したこの種従来例の製造方法に比べ、所定の接触面積が確保され、必要な接合幅が得られ、母材の地肌間が確実に密着して、接合荷重が十分に作用するようになる。そこで、製造されたアルミハニカムは、接合強度が向上し、目飛びや接合不良の発生も防止され、小さなセルサイズのものも、問題なく製造可能となる。
【0039】
《第3の効果》
第3に、製造コスト面や運転コスト面にも、優れている。すなわち、本発明のアルミハニカムの製造方法では、このように接触面積が確保され接合幅が得られるので、前述したこの種従来例の製造方法に比べ、接合時間が短縮化され、接合温度も低温化される。
特に、離型剤に含有されていたバインダーは、拡散接合の初期段階において熱分解,揮発,蒸発,消失してしまい、しかも、離型剤に採用されたカーボンや黒鉛は熱伝導率が高いので、加熱加圧により拡散接合する際に、母材の重積ブロックの中心部も短時間で接合温度に達するようになる。もってこの面からも、前述したこの種従来例の製造方法に比べ、接合時間が短縮化され、接合温度も低温化される。これらにより、その分、製造コストや運転コストが軽減される。
このように、この種従来例に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るアルミハニカムの製造方法について、発明の実施の形態の説明に供し、(1)図は、重積工程の拡大した正断面説明図、(2)図は、成形されたアルミハニカムの拡大した正面説明図である。
【図2】 この種従来例のアルミハニカムの製造方法の説明に供し、(1)図は、重積工程の拡大した正断面説明図である。(2)図,(3)図,(4)図は、成形されたアルミハニカムの正面説明図であり、(2)図は、減少した接合幅を示し、(3)図は、目飛びの発生を示し、(4)図は、接合不良の発生を示す。
【図3】 本発明に係るアルミハニカムの製造方法について、発明の実施の形態の説明に供する斜視図であり、(1)図は、準備された母材を、(2)図は、離型剤の塗布工程を、(3)図は、重積工程を、(4)図は、接合工程を、(5)図は、スライス中の状態を示す。
【図4】 同発明の実施の形態の説明に供する斜視図であり、(1)図は、展張工程を、(2)図は、成形されたアルミハニカムを示す。
【図5】 同発明の実施の形態の説明に供する領域図であり、(1)図は、離型効果と離型剤塗布厚との関係を示し、(2)図は、ハニカム接合状態と離型剤塗布厚との関係を示す。
【符号の説明】
1 アルミハニカム(この種従来例のもの)
2 母材
3 離型剤(この種従来例のもの)
4 地肌
5 離型剤(本発明のもの)
6 アルミハニカム(本発明のもの)
7 スライス具
8 セル壁
9 セル
A 塗布厚
B 接合幅
C セルサイズ
D 重積方向

Claims (1)

  1. アルミニウム箔製の母材の片面に、離型剤を、一定幅とピッチで条線状に地肌を残しつつ塗布して乾燥させた後、次に、複数枚の該母材を、該離型剤間に条線状に残されて露出した該地肌が半ピッチずつずれた位置関係で、重積してから、
    加熱加圧することにより、該母材間を、接触した該地肌間にて条線状に拡散接合させ、それから、重積方向に引張力を加えて展張することにより、該離型剤の塗布部分が離隔してアルミハニカムが成形される、アルミハニカムの製造方法において、
    該離型剤として、0.1重量%以上のカーボンや黒鉛よりなる離型粉末と、バインダーと、溶剤とを含有した、液状やペースト状のものが用いられており、
    該カーボンや黒鉛の離型粉末としては、粒径が5μm以下のものが用いられ、
    該バインダーとしては、350℃未満の低温加熱により容易に熱分解,揮発,蒸発,ガス化する、熱可塑性樹脂が用いられており、
    該溶剤は、粉末状をなす該バインダーを溶かし,液状化し,薄めるため、つまり溶解,希釈するために用いられ、もって、該離型剤として塗布可能な粘度を得ると共に、その塗布厚を薄くするために用いられており、
    そして該母材は、該離型剤が塗布厚が0.05μmから5μmで上記塗布された後、直ちに、常温から300℃以下に温度設定された乾燥炉へと搬入されて上記乾燥され、もって、該離型剤に含有されていた該溶剤が、揮発,蒸発,消失せしめられて、該離型剤が該母材にしっかりと固定され、
    しかる後、該母材は、上記重積後の上記拡散接合の初期段階の加熱加圧に際し、該離型剤に含有されていた該バインダーが、その熱分解温度域である300℃から400℃の加熱にて、熱分解,揮発,蒸発,消失してしまうこと、を特徴とするアルミハニカムの製造方法。
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