JP3995607B2 - 放送波受信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジオ放送に多重される情報を受信する放送波受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の放送波受信装置として、ここではFM多重データ放送の一種であるRDS(ラジオ・データ・システム)放送を受信できるRDS放送受信機を例に挙げて説明する。
【0003】
従来のRDS放送受信機の構成を図2に示す。放送局より電波で送信される放送信号は、アンテナ1から入り、チューナ2で選局及び周波数変換されて中間周波(IF)信号となる。
【0004】
チューナ2より出力されるIF信号は、IFAMP初段11に入り、増幅される。なお、IFAMP初段11のゲインは、後述する帰還回路12によって制御される。
【0005】
IFAMP初段11は、IFフィルタ3及び5と、抵抗R1〜R3と、コンデンサC1と、NPN型トランジスタQ4とによって構成される。IFフィルタ3の入力側がIFAMP初段11の入力端となる。IFフィルタ3の出力側は、トランジスタQ4のベースに接続されるとともに、抵抗R1を介して接地され、抵抗R2を介して直流電源+Bに接続される。トランジスタQ4のコレクタは、IFフィルタ5の入力側に接続されるとともに、抵抗R3を介して直流電源+Bに接続される。なお、IFフィルタ5の出力側は、IFAMP初段11の出力端となる。抵抗R2と抵抗R3との共通接続点にコンデンサC1の一端が接続される。コンデンサC1の他端は接地される。トランジスタQ4のエミッタは、後述する帰還回路12の出力端に接続されるとともに、抵抗R4を介して接地される。
【0006】
IFAMP初段11から出力される信号は、中間周波増幅・検波部6に入り、中間周波増幅・検波部6において、IF増幅された後、放送信号が検波されて検波出力信号となり次段のRDSデコーダ7に送出される。
【0007】
中間周波増幅・検波部6は、信号検出回路6aと、SD端子6bと、L端子6cと、R端子6dと、ベースが信号検出回路6aの出力側に接続されコレクタがSD端子6bに接続されエミッタが接地されるNPN型トランジスタTr1とを具備している。SD端子6bは、抵抗R7を介して直流電源+Bに接続され、バイパスコンデンサC2を介して接地され、マイクロコンピュータ8が具備するSD端子8aに接続される。信号検出回路6aは、検波出力信号に基づいて、アンテナ1から入る放送電波の信号の強度(アンテナ入力レベル)が所定のレベル以上であるか否を判定する。アンテナ入力レベルが所定のレベル未満であれば、信号検出回路6aはトランジスタTr1をオフにするので、SD端子6bはHighレベルとなり、これに伴ってSD端子8aもHighレベルとなる。一方、アンテナ入力レベルが所定のレベル以上であれば、信号検出回路6aはトランジスタTr1をオンにするので、SD端子6bはLowレベルとなり、これに伴ってSD端子8aもLowレベルとなる。マイクロコンピュータ8はSD端子8aに入力される信号をオートチューニング用制御信号として用いる。アンテナ入力レベルが所定のレベル以上の強度であれば、SD端子8aに入力される信号はHighレベルからLowレベルに変化し、マイクロコンピュータ8はこの変化を検出すると、オートチューニングストップの命令をチューナ2にする(マイクロコンピュータ8からチューナ2への制御ラインは不図示)。また、L端子6cからLチャンネル用音声信号が出力され、R端子6dからRチャンネル用音声信号出力される。
【0008】
RDSデコーダ7は、中間周波増幅・検波部6から出力される検波出力信号に含まれているRDS信号をデコードしてデータ信号DATAとして出力するとともにクロック信号CLKも出力する。また、RDSデコーダ7から出力されるデータ信号DATAとクロック信号CLKはマイクロコンピュータ8に入る。マイクロコンピュータ8は、データ信号DATAをクロック信号CLKに従って処理し、表示装置9に表示データとして出力する。表示装置9は、マイクロコンピュータ8から出力される表示データに基づいて文字・数字・記号などのキャラクタデータからなる情報を表示する。
【0009】
RDSデコーダ7は、RDS識別回路7aと、RDS識別端子7bと、ベースがRDS識別回路7aの出力側に接続されコレクタがRDS識別端子7bに接続されエミッタが接地されるNPN型トランジスタTr2とを具備している。RDS識別回路7aは、検波出力信号に基づいて、現在の受信放送がRDS放送であるか否かを判定する。現在の受信放送がRDS放送でない場合やRDS放送電波であってもアンテナ入力レベルがRDSデータの表示ができない程度の微弱な状態である場合には、RDS識別回路7aは現在の受信放送がRDS放送でないと判定してトランジスタTr2をオフにするので、RDS識別端子7bはHighレベルとなる。一方、現在の受信放送がRDS放送であってかつアンテナ入力レベルがRDSデータの表示ができる状態である場合には、RDS識別回路7aは現在の受信放送がRDS放送であると判定してトランジスタTr2をオンにするので、RDS識別端子7bはLowレベルとなる。RDS識別端子7bの出力信号は帰還回路12に利用される。
【0010】
ここで、帰還回路12の構成について説明する。帰還回路12は、抵抗R6及びR12と、バイパスコンデンサC3と、コンデンサC4と、可変容量ダイオードVC1とによって構成される。コンデンサC3の一端と抵抗R6の一端と抵抗R12の一端との共通接続点が、帰還回路12の入力端となる。コンデンサC3の他端は接地され、抵抗R6の他端は直流電源+Bに接続される。抵抗R12の他端は、可変容量ダイオードVC1のカソード及びコンデンサC4の一端に接続される。可変容量ダイオードVC1のアノードは接地される。また、コンデンサC4の他端が、帰還回路12の出力端となる。
【0011】
続いて帰還回路12の動作について説明する。RDS識別端子7bの出力信号がHighレベルであれば、可変容量ダイオードVC1に直流電源+Bより抵抗R6及びR12を介して、逆バイアスが印加され可変容量ダイオードVC1の容量は最小になる。したがって、コンデンサC4と可変容量ダイオードVC1の直列インピーダンスは、負帰還抵抗R4の抵抗値に対して無視できる程度に大きな値になり、トランジスタQ4のエミッタ・グランド間のインピーダンスは、ほぼ負帰還抵抗R4の抵抗値になる。一方、RDS識別端子7bの出力信号がLowレベルであれば、トランジスタTr2がオンになっているので、直流電源+Bより抵抗R6とトランジスタTr2を介してグランドに流れるルートが形成される。その結果、可変容量ダイオードVC1はバイアス電圧がかからないゼロバイアス状態となり、可変容量ダイオードVC1の容量は最大値になる。したがって、コンデンサC4と可変容量ダイオードVC1の直列インピーダンスは、負帰還抵抗R4の抵抗値に対して無視できない程度に小さな値になる。そして、コンデンサC4と可変容量ダイオードVC1とから成る直列回路が負帰還抵抗R4と並列になっているので、トランジスタQ4のエミッタ・グランド間のインピーダンスは、負帰還抵抗R4の抵抗値より小さくなる。トランジスタQ4のエミッタ・グランド間のインピーダンスが小さくなると、IFAMP初段11の負帰還量が小さくなり、IFAMP初段11のゲインが大きくなる。したがって、RDS識別端子7bの出力信号がHighレベルからLowレベルに変化すると、IFAMP初段11のゲインが上昇する。
【0012】
このように図2のRDS放送受信機は、放送電波の強度がRDS表示のために必要なアンテナ最小入力レベル時、すなわちスレッシュレベル時に一旦RDS表示ができたら、RDS識別端子7bの出力信号によってIFAMP初段11のゲインを上昇させて、スレッシュレベルから逃れ、RDS表示が不安定になることを防止していた。
【0013】
【特許文献1】
特許第3216798号公報 (第1図)
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
上述したSD端子6bとRDS端子7bは、共にアクティブローの端子である。信号検出回路6aによって、アンテナから入る放送信号が検出され、所定のレベル、すなわちオートチューニングストップが可能なレベルであると判定されたら、SD端子6bはHighレベルからLowレベルの電位になる。SD端子6bの電位がHighレベルからLowレベルになるアンテナ入力レベルをSD感度とする。
【0015】
また、RDS識別回路7aによって、RDSデータが所定のレベル、すなわちRDS表示が可能なレベルであると判定されたら、RDS識別端子7bはHighレベルからLowレベルの電位になる。RDS識別端子7bの電位がHighレベルからLowレベルになるアンテナ入力レベルをRDS感度とする。
【0016】
図2のRDS受信装置において、SD感度とRDS感度とは全く同一でなく、いくらか感度差があり、通常図3に示すようにSD感度の方がRDS感度より良い(小さい)。なお、図3中のSSDはSD端子6bの出力信号レベル波形を示し、SRDSはRDS識別端子7bの出力信号レベル波形を示し、SENSDはSD感度を示し、SENRDSはRDS感度を示し、ΔSENは感度差を示している。
【0017】
SD感度−RDS感度間のアンテナ入力レベルの範囲においては、オートチューニングステップはできるが、RDS表示ができない範囲が生じる。なお、RDS感度よりも大きいアンテナ入力レベルであれば、オートチューニングストップができかつRDS表示もできる。
【0018】
アンテナ入力レベルがオートチューニングストップはできるが、RDS表示ができない範囲となる地域や場所において放送受信した場合、リスナー(視聴者)がRDS表示されないことに違和感を持ち続け受信機が故障していると勘違いすることがある。また、受信機が故障していると勘違いしないリスナー(視聴者)であっても、今受信している放送局はオートチューニングステップできるレベルにあるのだから、RDS表示も出来てほしいがRDS表示が出来ていないという不満を有している。
【0019】
さらにRDS表示が出来たり出来なかったりを繰り返すRDS感度のスレッシュレベルでの不安定受信を防止することも従来通り必要である。
【0020】
本発明は、上記の問題点に鑑み、ラジオ放送に多重される情報を一旦キャッチアップしたときは当該情報の不安定な受信を防止することができかつリスナー(視聴者)に違和感を与えない放送波受信装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る放送波受信装置においては、放送受信信号を中間周波信号に変換するチューナ手段と、前記チューナ手段より出力される中間周波信号を増幅する可変利得増幅手段と、前記可変利得増幅手段からの出力信号に基づいて受信した放送が多重放送であるか否かを判定して判定信号を出力する多重放送判定手段と、前記可変利得増幅手段からの出力信号に含まれる文字等の情報を復調する情報復調手段と、前記情報復調手段からの出力信号に基づいて文字等の情報を表示する表示手段と、前記放送受信信号の強度を判定する信号検出手段と、前記多重放送判定手段の判定結果及び前記信号検出手段の判定結果に応じて前記可変利得増幅手段の増幅度を制御する制御手段と、を備え
放送受信信号の強度が所定のレベル以上であるが、受信した放送が多重放送でないと判定された場合に、前記制御手段が前記可変利得増幅手段の増幅度を増大させる構成とする。
【0024】
これにより、放送受信信号の強度が所定のレベル以上であることが必要である動作(例えば、オートチューニングストップ)が行えるが、文字等の表示は行えないというような動作状態をなくすことができ、リスナー(視聴者)に違和感を与えないようにすることができる。また、放送受信信号の強度が所定のレベル以上であるが、受信した放送が多重放送でないと判定された場合に、制御手段が可変利得増幅手段の増幅度を十分に増大させることで、文字等の情報の表示が出来たり出来なかったりを繰り返す不安定な受信状態を防止することができる。
【0025】
さらに、放送受信信号の強度が所定のレベル以上であり、かつ受信した放送が多重放送であると判定された場合も、前記制御手段が前記可変利得増幅手段の増幅度を増大させてもよい。
【0026】
これにより、放送受信信号の強度が所定のレベル以上であり、かつ受信した放送が多重放送であると判定された場合においても、文字等の情報の表示が出来たり出来なかったりを繰り返す不安定な受信状態を防止することができる。
【0027】
また、上記いずれかの放送波受信装置において、前記可変利得増幅手段が、第1ゲートに入力される中間周波信号を増幅してドレインから出力するデュアルゲート型電界効果トランジスタを備え、前記制御手段が、前記デュアルゲート型電界効果トランジスタの第2ゲートへの印加直流電圧を可変することで前記可変利得増幅手段の増幅度を制御するようにしてもよい。
【0028】
デュアルゲート型電界効果トランジスタを用いることで以下のような効果を奏する。デュアルゲート型電界効果トランジスタは第1ゲートと第2ゲートとが分離しているため、第1ゲートに信号線を接続し、第2ゲートに制御用の直流バイアスを印加できるという回路構成上の有利さがある。シングルゲート型電界効果トランジスタの場合は、信号と直流バイアスが重畳される結果、動作が不安定になりやすい。また、デュアルゲート型電界効果トランジスタはシングルゲート型電界効果トランジスタに比べて逆伝達係数が小さいので、発振などのおそれが全くなく安定した動作が可能である。また、デュアルゲート型電界効果トランジスタは電圧制御型であるので、電流制御型のトランジスタより回路構成を簡素化できる。電流制御型のトランジスタを用いる場合、さらにスイッチングトランジスタを1つ追加しなければならない。また、可変利得増幅手段においては周辺の回路や信号に悪影響を与えないようにすることが望まれるが、電界効果トランジスタは入出力インピーダンスが大きいので、周辺に与える影響がほとんどない。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る放送波受信装置として、ここではRDS放送受信機を例に挙げて説明する。
【0030】
本発明に係るRDS放送受信機の構成を図1に示す。なお、図1において図2と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0031】
放送局より電波で送信される放送信号は、アンテナ1から入り、チューナ2で選局及び周波数変換されて中間周波(IF)信号となる。
【0032】
チューナ2より出力されるIF信号は、IFフィルタ3、抵抗R1、可変利得増幅器4、及びIFフィルタ5から成るIFAMP初段に入り、増幅される。チューナ2の出力側はIFフィルタ3の入力側に接続される。IFフィルタ3の出力側は、抵抗R1を介して接地されるとともに可変利得増幅器4の入力端に接続される。可変利得増幅器4の出力端はIFフィルタ5を介して中間周波増幅・検波部6に接続される。なお、可変利得増幅器4のゲインは、後述するスイッチ回路10によって制御される。
【0033】
可変利得増幅器4は、デュアルゲート型の電界効果トランジスタQ1と、NPN型トランジスタQ2と、抵抗R2〜R5と、抵抗R10及びR11と、バイパスコンデンサC1とによって構成される。電界効果トランジスタQ1の第1ゲートG1が可変利得増幅器4の入力端となる。電界効果トランジスタQ1のドレインDがそのドレインの負荷設定用の抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端が直流電源+Bに接続されているとともにバイパスコンデンサC1を介して接地される。なお、電界効果トランジスタQ1のドレインDと抵抗R3との共通接続点が可変利得増幅器4の出力端となる。電界効果トランジスタQ1のソースSが抵抗R4を介して接地される。電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2がその第2ゲートに対する正のバイアス設定用の抵抗R2を介して直流電源+Bに接続されるともに、抵抗R5を介して接地され、抵抗R11及びトランジスタQ2を介して接地される。また、トランジスタQ2のベースに抵抗R10の一端が接続される。抵抗R2と電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2と抵抗R5と抵抗R11との共通接続点及び抵抗R10の他端にスイッチ回路10が接続される。
【0034】
IFAMP初段から出力される信号は、中間周波増幅・検波部6に入り、中間周波増幅・検波部6において、IF増幅された後、放送信号が検波されて検波出力信号となり次段のRDSデコーダ7に送出される。
【0035】
中間周波増幅・検波部6は、信号検出回路6aと、SD端子6bと、L端子6cと、R端子6dと、ベースが信号検出回路6aの出力側に接続されコレクタがSD端子6bに接続されエミッタが接地されるNPN型トランジスタTr1とを具備している。SD端子6bは、抵抗R7を介して直流電源+Bに接続され、バイパスコンデンサC2を介して接地され、マイクロコンピュータ8が具備するSD端子8aに接続される。信号検出回路6aは、検波出力信号に基づいて、アンテナ1から入る放送電波の信号の強度(アンテナ入力レベル)が所定のレベル以上であるか否を判定する。アンテナ入力レベルが所定のレベル未満であれば、信号検出回路6aはトランジスタTr1をオフにするので、SD端子6bはHighレベルとなり、これに伴ってSD端子8aもHighレベルとなる。一方、アンテナ入力レベルが所定のレベル以上であれば、信号検出回路6aはトランジスタTr1をオンにするので、SD端子6bはLowレベルとなり、これに伴ってSD端子8aもLowレベルとなる。マイクロコンピュータ8はSD端子8aに入力される信号をオートチューニング用制御信号として用いる。アンテナ入力レベルが所定のレベル以上であれば、SD端子8aに入力される信号はHighレベルからLowレベルに変化し、マイクロコンピュータ8はこの変化を検出すると、オートチューニングストップの命令をチューナ2にする(マイクロコンピュータ8からチューナ2への制御ラインは不図示)。また、SD端子6bの出力信号は、スイッチ回路10に利用される。また、L端子6cからLチャンネル用音声信号が出力され、R端子6dからRチャンネル用音声信号出力される。
【0036】
RDSデコーダ7は、中間周波増幅・検波部6から出力される検波出力信号に含まれているRDS信号をデコードしてデータ信号DATAとして出力するとともにクロック信号CLKも出力する。また、RDSデコーダ7から出力されるデータ信号DATAとクロック信号CLKはマイクロコンピュータ8に入る。マイクロコンピュータ8は、データ信号DATAをクロック信号CLKに従って処理し、表示装置9に表示データとして出力する。表示装置9は、マイクロコンピュータ8から出力される表示データに基づいて文字・数字・記号などのキャラクタデータからなる情報を表示する。
【0037】
RDSデコーダ7は、RDS識別回路7aと、RDS識別端子7bと、ベースがRDS識別回路7aの出力側に接続されコレクタがRDS識別端子7bに接続されエミッタが接地されるNPN型トランジスタTr2とを具備している。RDS識別端子7bは、抵抗R6を介して直流電源+Bに接続され、バイパスコンデンサC3を介して接地される。RDS識別回路7aは、検波出力信号に基づいて、現在の受信放送がRDS放送であるか否かを判定する。現在の受信放送がRDS放送でない場合やRDS放送電波であってもアンテナ入力レベルがRDSデータの表示ができない程度の微弱な状態である場合には、RDS識別回路7aは現在の受信放送がRDS放送でないと判定してトランジスタTr2をオフにするので、RDS識別端子7bの出力信号はHighレベルとなる。一方、現在の受信放送がRDS放送であってかつアンテナ入力レベルがRDSデータの表示ができる状態である場合には、RDS識別回路7aは現在の受信放送がRDS放送であると判定してトランジスタTr2をオンにするので、RDS識別端子7bの出力信号はLowレベルとなる。RDS識別端子7bの出力信号はスイッチ回路10に利用される。
【0038】
ここで、スイッチ回路10の構成について説明する。スイッチ回路10は、抵抗R8及びR9と、ダイオードD1及びD2と、PNP型トランジスタQ3とによって構成される。ダイオードD1のアノード及びトランジスタQ3のエミッタが、バイパスコンデンサC3、抵抗R6、及びRDS識別端子7bの共通接続点に接続される。また、トランジスタQ3のベースが抵抗R9を介してダイオードD2のアノードに接続される。そして、ダイオードD1のカソードとダイオードD2のカソードが共通接続され、可変利得増幅器4内の抵抗R10に接続される。さらに、トランジスタQ3のコレクタが、抵抗R8を介して可変利得増幅器4内の抵抗R5と抵抗R11との共通接続点に接続される。
【0039】
続いてスイッチ回路10及び可変利得増幅器4の動作について説明する。まず、信号検出回路6aによってアンテナ入力レベルが所定のレベル未満であると判定され、RDS識別回路7aによって現在の受信放送がRDS放送でないと判定される場合について説明する。この場合、SD端子6bの出力信号とRDS識別端子7bの出力信号はともにHighレベルになるので、トランジスタQ3のベース電流が、抵抗R6、トランジスタQ3、抵抗R9、トランジスタTr1へと流れず、トランジスタQ3はオフ状態となる。その結果、直流電源+Bから出力される直流電圧が、抵抗R6、トランジスタQ3、抵抗R8を介して電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2へ印加されることはない。また、SD端子6bの出力信号とRDS識別端子7bの出力信号はともにHighレベルになるので、ダイオードD1及びD2のカソードがHighレベルになる。そうすると、ダイオードD1及びD2がオン状態となってトランジスタQ2のベース・グランド間は正のバイアスがかかり、トランジスタQ2はオン状態になる。これにより、電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2への印加直流電圧が、直流電源+Bから出力される直流電圧を抵抗R2と抵抗R5、抵抗R11の並列回路とで分圧したものになる。このときの電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2への印加直流電圧を「標準印加直流電圧」とする。
【0040】
次に、信号検出回路6aによってアンテナ入力レベルが所定のレベル以上であると判定されるが、RDS識別回路7aによって現在の受信放送がRDS放送であると判定されない場合について説明する。この場合、SD端子6bの出力信号はLowレベルになり、RDS識別端子7bの出力信号はHighレベルになるので、トランジスタQ3のベース電流が抵抗R6、トランジスタQ3、抵抗R9、トランジスタTr1へと流れ込み、トランジスタQ3はオン状態となる。その結果、直流電源+Bから出力される直流電圧は、抵抗R2と、抵抗R6、R8から成る回路との並列回路を経由して、電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2へ印加される。したがって、直流電源+Bから出力される直流電圧は、分圧されずに電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2へ印加されることになるので、電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2の印加直流電圧は標準印加直流電圧に比べて上昇する。電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2の印加直流電圧が上昇すれば、電界効果トランジスタQ1の相互コンダクタンス値が大きくなるので、電界効果トランジスタQ1の増幅度が大きくなり、可変利得増幅器4のゲインが大きくなる。また、SD端子6bの出力信号とRDS識別端子7bの出力信号はともにHighレベルになるので、ダイオードD1及びD2のカソードがHighレベルになる。そうすると、トランジスタQ2のベース・グランド間に正のバイアスがかかり、トランジスタQ2はオン状態になる。上記動作によって、現在受信している放送局がオートチューニングステップできるレベルにあれば、RDS表示も出来るようになり、リスナー(視聴者)に違和感を与えないようにすることができる。アンテナ入力レベルは所定のレベルすなわちオートチューニングストップができるレベルにあるのに、後少しのアンテナ入力レベル不足でRDS表示が出来ないRDS局は実際非常に多く、本発明に係るRDS放送受信機を用いることでリスナー(視聴者)はより多くのRDS局をRDS表示が可能な状態で受信できるようになる。また、可変利得増幅器4のゲインを十分に上昇させた状態でRDS放送をキャッチアップするので、RDS表示が出来たり出来なかったりを繰り返すRDS感度のスレッシュレベルでの不安定受信を防止することができる。
【0041】
次に、信号検出回路6aによってアンテナ入力レベルが所定のレベル未満であると判定されるが、RDS識別回路7aによって現在の受信放送がRDS放送であると判定される場合について説明する(普通このような場合はない)。この場合、SD端子6bの出力信号はHighレベルになり、RDS識別端子7bの出力信号はLowレベルになるので、トランジスタQ3のベース電流が、抵抗R6、トランジスタQ3、抵抗R9、トランジスタTr1へと流れず、トランジスタQ3はオフ状態となる。その結果、直流電源+Bから出力される直流電圧が、抵抗R6、トランジスタQ3、抵抗R8を介して電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2へ印加されることはない。また、SD端子6bの出力信号はHighレベルになるので、ダイオードD2のカソードがHighレベルになる。そうすると、ダイオードD2がオン状態となってトランジスタQ2のベース・グランド間は正のバイアスがかかり、トランジスタQ2はオン状態になる。これにより、電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2への印加直流電圧が、直流電源+Bから出力される直流電圧を抵抗R2と抵抗R5、抵抗R11の並列回路とで分圧したものになる。したがって、この場合の電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2への印加直流電圧は標準印加直流電圧と一致する。信号検出回路6aによってアンテナ入力レベルが所定のレベル未満であると判定されるが、RDS識別回路7aによって現在の受信放送がRDS放送であると判定される場合は普通起こらないので、このような場合は上記動作から明らかなように、RDS表示が出来たり出来なかったりを繰り返すRDS感度のスレッシュレベルでの不安定受信の防止を行っていない。
【0042】
最後に、信号検出回路6aによってアンテナ入力レベルが所定のレベル以上であると判定され、RDS識別回路7aによって現在の受信放送がRDS放送であると判定される場合について説明する。この場合、SD端子6bの出力信号とRDS識別端子7bの出力信号はともにLowレベルになるので、トランジスタQ3のベース電流が、抵抗R6、トランジスタQ3、抵抗R9、トランジスタTr1へと流れず、トランジスタQ3はオフ状態となる。その結果、直流電源+Bから出力される直流電圧が、抵抗R6、トランジスタQ3、抵抗R8を介して電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2へ印加されることはない。また、SD端子6bの出力信号とRDS識別端子7bの出力信号はともにLowレベルになるので、ダイオードD1及びD2のカソードがLowレベルになる。そうすると、トランジスタQ2のベース・グランド間はゼロバイアスとなり、トランジスタQ2はオフ状態になる。これにより、電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2への印加直流電圧が、直流電源+Bから出力される直流電圧を抵抗R2と抵抗R5だけとで分圧したものになる。抵抗R5の抵抗値は抵抗R5、抵抗R11の並列回路の合成抵抗値より大きいので、電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2への印加直流電圧は標準印加直流電圧に比べて上昇する。電界効果トランジスタQ1の第2ゲートG2の印加直流電圧が上昇すれば、電界効果トランジスタQ1の相互コンダクタンス値が大きくなるので、電界効果トランジスタQ1の増幅度が大きくなり、可変利得増幅器4のゲインが大きくなる。このように、一旦RDS放送をキャッチアップすると、可変利得増幅器4のゲインが上昇するので、RDS表示が出来たり出来なかったりを繰り返すRDS感度のスレッシュレベルでの不安定受信を防止することができる。
【0043】
なお、SD端子6bの出力信号がLowレベルかつRDS識別端子7bの出力信号がHighレベルの場合と、SD端子6bの出力信号がLowレベルかつRDS識別端子7bの出力信号がLowレベルの場合とで、電界効果トランジスタQ1の第2ゲートへの印加直流電圧が同じ電圧値になるように設定する。
【0044】
上記動作説明を表にまとめたものを図4に示す。図4では、SD端子6aの出力信号レベル及びRDS識別端子7bの出力信号レベルに対するトランジスタQ2及びQ3のオン/オフ状態並びに電界効果トランジスタQ1の増幅状態を示している。
【0045】
【発明の効果】
本発明によると、ラジオ放送に多重される情報を一旦キャッチアップしたときは当該情報の不安定な受信を防止することができかつリスナー(視聴者)に違和感を与えない放送波受信装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るRDS放送受信機の構成を示す図である。
【図2】 従来のRDS放送受信機の構成を示す図である。
【図3】 SD端子の出力信号レベルとRDS識別端子の出力信号レベルを示す図である。
【図4】 SD端子の出力信号レベル及びRDS識別端子の出力信号レベルに対するスイッチ回路内のトランジスタの状態及び可変増幅器内のトランジスタの状態を示す図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 チューナ
4 可変利得増幅器
6 中間周波増幅・復調部
6a 信号検出回路
6b SD端子
7 RDSデコーダ
7a RDS識別回路
7b RDS識別端子
8 マイクロコンピュータ
9 表示装置
10 スイッチ回路

Claims (3)

  1. ラジオ放送に多重される情報を受信する放送波受信装置であって、
    放送受信信号を中間周波信号に変換するチューナ手段と、
    前記チューナ手段より出力される中間周波信号を増幅する可変利得増幅手段と、
    前記可変利得増幅手段からの出力信号に基づいて受信した放送が多重放送であるか否かを判定して判定信号を出力する多重放送判定手段と、
    前記可変利得増幅手段からの出力信号に含まれる文字等の情報を復調する情報復調手段と、
    前記情報復調手段からの出力信号に基づいて文字等の情報を表示する表示手段と、
    前記放送受信信号の強度を判定する信号検出手段と、
    前記多重放送判定手段の判定結果及び前記信号検出手段の判定結果に応じて前記可変利得増幅手段の増幅度を制御する制御手段と、
    を備え
    放送受信信号の強度が所定のレベル以上であるが、受信した放送が多重放送でないと判定された場合に、前記制御手段が前記可変利得増幅手段の増幅度を増大させることを特徴とする放送波受信装置。
  2. 放送受信信号の強度が所定のレベル以上であり、かつ受信した放送が多重放送であると判定された場合も、前記制御手段が前記可変利得増幅手段の増幅度を増大させる請求項1に記載の放送波受信装置。
  3. 前記可変利得増幅手段が、第1ゲートに入力される中間周波信号を増幅してドレインから出力するデュアルゲート型電界効果トランジスタを備え、
    前記制御手段が、前記デュアルゲート型電界効果トランジスタの第2ゲートへの印加直流電圧を可変することで前記可変利得増幅手段の増幅度を制御する請求項1又は請求項2に記載の放送波受信装置。
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