JP3994794B2 - 耐衝撃性包材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐衝撃性樹脂層を含む積層構成の包装材料を使用した包装袋に関するものであり、さらに詳しくは低温下での落下衝撃による破袋やピンホールを防止する耐衝撃性包材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食品包装分野においては、従来からプラスチックフィルムによる包装が多く用いられている。特に米等穀類の重量物を収納する袋は、流通面での製品保護、更に販売促進に重要な美麗な印刷をほどこす為、強度的に強く、印刷適性も良い延伸プラスチックフィルムからなる基材と熱接着性フィルムとを剥離しないように、強力な接着剤を用いてラミネートした積層材料が多く用いられている。
【0003】
しかしながら、落下等により強い衝撃が加わった場合、その強力な接着強度が災いして基材の前記延伸プラスチックフィルムの裂けとともに前記熱接着性フィルムも一緒に避けてしまい、収納している製品が袋からこぼれ出てしまうという問題があった。
【0004】
その対策として、例えば特許2548782号は、前記延伸プラスチックフィルム上に、該延伸プラスチックフィルム周縁のヒートシール部を除いて印刷インキ層を設け、該印刷インキ層上に接着層を介して、前記熱接着性フィルムを設けてなる積層材料を、他の積層材料と重ね合わせて周縁をヒートシールしてなる包装袋であって、前記延伸プラスチックフィルム上の印刷インキ層を設けた面と前記熱接着性フィルムとの層間の接着強度が、300mN/15mmから3,000mN/15mmであることを特徴とする米等穀類を収納する重量物包装袋の提案がなされている。
【0005】
すなわち、基材である前記延伸プラスチックフィルムと前記熱接着性フィルムとの層間の接着強度を通常の強度より弱めることにより、落下等により強い衝撃が加わった場合、該延伸プラスチックフィルムと該熱接着性フィルムとの層間剥離を発生させて、該延伸プラスチックフィルムの裂けにつられて該熱接着性フィルムも一緒に避けてしまう現象を防止する提案である。
【0006】
また、実開平1−141234号は、前記延伸フィルムと無延伸フィルムとを主体とした積層構成のシート材よりなる包装袋であって、前記両フィルムの周縁シール部を除いた、前記両フィルムのラミネート接着面には、接着剤により部分的に接着した接着部と未接着部とをパターン状に設けることを特徴とする米等穀類を収納する重量物包装袋の提案がなされている。
【0007】
すなわち、前記特許2548782号と同様に米等穀類の重量物を収納する包装袋に関するもので、例えば前記延伸フィルムが2軸延伸ナイロン(O−Ny)フィルムで前記無延伸フィルムがポリエチレンフィルムとし、両フィルムをドライラミネート用接着剤で積層した包装材料よりなる包装袋であって、前記両フィルムの周縁部に完全接着したヒートシール部を設け、周縁部を除いた部分には、接着剤により、部分的に接着した接着部と未接着部とをパターン状に設けることにより、落下衝撃などの負荷により基材の前記2軸延伸ナイロンフィルムの引裂きが発生した場合、前記両フィルムの接着剤による、接着部では引裂きが発生しても、未接着部では、前記2軸延伸ナイロンフィルムの引裂きにつられてポリエチレンフィルムが引裂かれる進行が一旦停止するので全体的な引裂き強度も向上する米等穀類を収納する重量物包装袋の提案がなされている。
【0008】
上記のような米等穀類の重量包装袋の場合は、生産地から精米所を経て保管倉庫に入庫し、更に消費者の手元に渡るまでの流通において、極度な低温環境にさらされることがない常温流通を主体としている。
【0009】
このような常温流通環境下における米等穀類の重量包装袋においては、前記特許2548782号のように、延伸プラスチックフィルム上に、該延伸プラスチックフィルム周縁のヒートシール部を除いて美麗な印刷を施し、印刷インキ層上に接着剤を塗布して熱接着性フィルムを積層してなる積層材料を、他のフィルムと重ね合わせて周縁をヒートシールしてなる包装袋であって、延伸プラスチックフィルムと熱接着性フィルムとの印刷インキ層を設けた部分の層間の接着強度が、300mN/15mmから3,000mN/15mmであることを特徴としたプラスチック包装袋は、生産地から消費者に渡り、消費される間の落下衝撃等による破袋やピンホールを防止する効果はある。
【0010】
同様に前記実開平1−141234号による提案のように、延伸フィルムと無延伸フィルムとを主体とした積層構成のシート材よりなる包装袋であって、前記両フィルムの周縁部に完全接着したヒートシール部を設け、該周縁シール部を除いた部分には、接着剤により部分的に接着した接着部と未接着部とをパターン状に設けることを特徴とする米等穀類を収納する重量物包装袋に関しても、生産地から消費者に渡り、消費される間の落下衝撃等による破袋やピンホールを防止する効果はある。
【0011】
しかしながら、冷凍食品や製氷物等の包装に利用した場合は、流通環境が常温流通から、主に低温流通環境になるため、特に製品を大量に長期保管する冷凍倉庫などではかなりの低温環境になり、プラスチックフィルムからなる包装材料は低温下になればなるほど、柔軟性を失い硬く、脆くなる性質があり、包装袋に収納されている製品の形状や、生産現場から消費者にわたる間の流通過程において、製氷物のような場合は、鋭角状の内容物が混ざっている場合もあり、輸送中の振動等によって包装袋が裂けたり、或いは荷扱いの悪さによる落下衝撃によって破袋やピンホールが発生する。
【0012】
従って、前記特許2548782号や前記実開平1−141234号に提案されている米等穀類を収納する重量物包装袋の従来技術では、冷凍食品や製氷物等のような低温流通環境下での包装袋にはなり得ない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は係る従来技術の問題点を解決するものであり、冷凍食品や鋭角状の内容物が混ざっている製氷物を収納する包装袋において、低温流通環境下でも、輸送中の振動等によって包装袋が裂けたり、或いは荷扱いの悪さによる落下衝撃によって破袋やピンホールが発生することのない、耐衝撃性包材を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1に係る発明は、合成樹脂層からなる基材1の片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を設け、該印刷インキ層5上に、前記印刷インキ層5に用いられる希釈剤であるメジウム或いはレジウサーの樹脂又は該樹脂の助剤の一つであるコンパウンドを添加した樹脂を含む耐衝撃性樹脂層2を設け、更に該耐衝撃性樹脂層2上面にシーラント層を設けてなることを特徴とする耐衝撃性包材である。
【0015】
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1記載の耐衝撃性包材において、前記耐衝撃性
樹脂層が、印刷インキ層のみに設けたことを特徴とする耐衝撃性包材である。
【0016】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2の耐衝撃性包材同士を用い、前記包材のシーラント層を内面して重ね合わせ周縁にヒートシール部を設けたことを特徴とする包装袋である。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を図1から図4に基づいて実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
図1は、合成樹脂層からなる基材1の片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を設け、該印刷インキ層5上より、該基材1上面全面に耐衝撃性樹脂層2を設け、更に該耐衝撃性樹脂層2上面に接着層3を介してシーラント層4を設けてなる耐衝撃性包材6の断面図である。
【0023】
図2は、合成樹脂層からなる基材1の片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を設け、更に該印刷インキ層5上面のみに耐衝撃性樹脂層2を設け、該耐衝撃性樹脂層2上より、該基材1上面全面に接着層3を介してシーラント層4を設けてなる耐衝撃性包材8の断面図である。
【0024】
図3は、前記耐衝撃性包材6同士を前記シーラント層4を内面にして重ね合わせ、周縁に設けたシール部7をヒートシール方法により作成した包装袋の側断面図である。
【0025】
図4は、前記耐衝撃性包材6同士を前記シーラント層4を内面にして重ね合わせ、四方の周縁に設けたシール部7をヒートシール方法により作成した包装袋の平面図である。
【0026】
図1において、本発明に用いる前記基材1は、包装材料として要求される諸性質である保護性(破裂強さなどの力学的強さ、酸素などのバリア性、耐寒性などの安定性)、作業性(包装機械適性など)、便利性(開封性など)、商品性(印刷適性など)、経済性(価格、輸送保管性など)、安全・衛生性(無毒、易廃棄性など)が満足されれば特に制約はないが、例えば通常のポリアミド(Ny)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂のいずれか一種の合成樹脂からなる1軸、又は2軸延伸フィルムか、或いは塩化ビニリデンをコートした2軸延伸ポリプロピレンフィルム(KOP)を用いることができる。
【0027】
次に、基材1の厚みは、包装袋の大きさ、収納する内容物の種類、形状、重量、保存期間、包装機械適性などにより適宜決定されるが、12μmから25μmの範囲が好ましい。
【0028】
次に、前記基材1の片面上には販売促進効果を向上させるなどの理由で美麗な印刷インキ層5を設ける。印刷方式はフレキソ印刷やグラビア印刷方式を用いるが、美麗な印刷を施すのには、グラビア印刷方式が好ましい。前記印刷インキ層5は適宜形状をパターン状に設けてもよいし、全面ベタ状に設けてもよい。該印刷インキ層5により、包材を用いて包装される内容物に関する商品情報や絵柄、彩色、或いは意匠柄など適宜印刷画像が表示される。
【0029】
次に、グラビア印刷インキはインキに色彩を与える染料、顔料と該染料、顔料を微細な粒子に分散・保持しつつ、被印刷体に固着させるビヒクル、更にインキの諸物性を向上させる助剤からなっている。色材としては、包装用の場合は、耐候性の良い顔料が好ましい。
【0030】
次に、ビヒクルの主成分である樹脂と有機溶剤は、基材1の種類と印刷スピードなどに関係し、それに対応して適宜選択する。まず、樹脂は天然樹脂、合成樹脂を問わず、有機溶剤に溶解してワニス化が可能な樹脂なら特に制約はないが、例えばニトロセルロース系、ポリアミド系、塩酢ビ系、ウレタン系、塩素化オレフィン系の樹脂を任意に選択する。
【0031】
次に、有機溶剤としては、樹脂を安定して溶解し顔料の分散性、インキの流動性を保持し、かつ印刷の版からインキの適正量を転移できれば特に、制約されるものではないが、例えば炭化水素系、エステル系、ケトン系などの溶剤を単体かもしくは数種混合して用いる。
【0032】
次に、助剤はグラビアインキ中に少量添加し、該インキ性能を向上させるものが用いられるが、主に顔料の分散性、発色性向上や沈殿防止、流動性の改良を目的に界面活性剤の添加や、樹脂の接着性向上のために可塑剤を混ぜるのが一般的である。
【0033】
次に、前記印刷インキ層5における、インキ塗布量は通常のグラビア印刷と同じでよく、例えばグラビア印刷の通常の版深である35μm程度を用いれば良い。また、該印刷インキ層5は、包装袋の周縁シール部7のシール強度を確保し、包装袋としての役割を果たすために、基材1の片面上に、該基材1周縁シール部7を除いて設けることが必要である。
【0034】
次に、基材1の片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて設けた前記印刷インキ層5上より、該基材1上面全面に低温流通環境下でも落下衝撃などに強く、包装袋の破袋やピンホールを防止する耐衝撃性樹脂層2を設ける。該耐衝撃性樹脂層2には、印刷インキ層5に用いられる希釈剤であるメジウムやレジウサーの樹脂を単体か、これらの樹脂を任意に数種ブレンドした樹脂又は該樹脂に助剤の一つであるコンパウンドの添加量の割合を任意に変えて添加した樹脂を用いる。
【0035】
次に、前記耐衝撃性樹脂層2に用いられる希釈剤であるメジウムやレジウサーの樹脂としては、さらに詳しくは、天然樹脂、合成樹脂を問わず、有機溶剤に溶解する樹脂なら特に制約はないが、例えばニトロセルロース系、ポリアミド系、塩酢ビ系、ウレタン系、塩素化オレフィン系などの樹脂を用いることが好ましい。
【0036】
次に、前記耐衝撃性樹脂層2に用いられる希釈剤であるメジウムやレジウサーの樹脂に添加する助剤の一つであるコンパウンドの添加量の割合は3%から5%程度添加することが好ましい。
【0037】
次に、前記耐衝撃性樹脂層2をコーティングする方法は、該耐衝撃性樹脂としてニトロセルロース系、ポリアミド系、塩酢ビ系、ウレタン系、塩素化オレフィン系の樹脂単体か、これらの樹脂を任意に数種ブレンドした樹脂又は該樹脂にコンパウンドを3%から5%程度添加した樹脂を有機溶剤で溶解して、グラビアコーティング方式、リバースコーティング方式、リバースロールコーティング方式などの各種の方法でコーティングすることができるが、該耐衝撃性樹脂層2は、図2に示すように、合成樹脂層からなる基材1の片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を設け、更に該印刷インキ層5上面のみに耐衝撃性樹脂層2を設け、該耐衝撃性樹脂層2上より、該基材1上面全面に接着層3を介してシーラント層4を設けてなる耐衝撃性包材8を作成する場合は、包装袋の周縁シール部7のシール強度を十分に確保し、包装袋としての役割を十分果たす目的のため、パターンコートができるグラビアコーティング方式が好ましい。
【0038】
次に、前記耐衝撃性樹脂層2と前記シーラント層4をラミネートする方式は、前記接着層3としてドライラミネーション用の接着剤を用いて行うドライラミネーション方式、また低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、アイオノマー樹脂などを用いて溶融押出した樹脂を前記接着層3としての役割を果たすエクストルージョンラミネーション方式、更に前記接着層3としてホッメルト接着剤を用いるホッメルトラミネーションなどがあるが、接着性、耐寒性などを配慮してドライラミネーション方式が好ましい。
【0039】
次に、前記耐衝撃性樹脂層2と前記シーラント層4をラミネートする前記接着層3に用いるドライラミネーション用接着剤はウレタン系、変性ブタジエン系、アルキルチタネート系などを用いることができるが、接着性、耐寒性、柔軟性などが必要であるのでウレタン系が好ましく、必要に応じて接着剤促進剤などを添加して用いる。
【0040】
次に、前記シーラント層4が直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂、無延伸ポリプロピレン(CPP)樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−酢酸ビニルアルコール共重合体(EVOH)樹脂などを用いることができるが、低温環境条件下でも各種の低温適応性があることが必要である。例えば柔軟性、耐ストレスクラッキング性などが特に求められる。更に包装機械適性なども必要であるので直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)がより好ましい。
【0041】
以上のように前記基材1の片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を設け、該印刷インキ層5上より、該基材1上面全面に設ける耐衝撃性樹脂層2としては、前記印刷インキ層5の希釈剤であるメジウムやレジウサーの樹脂単体か、これらの樹脂を任意に数種ブレンドした樹脂又は該樹脂に3%から5%程度のコンパンドを添加した樹脂を用いる。更に、該耐衝撃性樹脂層2上面にドライラミネーション用接着剤からなる接着層3を介して、シーラント層4を設けて耐衝撃性包材6を作成する。
【0042】
上記のような方法で作成した耐衝撃性包材6の基材1とシーラント層4との間のラミネート強度は、従来のような耐衝撃性樹脂層2が介在していない場合より、適度に低下し、シーラント層4が本来持っている柔軟性を活かすことでき、低温下での落下などによる破袋やピンホールを最小限におさえることができる。しかしながら、反面前記耐衝撃性樹脂層2が包装袋の周縁シール部7にも介在している為、ラミネート強度の低下が包装袋の周縁シール部7のシール強度にも影響し、従来よりヒートシール強度が若干低下する現象が見られる。
【0043】
そこで、図2のような合成樹脂層からなる基材1の片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を設け、更に該印刷インキ層5上面のみに、印刷インキ層5に用いられる希釈剤であるメジウムやレジウサーの樹脂単体か、これらの樹脂を任意に数種ブレンドした樹脂又は該樹脂に3%から5%程度のコンパンドを添加した樹脂をパターンコーティングして耐衝撃性樹脂層2を設け、更に該耐衝撃性樹脂層2上より、該基材1上面全面にドライラミネーション用接着剤からなる接着層3を介してシーラント層4を設けて耐衝撃性包材8を作成する。
【0044】
この場合の耐衝撃性包材8の基材1とシーラント層4との間のラミネート強度は、図1の耐衝撃性包材6と同様に従来のように耐衝撃性樹脂層2が介在していない場合より、適度に低下し、シーラント層4が本来持っている柔軟性を活かすことでき、低温下での落下などによる破袋やピンホールを最小限におさえることができる。
【0045】
更に、前記耐衝撃性樹脂層2を包装袋の周縁シール部7から除くことによって、該耐衝撃性樹脂層2が周縁シール部7に介在しておらず、直接基材1面とシーラント層4面が接着層3を介して結合している為、シール部7以外のラミネート強度の低下が包装袋の周縁シール部7のヒートシール強度には影響せず、シール強度の低下現象を防止することができる。
【0046】
【実施例】
上記発明の耐衝撃性樹脂層2に用いる各種樹脂別による耐衝撃性包材と従来のような耐衝撃性樹脂層2のない包材とを作成し、物性強度(ラミネート強度、突刺強度、引裂強度)と包装袋の落下テストによる破袋状況を具体的な実施例と比較例に基づいて説明する。
【0047】
<実施例1>
図1に示すように、基材1として、2軸延伸ナイロン(ONy)フィルムである厚みが15μmのユニチカ(株)製の商品名「ユニチカONU」を用いた。次に、印刷インキ層5には、ウレタン系樹脂からなる東洋インキ製造(株)製の商品名「NEWLPスーパーR631A白N」のグラビア印刷インキを使用し、版深35μmのグラビア半べた版にて前記基材1である2軸延伸ナイロン(ONy)フィルム片面上に、該基材1周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を形成した。
【0048】
次に、前記印刷インキ層5上より、該基材1上面全面に、ウレタン系樹脂からなる東洋インキ製造(株)製の商品名「NEWLPスーパーRメジウム」を版深25μmのグラビアベタ版でコーティングして耐衝撃性樹脂層2を形成した。
【0049】
次に、前記耐衝撃性樹脂層2上面に通常のウレタン系のドライラミネーション用接着剤、又はノンソルラミネーション用接着剤(東洋モートン(株)製の商品名ADN369等)を2g/m2 程度塗布し接着層3を形成した。
【0050】
次に、ドライラミネーション法により、前記接着層3を介してシーラント層4である厚みが50μmの東セロ(株)製の商品名「TUXFCS」の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)フィルムを積層して耐衝撃性包材6を作成した。
【0051】
以上のような構成からなる耐衝撃性包材6を、450×300mmの大きさに2枚断裁し、該耐衝撃性包材6の前記シーラント層4である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)フィルム面を内側にして重ね合わせ、周囲をヒートシールして包装袋を作成した。この包装袋に3cm角の製氷を5kg収納、密封し、高さ1.2mの位置から水平に地上に5回落下させ、破袋の有無を観察した結果、表1に示すように包装袋の落下テストでの破袋は無かった。尚、落下テストに用いた前記耐衝撃性包材6の基材1とシーラント層4との間のラミネート強度は4,100mN/15mm、突刺強度は12.7N、引裂強度は4,700mNの値であった。
【0052】
<実施例2>
次に、実施例2として、前記耐衝撃性樹脂層2に、東洋インキ製造(株)製の商品名「マット剤500」を3%添加したウレタン系樹脂からなる東洋インキ製造(株)製の商品名「NEWLPスーパーRメジウム」を用いた。その他は実施例1と同様な方法で耐衝撃性包材6を作成し、同様な方法でテストを行った結果、表1に示すように包装袋の落下テストでの破袋は無かった。尚、落下テストに用いた前記耐衝撃性包材6の基材1とシーラント層4との間のラミネート強度は1,800mN/15mm、突刺強度は15.7N、引裂強度は8,500mNの値であった。
【0053】
<実施例3>
次に、実施例3として、前記基材1片面上に形成する前記印刷インキ層5を、ウレタン系樹脂からなる東洋インキ製造(株)製の商品名「NEWファインR631白」に変更した。該印刷インキ層5上より、該基材1上面全面に、ウレタン系樹脂からなる東洋インキ製造(株)製の商品名「NEWファインRメジウム」を設けた。その他は実施例1と同様にして、耐衝撃性包材6を作成し、同様な方法でテストを行った結果、表1に示すように包装袋の落下テストでの破袋は無かった。尚、落下テストに用いた前記耐衝撃性包材6の基材1とシーラント層4との間のラミネート強度は3,100mN/15mm、突刺強度は14.7N、引裂強度は7,000mNの値であった。
【0054】
<比較例1>
比較例1として、前記基材1片面上に、該基材周縁のシール部7を除いて印刷インキ層5を設け、該基材1上面全面に、前記耐衝撃性樹脂層2を形成しないで、その他は実施例1と同様な方法で包装袋を作成し、同様な方法でテストを行った結果、表1に示すように包装袋の落下テストでは破袋が発生した。尚、落下テストに用いた前記包材の基材1とシーラント層4との間のラミネート強度は6,300mN/15mm、突刺強度は9.3N、引裂強度は300mNの値であった。
【0055】
【表1】
Figure 0003994794
【0056】
表1は、本発明において、実施例1(耐衝撃性樹脂層にNEWLPスーパーRメジウムを用いた)、実施例2(耐衝撃性樹脂層にNEWLPスーパーRメジウム+マット剤500を用いた)、実施例3(耐衝撃性樹脂層にNEWファインRメジウムを用いた)及び比較例1(耐衝撃性樹脂層が無い従来の構成)で得られた各々の包材のラミネート強度(mN/15mm)、突刺強度(N)、引裂強度(mN)の値と、前記実施例1、前記実施例2、前記実施例3及び前記比較例1で得られた各々の包材を450×300mmの大きさに2枚断裁し、該包材の前記シーラント層4である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L−LDPE)フィルム面を内側にして重ね合わせ、周囲をヒートシールして包装袋を作成し、該包装袋に3cm角の製氷を5kg収納、密封し、高さ1.2mの位置から水平に地上に5回落下させ、破袋の有無を観察した結果を示す表である。
【0057】
【発明の効果】
本発明は、上記のように、基材の片面上に、該基材周縁のシール部を除いて印刷インキ層を設け、該印刷インキ層上より、該基材上面全面に耐衝撃性樹脂層を設け、更に該耐衝撃性樹脂層上面に接着層を介してシーラント層を設けることにより、該基材とシーラント層との間のラミネート強度を、適度に低下させ、シーラント層が本来持っている柔軟性を活かすことにより、低温環境下での輸送中の振動等によって包装袋が裂けたり、或いは荷扱いの悪さによる落下衝撃によって破袋やピンホールの発生を最小限におさえることができる。更に、前記耐衝撃性樹脂層を包装袋の周縁シール部から除くことによって、直接基材面とシーラント層面が接着層を介して結合している為、シール部以外のラミネート強度の低下が包装袋の周縁シール部のヒートシール強度には影響せず、シール強度の低下のない、従来の包装袋と同じシール強度を有する冷凍食品や鋭角状の内容物が混ざっている製氷物を収納することができる耐衝撃性包材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る耐衝撃性包材6を説明する断面図である。
【図2】本発明に係る耐衝撃性包材8を説明する断面図である。
【図3】本発明に係る耐衝撃性包材6で袋状形態にした側断面図である。
【図4】本発明に係る耐衝撃性包材6で袋状形態にした平面図である。
【符号の説明】
1・・・基材
2・・・耐衝撃性樹脂層
3・・・接着層
4・・・シーラント層
5・・・印刷インキ層
6・・・耐衝撃性包材
7・・・シール部
8・・・耐衝撃性包材

Claims (3)

  1. 合成樹脂層からなる基材の片面上に、該基材周縁のシール部を除いて印刷インキ層を設け、該印刷インキ層上に、前記印刷インキ層に用いられる希釈剤であるメジウム或いはレジウサーの樹脂又は該樹脂の助剤の一つであるコンパウンドを添加した樹脂を含む耐衝撃性樹脂層を設け、更に該耐衝撃性樹脂層上面にシーラント層を設けてなることを特徴とする耐衝撃性包材。
  2. 前記耐衝撃性樹脂層が、印刷インキ層のみに設けたことを特徴とする請求項1記載の耐衝撃性包材。
  3. 請求項1または請求項2の耐衝撃性包材同士を用い、前記包材のシーラント層を内面して重ね合わせ周縁にヒートシール部を設けたことを特徴とする包装袋。
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