JP3994698B2 - セミフレキシブル極細同軸線及びその端末接続方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外径が0.15mm以下の内部導体とその外周に配置された外部導体とを備える同軸線及びその端末接続方法に係り、特に、多数本の金属線からなる横巻シールドの外周に外側めっき層を形成して外部導体とし、シールド特性、可とう性、端末処理性、屈曲特性の向上を図った低コストなセミフレキシブル極細同軸線及びその端末接続方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器、ICテスタ、医療機器の小型化に伴い、それらに適用されている機器電線も細径化が進んでいる。また、機器の高性能化(例えば、画像の高精細化、通信速度の高速化など)に伴い、機器電線には、機器間及び機器内部の伝送において、より高い伝送品質が求められている。
【0003】
特に、医療機器用電線や、パーソナルコンピューター、サーバーなどの内部配線には、細径化の他に厳しいEMI(Electro Magnetic Interference:電磁波障害)ノイズの要求をクリアすることが求められている。現在、実用化されている同軸線は、図5〜図7に示す下記のものが主流である。
【0004】
図5に示す同軸線50は、内部導体51の外周を絶縁体52で被覆し、絶縁体52の外周に、素線径が0.02mm〜0.05mmの多数本の素線53a,53b…をスパイラル状に巻き付けて外部導体53とし、外部導体53をジャケット54で被覆したものであり、横巻シールド構造となっている。
【0005】
図6に示す同軸線60は、同軸線50の外部導体53の外周に、プラスチックテープ61の片面に金属蒸着層62が形成された複合テープ63を巻き付けたものであり、横巻シールド+蒸着テープ構造となっている。
【0006】
図7に示す同軸線70は、外部導体71として、素線径が0.05mm以下の多数本の素線を隙間のない網目状に組んだ編組を用いたものであり、編組シールド構造となっている。
【0007】
また、上述した同軸線は、図8に示すように、複数本の同軸線の外部素線を一括グランド処理するのが一般的である。横巻シールド構造の同軸線50を例にとって説明すれば、端末部の被覆を除去した複数本の同軸線50A,50B…を並列に配列し、露出した外部導体53A,53B…に予備半田を施した後、外部導体53A,53B…を、電子機器などの基板80上のアース接続用パターン81に一括半田接続すると共に、露出した内部導体51A,51B…を、基板80上の信号線接続パターン82A,82B…に半田接続し、複数本の同軸線50A,50B…と基板80を接続している。よって、端末処理の作業性も重要な要求特性である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題 】
しかしながら、従来の同軸線50では、可とう性に優れるものの、横巻シールドを形成する素線53a,53b…間には微小な隙間を生じることがあり、その隙間より信号が漏れるため、ノイズ耐性が弱いという問題がある。また、端末接続時に予備半田などを必要とし、端末接続作業性が悪いという問題もある。
【0009】
従来の同軸線60は、素線53a,53b…間に生じる隙間を金属蒸着層62が形成された複合テープ63により塞ぐ方法であるが、複合テープ63が高価であること、また十分な可とう性を有するためには金属蒸着層62を薄くしなければならず、十分なシールド効果が得られないこと、などの問題がある。また、端末接続時には同軸線50と同様に予備半田が必要であることから、やはり端末接続作業性が悪いという問題がある。
【0010】
従来の編組シールド構造の同軸線70では、外部導体(シールド)71の厚さが横巻シールド構造に比べて厚いため、細径化には不向きであること、また、可とう性に劣ること、素線を小さいピッチで編み込むため製造スピードが他に比べて遅く、製造コストが高いこと、などの問題がある。さらに、シールド71の厚さが同軸線の外径方向に対して不均一であるため、機械的、あるいは熱的にシールド71を取り除く端末処理加工がしにくいなどの問題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、全周波数領域に亘り優れたシールド効果を有し、可とう性、端末処理性に優れ、実用上十分な屈曲特性を持つ低コストなセミフレキシブル極細同軸線を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、電子機器の基板上のアース接続用パターンに、ジャケットによる被覆を除去して露出した外部導体を予備半田なしで半田接続するためのセミフレキシブル極細同軸線であって、該同軸線は、外径が0.147mm以下の内部導体と、内部導体の外周を被覆する絶縁体と、絶縁体の外周に設けられ、多数本の金属線からなる横巻シールドの外周に、厚さが10〜50μmであって、スズ、銀又は半田のいずれかからなる半田接続するための外側めっき層が形成された外部導体と、該外部導体を被覆するジャケットとを備えることを特徴とするセミフレキシブル極細同軸線である。
【0013】
請求項2の発明は、各金属線は、素線径が0.1mm以下で、且つその電気導電率が70%IACS以上であると共に、銅または銅合金線からなる請求項1記載のセミフレキシブル極細同軸線である。
【0014】
請求項3の発明は、各金属線の素線の伸びが1%以上であり、各金属線の外周にはスズめっき又は銀めっきが施された請求項1または2記載のセミフレキシブル極細同軸線である。
【0016】
請求項4の発明は、外径が0.147mm以下の内部導体と、内部導体の外周を被覆する絶縁体と、絶縁体の外周に設けられ、多数本の金属線からなる横巻シールドの外周に、厚さが10〜50μmであって、スズ、銀又は半田のいずれかからなる半田接続するための外側めっき層が形成された外部導体と、該外部導体を被覆するジャケットとを備えるセミフレキシブル極細同軸線を用い、同軸線の端末部のジャケットによる被覆を除去して複数本並列に配列し、各同軸線の露出した外部導体を、電子機器の基板上のアース接続用パターンに、予備半田なしで一括半田接続することを特徴とするセミフレキシブル極細同軸線の端末接続方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0018】
図1は、本発明の好適実施の形態であるセミフレキシブル極細同軸線の断面図を示したものである。
【0019】
図1に示すように、本発明に係るセミフレキシブル極細同軸線1は、例えば、医療機器、電子機器、ICテスタなどに使用されるものである。セミフレキシブル極細同軸線1は、外径φiが0.147mm以下の内部導体2の外周を、フッ素樹脂からなる絶縁体3で被覆し、絶縁体3の外周に、多数本の金属線4a,4b…を所定ピッチでらせん状に横巻きして横巻シールド4を形成し、横巻シールド4の外周に、厚さが少なくとも0.5μm以上の外側めっき層5を形成し、外側めっき層5の外周をジャケット7で被覆したものである。
【0020】
外部導体6は、横巻シールド4と外側めっき層5からなっている。セミフレキシブル極細同軸線1は、内部導体2の外周を絶縁体3で被覆したコア8が1心からなっており、断面が円形状となっている。内部導体2の外径φiは、言い換えれば、36AWG(American Wire Gauge:アメリカ式針金ゲージ)サイズである。
【0021】
内部導体2としては、例えば、スズめっき銅合金線、銀めっき銅合金線からなる素線2a,2b…を撚り合わせた撚り線導体を使用している。
【0022】
絶縁体3としては、例えば、充実フッ素樹脂を使用している。具体的には、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP:Copolymer of Tetrafluoroethylene and Hexafluoropropylene)、四フッ化エチレン・パーフロロプロピルビニルエーテル共重合体(PFA:Copolymer of Tetrafluoroethylene and Perfluoroalkoxy)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE:Copolymer of Ethylene and Tetrafluoroethylene)などが挙げられる。
【0023】
各金属線4a,4b…は、素線径φsが0.1mm以下で、且つその電気導電率が70%IACS(International Annealed Copper Standard:国際軟銅規格)以上であると共に、銅または銅合金線からなっている。また、各金属線4a,4b…の素線の伸びは1%以上であり、各金属線4a,4b…の外周には、例えば、スズめっき又は銀めっきが施されている。
【0024】
国際軟銅規格は、温度20℃において、長さが1m、均一な切断面積が1mm2 の万国標準軟銅の抵抗を1/58Ω=0.017241Ωとし、その導電率を100%としたものである。
【0025】
各金属線4a,4b…の素線径φsを0.1mm以下としたのは、同軸線1の十分な可とう性を保持するためであり、電気導電率が70%IACS以上とした根拠は、金属の電気導電率低下によりシールド効果が低下するため、シールド効果を十分に発揮するために必要であるためである。各金属線4a,4b…の素線の伸びを1%以上としたのは、同軸線1に十分な屈曲特性と、端末加工性を確保させるためである。
【0026】
外側めっき層5としては、例えば、スズ、銀、又は半田からなるものを使用している。厚さが0.5μm以上の外側めっき層5を使用しているのは、同軸線1に十分なシールド効果を持たせると同時に、端末接続時の予備半田を不要にするためである。外側めっき層5の厚さは、より詳細には、10μm以上とするのが好ましい。また、外側めっき層5の厚さの上限値は、あまり厚くするとコストが高くなるので、50μmとするのが好ましい。外側めっき層5の材質をスズ、銀、半田としたのは、一括接続性がよく、また入手性がよいため、安価に製造可能なためである。
【0027】
ジャケット7は、同軸線1の防水や機械的保護のためのものである。ジャケット7としては、例えば、FEPを用いている。
【0028】
次に、本発明に係るセミフレキシブル極細同軸線1の端末接続方法を説明する。同軸線1は、複数本の同軸線の外部導体を一括グランド処理するのが一般的である。
【0029】
図2は、図1に示したセミフレキシブル極細同軸線1の端末接続方法の一例を示す概略図である。
【0030】
図2に示すように、セミフレキシブル極細同軸線1の端末接続方法は、端末部の被覆を除去した複数本の同軸線1A,1B…を並列に配列し、露出した外部導体6A,6B…を、電子機器などの基板80上のアース接続用パターン81に、予備半田なしで一括半田接続すると共に、露出した内部導体2A,2B…を、基板80上の信号線接続パターン82A,82B…に半田接続し、複数本の同軸線1A,1B…と基板80を接続する方法である。
【0031】
同軸線1の端末接続を並列構造としたのは、複数本の同軸線1A,1B…の内部導体2A,2B…と外部導体6A,6B…とを、一括して並列端末接続することにより、著しい端末処理性の向上、シールド効果の向上が図られるためである。
【0032】
このように、本発明に係るセミフレキシブル極細同軸線1A,1B…は、各横巻シールド4A,4B…の外周に、厚さが0.5μm以上の外側めっき層5A,5B…が形成されているので、横巻シールド4A,4B…が外側めっき層5A,5B…によって固定されている。
【0033】
すなわち、従来例の同軸線50,60とは異なり、外側めっき層5A,5B…により、横巻シールド4A,4B…を形成する各金属線間の隙間を埋めているので、予備半田が不要となり、横巻シールド4A,4B…がばらけることもなく、端末接続作業性を著しく向上させることができる。言い換えれば、端末接続の際には、外側めっき層5A,5B…が予備半田の役割を果たしていると言える。
【0034】
次に、本発明に係るセミフレキシブル極細同軸線1のシールド特性、可とう性、端末接続作業性、製造コスト比、屈曲特性を評価するべく、実施例として外側めっき層5としてのスズめっきを用いた6個のサンプルと、比較例として外側めっき層5がない4個のサンプルとを製作した。
【0035】
実施例1の同軸線は、素線径が0.03mmの素線2a,2b…としてのスズめっき銅合金線を7本撚り合わせ、外径φiが約0.092mm(40AWG)の内部導体2とし、素線径φsが0.03mmの金属線4a,4b…としてのスズめっき銅線を25本横巻きして横巻シールド4を形成し、横巻シールド4の外周に外側めっき層5としての厚さが20μmのスズめっき層を形成して外部導体6とし、図1で説明したセミフレキシブル極細同軸線1と同じ構造としたものである。
【0036】
実施例2の同軸線は、実施例1の外側めっき層5を、厚さが10μmのスズ外側めっき層としたものである。
【0037】
参考例1の同軸線は、実施例1の外側めっき層5を、厚さが5μmのスズめっき層としたものである。
【0038】
実施例3の同軸線は、素線径が0.03mmの素線2a,2b…としての銀めっき銅合金線を7本撚り合わせ、外径φiが約0.092mm(40AWG)の内部導体2とし、素線径φsが0.03mmの金属線4a,4b…としての銀めっき銅線を25本横巻きして横巻シールド4を形成し、横巻シールド4の外周に外側めっき層5としての厚さが20μmのスズめっき層を形成して外部導体6とし、図1で説明したセミフレキシブル極細同軸線1と同じ構造としたものである。
【0039】
実施例4の同軸線は、実施例3の外側めっき層5を、厚さが10μmのスズめっき層としたものである。
【0040】
実施例5の同軸線は、素線径が0.03mmの素線2a,2b…としてのスズめっき銅合金線を7本撚り合わせ、外径φiが約0.092mm(40AWG)の内部導体2とし、素線径φsが0.03mmの金属線4a,4b…としてのスズめっき銅合金線を25本横巻きして横巻シールド4を形成し、横巻シールド4の外周に外側めっき層5としての厚さが10μmのスズめっき層を形成して外部導体6とし、図1で説明したセミフレキシブル極細同軸線1と同じ構造としたものである。
【0041】
比較例1の同軸線は、素線径が0.03mmのスズめっき銅合金線を7本撚り合わせ、外径が約0.092mm(40AWG)の内部導体51とし、素線径が0.03mmの素線53a,53b…としてのスズめっき線を25本横巻きして横巻シールド構造の外部導体53とし、図5で説明した同軸線50と同じ構造としたものである。
【0042】
比較例2の同軸線は、比較例1の外部導体53の外周に、プラスチックテープ61の片面に金属蒸着層62としての厚さが0.1μm以上の銅蒸着層が形成された複合テープ63を巻き付けたものであり、図6で説明した同軸線60と同じ構造としたものである。
【0043】
比較例3の同軸線は、比較例1の外部導体53の外周に、プラスチックテープの両面に金属蒸着層としての厚さが0.1μm以上の銅蒸着層が形成された複合テープを巻き付けたものである。
【0044】
比較例4の同軸線は、素線径が0.03mmのスズめっき銅合金線を7本撚り合わせ、外径が約0.092mm(40AWG)の内部導体51とし、素線径が0.03mmの素線53a,53b…としてのスズめっき線により編組シールド構造の外部導体71とし、図7で説明した同軸線70と同じ構造としたものである。
【0045】
以上説明した各試料のシールド特性、可とう性、端末接続作業性、製造コスト比の評価結果を表1に示す。表1では、非常に優れているものを◎、優れているものを○、やや劣っているものを△、劣っているものを×でそれぞれ表している。
【0046】
【表1】
【0047】
まず、シールド特性を評価する。シールド特性は、吸収クランプを用いた測定によっており、各試料の周波数が0.3MHz〜1GHzにおけるノイズの減衰量(dB)で比較した。
【0048】
表1に示すように、実施例1〜5、参考例1は、全周波数領域(0.3MHz〜1GHz)に亘ってノイズの減衰量が最低でも70dB以上と良好であり、特に、実施例3および実施例4では、ノイズの減衰量が90dB以上と最高レベルのシールド特性であることがわかる。実施例3および実施例4は、金属線として電気特性に優れた銀めっき銅合金線を使用しているので、金属線としてスズめっき銅合金線を使用した実施例1、2、参考例1と比較すると、よりシールド特性が良好となるからである。また、可とう性についても、実施例1〜5、参考例1の全てにおいて優れていることがわかる。
【0049】
一方、比較例1〜4は、ノイズの減衰量が50dBから75dBとなっており、シールド特性が悪い。シールド特性は、可とう性とも密接な関係がある。
【0050】
比較例1は、横巻シールド構造なので可とう性には非常に優れているものの、横巻シールドを形成する素線間に微小な隙間を生じることがあるため、ノイズ耐性が弱い。比較例2および比較例3では、素線間に生じる隙間を複合テープによって塞いでいるので、比較例1と比較すればシールド特性がやや向上している。しかし、十分な可とう性を持たせるために複合テープに形成される銅蒸着層を薄くする必要があるので、実施例1〜5、参考例1と比較するとシールド特性が悪い。比較例4は、編組シールド構造なので外部導体が厚く、シールド特性が比較的良好であるものの、可とう性が最も劣っている。
【0051】
端末接続作業性を評価する。端末接続作業性は、図2で説明したように、同軸線の端末を電子機器などの基板に接続する際の作業のしやすさで評価した。
【0052】
実施例1〜5、参考例1は、横巻シールドの外周に形成された外側めっき層によって予備半田が不要となるので、端末接続性が非常に優れていることがわかる。参考例1については、外側めっき層の厚さが5μmと若干薄くなっているので、他の実施例に比べると端末接続作業性がやや劣っている。このことから、外側めっき層の厚さは、10μm以上とするのが好ましいことがわかる。
【0053】
一方、比較例1〜4では、端末接続時に予備半田を必要とするので、端末接続作業性が悪い。比較例4は、編組シールド構造なので外部導体を取り除く作業もしにくく、端末接続作業性が最も劣っている。
【0054】
製造コスト比を評価する。製造コスト比は、比較例1を基準の100として評価した。
【0055】
実施例1〜5、参考例1は、製造コスト比が105〜115となっており、比較例2および3の製造コスト比110〜120と同等またはそれ以下となっており、低コストで製造できることがわかる。比較例4は、編組シールド構造なので、素線を小さいピッチで編み込むため製造スピードが他に比べて遅く、製造コストが最も高い。
【0056】
屈曲特性については、屈曲寿命試験を行って評価した。屈曲寿命試験の条件は、荷重=0.98N、曲げ半径=2mm、速度=30回/分である。この条件で同軸線の左右90度曲げ試験を行い、内部導体の素線が破断するまでの回数を評価した。実施例1〜6は、横巻シールドの外周に外側めっき層が形成されているため、横巻シールドのみの比較例1に比べて屈曲特性が劣るが、実用上十分な屈曲特性を擁していた。
【0057】
このように、本発明に係るセミフレキシブル極細同軸線1は、シールド特性、可とう性、端末処理性、屈曲特性、製造コストを非常に高い次元でバランスさせた同軸線である。特に、シールド特性、端末接続作業性(端末処理性)において著しい向上が見られ、ノイズ対策の向上、ケーブル組み立て品の製造原価低減を図ることができる。
【0058】
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0059】
上記実施の形態では、内部導体の外周を絶縁体で被覆したコアが1心からなるセミフレキシブル極細同軸線の例で説明したが、セミフレキシブル極細同軸線は、1心のコアに限られるものではなく、2心のコアが並列に配置された2心平行極細同軸ケーブルも含む。以下に、本発明を適用した2心平行極細同軸ケーブルの一例を説明する。
【0060】
図3は、本発明の第2の実施の形態であるセミフレキシブル極細同軸線の断面図である。図4は、図3に示したセミフレキシブル極細同軸線の構造図である。
【0061】
図3および図4に示すように、セミフレキシブル極細同軸線30は、例えば、ノートパソコンのヒンジ部などの狭いスペースに配線するケーブルとして用いられるものであり、より詳細には、ノートパソコンの本体と液晶画面を、ヒンジ部を通して接続するためのものである。
【0062】
セミフレキシブル極細同軸線30は、外径φiが0.147mm以下の内部導体2X,2Yの外周を、フッ素樹脂からなる絶縁体3X,3Yでそれぞれ被覆したコア8X,8Yを2本並列に配列し、コア8X,8Yの外周に、多数本の金属線4a,4b…を所定ピッチでらせん状に横巻きして横巻シールド31を形成し、横巻シールド31の外周に、厚さが少なくとも0.5μm以上の外側めっき層32を形成し、外側めっき層32の外周をジャケット7で被覆したものである。外部導体33は、横巻シールド31と外側めっき層32からなっている。その他の構成は、図1で説明したセミフレキシブル極細同軸線1と同じ構成である。
【0063】
外側めっき層32としては、例えば、スズ、銀、又は半田からなるものを使用している。外側めっき層32の厚さは、より詳細には、10μm以上とするのが好ましい。また、外側めっき層32の厚さの上限値は、あまり厚くするとコストが高くなるので、50μmとするのが好ましい。
【0064】
内部導体2X,2Yの外径φiは、言い換えれば、36AWG(American Wire Gauge:アメリカ式針金ゲージ)サイズである。セミフレキシブル極細同軸線30は、ジャケット7を被覆したときの長軸方向の外径φが1.0mm以下となっている。
【0065】
このセミフレキシブル極細同軸線30も図1で説明した同軸線1と同様に、シールド特性、可とう性、端末処理性、屈曲特性、製造コストを非常に高い次元でバランスさせた同軸線である。特に、シールド特性、端末接続作業性(端末処理性)において著しい向上が見られ、ノイズ対策の向上、ケーブル組み立て品の製造原価低減を図ることができる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のごとき優れた効果を発揮する。
【0067】
(1)シールド特性、可とう性、端末処理性、屈曲特性、製造コストを非常に高い次元でバランスさせた同軸線を得ることができる。
【0068】
(2)特に、シールド特性、端末処理性において著しい向上が見られ、ノイズ対策の向上、ケーブル組み立て品の製造原価低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1に示したセミフレキシブル極細同軸線の端末接続方法の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】図3に示したセミフレキシブル極細同軸線の構造図である。
【図5】従来の極細同軸線の一例を示す断面図である。
【図6】従来の極細同軸線の一例を示す断面図である。
【図7】従来の極細同軸線の一例を示す断面図である。
【図8】従来の極細同軸線の端末接続方法の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 セミフレキシブル極細同軸線
2 内部導体
3 絶縁体
4a,4b… 金属線
4 横巻シールド
5 外側めっき層
6 外部導体
7 ジャケット
8 コア
φi 内部導体の外径
φs 金属線の外径
Claims (4)
- 電子機器の基板上のアース接続用パターンに、ジャケットによる被覆を除去して露出した外部導体を予備半田なしで半田接続するためのセミフレキシブル極細同軸線であって、該同軸線は、外径が0.147mm以下の内部導体と、内部導体の外周を被覆する絶縁体と、絶縁体の外周に設けられ、多数本の金属線からなる横巻シールドの外周に、厚さが10〜50μmであって、スズ、銀又は半田のいずれかからなる半田接続するための外側めっき層が形成された外部導体と、該外部導体を被覆するジャケットとを備えることを特徴とするセミフレキシブル極細同軸線。
- 各金属線は、素線径が0.1mm以下で、且つその電気導電率が70%IACS以上であると共に、銅または銅合金線からなる請求項1記載のセミフレキシブル極細同軸線。
- 各金属線の素線の伸びが1%以上であり、各金属線の外周にはスズめっき又は銀めっきが施された請求項1または2記載のセミフレキシブル極細同軸線。
- 外径が0.147mm以下の内部導体と、内部導体の外周を被覆する絶縁体と、絶縁体の外周に設けられ、多数本の金属線からなる横巻シールドの外周に、厚さが10〜50μmであって、スズ、銀又は半田のいずれかからなる半田接続するための外側めっき層が形成された外部導体と、該外部導体を被覆するジャケットとを備えるセミフレキシブル極細同軸線を用い、同軸線の端末部のジャケットによる被覆を除去して複数本並列に配列し、各同軸線の露出した外部導体を、電子機器の基板上のアース接続用パターンに、予備半田なしで一括半田接続することを特徴とするセミフレキシブル極細同軸線の端末接続方法。
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