JP3994479B2 - レート計算法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素反応による反応生成物の増加速度(レート)の計算法に関するものである。本発明は特に、酵素反応を利用して物質を定量する、例えば酵素免疫測定法等において、連続性のある検量線と物質の低濃度域における正確性の高い定量を可能とするための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酵素反応を利用する物質の定量法は、現在、多くの生化学検査や免疫検査で利用されている。例えば酵素免疫測定法においては、ヒト血清等の検体を、不溶化した測定対象物質に対する抗体及び酵素で標識された測定対象物質に対する抗体と混合して免疫複合体を形成した後、当該複合体中の酵素と基質を反応させ、生成された酵素反応生成物の濃度を測定してその増加速度(レート)を求め、予め既知濃度の測定対象物質を含む標準試料について同様の操作を行って得られた検量線と測定値を比較することが一般に行われている。
【0003】
ここで、実際は反応生成物そのものを測定するのではなく、反応生成物濃度に相関する信号を測定することになるが、一般には蛍光強度や吸光度等の測定が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
酵素反応を利用した物質の定量法の課題は、酵素と基質を長時間反応させると酵素基質濃度が低下し、反応生成物の濃度が高くなるにつれて反応生成物の増加速度が減少してしまうことや、酵素が反応中に反応液成分の影響を受けて時間と共に失活してしまう危険性があること等である。また同様の減少は、検出系によって生じることもある。
【0005】
この結果、一般的な酵素による反応生成物増加速度を利用した物質の定量法においては、酵素反応生成物の測定を基質濃度や反応生成物濃度の影響を受けにくい測定範囲(濃度範囲)内に留めながら、反応液成分により酵素が失活を起こさない時間範囲内に限定するのが一般的である。このような条件下では、測定を行った時間点に対する反応生成物濃度の関係は一次関数として近似することが可能であり、この一次関数の傾きを反応生成物増加速度、即ち酵素反応速度とするのが一般的である。
【0006】
しかしながら、前記のように限定された測定域及び限定された時間範囲内で測定された値を用いて計算される反応生成物増加速度は、わずかな測定時間のバラツキや測定条件のバラツキにより影響されやすく、再現性や測定の正確性が要求される生化学検査や免疫検査における課題となっている。
【0007】
前記のような限定された条件によらず、測定域を基質濃度や反応生成物濃度が酵素活性に影響を与えるような反応生成物濃度域まで拡げた場合、測定時間に対する反応生成物濃度の関係は曲線となり一次関数に近似することは不適当となる。また、レート計算値のバラツキを抑えるため測定時間の範囲を長くとった場合、比較的低い酵素活性の段階から測定値の一部が検出器の測定上限を超える割合が高くなってしまう。このため、非連続な時間点で測定を行い、得られた測定値を一次関数に近似し、該一次関数の傾きを酵素反応生成物増加速度とする場合、有効な測定値の点数が変化する時に算出される増加速度が非連続的に変化し。これを酵素活性に対してプロットした場合は連続性や滑らかさ(微分値の連続性)が失われる可能性がある。
【0008】
このような現象は、連続する時間点で測定を行ったうえで測定値を一次関数に近似すれば解決可能であるが、大量の試料について定量を行わなければならない生化学検査や免疫検査の分野においては多くの試料を処理する必要があるところ、検出器が一の試料についての測定のために長時間占有されてしまうことにより処理速度が低下し、結果として前記必要性を満足することができないという課題を生じる。
【0009】
一方、酵素を利用した物質の定量を行う際には、複数の測定系の間に試料のサンプリング量、反応液量、反応温度、反応液の撹拌状態等のバラツキがあるため、同一の測定系を用いて得られる検量線に照らし合わせた定量を行うことが必要になる。これにより、広い濃度域にわたって安定した定量を行うことが可能となるが、前記のように非連続な時間点で測定を行って一次関数に近似するとむしろ連続性や滑らかさは失われ、かつこれを解決しようと連続する時間点で測定を行うと生化学検査や免疫検査等の分野で要求される迅速な測定を行い得ないことになる。
【0010】
従って本発明の目的は、反応生成物増加速度が反応液中の基質濃度、反応生成物濃度、及び酵素を失活させる成分の影響によって変化し得るような測定範囲や測定時間範囲に渡って、測定値の点数が変化しても検量線の連続性や滑らかさ、更には直線性を損なうことなく、得られた測定値から高い正確性をもって物質の定量を可能とする酵素活性のレート計算方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成すべくなされた本発明のレート計算方法は、酵素基質が酵素作用を受けて反応生成物に変換される反応における、反応生成物濃度に相関する信号を異なる時間点で測定し、得られた測定値を測定時間に対し特定の関数に近似し、該関数から前記反応生成物の濃度増加速度(レート)を求めるレート計算法において、得られた測定値のうち使用する検出器の検出限界に応じて予め設定した上限値を超えた測定値に対してはその測定値を除外したうえで、少なくとも近似される関数の持つ独立パラメータ数に等しい数の異なる時間点での測定値であって前記上限値以下の以下の測定値を選択し、これら選択された測定値に対しては有限の値をもってその測定値に対する重み付けを行って該関数への近似を行なうが、少なくとも一部の測定値に対しては重み付けのための該有限の値を該測定値の値に応じて連続的に変化させることを特徴とするレート計算方法である。
【0012】
またかかる目的を達成すべくなされた本発明のレート計算方法は、酵素基質が酵素作用を受けて反応生成物に変換される反応における、反応生成物濃度に相関する信号を異なる時間点で測定し、得られた測定値を測定時間に対し非線形関数に近似し、該関数から前記反応生成物の濃度増加速度(レート)を求めるレート計算法において、得られた測定値のうち使用する検出器の検出限界に応じて予め設定した上限値を超えた測定値に対してはその測定値を除外したうえで、少なくとも近似される関数の持つ独立パラメータ数に等しい数の異なる時間点での測定値であって前記上限値以下の測定値を選択し、これら選択された測定値に対して有限の値をもってその測定値に対する重み付けを行って該関数への近似を行ない、該関数上の接線の傾きを求め、これをレートとする際に、該関数上の接線の傾きを求める時間点を移動させることを特徴とするレート計算方法である。以下にこれら本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、酵素反応を包含する測定系であればいかなる測定系に対しても適用することが可能である。即ち、酵素を標識として利用して他の物質を定量する測定はもとより、酵素自体の定量を行う測定についても本発明は効果的である。より具体的に本発明は、酵素反応により生じる反応生成物の濃度に相関した信号、例えば吸光度、蛍光強度等により酵素濃度、強いては他の物質濃度を測定する操作を含む方法等、反応状態をモニターできる測定系であれば適用できる。この際、例えば基質自体が特定波長の蛍光等を発する性質を有し、酵素反応生成物が当該波長の蛍光等を発しない場合には、当該波長を測定することで増加する反応生成物量に相関して減少する信号を得ることになり、一方基質自体が特定波長の蛍光等を発しない性質を有し、酵素反応生成物が当該波長の蛍光等を発する場合には、当該波長を測定することで増加する反応生成物量に相関して増加する信号を得ることができる。
【0014】
以上のような測定に用いられる酵素としては、例えば酵素免疫測定等に用いられる他の物質と結合し複合体となったものや、その一部が修飾されたものでもよい。また、酵素活性を有した状態で、本来の酵素の一部が切断もしくは消化されたタイプのものでもよい。酵素免疫測定に用いられる酵素の一例として、アルカリ性フォスファターゼ(ALP)等を、これに対する基質として4メチルウンベリフェロンリン酸(4MUP)を例示することができる。例えば、350〜380nmの励起波長で4MUを蛍光励起し、450〜480nmの蛍光を測定することが具体的に例示できる。
【0015】
酵素反応を行なう際に用いる基質濃度は、酵素が基質との反応速度Vmaxを反応初期、即ち酵素と基質が接触されてから比較的短い時間内に示すことのできる濃度が好ましいが、必ずしもそのような濃度に限定されるわけではなく、その近傍の濃度で十分である。基質液の量は酵素反応開始後いかなる時間点まで測定を行なうかにより適宜決定れば良い。また、酵素が直接又は特に酵素免疫測定等における不溶性担体を用いる場合のように抗原や抗体を介して間接的に担体等に固定化されている場合には、反応液全体を攪拌して基質の濃度勾配を解消することが好ましい。
【0016】
本発明は、最終的に得られた測定値をその測定値が得られた測定時間に対し特定の関数に近似した後、該関数の傾きを求めて酵素反応生成物の濃度増加速度 (レート)を算出するものである。ここで、まず第一に本発明では、少なくとも近似される関数の持つ独立パラメータ数以上の異なる時間点で測定された測定値が必要である。第二に、これらの異なる時間点で測定された測定値のうち、少なくとも近似される関数の持つ独立パラメータ数に等しい数の測定値が、測定に使用する検出器の検出限界に応じて設定される上限値を超えない範囲に存在することが必要である。この上限値を超える測定値は、検出器の物理的な検出限界に鑑みればレート計算に使用されるべきでないことが明らかだからである。なお通常は、検出下限界はあまり問題とならないことから、少なくとも近似される関数の持つ独立パラメータ数に等しい数の測定値が測定に使用する検出器の検出限界に応じて設定される上限値を超えない範囲に存在すれば支障はない。測定値が上記上限を超えるか否かは測定を行うまでは不明であるから、通常は、上記パラメータ数を超える異なる時間点で測定を行い、該パラメータ数を超える測定値を取得して、その中から前記上限値を超えない測定値を選択すれば良い。なお、本発明でいう独立パラメータは、既知のパラメータを含まない。
【0017】
例えば近似される関数がax+bで表される一次式であればパラメータはa及びbの2つであるから、2以上の異なる時間点で測定された測定値であって、うち少なくとも2の測定値は検出器の検出限界に応じて設定される上限値を超えない範囲であることが要求され、例えば近似される関数がax2+bx+cで表される二次式又は1/(y+c)=a/x+bで表される一次分数式であれば、パラメータはa、b及びcの3つであるから3以上の異なる時間点で測定された測定値であって、うち少なくとも3の測定値は検出器の検出限界に応じて予め設定される上限値を超えない範囲であることが要求される。むろん、異なる時間点で測定された測定値の数に上限はないが、通常は二次から三次式に近似する場合が多いことから、4又は5の時間点で測定を行うことが好ましい例として例示できる。
【0018】
任意の時間点で測定された測定値が前記検出器の検出限界に応じて予め設定された上限値を超えた場合には、後述のように当該測定値に対する重み付けをゼロとする。このことは即ち、上限値を超えた測定値はレート計算のために使用しない(除外する)ことを意味する。
【0019】
酵素反応を開始してからの任意の1の時間点における、酵素反応生成物に由来する信号を測定するための測定時間は、検出器のノイズレベル等を考慮し、安定した値を導くことのできる時間とすれば良い。例えば、任意の時間点の前後等秒間の信号の積算値を当該任意時間点における測定値とする等することができる。酵素反応の測定範囲は、反応生成物の増加速度が減少した基質濃度や増加した反応生成物濃度の影響を受ける濃度範囲であっても良い。即ち本発明では、測定された信号から反応生成物濃度がこれらの範囲であると理解される時間点における測定値であってレート計算に使用できる。また本発明では、反応液の成分の影響により反応中に酵素活性の劣化が起こるような時間範囲内の時間点における測定値であっても良い。このように本発明においては、測定値を得るための時間点は任意に選択することが可能であるが、検出器を含め、同一又は同様の測定系において特に同一の酵素等について再現性を重視しつつレート計算を行う場合には、時間点を固定して一連の測定を行うことが望ましい。
【0020】
本発明における測定値に対する重み付け及び前記上限値を超えた測定値の除外は、既知濃度の酵素を用いて作製される検量線の連続性を維持するために効果を有する。即ち、ある時間点における測定値が前記上限値を超えた場合に生ずる測定点数の減少が、測定を行った時間点と測定値から求められる近似関数の形状に突然の変化をもたらし、最終的に近似関数から求められるレートの値に突然の変化をもたらす危険性があるからである。このため、前記上限値を超えることが明らかな時間点における測定値に対しては重み付けをゼロとする(除外する)一方、上限値を超えていない時間点における測定値に対しては有限の値をもって重み付けを行なう。
【0021】
ここで本発明では、測定値に対しては有限の値をもってその該測定値に対する重み付けを行って該関数への近似を行うが、少なくとも一部の測定値に対しては重み付けのための該有限の値を該測定値に応じて連続的に変化させることをことを特徴とする。重み付けの有限の値を連続的に変化させる測定値は1に限らず、複数であっても良い。例えば時間と共に酵素反応生成物に相関する信号が増加するような場合には、測定値が検出器の検出限界に応じて予め設定された上限値を超えた測定値の重みの値をゼロにする(除外する)ことから、このような設定された上限値に近い値の測定値に対して重み付けのための有限の値を変化させ、ゼロに近づけることが好ましい。重み付けのための有限の値を連続的に変化させる対象測定値としては、特に前記上限値に近い値の測定値である。反応生成物濃度が増加するに従って当該濃度に相関する信号強度(量)が大きくなる系においては、通常、時間点tnが大きい程ynは大きくなることから、具体的に前記条件を満たす測定値中、それが得られた時間点tnが最も大きな測定値に対する重み付けの値を変化させることが好ましい。もっとも、重み付けを行なう測定値は1に制限されるものではない。この場合、例えば測定値の大きさに逆相関するような可変の重み付けを行うことが例示できる。
【0022】
一方、後述する本発明の別の特徴によれば、重み付けのための有限の値を変化させなくとも、検量線の連続性等を確保することができる。即ち、近似される関数が非線形関数である場合には、前記上限値以下の測定値に対して変化しない有限の値をもって重み付けを行って該関数への近似を行ない、該関数の傾きを該関数上の接線の傾きとして求め、これをレートとする際に、該関数上の接線の傾きを求める時間点を移動させるのである。
【0023】
本発明による測定値に対する重み付けの一例として、異なる4の時間点で測定された4の測定値(t1、y1)、(t2、y2)、(t3、y3)及び(t4、y4)(ただしtは時間点を、yは測定値を示し、t1<t2<t<t3<t4である。またy3は常に予め設定された上限値を超えないものとする)に対する重み付けのための値w1、w2、w3及びw4について述べれば、以下のような設定が例示できる。なお、本明細書においては、以後、時間点tnで実際に測定された測定値をyn等と、任意の時間点txにおける計算上の測定値をyx等と記載する。
【0024】
(1)y4が使用する検出器の検出限界に応じて設定された上限値ymax以上であり、y3が上限値ymax以下である場合には、w1=w2=w3=1及びw4=0とすること。
【0025】
(2)一方y4が使用する検出器の検出限界に応じて設定された上限値ymaxより小さい場合には、w1=w2=w3=1としたうえで、w4=((ymax−y4)/ymax)nとすること。ここでnは正の数であるが、その値は時間点等を考慮して決定すればよい。通常、1〜20の範囲の正の数が選択される。更に後述するように接線の傾きを求める時間点を移動する場合には、w1=w2=w3=w4=1とすること。
【0026】
(1)の例ではw1=w2=w3=1と、(2)の例ではw1=w2=w3=1(又はw1=w2=w3=w4=1)と重み付けの値を例示したが、例えば時間点t1における測定値y1の値が、温度等が安定しないためにバラツキが生じやすいと思われる場合にはw1の値を0.5にする等しても良い。また上記(2)の例中、重み付けの有限の値を変化させる場合において、w4の値を以下のように設定することも例示できる。
【0027】
(3)(2)の場合において、y4<ymax/2の時にはw4=1とし、又はymax/2<=y4<ymaxの時にはw4=(2×(ymax−y4)/ymax)nとすること。
【0028】
本発明を例えば酵素免疫測定における、試料中の測定対象物質濃度を相関した濃度の酵素活性の測定に適用する場合には、前記したように4程度の測定を実施することが好ましく例示できるが、上記のように、得られた測定値に対する重み付けのための有限の値を変化させるか又は固定するかについては、実際の測定系、特に測定を行う時間点を考慮して決定することが好ましい。例えば、測定を行った時間点tnが酵素反応の進行に伴って減少する基質濃度や増加した反応生成物濃度により酵素活性が影響を受ける濃度に達する時間に比較して十分に短い(小さく)、当該時間点で測定されたynが前記上限値を超えることがあり得ない場合には、重み付けのための有限の値を変化させる必要はない。これとは逆に、測定を行った時間点tnが酵素反応の進行に伴って減少する基質濃度や増加した反応生成物濃度により酵素活性が影響を受ける濃度に達する時間範囲又はそれに近い場合には、当該時間点で測定されたynが前記上限値を超えない限り重み付けのための有限の値を変化させることが好適である(上限値を超えた場合にはゼロとする)。より具体的に例えば、時間点t1、t2、t3及びt4をそれぞれ20秒、50秒、80秒及び290秒等とした場合であって、t4即ち最後の測定を行なう時間点は酵素反応を開始させてから290秒という減少する基質濃度や増加した反応生成物濃度により酵素活性が影響を受ける濃度に達する時間に近いが、t3即ち3回目の測定を行う時間点はそのような時間に比較して十分に短い(小さい)場合、y4が上限値以上となった場合はそれに対する重み付けをゼロにする一方、y1〜y3に対する重み付けは有限の値で変化させず、一方y4が上限値を超えない場合にはy1〜y3に対する重み付けは有限の値で変化させず、かつ、y4の重み付けは有限の変化する値とすることが好ましい。
【0029】
本発明による測定値に対する重み付けの別の例として、異なる5の時間点で測定された5の測定値(t1、y1)、(t2、y2)、(t3、y3)、(t4、y4)及び(t5、y5)(ただしtは時間点を、yは測定値を示し、t1<t2<t<t3<t4<t5である。またy3は常に予め設定された上限値以下とする)に対する重み付けのための値w1、w2、w3、w4及びw5について述べれば、以下のような設定が例示できる。
【0030】
(4)y4が使用する検出器の検出限界に応じて設定された上限値ymax以上であり、y3が上限値ymax以下である場合には、w1=w2=w3=1及びw4=w5=0とすること。
【0031】
(5)y5のみが使用する検出器の検出限界に応じて設定された上限値ymax以上である場合には、w1=w2=w3=1及びw5=0とした上で、w4=(ymax−y4)×t5/(ymax×(t5−t4))nとすること。
【0032】
(6)y5が使用する検出器の検出限界に応じて設定された上限値ymaxより小さい場合には、w1=w2=w3=w4=1とした上でw5=((ymax−y5)/ymax)nとすること。
【0033】
(4)〜(6)の例においても、例えば時間点t1における測定値y1にバラツキが生じやすいと思われる場合には、w1の値を0.5にする等しても良い。また上記(2)の例と同様に、それぞれw4又はw5の値をyx<ymax/2の時にはwx=1とし、又はymax/2<=yx<ymaxの時にはw3= (2×(ymax−y3)×t5/(ymax×(t5−t4))n、w4= (2×(ymax−y4)/ymax)nとしても良い(xは4又は5)。
【0034】
このように、5の異なる時間点で測定を行なう場合であっても、前記同様、得られた測定値に対する重み付けのための有限の値を変化させるか又は固定するかについては実際の測定系、特に測定を行う時間点を考慮して決定することが好ましい。
【0035】
測定値を近似させる関数としては、測定値を得た時間点をx、酵素反応生成物濃度をyとして、y=ax+bで示される一次関数、y=ax2+bx+cで示される二次関数、y=ax/(x+b)又はy=(ax+b)/(x+c)等の一次分数式が好ましい関数として例示できるが、xの値に対する増加関数であれば特に制限はない。
【0036】
測定値を最小二乗法等を用いて非線形関数に近似した場合、一般に該関数の傾きは該関数を表したグラフ上の任意の点における接線の傾きとして求めることができる。本発明のレート計算方法においては、測定に使用する検出器の検出限界に応じて設定される上限値により測定値の全てがレート計算に使用されるわけではなく、該値以上となった測定値は重み付けがゼロとされその後のレート計算には使用されない等、時に計算に使用される測定値数は実際に測定が行われた数から減少する。しかしながら本発明では、必要に応じて前記関数の曲線上における接線の傾きを求める時間点を、測定値のバラツキや前記上限値を超えない測定値の数の減少の影響を最も受けにくいような時間点へ移動させながら計算することにより、測定値の減少による影響を排除し得る。この接線の傾き(即ち酵素反応生成物の増加速度、レート)を求める時間点の移動は、測定する酵素の種類や測定に使用する検出器の検出限界に応じて設定される上限値等により最適な方法を選択することができる。
【0037】
例えば、測定を行う時間点が反応液成分による酵素の失活が確実に生じる時間範囲内にあるような場合には、時間点は移動せず、固定することが好ましい。例えば異なる4の時間点で測定された4の測定値(t1、y1)、(t2、y2)、(t3、y3)及び(t4、y4)(ただしtは時間点を、yは測定値を示し、t1<t2<t<t3<t4である)の場合で説明すれば、レートを求める時間点tx(txは実際の測定を行った時間点に限定されない)をt1とt4の間に存在する固定時間点とする。
【0038】
t4における測定値y4が測定に使用する検出器の検出限界に応じて設定される上限値を超えてしまう可能性がある場合には、txとしてt1、t2及びt3の平均値からt1、t2、t3及びt4の平均値の間に存在する時間点txとすることが好ましい。例えば、測定を行った時間点が酵素反応を開始してから30、60、120、240秒の各時間点である場合、前記例におけるt1、t2及びt3の平均値(70秒)からt1、t2、t3及びt4の平均値(112.5秒)の間、即ち70〜112.5秒までの間に存在する時間点をtxとしてレートを求めることが好ましい。
【0039】
一方、例えば測定を行う時間点が反応液成分による酵素の失活が生じる時間範囲内にはないような場合には、レートを求める時間点を、測定値のバラツキや前記上限値を超えない測定値の数の減少の影響を受けにくい時間点に移動させることが好ましい。例えば異なる4の時間点で測定された4の測定値(t1、y1)、(t2、y2)、(t3、y3)及び(t4、y4)(ただしtは時間点を、yは測定値を示し、t1<t2<t<t3<t4である)の場合で説明すれば、レートを求める時間点tx(txは実際の測定を行った時間点に限定されない)をt1、t2、t3、t4の重み付け平均値とすることが好ましい。より具体的に例えば、それぞれの重み付けw1、w2、w3及びw4を前記測定値に対する重み付けに関する説明(1)で述べたようにw1=w2=w3=1とし、w4を変化させる場合には、tx=(t1+t2+t3+t4×w4)/(3+w4)とすることが例示できる。この式においては、y4が測定に使用する検出器の検出限界に応じて設定される上限値を超え、その重み付けの値w4がゼロとされた場合、txはt1、t2及びt3の平均値に固定されることになる。
【0040】
また例えば測定系において、多少の酵素の失活はあるものの、測定に使用する検出器の検出限界に応じて設定された上限値内において、特に反応生成物の低濃度領域における定量性を高めつつ、同時に検量線の直線性を維持するようにレートを計算する時間点を移動することもできる。例えば、測定を行った異なるnの時間点で測定されたnの測定値が(t1、y1)、(t2、y2)、・・(tn、yn)であり、時間点tnにおける測定値の重みをwnとした場合、t1からtnまでの間に存在する異なる2の時間点ta及びtb(ただしta<tb)を定め、レートを求める時間点txをtx=ta+(tb−ta)×wnとすることが例示できる。
【0041】
また前記と同様の目的で、レートを求める時間点を一部の測定値を基に算出した仮のレートを基準として変化させることもできる。例えば少なくとも2つの異なる時間点で測定された測定値(tp、yp)及び(tq、yq)(ただしtp<tq)を選択し、この2の測定値から算出される仮のレートS(S=(yq−yp)/(tq−tp))と、独立に定義された基準のレートMを用いて、S/Mの大きさを基準としてレートを求める時間点txを移動するのである。ここで、独立に定義された基準のレートMとは、前記仮のレートSがM以上となったときに、レートを求める時間点を固定するための基準である。例えば、測定を行った時間点が(t1、y1)、(t2、y2)、・(tn、yn)の場合、t1からtnまでの間に存在する異なる2の時間点ta及びtb(ただしta<tb)を定め、S<Mの場合にはレートを求める時間点txをtx=tb−(tb−ta)×(S/M)とし、S>=Mの場合にはtx=taとすることが例示できる。
【0042】
本発明では、更に、レートを求める時間点txの移動を前記S/Mの値に対する二次関数として定義することや、S/M値に対する多次関数として定義することも例示できる。前記例において、例えば、S<Mの場合にはtx=tb−(tb−ta)×(S/M)2とし、S>=Mの場合にはtx=taのような関数として定義することが例示できる。更には、S<Mの場合にはtx=(tb−ta)×k(k+1)×(S/M)×(1−(1/k)×cos(S/M)×π))とし、S>=Mの場合にはtx=taのような関数として定義することが例示できる(ただしkは、k>=1の定数である)。
【0043】
本発明で、時間点txにおいて近似された関数からレートを求めた場合であって、当該時間点txで基質濃度や反応生成物の影響を受けて酵素活性が減少していると予想される場合には、該レートを求めた時間点txにおける測定値yxに応じて該レートを補正することにより、txにおいて酵素反応速度がVmaxに近い状態であった場合のレート(補正レート)を計算上求めることができる。例えば、時間点txでのレートをRとした場合、補正レート=R×(1+yx×α)とすることが例示できる(ただし、αは補正係数)。
【0044】
また、酵素反応が開始されてから初期の時点では、基質濃度は十分であり、かつ、酵素活性に影響を与える反応生成物は微量にしか存在しないため、通常、酵素反応速度はVmaxに近い状態である。このような場合には、例えば、補正レート=R×(1+R×β)とすることが例示できる(ただし、βは補正係数)。前記した補正係数α又はβは、測定しようとする酵素、使用する基質の種類や濃度、更には酵素反応を行わせるための反応液の容量等により影響を受けるため、経験値として求めることが好ましい。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明するために実施例を記載するが、本発明はこれら実施例に記載した発明に限定されるものではない。
【0046】
実施例1
酵素活性を利用した前立腺特異抗原(Prostate Specific
antigen;以下、PAと記載する)定量を行った。市販の酵素免疫分析用試薬(東ソー(株)製、免疫反応試薬Eテスト「TOSOH」II、PA」及び同社製の全自動免疫検査用装置(AIA1200)を使用した。ただし、分析装置の蛍光検出器としては、図1に示す構成のものを使用した。この試薬シリーズには、常磁性物質を含むビーズに固定化された抗PAモノクローナル抗体とアルカリ性フォスファターゼ(ALP)が標識として結合された、前記モノクローナル抗体とは異なる抗PAモノクローナル抗体が封入された容器及びALPの基質である4メチルウンベリフェロンリン酸(4MUP)を含む基質液等が含まれている。
【0047】
本実施例を行うために使用された蛍光検出器(図1)は、光源(1)、340〜390nmの透過域を持つ干渉フィルター(2)、350〜380nmの反射帯と420〜630nmの透過帯を有するダイクロックミラー(3)、光源からの光及び4MUPがALPにより分解されて生じる蛍光性物質4メチルウンベリフェロン(4MU)が発する蛍光を集光するためのレンズ(4)、450〜480nmの透過域を有する干渉フィルター(7)、4MUの蛍光を感知するためのフォトダイオード(8)、フォトダイオードからの信号を増幅するための増幅器(13)、増幅された信号をデジタル化するためのVFコンバータ(14)、デジタル化された信号を0.6秒ごとに累積するためのカウンタ(15)、0.6秒ごとの累積カウントを記憶するためのコンピュータ(16)から構成されている。
【0048】
なお、使用した分析装置は、基質を分注した反応容器(5)をアルミ板(10)上に積載されたアルミブロック(9)に担持するが、前記容器内に封入された担体に含まれる常磁性物質に磁力を作用させることでこれを運動させ、もって容器内の反応液を撹拌するための撹拌機構(11)及び反応容器内の反応用液を室温に保持する温調機構(12)を有している。
【0049】
まず、前記容器に既知濃度のPA(0、14、28、57、115、173ng/mL)を含む試料120μLを分注し、40分間試料中のPAを前記2種類のモノクローナル抗体と反応させて担体=抗体−PA−抗体=ALPからなるサンドイッチ免疫複合体を形成した。次に免疫複合体を形成しなかった、ALPと結合した抗体含む液体成分を反応容器から除去し、更に洗浄液を分注して再度液体成分を除去する操作を繰り返すことで洗浄した。続いて1mMの4MUPを含む基質液を220μL分注し、4MUPがALPにより分解されて生成する4MUの蛍光強度を基質分注後18から300秒まで連続的に測定し、測定された蛍光強度を4MU濃度に変換し、4MU濃度の変化(この場合には増加)から4MU生成速度、即ち反応生成物増加速度(レート)を算出した。なおこの操作は、各PA濃度試料について各10回行った。また測定された蛍光強度を4MU濃度に変換する計算は、4MUを含まない液と10000nMの4MUを含む液をそれぞれ測定に使用したのと同一の容器に220μL分注し、それぞれの蛍光強度(0.6秒間の累積カウント値)を測定し、2の4MU濃度(0及び10000nM)で測定された蛍光強度を基に一次関数を求め、これを検量線とした。
【0050】
図2は、基質分注後18〜300秒までの4MU濃度の変化を示す図である。図中1〜6のグラフは、それぞれ0、14、28、57、115、173ng/mLのPAを含む試料に関する結果を示す。図からは、4MU濃度は時間とともに増加するが、その濃度が高くなるにつれレート、即ち4MUの生成速度が低下していることが分かる。図2において、みかけ上のレートの低下は基質の濃度の減少や気質分解物の濃度の増加によって生ずる酵素活性の低下だけでなく、基質分解物である4MUによる励起光の吸収にも起因している。
【0051】
上限値を25000nM 4MU濃度とし、上記の連続測定データの中から18〜21秒までの3秒間、48〜51秒までの3秒間、288〜291秒までの3秒間の累積値をそれぞれ1の測定値とし、この3の累積値を測定値としてレート計算を行った。まず、3点目の測定値が上限値より小さい場合はその重み付けを1とし、上限値以上の場合には0とした(ケース1)。次に本発明の方法に従い、3点目の測定値が上限値より小さい場合はその重み付けを((25000−3点目の測定値)/25000)14とし、上限値以上の場合には0とした(ケース2)。図3は、ケース1及びケース2について3点を一次関数に対して近似し、該一次関数の傾きをレートとした場合における、各濃度のPAで得られた10のレートの標準偏差の値を示したものである。なお、不連続点の位置をはっきりと示すために、実験データのない濃度(42ng/ml、61.8nm/ml、62.8ng/ml)に対して4MU濃度を内挿して求め、レートを計算した。この結果、上限値より小さい3つの時間点での測定値についての重み付けを変化させることにより、検量線全体に渡って検量線が連続的になっていることが分かる。
【0052】
図4はPA濃度が57ng/mLの場合の3点目の測定値が上限値を超えていく過程を、上限値を移動することにより模擬的に行って計算し、10のレートの平均値とその標準偏差の変化についてケース1とケース2で比較したものである。ケース1の場合、3点目の測定値が上限値を超える場合に計算されるレートが大幅に変化し、検量線に大きな段差が生まれることが予想される。これに対し本発明の方法により上限値を超えない3点目の測定値の重み付けを変化させたケース2の場合、ケース1のような段差はなく、測定のばらつきも少ないことから検量線に段差が生じないことが予想される。
【0053】
このように本発明の方法によれば、測定値の一部が検出器の検出限界に応じて予め設定した上限値を超え、検量線を作成するためのデータとして使用するのに不適当であるとして除外された場合に生じる、検量線の不連続生(段差ができてしまうこと)を解消することができる。
【0054】
実施例2
実施例1で得られた測定値について、上限値を25000nM 4MU濃度とし、18〜21秒までの3秒間、48〜51秒までの3秒間、78〜81秒までの3秒間及び288〜291秒までの3秒間の累積値をそれぞれ1の測定値とし、この4の累積値を測定値として用いたレート計算を行った。
【0055】
4点目の測定値についての重み付けw4を((25000−4点目の測定値)/25000)2として時間点に対する測定値の関係を最小二乗法を用いて二次関数に対して近似し、該関数曲線における接線の傾き(レート)を求める時間点txを(t1+t2+t3)/3、即ち(19.5+49.5+79.5)/3=49.5とした場合(時間点tx1とする)、レートを求める時間点を(t1+t2+t3+t4)/4、即ち(19.5+49.5+79.5+289.5)/4=109.5とした場合(時間点tx2とする)、及びレートを求める時間点を(t1+t2+t3+t4×w4)/(3+w4)とした場合(時間点tx3とする)について比較した。
【0056】
図5は、tx1、tx2及びtx3の各時間点から求めたレートをもとに作成されたPAの検量線を示したものであるが、この図から明らかなように、時間点tx3から導かれた検量線は時間点tx1から導かれた検量線とほとんど一致しており、時間点tx2から導かれた検量線の形状に比べて直線性が高いことが分かる。
【0057】
図6は、各濃度のPAについて得られたPA濃度の標準偏差を、時間点tx1、tx2又はtx3でレートを計算した場合について比較したものである。この結果、時間点tx3の場合、PA濃度の標準偏差は低濃度PA領域では時間点tx2の標準偏差に近く、高濃度PA領域では時間点tx1の標準偏差に近いことが分かる。このことは即ち、本発明の方法に従い、測定値の重みに応じてレートを求める時間点を移動させることにより、全体的にバラツキが小さく、直線性の高い検量線を導くことができることを意味している。
【0058】
検量線の直線性を向上させることにより、時間点tx3で求めたレートに基質濃度の減少や基質分解物の濃度の増加によって生ずるレート低下の影響を補正する目的で、補正レート=時間点tx3で求めたレート×(1+α×時間点tx3における4MU濃度)を計算した。ここでは、実験デ−タより求めたα=7×10-6を用いたが、この値は使用した反応容器中でのALPの反応速度と4MUP濃度との関係をLineweaver−Bulkプロットすることにより求めた関係式と、基質である4MUPの分解により増加するリン酸の濃度と反応生成物増加速度との関係式を求め、この2つの関係式をもとに決定することもできる。図7はレートを求める時間点をtx3とし、上記の補正をしない場合とした場合のPAの検量線を示したものである。この結果、特に高濃度PA領域での直線性の向上が確認された。実際には、レートを補正することにより測定値のバラツキも同時に補正されるため、PA濃度のバラツキが変化するわけではないが、検量線の直線性を向上することが可能であり、定量値の正確性を向上させることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、酵素活性の測定及び酵素活性の測定を利用した物質の定量法において、(1)少ない時間点で測定された少ない測定値であっても検量線の連続性を維持しながら高い正確性をもつ定量が可能となり、(2)酵素反応中に酵素反応速度の低下が生じるような濃度範囲及び/又は時間範囲での測定値であっても、検量線の連続性を維持しながら測定(定量)の正確性を向上させることができ、(3)得られたレートを補正することにより、検量線の直線性を高め、測定(定量)の不正確性を最小限に押さえることができる、という効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】蛍光検出器ユニットを示す図である。
【図2】既知濃度のPAを含む試料について実施例1に記載した測定を行った結果(時間経過に伴う反応生成物濃度(4MU濃度)の変化)を示す図である。測定時間がゼロの点は基質を分注した時間点である。図中の各グラフは、0ng/mL (番号1)、14ng/mL(番号2)、28ng/mL(番号3)、57ng/mL(番号4)、115ng/mL(番号5)、117ng/mL(番号6)の結果を示すものである。
【図3】図3は、図2で得られた測定値から3の測定値を選択し、3点目の重み付けを上限値を超えた場合には0とし、上限値より小さい場合には1とした場合(ケース1、○)と、3点目の重み付けを上限値を超えた場合には0とし、上限値より小さい場合には本発明の方法に従って変化させた場合(ケース2、●)のPA検量線における各PA濃度でのレートの標準偏差を比較した図である。
【図4】図4は、上限値を22000nM 4MU濃度から26000nM 4MU濃度まで変化させた場合の、PA濃度が57ng/mLに相当するレートをシュミュレートした結果を示す。図中、白のバーはケース1を、斜線のバーはケース2を、エラーバーはレートの標準偏差を示す。
【図5】図5は、4点の測定値について重み付けを設定し、時間点に対する測定値の関係を二次関数として近似した場合において、レートを求める時間点txをtx1=(t1+t2+t3)/3とした場合(○)、txをtx2=(t1+t2+t3+t4)/4とした場合(□)、txをtx3=(t1+t2+t3+t4×w4)/(3+w4)とした場合(●)のそれぞれの場合についてのPA検量線を示す図である。
【図6】図6は、4点の測定値について重み付けを設定し、時間点に対する測定値の関係を二次関数として近似した場合において、レートを求める時間点txをtx1=(t1+t2+t3)/3とした場合(○)、txをtx2=(t1+t2+t3+t4)/4とした場合(□)、txをtx3=(t1+t2+t3+t4×w4)/(3+w4)とした場合(●)のそれぞれの場合についてのPA検量線におけるPA濃度の標準偏差を示す図である。
【図7】図7は、レートを求める時間点txをtx=(t1+t2+t3+t4×w4)/(3+w4)として求めた検量線(○)と、補正によりレートを補正し求めたPAの検量線(●)とを示す図である。
【符号の説明】
1 紫外線ランプ
2 干渉フィルター(340〜390nm)
3 ダイクロイックミラー
4 集光レンズ
5 テストカップ
6 基質液
7 干渉フィルター(450〜480nm)
8 フォトダイオード
9 カップ用ブロック
10 アルミ板
11 撹拌用マグネット板
12 ヒーター
13 アンプ
14 VFコンバータ
15 カウンタ
16 コンピュータ

Claims (5)

  1. 酵素基質が酵素作用を受けて反応生成物に変換される反応における、反応生成物濃度に相関する信号を異なる時間点で測定し、得られた測定値を測定時間に対し特定の関数に近似し、該関数から前記反応生成物の濃度増加速度(レート)を求めるレート計算法において、得られた測定値のうち使用する検出器の検出限界に応じて予め設定した上限値を超えた測定値に対してはその測定値を除外したうえで、少なくとも近似される関数の持つ独立パラメータ数に等しい数の異なる時間点での測定値であって前記上限値以下の測定値((t1、y1)、(t2、y2)・・(tn、yn);ここで、(1)t1、t2・・tnは測定時間であってt1<t2・・<tnであり、(2)y1、y2・・ynはそれぞれt1、t2・・tnにおける測定値であって、ynは前記予め設定した上限値を超えない最大の測定値であり、(3)nは近似される関数の持つ独立パラメータ数以上の自然数であり、そして(4)少なくともtnは、基質又は反応生成物の濃度がその減少や増加によりレートに影響を与える濃度範囲となる測定時間、又は、酵素の劣化が反応液の成分の影響により起こる測定時間である)を選択し、これら選択された測定値に対し、有限の値をもってその測定値に対する重み付けを行って該関数への近似を行うにあたり、基質又は反応生成物の濃度がその減少や増加によりレートに影響を与える濃度範囲となる測定時間、又は、酵素の劣化が反応液の成分の影響により起こる測定時間で得られたynを含む1以上の測定値(ye)に対しては、その重み(w)をw=((ymax−ye)/ymax) とし(ymaxは前記予め設定した上限値であり、fは1から20の範囲の正の数である)、それ以外の測定値に対しては、その重み(w)を1とすることを特徴とするレート計算方法。
  2. 近似される関数が2、3又は4のパラメータを持つ一次式、二次式又は一次式の分数式で表されることを特徴とする請求項1のレート計算方法。
  3. 酵素基質が酵素作用を受けて反応生成物に変換される反応における、反応生成物濃度に相関する信号を異なる時間点で測定し、得られた測定値を測定時間に対し非線形関数に近似し、該関数から前記反応生成物の濃度増加速度(レート)を求めるレート計算法において、得られた測定値のうち使用する検出器の検出限界に応じて予め設定した上限値を超えた測定値に対してはその測定値を除外したうえで、少なくとも近似される関数の持つ独立パラメータ数に等しい数の異なる時間点での測定値であって前記上限値以下の測定値((t1、y1)、(t2、y2)・・(tn、yn);ここで、(1)t1、t2・・tnは測定時間であってt1<t2・・<tnであり、(2)y1、y2・・ynはそれぞれt1、t2・・tnにおける測定値であって、ynは前記予め設定した上限値を超えない最大の測定値であり、(3)nは近似される関数の持つ独立パラメータ数以上の自然数であり、そして(4)少なくともtnは、基質又は反応生成物の濃度がその減少や増加によりレートに影響を与える濃度範囲となる測定時間、又は、酵素の劣化が反応液の成分の影響により起こる測定時間である)を選択し、これら選択された測定値に対し、ynに対しては、その重み(wn)をwn=((ymax−yn)/ymax) とし(ymaxは前記予め設定した上限値であり、fは1から20の範囲の正の数である)、それ以外の測定値に対しては、その重み(w)を1とする重み付けを行って該関数への近似を行い、該関数上の接線の傾きを求め、これをレートとする際に、該関数上の接線の傾きを求める時間点(tx)を、tx=(t1+t2+・・+tn×wn)/(w1+w2+・・+wn)(w1、w2・・wnは、それぞれy1、y2・・ynに対する重みである)、又は、tx=ta+(tb−ta)×wn(ta及びtbはt1からtnまでの間に存在する異なる2の任意の時間点であって、ta<tbである)とすることを特徴とするレート計算方法。
  4. 近似される関数が3又は4のパラメータを持つ二次式又は一次式の分数式で表されることを特徴とする請求項3記載のレート計算方法。
  5. 近似される関数の接線の傾きからレートを求める場合において、レートを求めた時間点での測定値に応じた補正を行い、補正レートを導くことを特徴とする請求項3記載のレート計算方法。
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