JP3994154B2 - 導体パターン形成用金属トナー、キャリアおよびこれらからなる現像剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真法による導体パターン形成用の金属トナー、キャリアおよびこれらからなる二成分系現像剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層セラミックコンデンサ等の積層電子部品における内部電極等の導体パターンの形成にあたっては、シリカ、アルミナ等のセラミック粉末と有機結合剤とからなる薄いグリーンシート上にパラジウム、銀、銅、タングステン等の金属粒子のペーストをスクリーン印刷法により所定パターン状に塗布しこれを焼成することにより導体パターンを形成していた。しかしながらこのスクリーン印刷法においてはメッシュ状の網から構成されるスクリーンを用いるため、長期間の使用に伴うスクリーンだれによるパターン印刷精度の低下、各パターン毎にスクリーンを作成するための材料ロス、さらには、メッシュに付着する材料ロス等を生じるという多くの問題があった。
【0003】
このようなスクリーン印刷法における諸問題を解決するために、特開昭59−189617号公報、特開昭59−202682号公報、特開昭60−137886号公報、特開昭60−160690号公報等においては、スクリーン印刷法のようにペーストを必要とせず、かつ交換を必要とするスクリーン等を使用することなく、電子写真法により金属粒子の導体パターンを形成し、これを焼成することが記載されている。
【0004】
例えば、積層コンデンサの製造方法に関する前記の特開昭59−189617号公報の発明では導体層を構成する荷電粒子としてパラジウム粉末を用い、これをポリスチレン(結合剤)と塩化ポリエステル(電荷制御剤)と共に混練して微粉砕した後、球状化して平均粒径10〜20μm程度のトナーを得て、このトナーをキャリアと混合した二成分系現像剤を用いて、電子写真法により所定電極パターンを形成している。しかし、これらの方法におけるトナーは抵抗値が低く電荷がリークしやすいため、電子写真法における高精度のパターンの再現、さらには確実な導通路の作成の面から問題が残されていた。
【0005】
さらに、上記の問題点に対処すべく、銅、タングステン、ニッケル、銀等による金属トナーを使用した電子写真法が、特開2000−98655号公報、特開2000−106032号公報および特開2000−221780号公報に記載されている。このうち、導体パターン形成用の金属トナーに関しては特開2000−98655号公報に機械的表面処理法を用いて金属粒子または金属酸化物粒子の表面に絶縁性樹脂または帯電容易な絶縁性樹脂を被覆する帯電性付与技術が記載されており、また特開2000−106032号公報には金属粒子または金属酸化物粒子の表面がモノマーの直接重合法により得られた絶縁性樹脂層で被覆されておりかつ絶縁性樹脂層の周囲または内部に帯電性材料からなる帯電性付与層を設ける技術が記載されている。
【0006】
一方、高い帯電能力と高濃度の画像形成能力をもつ磁性キャリアについては、例えば特開平8−44118号公報に強磁性酸化物、これらの複合物であるフェライト、または鉄粉等の強磁性金属を磁性コア粒子とし、これに熱硬化性樹脂を被覆したものが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
導電性を主目的とする導体パターンによる回路形成技術に二成分系現像剤による電子写真法を適用する場合には所望の帯電量を金属粉トナーに素早く付与する立ち上がり性が良好であることが必要と考えられる。しかし、導電性を高めるべく金属粉のみをトナーとして扱った場合には、金属粒子は抵抗値が低く電荷のリークが起こり、帯電立ち上がり性が悪く帯電保持性に劣るため、そのままでは電子写真法適用による回路形成を行えないという問題がある。
【0008】
また、この問題に対処するため、金属粉トナーを用いることを記載している上記各公開公報に開示されているように、金属粉トナーに抵抗値を持たせる樹脂被覆を行う技術が提唱されているが、この従来技術においてはコーティング樹脂の選択により所望とする帯電性を付与させるための樹脂被覆層が厚くなってきており、トナーの流動性を悪化させると共にパターン形成後の定着時において被覆樹脂層が絶縁物質となり回路としての導電性能や密着性を悪化させるという点において問題があった。
【0009】
またさらに、前記の特開平8−44118号公報記載の樹脂コートキャリアに組み合わされるトナーとしては、定着用樹脂を主体にカーボンブラックや離型剤等を組み合わせて混練し粉砕分級して得られる粒子に疎水性シリカで表面処理してなる樹脂トナーが用いられているが、樹脂コートキャリアと金属トナーとの組合せについての適性は明らかでない。
【0010】
上記の状況に鑑み、本発明は薄膜表面層を有する金属トナーによりその帯電性を向上させると共に、この金属トナーに必要な帯電性を付与するキャリアを組合せるものであって、帯電立ち上がり性がよく、帯電レベルが高く、画像特性に優れた導体パターン形成用の金属トナー、キャリアおよびこれらからなる現像剤を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の発明者等は、従来の問題点を検討したところ、金属粒子によるトナーを帯電させるために、この金属トナー製造時に、表面処理剤として脂肪酸、さらには必要に応じて界面活性剤を用い、湿式法により金属粒子の表面に薄膜表面層を形成し、金属粒子自体に抵抗値をもたせることが有効であることを見出した。それに加え前記金属トナーに対し帯電の立ち上がりがよく帯電レベルの良好なキャリアの組合せを見出すことができた。
【0012】
すなわち、本発明は、第1に、電子写真法による導体パターン形成用の現像剤に用いられる銀粒子と該銀粒子を被覆する表面処理剤とからなる金属トナーであって、銀粒子が該銀粒子の重量の0.1〜1%の表面処理剤の薄膜層で被覆されてなり、帯電量が3〜30μC/gであることを特徴とする金属トナーを、第2に、電子写真法による導体パターン形成用の現像剤に用いられる銀粒子と該銀粒子を被覆する表面処理剤とからなる金属トナーであって、銀粒子が該銀粒子の重量の0.1〜1%の脂肪酸の薄膜層で被覆されてなり、帯電量が3〜30μC/gであることを特徴とする金属トナーを、第3に、前記銀粒子が湿式法により製造され、該銀純度が90重量%以上である第1または2に記載の金属トナーを、第4に、平均粒径が0.2〜15μmである第1〜3のいずれかに記載の金属トナーを、第5に、比表面積が0.2〜1m2/gである第1〜4のいずれかに記載の金属トナーを、第6に、球状度が0.4以上である第1〜5のいずれかに記載の金属トナーを、第7に、電子写真法による導体パターン形成用の二成分系現像剤であって、第1〜6のいずれかに記載の金属トナーと磁性体粒子が樹脂層で被覆されたキャリアとからなることを特徴とする現像剤を、第8に、前記樹脂がフッ素樹脂、シリコーン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である第7記載の現像剤を、第9に、前記樹脂の重量が前記磁性体粒子の重量の0.1〜3%である第7または8に記載の現像剤を、第10に、前記磁性体粒子がフェライト、マグネタイトおよび鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種である第7〜9のいずれかに記載の現像剤を、第11に、前記キャリアの平均粒径が20〜100μmである第7〜10のいずれかに記載の現像剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
金属トナーは金属純度が好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上とする。金属純度が90重量%を下回ると導電性が低下するので好ましくない。金属トナーの平均粒径は0.2〜15μmが好ましく、1〜10μmのものがさらに好ましい、また、その比表面積は0.2〜1m2/gのものが好ましい。金属トナーにおける転写性や細線の再現性を考慮した場合、帯電量の大きい微細側の粒子が好ましいが粒径が0.2μmを下回り、また比表面積が1m2/gを越える微粒子においてはキャリア表面等への付着力(ファンデルワールス力)が強くなって離れにくくなり、帯電力(クーロン力)の制御が難しくなる。一方、15μmを越える径のもの、また比表面積が0.2m2/gを下回るものは、金属トナーにおける帯電量が低下し、転写性や細線の再現性に劣る。
【0014】
このような金属トナーの芯材(核ということがある。)となる金属粒子は、通常、粒度を揃えるべく湿式還元法によって製造するのが好ましく、例えば銀粒子の場合は硝酸銀溶液をアンモニアでアミン錯体溶液とし必要に応じてpH調整してから還元剤を添加し銀粒子を析出させる方法がとられる。これにより球状度を高めることができる。金属トナーの球状度は0.4以上が好ましく、0.4に達しない場合は現像材の流動性にバラツキが生じ、導体パターンが不均一となる。なお、本発明において球状度は、平均粒径から計算した比表面積値をBET法で測定した比表面積値で割って求めることができる。また、金属粒子としては、パラジウム、銀、金、銅、白金、タングステン、ニッケル等種々の金属を単独でまたは合金で使用することができるが、導電性、安定性、コスト、加工性等の見地から銀の粒子が好ましい。
【0015】
金属トナー用の金属粒子に、容易に帯電可能な薄膜層を形成するための表面処理剤はオレイン酸、ステアリン酸、リン酸エステル等の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸に界面活性剤、さらには結合剤からなるものが使用される。上記の表面処理剤は、湿式法において金属粒子を形成したのち、すぐに反応液中において金属粒子重量に対して0.1〜1重量%となるように表面処理剤を加えて撹拌することにより、表面処理剤の薄膜層で被覆された表面処理金属粒子を得ることができ、これを金属トナーとする。
好ましい画像形成のための金属トナーの帯電量は、3〜30μC/gであり、より好ましくは10〜25μC/gである。表面処理剤の添加率が0.1重量%を下回ると帯電量が3μC/g未満となってトナーの飛散も多くなって取扱いが困難となり、一方、表面処理剤の添加率が1重量%を越えると帯電量が30μC/gを上回り現像し難くなる。
【0016】
金属トナーを帯電させるためのキャリアとしては、フェライト、マグネタイト、鉄粉等の磁性体粒子に樹脂被覆した平均粒径20〜100μmのものが好ましい。樹脂被覆重量としては磁性体粒子重量に対して0.1〜3%になるようにするのが好ましい。キャリアの平均粒径が大きくなり、樹脂被覆率が小さくなると帯電付与能力が低下し、一方、平均粒径が小さくなり、樹脂被覆率が大きくなるに従い帯電量自体も高くなっていく傾向にあるが20μm程度で略飽和する。平均粒径が100μmを越え、樹脂被覆率が0.1%を下回ると金属トナーへの帯電付与能力が所定範囲に達せず、逆に、樹脂被覆率が3%を越えると金属トナーへの帯電付与力が所定範囲を超え、さらに導電パターンの導電性が悪化してしまう。しかし、平均粒径による金属トナーの帯電量変化では、樹脂種類や金属トナーの表面処理剤の違いによる帯電量の差程には大きな変化は見られない。
【0017】
被覆樹脂材料としてはフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等が選択できるが、樹脂被覆材料間の帯電レベルでは、フッ素樹脂>シリコーン樹脂>アクリル変性シリコーン樹脂の順になり、帯電の立ち上がり性や帯電レベルの調整ではフッ素樹脂が優位であると考えられる。
なお、この樹脂被覆の際、フッ素樹脂被覆材にフッ素変性シリコーンオイルを1〜10重量%添加すれば、帯電レベルが顕著に増大する。
【0018】
上記の磁性体粒子の樹脂被覆に際しては浸漬法を用いる。万能撹拌機中に核となる磁性体粒子、被覆するための樹脂、混合状態を均一にするための溶剤を加え、撹拌しながら加熱し、乾燥工程とキュアリング工程を経て所望のキャリアを得る。この場合の溶剤は樹脂を均一に分散できるものを選択する。例えばトルエン、キシレンケトン類等で、水溶性樹脂を使う場合は水及びメタノール等が選択できる。また乾燥工程工程およびキュアリング工程も使用する樹脂により調整が可能であるが、乾燥工程は70〜140℃で10〜60分の範囲、キュアリング工程においては140〜300℃で10〜120分の範囲が好ましい。
【0019】
上記のように、キャリアの製造には撹拌しながらキュアリング処理を行うが、シリコーン樹脂のような熱硬化性樹脂を用いる場合には撹拌によるストレスによりキャリア表面の樹脂層を荒らしてしまう場合がある。したがって、キュアリング処理は比較的短い時間に止め、オーブン等で静置キュアリングを行う処置を行ってもよい。この場合オーブンの条件は使用する樹脂にもよるが、100〜300℃で30分〜5時間が好ましい。
【0020】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0021】
〔実施例1〕 市販の銀地金を硝酸に溶解して得た銀濃度12.4g/リットル(以下、リットルをLで表す。)の硝酸銀溶液1Lに25重量%のアンモニア水37mLを添加することにより、アミン錯体溶液を得た。この溶液に還元剤としてヒドラジンを4mL添加することにより、銀粉を析出させた。この反応液中にオレイン酸からなる不飽和脂肪酸をこの銀粉に対して0.4重量%の割合で添加し、撹拌することによって表面処理剤を銀粒子に被覆した銀トナーを得た。得られた銀トナーは、表1に示されるように、銀純度が99.4重量%、日機装社製マイクロトラック粒度分布測定装置による平均粒径(本発明においては本装置を用いて測定する。)が1.4μm、比表面積が0.85m2/g、タップ密度が4.0g/cm3、球状度が0.5であってほぼ球状に近いものであった。
【0022】
【表1】
【0023】
一方、フェライト粒子重量に対して1.5重量%の割合になる重量のフッ素樹脂に溶剤としてトルエンを添加してコーティング液とし、このコーティング液を上記重量の平均粒径が50μmの球状フェライト粒子に加えて万能撹拌機による浸漬法で120〜200℃で1時間の加熱撹拌を行い、トルエンを除去すると共に球状フェライト粒子にフッ素樹脂を被覆した。次いでこの樹脂被覆粒子を熱循環式オーブン中で200℃で3時間の加熱処理を行ってキャリアとした。
【0024】
次いで、前記銀トナー10重量部と前記キャリア90重量部を100mlポリエチレン容器に入れ、通常環境条件(温度25℃、湿度65%)で30分間ボールミルで撹拌して摩擦帯電させ、その後、銀トナーの帯電量をブローオフ粉体帯電量測定装置(東芝ケミカル株式会社製TB−200、本発明においては本装置を用いて測定する。)により測定した。その結果、表1に示したように、帯電量は21.2μC/gであった。
【0025】
〔実施例2〕 市販の銀地金を硝酸に溶解して得た銀濃度12.4g/Lの硝酸銀溶液1Lに25重量%のアンモニア水47mLを添加することにより、アミン錯体溶液を得た。この溶液をアルカリ溶液でpH2〜13に調整してから、還元剤ホルマリン(日本化成製ホルムアルデヒド37重量%)を50mL添加することにより銀粉を析出させた。この反応液中にオレイン酸からなる不飽和脂肪酸をこの銀粉に対して0.7重量%の割合で添加し、実施例1と同様の表面処理を行うことで得られた銀トナーは表1に示されるように、銀純度が98.7重量%、平均粒径が1.5μm、比表面積が0.78m2/g、タップ密度が4.4g/cm3、球状度が0.5であってほぼ球状に近いものであった。
【0026】
次いで、実施例1で得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして上記銀トナーの帯電量を測定した結果、表1に示したように、21.4μC/gであった。
【0027】
〔実施例3〕 市販の銀地金を硝酸に溶解して硝酸銀溶液を得て、この硝酸銀溶液から実施例2と同様にして銀粉を析出させた。この反応液中にステアリン酸からなる飽和脂肪酸をエタノール溶液に溶解し、銀粉に対して0.2重量%の割合で添加し、実施例1と同様の表面処理を行うことで、表1に示されるように、銀純度が99.1重量%、平均粒径が2.5μm、比表面積が0.51m2/g、タップ密度が4.0g/cm3、球状度が0.4の銀トナーを得た。
【0028】
次いで、実施例1で得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして上記銀トナーの帯電量を測定した結果、表1に示したように、10.0μC/gであった。
【0029】
〔実施例4〕 実施例2と同様にして銀粉を得た。さらに、銀粉に対して0.3重量%のオレイン酸を添加し、銀純度が99.2重量%、平均粒径が2.0μm、比表面積が0.52m2/g、タップ密度が5.0g/cm3、球状度が0.5の銀トナーを得た。
【0030】
次いで、実施例1で得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして上記銀トナーの帯電量を測定した結果、表1に示したように、12.6μC/gであった。
【0031】
〔実施例5〕 実施例2と同様にして銀粉を得た。次いで、実施例3と同様にして、この銀粉に対してステアリン酸0.1重量%を添加して、表1に示されるように、銀純度が99.2重量%、平均粒径が4.0μm、比表面積が0.24m2/g、タップ密度が5.0g/cm3、球状度が0.6の銀トナーを得た。
【0032】
次いで、実施例1で得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして上記銀トナーの帯電量を測定した結果、表1に示したように、3.4μC/gであった。
【0033】
〔比較例1〕 実施例2と同様にして銀粉を得た。次いで、上記銀粉を、表面処理剤の薄膜層で被覆することなく、そのまま銀トナーとして使用する。この銀トナーは、銀純度が99.4重量%、平均粒径が10.0μmとやや大きく、比表面積が0.34m2/g、タップ密度が1.7g/cm3とやや低く、球状度が0.2と低いものであった。
【0034】
次いで、実施例1で得られたキャリアを用いて実施例1と同様にして上記銀トナーの帯電量を測定した結果、表1に示したように、−1.1μC/gであった。
【0035】
以上の実施例1〜実施例5および比較例1の結果から理解されるように、キャリア材料および帯電条件を固定して金属トナー種を割り振った場合、表面処理剤の種類により帯電性が−1〜21μC/gまでに変化する傾向がある。これらの結果からシステムの必要とする帯電量に合わせることができ、表面処理剤等を変えることにより、3〜21μC/gの範囲内で任意に調整が可能になった。また、金属粒子の表面処理を行わないもの(比較例1)は、トナーとして必要な抵抗が得られないため帯電性が保持できないことがわかる。
【0036】
〔実施例6〕 フェライト粒子重量に対して1.5重量%の割合になる重量のフッ素樹脂に溶剤としてトルエンを添加してコーティング液とし、このコーティング液を球状フェライト粒子に加えて万能撹拌機による浸漬法で120〜200℃で1時間の加熱撹拌を行い、トルエンを除去するとともに球状フェライト粒子にフッ素樹脂を被覆した。次いでこの樹脂被覆粒子を熱循環式オーブン中で200℃で3時間の加熱処理を行って平均粒径50μmのキャリアとした。
【0037】
〔実施例7〕 フェライト粒子重量に対して1.5重量%の割合になる重量のシリコーン樹脂に溶剤としてトルエンを添加してコーティング液とし、このコーティング液を球状フェライト粒子に加えて万能撹拌機による浸漬法で120〜200℃で1時間の加熱撹拌を行い、トルエンを除去するとともに球状フェライト粒子にシリコーン樹脂を被覆した。次いでこの樹脂被覆粒子を熱循環式オーブン中で200℃で3時間の加熱処理を行って平均粒径50μmのキャリアとした。
【0038】
〔実施例8〕 フェライト粒子重量に対して1.5重量%の割合になる重量のアクリル変性シリコーン樹脂に溶剤としてトルエンを添加してコーティング液とし、このコーティング液を球状フェライト粒子に加えて万能撹拌機による浸漬法で120〜200℃で1時間の加熱撹拌を行い、トルエンを除去するとともに球状フェライト粒子にアクリル変性シリコーン樹脂を被覆した。次いでこの樹脂被覆粒子を熱循環式オーブン中で200℃で3時間の加熱処理を行って平均粒径50μmのキャリアとした。
【0039】
上記の実施例6〜実施例8で得られた各キャリアに実施例4、実施例5で得られた各銀トナーを用いて6通りに組み合わせ、実施例1と同様にして各々の組み合わせの場合における帯電量を測定し、次の表2に示す測定値を得た。
【0040】
【表2】
【0041】
上記の表2から理解されるように銀トナーの種類を固定して、用いられた樹脂の異なる各キャリアに割り振った場合、キャリアの種類により帯電量が0.5〜13μC/gまで変化する傾向がある。フッ素樹脂を用いて被覆されたキャリア(実施例6)が最も帯電し易く、使用する上で帯電量の選択の幅が広がるものと考えられる。
一方、シリコーン樹脂を用いて被覆されたキャリア(実施例7)およびアクリル変性シリコーン樹脂を用いて被覆されたキャリア(実施例8)においては、実施例5で得られたトナーのような、組み合わされるトナーによっては、帯電量が低くなる。したがって、銀トナーを用いる場合に現像に必要な帯電性(帯電レベル、帯電立ち上がり性)を得るためにはフッ素樹脂を用いて被覆されたキャリアが好ましい。
【0042】
〔実施例9〕 フェライト粒子重量に対して1.5重量%の割合になる重量のフッ素樹脂に溶剤としてトルエンを添加してコーティング液とし、このコーティング液を平均粒径70μmの球状フェライト粒子に加えて万能撹拌機による浸漬法で120〜200℃で1時間の加熱撹拌を行い、トルエンを除去するとともに球状フェライト粒子にフッ素樹脂を被覆した。次いでこの樹脂被覆粒子を熱循環式オーブン中で200℃で3時間の加熱処理を行ってキャリアとした。
【0043】
〔実施例10〕 フェライト粒子重量に対して1.5重量%の割合になる重量のフッ素樹脂に溶剤としてトルエンを添加してコーティング液とし、このコーティング液を平均粒径50μmの球状フェライト粒子に加えて万能撹拌機による浸漬法で120〜200℃で1時間の加熱撹拌を行い、トルエンを除去するとともに球状フェライト粒子にフッ素樹脂を被覆した。次いでこの樹脂被覆粒子を熱循環式オーブン中で200℃で3時間の加熱処理を行ってキャリアとした。
【0044】
〔実施例11〕 フェライト粒子重量に対して1.5重量%の割合になる重量のフッ素樹脂に溶剤としてトルエンを添加してコーティング液とし、このコーティング液を平均粒径30μmの球状フェライト粒子に加えて万能撹拌機による浸漬法で120〜200℃で1時間の加熱撹拌を行い、トルエンを除去するとともに球状フェライト粒子にフッ素樹脂を被覆した。次いでこの樹脂被覆粒子を熱循環式オーブン中で200℃で3時間の加熱処理を行ってキャリアとした。
【0045】
各々の球状フェライト粒子における平均粒径が異なる上記の実施例9〜実施例11で得られた各キャリアに実施例4、実施例5で得られた各銀トナーを用いて6通りに組み合わせ、実施例1と同様にして各々の組み合わせの場合における帯電量を測定し、次の表3に示す測定値を得た。
【0046】
【表3】
【0047】
上記の表3から理解されるように銀トナーの種類を固定して、各々の球状フェライト粒子における平均粒径が異なる上記の各キャリア(実施例9〜実施例11)に割り振った場合、キャリアに用いられたフェライト粒子の平均粒径毎に帯電量が2〜13μC/gまで変化する傾向がある。キャリアに用いられたフェライト粒子の平均粒径の細かいもの(実施例11)が上記のうちで最も帯電し易く、使用する上で帯電量の選択の幅が広がるものと考えられる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の表面処理剤薄膜層で被覆された金属トナーと樹脂層で被覆されたキャリアとからなる現像剤を用いた電子写真画像形成方法により、高帯電かつ均一な帯電が可能となることにより大きな精度で導体パターンを基板もしくは薄膜シート上に印刷、形成でき、定着後にはピンホールの少ない良好な導電性を有する信頼性の高い導体パターンを形成することができる。
Claims (11)
- 電子写真法による導体パターン形成用の現像剤に用いられる銀粒子と該銀粒子を被覆する表面処理剤とからなる金属トナーであって、銀粒子が該銀粒子の重量の0.1〜1%の表面処理剤の薄膜層で被覆されてなり、帯電量が3〜30μC/gであることを特徴とする金属トナー。
- 電子写真法による導体パターン形成用の現像剤に用いられる銀粒子と該銀粒子を被覆する表面処理剤とからなる金属トナーであって、銀粒子が該銀粒子の重量の0.1〜1%の脂肪酸の薄膜層で被覆されてなり、帯電量が3〜30μC/gであることを特徴とする金属トナー。
- 前記銀粒子が湿式法により製造され、該銀純度が90重量%以上である、請求項1または2に記載の金属トナー。
- 平均粒径が0.2〜15μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の金属トナー。
- 比表面積が0.2〜1m2/gである、請求項1〜4のいずれかに記載の金属トナー。
- 球状度が0.4以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の金属トナー。
- 電子写真法による導体パターン形成用の二成分系現像剤であって、請求項1〜6のいずれかに記載の金属トナーと磁性体粒子が樹脂層で被覆されたキャリアとからなることを特徴とする現像剤。
- 前記樹脂がフッ素樹脂、シリコーン樹脂およびアクリル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項7記載の現像剤。
- 前記樹脂の重量が前記磁性体粒子の重量の0.1〜3%である、請求項7または8に記載の現像剤。
- 前記磁性体粒子がフェライト、マグネタイトおよび鉄からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項7〜9のいずれかに記載の現像剤。
- 前記キャリアの平均粒径が20〜100μmである、請求項7〜10のいずれかに記載の現像剤。
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