JP3992561B2 - 耐食性、耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板 - Google Patents

耐食性、耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性、耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまでに電気亜鉛系めっき鋼板や溶融亜鉛めっき系鋼板の表面処理鋼板が開発され、家電、建材、および自動車部品等の用途において幅広く利用されている。これらの鋼板の多くは、耐食性向上を目的として、一般にクロメート処理が用いられている。
このクロメート処理は、バリヤー性を有する3価クロムと、自己修復機能を有する6価クロムを含有し、優れた耐食性を有する処理であり、例として塗布型クロメート、電解型クロメートが挙げられる。
【0003】
塗布型処理により形成されたクロメート皮膜は、6価クロムを多く含有し、特に加工部耐食性に優れている。しかしながら、6価クロムは発ガン性を有しており、6価クロムを多く含む塗布型クロメート処理は、製品として使用される際に人体への影響が問題とされている。電解処理により形成されたクロメート皮膜は、3価クロム主体であり、6価クロムの溶出は少ない。反面、耐食性は塗布型より劣り、特に加工時などで皮膜損傷が大きい場合、耐食性は低下する。
【0004】
これらのクロメート処理の上層に更に、有機重合体を被覆すれば6価クロムの溶出は、かなり抑制されるものの十分ではない。また、特開平5-230666号公報に開示されているような一般に樹脂クロメートと呼ばれる方法では、6価クロムの溶出抑制に大幅な改善が認められるものの、微量の溶出は避けられない。また、上記クロメート処理は、何れも処理工程での廃液処理や作業者への安全性についての問題は、回避することができない。
【0005】
上記のような問題から、近年、クロメート処理と同等な性能を有するクロメートフリー処理の検討が行われている。その代表的なものは、有機系樹脂で金属表面を被覆し、被覆皮膜の金属表面への吸着力の強化により耐食性を改善しようとする手法がある。例えば、特開平11-5061公報、特開平11-158647号公報があり、キレート形成基としてチオール基、チオケトン基など含硫黄基を含有する高分子キレート化処理剤が提案されている。これらは、基本的に皮膜損傷が大きい場合、加工時の損傷部に対する耐食性発現が乏しく、クロメート処理の耐食性に及ばず、クロメート処理と同等の耐食性を発現するには至っていない。
【0006】
家電分野においては、塗装密着性や接着性を確保するための前処理として、油分や異物の除去を目的にアルカリ脱脂を行う場合がある。また、建材分野においては、プレス加工やロールフォーミング加工といった成形時にpH7〜9程度の水溶性の加工油(クーラント)を用いる場合があり、これらの脱脂、加工時にクロメートフリー処理皮膜が溶出し、外観や耐食性が劣化する場合があった。そのため、脱脂、加工時での外観、耐食性が劣化しない耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板が望まれていた。
【0007】
以上に加えて自動車分野では、エンジン周りなどの熱が加わる条件でも優れた耐食性を有するクロメートフリー処理金属板が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、こうした状況に鑑みたものであり、その目的は、優れた耐食性、耐アルカリ性を有し、同時に6価クロムを含有しない環境適合性に優れたクロメートフリー処理金属板を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、金属またはめっき金属板の表面に、(a) チタニウム化合物をチタニウム換算で10〜200mg/m2またはジルコニウム化合物をジルコニウム換算で10〜200mg/m2、あるいはチタニウム化合物とジルコニウム化合物をそれぞれチタニウムとジルコニウム換算で合計10〜200mg/m2の皮膜を有し、その皮膜中にさらに(b)リン酸化合物と(c)グアニジン化合物を含有させることで、耐食性、耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板を得られることを見出した。
【0010】
耐食性、耐アルカリ性の発現メカニズムは、明らかではないが、チタニウム化合物またはジルコニウム化合物を単独あるいは複合で含有し、更にリン酸化合物を含有する緻密な皮膜により、優れたバリヤー性が発現される。この皮膜が腐食環境下において、腐食因子(塩素イオンなど)の金属板表面への浸入を防ぎ腐食反応を抑制する。また、リン酸化合物とグアニジン化合物は、腐食環境下において、環境中に溶出した金属イオンをキレート化して、更に金属表面に吸着し、いわゆるインヒビター効果が期待でき、このインヒビター効果により、加工時、及びアルカリ溶液浸漬時に損傷した部分の腐食が抑制され、加工後耐食性、耐アルカリ性が向上しているものと考えられる。
【0011】
即ち、本発明の要旨とするところは、
(1)金属またはめっき金属板の表面に、(a)チタニウム化合物をチタニウム換算で10〜200mg/m2またはジルコニウム化合物をジルコニウム換算で10〜200mg/m2、またはチタニウム化合物とジルコニウム化合物をそれぞれチタニウムとジルコニウム換算で合計10〜200mg/m2の皮膜を有し、その皮膜中にさらに(b)リン酸化合物と(c)リン酸グアニジン、硝酸グアニジン、炭酸グアニジンから選ばれる1種あるいは2種以上のグアニジン化合物を含有することを特徴とする耐食性、耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板、
(2)リン酸化合物含有量が、成分(a)100質量部(換算値)に対して10〜150質量部であることを特徴とする前記(1)に記載のクロメートフリー処理金属板、
(3)グアニジン化合物含有量が、成分(a)100質量部(換算値)に対して15〜150質量部であることを特徴とする前記(1)、(2)の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板、
(4)皮膜中にマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ランタン、セリウム、ハフニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、珪素、マンガン、コバルト、ニッケル化合物から選ばれる1種以上を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して5〜200質量部含むことを特徴とする前記(1)〜(3)の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板、
(5)皮膜中に1種以上の水溶性樹脂を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して0.5〜40質量部含むことを特徴とする前記(1)〜(4)の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板、
(6)皮膜中に潤滑成分を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して0.5〜15質量部含むことを特徴とする前記(1)〜(5)の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板、
(7)めっき金属板のめっき層が、Mg:1〜10質量%、Al:2〜19質量%、Si:0.01〜2質量%含有し、かつ、MgとAlが下式
Mg(質量%)+Al(質量%)≦20(質量%)
を満たし、残部がZn及び不可避的不純物よりなるZn合金めっき層であることを特徴とする前記(1)〜(6)の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板、
(8)めっき金属板のめっき層が
Al:50〜95質量%、Si:0.5〜12質量%含有し、残部が不可避的不純物もしくはZn及び不可避的不純物よりなるAl合金めっき層であることを特徴とする前記(1)〜(6)の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板、である。
【0012】
【発明実施の形態】
以下、本発明を詳述する。
本発明における皮膜の形成方法としては、チタニウム化合物、または、ジルコニウム化合物を単独あるいは複合で混合したものをベースとし、リン酸化合物、グアニジン化合物を含有させた処理液を使用する。
【0013】
チタニウム化合物、ジルコニウム化合物を単体もしくは複合で使用することで、造膜性、バリヤー性、耐水性をもたせることができる。更にリン酸化合物を含有させることで、インヒビター効果が得られ、更に造膜性、耐水性が向上し、優れたバリヤー性が発現される。さらには、グアニジン化合物を含有させることで、グアニジン化合物のインヒビター効果を得ることができる。これらの成分の相乗効果で、優れた耐食性、耐アルカリ性(浸漬後の耐食性)を有する皮膜を形成することができる。
以上の技術により、従来にはない優れた耐食性と耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板の開発に成功した。
【0014】
以下、本発明である耐食性と耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板の製造方法を詳述する。
【0015】
本発明において適用可能な金属あるいはめっき金属板としては、鋼板およびその上層にめっきを施した亜鉛めっき金属板、亜鉛-ニッケルめっき金属板、亜鉛-鉄めっき金属板、亜鉛-クロムめっき金属板、亜鉛-アルミニウムめっき金属板、亜鉛-チタンめっき金属板、亜鉛-マグネシウムめっき金属板、亜鉛-マンガンめっき金属板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき、アルミニウムまたはアルミニウム合金めっき金属板、鉛または鉛合金めっき金属板、錫または錫合金めっき金属板、さらにはこれらのめっき層に少量の異種金属元素あるいは不純物としてコバルト、モリブデン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、ビスマス、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素等を含有したもの、または/およびシリカ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが含まれる。さらには、以上のめっきと他のめっき、例えば鉄めっき、鉄-りんめっき等と組み合わせた複層めっきにも適用可能である。
各めっき金属板におけるめっき付着量は、片面1g/m2以上とすることが好ましく、これを下回ると耐食性が低下する。
【0016】
本発明で用いるチタニウム化合物としては、例えば、チタンフッ化水素酸、チタンフッ化アンモニウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、塩化チタン、チタンイソプロポキシド、チタン酸イソプロピル、チタンエトキシド、チタン2-エチル-1-ヘキサノラート、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラ-n-ブチル、チタンフッ化カリウム、チタンフッ化ナトリウム等が挙げられ、あるいはそれらの混合物を用いることも可能である。
【0017】
また、ジルコニウム化合物としては、例えば、炭酸ジルコニルアンモニウム、ジルコンフッ化水素酸、ジルコンフッ化アンモニウム、ジルコンフッ化カリウム、ジルコンフッ化ナトリウム、ジルコニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムブトキシド-1-ブタノール溶液、ジルコニウム-n-プロポキシド、硝酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、カルボン酸ジルコニウム等が挙げられ、あるいはそれらの混合物を用いることも可能である。
【0018】
成分(a)の付着量としては、チタニウム化合物をチタニウム換算で10〜200mg/m2、またはジルコニウム化合物をジルコニウム換算で10〜200mg/m2、またはチタニウム化合物とジルコニウム化合物をそれぞれチタニウムとジルコニウム換算の合計として10〜200mg/m2とするのが好ましい。付着量が、10mg/m2未満の場合、十分なバリヤー効果が得られず、耐食性が劣り、200mg/m2を超える場合、耐食性向上効果が飽和するため不経済である。また、皮膜が白く着色し外観上好ましくない。
【0019】
本発明で用いるリン酸化合物としては、例えば、オルトリン酸およびオルトリン酸塩、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸またはそれらの塩類が挙げられ、あるいはそれらの混合物を用いることも可能である。
リン酸化合物の付着量としては、成分(b)のリン酸化合物を、成分(a)のチタニウム、及びジルコニウム化合物の100質量部(換算値)に対して10〜150質量部とするのが好ましい。リン酸化合物の付着量が、成分(a)の10質量部未満であると、十分なインヒビター効果が得られず、耐食性が劣化する。150質量部を超える場合、耐食性向上効果が飽和するため不経済である。
【0020】
本発明で用いるグアニジン化合物としては、例えば、塩酸グアニジン、硝酸グアニジン、炭酸グアニジン、ロダングアニジン、重炭酸アミノグアニジン、塩酸アミノグアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジンなどが挙げられ、これらを単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
グアニジン化合物の付着量としては、成分(c)のグアニジン化合物を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して15〜150質量部とするのが好ましい。グアニジン化合物の付着量が15質量部未満であると、皮膜の損傷部の腐食を抑制するインヒビター効果が小さく、十分な耐食性が得られない。150質量部を超える場合、耐食性向上効果が飽和して不経済である。また、処理液の安定性が低下するため生産上好ましくない。
【0021】
皮膜中に、更にマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ランタン、セリウム、ハフニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、珪素、マンガン、コバルト、ニッケルの酸化物、水酸化物、錯フッ化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などから選ばれる1種以上の金属化合物を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して5〜200質量部含むことにより更に耐食性、耐アルカリ性の向上を図ることができる。
これらの金属化合物の含有量を、5質量部以上とすることで、更なる耐食性向上効果が得られる。一方、200質量部を超える場合、耐食性向上効果が飽和するため不経済であり、処理液の安定性も低下するため好ましくない。
【0022】
皮膜中に、1種以上の水溶性樹脂を添加することにより、更に耐食性、耐アルカリ性の向上を図ることができる。水溶性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エチレンアクリル共重合体、フェノール系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アルキド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を単独で使用しても、2種以上を併用しても良い。
水溶性樹脂の付着量としては、成分(a)の100質量部(換算値)に対して0.5〜40質量部含むことが好ましい。付着量が0.5質量部未満では、耐食性、耐アルカリ性の向上効果が得られない。一方、40質量部を超える場合、耐食性向上効果が飽和するので不経済あり、処理液の安定性が低下する。
【0023】
尚、本発明においては皮膜中に潤滑成分として、二硫化モリブデン、グラファイト、二硫化タングステン、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、フッ化セリウム、メラミンシアヌレート、フッ素樹脂系ワックス、ポリオレフィン系ワックスを添加することにより、加工性、耐疵付き性などを改善することができる。皮膜中に含まれる潤滑成分の含有量としては、成分(a)の100質量部(換算値)に対して、0.5〜15質量部含むことが好ましい。潤滑成分の含有量が、0.5質量部未満では、加工性、耐傷付き性の向上効果が乏しく、15質量部を超えると加工性、耐傷付き性の向上効果が飽和するので不経済である。
【0024】
また、本来の性能を損なわない範囲内で消泡剤やレベリング剤を皮膜中に添加しても良い。
【0025】
本発明に用いるめっき金属板として、めっき層が、Mg:1〜10質量%、Al:2〜19質量%、Si:0.01〜2質量%含有し、かつ、MgとAlが下式
Mg(質量%)+Al(質量%)≦20(質量%)
を満たし、残部がZn及び不可避的不純物よりなる溶融亜鉛―アルミニウム合金めっき層とすることで更なる耐食性の向上を図ることができる。めっき層中のAlは耐食性向上のために添加される。2質量%未満では充分な耐食性の向上が得られず、19質量%を超えると耐食性向上効果が飽和するとともに溶接性が大幅に低下するため、Al含有量は2〜19質量%とするのが好ましい。Mgの添加の目的も耐食性の向上である。1質量%未満では耐食性向上効果が不充分であり、10質量%を超えるとめっき層が脆くなり密着性を低下させてしまうため、Mg含有量は1〜10質量%とした。Siの添加目的は耐食性の向上とめっき層中のAlとFeの反応の抑制によるめっき密着性の向上である。0.01質量%未満ではその添加効果が不充分であり、2質量%を超えるとめっき密着性向上効果が認められなくなる。尚、MgとAlの含有量を式 Mg(質量%)+Al(質量%)≦20(質量%)に限定した理由は、めっき層中のZn含有量が低くなると犠牲防食効果が低下し耐食性が低下するためである。
【0026】
自動車のエンジン周りなどの熱の影響のある部分では、Al:50〜95質量%、Si:0.5〜12質量%を含有し、残部が不可避的不純物もしくはZn及び不可避的不純物よりなるAl合金めっき層を有する金属板を用いることで,耐熱性と耐食性の両方を高度に満足することができる。めっき層中のAlは耐食性と耐熱性の向上のために添加される。50質量%未満では充分な耐熱性の向上が得られず、95質量%を超えるとめっき密着性が低下するため,Al含有量は50〜95質量%とすることが好ましい。Siの添加目的は耐食性の向上とめっき層中のAlとFeの反応の抑制によるめっき密着性の向上である。0.5質量%未満ではその添加効果が不充分であり、12質量%を超えるとめっき密着性向上効果が認められなくなるため、Si含有量は0.5〜12質量%とすることが望ましい。
【0027】
また、めっき層中には上記の成分以外にFe、Ti、Ni、Sb、Pb、B、Bi等の元素を単独あるいは複合で1質量%以内含有しても良い。
【0028】
めっき付着量に関しては、特に限定するものではないが、耐食性の観点から1g/m2以上、また溶接性、加工性の観点からは350 g/m2以下であることが望ましい。
【0029】
尚、溶融めっきの製造方法としては バッチ式のどぶづけめっき法、フラックス法、ゼンジミア法やNi等のプレめっきを施して濡れ性を確保する方法等があるが、いずれでも構わない。また、めっき後の外観を変化させる目的で、水スプレー、気水スプレーを噴霧したり、リン酸ソーダ水溶液やZn粉末、さらにはリン酸Zn粉末、リン酸水素Mg粉末もしくはそれらの水溶液を噴霧しても良い。
まためっき後、本発明の皮膜を形成する前にめっきの変色防止等のため硫酸Co溶液や硫酸Ni溶液等による表面調整を施しても差し支えない。
【0030】
本発明で皮膜を形成させるための塗布方式としては、スプレー、カーテン、フローコーター、ロールコーター、バーコーター、刷毛塗り、浸漬及び、エアーナイフ法等、いずれの方法を用いても良い。
【0031】
また、焼き付け温度は、50〜250℃とするのが望ましい。乾燥設備については特に制限するものではないが、熱風吹き付けによる方法や、ヒーターにより間接加熱方法、赤外線による方法、誘導加熱による方法、並びにこれらを併用する方法が採用できる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0033】
(1)薬剤の種類
実施例に用いた薬剤の一覧を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 0003992561
【0035】
(2)金属板の種類
金属板は、表2に示すものを用いた。板厚は何れも1.0mmとした。
【0036】
【表2】
Figure 0003992561
【0037】
(3)処理液の調製
表1に示すTi/Zr化合物、リン酸化合物、グアニジン化合物、金属化合物、水溶性樹脂及び潤滑成分を表4, 5, 6, 7,8,9に示す比率で配合し、処理液を調製した。
【0038】
(4)処理液の塗布・乾燥方法
無処理のめっき金属板に(3)で調製した処理液を乾燥質量として表4, 5, 6,7,8,9に示す値となるように塗布し、到達板温80℃で乾燥して、評価用サンプルを作製した。また、処理皮膜の付着量の確認は、蛍光X線装置により皮膜中のTi及びZrを測定しその指標とした。
【0039】
(5)性能評価項目
(5)-1 平板耐食性
(4)で作製した評価用サンプルを、JIS Z 2371に記載されている塩水噴霧試験方法に準じて、雰囲気温度35℃で、5%のNaCl水溶液を試料に吹き付け、72時間後の平板部白錆発生率を測定して評価した。以下の評価で、◎及び○を良好とした。
◎:白錆発生なし
○:白錆発生面積 10%未満
△:同 10%以上50%未満
×:同50%以上
【0040】
(5)-2 加工部耐食性
(4)で作製した評価用サンプルを、試験片に6mmのエリクセン加工を施し、JIS Z 2371に記載されている塩水噴霧試験に準じて、雰囲気温度35℃で、5%のNaCl水溶液を試料に吹き付け、48時間後の加工部おける白錆発生率を測定して評価した。以下の評価で、◎及び○を良好と判定した。
◎:白錆発生なし
○:白錆発生面積 10%未満
△:同 10%以上50%未満
×:同 50%以上
【0041】
(5)-3 耐アルカリ性
(4)で作製した評価用サンプルを、水溶性加工油(佐藤特殊製油製STゾールF5)濃度 3%水溶液に5分間浸漬後風乾し、JIS Z 2371に記載されている塩水噴霧試験方法に準じて、雰囲気温度35℃で、5%のNaCl水溶液を試料に吹き付け、48時間後の白錆発生率を測定して評価した。以下の評価で、◎及び○を良好とした。
◎:白錆発生面積 10%未満
○:白錆発生面積 30%未満
△:同30%以上50%未満
×:同50%以上
【0042】
(5)-4加工性試験
(4)で作製した評価用サンプルにて、バウデン試験(荷重500g、圧子10mmφSUJ−2、摺動距離50mm、摺動速度50mm/秒)を行い、摺動回数10回目の摩擦係数を測定し評価した。
○:摩擦係数0.2未満
△:摩擦係数0.2〜0.4
×:摩擦係数0.4超
【0043】
(5)-5 連続溶接性
(4)で作製した評価用サンプルについて表3に示す条件で連続スポット溶接試験を行い。安定してナゲット径が4.5mmφ以上形成できる打点数を求めた。
【0044】
【表3】
Figure 0003992561
【0045】
以下の評価で◎及び○を良好と判定した。
◎:打点数 2,000点以上
○:1,000点以上2,000点未満
△:1,000点未満
×:500点未満
【0046】
(5)-6 耐熱耐食性試験
耐熱耐食性試験は、(4)で作製した評価用サンプルを350℃で8時間加熱後、JASO M609に準拠したサイクル腐食試験(5%NaCl水溶液噴霧(35℃)→乾燥(60℃,20〜30%RH)→湿潤(50℃,98%RH以上))を15サイクル行い、白錆発生率を測定した。以下の評価で、◎及び○を良好とした。
◎:白錆発生面積 10%未満
○:白錆発生面積 30%未満
△:同30%以上50%未満
×:同50%以上
【0047】
以上の評価結果を表4, 5, 6, 7,8,9に示す。表4, 5, 6, 7,8,9より、本発明のクロメートフリー処理金属板が、いずれの場合においても平板耐食性、加工部耐食性、耐アルカリ性、耐熱耐食性のみならず、溶接性に優れることは明らかである。
【0048】
【表4】
Figure 0003992561
【0049】
【表5】
Figure 0003992561
【0050】
【表6】
Figure 0003992561
【0051】
【表7】
Figure 0003992561
【0052】
【表8】
Figure 0003992561
【0053】
【表9】
Figure 0003992561
【0054】
【発明の効果】
本発明のクロメートフリー処理金属板は、良好な耐食性と耐アルカリ性を有し、且つ6価クロムを全く使用していないため環境負荷を低減した金属板として、家電製品の筐体、自動車の外板、内板、エンジン周り、柱、梁、接合金物等の建築用に好適に用いることができる。よって、本発明により、良好な耐食性と耐アルカリ性を有するクロメートフリー処理金属板を市場に提供することができる。

Claims (8)

  1. 金属またはめっき金属板の表面上に、
    (a)チタニウム化合物をチタニウム換算で10〜200mg/mまたはジルコニウム化合物をジルコニウム換算で10〜200mg/m、あるいはチタニウム化合物とジルコニウム化合物をそれぞれチタニウムとジルコニウム換算で合計10〜200mg/mの皮膜を有し、その皮膜中にさらに(b)リン酸化合物と(c)リン酸グアニジン、硝酸グアニジン、炭酸グアニジンから選ばれる1種あるいは2種以上のグアニジン化合物を含有することを特徴とする耐食性、耐アルカリ性に優れたクロメートフリー処理金属板。
  2. リン酸化合物含有量が、成分(a)100質量部(換算値)に対して10〜150質量部であることを特徴とする請求項1に記載のクロメートフリー処理金属板。
  3. グアニジン化合物含有量が、成分(a)の100質量部(換算値)に対して15〜150質量部であることを特徴とする請求項1、2の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板。
  4. 皮膜中にマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、ランタン、セリウム、ハフニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、珪素、マンガン、コバルト、ニッケル化合物から選ばれる1種以上を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して5〜200質量部含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板。
  5. 皮膜中に1種以上の水溶性樹脂を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して0.5〜40質量部含有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板。
  6. 皮膜中に潤滑成分を、成分(a)の100質量部(換算値)に対して0.5〜15質量部含むことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板。
  7. めっき金属板のめっき層が
    Mg:1〜10質量%、Al:2〜19質量%、Si:0.01〜2質量%含有し、かつ、MgとAlが下式
    Mg(質量%)+Al(質量%)≦20(質量%)
    を満たし、残部がZn及び不可避的不純物よりなるZn合金めっき層であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板。
  8. めっき金属板のめっき層が
    Al:50〜95質量%、Si:0.5〜12質量%含有し、残部が不可避的不純物もしくはZn及び不可避的不純物よりなるAl合金めっき層であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のクロメートフリー処理金属板。
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