JP3992445B2 - 内燃機関の作動状態判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の作動状態、特に吸気弁および排気弁の開閉状態を判定する内燃機関の作動状態判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の判定装置として、例えば特開平6−146937号公報に開示されたものが知られている。この内燃機関は、複数の気筒のうちの一部の気筒を、その吸排気弁の作動を停止することによって休止する休筒機構を備えており、この休筒機構により、一部の気筒を休止する休筒運転モードと、すべての気筒を運転する全筒運転モードとの間で切り換えて運転される。判定装置は、休筒運転モードから全筒運転モードへの切換が完了したか否かを判定するのに用いられている。具体的には、この判定装置では、全筒運転モードに得られるべき吸気管内圧を、エンジン回転数およびスロットル弁開度に応じて判定マップ値として設定しておくとともに、判定の時点で検出された吸気管内圧と、その時のエンジン回転数およびスロットル弁開度に対応する判定マップ値とを比較することによって、全筒運転モードへの切換が完了したかが判定される。切換未完と判定した場合には、燃焼制御が休筒運転モード用に維持される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の判定装置は、全筒運転モードと休筒運転モードの切換判定を、吸気弁の作動・停止状態に応じた吸気管内の圧力変化をパラメータとして行うものであって、吸気管の容積の分、その圧力変化が鈍いため、判定の応答性が良くないという問題がある。また、吸気管内圧は、吸気弁の作動・停止状態だけで一義的に定まるものではなく、内燃機関の回転数やスロットル弁開度によって大きく変化するため、従来の判定装置に見られるように、その判定マップ値を回転数およびスロットル弁開度に応じて持ち替えて設定する必要があり、その設定が煩雑である。また、そのような判定マップ値の詳細設定を行ったとしても、例えばスロットル弁開度が大きい高負荷領域では、全筒運転モードと休筒運転モードの間で、同一のスロットル弁開度に対する吸気管内圧の差が小さいため、判定の精度が低く、誤判定を生じるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、吸排気弁の開閉状態を代表とする内燃機関の作動状態を、簡便、迅速かつ精度良く判定することができる内燃機関の作動状態判定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、請求項1に係る発明は、クランク軸12の回転に従った吸気弁3aおよび排気弁3bの開閉によって、燃焼室内で複数の作動行程により1サイクルの燃焼を行う内燃機関1の作動状態を判定する内燃機関の作動状態判定装置であって、同一の作動行程内の互いに異なる複数のクランク角度で、燃焼室内の圧力である複数の筒内圧PCYL1、PCYL2をそれぞれ検出する筒内圧検出手段((実施形態における(以下、本項において同じ)筒内圧センサ11)と、前記複数のクランク角度に対応する燃焼室の複数の容積VCC1、VCC2を算出する燃焼室容積算出手段(ECU5)と、検出された複数の筒内圧PCYL1、PCYL2および算出された複数の燃焼室容積VCC1、VCC2に基づいて、作動行程における筒内圧PCYLの変化状態を表す圧力判定指数(ポリトロープ指数m)を算出する圧力判定指数算出手段(ECU5)と、算出された圧力判定指数に基づいて内燃機関1の作動状態を判定する作動状態判定手段(ECU5)と、を備えていることを特徴とする。
【0006】
この内燃機関の作動状態判定装置によれば、1燃焼サイクルの同一の作動行程内の互いに異なる複数のクランク角度でそれぞれ筒内圧を検出するとともに、複数のクランク角に対応する燃焼室容積をそれぞれ算出する。そして、これらの複数の筒内圧および燃焼室容積に基づいて、その作動行程における筒内圧の変化状態を表す圧力判定指数を算出し、算出された圧力判定指数に基づいて内燃機関の作動状態を判定する。
【0007】
筒内圧は、吸気弁および排気弁の開閉状態を代表とする内燃機関の作動状態に応じ、一定のルールに従って変化する。例えば、吸気弁および排気弁がともに閉じる圧縮行程や膨張行程では、燃焼室が閉鎖されることによって、筒内圧は、クランク角度で定まる燃焼室容積に応じて変化する。一方、吸気弁または排気弁が開く吸気行程や排気行程では、燃焼室が開放されることによって、筒内圧は、燃焼室容積にかかわらずほぼ一定の値をとる。したがって、複数の筒内圧と燃焼室容積に基づいて上記のように算出された圧力判定指数は、内燃機関の作動状態を良好に反映するので、この圧力判定指数によって、内燃機関の作動状態を適切に判定することができる。また、筒内圧の変化状態を直接、検出するので、判定を応答性良く迅速に行うことができる。さらに、筒内圧の変化状態には、エンジン回転数やスロットル弁開度は直接的には影響しないので、圧力判定指数に基づく判定を、例えばエンジン回転数やスロットル弁開度にかかわらない一定の判定値を用いて簡便に行うことが可能になるとともに、スロットル弁開度が大きな高負荷領域においても、判定を精度良く行うことができる。そして、以上のように判定された内燃機関の作動状態に応じて、燃料供給量や点火時期などを制御することによって、それらの制御の最適化を図ることが可能になる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1の内燃機関の作動状態判定装置において、作動状態判定手段により判定される作動状態が、吸気弁3aおよび排気弁3bの開閉状態(作動パターン)であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、圧力判定指数に基づく作動状態判定手段の判定により、内燃機関の作動状態として、吸気弁および排気弁の開閉状態を適切に判定することができる。この場合の吸・排気弁の開閉状態には、休筒機構を備えた内燃機関における全筒運転モードと休筒運転モードとの間の吸気弁の作動/停止の切換の完了に限らず、休筒機構をもたない通常の内燃機関の吸気弁または排気弁の故障なども含む。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2の内燃機関の制御装置において、内燃機関1が、複数の気筒3(#1〜#6)と、運転状態に応じて複数の気筒3(#1〜#6)のうちの一部の気筒3(#1〜#3)の吸気弁3aの作動を少なくとも停止することにより、一部の気筒3(#1〜#3)の運転を休止する休筒機構4と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
この構成では、作動状態判定手段の判定により、休筒機構を備えた内燃機関において、全筒運転モードと休筒運転モードとの間の吸気弁の作動/停止の切換の完了などを適切に判定することができる。その結果、請求項1の発明に関して述べた理由から、吸気管内圧をパラメータとする従来の場合よりも、その判定を、簡便、迅速かつ精度良く行うことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施形態による判定装置、およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示している。
【0013】
同図に示すように、この内燃機関(以下「エンジン」という)1は、例えばV型6気筒タイプのDOHCガソリンエンジンであり、その右バンク2Rに第1〜第3の3つの気筒3(#1〜#3)が、左バンク2Lに第4〜第6の3つの気筒3(#4〜#6)が、それぞれ設けられている。右バンク2Rには、後述する休筒運転モードによる運転を実行するための休筒機構4が設けられている。なお、図1では、各気筒3に共通して設けられる構成要素については、図面の煩雑化を避けるために、第1気筒3(#1)にのみ参照符号を付している。
【0014】
この休筒機構4は、油路6a、6bを介して油圧ポンプ(図示せず)に接続されている。また、油圧ポンプと休筒機構4の間には、吸気弁用および排気弁用の電磁弁7a、7bが配置されている。これらの電磁弁7a、7bはいずれも、常閉型のもので、後述するECU5に電気的に接続されていて、ECU5からの駆動信号によりON/OFF制御されることによって、油路6a、6bをそれぞれ開閉する。すなわち、休筒運転モードのときには、電磁弁7a、7bがいずれもONされることで、油路6a、6bを開放することによって、休筒機構4に油圧ポンプから油圧が供給される。これにより、右バンク2Rの第1〜第3気筒3(#1〜#3)において、吸気弁3aと吸気カム(図示せず)の間、および排気弁3aと排気カム(図示せず)の間がそれぞれ遮断されることによって、各気筒3の吸気弁3aおよび排気弁3bが停止状態(閉鎖状態)になり、エンジン1は休筒運転モードで運転される。
【0015】
一方、全筒運転モードのときには、上記とは逆に、電磁弁7a、7bがともにOFFされ、油路6a、6bを閉鎖することによって、油圧ポンプから休筒機構4への油圧の供給が停止される。これにより、右バンク2Rの第1〜第3気筒3(#1〜#3)において、吸気弁3aと吸気カムの間、および排気弁3bと排気カムの間の遮断状態が解除されることで、各気筒3の吸気弁3aおよび排気弁3bが可動状態になる。また、これらの吸気カムおよび排気カムを設けたカム軸は、タイミングチェーン(ともに図示せず)を介してクランク軸12に連結されており、クランク軸12の回転に従い、所定のクランク角度のタイミングで吸気弁3aおよび排気弁3bを開閉することによって、吸気・圧縮・膨張・排気の4つの作動行程による1サイクルの燃焼が、気筒3の燃焼室(図示せず)で行われる。
【0016】
また、各気筒3(#1〜#6)には、吸気マニホールド8aを介して吸気管8が接続されている。吸気マニホールド8aの各分岐部8bには、各気筒3の吸気ポート(図示せず)に臨むように、インジェクタ9が取り付けられている。これらのインジェクタ9の作動および燃料噴射時間TOUTは、ECU5からの駆動信号によって制御され、全筒運転モードのときには、すべてのインジェクタ9が作動し、燃料を各吸気ポートに向けて噴射する。一方、休筒運転モードのときには、右バンク2Rの3つのインジェクタ9による燃料噴射が停止される。
【0017】
以上のように、休筒運転モード時には、吸気弁3aおよび排気弁3bの停止と、インジェクタ9の燃料噴射の停止によって、右バンク2Rの3つの第1〜第3の気筒3(#1〜#3)が休止される。一方、全筒運転モードのときには、6つの気筒3(#1〜#6)がすべて運転されるとともに、これらが#1→#5→#3→#6→#2→#4の順に運転される。
【0018】
また、各気筒3には、点火プラグ10および筒内圧センサ11筒内圧検出手段が設けられている。各点火プラグ10は、ディストリビュータ(図示せず)を介してECU5に接続されており、その点火時期IGLOGは、ECU5からの駆動信号によって制御される。また、各筒内圧センサ11は、例えば圧電素子タイプのものであり、気筒3の燃焼室(図示せず)内の圧力である筒内圧PCYLを検出し、その検出信号をECU5に送る。
【0019】
また、クランク軸12の周囲には、TDCセンサ13および気筒判別センサ14が取り付けられている。TDCセンサ13は、エンジン1の各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)よりも所定角度前のクランク角度位置で、TDC信号パルスを出力する。ECU5は、このTDC信号パルスから、エンジン回転数NEを算出する。また、気筒判別センサ14は、特定の気筒の所定のクランク角度位置で気筒判別信号パルスCYLを出力するものであり、その信号パルスCYLもECU5に送られる。
【0020】
さらに、ECU5には、吸気管2のスロットル弁(図示せず)よりも下流側に設けた吸気管内絶対圧センサ15から、吸気管内絶対圧PBAを表す検出信号が、エンジン1の本体に設けたエンジン水温センサ16から、エンジン1の本体内を循環する冷却水の温度であるエンジン水温TWを表す検出信号が、それぞれ入力される。
【0021】
ECU5は、本実施形態において、燃焼室容積算出手段、圧力判定指数算出手段および作動状態判定手段を構成するものである。ECU5は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示せず)などからなるマイクロコンピュータで構成されている。前述した筒内圧センサ11などの各種センサからの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。CPUは、これらの検出信号に基づき、ROMに予め記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン1の運転状態を判別し、その結果に基づいて、各種の制御処理を行う。
【0022】
具体的には、CPUは、エンジン1の運転を、全筒運転モードと休筒運転モードのいずれにより行うかを決定するとともに、その結果に基づいて電磁弁7a、7bに駆動信号を出力することによって、休筒機構4を制御し、全筒運転モードと休筒運転モードの切換を行う。また、筒内圧センサ11の検出信号に応じ、後述するようにして、吸気弁3aおよび排気弁3bの実際の開閉状態を判定する。さらに、CPUは、エンジン1の運転状態、決定した運転モード、さらには吸気弁3aおよび排気弁3bの開閉状態などに応じて、インジェクタ9の燃料噴射時間TOUTおよび点火プラグ10の点火時期IGLOGを演算し、その結果に基づく駆動信号を出力する。
【0023】
以下、図2〜図4を参照しながら、ECU5で実行される吸気弁3aおよび排気弁3bの開閉状態の判定処理について説明する。この判定処理では、図2(a)に示すように、1燃焼サイクルの各作動行程において、筒内圧センサ11により筒内圧PCYLを所定の2つのクランク角度でサンプリングし、それぞれ第1および第2筒内圧PCYL1、PCYL2として記憶する。また、これら2つのクランク軸に対応する燃焼室の容積を第1および第2燃焼室容積VCC1、VCC2として算出する(同図(a)には膨張行程についてのみ示す)。
【0024】
次いで、各作動行程での状態変化がポリトロープ変化とみなせることから、上記のようにして求めた第1および第2筒内圧PCYL1、PCYL2と、第1および第2燃焼室容積VCC1、VCC2との間には、各作動行程において次の関係式(1)が成り立つ。
PCYL1・VCC1m = PCYL2・VCC2m ・・・(1)
ここで、値mは、各作動行程における状態変化を表すポリトロープ(体積)指数(圧力判定指数)である。式(1)は次式(1)’のように変形でき、この式(1)’の両辺の対数をとると、式(2)が成り立つ。
(VCC1/VCC2)m =PCYL2/PCYL1 ・・・(1)’
m = log(vcc1/vcc2)PCYL2/PCYL1 ・・・(2)
【0025】
次いで、この式(2)に、各作動行程で求めた第1および第2筒内圧PCYL1、PCYL2、第1および第2燃焼室容積VCC1、VCC2を適用することによって、各作動行程のポリトロープ指数mを算出する。このポリトロープ指数mのとり得る範囲を、図2を参照して運転モードごとに述べると、次のとおりである。
a.全筒運転モード(吸気弁および排気弁作動)
図2(a)に示すように、圧縮行程および膨張行程では、吸気弁3aおよび排気弁3bがともに閉じていて、燃焼室が閉鎖されていることで、ポリトロープ指数mの範囲は、通常とり得る範囲(例えば1.2≦m≦1.4)に一致する。一方、吸気行程および排気行程では、吸気弁3aまたは排気弁3bが開いていることで、筒内圧PCYLが吸気管8または排気管内の圧力に則したほぼ一定の圧力を示すため、ポリトロープ指数m≒0になる。
b.休筒運転モード(吸気弁および排気弁停止)
図2(b)に示すように、吸気弁3aおよび排気弁3bが停止するため、吸気・圧縮・膨張・排気のいずれの作動行程においても、筒内圧PCYLが、休筒運転モード前に燃焼室内に存在していた作動ガスの圧縮・膨張の繰返しに従って変化することから、1.2≦m≦1.4になる。
c.吸気弁作動および排気弁停止
この状態は、例えば休筒運転モード指示に対して吸気弁3aが故障している場合、あるいは全筒運転モード指示に対して排気弁3bが故障している場合が該当する。この場合には、図2(c)に示すように、吸気行程でのみ、筒内圧PCYLがほぼ一定となることから、m≒0になるとともに、他の作動行程では1.2≦m≦1.4になる。
d.排気弁作動および吸気弁停止
この状態は、上記cの場合とは逆に、例えば休筒運転モード指示に対して排気弁3bが故障している場合、あるいは全筒運転モード指示に対して吸気弁3aが故障している場合が該当し、図2(d)に示すように、排気行程でのみm≒0になるとともに、他の作動行程では1.2≦m≦1.4になる。
【0026】
以上の吸・排気弁3a、3bの4つの作動パターンa〜dにおけるポリトロープ指数mの挙動をまとめると、図3および図4に示すとおりである。すなわち、m≒0(または1.2≦m≦1.4)になる作動行程の組み合わせは、作動パターンa〜d間ですべて異なる。したがって、この判定処理では、ポリトロープ指数mの大小を判定可能なしきい値A(例えば1.0)をあらかじめ設定するとともに、4つの作動行程で算出されたポリトロープ指数mをしきい値Aとそれぞれ比較し、その比較結果の組み合わせによって、吸・排気弁3a、3bの作動パターンを判定している。
【0027】
これにより、吸・排気弁3a、3bの作動パターンが、パターンa〜dのいずれであるかを適切に判定することができる。例えば、m<A(図4の二重枠欄)が吸気行程および排気行程で成立している場合には、吸・排気弁3a、3bの作動パターンが全筒運転モードであると判定できる。なお、前述の説明では、作動パターンc、dを、吸気弁3aまたは排気弁3bが故障している状態として説明したが、休筒運転モードから全筒運転モードへの移行時に吸気弁3aまたは排気弁3bの切換が完了していない状態と判定することもできる。したがって、本実施形態によれば、上記の手法により、全筒運転モードと休筒運転モードの識別、両運転モード間での吸・排気弁3a、3bの切換の完了、および吸・排気弁3a、3bの故障の有無の判定を、適切に行うことができる。
【0028】
また、本実施形態によれば、筒内圧PCYLの変化状態から算出したポリトロープ指数mを用いて、吸・排気弁3a、3bの作動パターンを判定するので、吸気管内圧をパラメータとする従来の場合よりも、その判定を応答性良く迅速に行うことができる。さらに、ポリトロープ指数mには、エンジン回転数NEやスロットル弁開度は直接的には影響しないので、ポリトロープ指数mに基づく判定を、実施形態に示したように、一定のしきい値Aを用いて簡便に行うことができるとともに、スロットル弁開度が大きな高負荷領域においても、判定を精度良く行うことができる。そして、以上のように判定された吸・排気弁3a、3bの作動パターンに応じて、燃料噴射時間TOUTや点火時期IGLOGなどを決定することによって、それらの制御の最適化を図ることができる。
【0029】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、各作動行程において2つのクランク角度で、筒内圧PCYLの検出および燃焼室容積VCCの算出を行っているが、その数を増やしてもよく、その場合、隣り合う2点間でポリトロープ指数mを算出し、それらの平均値を算出するようにしてもよい。また、ポリトロープ指数mの大小を判定するしきい値Aとして一定値を採用したが、このしきい値Aを、エンジン1の運転状態を表すパラメータ、例えばエンジン回転数NE、吸気管内絶対圧PBAやエンジン水温TWなどに応じて、切換あるいは補正するようにしてもよい。
【0030】
また、実施形態は、本発明を休筒機構4を備えたエンジン1に適用した例であるが、本発明を、休筒機構をもたないエンジンの吸・排気弁の故障の判定に適用してもよいことはもちろんである。さらに、実施形態では、エンジン1の作動状態として、吸・排気弁3a、3bの作動パターン(開閉状態)を判定しているが、これに限らず、本実施形態の手法を、エンジン1の他の作動状態の判定に適宜、用いることも可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の内燃機関の作動状態判定装置は、吸排気弁の開閉状態を代表とする内燃機関の作動状態を、簡便、迅速かつ精度良く判定することができるなどの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による判定装置、およびこれを適用した内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】吸・排気弁の作動状態と筒内圧の変化状態との関係を示す図である。
【図3】エンジンの各作動行程においてポリトロープ指数mがとり得る範囲を吸・排気弁の作動パターンごとに示す図である。
【図4】図3をテーブルとして示す図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
3 気筒
3a 吸気弁
3b 排気弁
4 休筒機構
5 ECU(燃焼室容積算出手段、圧力判定指数算出手段、作動状態判
定手段)
11 筒内圧センサ(筒内圧検出手段)
12 クランク軸
PCYL 筒内圧
PCYL1 第1筒内圧
PCYL2 第2筒内圧
VCC 燃焼室容積
VCC1 第1燃焼室容積
VCC2 第2燃焼室容積
m ポリトロープ指数(圧力判定指数)
Claims (3)
- クランク軸の回転に従った吸気弁および排気弁の開閉によって、燃焼室内で複数の作動行程により1サイクルの燃焼を行う内燃機関の作動状態を判定する内燃機関の作動状態判定装置であって、
同一の作動行程内の互いに異なる複数のクランク角度で、前記燃焼室内の圧力である複数の筒内圧をそれぞれ検出する筒内圧検出手段と、
前記複数のクランク角度に対応する前記燃焼室の複数の容積を算出する燃焼室容積算出手段と、
前記検出された複数の筒内圧および前記算出された複数の燃焼室容積に基づいて、当該作動行程における前記筒内圧の変化状態を表す圧力判定指数を算出する圧力判定指数算出手段と、
当該算出された圧力判定指数に基づいて前記内燃機関の作動状態を判定する作動状態判定手段と、
を備えていることを特徴とする内燃機関の作動状態判定装置。 - 前記作動状態判定手段により判定される前記作動状態が、前記吸気弁および前記排気弁の開閉状態であることを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の作動状態判定装置。
- 前記内燃機関が、複数の気筒と、運転状態に応じて当該複数の気筒のうちの一部の気筒の前記吸気弁の作動を少なくとも停止することにより、当該一部の気筒の運転を休止する休筒機構と、を備えていることを特徴とする、請求項2に記載の内燃機関の作動状態判定装置。
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