JP3992328B2 - ランナーロックピン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスチックの成型加工に用いられるプラスチックモールド型に関し、特にプラスチックモールド型に於けるランナーロックピンに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック材料をモールド型を用いて成型加工し、プラスチック製品を製造する方法は、形状が複雑なものであっても一体として能率良く加工することができるので、容器、各種部品等の広い分野に用いられてきた。特に、近年に於いては、例えばスーパーエンプラと称される材料のように、強度、耐熱性共に金属に劣らない強化プラスチック材料が開発されたので、従来金属製であった部品等がかなり、かかる強化プラスチック材料製のものへと置き換えられつつある。
【0003】
ここで、かかる強化プラスチック材料も含め、プラスチック材料をモールド型を用いて成型加工するために従来用いられていたモールド型の構成と作用につき、図面を参照して説明する。図8は、従来のプラスチックモールド型の基本構成を示す断面図である。図9は図8に於いてGで示す部分の拡大図である。図8に於いて、51は製品、52、53は製品51の外形を定める合わせ型の型板である。一方の型板53には湯道用の通孔53aが設けられ、製品用の窪み53bに連通している。他方の型板52には製品用の窪み52bおよび該窪み52bに連通する案内孔52cが設けられ、該案内孔52cは排出ピン60を案内する。54は前記型板53の窪み53bと反対側の面に結合されるランナープレートであり、垂直方向(厚さ方向)に前記型板53の通孔53aに連通する湯道用の通孔54aが設けられている。ランナープレート54の前記型板53と反対側の面54cには、前記通孔54aと連通する湯道用の溝54bが設けられている。
【0004】
55は前記ランナープレート54と面54cと垂直方向に離接可能に設けられたストッパープレートである。56は該ストッパープレート55の前記ランナープレート54と反対側において同様に離接可能に設けられた取付板である。58はランナーロックピンであり、頭部58a、胴部58bおよび係止部58cよりなっている。前記ストッパープレート55と取付板56には、それぞれ、ランナーロックピン58を案内する案内孔55aと56aが同軸に設けられている。取付板56側の案内孔56aの外端部には段部56a1が設けられ、該段部56a1がランナーロックピン58の頭部58aの位置を規制する。59は湯道用のスリーブであり、中心軸に沿って通孔59aを有している。スリーブ59は、ストッパープレート55と取付板56に、同軸にそれぞれ設けられた保持孔55c、56cにより保持される。61は成型機ノズルであり、ノズル孔61aを有している。62はランナーロックピン58およびスリーブ59を押さえる押さえ部材である。
【0005】
これらの部材を有するモールド型を用いて射出成型を行う方法を略述する。図示しない案合手段および押圧手段により、型板52、53、ランナープレート54、ストッパープレート55、取付板56、スリーブ59、および成型機ノズル61が一体として順次接触している状態とする。このとき、ランナーロックピン58はその頭部58aが押さえ部材62により取付板56の案合孔56aの段部56a1に押圧され、胴部58bが、案内孔56aおよびこれに同軸で連通するストッパープレート55の案内孔55aに案内・保持される。図9に示すように、前記胴部58bに接続する係止部58cが前記ランナープレート54の溝54bと連通するストッパープレート55の案内孔55aの出口55a1から外にランナープレート54の通孔54aに向かってランナープレート54の溝54b内に突出して配置される。係止部58cは頭部58aに向かって径が減少する逆テーパーの形状をなし、アンダーカットの切り込み58c1を有する。そして、係止部58cに於ける最大径は先端にあるが、最大径は胴部58bの外径よりも小である。
【0006】
一方、成型機ノズル61のノズル孔61aとスリーブ59の通孔59aは同軸に配されて連通し、通孔59aは更にランナープレート54の溝54bに連通している。このようにして、成型機ノズル61のノズル孔61aは前記のスリーブ59の通孔59a、ランナープレート54の溝54b、その通孔54a、型板53の通孔53aを順次経て型板52の窪み52bおよび型板53の窪み53bが合わせられて形成される型空間65に連通する。即ち、モールド型内においては通孔59aから通孔53aまでを含む湯道63が構成される。
【0007】
この状態で、図示しない成型機により樹脂材を溶融・加圧し、ノズル孔61aより樹脂材を射出すると、溶融した樹脂材は前記の湯道63を通って窪み52bおよび53bにより構成される型空間65に達し、該型空間65および湯道63内の空気を排除し、該型空間65および湯道63を樹脂材で充填する。このとき、空気は排出ピン60と案内孔52cの隙間、ランナーロックピン58と案内孔55a、56aの隙間(その他必要に応じ図示しない空気抜き手段)を通って外部に排除される。このようにして、前記型空間65に充填された樹脂材により、目的とする製品51が形成され、湯道63内に充填された樹脂材によりランナー64が形成される。
【0008】
図9に示すように、このとき、樹脂は前記溝54bから胴部58bと案内孔55aの出口55a1の間の隙間にその充填部材64dとして入り込むとともに、前記切り込み58c1のなすアンダーカット空間内にその充填部材64c1として入り込み、前記隙間およびアンダーカット空間を充填し、これら充填部材64dと64c1がランナー64の係合部64hとなる。樹脂が冷却・固化されるとランナー64は前記係合部64hに於いてランナーロックピン58の係止部58cにより係止される。なお、湯道内の樹脂が冷却・固化する前に図8に示す成型機ノズル61をモールド型から引き離す。
【0009】
次に、樹脂材が固化した後、図示しない案内手段および駆動手段により、先ず、ランナープレート54とストッパープレート55の間のみを引き離す。図10は図8に示したモールド型に樹脂を注入後、冷却・固化した後にランナープレート54とストッパープレート55の間を引き離しつつある状態を示す図である。このとき、前記のように、ランナー64はランナーロックピン58の係止部58cにより、ストッパープレート55から離れないように係止されているので、図10に示すように、これと一体として移動し、ランナー64は製品51と結合するくびれ部64b(図8参照)において、製品51から分離される。
【0010】
次にストッパープレート55と取付板56の間が開き、ランナーロックピン58は取付板56とともに移動し、ストッパープレート55に保持されたランナー64から抜け出し、ロックが解除される。ロックが解除されたランナー64は図示しない取り出し手段によりストッパープレート55から取り外される。一方、型板53と型板52の間が開き、型板52側に残った製品を排除ピン60を押すことにより取り出す。このようにして、次回の成型加工の待機状態となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記のような強化プラスチック材料を使用する場合には、一旦成型加工を行った後には、図11に示すように、ランナーロックピン58の係止部58cの切り込み58c1部には前記ランナー64から引き抜く際に一緒に剥離された残樹脂64cがリング状に付着し易い。図12は前記のようにストッパープレート55と取付板56の間を開き、ランナーロックピン58をスットパープレート55に保持されたランナー64の係合部64hから引き抜いている状態を示す図である。図12に示すように、ランナーロックピン58を引き抜くには、ランナー64の係合部64hの内径をランナーロックピン58の係止部の先端58c2の外径の大きさにまで(破線の状態から実線の状態に)広げる必要がある。ランナーロックピン58に引き抜き力を加えると、前記係合部64hは内側から外方へ圧力が加えられ内径が拡大する。すなわち、ランナーロックピン58の移動に伴い、前記の内径が拡大するように、前記係合部64hの圧縮量および圧縮力が増加して行く。
【0012】
通常の軟質のプラスチック材料(樹脂材)を用いた場合は、係合部64hが弾性変形し易く、また材料の破壊に対しては粘り強い性質があるので、ピンの移動が進行し、ランナーロックピンの係止部58cの先端58c2が前記ランナーの係合部64hから抜ける寸前で、圧縮量及び圧縮力が最大となったときでも、これにより、係合部64hの材料が破壊するには至らない。従って係合部64hを破断せず、ランナー64側に残したまま、ランナーロックピンを引き抜くことができる。
【0013】
これに対し、強化プラスチック材料を用いた場合には、材料の弾性率は高いが、破壊に対しては比較的脆い面があり、破壊を生ずる変形量(圧縮量)は通常のプラスチック材料よりもかなり小さい。従って、ピンの移動に伴って前記ランナーの係合部64hに生ずる圧縮量は同様であるが、この圧縮量がピンが抜ける以前にランナー64の材料を破壊する値に達し、筒状の前記係合部64hは途中から破断し、破断部より先の部分は、図11に示すようにランナーロックピン58の係止部58cにリング状の残樹脂64cとして付着して一緒に引き抜かれ、破断部より後の部分はランナー64側に残ることになる。
【0014】
なお、前記係止部58cの切り込み58c1の最大深さ(図9のdm2)をかなり浅くし、逆テーパーの勾配をかなり小さくすれば、前記の圧縮量が少なくなり、かかる破断による残樹脂の問題はなくなる。しかし、この場合、前記係止部58cのロック力が弱くなり、図10に示すランナープレート54とストッパープレート55を引き離す工程に於いて、ランナー64に対するストッパープレート55の保持力が十分でないため、ランナー64をランナープレート54から引き離すことができず、置き去りにし、ランナー64と製品51の分離をすることが出来ない場合を生じ、分離動作の確実性が得られないことが、試行により認識された。
【0015】
以上を要約すれば、ランナーロックピン58をランナー64から抜き出すために必要となるランナー64の圧縮量は係止部58cの切り込み深さdm2(図9参照)に比例する。強化プラスチック材を用いた場合、破断しない限界の圧縮量は、通常の樹脂材に比し、大幅に低下するので、破断を避けるためには、前記切り込み深さdm2も大幅に減少させなければならない。しかし、このようにするとランナーに対するロック力が減少し、製品とランナーの切り離しに支障を生ずる。よって、強化プラスチック材を用いた場合、ランナー64の破断防止(又は残樹脂64c付着防止)とロック力の確保を両立させることは困難であった。
【0016】
ランナーロックピンの係止部58cに前記のような残樹脂64cが付着していると、切り込み58c1部のアンダーカットの効力が低下するので、これを取り除かない状態で次の成型加工を行うと、樹脂注入後、ランナープレート54とストッパープレート55の間を引き離す工程において、ランナー64とスットパープレートの結合力が弱く、ランナー64はストッパープレートから離れて、ランナープレート54側に残る場合が起こる。こうなると、ランナー64と製品が分離出来ず、共に外部に取り出すことが出来なくなる。このような状態となるのを回避するには、従来に於いては、1回の成型加工毎に前記の残樹脂64cをランナーロックピン58から除去するか、ランナーロックピン58自体を交換する必要があった。しかし、残樹脂64cの除去はかなり手間がかかり、ランナーロックピンの交換はコストも手間もかかる。よって、成型加工の度にこのようなことを行うことは、作業能率を著しく低下させたり、消耗品のコストの上昇を招き、生産性を低下させることになる。
【0017】
図13はランンナーロックピン58の他の一つの従来例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。図13に示すように本例のランナーロックピン58は頭部58a、該頭部58aの下方に接続する円筒状の胴部58bおよび該胴部58bの下方に接続する係止部58cよりなる。前記係止部58cは、アンダーカット部として、その周方向に設けられたランナーのモールド材を係止するための切り込み深さda5の切り込み58c5を1個備えている。該切り込み58c5は、係止部58cの軸方向に平行又は略平行な底部58c6と、その軸方向に垂直又は略垂直な互いに対向する下方を向いた側部58c71と上方を向いた側部58c72よりなる溝形状をなしている。上方を向いた側部58c72の外端部には面取りkがなされている。
【0018】
本例のランナーロックピン58を図8に示すモールド型に用いた場合も、図11に示したランナーロックピン58と同様の原理により、同様に機能し、同様の問題点を生ずる。すなわち、ランナーロックピン58をランナー64から抜き出すために必要となるランナー64の圧縮量およびランナーロック力は図13に示す係止部58cの前記切り込み深さda5に比例する。従って、強化プラスチック材を用いた場合、すでに述べたのと同様の理由により、ランナー64の破断防止(又は残樹脂64c付着防止)とロック力の確保を両立させることは困難であり、前記と同様の問題を生じていた。
【0019】
本発明は、ランナーロックピンに関し、上に述べてきた問題を解決すべき課題とするものである。そして本発明はこの課題を解決することにより、強化プラスチックを用いた際にも、前記の残樹脂を生じないランナーロックピンを提供することにより、樹脂の成型加工の生産性を向上させることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための第1の手段として本発明は、頭部、該頭部の下方に接続する胴部、および該胴部の下方に接続し、アンダーカット部を備えた係止部を有するランナーロックピンにおいて、前記係止部はその周方向に設けられたモールド材を係止するための切り込みをその軸方向関し複数個備え、前記係止部にその軸方向に、平行又は略平行な切り込み面を有するDカットの切り込みが設けられていることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
以下図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を第1の実施例について説明する。図1は本実施例のランナーロックピン10を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。図1に示すようにランナーロックピン10は頭部1、該頭部1の下方に接続する円筒状の胴部2、および該胴部2の下方に接続する係止部3よりなり、鉄等金属により形成されている。前記係止部3は、アンダーカット部として、その周方向に設けられたランナーのモールド材を係止するための切り込み4をその軸方向に関し2個備えている。該切り込み4はその深さが前記頭部1に向かって深くなる逆テーパーの溝形状をなしており、溝の底部4bは円錐面をなしている。係止部3の最大外径D3は前記胴部2の外径D2よりも小さく形成されている。そして、切り込み4の最大深さdm1は図9に示した従来のランナーロックピンのアンダーカット部の切り込みの最大深さdm2よりも浅くなるように形成されている。
【0027】
本実施例のランナーロックピン10の作用につき説明する。図2は該ランナーロックピン10が前記の図8に示したモールド型に装着された状態を示す図である。図2に示すように、ランナーロックピン10はその頭部1および胴部2がストッパープレート55および取付板56に保持され、その係止部3は、ストッパープレート55の案内孔55aの出口55a1の外に、ランナープレート54の通孔54aの入り口およびランナープレート54の溝54b内に突出して配置される。
【0028】
モールド型に強化プラスチックの溶融樹脂が注入されると、樹脂は前記溝54bから胴部2と案内孔55aの出口55a1の間の隙間にその充填部材64dとして入り込むとともに、図1に示す切り込み4内その充填部材64cとして入り込み、前記隙間および切り込み4を充填し、これら充填部材64dと64cがランナー64の係合部64fとなる。樹脂が冷却・固化されるとランナー64は前記係合部64fに於いてランナーロックピン10の係止部3により係止される。この係止によるロック力は、1個の切り込み4については、切り込み深さdm1が図9に示した従来のものの切り込み深さdm2よりも小さくなっているため、ロック力も従来のものよりも弱くなっているが、切り込み4は2個あり、全体としては、ロック力は加算されて倍となり、図9に示した従来のもののロック力と同等となる。
【0029】
ランナー64が冷却・固化した後、ランナープレート54とストッパープレート55の間を引き離すとランナー64は十分なロック力によりスットッパープレート55にロックされているので、ストッパープレート55と一体としてランナープレート54から引き離され、図10に示したのと同様の原理により、ランナー64と製品51とが切り離され、すでに述べたようにして製品51の取り出しが可能となる。
【0030】
次に、スットッパープレート55と取付板56の間を引き離すと、ランナーロックピン10の係止部3は図12に示したのと同様の原理により、その移動に伴ってランナー64の前記係合部64fを圧縮するが、ランナーロックピン10の係止部3が抜け出すため必要な最大の圧縮量は、図2に示す切り込み深さdm1と等しいと考えることができ、これは図9に示した従来の切り込み深さdm2の半分程度である。この程度の圧縮量であれば、強化プラスチック材であってもランナー64が破断することはない。よって、ランナー64の前記係合部64fを破断することなく、ランナーロックピン10を引き出す出すことができる。そして、ランナーロックピン10が引き抜かれた後に、その係止部3には、従来のごとき残樹脂(64c)が何等残っていない。よって、ランナーロックピンを取り出すことなく、取付板56に保持された状態で、次の製品の成型工程を行うことができ、従来よりも格段に生産性を向上させることができる。かような本実施例の効果の原因を要約すれば、切り込み4を2個設けることにより、浅い切り込み深さにおいて、ランナーロック力の確保と残樹脂の防止を両立させたことにある。
【0031】
(実施例2)
以下図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を第2の実施例について説明する。図3は本実施例のランナーロックピン10を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。図3に示すように本実施例のランナーロックピン10は頭部1、該頭部1の下方に接続する円筒状の胴部2、および該胴部2の下方に接続する係止部3よりなる。前記係止部3は、アンダーカット部として、その周方向に設けられたランナーのモールド材を係止するための切り込み5をその軸方向に関し2個備えている。該切り込み5は、係止部3の軸方向に平行又は略平行な底部5aと、その軸方向に垂直又は略垂直な互いに対向する下方を向いた側部5b1、5b2と上方を向いた側部5b3とよりなる溝形状をなしている。上方を向いた側部5b3の外端部には面取りkがなされている。
【0032】
係止部3の最外径は前記胴部2の外径よりも若干小さく形成されている。そして、切り込み5の深さda1は図13に示した従来のランナーロックピンのアンダーカット部の切り込みの深さda5よりも浅くなるように形成されている。図3に示す本実施例のランナーロックピン10も切り込みの深さが従来よりも小であり、切り込みが2個設けられている点では図1に示した第1の実施例と共通である。よって、同様の原理により、同様の作用効果を有する。
【0033】
(実施例3)
以下図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を第3の実施例について説明する。図4は本実施例のランナーロックピン10を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。図4に示すように本実施例のランナーロックピン10は頭部1、該頭部1の下方に接続する円筒状の胴部2、および該胴部2の下方に接続し、切り込み4を有する係止部3よりなる。前記係止部3の形状は、図1に示した第1の実施例のランナーロックピンの係止部3と同様のものに、更にその軸に平行な逃げ面12を設けたDカットの構造となっている。但し、本実施例の場合は係止部3の最大外径寸法は胴部2の外径寸法と一致又は略一致している。
【0034】
本実施例のランナーロックピンの作用につき、説明する。図5(a)は本実施例のランナーロックピンの図8に示したモールド型内の配置を示す正面から見た断面図であり、図5(b)は図5(a)のAーA断面に於ける上面から見た断面図である。図5(a)に示すように、ランナーロックピンの係止部3は、ランナープレート54の溝54bと連通するストッパープレート55の案内孔55aの出口55a1の外で、ランナープレート54の通孔54aの入口及び前記溝54b内に突出して配置される。
【0035】
モールド型に樹脂が注入されると、樹脂は前記溝54bから胴部2と案内孔55aの出口55a1の間の隙間にその充填部材64dとして入り込むとともに、図4に示す切り込み4内にその充填部材64cとして入り込み、前記の隙間および切り込み4を充填し、これら充填部材64dおよび64cが充填しランナー64の一部となる。図5(b)に示すように、ランナー64の樹脂は前記切り込み4に充填された部分64cおよび逃げ面12に対向する部分12aが連結して、係止部3の肉部を取り囲んだ形となっている。従って、充填された樹脂が冷却・固化されたとき、前記64cと64dからなる囲いが所定の寸法にまで広げられるか、この囲いの一部が破断されない限りランナー64のロックは解除されない。切り込み4の深さdm3は図5(a)に示すように浅いが、かかるロックは2箇所において行われている。よって、ランナーロックピンの係止部3により、ランナー64はストッパープレート55に十分なロック力をもってロックされる。
【0036】
従って、次に、ランナープレート54とストッパープレート55を引き離す際、ランナー64はストッパープレート55と一体となって、ランナープレート54から引き離され、すでに説明したようにして、図10に示す製品51とランナー64の分離が支障なく行われる。その後、図8に示す取付板56をストッパープレート55から引き離し、ランナーロックピン10をランナー64から引き抜く際には、図5(b)に示す前記のランナー64における囲いが係止部3を通す大きさに拡大されるか、又は前記囲いのうち強度の弱い、切り込み4に充填された部分64cのどこか一箇所が破断され、破断された前記部分64cはこれと連結している前記逃げ面12に対向する部分12aとともにストッパープレート55側に残り、ランナーロックピン10のみが取付板56と一体として移動し、ランナー64から抜き取られる。この動作が終わった時点では、ランナーロックピン10には従来のような残樹脂が全く付着していない。
【0037】
この際、もしも、前記切り込み4の深さdm3が十分深いと、ランナーロックピン10を引き抜く際の破断は図5(b)の64cの部分に限定されず、12aの部分でも発生し易くなり、ランナーの一部がリング状をなして分離し、ランナーロックピン10と一体となって、引き抜かれることになる。この点で本実施例は、切り込み4を2個設けることにより、浅い切り込み深さdm3において、ランナーロック力の確保と残樹脂の防止を両立させたものであり、従って、本実施例のランナーロックピンも図1に示した第1の実施例と同様の長所を有する。
【0038】
(実施例4)
以下図面に基づいて本発明の好適な実施の形態を第4の実施例について説明する。図6は本実施例のランナーロックピン10を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。図6に示すように本実施例のランナーロックピン10は頭部1、該頭部1の下方に接続する円筒状の胴部2、および該胴部2の下方に接続し、2個の切り込み5を有する係止部3よりなる。前記係止部3の形状は、図3に示した第2の実施例のランナーロックピンの係止部3と同様のものに、更にその軸に平行な逃げ面12を設けたDカットの構造となっている。但し、本実施例の場合は係止部3の最大外径寸法は胴部2の外径寸法と一致又は略一致している。又、切り込み5の上方を向いた側部5b3には面取りがなされていない。切り込み5の深さda3は図3に示した第2の実施例と同様に浅いものとなっている。本実施例のランナーロックピンは図4に示した第3の実施例のランナーロックピンと溝の形は変わっているが、実質的な差はなく、同様の作用原理により、機能し、第1乃至第3の実施例と同様の長所を有する。
【0039】
(実施例5)
以下図面に基づいて本発明の実施の形態を好適な第5の実施例について説明する。図7は本実施例のランナーロックピン10を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。図1に示すようにランナーロックピン10は頭部1、該頭部1の下方に接続する円筒状の胴部2、および該胴部2の下方に接続する係止部3よりなる。前記係止部3は、アンダーカット部として、その周方向に設けられたランナーのモールド材を係止するための切り込み4をその軸方向に関し3個備えている。該切り込み4はその深さが前記頭部1に向かって深くなる逆テーパーの溝形状をなしており、溝の底部4bは円錐面をなしている。係止部3の最外径は前記胴部2の外径よりも若干小さく形成されている。そして、切り込み4の最大深さdm5は図9に示した従来のランナーロックピンのアンダーカット部の切り込みの最大深さdm2よりも浅くなるように形成されている。
【0040】
本実施例は図1に示した第1の実施例のランナーロックピンに対し、切り込み4が1個だけ増えた形状を有する。第1の実施例の長所は、切り込み4を2個設けることにより、浅い切り込み深さにおいて、ランナーロック力の確保と残樹脂の防止を両立させたことにあるが、かかる効果は、切り込み4の数が増えるに従い、更に増大する。従って、本実施例のランナーロックピン10は第1の実施例のランナーロックピンに比較し、構造は複雑となるが、残樹脂防止とランナーロック力の確保を更に確実にすることができる。又本発明は以上の第1乃至第5の実施例において例示したランナーロックピンに限らず、これらに対し、切り込みの数を更に増やしたものにおいても、前記の機能の両立という面で、同等又はそれ以上の長所を有するものである。
【0041】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、強化プラスチック材を用いてモールド型による成型加工を行う際に従来生じていた、ランナーロックピンへの残樹脂の付着をランナーロック力を損なうことなく防止し、かかる成型加工の生産性を従来よりも顕著に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一つであるランナーロックピンの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図2】図1に示したランナーロックピンのモールド型内の配置を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の一つであるランナーロックピンの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図4】本発明の実施の形態の一つであるランナーロックピンの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図5】図4に示したランナーロックピンのモールド型内の配置を示す断面図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のAーA線断面の上面図である。
【図6】本発明の実施の形態の一つであるランナーロックピンの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図7】本発明の実施の形態の一つであるランナーロックピンの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図8】従来のモールド型の基本構成を示す断面図である。
【図9】図8に於けるGの部分拡大図である。
【図10】従来のモールド型の動作を示す断面図である。
【図11】従来のランナーロックピンの構成を示す断面図である。
【図12】従来のモールド型の動作を示す断面図である。
【図13】従来のランナーロックピンの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【符号の説明】
1 頭部
2 胴部
3 係止部
4、5 切り込み
5a 底部
5b 側部
10 ランナーロックピン
12 逃げ面
D2 胴部の外径
D3 係止部の最大外径
Claims (1)
- 頭部、該頭部の下方に接続する胴部、および該胴部の下方に接続し、アンダーカット部を備えた係止部を有するランナーロックピンにおいて、前記係止部はその周方向に設けられたモールド材を係止するための切り込みをその軸方向関し複数個備え、前記係止部にその軸方向に、平行又は略平行な切り込み面を有するDカットの切り込みが設けられていることを特徴とするランナーロックピン。
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