JP3991838B2 - 排水の処理方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、各種有機物、アンモニア、ヒドラジン、有機懸濁物質等の被酸化性物質を含む排水の処理方法に関し、特に、当該排水の化学的酸素要求量(COD)、あるいは全有機炭素(TOC)や全窒素濃度を低減することができる処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種有機物、アンモニア、ヒドラジン等の被酸化性物質を含む排水を処理する方法として、酸化イリジウムを表面に担持させた白金系電極を用いて電解処理し、続いて過酸化ニッケル系触媒あるいは過酸化コバルト系触媒と接触させて処理する方法が実用化されている(「火力原子力発電」51(12),1711(2000)、特開平10−174976号公報、特開平11−216473号公報等参照)。
また、上記の白金系電極に代えて導電性ダイヤモンド電極を用いて被酸化性物質を含む排水を電解処理する方法も、提案されている(特願2002−24529号参照)。
【特許文献1】
特開平10−174976号公報
【特許文献2】
特開平11−216473号公報
【非特許文献1】
「火力原子力発電」51(12),1711(2000
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、排水中に懸濁物質が共存すると、懸濁物質が電解反応槽内に蓄積し、両極の短絡を生じさせてトラブルの原因となったり、電極間の抵抗を増大させて電流効率の低下を招く等の原因となることがあった。
従って、これらの原因となる懸濁物質は、電解反応槽に排水を導入するのに先立って、分離除去する必要があり、分離除去用の装置や時間が別途必要となり、懸濁物質共存排水の処理に要するコストは膨大なものとなっていた。
【0004】
そこで、本発明は、懸濁物質が共存する排水であっても、懸濁物質の分離除去用の装置や時間を別途要することなく、しかも前記した従来の処理方法よりも被酸化性物質の除去効率に優れ、CODやTOC濃度の低減効率の高い被酸化性物質と懸濁物質を含有する排水の処理方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の排水方法は、被酸化性物質と電解質物質を含む排水を導電性ダイヤモンド電極を用いて電解処理する方法であって、電解反応槽を直列に複数段設置し、各段の電解反応槽の電極の電流密度を異なる条件に設定して電解処理することを特徴とする。
上記各電解反応槽における導電性ダイヤモンド電極の面積は、前段>後段となるようにしてもよいし、当該電極の極間距離は、前段>後段となるように設置してもよい。
また、各電解反応槽の導電性ダイヤモンド電極への通電は直列に接続して行うことが好ましい。
【0006】
本発明の処理対象水である排水は、被酸化性物質と電解質物質を含み、各種の工場から排出される産業排水はもとより、生活排水、その他の排水であってよい。
排水中の被酸化性物質は、各種の有機物、あるいはアンモニアやヒドラジン等が挙げられ、本発明では、これら有機物、アンモニア、ヒドラジンのうちの少なくとも1つを含む排水に適用して好ましい効果を得ることができる。排水中のこれら被酸化性物質の濃度は、特に制限されず、被酸化性物質を種々の濃度で含む排水に好ましく適用することができる。
【0007】
また、上記被酸化性物質としては、難溶性あるいは不溶性のポリカルボン酸樹脂、ポリアミノ酸樹脂、界面活性剤のような有機懸濁物質を含んでいてもよいし、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノエチルアミン、トリエチルアミンのような電解反応に伴ってガスを発生させる有機物を含んでいてもよい。
なお、この電解反応に伴ってガスを発生させる有機物を含んでいる場合には、電解反応で発生したガスを除去した後に、後段の電解反応槽に導入するようにすることが好ましい。
上述したような被酸化性物質を含む排水のCODおよびTOCは、特に制限されないが、本発明の方法は、電流効率の点において、COD500mg/L以上、TOC200mg/L以上の排水、より好ましくはCOD1000mg/L以上、TOC400mg/L以上の排水、さらに好ましくはCOD3000mg/L以上、TOC1100mg/L以上の排水に適用して好適であり、COD、TOCの上限も特に制限されないが、一般にはCOD300,000mg/L程度、TOC1,000,000mg/L程度とする。
【0008】
一方、電解質物質は、どのようなものであってもよいが、一般には無機化合物であって、例えば、NaCl、H2SO4、Na2SO4等が好ましく、これらは単独であってもよいし、適宜の組み合わせによる2種以上であってもよい。
排水中のこれら電解質物質の濃度は、特に制限されず、従来の電解処理に必要な50〜50,000mg/リットル(以下、リットルをL、ミリリットルをmLと記す)程度であってもよいし、従来の電解処理では効率が極めて悪くなる6,000mg/L未満であっても効率よく処理することができる。
すなわち、電気分解処理の際に電流効率を高める作用をなす電解質物質は、酸化イリジウム表面担持の白金系電極を用いる従来の方法では、6,000mg/L以上の電解質物質(NaCl)濃度を必要としていたのに対し、電流効率の改善効果を得ることができる導電性ダイヤモンド電極を用いる本発明では、6,000mg/L未満の低濃度領域でも、十分な処理効果を得ることができる。
但し、導電性ダイヤモンド電極を使用する本発明においても、電解質物質の濃度があまり低すぎると、排水中の被酸化性物質を電気分解処理するのに十分な電流効率を得ることができない場合もあるため、本発明における好ましい電解質物質の濃度は、対象排水中の被酸化性物質濃度によって異なるが、上記排水に対しては500〜6,000mg/L程度である。
【0009】
上記の電解質物質は、上記の排水中に含まれている場合もあり、この含有電解質物質のみで上記の電解質物質濃度を確保できる場合は、別途電解質物質を投入する必要はない。
含有電解質物質のみで上記の電解質物質濃度を確保できない場合は、本発明の処理に先立って、上記の電解質物質を確保できる量の電解質物質を投入する。
【0010】
本発明で使用する導電性ダイヤモンド電極は、Ni,Ta,Ti,Mo,W,Zr等の導電性金属材料を基板とし、これら基板の表面に導電性ダイヤモンド薄膜を析出させたものや、シリコンウエハ等の半導体材料を基板とし、このウエハ表面に導電性ダイヤモンド薄膜を合成させたもの、あるいは基板を用いない条件で板状に析出合成した導電性多結晶ダイヤモンド素材を挙げることができる。
なお、導電性(多結晶)ダイヤモンド薄膜は、ダイヤモンド薄膜の調製の際にボロン又は窒素の所定量をドープして導電性を付与したものであり、ボロンをドープしたものが一般的である。
これらのドープ量は、少なすぎればドープする技術的意義が発現せず、多すぎてもドープ効果は飽和するため、ダイヤモンド薄膜素材の炭素量に対し50〜20,000ppmの範囲内のものが適している。
【0011】
本発明において、導電性ダイヤモンド電極は、一般には板状のものを使用するが、網目構造体を板状にしたもの等をも使用することができる。
【0012】
また、炭素粉末、その他の粉末状の材料の表面を、導電性ダイヤモンド薄膜で覆ったものを電極として使用することもできる。この粉末状のダイヤモンド電極を使用する場合は、例えば、粉末状ダイヤモンド電極を電解液に分散させ、これを流動させて流動床を構成し、この流動床の一対を陰・陽両極として作用させればよい。
この流動床を電極とする場合の電極面積は、理論的には排水と接触する全面積であるが、本発明では、これに限定せず、対極に対面する面一の表面の面積で十分である。
【0013】
さらに、上記の基板を多孔質体としたもの、あるいは合成樹脂等からなる多孔質体に、導電性ダイヤモンド粉末を担持させて、高表面積を有する電極としたものを使用することもでき、この高表面積を有する電極で固定床を構成し、この固定床の一対を陰・陽両極として作用させればよい。
この固定床を電極とする場合の電極面積も、理論的には排水と接触する全面積であるが、本発明では、これに限定せず、対極に対面する面一の表面の面積で十分である。
【0014】
本発明は、上記のような導電性ダイヤモンドを陰・陽両極に使用した電解反応槽を直列に複数段設置して、各段の電解反応槽の電流密度を異なる条件に設定して電解処理する。
この電流密度の異なる条件とは、例えば、第1段目から第n段目に至る電解反応槽の電流密度を次第に大きくなるようにするか、この逆の次第に小さくなるようにするか、ランダムにするか、あるいは各電解反応槽の出口水の水質をモニターし次段の電解反応槽に最適な電流密度にする等がある。
本発明では、第1段目では、排水中に電気分解の対象となる被酸化性物質が大量に含まれているため、面積の大きい電極を使用することが好ましく、後段に行くに従って被酸化性物質は少量となるため、面積の小さい電極を使用しても支障ないことに加え、通電は第1段目から最終段まで直列接続で行うことが好ましいため、後段に行くに従って次第に大きな電流密度になるように設定することが好ましいこととなる。
【0015】
このときの電流密度は、導電性ダイヤモンド電極表面の電流密度で10〜100,000A/m2の範囲内において各段毎に上記のような態様で異なる条件を設定すればよい。
【0016】
また、本発明においては、各電解反応槽における導電性ダイヤモンド電極の面積は、前段>後段となるようにしてもよい。
例えば、第1段目から第n段目に至る電解反応槽の電極面積を、第1段目>第2段目>第3段目>・・・・・>第n段目と、次第に小さくなるようにする。
導電性ダイヤモンド電極を用いる場合、従来の白金電極や酸化イリジウム表面担持白金系電極を用いる場合に比べて、電極面での電流密度を高くして排水の電解処理を行うことができるため、必要電極面積が少なく済み、装置をコンパクト化できるものの、被酸化性物質が大量に含まれる排水が導入される前段の電解反応槽で大量の被酸化性物質を高効率で電解処理するためには、導電性ダイヤモンド電極といえども、ある程度の電極面積を要する。そして、かなりの量の被酸化性物質が除去された排水を処理する後段の電解反応槽では、電極面積を小さくてしても、十分な処理効率を得ることができる。
【0017】
このような電解処理効果を確実に得るために、電極面積の縮小程度は、電解反応槽の設置数(処理段数)によって異なるが、例えば3つの槽(3段)で処理する場合は、第1段目より第2段目は10〜60%程度、好ましくは10〜35%程度小さくし、第2段目より第3段目は同じく10〜60%程度、好ましくは10〜50%程度小さくすると言うように、後段は前段の10〜60%程度小さくすることが好ましい。
なお、具体的な電極面積は、排水中の被酸化性物質の量や、排水の処理量(処理能力)等により異なるため一概には決められない。
【0018】
更に、本発明においては、各電解反応槽における導電性ダイヤモンド電極の極間距離は、前段>後段となるようにしてもよい。
例えば、第1段目から第n段目に至る電解反応槽の電極間距離を、第1段目>第2段目>第3段目・・・・・・第n段目と、次第に小さくなるようにする。
【0019】
上記したように、導電性ダイヤモンド電極を用いる場合、従来の白金電極や酸化イリジウム表面担持白金系電極を用いる場合に比べて、電極面での電流密度を高くして排水の電解処理を行うことができるため、必要電極面積が少なく済み、装置をコンパクト化できるものの、過電圧が高いため、極間電圧が高くなってしまう。
エネルギー効率を高めるためには、極間距離を極力小さくするのが一般的であるが、極間距離を小さくした電解反応槽では、処理対象排水中に有機懸濁物質が存在する場合、詰まりを生じ、極間短絡の要因となる。
そこで、本発明では、有機懸濁物質が大量に存在する排水が導入される前段の電解反応槽において、極間距離を大きくして有機懸濁物質による極間短絡を防止しつつ有機懸濁物質を電解除去し、有機懸濁物質の減少した排水が導入される後段の電解反応槽において、極間距離を小さくして、エネルギー効率の改善を図っている。
【0020】
このような極間短絡防止効果やエネルギー効率の改善効果等を確実に得るために、極間距離の縮小程度は、電解反応槽の設置数(処理段数)によって異なるが、例えば3つの槽(3段)で処理する場合は、第1段目より第2段目は10〜50%程度小さくし、第2段目より第3段目は同じく10〜50%程度小さくすると言うように、後段は前段の10〜50%程度小さくすることが好ましい。
なお、具体的な極間距離は、処理対象排水中の有機懸濁物質の量や、排水の処理量(処理能力)等により異なるため一概には決められないが、一般には、第1段目で0.5〜2.0cm程度とし、第2段目、第3段目と次第に小さくして、第n段目(最終段目)では0.2〜0.5cm程度とすることが好ましい。
【0021】
そして、本発明においては、各電解反応槽における導電性ダイヤモンド電極への通電は直列に接続して行うことで、各電解反応槽における電流密度が、各反応槽の電極の設定面積によって必然的に異なってくるため、各反応槽(処理段)毎の投入電気量の制御が不要となり、装置構成がシンプルとなる。
各電解反応槽毎に通電する(すなわち、並列通電にする)と、各反応槽(各処理段)毎に投入電気量の制御を行なう必要があり、装置構成が煩雑となる。
【0022】
また、前段の電解反応槽程、被酸化性物質の存在量が多く、電解処理に伴って生成するガス量も多い。生成ガス量が多いと、電極間流路内のガス気泡系も大きくなり、排水と電極表面との接触効率を低減させることとなる。この気泡による接触効率の低減は、電極間距離が小さいほど顕著となる。
この生成ガスに対しては、電極間距離の調整に加え、各電解反応槽毎にガス分離除去を行うことが望ましい。
この各電解反応槽毎に行うガス分離除去は、例えば、各電解反応槽間に通常の気液分離装置や、上方に気相部(空間部)を備え頂部にガス抜き部(ガス抜き管、ガス抜き口等)を備えた受液槽を設置したり、あるいは電解反応槽自体の上方に気相部を備え頂部にガス抜き部を備えたものを使用する等の手法で行われる。
【0023】
気液分離でのガス成分の除去の程度は、特に制限しないが、後段の電解反応槽での電気分解処理が所望の電解効率を得ることができる程度、一般には、前段の電解反応槽での処理済水に同伴し存在するガス成分の50〜95%程度、好ましくは70〜95%程度であればよい。
すなわち、導電性ダイヤモンド電極を使用する場合、電解反応槽内の排水中のガス成分濃度は0〜10%程度であれば、ガス成分による電極表面と排水との接触阻害、ひいては電極間抵抗の増大を抑えることができ、所望の電解効率に近い電解効率を得ることができる。
このガス成分濃度を確保するために、上記程度のガス成分の除去率とすることが望ましい。
【0024】
このようにして各電解反応槽毎に生成ガスの分離除去を行うことにより、後段への生成ガスの持ち込みがなくなるため、後段の電解反応槽における極間距離を小さくすることができ、エネルギー効率を高めることができる。
【0025】
上記のような態様で構成される各電解反応槽において、前記の被酸化性物質と電解質物質を含む排水を、導電性ダイヤモンド電極面と平行に、通液線速度(LV)10〜1,000m/hrで、通液し、電極面と接触させることで行うことが好ましい。
【0026】
排水の通液方向を電極面と平行にするのは、排水と電極表面との接触効率を高めるためであり、この方向であれば生成ガスが存在していても、ガスによる排水と電極面との接触阻害をある程度緩和することができるからである。
このときの排水の通液速度を、線速度(LV)で10〜1,000m/hrとするのは、これより遅すぎると、排水の通液方向を電極面と平行にしても、またガスの生成量が大きい第1段目の電解反応槽において極間距離を大きくしても、ガス成分による排水と電極表面との接触阻害を緩和する効果が得られず、これより速すぎると、排水と電極表面との接触時間を十分に取ることができず、被酸化性物質の電気分解を十分に進行させることができなくなるからである。
【0027】
なお、各電解反応槽内の温度は、特に限定しないが、低温すぎると、排水の電気分解が良好に進行せず、逆に高温すぎると、気化が加わってガス成分の生成が多くなり、排水と電極表面との接触阻害が増大するのみならず、上記のような低濃度領域であっても、電解質物質による装置構成材料の腐食の懸念があるため、本発明では、10〜95℃程度とすることが望ましい。
【0028】
図1は、本発明に係る排水処理方法の一実施態様例を説明するためのフロー図であって、同図では、3つの電解反応槽1,2,3を直列に配置し、これら各電解反応槽1,2,3は、相対する両側壁面に導電性ダイヤモンド電極111,111,112,112,113,113を備え、下部に排水導入管121,122,123、上部に処理済水導出管131,132,133を備えており、また第1段目と段2段目の電解反応槽1,2は上方に空間S1,S2を設け、この空間の頂部にガス抜き管141,142を開口させている。
【0029】
これらの電極は、面積が111,111>112,112>113,113となっており、極間距離は、111,111間距離>112,112間距離>113,113間距離となっている。
また、導電性ダイヤモンド電極111,111,112,112,113,113は、図中、点線で示すように、直列に接続されて通電されている。
【0030】
上記の実施態様例において、処理対象排水は、第1段目の電解反応槽1に、排水導入管121から導入され、該槽1を下部から上部に移送され、この間に導電性ダイヤモンド電極111,111の表面と平行に接触して電気分解処理される。
この電気分解途上で発生したガス成分は、該槽1内を上昇して空間S1に移行し、ガス抜き管141から系外に抜き出される。
一方、このようにして気液分離された排水は、管131から抜き出される。
【0031】
この抜き出し水は、導入管122から第2段目の電解反応槽2に導入され、第1段目の電解反応槽1と同様にして電気分解処理される。
第2段目の電解反応槽2において、導入管122から導入される排水中には、有機懸濁物質やガス成分が殆ど含まれていないため、電極112,112間距離を小さくしても電極112と112とが有機懸濁物質により短絡することはないし、また排水と電極112,112表面との接触を妨害する気泡の生成も少なく排水は良好に電極112,112表面に接触し、高効率での電気分解処理が行われる。
【0032】
このようにして、第2段目の電解反応槽2で電気分解処理された処理済水は、この第2段目の電解処理で生成し空間S2に移行するガス成分と分離されて、管132から抜き出され、第3段目の電解反応槽3に導入管123から導入され、最終段の電気分解処理がなされる。
【0033】
【実施例】
実施例1
図1に示すフロー態様となるように、次の要領で第1〜第3段目の電解反応槽を構成した。
第1段目の電解反応槽1は、ボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶ダイヤモンド電極板(4cm×12cm×0.05cm)2枚111,111を、極間距離1cmとなるように設定して構成した。
第2段目の電解反応槽2は、第1段目の電解反応槽に使用した積層状多結晶ダイヤモンド電極板であって、寸法が4cm×8cm×0.05cmのもの2枚112,112を、極間距離0.5cmとなるように設定して構成した。
第3段目の電解反応槽3は、第1,第2段目の電解反応槽に使用した積層状多結晶ダイヤモンド電極板であって、寸法が4cm×4cm×0.05cmのもの2枚113,113を、極間距離0.3cmとなるように設定して構成した。
第1〜第3段目の電解反応槽1〜3の電極111,111,112,112,113,113への通電は、直列接続で行った。
【0034】
上記のように構成される処理フローに、フェノール600mg/LとNa2SO414g/Lを含む合成排水(CODMn:720mg/L)を、8L/hrの通液速度で、第1段目の電解反応槽1→第2段目の電解反応槽2→第3段目の電解反応槽3の順に通液した。
【0035】
なお、第1段目の電解反応槽1への供給電気量は10Aとした(第2段目の電解反応槽2も、第3段目の電解反応槽3も10Aの電気が流れることとなる)。
この電気量では、各電解反応槽1〜3の電流密度は、大略次の通りとなる。
第1段目の電解反応槽1:20.8A/dm2(2080A/cm2)
第2段目の電解反応槽2:31.3A/dm2(3130A/cm2)
第3段目の電解反応槽3:62.5A/dm2(6250A/cm2)
【0036】
通液開始後、3時間経過した時点での各電解反応槽1〜3からの流出水のCODMn濃度は、次の通りであった。
第1段目の電解反応槽1:382mg/L
第2段目の電解反応槽2:64.9mg/L
第3段目の電解反応槽3:3.2mg/L
このフローでの電流効率は、53.1%であった。
【0037】
また、上記と同じ条件で2週間連続処理した結果、安定した処理効果が持続できることが確認された。
【0038】
比較例1
実施例1と同様にボロンドープ法を用いて気相析出合成した積層状多結晶ダイヤモンド電極板(4cm×24cm×0.05cm)2枚を、極間距離5mmとなるように設置して電解反応槽とした。
この1つの電解反応槽の電極面積は、実施例1の第1〜第3段目の電解反応槽1〜3の合計全電極面積と同じとなる。
この電解反応槽への投入電気量は、30Aとした。電流密度は、約31.3A/dm2(約3130A/cm2)となる。
【0039】
この電解反応槽に実施例1と同じ合成排水(CODMn:720mg/L)を、実施例1と同じ通液速度で通液して処理した。
通液開始後、3時間経過した時点の電解反応槽からの流出水は、CODMnが57.2mg/Lであった。
この電流効率は、48.9%であった。
【0040】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、処理対象排水中に、有機懸濁物質や電解反応によりガスを生成する有機化合物を被酸化性物質として含んでいても、該有機懸濁物質による電極間の短絡が発生することはないし、また生成ガスにより被酸化性物質と電極表面との接触が阻害されることを効果的に防ぐことができる。
このため、排水中のCOD、TOC、全窒素濃度を低減するために要する処理コストを、低廉にすることができるかりでなく、安定した連続運転を長期に渡って行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の処理方法の一施態様例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 第1段目の電解反応槽
2 第2段目の電解反応槽
3 第3段目の電解反応槽
111,111 第1段目の電解反応槽1の電極
112,112 第2段目の電解反応槽2の電極
113,113 第3段目の電解反応槽3の電極
121,122,123 排水導入管
131,132,133 処理水排出管
141,142 ガス抜き管
S1,S2 空間
Claims (6)
- 被酸化性物質と電解質物質を含む排水を導電性ダイヤモンド電極を用いて電解処理する方法であって、
電解反応槽を直列に複数段設置し、各段の電解反応槽の電極の電流密度を異なる条件に設定して電解処理することを特徴とする排水の処理方法。 - 各電解反応槽における導電性ダイヤモンド電極の面積が前段>後段となるようにすることを特徴とする請求項1記載の排水の処理方法。
- 各電解反応槽における導電性ダイヤモンド電極の極間距離が前段>後段となるようにすることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の排水の処理方法。
- 各電解反応槽における導電性ダイヤモンド電極への通電は直列に接続して行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の排水の処理方法。
- 被酸化性物質が、有機懸濁物質を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の排水の処理方法。
- 被酸化性物質が、電解反応に伴ってガスを発生させる有機物を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の排水の処理方法。
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