JP3991767B2 - インクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法 - Google Patents

インクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力発生素子に駆動パルスを供給することで所望量のインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、コピー機等の各種記録装置には、インク液を液滴の状態で吐出させるインクジェット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという)を備えたものがある。この記録ヘッドは、例えば、インク液が貯留される圧力室と、この圧力室の一端とノズル開口とを連通するノズル連通口と、圧力室の他端と共通インク室とを連通するインク供給口と、圧力室内のインク液に圧力変動を生じさせる圧力発生素子(例えば、圧電振動子)とを備えている。そして、この記録ヘッドでは、圧力発生素子に駆動パルスが供給されると、圧力発生素子が作動してノズル開口からインク滴が吐出される。
【0003】
図13は、インク滴を吐出させたときのメニスカス(ノズル開口で露出しているインク液の自由表面)の動きを模式的に示した図であり、定常状態の圧力室を一旦膨張させた後に急激に収縮してインク滴を吐出させた際の状態を示している。この例では、メニスカスからインク滴が分離した時点(時点ta)よりも後において、メニスカスは、自由振動をしながら安定してゆく。このときのメニスカスの振動は、主に、圧力室内のインク液を往復する圧力振動に起因する固有振動周期Tc(ヘルムホルツ共振周期)と、ノズル開口における毛細管力に起因する固有振動周期Tmとによって定められ、固有振動周期Tmに固有振動周期Tcが重畳された振動となる。
【0004】
そして、着弾インク滴で隙間無く記録領域を埋めるベタ記録時など、インク滴を続けて吐出させる場合には、前のインク滴が吐出されてから間もない内に次のインク滴が吐出される。例えば、時点tbで次の駆動パルスが供給される。この場合、前のインク滴吐出によるメニスカスの振動が収まらない状態で次のインク滴を行うので、波形形状が同じ駆動パルスを供給したとしても、駆動パルス供給時点でのメニスカスの位置に応じてインク量(インク滴の量)が変動する。図13の例において時点tbと時点tcとでは、時点tcの方がインク量が少なくなる。
【0005】
このため、前後の駆動パルスの供給間隔(駆動周期,供給周波数)を変化させてインク量を測定すると、例えば図14に示すように、インク量が周期的に変動する。特に、駆動パルス同士の供給間隔が極く短い高周波領域(インク滴吐出時から3周期程度の範囲内)では、インク量は固有振動周期Tcに影響されて供給間隔の僅かな違いで大きく変動する。
【0006】
ところで、駆動パルスの波形形状を定めるにあたり、圧力発生素子の特性ばらつきを考慮して駆動パルスの駆動電圧(最大電位と最低電位の電位差)を記録ヘッド毎或いはノズル列毎に適正化し、記録時におけるインク量を揃えることが行われている。この場合、上記したように駆動パルスの供給間隔(周波数)に応じてインク量が変わってしまうので、どの供給間隔でインク量を適正化すればいいかが重要になる。この点に関し、一般的には、ベタ記録での白筋防止の観点から、記録に使用される最大周波数で適正化を行っている。即ち、この最大周波数でのインク量が設計値になるように駆動電圧を設定している。
【0007】
なお、従来において、記録に使用される最大周波数は、インク滴の吐出安定性を重視する観点から、圧力発生素子の許容最大駆動周波数(高周波領域)よりも低く設定されていた。例えば、図14において、駆動周期Xに対応する周波数に設定されていた。そして、駆動信号の適正化は、駆動周期X内の所定周波数で測定用駆動パルスを供給して得られたインク量を用いていた。要するに、単一の測定点(測定用駆動パルスの供給周波数)で測定していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この種の記録ヘッドには高周波駆動に対する強い要請がある。この要請に応えるべく圧力発生素子や圧力室形状等が改良され、高周波領域での記録が可能な記録ヘッドが提供できるようになった。この高周波記録対応の記録ヘッドでも駆動電圧の適正化が行われるが、この適正化についても、許容最大駆動周波数で駆動パルスを供給して得られたインク量によって行うことが望ましい。
【0009】
しかしながら、上記の固有振動周期Tcは圧力室の寸法ばらつきやノズル径のばらつき等によって変動する。そして、この固有振動周期Tcの変動によって、図14のインク量変動曲線は時間軸方向に拡縮される。さらに、このインク量変動曲線の高周波領域は、固有振動周期Tcの影響を受けて振幅が他の部分よりも大きいので、従来のように単一の測定点のみで測定した場合には、固有振動周期Tcの変動によってインク量が大きく変動してしまうことになる。
【0010】
例えば、図15に示すように、固有振動周期Tcが第1周期Tc1(実線)とこの第1周期Tc1よりも僅かに長い第2周期Tc2(一点鎖線)の場合には、一定の駆動周期waであっても得られるインク量がIw1(Tc1)とIw2(Tc2)とに異なってしまう。このように、得られるインク量が固有振動周期Tcの変化によって大きく異なってしまい、圧力発生素子の特性ばらつき以外の要因でもインク量が変化してしまう。
【0011】
なお、従来は、この高周波領域よりも低い周波数(使用領域X,図14参照)でインク量を測定していたので、換言すれば、インク量変動曲線の振幅が比較的小さい測定点でインク量を測定していたので、固有振動周期Tcが多少変化してもインク量が大きく変化してしまうことはなく、駆動電圧の適正化に支障はなかった。
【0012】
そして、測定点でのインク量が固有振動周期Tcによって大きく変化してしまうと、駆動電圧が適正化できず、その影響は低周波域まで及ぶ。即ち、供給周波数の全域に亘ってインク量に影響が及ぶ。これにより、インク量が増えて標準よりも濃い画像を記録したり、インク量が減って標準よりも薄い画像を記録したりすることになる。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高周波領域で記録可能な記録ヘッドであっても、駆動電圧の適正化が図れる適正電圧決定方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載のものは、圧力室内のインク液に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を備え、駆動パルスの圧力発生素子への供給によってノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドに適用され、前記駆動パルスの適正電圧を決定する駆動電圧決定方法において、
圧力室内におけるインク液の固有振動周期Tcに基づいて、インク量の測定時における測定用駆動パルスの供給周波数範囲である測定範囲Tdを設定し、
該測定範囲Td内には、各測定点の供給周波数の平均である平均周波数favが、記録動作時における最大供給周波数である使用最高周波数fmaxに一致するように、測定用駆動パルスの供給周波数として選ばれる2n個(nは自然数)の測定点を等間隔で分布させると共に、隣り合う測定点同士の間隔を測定範囲Td/測定点数2nに設定し、
前記測定用駆動パルスは、駆動電圧の異なる複数種類のパルス信号であり、前記測定範囲Td内において前記各測定点として選択した各供給周波数で圧力発生素子に供給され、
前記各測定点でのインク量を測定用駆動パルス毎に測定し、
各測定点のインク量の合計から1滴あたりのインク量を測定用駆動パルス毎に算出することで、圧力室の固有振動周期に起因するインク量変動を平均化し、
算出したインク量と駆動電圧との関係から、使用最高周波数fmaxにおいて規定インク量を吐出可能な駆動パルスの適正電圧を決定することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法である。
【0015】
なお、「駆動パルスの適正電圧」とは、駆動パルスの駆動電圧(即ち、最大電位と最低電位の電位差)であって、規定量のインク滴を吐出させるために適正化された駆動電圧を意味する。
また、「固有振動周期Tcに基づいて」とは、製造上存在し得る最小の固有振動周期Tcminから最大の固有振動周期Tcmaxの範囲内を意味する。
【0016】
請求項2に記載のものは、前記測定範囲Tdを固有振動周期Tcの設計値に定めたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法である。
【0018】
請求項3に記載のものは、前記圧力発生素子が圧電振動子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、記録へッドの構造について説明する。図1に例示した記録へッド1は、複数の圧電振動子2…からなる振動子群3、固定板4、及び、フレキシブルケーブル5等をユニット化した振動子ユニット6と、この振動子ユニット6を収納可能なケース7と、ケース7の先端面に接合される流路ユニット8とを備えている。
【0020】
ケース7は、振動子ユニット6が収納される収納空部9を内側に形成した合成樹脂製のブロック状部材である。そして、振動子ユニット6は、固定板4が収納空部9の壁面に接着されており、この接着状態で圧電振動子2の先端面は、収納空部9における流路ユニット8側の開口に臨む。
【0021】
振動子群3を構成する圧電振動子2は、本発明の圧力発生素子の一種であり、電気機械変換素子の一種でもある。そして、各圧電振動子2…は、基端側部分が固定板4上に接合されており、自由端部を2mm程度固定板4の縁よりも外側に突出させた片持ち梁の状態で取り付けられている。そして、各圧電振動子2…の自由端部は、圧電体層10に加えられた電界に応じて、素子長手方向に伸縮する。
【0022】
本実施形態の各圧電振動子2…は、30μm〜100μm程度の極めて細い幅の櫛歯状に構成されている。例えば、圧電体層10と電極層11とを交互に積層した一枚の圧電板を固定板4に接合した後、ワイヤーソー等の切断具によって櫛歯状に切り分けることで作製されている。このように、振動子群3を構成する各圧電振動子2…は、同一の圧電板から切り出されているので、その伸縮特性が振動子ユニット6毎に高いレベルで揃えられている。
【0023】
各圧電振動子2…の先端面部は、流路ユニット8の島部12に接合されており、フレキシブルケーブル5は、固定板4とは反対側の側面で、各圧電振動子2…と電気的に接続されている。そして、各圧電振動子2…は、従来よりも高い高周波領域での駆動が予定されている。例えば、インク滴を吐出させるために圧電振動子2に供給される駆動パルス(後述)の最大供給周波数に関し、従来13kHz程度であった周波数を本実施形態では34kHz程度まで高めている。なお、この最大供給周波数は、本発明における使用最高周波数fmaxに相当し、圧電振動子2の最高駆動周波数とも表現できる。
【0024】
流路ユニット8は、図2に示すように、流路形成基板13を間に挟んでノズルプレート14を流路形成基板13の一方の表面に接合し、弾性板15をノズルプレート14とは反対側となる他方の表面に接合することで構成されている。
【0025】
ノズルプレート14は、例えば図3に示すように、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口16…を列状に開設したステンレス鋼製の薄いプレートである。本実施形態では、90dpiのピッチで90個のノズル開口16…を列設し、これらのノズル開口16…によってノズル列を構成する。そして、このノズル列を、吐出可能なインク液の種類(例えば色)に対応させて複数列形成する。例えば、図中左端に位置する第1ノズル列17Aから右端に位置する第6ノズル列17Fまでの合計6列のノズル列17…を横並びに設ける。
【0026】
これらのノズル列17…に関し、本実施形態では、各ノズル列17…から異なる色のインク液を吐出可能に構成している。例えば、第1ノズル列17Aからはブラックインクを、第2ノズル列17Bからはイエローインクをそれぞれ吐出可能に構成している。また、第3ノズル列17Cからはシアンインクを、第4ノズル列17Dからはライトシアンインクをそれぞれ吐出可能に構成している。さらに、第5ノズル列17Eからはマゼンタインクを、第6ノズル列17Fからはライトマゼンタインクをそれぞれ吐出可能に構成している。
【0027】
そして、上記の振動子ユニット6は、1つのノズル列17に対して1つ設けられている。即ち、図4に示すように、ケース7内には、合計6個の振動子ユニット6…が取り付けられている。
【0028】
流路形成基板13は、圧力室18となる空部と、インク供給口19となる溝部と、共通インク室20となる空部などを形成した板状の部材であり、例えばシリコンウェハーをエッチング加工することにより作製されている。
【0029】
圧力室18は、ノズル開口16の列設方向(即ち、ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い偏平な凹室で構成され、各ノズル開口16…に対応して複数設けられている。そして、この圧力室18の一端はノズル連通口21を通じてノズル開口16に連通している。また、ノズル連通口21とは反対側となる圧力室18の他端は、流路幅が圧力室18よりも狭いインク供給口19を通じて共通インク室20に連通されている。従って、この記録へッド1では、共通インク室20から圧力室18を通じてノズル開口16に至る一連のインク流路が、ノズル開口16の数だけ形成されている。
【0030】
弾性板15には、圧力室18の一方の開口面を封止するダイヤフラム部22と、共通インク室20の一方の開口面を封止するコンプライアンス部23とが設けられている。この弾性板15は、例えば、ステンレス製の支持板24上にPPS(ポリフェニレンサルファイド)やPI(ポリイミド)等の樹脂フィルム25をラミネート加工した二重構造である。そして、ダイヤフラム部22として機能する部分、即ち、圧力室18の開口を封止する部分の支持板24を環状にエッチング加工し、圧電振動子2の先端面部を接合するための島部12を形成する。また、コンプライアンス部23として機能する部分、即ち、共通インク室20の開口面を封止する部分の支持板24をエッチング加工で除去して樹脂フィルム25だけにしている。
【0031】
このような構成を有する記録へッド1では、圧電振動子2を放電して振動子長手方向に伸長させると、島部12がノズルプレート14側に押圧される。これにより、ダイヤフラム部22の樹脂フィルム25が変形して圧力室18が収縮する。一方、圧電振動子2を充電して振動子長手方向に収縮させると、樹脂フィルム25の弾性により圧力室18が膨張する。そして、圧力室18の膨張や収縮を制御することで圧力室18内のインク圧力が変動し、ノズル開口16からインク滴を吐出させることができる。
【0032】
この場合において圧力室18は音響管とみなせるので、インク滴の吐出に伴って圧力室18内のインク液には圧力室18内を往復する圧力振動が励起される。即ち、圧力室18の容積変化によって生じたインク液の圧力変動のエネルギーが保存されて圧力振動となる。そして、この圧力振動の周期(以下、圧力室18の固有振動周期Tcという。)は、圧力室18の形状、隣り合う圧力室18,18同士を区画する隔壁部やダイヤフラム部22等のコンプライアンス、ノズル連通口21やインク供給口19の流路形状等によって定まる。本実施形態の記録へッド1は、この固有振動周期Tcの設計値が7μsに設定されている。
【0033】
なお、この記録ヘッド1においては、圧力室18、インク供給口19、ノズル連通口21等の各部は、μm単位の極く微細な大きさで作製されている。同様に、樹脂フイルム25の厚さも数μmと極めて薄い。このため、現在の加工精度ではこれらの各部に寸法ばらつきが生じ、許容公差内に収まっているものを良品として使用する。また、流路ユニット8は、流路形成基板13,ノズルプレート14,弾性板15を互いに接合することで作製されているため、部材間での接合位置にもばらつきが生じてしまう。このため、接合位置に関しても許容公差内に収まっているものを良品として使用する。
【0034】
これらの寸法ばらつきや接合位置ばらつきは、固有振動周期Tcに影響を及ぼす。このため、良品の記録ヘッド1であっても、その固有振動周期Tcは公差上仕方なくばらつく。例示した構造の記録ヘッド1において、ヘッド個体内のばらつきは±1.0μs程度である。そして、この例では、6μs〜8μsの範囲で変動する。この場合において、6μsは製造上存在し得る最小の固有振動周期Tcminであり、8μsは製造上存在し得る最大の固有振動周期Tcmaxである。
【0035】
また、この記録へッド1では、圧電振動子2の伸縮量が振動子ユニット6毎にばらつく傾向がある。これは、使用する圧電板のロット差や自由端部の長さ等によって起因すると考えられる。即ち、圧電板を構成する各層(圧電体層10,電極層11)に厚さの差があると、同じ電位差を付与しても伸縮量が相違してしまう。また、自由端部の長さは圧電振動子2における伸縮部分の長さでもあるので、当該部分の長さが相違するとやはり同じ電位差であっても伸縮量が相違してしまう。このため、圧電板の取付位置のずれが自由端部の長さの差となり、伸縮量の差となって現れる。
【0036】
従って、このような伸縮量のばらつきに対して何らかの処置を講じないと、単位面積当たりの着弾インク量が振動子ユニット6毎、即ち、ノズル列17毎にばらつき、画質が損なわれてしまうという問題が生じ得る。例えば、同じ画像データで記録を行っても、全体的に赤みが強い画像となったり、青みが強い画像となったりする。
なお、この伸縮量のばらつきを低減するために圧電振動子2(圧電体層10,電極層11)の寸法精度や振動子群3と固定板4の取付精度を向上させることが考えられるが、製造効率等の観点から寸法精度や組立精度を向上させることは現実的でない。
【0037】
そこで、インク滴を吐出させるために圧電振動子2に供給する駆動パルスを調整することが行われている。即ち、最大電位VPから最低電位VLまでの電位差である駆動電圧Vh(図6(b)参照)を、各振動子ユニット6…や記録へッド1毎に適正化することで伸縮量のばらつきを補正することが行われている。
【0038】
例えば、駆動電圧Vhを振動子ユニット6毎に適正化する場合、圧電振動子(自由端部)2の伸縮量が標準値(設計値)の振動子ユニット6については駆動電圧Vhを設計値とする。この場合、吐出されるインク滴は規定量となる。そして、伸縮量が標準値よりも小さい振動子ユニット6については、規定量のインク滴が吐出されるように、駆動電圧Vhを設計値よりも高く設定する。反対に、伸縮量が標準値よりも大きい振動子ユニット6については、規定量のインク滴が吐出されるように、駆動電圧Vhを設計値よりも低く設定する。
【0039】
また、駆動電圧Vhを記録へッド1毎に適正化する場合には、記録ヘッド1が備える全てのノズル開口16…からインク滴を吐出させ、その平均吐出量が規定量となるように駆動電圧Vhを設定する。そして、振動子ユニット6毎の吐出量ばらつきについては、記録時におけるインク滴の吐出回数を増減することで補正する。例えば、圧電振動子2の伸縮量が平均伸縮量(即ち、取り付けられている各振動子ユニット6…における平均値)の振動子ユニット6については、単位面積当たりのインク滴の吐出回数、即ち、ベタを埋めるために必要な吐出回数を設計値とする。これにより、単位面積当たりの着弾インク量は規定量となる。また、圧電振動子2の伸縮量が平均伸縮量よりも小さい振動子ユニット6については、単位面積当たりの着弾インク量が規定量となるように、インク滴の吐出回数を増加させる。反対に、圧電振動子2の伸縮量が平均伸縮量よりも大きい振動子ユニット6については、単位面積当たりの着弾インク量が規定量となるように、インク滴の吐出回数を減少させる。
【0040】
以下、駆動パルスにおける駆動電圧Vhの適正化、即ち、適正電圧の決定方法について詳細に説明する。ここで、図5は、適正電圧の決定方法を説明するフローチャートである。なお、以下は、記録へッド1毎に1つの適正電圧を決定する例について説明する。
【0041】
この決定方法では、最初に、測定用駆動パルスTPを用いてインク量測定を行う(ステップS1)。
【0042】
まず、測定用駆動パルスTPについて説明する。この測定用駆動パルスTPは、インク量の測定に用いられるパルス信号であり、記録用の駆動パルスと同じ形状のパルス信号である。本実施形態では、図6(b)に示すように、中間電位VMから最大電位VPまで一定勾配で電位を上昇させる膨張要素P1と、最大電位VPを一定時間維持する膨張ホールド要素P2と、最大電位VPから最低電位VLまで急勾配で電位を下降させる吐出要素P3と、最低電位VLを一定時間保持する吐出ホールド要素P4と、最低電位VLから中間電位VMまで電位を上昇させる制振要素P5とから構成される。
【0043】
この測定用駆動パルスTPが圧電振動子2に供給されると、圧電振動子2及び圧力室18が次のように作動してノズル開口16から所定量のインク滴が吐出される。なお、記録用の駆動パルスは、駆動電圧Vhが適正化された測定用駆動パルスTPということができるので、吐出時の動作は測定用駆動パルスTPと同じである。
【0044】
膨張要素P1が供給されると、圧電振動子2は振動子長手方向に大きく収縮する。この収縮に伴って圧力室18は、中間電位VMに対応する定常容積から最大電位VPに対応する最大容積まで、インク滴を吐出させない程度の速度で膨張する。この膨張に伴って圧力室18内が減圧され、共通インク室20内のインク液がインク供給口19を通って圧力室18内に流入する。この圧力室18の膨張状態は膨張ホールド要素P2の供給期間に亘って保持される。
【0045】
その後、吐出要素P3が供給されて圧電振動子2が大きく伸長する。この圧電振動子2の伸長によって圧力室18は最小容積まで急激に収縮する。これにより、圧力室18内のインク液が加圧されてノズル開口16から所定量(例えば12ng前後)のインク滴が吐出される。
【0046】
吐出要素P3に続いて吐出ホールド要素P4が供給されるので、圧力室18の収縮状態が維持される。そして、圧力室18の収縮状態において、メニスカスは、インク滴の吐出の影響を受けて大きく振動する。その後、メニスカスの振動を抑制し得るタイミングで制振要素P5が供給され、圧力室18が定常容積まで膨張復帰する。即ち、圧力室18内のインク液に生じた圧力を相殺すべく、圧力室18を膨張させてインク圧力を減圧する。これにより、メニスカスの振動を短時間で抑制することができ、次のインク滴の吐出を安定させることができる。
【0047】
なお、1つの測定用駆動パルスTPに対応する吐出インク量は、12ng(pL)前後と極く微量であるので、1滴毎に量を測定することは困難である。このため、吐出インク量の測定にあたっては、図6(a)に示すように、駆動パルス発生回路31(駆動パルス発生手段の一種)と電子天秤32とを用いる。
【0048】
即ち、駆動パルス発生回路31から発生させた測定用駆動パルスTPを繰り返し圧電振動子2に供給し、所定数のインク滴をノズル開口16から吐出させる。そして、この吐出させたインク滴を捕集して電子天秤32で重量(吐出総重量)を測定し、測定された吐出総重量を吐出総重量を延べ吐出回数(即ち、ノズル開口数×吐出回数)で除算することにより、1滴の重量を算出する。なお、本実施形態では、記録へッド1毎に1つの適正電圧を決定するので、全てのノズル開口16…から所定数のインク滴を吐出させる。
例えば、1つのノズル開口16あたりの吐出回数を100,000回とした際の吐出総重量が700mgであったとすると、ノズル開口16…の数が540個(90個×6列)であるので、1滴の重量は、700mg/(540×100,000)で算出され、13ngとなる。
【0049】
そして、このステップS1のインク量測定工程では、駆動電圧Vhの異なる複数種類の測定用駆動パルスTPを用いる。本実施形態では、図7に示す2種類の測定用駆動パルスTP、即ち(a)に示す第1測定用駆動パルスTP1と、(b)に示す第2測定用駆動パルスTP2とを用いる。
【0050】
ここで、第1測定用駆動パルスTP1は、駆動電圧Vhが第1駆動電圧Vh1に設定されたパルス信号であり、第1最大電位VP1から最低電位VLの範囲で電位が変化する。また、第2測定用駆動パルスTP2は、駆動電圧Vhが第2駆動電圧Vh2に設定されたパルス信号であり、第2最大電位VP2から最低電位VLの範囲で電位が変化する。そして、第1駆動電圧Vh1は設定可能な最低値或いはその近傍値に設定され、第2駆動電圧Vh2は設定可能な最高値或いはその近傍に設定されている。言い換えれば、設計値を挟んで低電圧側と高電圧側のそれぞれに設定されている。
【0051】
本実施形態では、第1駆動電圧Vh1を24Vとし、第2駆動電圧Vh2を28Vとしている。また、最低電位VLは、例えば接地電位(GND)に設定される。さらに、中間電位VMは駆動電圧Vhの50%に設定される。この例では、第1測定用駆動パルスTP1の中間電位VM1は12Vとなり、第2測定用駆動パルスTP2の中間電位VM2は14Vとなる。
なお、各波形要素P1〜P5の時間幅は、第1測定用駆動パルスTP1と第2測定用駆動パルスTP2とで同じである。
【0052】
また、本実施形態では、インク滴の吐出量を測定するにあたり、各測定用駆動パルスTPを使用最高周波数fmaxに近い周波数で供給する。ここで、使用最高周波数fmaxとは、記録動作時における最大供給周波数であり、本実施形態では上記したように34kHzである。なお、インク量を使用最高周波数fmaxで測定するのは、ベタ記録における着弾インク量を最適化するためである。
【0053】
ところで、この使用最高周波数fmaxで測定用駆動パルスTPを連続的に供給すると、先のインク滴の吐出でメニスカスが大きく振動している最中に次のインク滴を吐出することになる。また、測定対象の記録へッド1について固有振動周期Tcがばらつくと、この固有振動周期Tcに応じてメニスカスの振動周期が変化する。インク滴の吐出量はメニスカスの位置に応じて変化するので、この最高周波数の近傍域(即ち、高周波域)では、供給周波数を1つに固定してインク量を測定しても、そのインク量が圧電振動子2の伸縮量の違いを表しているのか、固有振動周期Tcのばらつきによって変化しているのか判断することは困難である。
そして、固有振動周期Tcのばらつきが加味されてしまうと、そのインク量ばらつきの影響は低周波域にも及び、画像が全体的に濃くなったり、薄くなってしまう。
【0054】
この点に鑑み本実施形態では、図8に示すように、高周波域に測定範囲Tdを設定し、この測定範囲Td内には平均周波数favが使用最高周波数fmaxとなるように2n(nは自然数)個の測定点(A1〜A2,B1〜B4)を等間隔で設定する。即ち、測定用駆動パルスTPの供給周波数を異ならせて2n回の測定を行う。換言すると、駆動電圧の異なる複数種類の第1測定用駆動パルスTP1,第2測定用駆動パルスTP2を用いて吐出量を測定することを、各測定用駆動パルスの供給周波数を異ならせてそれぞれ2n回行う。また、隣り合う測定点同士の間隔を、測定範囲Td/測定点数2nで規定される間隔に設定する。
【0055】
この場合において、圧力室18の固有振動周期Tcに起因して変化するインク量は、次式(1)にて近似的に表すことができる。
【0056】
【数1】
Figure 0003991767
【0057】
そして、隣り合う測定点同士の間隔を測定範囲Td/測定点数2nの時間以上に設定すると、固有振動周期に起因するインク量の差が相殺される。例えば、測定点を2個(n=1)に設定し、測定点同士の間隔を固有振動周期/2に設定すると、一方の測定点A1のインク量が相対的に高くなると他方測定点A2のインク量が相対的に低くなる。
【0058】
即ち、一方の測定点A1のインク量と他方の測定点A2のインク量とは、次式(2)で示すように周期πの差となり、それらの和は互いに相殺される。
【0059】
【数2】
Figure 0003991767
【0060】
例えば、測定範囲Tdを圧力室18内の固有振動周期の設計値Tcstd(7μs)とした場合について説明する。この場合には、測定範囲Tdが7μsであるため、両測定点同士の間隔は3.5μsに設定される。また、使用最高周波数fmaxが34kHzであるため、第1測定点の供給周波数が35.8kHzとなり、第2測定点の供給周波数が32.3kHzとなる。即ち、駆動パルス発生回路31は、図9に示すように、測定用駆動パルスTP,TP同士の間隔Wを27.9μsとした駆動信号と、この間隔Wを31.0μsとした駆動信号とを発生する。
【0061】
このように各測定点A1,A2を設定し、各測定点でのインク量の合計(吐出総重量)から1滴あたりのインク量Iwを測定パルス毎に算出する(Iw1,Iw2)と、圧力室18の固有振動周期Tcに起因するインク量変動が平均化されるので、この固有振動周期Tcのばらつきを相殺することができる。
【0062】
例えば、圧力室18の固有振動周期Tcが設計値通りの7μsの場合には、図10(a)に実線で示すように、使用最高周波数fmax(2点の平均周波数fav)に拘わらずインク量はほぼ一定値になる。即ち、測定されたインク量は、圧電振動子2の伸縮量に応じた値となる。また、圧力室18内の固有振動周期が6μsの場合には図10(b)に示すように、8μsの場合には図10(c)に示すように、多少の変動が見られるもののインク量の変動範囲(実線の振幅)w1,w2は、一点で測定した場合の変動範囲(一点鎖線の振幅)w3,w4よりも十分に小さい。
【0063】
従って、固有振動周期Tcのばらつきを相殺でき、圧電振動子2の伸縮量を反映したインク量を測定できる。これにより、記録ヘッド1毎(ノズル列17毎)のインク量を高いレベルで揃えることができる。
【0064】
また、測定点を4個(n=2)に設定し、測定点同士の間隔を固有振動周期/4に設定すると、1番目の測定点B1と3番目の測定点B3のインク量、及び、2番目の測定点B2と4番目の測定点B4のインク量が互いに周期πの差となり、それらの和は互いに相殺される。
【0065】
例えば、測定範囲Tdを圧力室18内の固有振動周期の設計値(7μs)とした場合について説明する。この場合、測定範囲Tdが7μsであるため、各測定点同士の間隔は1.8μsに設定される。また、使用最高周波数fmaxが34kHzであるため、第1測定点の供給周波数を36.7kHzとし、第2測定点の供給周波数を34.9kHzとする。同様に、第3測定点の供給周波数を33.1kHzとし、第4測定点の供給周波数を31.3kHzとする。即ち、駆動パルス発生回路31は、駆動パルス同士の間隔を27.2μsとした第1測定点用の駆動信号と、この間隔を28.7μsとした第2測定点用の駆動信号を発生する。同様に、駆動パルス発生回路31は、駆動パルス同士の間隔を30.2μsとした第3測定点用の駆動信号と、この間隔を31.9μsとした第4測定点用の駆動信号を発生する。
【0066】
この場合にも、圧力室18内の固有振動周期に起因する圧力変動が平均化されるので、この固有振動周期のばらつきを相殺することができる。
【0067】
即ち、圧力室18内の固有振動周期が設計値通りの7μsの場合には、図11(a)に実線で示すように、使用最高周波数fmax(4点の平均周波数fav)に拘わらずインク量は一定になる。従って、測定されたインク量は、圧電振動子2の伸縮量に応じた値となる。また、圧力室18内の固有振動周期が6μsの場合には図11(b)に示すように、8μsの場合には図11(c)に示すように、多少の変動が見られるもののインク量の変動範囲(実線の振幅)w5,w6は、一点で測定した場合の変動範囲(一点鎖線の振幅)w7,w8よりも十分に小さい。
【0068】
従って、固有振動周期Tcのばらつきを相殺でき、圧電振動子2の伸縮量を反映したインク量を測定できる。なお、測定点は、偶数(2n)個であれば、6点以上であってもよい。そして、測定点の数が多くなればなる程、インク量変動曲線の振幅が小さくなり、測定精度の向上が図れる。
【0069】
そして、測定点同士の間隔に関し、各測定点を使用最高周波数fmaxを挟んで等間隔に配置し、且つ、隣り合う測定点同士の間隔を測定範囲Td/測定点数2nに設定しているので、各測定点が測定範囲Tdの全域に亘って均等に分布され、その測定精度を高めることができる。
【0070】
そして、第1測定用駆動パルスTP1と第2測定用駆動パルスTP2のそれぞれでインク量を測定したならば、駆動パルスの適正電圧を設定する。この適正電圧の設定は、上記したように、第1測定用駆動パルスTP1でのインク量Iw1と第2測定用駆動パルスTP2でのインク量Iw2とに基づいて行う。例えば、図12に示すように、駆動電圧Vhを縦軸にインク量を横軸に設定した検量線を作成し、この検量線から目標値のインク量に対応する駆動電圧VhXを適正電圧として取得する。これにより、高周波領域で記録可能な記録へッドであっても、最適な駆動電圧を設定できる。
仮に、第1測定用駆動パルスTP1(24V)でのインク量Iw1が10ng、第2測定用駆動パルスTP2(28V)でのインク量Iw2が14ngであり、目標値のインク量IwXが1あたり12ngであった場合には、適正電圧VhXは26Vとなる。
【0071】
駆動パルスの適正電圧VhXを決定したならば、カラーアジャストIDを定めるため、インク量をノズル列17毎に測定する(S3)。
【0072】
ここで、カラーアジャストIDは、ノズル列間の相対的なインク量を示す識別情報である。本実施形態のカラーアジャストIDは、使用時に常用される常用供給周波数での相対的なインク量を示す偏差値で構成されている。
【0073】
このインク量の測定は、駆動パルス発生回路31と電子天秤32とが用いられる。即ち、適正電圧VhXに調整された測定用駆動パルスTPを、17kHz(1/2fmax)の周波数で各圧電振動子2…(即ち、測定対象となるノズル列17に属する圧電振動子2…)に供給することにより行われる。そして、1つのノズル列17についてインク量の測定を行ったならば、他のノズル列17についてインク量の測定を行う。
【0074】
全てのノズル列17についてインク吐出量を測定したならば、カラーアジャストIDを定める(S4)。
【0075】
このカラーアジャストIDは、ノズル列17毎のインク量に基づいて設定され、目標値となるインク量からの偏差を示す。本実施形態では、目標値との偏差が0%の場合を[50]とし、偏差が1%プラス側に増える毎に1ポイントずつ増やし、偏差が1%マイナス側に増える毎に1ポイントずつ減らしている。
【0076】
そして、カラーアジャストIDまで決定したならば、必要な情報(適正電圧やカラーアジャストID等)を記録へッド1に付与する。この情報の付与は、例えば、バーコードや記号等のコード情報を表面に記録した粘着シールをケース表面に貼着することで行われる。また、ROM等の情報記憶素子に必要な情報を電気的に読み出し可能に記憶させてもよい。
【0077】
ところで、本発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
【0078】
まず、上記の圧力発生素子としては、静電アクチュエータや磁歪素子等を用いることができる。即ち、圧力室18の一部を区画する弾性板15を変形させる電気機械変換素子であればよい。また、圧力発生素子として、圧力室18内のインクを突沸させる発熱素子を用いてもよい。
【0079】
また、測定範囲Tdに関し、固有振動周期の設計値Tcstdに限定されるものではなく、製造上存在し得る最小の固有振動周期Tcminから最大の固有振動周期Tcmaxの範囲内に定めれば同様の効果を奏する。そして、この範囲内において、固有振動周期の設計値Tcstdは設計上の中央値であるため、測定範囲Tdとして最も適している。
【0080】
また、駆動パルスの適正電圧VhXを設定するに際し、上記実施形態では第1測定用駆動パルスTP1と第2測定用駆動パルスTP2とを用いて作成した検量線を使用したが、これに限定されるものではない。例えば、測定用駆動パルスTPの駆動電圧Vhを変化させながら、目標値のインク量が得られるまで繰り返してインク量を測定するトライアルアンドエラーの方法で適正電圧VhXを設定してもよい。
【0081】
また、インク量測定を各ノズル列17毎に行い、駆動パルスの適正電圧VhXを各ノズル列毎に設定してもよい。
【0082】
また、吐出インク量の測定に関し、上記実施形態では電子天秤32を用いて重量を測定したが、吐出されたインク液の容積を測定してもよい。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。
即ち、インク量の測定時における測定用駆動パルスの供給周波数範囲として定めた測定範囲Td内には、各測定点の供給周波数の平均である平均周波数favが、記録動作時における最大供給周波数である使用最高周波数fmaxに一致するように、測定用駆動パルスの供給周波数として選ばれる2n個の測定点を等間隔で分布させると共に、各測定点でのインク量を測定用駆動パルス毎に測定し、各測定点のインク量の合計から1滴あたりのインク量を測定用駆動パルス毎に算出することで、圧力室の固有振動周期に起因するインク量変動を平均化し、算出したインク量と駆動電圧との関係から、使用最高周波数fmaxにおいて規定インク量を吐出可能な駆動パルスの適正電圧を決定するようにしたので、各測定点における測定結果から固有振動周期に起因するインク量のばらつきを相殺することができる。これにより、高周波領域で記録可能な記録へッドであっても、最適な駆動電圧を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録ヘッドの断面図である。
【図2】流路ユニットの部分拡大断面図である。
【図3】ノズルプレートの説明図である。
【図4】記録ヘッドをノズルプレート側から見た図である。
【図5】適正電圧の測定手順を説明するフローチャートである。
【図6】(a)は測定用の装置を説明する模式図、(b)は測定用駆動パルスを説明する図である。
【図7】(a)は第1測定用駆動パルスを説明する図、(b)は第2測定用駆動パルスを説明する図である。
【図8】設定される測定点を説明する図である。
【図9】駆動パルス発生回路から発生される駆動信号を説明する図である。
【図10】(a)〜(c)は、2つの測定点を設定した場合のインク量の測定結果を説明する図である。
【図11】(a)〜(c)は、4つの測定点を設定した場合のインク量の測定結果を説明する図である。
【図12】適正電圧を設定するための検量線である。
【図13】インク滴吐出時におけるメニスカスの動きを説明する図である。
【図14】インク量の周期的な変動を説明する図である。
【図15】固有振動周期の違いによるインク量違いを説明する図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録ヘッド
2 圧電振動子
3 振動子群
4 固定板
5 フレキシブルケーブル
6 振動子ユニット
7 ケース
8 流路ユニット
9 収納空部
10 圧電体層
11 電極層
12 島部
13 流路形成基板
14 ノズルプレート
15 弾性板
16 ノズル開口
17 ノズル列
18 圧力室
19 インク供給口
20 共通インク室
21 ノズル連通口
22 ダイヤフラム部
23 コンプライアンス部
24 支持板
25 樹脂フィルム
31 駆動パルス発生回路
32 電子天秤

Claims (3)

  1. 圧力室内のインク液に圧力変動を生じさせる圧力発生素子を備え、駆動パルスの圧力発生素子への供給によってノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドに適用され、前記駆動パルスの適正電圧を決定する駆動電圧決定方法において、
    圧力室内におけるインク液の固有振動周期Tcに基づいて、インク量の測定時における測定用駆動パルスの供給周波数範囲である測定範囲Tdを設定し、
    該測定範囲Td内には、各測定点の供給周波数の平均である平均周波数favが、記録動作時における最大供給周波数である使用最高周波数fmaxに一致するように、測定用駆動パルスの供給周波数として選ばれる2n個(nは自然数)の測定点を等間隔で分布させると共に、隣り合う測定点同士の間隔を測定範囲Td/測定点数2nに設定し、
    前記測定用駆動パルスは、駆動電圧の異なる複数種類のパルス信号であり、前記測定範囲Td内において前記各測定点として選択した各供給周波数で圧力発生素子に供給され、
    前記各測定点でのインク量を測定用駆動パルス毎に測定し、
    各測定点のインク量の合計から1滴あたりのインク量を測定用駆動パルス毎に算出することで、圧力室の固有振動周期に起因するインク量変動を平均化し、
    算出したインク量と駆動電圧との関係から、使用最高周波数fmaxにおいて規定インク量を吐出可能な駆動パルスの適正電圧を決定することを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法。
  2. 前記測定範囲Tdを固有振動周期Tcの設計値に定めたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法。
  3. 前記圧力発生素子が圧電振動子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット式記録ヘッドの適正電圧決定方法。
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