JP4570316B2 - インク滴噴射装置 - Google Patents

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    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録装置等に用いるインク滴噴射装置に関し、詳しくは高解像度の画像を記録可能なインク滴噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドロップ−オン−デマンドでインク滴を噴射するインク滴噴射装置が、画像を記録するインクジェット記録装置のインクジェットヘッド等として現在広く使用されている。最近では、インク滴を微小化し、又、インク滴の大きさを可変にして、多諧調で高解像度の画像が得られる様になり、インクジェットで写真を越える画像を形成できる様になった。人間の目は、低空間周波数を持つ画像領域では、非常に細かいグラデーションを見分けられるので、インクジェット画像のハイライト部の粒状性に敏感である。インクジェット画像のハイライト部を、高解像度の微小インク滴で形成すると、粒状感が大幅に低減される。人間の肉眼が粒子を認識できなくなるドット径は40μm以下であり、これを達成するインク滴径は20μm以下、そのインク滴量は4pl以下となる。
【0003】
インクジェット画像のドットを小径化するためには、ノズル径の縮小が有効であるが、あまりノズル径を微細化するとノズル詰まりが起こりやすくなるので好ましくない。又、吐出電圧を下げれば微小インク滴を吐出できるが、吐出速度が遅くなり飛翔曲がりや着弾位置ずれが起こりやすくなるので、やはり好ましくない。
【0004】
ノズル径より小さいインク滴を吐出する方法としては、特開2002−127418に、インクメニスカスを一度押し出した後、ノズル内の奥深くに引き込んでから吐出する方法が、特開2000−141642に、インクメニスカスに三次振動を励起して、インクメニスカスの突起部をインク滴として吐出する方法が、特開2001−150672に、吐出するインク滴を途中で引きちぎって微小滴を吐出する方法が、特開平11−268266に、圧力室を膨張させる信号の電位差を、縮小させる信号の電位差より大きくして微小滴を吐出する方法等がそれぞれ記載されている。
【0005】
圧電素子を使用したインクジェットヘッドには、振動板を使用する方式(例えば積層ピエゾ方式、撓みモード方式)と、振動板を使用せずにインクチャネルの側壁をせん断変形させるシェアモード方式とがある。振動板をインクチャネルの外から駆動する積層ピエゾ方式は、圧電素子をインクチャネルの外に設けるため圧電素子の形状や大きさに余り制限を受けず、強力な素子を使用して強い圧力を発生させることが可能で、インク滴の吐出性や吐出制御性に優れる。しかし、構造が複雑になるので、大きなヘッドの製造は難しく、100チャネル程度が限度である。
【0006】
一方、シェアモード方式のヘッドは、圧電素子にインクチャネルとなる溝を掘り込んだ簡単な構造なので、数百チャネル持つ大きなヘッドを製造することが可能である。しかし、インクチャネルの側壁を駆動するので、隣接チャネルとの相互作用が大きく、駆動に工夫が必要となる。
【0007】
特公平6−61936に、シェアモード方式の記録ヘッドの基本技術が公開されている。それによると、分極した圧電素子基板に、インク溝を形成して、溝の両側面の壁に電極を形成する。吐出チャネルの電極に正電圧を印加し、隣のチャネルの電極を接地すると、吐出チャネルの側壁が外側にせん断変形してチャネルが膨張する。チャネル内には負圧が発生し、マニホールドからインクが流れこむ。同時に、マニホールド端とノズル端から圧力が上がり始め、正の圧力波がチャネルの中央に向かって伝搬を初め、1AL経過すると、それらの音響波が反対端に達してチャネル内が正圧となる。このタイミングで吐出チャネルの電極を接地すると、側壁が中立位置に復帰するためチャネル内には高い圧力が発生し、ノズルからインクが押し出される。同時にマニホールド端とノズル端の圧力が大気圧以下に低下し、マニホールド端とノズル端から、負の圧力波が発生して、チャネルの中央に向かって伝搬する。1AL経過すると、負の圧力波がそれぞれ、他端に達して、チャネル内部が負圧となる。この負圧がノズルに達すると、押し出されたインクとチャネル内のインクを繋ぐヒモが切れて、インク滴が吐出される。
又、このタイミングでチャネルを収縮させると正圧が発生して、チャネル内の負圧の一部がキャンセルされる。更に、1AL経過すると、圧力が反転して、チャネル内が正圧になるので、このタイミングでチャネルの側壁を中立位置に戻すと、負圧が発生して、更にキャンセルが掛かり、チャネル内の圧力波が完全に消滅する。これで、次の液滴を吐出できる。
【0008】
ちなみに、AL(Acoustic Length)とは、インクチャネルの音響的共振周期の1/2のことであり、インクチャネルの長さをL、インク中の音速をCとすると、L/Cであらわされる時間(単位:μs)である。駆動パルス幅をALに合わせると、最も効率良く吐出できる。しかし、インク中の音速を測定するのは難しいので、パルス幅を変化させて、インク滴の飛翔速度を測定し、速度が最大になるときのパルス幅をそのヘッドのALと定義する。
【0009】
圧電素子タイプのインクジェットヘッドは、インク吐出時に大きな圧力変動を生じると、インクチャネルから共通インク室(マニホールド)にインクが逆流することがあり、吐出効率の低下につながる。又、圧力波の振動が共通インク室に伝わり、そこを介して別のチャネルの駆動に影響を与えることもある。これを防止するために、共通インク室とインクチャネル入口との境界に絞りを設けた構造が採られる。
【0010】
積層ピエゾ方式などの外部の圧電素子で振動板を駆動するタイプのヘッドは、その構造上、大きな圧力が発生するので、前述の絞りによってインクチャネル入口の面積と出口であるノズル面積とが略同一になるように設計されている。このため、インクチャネルを急速に膨張させると、インクの供給が不足したりメニスカスがインクチャネルの奥深くに引き込まれたりして吐出液滴の大きさばらつきを生じる。従って、台形波を利用してゆっくりとチャネルを変位させなければならない。台形波は、圧力波やメニスカスを正確に制御できるが、矩形波に比べて効率が悪く高い電圧が必要となる。例えば、シェアモードヘッドを矩形波で駆動すれば、10〜15Vで吐出できるが、台形波を使用すると、30〜40V必要であり、ヘッドの発熱は、約4倍も多くなってしまう。又、圧電素子の抗電界を越えてしまうので、使用中の感度低下が大きくなる。
【0011】
一方、シェアモード方式のヘッドは、インクチャネル内の圧力波振動の反射を利用してインクを吐出するためあまり大きな圧力は発生せず、入口絞りを設ける必要がない。入口絞りのない場合、インクチャネル入口の断面積はインクチャネル出口であるノズル断面積の20〜50倍もあるので、インク室を急激に膨張させても、インクの供給が不足したり、インクメニスカスがインクチャネル内の奥深く引きこまれすぎたりすることが起こらない。従って、シェアモード方式のヘッドの駆動には、台形波よりも駆動電圧が低く、応答が早い矩形波形を利用することが可能である。
【0012】
前述の先行技術は全て、台形波で微小滴の吐出を達成する方法であり、高い駆動電圧が必要となるため、ヘッド構成部材である圧電素子の発熱や劣化が問題となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、電圧効率の良い矩形波形を利用して、安定した小液滴噴射を可能とするシェアモード方式のインク滴噴射装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0015】
(1)電気・機械変換素子の作動により圧力を発生する圧力発生室と、圧力発生室の一端に形成され該圧力の作用によりインク滴を出射するノズルと、圧力発生室に連通し圧力発生室にインクを供給するためのインク供給路とを有するシェアモード方式のインク滴噴射装置において、インク滴を噴射させるために電気・機械変換素子に印加する駆動波形が、少なくとも、圧力発生室の容積を増大させる第1の膨張エッジと、該第1の膨張エッジからT1時間後に圧力発生室の容積を収縮させてインクをノズルから出射させる第1の収縮エッジと、該第1の収縮エッジからT2時間後に圧力発生室の容積をさらに収縮させて該圧力発生室内の圧力波残響をキャンセルさせるよう機能させるための第2の収縮エッジとからなり、前記第1の膨張エッジの電位差V1と前記第1の収縮エッジの電位差V2とが、V1>V2であり、且つ前記T1及びT2のそれぞれが、共に0.8AL〜1.2AL(ALは圧力発生室の音響的共振周期の1/2)である矩形波形であることを特徴とするインク滴噴射装置。
(2)前記第1の膨張エッジの始点電位と前記第2の収縮エッジの終点電位とが同じであることを特徴とする(1)記載のインク滴噴射装置。
【0016】
)前記駆動波形が、前記第1の膨張エッジによる膨張開始前と、前記第2の収縮エッジによる収縮終了後の期間に、インクメニスカスを乱さない程度の収縮部と膨張部を含むことを特徴とする(1)又は(2)記載のインク滴噴射装置。
(4)前記収縮部と前記膨張部のパルスは、スロープ波形からなることを特徴とする(3)記載のインク滴噴射装置
【0017】
)前記第1の膨張エッジの電位差V1と、前記第1の収縮エッジの電位差V2とが、V2=(V1)/2であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のインク滴噴射装置。
【0018】
)前記インク滴を出射するノズルを有する圧力発生室の少なくとも両隣に、インクの出射を行わないダミーチャネルを有することを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載のインク滴噴射装置。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、インク滴噴射装置としてのインクジェット記録装置におけるせん断モード(シェアモード)方式の記録ヘッドの概略構成を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は断面図、図2はその作動を示す図である。同図において、1はインクチューブ、2はノズル形成部材、3はノズル、Sは電気・機械変換手段としての側壁、6はカバープレート、7はインク供給口、8は基板である。そして、図2に示すように圧力発生室としてのインクチャネルAが側壁Sとカバープレート6及び基板8によって形成されている。
【0021】
図1(b)には1個のノズル3を有する1個のインクチャネルAの断面図が示されているが、実際のせん断モードで動作する記録ヘッドHでは、図2(a)に示すようにカバープレート6と基板8との間には複数の電気・機械変換手段としての側壁S、即ち、S1、S2、…Sn+1で隔てられたインクチャネルA、即ち、A1、A2、…Anが多数構成されている。インクチャネルA1、A2、…Anの一端(以下、これをノズル端という場合がある)はノズル形成部材2に形成されたノズル3につながり、他端(以下、これをマニホールド端という場合がある)はインク供給部を構成する供給口7及びインクチューブ1によって図示されていないインクタンクに接続されていて、ノズル3にはインクによるインクメニスカスを形成している。
【0022】
各側壁S1、S2、…は、図2の矢印で示すように分極方向が異なる2個の圧電材料からなる側壁S1a、S2a、…とS1b、S2b、…とから構成されており、側壁S1には密着形成された電極Q1、Q2が、側壁S2には密着形成された電極Q3、Q4が設けてある。同様に各側壁にそれぞれ電極が密着形成されており、各電極Q1、Q2、…は駆動パルス発生回路に接続している。
【0023】
かかる記録ヘッドHにおいては、図2(a)に示す状態において、例えば、電極Q1及びQ4をアースに接続すると共に電極Q2及びQ3に駆動パルスを印加すると、側壁S1、S2を構成する圧電材料の分極方向に直角な方向の電界が生じ、図2(b)に示すように側壁S1a、S1bともに側壁の接合面にズリ変形を生じる。また、側壁S2a、S2bも同様に反対方向にズリ変形を生じて、側壁S1a、S1b及び側壁S2a、S2bは互いに外側に向けて変形し、インクチャネルA1の容積を拡大してインクチャネルA1内に負の圧力が生じてインクが流れ込む。更に、図2(c)に示すように、側壁S1a、S1b及びS2a、S2bを互いに逆方向に変形するように駆動パルスを印加して、インクチャネルA1の容積を縮小すると、インクチャネルA1内に正の圧力が生じる。これによりインクチャネルA1を満たしているインクの一部によるノズル3内のインクメニスカスがノズル3から押し出される方向に変化する。この正の圧力がインク滴をノズル3から射出する程に大きくなると、インク滴はノズル3から吐出する。
【0024】
また、各インクチャネルも同様に駆動パルスの印加によって上記と同様に動作する。
【0025】
シェアモード方式の記録ヘッドHでは、前記のようにインク滴を吐出させるインクチャネルA1の側壁S1及びS2が変形の動作をすると、隣のインクチャネルA2が影響を受けるため、隣接するインクチャネルA1、A2からは同時にインク滴の吐出ができない。このため、通常、インクチャネルを3チャネル毎に3群に分けて吐出するいわゆる3サイクル吐出法が行われる。例えば、A1、A4、A7…を同一周期のパルスで駆動し、次の周期でA2、A5、A8…を駆動する方法が行われる。しかし、一つのインクチャネルからインク滴を吐出すると、吐出したインクチャネルの振動が隣接するインクチャネルにも伝わるので、これらの振動が収まってから次の吐出が可能となる。また、別のチャネル構成として、インクチャネルと該インクチャネルの少なくとも両隣にインクを含まない、即ちインクの出射を行わない空気チャネル(ダミーチャネル)を交互に設けて、インク滴を吐出したインクチャネルの影響が、その隣のインクチャネルに伝わらないようにする方法がある。この場合、各インクチャネルは同じタイミングでインク滴の吐出を行うことができる。本発明は上記いずれの方法にも適用可能であるが、特に後者の場合、ノズルよりも微小なインク滴をより安定して吐出可能となるために好ましい。
【0026】
図3は、本発明において、インク滴を吐出するために駆動パルス発生回路から電極に印加される駆動波形を示している。本発明における駆動波形は、少なくとも、圧力発生室としてのインクチャネルの容積を増大させる第1の膨張エッジE1と、該第1の膨張エッジE1からT1時間後にインクチャネルの容積を収縮させてインクをノズルから出射させる第1の収縮エッジE2と、該第1の収縮エッジE2からT2時間後にインクチャネルの容積をさらに収縮させる第2の収縮エッジE3とからなり、前記第1の膨張エッジE1の電位差V1と前記第1の収縮エッジE2の電位差V2とが、V1>V2であり、且つ前記T1及びT2が、0.8AL〜1.2AL(ALはインクチャネルの音響的共振周期の1/2)である矩形波形からなる。
【0027】
ここで矩形波形とは、電圧の0−90%までの立ち上がり時間、立ち下り時間のいずれもがALの1/4以内であるような波形を示す。但し、ALが長い場合でも上記時間は1μs以内とする。
【0028】
図3(a)は、図2(a)に示すようにインクチャネルAの側壁Sが中立位置にある状態を0電位として、正電圧の矩形波形を構成している。また、図3(b)は、同じくインクチャネルAの側壁Sが中立位置にある状態(0電圧)を中間電位とし、正電圧+VAと負電圧−VAとの間で矩形波形を構成しており、第1の膨張エッジE1のパルスによる膨張開始前の期間にインクチャネルを収縮させる収縮部P1と、第2の収縮エッジE3のパルスによる収縮終了後の期間にインクチャネルを膨張させる膨張部P2とを含んでおり、本発明において好ましい態様を示している。これら収縮部P1と膨張部P2は、ここでは記録ヘッドのノズルにおけるインクメニスカスを乱さない(振動させない)程度のスロープ波形によって中間電位と第1の膨張エッジE1の始点電位及び第2の収縮エッジE3の終点電位と中間電位をそれぞれ接続しているが、この収縮部P1と膨張部P2は、図6に示すような階段状矩形波形であってもよい。
【0029】
ここで図3(b)に示す駆動波形を、例えば図2に示すインクチャネルA1の電極Q2及びQ3に印加し、電極Q1及びQ4を接地すると、まず、図2(a)に示す中立位置にあるインクチャネルA1の側壁S1及びS2は、収縮部P1のパルスによって内側に向けて収縮変形し、インクチャネルA1の容積をゆっくりと減少させる。このとき収縮部P1のパルスはスロープ波形からなるため、ノズル3内のインクメニスカスはゆっくりとノズル3から押し出され、振動することはなく、インク滴が吐出することはない。
【0030】
この状態を一定時間維持した後、負電圧−VAから正電圧+VAの第1の膨張エッジE1のパルスが印加されると、インクチャネルA1の側壁S1及びS2は、電位差V1の電圧により外側に向けて急激に膨張変形し、インクチャネルA1の容積を大きく増大させる。これによりノズル3から押し出されていたインクメニスカスはノズル3内に大きく引き込まれる。
【0031】
この状態はT1時間継続され、このT1時間の後、続いて第1の収縮エッジE2のパルスが印加されると、インクチャネルA1の側壁S1及びS2は電位差V2の電圧により急激に収縮し、インクチャネルA1の容積を急激に減少させる。
このときの電位差V2は上記第1の膨張エッジE1のパルスの電位差V1よりも小さく(V1>V2)、上記第1の膨張エッジE1のパルスによりそれまでノズル3内に大きく引き込まれていたインクメニスカスは、この第1の収縮エッジE2のパルスによってインクチャネルA1内に発生する急激な正の圧力により、その一部がノズル3から押し出され、更にインクからちぎれてノズル径よりも微小なインク滴として吐出する。
【0032】
この第1の収縮エッジE2のパルスはT2時間継続され、このT2時間の後、続いて第2の収縮エッジE3のパルスが印加されると、インクチャネルA1の側壁S1及びS2は更に収縮してインクチャネルA1の容積を減少させ、このときに発生する圧力波がインクチャネル内の圧力波残響をキャンセルする。
【0033】
この状態を一定時間維持した後、続いて膨張部P2のパルスによって、インクチャネルA1の側壁S1及びS2は外側に向けて膨張変形し、インクチャネルA1の容積をゆっくりと増大させる。このとき膨張部P2のパルスはスロープ波形からなるため、ノズル3内のインクメニスカスはゆっくりとノズル3から後退して振動することはなく、次のインク吐出開始動作に影響を与えることはない。このため、インク滴出射後のインクメニスカス振動が抑制され、矩形波形で短周期での安定出射が可能となる。
【0034】
第1の膨張エッジE1のパルスと第1の収縮エッジE2のパルスとのそれぞれの印加期間(パルス幅)T1及びT2は、共に0.8AL〜1.2ALの期間であると、小液滴吐出とインク滴の出射安定性との両立を図り得る。パルス幅が0.8AL未満では、吐出液滴量が大きくなってしまい、小液滴化の要請を満足できない。また、1.2ALを越えるようになると、サテライトの飛散や吐出速度ぶれなどの出射不安定性が生じるようになるために好ましくない。
【0035】
以上は、図3(b)に示す駆動波形を、図2に示すインクチャネルA1により例示される電極Q2及びQ3に印加し、電極Q1及びQ4を接地した場合であるが、別の態様として、上記インクチャネルA1における電極Q1及びQ4と電極Q2及びQ3にそれぞれ駆動パルスを印加することもできる。図4(a)(b)は、この後者の態様において好ましい駆動波形の一例を示している。図3(b)と同一符号は同一の構成を示している。
【0036】
即ち、図4(a)に示す正電圧の駆動波形を、例えばインクチャネルA1において電極Q2及びQ3に印加する一方、図4(b)に示す正電圧の駆動波形を、電極Q1及びQ4に印加する。これによっても上記図3(b)の駆動波形を印加した場合と全く同一の効果を奏することができる上に、正電圧のみによって回路構成が可能であるため、回路設計上有利である。特に、第1の膨張エッジE1の電位差V1と第1の収縮エッジE2の電位差V2とが、V2=(V1)/2の関係にあるとき、駆動波形は図4(a)(b)に示す通りとなり、回路構成は+Vの単電源で可能となるため、更に回路設計上有利となり好ましい。
【0037】
なお、以上説明した図3(b)に示す駆動波形は、中間電位をGNDレベルとしているため、低電圧化が可能であり、駆動電圧の低減化により、圧電材料(PZT)の劣化を抑えることができると共に、低い駆動電圧でありながら、インクチャネル内に大きな圧力変動を与えることが可能である。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の効果を実施例に基づいて例証する。
【0039】
<実施例1>
図1に示すシェアモードタイプの記録ヘッド(ノズル数:256、ノズル径:23μm)の各インクチャネルを3群に分け、図3(b)に示す駆動波形を用いて、電位差V1/V2を図5に示すように変化させながら、以下の条件で3サイクル駆動を行い、吐出したインク滴の液滴体積を測定した。その結果を図5に示す
【0040】
条件
T1=T2=1.0AL=4.0μs
インク:水性インク
粘度4.0mPa・s 表面張力35.5mN/m at25℃
駆動周期:100μs
【0041】
液滴体積の測定方法
吐出速度を変化させた条件で、各ノズルから125000発の液滴を吐出して、採取したインクを計量し、1dot当たりの液滴体積(吐出速度:8m/s)に換算した。
【0042】
図5に示すように、第1の膨張エッジの電位差V1と第1の収縮エッジの電位差V2が、V1>V2となる本発明では、液滴体積が格段に微小化していることが確認された。
【0043】
<実施例2>
実施例1と同一の記録ヘッドにおいて、第1の膨張エッジの電位差V1と第1の収縮エッジの電位差V2を、V2=(V1)/2とし、パルス幅をT1=T2の条件で表1に示す通りに変化させたときの小液滴化効果と、出射の安定性を評価した。
【0044】
小液滴化効果の評価方法
第1の膨張エッジのパルス幅T1と第1の収縮エッジのパルス幅T2が、T1=T2=1.0AL、且つ、第1の膨張エッジの電位差V1と第1の収縮エッジの電位差V2がV1=V2である駆動波形を印加した場合の液滴体積(吐出速度:8m/s)を上記と同様の測定方法により測定して基準体積X0とし、吐出された液滴体積をこの基準体積X0に対する比率で比較し、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
【0045】
評価基準
◎:X0の80%未満
○:X0の80%以上90%未満
△:X0の90%以上100%未満
×:X0以上
【0046】
出射安定性の評価方法
電位差V1、V2を変化させることにより、液滴の吐出速度を上げていき、出射状態を観察した。吐出方向の曲がりやサテライトの飛散等が起こらない吐出速度の上限を安定出射速度上限と定め、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
【0047】
評価基準
◎:12m/s≦安定出射速度上限
○:10m/s≦安定出射速度上限<12m/s
△:8m/s≦安定出射速度上限<10m/s
×:安定出射速度上限<8m/s
【0048】
【表1】
Figure 0004570316
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、電圧効率の良い矩形波形を利用して、安定した小液滴噴射を可能とするシェアモード方式のインク滴噴射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はインクジェット記録装置における記録ヘッドの概略構成を示す外観斜視図、(b)はその断面図
【図2】記録ヘッドの作動を示す図
【図3】(a)(b)はそれぞれ本発明における駆動波形を示す図
【図4】(a)(b)は駆動波形の別の態様を示す図
【図5】駆動電圧比と液滴体積との関係を示すグラフ
【図6】駆動波形の更に別の態様を示す図
【符号の説明】
1:インクチューブ
2:ノズル形成部材
3:ノズル
6:カバープレート
7:インク供給口
8:基板
A1、…:インクチャネル
S1、…:隔壁(電気・機械変換手段)
Q1、…:電極
H:記録ヘッド
E1:第1の膨張エッジ
E2:第1の収縮エッジ
E3:第2の収縮エッジ
P1:収縮部
P2:膨張部

Claims (6)

  1. 電気・機械変換素子の作動により圧力を発生する圧力発生室と、圧力発生室の一端に形成され該圧力の作用によりインク滴を出射するノズルと、圧力発生室に連通し圧力発生室にインクを供給するためのインク供給路とを有するシェアモード方式のインク滴噴射装置において、インク滴を噴射させるために電気・機械変換素子に印加する駆動波形が、少なくとも、圧力発生室の容積を増大させる第1の膨張エッジと、該第1の膨張エッジからT1時間後に圧力発生室の容積を収縮させてインクをノズルから出射させる第1の収縮エッジと、該第1の収縮エッジからT2時間後に圧力発生室の容積をさらに収縮させて該圧力発生室内の圧力波残響をキャンセルさせるよう機能させるための第2の収縮エッジとからなり、前記第1の膨張エッジの電位差V1と前記第1の収縮エッジの電位差V2とが、V1>V2であり、且つ前記T1及びT2のそれぞれが、共に0.8AL〜1.2AL(ALは圧力発生室の音響的共振周期の1/2)である矩形波形であることを特徴とするインク滴噴射装置。
  2. 前記第1の膨張エッジの始点電位と前記第2の収縮エッジの終点電位とが同じであることを特徴とする請求項1記載のインク滴噴射装置。
  3. 前記駆動波形が、前記第1の膨張エッジによる膨張開始前と、前記第2の収縮エッジによる収縮終了後の期間に、インクメニスカスを乱さない程度の収縮部と膨張部を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のインク滴噴射装置。
  4. 前記収縮部と前記膨張部のパルスは、スロープ波形からなることを特徴とする請求項3記載のインク滴噴射装置。
  5. 前記第1の膨張エッジの電位差V1と、前記第1の収縮エッジの電位差V2とが、V2=(V1)/2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク滴噴射装置。
  6. 前記インク滴を出射するノズルを有する圧力発生室の少なくとも両隣に、インクの出射を行わないダミーチャネルを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインク滴噴射装置。
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