JP3990999B2 - コンクリート製電柱の補強材配置方法、コンクリート製電柱の補強方法、補強コンクリート製電柱、およびコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具 - Google Patents

コンクリート製電柱の補強材配置方法、コンクリート製電柱の補強方法、補強コンクリート製電柱、およびコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既設のコンクリート製電柱を補強するためのコンクリート製電柱の補強材配置方法、コンクリート製電柱の補強方法、補強コンクリート製電柱、およびコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリート製電柱の経年変化等に対応してそのコンクリート製電柱を補強する際、従来コンクリート製電柱の外周をアラミド繊維シート等の補強材で巻回して補強する方法が採用されてきた(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、中空部内に補強材を注入することによって補強を行う技術も開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−322999号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−276201号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、コンクリート製電柱の地際を含む地中から地上部にわたって補強を行うため、地際からの掘削を行う必要があった。このため、コンクリート製電柱の立設場所によっては、掘削工程を実施するためにコンクリート製電柱に近接する家屋の塀や傾斜した地際にある石垣等を取り壊さなければならないことも多く、取り壊した塀等の復旧工事も含めた工事全体に時間がかかる上、施工コストが高くなるという問題があった。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、施工期間が短く、かつコンクリート製電柱の立設場所によらない簡易で安価なコンクリート製電柱の補強材配置方法、コンクリート製電柱の補強方法、補強コンクリート製電柱、およびコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、既設のコンクリート製電柱の中空部に当該コンクリート製電柱を補強する補強材としての複数の棒状部材を配置するコンクリート製電柱の補強材配置方法であって、予めコンクリート製電柱の側面に形成される開口部から前記複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第1のステップと、この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が水平面に対して同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップと、この第のステップで配置した複数の棒状部材よりも少ない本数の複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第3のステップと、この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が、前記第2のステップで配置した複数の棒状部材の軸心が通過する同一円よりも径の小さな同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップとから成ることを要旨とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記複数の棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを、当該コンクリート製電柱の中空部内側面に当接可能な円弧形状をなす位置固定部に設けられる懸吊部に貫通して前記複数の棒状部材を懸吊し、この複数の棒状部材を前記中空部内で固定する補強材懸吊用治具を用いることを要旨とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記棒状部材は、アラミド繊維製の棒状部材と、このアラミド繊維製の棒状部材と同じ外径を有し、当該アラミド繊維製の棒状部材の最下端に連結される異型鉄筋とから構成されることを要旨とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、既設のコンクリート製電柱の補強を行うためのコンクリート製電柱の補強方法であって、予めコンクリート製電柱の側面に形成される開口部から前記複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第1のステップと、この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が水平面に対して同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップと、この第のステップで配置した複数の棒状部材よりも少ない本数の複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第3のステップと、この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が、前記第2のステップで配置した複数の棒状部材の軸心が通過する同一円よりも径の小さな同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップと
前記第1乃至第4のステップで挿入した複数の棒状部材と前記中空部内側面の隙間を充填する隙間充填材を注入する第のステップとから成ることを要旨とする。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記複数の棒状部材を前記コンクリート製電柱の側面に形成される第1の開口部から前記中空部にそれぞれ挿入する一方で、前記隙間充填材を前記第1の開口部の下部に形成される第2の開口部から前記中空部に挿入することを要旨とする。
【0013】
請求項6記載の発明は、前記棒状部材は、アラミド繊維製の棒状部材と、このアラミド繊維製の棒状部材と同じ外径を有し、当該アラミド繊維製の棒状部材の最下端に連結される異型鉄筋とから構成されることを要旨とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項4乃至6のいずれか1項に記載したコンクリート製電柱の補強方法によって補強されたことを要旨とする。
【0015】
請求項8記載の発明は、既設のコンクリート製電柱の補強を行うために当該コンクリート製電柱の中空部へ挿入される補強材としての複数の棒状部材を、当該複数の棒状部材の上端にそれぞれ締結されるワイヤを懸吊することによって前記中空部内に配置するコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具であって、コンクリート製電柱の中空部内側面に当接可能な円弧形状の位置固定部部と、この位置固定部の前記円弧を含む平面上で前記位置固定部よりも前記中空部の鉛直方向中心軸に近い場所に設けられ、前記平面に平行な開口面を有するとともに、前記棒状部材の上端に締結されるワイヤをそれぞれ貫通支持することによって前記棒状部材を懸吊する懸吊部とを備えたことを要旨とする。
【0016】
請求項9記載の発明は、前記位置固定部および前記懸吊部は異型鉄筋から成ることを要旨とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るコンクリート製電柱の補強材配置方法ならびに補強方法では、既設のコンクリート製電柱の側面に開口部を二つ形成し、その一方の開口部(第1の開口部)を補強材の挿入に用い、この第1の開口部の下部に設けられるもう一方の開口部(第2の開口部)を中空部内にできる補強材と外周部内側面との隙間を充填する隙間充填材を注入するために用いる。
【0019】
補強材としての複数の棒状部材(補強用棒状部材)は、アラミド繊維製の棒状部材であるアラミドロッドと、各アラミドロッドの中空部挿入時下側に連結部材によって連結され、そのアラミドロッドと略同径の異型鉄筋とから構成される。このような棒状部材を用いることにより、棒状部材自体の重量が増加し、隙間充填材を注入した後に棒状部材が浮力を受けることによって浮上するのを防止して中空部内の補強構造をさらに安定化したものにし、補強強度の増加を図ることが可能となる。
【0020】
各アラミドロッド上部には、ステンレス製のワイヤを締結し、このワイヤを後述するコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具に設けられた開口面を介して当該補強材懸吊用治具によって懸吊支持することにより、棒状部材を空部内で固定する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る補強方法によって補強されたコンクリート製電柱の概略構成を示す部分断面図である。
【0022】
図1に示すコンクリート製電柱1は、立設時上部にかけて直径が幾分小さくなる略円筒形状を成しており、その外周部101には、上下に位置する二つの開口部103(第1の開口部)および104(第2の開口部)が設けられる。これらの開口部は、アース孔、あるいはコンクリート製電柱1に設けられた足場ボルト部分を掘削して形成した開口部を用いてもよいが、適当な場所にこれらの部位が存在していない場合には、コア抜きドリル等によって開口部を形成する場合もある。
【0023】
開口部103、104の形成位置は、開口部104が地際から1000mm〜1200mm程度のコンクリート製電柱1側面に設けられ、その上方200mm〜300mmの側面に、補強材としての複数の棒状部材挿入用の開口部103が設けられる。なお、開口部103は、縦250mm〜300mm、横が20mm〜50mm程度の略楕円形である一方、開口部104は縦40mm〜200mm、横20mm〜50mm程度の略楕円形をなすように形成される。
【0024】
ところで、図1に示すコンクリート製電柱1は、後述する補強方法施工後の状態を示しているため、開口部103および104は実際にはコンクリートを充填するか、適当なカバーを装着するかして既に塞がれていることが想定されるが、ここでは構成を示すことが目的のために二つの開口部の位置を明示してある。
【0025】
コンクリート製電柱1の中空部102には、アラミドロッド51と異型鉄筋53がアルミ等の材質から成る連結部材55を介して連結されて成る棒状部材が挿入されており、この棒状部材と外周部101の内壁面の隙間には、順次注入される隙間充填材61および63が充填されている。隙間充填材61は、砂またはモルタルまたは豆砂利のいずれかであり、隙間充填材63は、固化した後も収縮しない無収縮モルタルや、エポキシ等の樹脂、あるいはコンクリートのいずれかである。隙間充填材61の注入量は、下端部から連結部材55までの隙間を充填可能な量である。また、隙間充填材63の注入量は、隙間充填材61上部で開口部104付近までである。
【0026】
アラミドロッド51自体の長さは1800mm〜3000mm程度(より好ましくは2800mm)であり、補強を行う部分の条件等により適宜調整される。また、異型鉄筋53は、アラミドロッド51に連結されたときに中空部102の最下部に到達する長さに調整され、その長さは、700mm〜900mm程度、より好ましくは800mm程度である。これらのアラミドロッド51と異型鉄筋53の直径は同じであり、15mm〜25mm程度、より好ましくは15mm〜20mm程度である。
【0027】
以上の構成を有する棒状部材は、中空部102に挿入したとき、アラミドロッド51下部に連結された異型鉄筋53が、その重量によって棒状部材全体を安定化する効果を有するとともに、隙間充填材61および63を注入後に棒状部材自身が浮力によって中空部102内で浮上することを防止する効果を有する。
【0028】
また、このような構成を有する棒状部材は、アラミドロッド51と異型鉄筋53を合計した全長が2500mm〜3800mm程度(より好ましくは3600mm)に達するため、コンクリート製電柱1の立設箇所まで運搬するのが容易ではない場合にも、両者を分割して運搬し、補強工事を実際に施工する時点で連結部材55を用いて両者を連結することが可能となる。
【0029】
このアラミドロッド51に締結されるのは、上述したようにステンレス製のワイヤ5であり、そのワイヤ5の直径は1mm〜3mm程度、より好ましくは1.5mm程度である。ワイヤ5の締結法は、例えば図1に示すようにアラミドロッド51上部に通し穴を有するアルミまたは鉄製のワイヤ締結部57を装着し、この通し穴にワイヤ5を通すことによって締結することができる。
【0030】
次に、図2のフローチャート図および図3乃至図9の各図を参照して、本発明の第1の実施形態に係るコンクリート製電柱1の補強材配置方法およびこの補強材配置方法に基づくコンクリート製電柱の補強方法について説明する。
【0031】
まず、コンクリート製電柱1の側面をコア抜きドリル等を用いて削孔し、二つの開口部103(第1の開口部)、104(第2の開口部)を形成する(ステップS11)。
【0032】
次に、開口部103から、連結部材55を介して異型鉄筋53を連結した複数のアラミドロッド51から成る棒状部材(補強用棒状部材)を複数本挿入する(ステップS12)。ここで挿入する棒状部材の本数は、コンクリート製電柱1の径に応じて決定される。
【0033】
ステップS12で挿入した棒状部材を、補強材懸吊用治具を用いて均等に配置する(ステップS13)。本実施形態において、「均等に配置」とは、水平方向を指向する同一円上を各軸心が通過する棒状部材のうち、隣接して配置される棒状部材間の距離(軸心の間隔)が全て等しくなるように配置されることを意味する。
【0034】
図3および図4は、ステップS12で棒状部材を8本挿入したときに、これらの棒状部材を懸吊して中空部102内部で位置を固定して配置するために用いられる補強材懸吊用治具10および20をそれぞれ示す上面図である。本実施形態においては、この後、さらに内側(中空部102の鉛直方向中心軸である中心軸102の軸心からの距離が相対的に近い領域のことを「内側」と定義)に4本の棒状部材を挿入することを想定しているので、この意味で、以後、補強材懸吊用治具10、20を外側配置用治具10、20とそれぞれ称する。
【0035】
ちなみに、本実施形態においては、径の大きい750kg柱や1000kg柱への適用を想定しているため、外側配置用治具10、20が、合計で8本の棒状部材を懸吊するとしているが、これがあくまでも一例であり、それ以外の本数、たとえば5本(いずれか一方が3本、他方が2本を懸吊)、6本(それぞれ3本ずつ)、・・・、と、挿入される棒状部材の本数が、補強するコンクリート製電柱の径に応じて変更され、その本数に応じた外側配置用治具が適用されることは言うまでもない。
【0036】
ここで、外側配置用治具10および20の詳細な構成を説明する。図3に示す外側配置用治具10は、異型鉄筋製であり、ワイヤ5を支持して補強材の中空部内での位置を固定する円弧型の補強材固定部12と、この補強材固定部12を支持する支持部11とを備える。
【0037】
補強材固定部12は、アラミドロッド51上端に締結されたワイヤ5を懸吊して支持するための開口面(通し穴)を有し、コンクリート製電柱1外部から加える張力によってワイヤ5が緊張したときに、補強材をなす各棒状部材の中空部102内での位置を固定するための複数の懸吊部13が、隣接する懸吊部間の距離が等しくなるように溶接等によって設けられている。図3では懸吊部13を四つ設けた場合を示しているが、これは一例に過ぎず、懸吊部13の数はコンクリート製電柱の直径等の条件によって適宜変更されることは上述した通りである。また、図3において、懸吊部13の開口面は円形を成しているが、これもあくまで一例に過ぎず、その他の形状、例えば楕円形あるいは方形等であってもかまわない。さらに、懸吊部13の内側面に超硬合金を焼きバメ等によって被覆することにより、懸吊部13自体の強度を増加させることも可能である。
【0038】
支持部11は、懸吊部13から外部へ露出するワイヤ5を通して外部からの張力を加えやすくするための通し穴14、外側配置用治具10を操作自在にして中空部102への挿入を容易にする機能を有する治具操作部15、ワイヤ5を後述する固定用金具あるいはクリップなどを用いて緊張したまま固定するためのワイヤ固定部16a、16b、補強材を固定したときに、後述する内側配置用治具30を上部に載置するための治具支持部17a、17bが具備している。治具支持部17a、17bの数は、図3に示したように二個である必要はなく、その上部に載せて支持する治具の重量等に応じて三個、四個、五個、・・・と複数個設けることも可能である。
【0039】
ところで、コンクリート製電柱1の外周部101には、立設時に鉛直方向を指向する複数の鉄筋がコンクリートを補強するための主筋として設けられている。この鉄筋の外周方向の埋設間隔は、コンクリート製電柱1の重量やサイズ等に依存しており、その最小値は25mm程度である。このため、開口部103、104の横方向(水平方向)の幅は、25mmより小さい値しか取れない場合もある。この意味で、本実施形態に係る通し穴14の厚みは、20mm乃至24mm程度であれば好ましく、特に20mm程度であれば、あらゆるサイズのコンクリート製電柱に対して外側配置用治具10を挿入可能となるため、特に好ましい。
【0040】
図4に示す外側配置用治具20も外側配置用治具10と同様に異型鉄筋製であり、ワイヤ5を支持して補強材である複数の棒状部材を固定する補強材固定部22と、補強材固定部21を支持する支持部21とを備える。
【0041】
円弧型の補強材固定部22に対して、ワイヤ5を通す開口面を有する複数の懸吊部23が設けられている。この懸吊部23の数が必ずしも図4に示した四個である必要がない点、および開口面の形状が円形に限られるものではない点については、外側配置用治具10の懸吊部13と同様である。また、懸吊部23の開口部内側面に超硬合金を用いて強度を向上させることができる点についても懸吊部13と同様である。加えて、通し穴24、治具操作部25、ワイヤ固定部26aおよび26bが、上述した外側配置用治具10での対応部位(下1桁が同じ)とそれぞれ同じ機能を有していることはいうまでもない。
【0042】
なお、図3および図4に示す外側配置用治具10および20を用いる場合、棒状部材を合計8本挿入することになるので、懸吊部13および23は、隣接する懸吊部同士が45度の角度をなすように等間隔に補強材固定部12および22に溶接等によりそれぞれ設けられる。通し穴14および24には、それぞれ懸吊部13および23の個数分の穴、すなわちここでは4つずつの穴が設けられており、各棒状部材のワイヤ締結部57に締結されたワイヤ5が各通し穴の異なる開口部をそれぞれ貫通することによって、コンクリート製電柱1の外部に延出するワイヤ5同士が絡み合うのを防止することができる。
【0043】
以上説明した二つの外側配置用治具10および20の全長は、支持部11および21の長さを適宜調節することによって、上記範囲の中で最適な長さを有する治具を構成することができる。例えば、外側配置用治具10が650mm〜1020mm、外側配置用治具20が850mm〜1220mm程度であり、円弧型をなしている補強材固定部12および22の大きさは、補強するコンクリート製電柱1の中空部102内周の直径に応じて決定される。一例をあげると、各補強材固定部12および22がなす円弧の弦の長さは、ともに230mm程度である。
【0044】
この二つの補強材懸吊用治具10および20をあわせると、全体として中空部102に8本の棒状部材が、二つの補強材懸吊用治具をあわせて同一円上に隣接する懸吊部間の距離が等しくなるように均等に設けられる4個ずつの懸吊部13および23を介して中空部102に挿入される。
【0045】
続いて、外側配置用治具10および20の中空部102への具体的な挿入法について説明する。
【0046】
まず、外側配置用治具10を中空部102へ挿入するが、その際、支持部11は水平方向を指向させつつ、補強材固定部12をなす円弧を含む面を鉛直面に平行になるようにして補強材固定部12を開口部103から挿入し、支持部11の指向方向を固定して回転軸とし、補強材固定部12を90度回転させる。この状態で支持部11をコンクリート製電柱1の外部へ引くと、補強材固定部12が外周部101の内壁面に当接する。後は、外側配置用治具10をそのまま鉛直下向きに開口部103の下端に当接するまで下降させることによって位置決めを行い、コンクリート製電柱1に対して固定する。
【0047】
この後、外側配置用治具20を中空部102へ挿入する。この場合にも、外側配置用治具10の場合と同様に、支持部21は水平方向を指向させつつ、補強材固定部22をなす円弧を含む平面を鉛直面に平行になるようにして補強材固定部22を開口部103から挿入し、支持部21が指向する方向を回転軸として補強材固定部22を90度回転させる。この状態で支持部21を中空部102の内部に押し出すと、補強材固定部22が中空部102の開口部103と対向する外周部101の内壁面に当接する。そして、補強材固定部22を内壁面に当接させたまま鉛直上向きに上昇させていき、開口部103の上端に当接した時点で位置決めを行い、コンクリート製電柱1に対して固定する。
【0048】
図7は、外側配置用治具10および20を用いてワイヤ5を外側に牽引して緊張させた後、各外側配置用治具をコンクリート製電柱1に対して固定することにより、計8本の棒状部材を中空部102内で配置したときの状態をコンクリート製電柱1の側面から見たときの部分断面図である。
【0049】
外側配置用治具10の懸吊部13を貫通したワイヤ5は、通し穴14を通過した後、ワイヤ固定部16a、16bに固定用金具72を装着することによって固定される。図7に示す固定用金具72は、ボルトとナットによって連結される金具本体の互いに当接する面に設けられる溝(異型鉄筋と同じ径を有するように形成)にワイヤ固定部16a、16bの該当部位を嵌合し、ナットをボルトに対して締め上げることによって金具本体の外側配置用治具10に対する位置を固定するとともにワイヤ5を固定する。
【0050】
より具体的には、平座金(プレーンワッシャ)を溶接した蝶ナットと平座金の間にワイヤ5を挟み、蝶ナット、およびこの蝶ナットとワイヤ5に対して反対側に位置する平座金に当接する治具固定用ナットをボルトに螺号して固定することにより、固定用金具72を外側配置用治具10(のワイヤ固定部16a、16b)に対して固定するとともに、ワイヤ5自体を固定用金具72に固定する。ここでボルト端部を略四角形状にし、固定用金具72本体に、このボルト端部が嵌合可能な溝を予め設けておき、ボルト端部が金具本体に対して回転しない構成をとればさらに好ましい。
【0051】
また、固定部18には、連結部材201と外側配置用治具10を連結固定するための固定用金具71を装着する。この場合の固定用金具71として想定されるのは、蝶ボルトで螺合して連結される二つの金具本体の互いに当接する面に外側配置用治具10の該当部位を嵌合するための溝を設けると同時に、連結部材201を嵌合して固定するための溝を別に設けておき、蝶ボルトを締めることによって結果的に連結部材201を外側配置用治具10に対して固定可能なものである。この連結部材201は、コンクリート製電柱1を巻回する巻回部材202に連結される。これにより、巻回部材202が連結部材201を介して外側配置用治具10を支持する。したがって、連結部材201および巻回部材202は、異型鉄筋製の外側配置用治具10を支持可能な材質、例えば鉄等から構成される。
【0052】
なお、治具支持部17a、17bには、中空部102から通し穴14を介して外部に延出しているワイヤ5を貫通するための開口部(通し穴14と同じく鉛直方向に開口を形成)を設けることによって、ワイヤ5を束ねる機能を加えておく(通し穴14および治具支持部17a、17bの形状については、図9も合わせて参照のこと)。
【0053】
外側配置用治具20も固定されているが、この外側配置用治具20は前述した外側配置用治具10のように補強材固定部22の基端部が開口部103の下端に戴置されているわけではないので、固定用金具71によって外側配置用治具20に固定される連結部材203を介してコンクリート製電柱1の周囲に巻回された巻回部材204に連結支持される一方で、治具操作部25の左右の突出部分には、コンクリート製電柱1上部から外側配置用治具20を支持固定するための連結部材205の両端が装着されることによって巻回支持されており、これらによって外側配置用治具20は上下双方から支持される。
【0054】
以上説明したステップS13に続いて、このステップS13で配置された棒状部材のさらに中空部102の内側に配置するための棒状部材を開口部103から挿入する(ステップS14)。
【0055】
本実施形態では、内側に配置する補強材懸吊用治具(以後、内側配置用治具と称する)として、棒状部材を2本配置可能な内側配置用治具を一組用いることにより、合計4本の棒状部材を補強材の一部として中空部102の内側、すなわち中空部102の軸心により近い位置に配置する(ステップS15)。
【0056】
図5は、ステップS15で先に中空部102に挿入して固定する内側配置用治具30の構成を示す上面図である。同図に示す内側配置用治具30は、中空部102内に挿入される部分を除いて、その構成は外側配置用治具10の該当部分にほぼ等しい(対応部位は下一桁を揃えて記載している)ので、その部分の説明は省略する。中空部102に挿入される部分は、中空部102の内側面に当接して内側配置用治具30の位置決めを行う位置固定部32と、支持部31から先端方向(図5で上方)に延出し、棒状部材上端に締結されるワイヤ5を貫通してその棒状部材を懸吊する二つの懸吊部33と、この懸吊部33を介して棒状部材を支持する補強材支持部39とを備えている。
【0057】
図6は、ステップS15で後から中空部102に挿入して固定する内側配置用治具40の構成を示す上面図である。同図に示す内側配置用治具40は、中空部102内に挿入される部分を除いて、その構成は内側配置用治具30の該当部分にほぼ等しい(対応部位は下一桁を揃えて記載している)。中空部102に挿入される部分は、中空部102の内側面に当接して内側配置用治具40の位置決めを行う位置固定部42と、中空部102に配置したときに位置固定部42よりも内側に位置するように設けられ、補強材としての複数の棒状部材を支持する補強材支持部49と、この補強材支持部49に溶接して設けられ、棒状部材上端に締結されるワイヤ5を貫通してその棒状部材を懸吊する二つの懸吊部43とを備えている。
【0058】
図8乃至図10は、内側配置用治具30および40が中空部102に挿入されて固定されたときの状態を示す図である。このうち、図8の部分断面図は、補強材である複数の棒状部材を固定したときの状態を示しており、図7の部分断面図に示す状態(ステップS13)の後、ステップS14およびS15が行われた時点での中空部102内部の状態を示すものである。同図に示すように、挿入した二つの内側配置用治具30および40と、ステップS13で挿入した外側配置用治具10とは、互いに固定用金具73を用いて連結されている。この固定用金具73は、支持部11、21、および31を互いに連結して締結するものであればどのようなものであってもよい。ちなみに、図8では、上下に隣接する支持部を嵌合する溝を設け、この溝間でねじを締め上げる構成を有する固定用金具73を用いる場合を記載してある。
【0059】
図9は、四つの補強材懸吊用治具の配置のみに着目して記載した斜視図であり、図10はコンクリート製電柱1の上面から見たときの四つの補強材懸吊用治具の配置を示す上面図である。これらの図を参照することにより、(1)内側配置用治具30および40によって懸吊される棒状部材の方が、外側配置用治具10および20を介して懸吊される棒状部材よりも、中空部102の鉛直方向軸心に近い位置、すなわち内側に配置されることがわかる。
【0060】
また、外側配置用治具10および20によって配置された8本の棒状部材同士、および内側配置用治具30および40によって配置された4本の棒状部材同士は、中空部102内で均等に配置されていることが明らかになる。
【0061】
以上、詳細に説明したステップS15の後、開口部104から隙間充填材61を中空部102へ注入する(ステップS16)。
【0062】
続いて、隙間充填材63をアラミドロッド51の最上部付近に達するまで開口部104から注入する(ステップS17)。
【0063】
その後、隙間充填材63がある程度固化した時点で、治具10および20をコンクリート製電柱1外部へ抜き出す(ステップS18)。この際には、治具10および20を挿入するときの操作と逆の手順の操作をそれぞれ行うことにより、治具全体を外部へ抜き出す。その後、外部へ露出しているワイヤ5を切断し、余った部分は中空部102へ挿入などする。なお、隙間充填材63がある程度の粘性を有することに鑑みて、ステップS17の直後にこのステップS18を行うことも可能である。また、開口部104付近まで隙間充填材63が充填した時点で一旦充填を止め、二つの外側配置用治具10および20をコンクリート製電柱1の外部へ取り出し、開口部103から隙間充填材63を充填して棒状部材が完全に隙間充填材63に埋没するようにしてもよい。
【0064】
最後に、二つの開口部103および104を、コンクリート等を用いることによって塞いでおく(ステップS19)。開口部としてアース孔を利用した場合には、コンクリートで塞ぐ代わりにアース孔カバーを装着することもある。また、開口部付近にアラミド繊維製シートを巻回してもよい。
【0065】
以上の工程により、補強工事が完了し、図1に示すコンクリート製電柱1が構成される。
【0066】
また、地際付近の掘削が不可能な場合には、露出している地際付近から二つの開口部までの外周のみアラミド繊維シートを巻回することも可能である。このような外部補強を加えることにより、さらに電柱の強度を回復させることができる。
【0067】
以上説明した本発明の第1の実施形態によれば、地際からの掘削および周囲の復旧工事も不要なため、施工期間が短く、かつコンクリート製電柱の立設場所によらず簡単に施工でき、その施工コストを低減することが可能となる。
【0068】
この意味で、本実施形態は、家屋等に近接した場所や、道路の崖崩れを防止するためにブロック等で傾斜状に補強された地際を有する場所(図1参照)等、掘削工事の施工が極めて難しい場所に立設された電柱の補強を行う際に特に大きな効果を奏する。
【0069】
また、本実施形態によれば、アラミドロッド下端部に異型鉄筋を取着することにより、隙間充填材注入後の棒状部材の浮上を防止するとともに、補強強度を更に増加させることができる。
【0070】
加えて本実施形態によれば、棒状部材を懸吊して配置するための補強材懸吊用治具を提供することにより、異型鉄筋が取着され重量が大きい棒状部材でも安定して固定することができる。さらに、その補強材懸吊用治具を用いることにより、補強材を中空部内で均等に配置し、補強強度にムラができるのを防止することができる。
【0071】
なお、本実施形態に係る補強方法が、電柱上部に設置されたトランスや電柱に添架されたケーブル(電線)等の影響による経年変化に対応して中間部付近の補強を行う際にも適用可能なものであることは勿論である。
【0072】
ところで、本実施形態に係る補強材懸吊用治具については、種々の設計変形を行うことが可能である。
【0073】
例えば、各補強材懸吊用治具の懸吊部を含み、通し穴に達する手前までの部分(先端部)を支持部から着脱自在に構成することも可能である。この場合、例えば先端部を支持部に設けられる連結部に挿入し、この連結部側面に設けられる貫通孔に先端部固定部材を螺合して連結部内部に挿入された先端部を固定する構成にすることが想定される。この様に補強材懸吊用治具の先端部を支持部から着脱自在とすることにより、補強材懸吊用治具のさらなるコンパクト化を実現することができる。このため、特に施工場所への運搬時の便宜を図るとともに、比較的狭い領域に立設する電柱の補強工事を施工する際に一層好適となる。
【0074】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、コンクリート製電柱自体が傾斜した状態で立設している場合の補強材配置方法および補強方法を提供するものである。
【0075】
本実施形態において想定するようにコンクリート製電柱が傾斜した状態では、補強材としての複数の棒状部材(その構成は第1の実施形態と同じである)を中空部内に挿入すると、重力の影響で鉛直方向を指向するため、補強材懸吊用治具を用いて棒状部材の上端付近を均等に配置しても、下端付近では偏在してしまい、補強効果が薄れる恐れもある。そこで、補強材懸吊用治具とセットで利用可能な中間配置用治具を利用して、中空部の下端付近でも補強材としての複数の棒状部材を均等に配置することを可能にする。
【0076】
図11は、本実施形態に係るコンクリート製電柱の補強方法の施工手順を示すフローチャート図である。
【0077】
まず、ステップS21における二つの開口部103(第1の開口部)、104(第2の開口部)の形成、およびステップS22における棒状部材(外側配置用治具の本数分)の挿入に関しては、上記第1の実施形態におけるステップS11、S12とそれぞれ同じである。図12は、傾斜しているコンクリート製電柱1にステップS22で補強用の棒状部材(アラミドロッド51と異型鉄筋53を連結部材55で連結して構成)を挿入した状態を示す部分断面図である。同図に示すように、この段階では、棒状部材は重力にしたがって鉛直下向きを指向するため、中空部102の下部付近では偏在している。
【0078】
続くステップS23では、棒状部材の偏在を解消するための中間配置用治具80を中空部102内部に挿入し、連結部材55付近まで下降させる。
【0079】
図13は、中間配置用治具80を下降させて棒状部材の偏在を解消した状況を示す部分断面図である。図13は、あくまでも中空部102の下部付近の偏在が解消されたことを示すのが主たる目的の図なので、中空部102の上部である開口部104付近に関しては、未だ補強材懸吊用治具を挿入していないことに鑑みると、図13のように均等に配置されているとは限らないが、これはあくまでも図面を簡略化するための便宜的な措置である。
【0080】
図14は、中間配置用治具80の詳細な構成を示す斜視図である。この中間配置用治具80は、円管形状の中心部83の外周に、棒状部材を貫通して位置決めを行うための棒状部材の貫通可能なU字形状の貫通部81が、中空部102に挿入される棒状部材の本数分具備されている。貫通部81の形状は、U字形状以外に、円形状でもよい。いずれにせよ、隣接する貫通部81の先端同士が中心部83の円の中心に対してなす図14で水平方向に角度は45度となる。なお、図14に示すのはあくまでも一例であり、他にも5本挿入用(互いの配置部の先端同士が前記同様の意味で72度の角度をなす)や6本挿入用(互いの配置部の先端同士が前記同様の意味で60度の角度をなす)、後述する4本挿入用などもある。
【0081】
ところで、中心部83には、中間配置用治具80の中空部102への挿入および中空部102からの取り出しを行うために、ワイヤ7を用いて懸吊可能な孔部85が設けられている。図14では、孔部85が3つの場合を示しているが、孔部85の個数に関しても必ずしも3個に限られるわけではなく、4個や5個であっても勿論構わない。
【0082】
中心部83の材質としては鉄、貫通部81としては鉄またはステンレス等の材質が用いられる。この中心部83と貫通部81は溶接され、全体で中間配置用治具80が形成される。
【0083】
この後、外側配置用治具10および20を用いて棒状部材を懸吊し、開口部103付近も均等に配置するのは第1の実施形態と同様である。
【0084】
以上のステップS23に続いて、ステップS24は内側に配置される棒状部材を挿入する(ここでも第1の実施形態と同様に4本挿入する)。
【0085】
このステップS24で挿入した4本の棒状部材についても、貫通部を4個備えた中間配置用治具90を用いて中空部102内で下部に配置後、開口部103付近は第1の実施形態と同様に内側配置用治具30、40を用いて懸吊して固定配置する(ステップS25)。
【0086】
図15は、このステップS25の後の中間配置用治具80および90の配置を模式的に示すために、中空部102の上面から見た状況を示す上面図である。同図に示すように、中間配置用治具90も、円筒形状の中心部93の周囲に、貫通部91が挿入される棒状部材の個数分(ここでは4つ)設けられている。この中心部93に懸吊用のワイヤ7を締結するための孔部(図示せず)が適宜設けられている点は、前述した中間配置用治具80の場合と同様である。なお、実際に中間配置用治具90を挿入する際には、先に挿入している中間配置用治具80を懸吊しているワイヤ7を、予めコンクリート製電柱1の外部で中心部93を貫通させておく。
【0087】
このステップS25で挿入する方の中間配置用治具90の中空部102での初期挿入位置は、中間配置用治具90の貫通部91を含む外径が、中間配置用治具80の中心部83の内径よりも小さければ、両者がほぼ同じ位置に成るまで中空部102内を下降させることができる(図15はこの場合に相当)。一方で、中間配置用治具90の貫通部91を含む外径が、中間配置用治具80の中心部83の内径よりも大きい場合もあり得る。このような場合には、中間配置用治具90を中心部83に挿入できないので、後から中空部102に挿入する中間配置用治具90の方が中間配置用治具80よりも若干高い位置までしか初期の段階で挿入下降させることができないが、その効果に前者との特段の相違はない。
【0088】
この後、開口部104から隙間充填材61を中空部102へ注入する(ステップS26)。
【0089】
続いて、隙間充填材63をアラミドロッド51の最上部付近に達するまで開口部104から注入する(ステップS27)。このステップでは、隙間充填材63に中間配置用治具80、90が埋没しないように、隙間充填材63の注入量にしたがって中間配置用治具80、90を徐々に牽引しながら中空部102内部を上昇させていく。
【0090】
以後のステップS28およびS29は、それぞれ第1の実施形態における補強方法のステップS18およびS19(図2を参照)と基本的に同じである。この際には、補強材懸吊用治具10、20、30、40、および中間配置用治具80、90を挿入するときの操作と逆の手順の操作をそれぞれ行うことによってコンクリート製電柱1の外部へ抜き出す。
【0091】
なお、隙間充填材63がある程度の粘性を有することに鑑みて、ステップS27の直後にこのステップS28を行うことも可能である点、開口部としてアース孔を利用した場合には、コンクリートで塞ぐ代わりにアース孔カバーを装着することもある点、および中空部内の補強後に開口部付近にアラミド繊維製シートを巻回してもよい点についても、前述した第1の実施形態と同様である。
【0092】
以上の工程により、補強工事が完了し、傾斜して立設しているコンクリート製電柱についても、図1に示すものと基本的な構成が同じである補強コンクリート製電柱が完成する。したがって、以上説明した本発明の第2の実施形態が、第1の実施形態と同様の効果を奏することはいうまでもない。
【0093】
加えて、本実施形態によれば、傾斜して立設しているコンクリート製電柱の場合にも、中空部内下部に中間配置用治具を用いて補強材をなす複数の棒状部材を上端のみならず下端付近でも均等に配置させることにより、鉛直に立設しているコンクリート製電柱と同様の補強効果を得ることができる。
【0094】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、コンクリート製電柱の中空部に補強部を設けることにより、施工期間が短く、かつコンクリート製電柱の立設場所によらない簡易で安価なコンクリート製電柱の補強材配置方法、コンクリート製電柱の補強方法、補強コンクリート製電柱、およびコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る補強コンクリート製電柱の構成を表す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るコンクリート製電柱の補強方法の施工手順を表すフローチャート図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具(外側配置用)の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具(外側配置用)の構成を示す説明図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具(内側配置用)の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具(内側配置用)の構成を示す説明図である。
【図7】二つの外側配置用治具挿入時の状態を示す説明図である。
【図8】全ての補強材懸吊用治具挿入時の状態を示す説明図である。
【図9】全ての補強材懸吊用治具挿入時の状態を示す斜視図である。
【図10】全ての補強材懸吊用治具挿入時の状態を示す上面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係るコンクリート製電柱の補強方法の施工手順を表すフローチャート図である。
【図12】 傾斜コンクリート製電柱の中空部に補強材を挿入した状態を示す部分断面図である。
【図13】傾斜コンクリート製電柱の中空部に補強材を挿入した後、中間配置用治具を挿入した状態を示す部分断面図である。
【図14】中間配置用治具の構成を示す斜視図である。
【図15】コンクリート製電柱の中空部に挿入される全ての補強材に中間配置用治具を適用したときの状態を示す上面図である。
【符号の説明】
1 コンクリート製電柱
5、7 ワイヤ
10、20 補強材懸吊用治具(外側配置用治具)
12、22 補強材固定部
13、23、33、43 懸吊部
14、24、34、44 通し穴
30、40 補強材懸吊用治具(内側配置用治具)
32、42 位置固定部
39、49 補強材支持部
51 アラミドロッド
53 異型鉄筋
55 連結部材
57 ワイヤ締結部
61、63 隙間充填材
71、72、73 固定用金具
80、90 中間配置用治具
81、91 貫通部
83、93 中心部
101 外周部
102 中空部
103、104 開口部

Claims (9)

  1. 既設のコンクリート製電柱の中空部に当該コンクリート製電柱を補強する補強材としての複数の棒状部材を配置するコンクリート製電柱の補強材配置方法であって、
    予めコンクリート製電柱の側面に形成される開口部から前記複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第1のステップと、
    この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が水平面に対して同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップと、
    この第のステップで配置した複数の棒状部材よりも少ない本数の複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第3のステップと、
    この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が、前記第2のステップで配置した複数の棒状部材の軸心が通過する同一円よりも径の小さな同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップと
    から成ることを特徴とするコンクリート製電柱の補強材配置方法。
  2. 前記複数の棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを、当該コンクリート製電柱の中空部内側面に当接可能な円弧形状をなす位置固定部に設けられる懸吊部に貫通して前記複数の棒状部材を懸吊し、この複数の棒状部材を前記中空部内で固定する補強材懸吊用治具を用いることを特徴とする請求項1記載のコンクリート製電柱の補強材配置方法。
  3. 前記棒状部材は、
    アラミド繊維製の棒状部材と、
    このアラミド繊維製の棒状部材と同じ外径を有し、当該アラミド繊維製の棒状部材の最下端に連結される異型鉄筋と
    から構成されることを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート製電柱の補強材配置方法。
  4. 既設のコンクリート製電柱の補強を行うためのコンクリート製電柱の補強方法であって、
    予めコンクリート製電柱の側面に形成される開口部から前記複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第1のステップと、
    この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が水平面に対して同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップと、
    この第のステップで配置した複数の棒状部材よりも少ない本数の複数の棒状部材を前記中空部に、当該棒状部材の各々の上端に締結されるワイヤを側面開口部から中空部外部に残置したまま、順次挿入する第3のステップと、
    この挿入した複数の棒状部材を前記側面開口部から挿入され、ほぼ水平に保持された補強材懸吊用治具を用いて前記ワイヤで懸吊し、かつ当該補強材懸吊用治具に保持され前記中空部外部に残置されるワイヤを側面開口部外部から操作して、当該棒状部材の軸心が、前記第2のステップで配置した複数の棒状部材の軸心が通過する同一円よりも径の小さな同一円上を通過するとともに、隣接する棒状部材の軸心の間隔を全て等しく配置する第のステップと
    前記第1乃至第4のステップで挿入した複数の棒状部材と前記中空部内側面の隙間を充填する隙間充填材を注入する第のステップと
    から成ることを特徴とするコンクリート製電柱の補強方法。
  5. 前記複数の棒状部材を前記コンクリート製電柱の側面に形成される第1の開口部から前記中空部にそれぞれ挿入する一方で、
    前記隙間充填材を前記第1の開口部の下部に形成される第2の開口部から前記中空部に挿入すること
    を特徴とする請求項4記載のコンクリート製電柱の補強方法。
  6. 前記棒状部材は、
    アラミド繊維製の棒状部材と、
    このアラミド繊維製の棒状部材と同じ外径を有し、当該アラミド繊維製の棒状部材の最下端に連結される異型鉄筋と
    から構成されることを特徴とする請求項4または5記載のコンクリート製電柱の補強方法。
  7. 請求項4乃至6のいずれか1項に記載したコンクリート製電柱の補強方法によって補強されたことを特徴とする補強コンクリート製電柱。
  8. 既設のコンクリート製電柱の補強を行うために当該コンクリート製電柱の中空部へ挿入される補強材としての複数の棒状部材を、当該複数の棒状部材の上端にそれぞれ締結されるワイヤを介して懸吊することによって前記中空部内に配置するコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具であって、
    コンクリート製電柱の中空部内側面に当接可能な円弧形状をなす位置固定部と、
    この位置固定部の前記円弧を含む平面上で前記位置固定部よりも前記中空部の鉛直方向中心軸に近い場所に設けられ、前記平面に平行な開口面を有するとともに、前記棒状部材の上端に締結されるワイヤをそれぞれ貫通支持することによって前記棒状部材を懸吊する懸吊部と
    を備えたことを特徴とするコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具。
  9. 前記位置固定部および前記懸吊部は異型鉄筋から成ることを特徴とする請求項8記載のコンクリート製電柱の補強材懸吊用治具。
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