JP3990137B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相変化型の光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、高密度記録が可能で、しかも記録情報を消去して書き換えることが可能な光記録媒体が注目されている。書き換え可能型の光記録媒体のうち相変化型のものは、レーザービームを照射することにより記録層の結晶状態を変化させて記録を行い、このような状態変化に伴なう記録層の反射率変化を検出することにより再生を行うものである。相変化型の光記録媒体は、駆動装置の光学系が光磁気記録媒体のそれに比べて単純であるため、注目されている。
【0003】
相変化型の記録層には、結晶質状態と非晶質状態とで反射率の差が大きいこと、非晶質状態の安定度が比較的高いことなどから、Ge−Sb−Te系等のカルコゲナイド系材料が用いられることが多い。
【0004】
相変化型光記録媒体において情報を記録する際には、記録層が融点以上まで昇温されるような高パワー(記録パワー)のレーザービームを照射する。記録パワーが加えられた部分では記録層が溶融した後、急冷され、非晶質の記録マークが形成される。一方、記録マークを消去する際には、記録層がその結晶化温度以上であってかつ融点未満の温度まで昇温されるような比較的低パワー(消去パワー)のレーザービームを照射する。消去パワーが加えられた記録マークは、結晶化温度以上まで加熱された後、徐冷されることになるので、結晶質に戻る。したがって、相変化型光記録媒体では、単一のレーザービームの強度を変調することにより、オーバーライトが可能である。
【0005】
記録の高密度化および高転送レート化を実現するために、記録/再生波長の短縮、記録/再生光学系の対物レンズの高開口数化、媒体の高線速化が進んでいる。レーザービームの記録層表面におけるスポット径は、レーザー波長をλ、開口数をNAとしたとき、λ/NAで表され、これを媒体の線速度Vで除した値(λ/NA)/Vが、記録層へのレーザー照射時間(ビームスポット通過に要する時間)となる。高密度化および高転送レート化に伴い、記録層へのレーザー照射時間はますます短くなっていく。そのため、オーバーライト条件を最適化することが難しくなってきている。
【0006】
ここで、線速度を速くしてオーバーライトを行うときの問題点について説明する。
【0007】
線速度を速くした場合、記録用レーザービーム(以下、記録ビームという)の照射時間が短くなる。そのため、線速度上昇に伴って記録パワーを高くすることにより、記録層の到達温度の低下を防ぐことが一般的である。
【0008】
一方、非晶質記録マークを消去(再結晶化)するためには、記録層を結晶化温度以上かつ融点以下の温度に一定時間以上保持できるように、消去ビームを照射する必要がある。高線速度化に伴って消去パワーを高くして記録層の到達温度低下を防いでも、高線速度化に伴って照射時間が短くなるため、記録マークは消去されにくくなる。
【0009】
したがって、線速度を速くして転送レートを向上させるには、比較的短時間で再結晶化が行えるように、例えば特開平1−78444号公報、同10−326436号公報に示されるように記録層を結晶転移速度の比較的速い組成とする必要がある。
【0010】
しかし、結晶転移速度の速い、すなわち結晶化に要する時間の短い記録層は、非晶質状態の熱安定性が低い。熱安定性が低いと、以下に説明する問題が生じる。
【0011】
熱安定性の低い記録層は、非晶質領域が比較的高温の環境において容易に結晶化してしまうため、保存信頼性が低いという問題がある。また、非晶質状態の熱安定性が低いと、記録情報をレーザービームによって再生することにより、特に繰り返し再生により、非晶質領域が結晶化しやすい。すなわち、再生耐久性が低い。また、記録時に隣接トラックの記録マークを消してしまう現象(クロスイレーズ)が生じやすい。再生用レーザービームのビームスポット径が小さいほど、ビームスポット内のエネルギー密度が高くなるため、再生耐久性が低くなりやすい。また、データ転送レートを高くする方法としては、媒体の線速度を速くする方法のほか、媒体の線記録密度を高くする方法があるが、本発明者らは、線記録密度を高くするために記録マーク長およびマーク間スペースを短くすると、これらの熱的安定性が低くなってしまうことを見いだした。熱安定性が低いことに伴うこれらの問題は、結晶質記録層に非晶質記録マークを形成するタイプの媒体であっても、非晶質記録層に結晶質記録マークを形成する場合であっても、同様に生じる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、データ転送レートを高くすることができる相変化型光記録媒体を提供することであり、また、本発明の他の目的は、データ転送レートを高くでき、しかも、記録層の熱的安定性が良好な相変化型光記録媒体を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
(1) 晶質−非晶質転移を利用して記録が行われる相変化型の記録層を有し、
前記記録層は、主成分としてSbを含有し、当該Sbの含有量が原子比で99%以下であり、この記録層を結晶化させ、生成した結晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、前記六方晶格子における、a軸長に対するc軸長の比である軸比c/aを算出したとき、生成したすべての結晶において前記軸比c/aが2.56以上となるように構成され、かつ前記生成した結晶に対しCu−Kα線を用いたX線回折を行ったとき、X線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が2つだけ存在し、前記2つの回折線のうち低角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd2とし、前記2つの回折線のうち高角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd3としたとき、d2/d3が1.035以上となるように構成されている光記録媒体。
(2) 結晶質−非晶質転移を利用して記録が行われる相変化型の記録層と、記録用レーザービームの入射側からみて前記記録層の手前側に存在する誘電体層とを有し、
前記記録層は、主成分としてSbを含有し、当該Sbの含有量が原子比で99%以下であり、この記録層を結晶化させ、生成した結晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、前記六方晶格子における、a軸長に対するc軸長の比である軸比c/aを算出したとき、生成したすべての結晶において前記軸比c/aが2.56以上となるように構成され、かつ前記生成した結晶に対しCu−Kα線を用いたX線回折を行ったとき、X線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が2つだけ存在し、当該2つの回折線のうち低角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd2とし、当該2つの回折線のうち高角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd3としたとき、d2/d3が1.035以上となるように構成され、
前記誘電体層は、熱伝導率の相異なる2種の副誘電体層が隣接して存在し、かつ前記2種の副誘電体層のうち、前記記録層に相対的に近い副誘電体層の熱伝導率をKCとし、前記記録層から相対的に遠い副誘電体層の熱伝導率をKDとしたとき、
C<KD
となるように構成されている光記録媒体。
前記面間隔がd2である前記格子面は六方晶(104)面であり、前記面間隔がd3である前記格子面は六方晶(110)面である(1)または(2)の光記録媒体。
) 前記記録層が、主成分としてさらにTeおよび/またはInを含有する請求項(1)から()のいずれかの光記録媒体
【0014】
また、本発明の媒体は、厚さ300μm以下の透光性層を有するものであって、前記透光性層を通して前記記録層に記録/再生ビームが照射されるものであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の媒体は、記録/再生ビームの波長をλとし、記録/再生ビーム照射光学系の開口数をNAとしたとき
λ/NA≦680nm
である条件で記録および/または再生が行われることが好ましい。
【0016】
また、本発明の媒体は、データ転送速度が35Mbps以上となる条件で記録および/または再生が行われることが好ましい。
【0017】
【作用および効果】
Sbを主要な構成成分とする相変化型記録層では、Sb含有量が多くなるにしたがって結晶転移速度が速くなり、Sbだけからなる薄膜では、非晶質化が実質的に不可能となるため、相変化型記録層として機能しなくなる。一方、記録層の熱安定性は、Sb含有量が多いほど低くなる。熱安定性を向上させるためには、Sb含有量をできるだけ抑え、替わりに熱安定性を向上させる元素を添加することが好ましいが、その場合、記録層の結晶転移速度を速くすることが困難となる。
【0018】
本発明の第の態様では、Sb含有量を好ましくは99原子%以下に抑えた相変化型記録層を結晶化させ、生成した結晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、前記六方晶格子における、a軸長に対するc軸長の比である軸比c/aを求めたとき、軸比c/aが2.56以上となるように媒体を設計する。軸比c/aが2.56以上である記録層では、Sb含有量が同じであってかつ軸比c/aが2.56未満である記録層に比べ結晶転移速度が速くなる。また、この生成した結晶に対しCu−Kα線を用いたX線回折を行ったときに、このX線回折により得られるX線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が2つだけ存在し、かつ、前記2つの回折線のうち、低角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd2とし、高角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd3としたとき、d2/d3が1.035以上となるように、媒体を設計する。面間隔比d2/d3が1.035以上である記録層では、Sb含有量が同じであってかつ面間隔比d2/d3が1.035未満である記録層に比べ結晶転移速度が速くなる。したがって、この発明では、上記の軸比c/aおよび面間隔比d2/d3についての条件を満足することにより、Sb含有量を極端に多くすることなく結晶転移速度を速くできる結果、高線速度でのオーバーライトが可能で、しかも熱安定性の良好な相変化型光記録媒体を実現することができる。
【0019】
本発明の第の態様では、Sb含有量を好ましくは99原子%以下に抑えた相変化型記録層を結晶化させ、生成した結晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、前記六方晶格子における、a軸長に対するc軸長の比である軸比c/aを求めたとき、軸比c/aが2.56以上となるように媒体を設計する。軸比c/aが2.56以上である記録層では、Sb含有量が同じであってかつ軸比c/aが2.56未満である記録層に比べ結晶転移速度が速くなる。また、この生成した結晶に対しCu−Kα線を用いたX線回折を行ったときに、このX線回折により得られるX線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が2つだけ存在し、かつ、前記2つの回折線のうち、低角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd2とし、高角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd3としたとき、d2/d3が1.035以上となるように、媒体を設計する。面間隔比d2/d3が1.035以上である記録層では、Sb含有量が同じであってかつ面間隔比d2/d3が1.035未満である記録層に比べ結晶転移速度が速くなる。したがって、この発明では、上記の軸比c/aおよび面間隔比d2/d3についての条件を満足することにより、Sb含有量を極端に多くすることなく結晶転移速度を速くできる結果、高線速度でのオーバーライトが可能で、しかも熱安定性の良好な相変化型光記録媒体を実現することができる。また、軸比c/aおよび面間隔比d2/d3、記録層の組成だけに依存するのではなく、媒体の総合的な設計に依存し、特に媒体の熱設計に依存する。具体的には、オーバーライト時に記録層の冷却速度が速くなるように媒体を設計すれば、すなわち、いわゆる急冷構造の媒体とすれば、軸比c/aおよび面間隔比d2/d3を本発明で限定する範囲内とすることが容易となる。媒体を急冷構造とするためには、例えば、記録層を挟むように設けられる一対の誘電体層の少なくとも一方について、構成材料および/または構造を制御することが好ましい。このため、第の態様では、記録用レーザービームの入射側からみて記録層の手前側に存在する誘電体層を有し、かつこの誘電体層を、熱伝導率の相異なる2種の副誘電体層が隣接して存在し、かつ2種の副誘電体層のうち、記録層に相対的に近い副誘電体層の熱伝導率をKCとし、記録層から相対的に遠い副誘電体層の熱伝導率をKDとしたとき、KC<KDとなるように媒体を設計する。これにより、媒体を急冷構造にすることができ、軸比c/aおよび面間隔比d2/d3を第の態様で限定する範囲内とすることが容易となる。
【0020】
本発明の好ましい態様では、相変化型記録層に副成分として希土類元素、Zr、Hf、TiおよびSnから選択される少なくとも1種の元素を添加する。これにより、記録層の結晶化温度が上昇するので、記録層の非晶質領域の熱安定性が良好となり、保存信頼性および再生耐久性が良好となる。
【0021】
記録層の結晶化温度を上昇させる添加元素は知られている。しかし、このような添加元素のほとんどは、記録層の結晶転移速度を低下させてしまうので、高線速度でのオーバーライトに対して不利である。これに対し、上記副成分元素を添加し、かつ、本発明にしたがって前記軸比c/aを2.56以上とし、かつ前記面間隔比d2/d3を1.035以上とすれば、上記副成分元素による熱安定性の向上に加え、結晶転移速度の向上も実現する。したがって本発明の媒体は、高線速度でのオーバーライトに特に有利である。なお、上記副成分元素を添加したときに結晶転移速度を向上させるためには、記録用レーザービームの入射側からみて記録層の手前側に存在し、かつ記録層に接する誘電体層を、特定の組成とすることが好ましい。
【0022】
なお、以下に説明するように、少なくともSbを含有する相変化型記録層に希土類元素を添加してもよいことは知られており、下記公報の一部には、希土類元素が記録層の結晶化温度を向上させる旨が記載されている。しかし、下記の各公報には、前記軸比c/aおよび前記面間隔比d2/d3に関する記載はない。
【0023】
特開平2−35636号公報および特開平2−151481号公報には、SbおよびTeと、他の元素とを含有する相変化型の情報記録用薄膜が記載されている。これらの公報には、希土類元素などを添加することにより、結晶化温度を高めることができる旨が記載されている。ただし、これらの公報の実施例では、希土類元素を添加した薄膜は作製していない。
【0024】
特開平10−326436号公報には、SbおよびTeを含有する相変化型記録層に、希土類元素を添加してもよい旨が記載されている。同公報には、Zn、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Cr、Co、Zr、Ti、Mn、Mo、Rh、希土類元素はそれ自身もしくはそれらとSbもしくはTeとの化合物が高融点であるため、微細な分散したクラスターとして析出して結晶核となり、高速結晶化に寄与する、と記載されている。ただし、同公報には、希土類元素を添加した実施例は記載されておらず、また、同公報の実施例では、波長780nm、開口数NA=0.55、線速度4.8m/s以下で記録を行っており、本発明が対象とするような高線速度での記録は考慮されていない。
【0025】
特開2000−43415号公報には、SbおよびTeを含有し、空間群Fm3mに属する準安定Sb3Te相を有する相変化型記録層が記載されている。このSb3Te相は、同公報にf.c.c.と記載されているように、面心立方構造をもつ。面心立方晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、その六方晶格子について軸比c/aを求めると、格子定数によらずc/aは2.449となり、本発明の第1,2の態様を満足しない。また、面心立方晶のX線回折図の2θ=38〜44°の範囲には回折線が1本しか存在しないため、本発明の第1,2の態様を満足しない。したがって、同公報に記載された記録層は、本発明で限定する記録層とは異なり、同公報記載の発明では本発明の効果は実現しない。同公報には、この記録層に窒素、B、C、希土類元素、遷移金属元素を添加することにより、初回記録データの長期保存性が向上する旨が記載されている。ただし、同公報には、希土類元素を添加した実施例は記載されていない。なお、同公報の実施例では、記録時の線速度を7m/sとしている。
【0026】
特開2000−52657号公報には、Sb、Te、Ib族元素およびIIIb族元素を含有し、空間群Fm3mに属する準安定相を有する相変化型記録層が記載されている。この準安定相は、Sb3Te相をはじめとするf.c.c.構造の相である。同公報には、この記録層に、希土類元素を添加してもよい旨が記載されているが、希土類元素を添加した実施例は記載されていない。なお、同公報に記載された記録時の線速度は8m/s以下であり、同公報には、この線速度に応じて、記録層中のAg+Auの含有量を調整する旨が記載されている。すなわち、同公報では、Agおよび/またはAuを添加しない組成は考慮されていない。同公報の表2には、記録層14として、Ag0.05In0.04Sb0.61Te0.3からなり、f.c.c.相とSb2Te3相とSb相とを含有する記録層が記載されている。このように、前記軸比c/aが2.56未満であるf.c.c.相が含まれる場合、本発明の効果は実現しない。なお、同公報には、この記録層14に対する評価として、準安定相が分化した場合の析出物であるSbやSb2Te3等が析出し、高密度記録には不適となる旨が記載されている。
【0027】
ところで、特開平9−71049号公報には、記録層がSb、Te、M(MはAg、Cu、Auのうち少なくとも1種の元素)からなり、記録層構成元素がSbxTe1-xにおいて0.70<x<0.90、かつ(MzTe1-zbSbにおいて0<z<0.33、0<b<1という関係を満たす光学的情報記録用媒体が記載されている。同公報の段落0013には、X線による解析において、Sb2Te3よりはむしろSbのピークが強く出ている旨が記載されている。すなわち、この記録層は、結晶としてSb2Te3相およびSb相を含む。Sb2Te3相を含む場合、結晶転移速度が遅くなり、本発明の効果は実現しない。なお、Sb2Te3を六方晶として指数付けして求めた前記軸比c/aは7.14であり、本発明の第1,2の態様における限定範囲を外れる。ただし、Sb2Te3における前記面間隔比d2/d3は1.040であり、本発明の第1,2の態様における限定範囲内にある。しかし、Sb2Te3は、X線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が3本存在し、この点が本発明の第1,2の態様とは異なる。また、同公報には、本発明において用いる副成分元素を記録層に添加する旨の記載はない。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の光記録媒体は、結晶質−非晶質転移を利用して記録が行われる相変化型の記録層を有する。この記録層は、主成分としてSbを含有することが好ましく、Sbの含有量は好ましくは99原子%以下、より好ましくは90原子%以下である。Sb含有量をこの範囲内とすることにより、相変化型記録層として安定に使用できる結晶化温度および熱安定性を確保する。
【0029】
本発明の第1,2の態様では、上記相変化型記録層を結晶化させ、生成した結晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、その六方晶格子における、a軸長に対するc軸長の比c/aを求めたとき、軸比c/aが2.56以上、好ましくは2.58以上、より好ましくは2.59以上である。軸比c/aがこの範囲内であれば、結晶転移速度が十分に速くなるため、データ転送レートを十分に高くすることができる。なお、Sb2Te3相は前記軸比c/aが7.14であるが、Sb2Te3相が含まれると結晶転移速度が遅くなってしまうことから、本発明では記録層を結晶化させたときにSb2Te3相が生成しない必要がある。また、Sb2Te3相のように前記軸比c/aの大きい結晶相が生成する場合、結晶転移速度が遅くなりやすいので、前記軸比c/aは、好ましくは7以下、より好ましくは6以下である。
【0030】
前記軸比c/aを求めるに際しては、記録層のX線回折図に現れる回折線について六方晶格子としての指数付けを行い、これらの回折線の位置に基づいてその六方晶格子におけるc軸長/a軸長を算出し、これを前記軸比c/aとする。前記軸比c/aの算出に利用する回折線は特に限定されないが、高角度側に存在することおよび互いの距離が近いことから、六方晶(104)面に由来する回折線と六方晶(110)面に由来する回折線とを利用することが好ましい。なお、Cu−Kα線を用いたX線回折において、X線回折図の2θ=39〜41°付近に現れる回折線が六方晶(104)面に由来するものであり、2θ=41〜43°付近に現れる回折線が六方晶(110)面に由来する回折線である。
【0031】
本発明の第1,2の態様では、上記相変化型記録層を結晶化させ、生成した結晶に対しCu−Kα線を用いたX線回折を行ったとき、X線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が2つだけ存在し、前記2つの回折線のうち低角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd2とし、前記2つの回折線のうち高角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd3としたとき、d2/d3は1.035以上、好ましくは1.036以上となる。面間隔比d2/d3がこの範囲内であれば、結晶転移速度が十分に速くなるため、データ転送レートを十分に高くすることができる。面間隔比d2/d3は、低角度側に存在する回折線と高角度側に存在する回折線との距離に依存する。低角度側の回折線が38°より低角度側にあったり、高角度側の回折線が44°より高角度側にあったりすると、第1,2の態様による効果が実現しない。そのため、これらの回折線の位置が38〜44°の範囲に収まるように、d2/d3は1.13以下であることが好ましい。また、2θ=38〜44°の範囲に回折線が3つ以上存在しても、第1,2の態様による効果は実現しない。なお、Sb単体からなる薄膜はd2/d3が1.044であり、この値は第1,2の態様における限定範囲内にあるが、Sb単体からなる薄膜は、結晶質−非晶質転移による相変化型記録が不可能である
【0032】
Sb薄膜のX線回折図には六方晶(003)面に由来する回折線が存在するが、本発明では、記録層の結晶を六方晶格子として指数付けしたとき、X線回折図に六方晶(003)面に由来する回折線が存在しないことが好ましい。また、本発明では、記録層の結晶を六方晶格子として指数付けしたとき、通常、X線回折図に六方晶(012)面に由来する回折線が存在するが、この回折線が存在することは必須ではない。なお、Cu−Kα線を用いたX線回折では、六方晶(003)面に由来する回折線の位置は2θ=23.5°付近であり、六方晶(012)面に由来する回折線の位置は2θ=28.8°付近である。
【0033】
本発明では、記録層を結晶化させたときに生成する結晶の種類は限定されない。どのような結晶であっても、六方晶格子として指数付けして算出した前記軸比c/aが上記範囲内であれば、第1,2の態様による効果は実現する。また、どのような結晶であっても、前記面間隔比d2/d3が上記範囲内であれば、第1,2の態様による効果は実現する。ただし、生成する結晶は1種だけであることが好ましい。
【0034】
記録層の主成分としてSbだけを用いると、結晶化温度が低くなりすぎて熱安定性が低くなってしまうので、本発明では、主成分としてTeおよび/またはInも用いることが好ましく、これらのうちでは、変調度を高くできる点で特にTeが好ましい。また、記録層の熱安定性をさらに向上させるためには、記録層は、副成分として希土類元素、Zr、Hf、TiおよびSnから選択される少なくとも1種の元素を含有することが好ましい。なお、本明細書において希土類元素とは、Y、Scおよびランタノイドである。
【0035】
主成分構成元素の原子比を
式I SbxTeyInz
で表し、
x+y+z=1
としたとき、好ましくは
x=0.6〜0.99、
y=0〜0.4、
z=0〜0.4
であり、より好ましくは
x=0.6〜0.9
である。
【0036】
式Iにおいて、Sb含有量を表すxが小さすぎると、相変化に伴なう反射率差は大きくなるが結晶転移速度が急激に遅くなって消去が困難となる。一方、xが大きすぎると、結晶化温度の低下に伴って記録マークの熱安定性が低くなってしまう。また、xが大きすぎると、相変化に伴なう反射率差が小さくなって変調度が小さくなるという問題もある。
【0037】
上記副成分元素は、前記軸比c/aが本発明で限定する範囲内であるとき、および、前記面間隔比d2/d3が本発明で限定する範囲内であるときに、結晶転移速度を向上させる効果を示す。そのため、本発明において、Sbの一部に替えて上記副成分元素を添加することにより、結晶転移速度を向上させた上で、記録マークの熱安定性を向上させることができる。したがって本発明の媒体は、高線速度で用いられる場合に、特に高い効果を発揮する。
【0038】
記録層中における上記副成分元素の含有量は、好ましくは30原子%以下、より好ましくは25原子%以下である。副成分元素含有量が多すぎると、結晶化温度が高くなりすぎる。その結果、形成直後の非晶質記録層を初期化(結晶化)することが困難となる。なお、副成分元素添加による結晶転移速度の向上効果および記録マークの熱安定性向上効果を十分に発揮させるためには、副成分元素の含有量を好ましくは0.1原子%以上、より好ましくは0.5原子%以上とする。
【0039】
副成分元素としては、熱安定性向上効果および結晶転移速度向上効果が高いことから、希土類元素を用いることが好ましい。
【0040】
記録層中には、上記した主成分および副成分のほか、必要に応じて他の元素が添加されていてもよい。このような添加元素としては、元素M(元素Mは、Ag、Au、Bi、Se、Al、P、Ge、H、Si、C、V、W、Ta、Zn、PbおよびPdから選択される少なくとも1種の元素)が挙げられる。元素Mは、様々な効果を実現するために必要に応じて添加される。例えば、書き換え耐久性を向上させるため、具体的には、書き換えの繰り返しによる消去率の低下を抑えるためには、VおよびTaの少なくとも1種を添加することが好ましい。また、熱安定性を向上させるためには、Geが好ましい。
【0041】
ただし、変調度を高くするためには、元素Mを添加しないことが最も好ましく、添加する場合でも、記録層中における元素Mの含有率は10原子%以下であることが好ましい。元素Mの含有率が高すぎると、相変化に伴なう反射率変化が小さくなって十分な変調度が得られなくなる。
【0042】
記録層の厚さは、好ましくは2〜50nm、より好ましくは2〜30nmである。記録層が薄すぎると結晶相の成長が困難となり、相変化に伴なう反射率変化が不十分となる。一方、記録層が厚すぎると、記録層の熱容量が大きくなるため記録が困難となる。また、記録層が厚すぎると、反射率および変調度が低くなってしまう。
【0043】
記録層の組成は、EPMAやX線マイクロアナリシス、ICPなどにより測定することができる。
【0044】
記録層の形成は、スパッタ法により行うことが好ましい。スパッタ条件は特に限定されず、例えば、複数の元素を含む材料をスパッタする際には、合金ターゲットを用いてもよく、ターゲットを複数個用いる多元スパッタ法を用いてもよい。
【0045】
本発明では、前記軸比c/a、前記面間隔比d2/d3および記録層の組成のほかは特に限定されず、これらを満足する光記録媒体であれば、いずれの媒体構造であっても適用できる。
【0046】
一般的な相変化型光記録媒体の構成例としては、例えば図1に示すように、透光性基体2S上に、第1誘電体層31、記録層4、第2誘電体層32、反射層5、および、樹脂からなる保護層6を順次積層したものが挙げられる。この媒体において透光性基体2Sは、媒体の剛性維持のために、通常、厚さ0.4〜1.2mm程度の樹脂板から構成され、記録/再生ビームは透光性基体2Sを通して記録層4に照射される。
【0047】
また、本発明は、例えば図2に示す構成の媒体にも適用できる。この媒体は、支持基体20側から、反射層5、第2誘電体層32、記録層4、第1誘電体層31の順に積層し、最後に、透光性層2Lを積層したものであり、記録/再生ビームは、透光性層2Lを通して記録層4に照射される。図2において支持基体20は、図1における透光性基体2Sと同等の厚さであり、媒体の剛性維持を担う。そのため、図2において記録/再生ビームが透過する透光性層2Lは媒体の剛性維持を担う必要はないので、図1における透光性基体2Sに比べ著しく薄くすることができる。
【0048】
本発明の好ましい態様では、記録層に希土類元素等の副成分元素を添加する。副成分元素添加によって結晶転移速度を向上させるためには、記録用レーザービーム入射側からみて記録層の手前側に存在し、かつ記録層に接する誘電体層を、特定の組成とすることが好ましい。前記特定の組成とは、硫化亜鉛と酸化ケイ素との混合物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウムまたは酸化クロムを含有する組成であり、これらの含有量がそれぞれ好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは100モル%である組成である。すなわち、前記混合物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウムまたは酸化クロムからなる組成が最も好ましい。前記混合物中において硫化亜鉛と酸化ケイ素との合計に対する酸化ケイ素の含有量は、30モル%以上、好ましくは30〜70モル%である。
【0049】
前記特定の組成とする誘電体層は、図1および図2における第1誘電体層31全体であってもよいが、第1誘電体層31を複数の副誘電体層の積層体とし、これらの副誘電体層のうち少なくとも記録層4に接する誘電体層が前記特定の組成であればよい。その例を図3および図4に示す。図3における第1誘電体層31は、2つの副誘電体層311、312の積層体からなり、図4における第1誘電体層31は、3つの副誘電体層311、31C、31Dの積層体からなる。図3および図4において記録層4に接する副誘電体層311を、前記特定の組成とすればよい。
【0050】
副成分元素添加による結晶転移速度向上効果を十分に発揮させるためには、前記特定の組成とする誘電体層の厚さを1.5nm以上とすることが好ましく、この厚さが2.5nm以上であれば極めて優れた効果が得られる。そのため、第1誘電体層31全体を前記特定の組成とする必要はない。したがって、前記特定の組成の誘電体層を設けても、第1誘電体層31全体の光学的および熱的な設計の自由度はほとんど妨げられない。
【0051】
前記軸比c/aおよび前記面間隔比d2/d3は、記録層の組成、形成条件(例えばスパッタ条件)および媒体の熱設計などの各種条件によって制御することができる。例えば、ある媒体において、前記軸比c/aおよび/または前記面間隔比d2/d3が本発明で限定する範囲から外れる場合、記録層の組成を変更せず媒体の熱設計を変更することにより、前記軸比c/aおよび前記面間隔比d2/d3を本発明で限定する範囲内とすることも可能である。好ましい熱設計としては、オーバーライト時に記録層が急冷されるものであり、そのためには、第1誘電体層31および/または第2誘電体層32の構成材料および/または構造を適宜選択すればよい。
【0052】
具体的には、図1および図2にそれぞれ示すように、記録用レーザービームの入射側からみて、記録層4、第2誘電体層32および反射層5をこの順で配置した構造とし、第2誘電体層32の熱伝導率K2Dを、好ましくは
2D≧1W/m・K、より好ましくは
2D≧1.5W/m・K
とすればよい。第2誘電体層32の熱伝導率の上限は特にないが、誘電体層に使用可能な材料は、通常、熱伝導率が100W/m・K程度以下である。なお、本明細書における誘電体層の熱伝導率は、薄膜状態での測定値ではなく、バルク材料での値である。第2誘電体層32は複数の副誘電体層からなる積層構造としてもよいが、その場合、第2誘電体層32全体として、熱伝導率が1W/m・K以上であればよい。ただし、好ましくは、第2誘電体層32を構成する複数の層のすべてが、熱伝導率1W/m・K以上であることが望ましい。
【0053】
また、媒体を急冷構造とするためには、第1誘電体層31を、図4に示すような積層構造とすることも好ましい。図4において第1誘電体層31は、記録層4に近い副誘電体層31Cと、記録層4から遠い副誘電体層31Dとを含む。図4の媒体は、第1誘電体層31以外の構成は図3の媒体と同じである。図4において、副誘電体層31Cの熱伝導率をKCとし、副誘電体層31Dの熱伝導率をKDとしたとき、媒体を急冷構造とするためには、好ましくは
C<KDとし、より好ましくは
1.5≦KD/KC
とする。KD/KCが大きいほうが急冷効果が高くなる。なお、KD/KCの上限は特にないが、上記したように誘電体層に使用可能な材料の熱伝導率には上限があるため、これによってKD/KCも制限され、通常、KD/KCが180を超えることはない。また、十分な急冷効果を得るためには、KCを好ましくは1W/m・K未満とし、KDを好ましくは1W/m・K以上、より好ましくは1.5W/m・K以上とする。なお、KCの下限は特にないが、誘電体層に使用可能な材料は、通常、熱伝導率が0.1W/m・K程度以上である。
【0054】
各副誘電体層の厚さは、それぞれを構成する材料の光学定数に応じて、目的とする媒体反射率が得られるように適宜設定すればよいが、十分な急冷効果を得るためには、副誘電体層31Cの厚さをtCとし、副誘電体層31Dの厚さをtDとしたとき、
5nm≦tC≦80nm、
20nm≦tD
とすることが好ましい。なお、tDの上限は特にないが、第1誘電体層31の全厚は、後述するように制限される。
【0055】
第1誘電体層をこのような構成とした場合に急冷が可能となるのは、以下に説明するような熱移動が行われるためと考えられる。熱伝導率の比較的低い第1誘電体層31を有する従来の構造では、熱伝導率の高い反射層5側への放熱が支配的である。これに対し、本発明にしたがって第1誘電体層31を上記した多層構造とすれば、第1誘電体層31側にも多量の放熱が生じるため、記録層をより急冷することが可能となる。具体的には、記録時に記録層4に発生した熱は、まず、副誘電体層31Cに伝導する。副誘電体層31Cは熱伝導率が低いため、伝わった熱は副誘電体層31Cの面内方向には広がりにくく、垂直方向に隣接する副誘電体層31Dに伝導しやすい。副誘電体層31Dは熱伝導率が高いため、伝わった熱はその面内方向に速やかに拡散する。このように、記録層4で発生した熱が、記録層4に隣接する副誘電体層31Cの面内に広がりにくく、かつ、記録層4から離れた副誘電体層31D内で速やかに拡散されるため、記録時に急冷が可能になると考えられる。
【0056】
なお、記録層4を急冷するためには、副誘電体層31Cと記録層4とが接していることが好ましいが、図4に示すように、両者の間に他の副誘電体層311が存在していてもよい。この副誘電体層311の熱伝導率が副誘電体層31Cと同程度である場合には、副誘電体層311は副誘電体層31Cの一部とみなし、副誘電体層31Cと副誘電体層311との合計厚さが、前記厚さtCの許容範囲を満足すればよい。一方、副誘電体層311の熱伝導率が副誘電体層31Cに比べ高い場合、例えば1W/m・K以上である場合には、副誘電体層311の厚さは20nm以下とすることが好ましい。この場合に副誘電体層311が厚すぎると、急冷効果が損なわれるおそれがある。
【0057】
また、例えば光学的エンハンス効果を得るために、副誘電体層31Cおよび副誘電体層31Dの一方または両方を、複数の層から構成してもよい。この場合、副誘電体層31C全体としての熱伝導率KCと副誘電体層31D全体としての熱伝導率KDとが、前記した関係をもてばよい。ただし、好ましくは、副誘電体層31Cを構成する複数の層のそれぞれと、副誘電体層31Dを構成する複数の層のそれぞれとが、前記した関係をもつことが望ましい。
【0058】
第1誘電体層31および第2誘電体層32の厚さは、記録層4の保護効果や変調度向上効果が十分に得られるように適宜決定すればよいが、通常、第1誘電体層31の厚さは好ましくは30〜300nm、より好ましくは50〜250nmとし、第2誘電体層32の厚さは好ましくは2〜50nmとする。ただし、急冷構造とするためには、第2誘電体層の厚さを好ましくは30nm以下、より好ましくは25nm以下とする。各誘電体層は、スパッタ法により形成することが好ましい。
【0059】
前述したように、本発明では高線速度でのオーバーライトが可能となるため、データ転送レートを高くすることができる。また、記録マークおよびマーク間スペースを短くして高密度記録を行えば、データ転送レートをさらに高くすることができる。従来の媒体において記録マークおよびマーク間スペースを短くした場合、前述したように保存信頼性が低くなる。また、短い記録マークを読み出すために、再生用レーザービームのビームスポット径を小さくすると、再生耐久性が低くなる。これに対し、本発明では、記録層の非晶質領域の熱安定性が良好となるので、高密度記録を行った場合でも保存信頼性および再生耐久性が良好となる。したがって本発明は、高密度記録がなされる媒体に特に好適である。
【0060】
高密度記録がなされる媒体としては、図2に示す構成のものが好ましい。高密度記録を行うためには、記録/再生波長を短くし、かつ、記録/再生ビーム照射光学系の対物レンズの開口数(NA)を大きくすることにより、記録/再生ビームのビームスポット径を小さくすることが一般的である。しかし、NAを大きくすると、チルトマージンが小さくなってしまう。チルトマージンは、記録/再生ビームに対する媒体の傾きの許容度であり、NAによって決定される。記録/再生波長をλ、記録/再生ビームが透過する基体の厚さをtとすると、チルトマージンは
λ/(t・NA3
に比例する。また、媒体が記録/再生ビームに対して傾くと、すなわちチルトが発生すると、波面収差(コマ収差)が発生する。記録/再生ビームが透過する基体の屈折率をn、傾き角をθとすると、波面収差係数は
(1/2)・t・{n2・sinθ・cosθ}・NA3/(n2−sin2θ)-5/2
で表される。これら各式から、チルトマージンを大きくし、かつコマ収差の発生を抑えるためには、基体の厚さtを小さくすればよいことがわかる。前述したように、図2に示す媒体では記録/再生ビームが透過する透光性層2Lを薄くできるため、高密度記録に適している。このような薄い透光性層を有する媒体は、例えば特開平10−320859号公報に記載されている。
【0061】
透光性層2Lの形成に際しては、例えば、透光性樹脂からなる光透過性シートを各種接着剤や粘着剤により第1誘電体層31に貼り付けて透光性層2Lとしたり、塗布法を利用して透光性樹脂層を第1誘電体層31上に直接形成して透光性層2Lとしたりすればよい。また、透光性層2Lは、反射層や記録層を十分に保護できるものであればよいので、透光性層2Lを例えば無機材料からなる薄膜から構成してもよい。透光性層2Lに用いる無機材料は、例えば上記誘電体層の説明において挙げた各種無機化合物から選択することができ、また、炭化ケイ素やダイヤモンドライクカーボンなどの炭化物、炭素またはこれらの混合物を用いてもよい。無機材料からなる透光性層2Lは、例えばスパッタ法等の気相成長法によって形成することができる。
【0062】
樹脂からなる透光性層2Lの厚さは、30〜300μmの範囲から選択することが好ましい。透光性層2Lが薄すぎると、透光性層2L表面に付着した塵埃による光学的な影響が大きくなる。一方、透光性層2Lが厚すぎると、高NA化による高記録密度達成が難しくなる。無機材料からなる透光性層2Lの厚さは、5〜500nmの範囲から選択することが好ましい。無機材料からなる透光性層2Lが薄すぎると、保護効果が不十分となり、厚すぎると、内部応力が大きくなってクラックが発生しやすくなる。なお、塵埃の影響を考慮する必要がなければ、樹脂からなる透光性層2Lの厚さは30μm未満であってもよく、例えば0.5〜15μmの厚さとすれば十分な保護効果が得られる。透光性層2Lの厚さが30μm未満である場合、ハードディスクのような密閉タイプの固定ディスクとしたり、ディスクをカートリッジに収容した構造の媒体としたりすることが好ましい。
【0063】
高密度記録を行うためには、透光性層2Lをこのように薄くした上で、記録/再生ビームのビームスポット径を小さくする。ビームスポット径を小さくするためには、記録/再生波長λと、記録/再生ビーム照射光学系の開口数NAとの関係を、好ましくは
λ/NA≦680nm
とし、より好ましくは
λ/NA≦630nm
とする。ただし、利用可能なレーザー波長および開口数には制限があり、著しく短い波長および著しく大きい開口数とすることは困難であるため、通常、
250nm≦λ/NAとし、好ましくは
350nm≦λ/NA
とする。
【0064】
なお、データ転送レートは、記録/再生時の線速度および線記録密度に相関する。従来の光記録ディスクのうち、4.7GB/面の記録容量をもつDVD−RAM4.7は、
線速度:8.2m/s、
転送レート:22Mbps
である。また、同じく4.7GB/面の記録容量をもつDVD−RWは、
線速度:3.5m/s、
転送レート:11Mbps、
である。これに対し本発明の媒体では、結晶転移速度を速くでき、かつ、記録密度を高くすることができるため、データ転送レートを著しく高くすることができる。具体的には、データ転送レートを少なくとも35Mbps以上にでき、70Mbps以上とすることも容易である。
【0065】
【実施例】
サンプル No. (請求項記載の光記録媒体の一例)
図3に示す構造を有する光記録ディスクサンプルを以下の手順で作製した。
【0066】
支持基体20には、射出成形によりグルーブを同時形成した直径120mm、厚さ1.1mmのディスク状ポリカーボネートを用いた。反射層5はAg98Pd1Cu1(原子比)から構成し、厚さは100nmとした。第2誘電体層32は、ZnS(50モル%)−SiO2(50モル%)(熱伝導率1.0W/m・K)から構成し、厚さは25nmとした。記録層4はIn1.1Sb76.1Te16.8Ge6(原子比)から構成し、厚さは12nmとした。記録層4に接する副誘電体層311は、ZnS(50モル%)−SiO2(50モル%)(熱伝導率0.6W/m・K)から構成し、厚さは5nmとした。副誘電体層312は、ZnS(80モル%)−SiO2(20モル%)(熱伝導率0.6W/m・K)から構成し、厚さは130nmとした。なお、上記各層は、すべてスパッタ法により形成した。以下のサンプルにおいても同様である。透光性層2Lは、紫外線硬化型樹脂を塗布して硬化することにより形成し、厚さは100μmとした。
【0067】
サンプル No. (請求項記載の光記録媒体の一例)
第2誘電体層をAl23(熱伝導率44W/m・K)から構成したほかはサンプルNo.1と同様にして作製した。
【0068】
サンプル No. (請求項記載の光記録媒体の一例)
図4に示す構造を有する光記録ディスクサンプルを以下の手順で作製した。
【0069】
支持基体20および反射層5は、サンプルNo.1と同じとした。第2誘電体層32はAl23(熱伝導率44W/m・K)から構成し、厚さは20nmとした。記録層4は、サンプルNo.1と同じとした。記録層4に接する副誘電体層311はZnS(50モル%)−SiO2(50モル%)(熱伝導率1.0W/m・K)から構成し、厚さは5nmとした。副誘電体層31CはZnS(80モル%)−SiO2(20モル%)(熱伝導率0.6W/m・K)から構成し、厚さは52nmとした。副誘電体層31Dは窒化アルミニウム(熱伝導率80W/m・K)から構成し、厚さは100nmとした。透光性層2Lは、サンプルNo.1と同じとした。
【0070】
サンプル No. (請求項記載の光記録媒体の一例)
記録層4の組成をIn1Sb72.2Te16.2Ge4.6Tb6(原子比)とし、副誘電体層31Cの厚さを62nmとしたほかはサンプルNo.3と同様にして作製した。
【0071】
サンプル No. 5(比較)
図1に示す構造を有する光記録ディスクサンプルを以下の手順で作製した。ただし、第1誘電体層31は2層の副誘電体層からなる積層構造とした。
【0072】
透光性基体2Sには、射出成形によりグルーブを同時形成した直径120mm、厚さ0.6mmのディスク状ポリカーボネートを用いた。第1誘電体層31のうち基体2に接する副誘電体層は、ZnS(80モル%)−SiO2(20モル%)(熱伝導率0.6W/m・K)から構成し、厚さは80nmとした。一方、記録層4に接する副誘電体層は、ZnS(50モル%)−SiO2(50モル%)(熱伝導率1.0W/m・K)から構成し、厚さは5nmとした。記録層はAg3.8In5.6Sb63.2Te25.2Ge2.2(原子比)から構成し、厚さは22nmとした。第2誘電体層32はZnS(50モル%)−SiO2(50モル%)(熱伝導率1.0W/m・K)から構成し、厚さは25nmとした。反射層5はAl−Cr合金から構成し、厚さは100nmとした。保護層6は、紫外線硬化型樹脂を塗布して硬化することにより形成し、厚さは5μmとした。
【0073】
評価
上記各サンプルの記録層を、バルクイレーザーにより初期化(結晶化)した。次いで、サンプルNo.1〜No.4について、記録層4、第1誘電体層31および透光性層2Lからなる積層体を剥離した。また、サンプルNo.5については、第2誘電体層32、反射層5および保護層6からなる積層体を剥離した。
【0074】
サンプルNo.1〜4では、剥離した上記積層体に含まれる記録層について、また、サンプルNo.5では、透光性基体上に残った記録層について、薄膜評価用X線回折装置(理学電機株式会社製のATX−G)を用い、Cu−Kα線によりインプレーン回折測定を行った。得られたX線回折図に現れた回折線に対し、六方晶格子としての指数付けを行い、六方晶(104)面および六方晶(110)面のそれぞれに由来する回折線から前記軸比c/aを求めた。また、六方晶(104)面および六方晶(110)面のそれぞれに由来する回折線から前記面間隔比d2/d3を求めた。これらの結果を表1に示す。また、サンプルNo.1のX線回折図を図5に、サンプルNo.5のX線回折図を図6に、参考例としてSb薄膜のX線回折図を図7に、それぞれ示す。また、サンプルNo.1〜No.5について、X線回折図の一部を図8に示す。
【0075】
また、上記各サンプルを光記録媒体評価装置に載せ、
レーザー波長:405nm、
開口数:0.85、
記録信号:(1,7)RLL変調信号
の条件で記録および再生を行った。ただし、サンプルNo.5については、レーザー波長を635nmとし、開口数を0.60とし、記録信号を8−16変調信号とした。この記録/再生の際に、線速度を変更して、ジッタが最小となるデータ転送レートを調べた。結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0003990137
【0077】
表1から本発明の効果が明らかである。すなわち、前記軸比c/aが本発明による限定を満足し、また、前記面間隔比d2/d3が本発明による限定を満足する場合、データ転送レートを極めて高くできることがわかる。
【0078】
なお、上記各サンプルの記録層はすべて、初期化後に単一の結晶からなる結晶質となっていた。また、表1に示す本発明サンプルのX線回折図には、(012)面に由来する回折線が認められた。
【0079】
市販のDVD−RW
市販のDVD−RWの結晶化している記録層について、上記と同様にして前記軸比c/aを求めた。その結果、三菱化学メディア(株)のDVD−RWでは、a軸長が4.328Å、c軸長が10.943Å、軸比c/aが2.53であり、日本ビクター(株)のDVD−RWでは、a軸長が4.358Å、c軸長が10.982Å、軸比c/aが2.52であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 光記録媒体の構成例を示す断面図である。
【図2】 光記録媒体の構成例を示す断面図である。
【図3】 光記録媒体の構成例を示す断面図である。
【図4】 光記録媒体の構成例を示す断面図である。
【図5】 サンプルNo.1の記録層のX線回折図である。
【図6】 サンプルNo.5の記録層のX線回折図である。
【図7】 Sb薄膜のX線回折図である。
【図8】 サンプルNo.1〜No.5の記録層のX線回折図である。
【符号の説明】
2S 透光性基体
2L 透光性層
20 支持基体
31 第1誘電体層
311、312、313 副誘電体層
32 第2誘電体層
4 記録層
5 反射層
6 保護層

Claims (4)

  1. 晶質−非晶質転移を利用して記録が行われる相変化型の記録層を有し、
    前記記録層は、主成分としてSbを含有し、当該Sbの含有量が原子比で99%以下であり、この記録層を結晶化させ、生成した結晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、前記六方晶格子における、a軸長に対するc軸長の比である軸比c/aを算出したとき、生成したすべての結晶において前記軸比c/aが2.56以上となるように構成され、かつ前記生成した結晶に対しCu−Kα線を用いたX線回折を行ったとき、X線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が2つだけ存在し、前記2つの回折線のうち低角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd2とし、前記2つの回折線のうち高角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd3としたとき、d2/d3が1.035以上となるように構成されている光記録媒体。
  2. 結晶質−非晶質転移を利用して記録が行われる相変化型の記録層と、記録用レーザービームの入射側からみて前記記録層の手前側に存在する誘電体層とを有し、
    前記記録層は、主成分としてSbを含有し、当該Sbの含有量が原子比で99%以下であり、この記録層を結晶化させ、生成した結晶に対し六方晶格子としての指数付けを行い、前記六方晶格子における、a軸長に対するc軸長の比である軸比c/aを算出したとき、生成したすべての結晶において前記軸比c/aが2.56以上となるように構成され、かつ前記生成した結晶に対しCu−Kα線を用いたX線回折を行ったとき、X線回折図の2θ=38〜44°の範囲に回折線が2つだけ存在し、当該2つの回折線のうち低角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd2とし、当該2つの回折線のうち高角度側に存在する回折線に該当する格子面の面間隔をd3としたとき、d2/d3が1.035以上となるように構成され、
    前記誘電体層は、熱伝導率の相異なる2種の副誘電体層が隣接して存在し、かつ前記2種の副誘電体層のうち、前記記録層に相対的に近い副誘電体層の熱伝導率をKCとし、前記記録層から相対的に遠い副誘電体層の熱伝導率をKDとしたとき、
    C<KD
    となるように構成されている光記録媒体。
  3. 前記面間隔がd2である前記格子面は六方晶(104)面であり、前記面間隔がd3である前記格子面は六方晶(110)面である請求項1または2記載の光記録媒体。
  4. 前記記録層が、主成分としてさらにTeおよび/またはInを含有する請求項1からのいずれかの光記録媒体。
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