JP3986814B2 - 排水処理装置および排水処理装置における洗浄方法 - Google Patents

排水処理装置および排水処理装置における洗浄方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、排水処理を行う排水処理装置において設けられるエアー式作動装置につきその作動用エアーを用いてエアー式作動装置の洗浄を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般家庭等から排出される排水を受け入れて浄化し浄化水として排出する排水処理槽(浄化槽)において好気処理槽を有するものが知られている。この好気処理槽には、好気性微生物を着床させた担体が充填されており、散気装置からエアーを散気することによって好気性微生物に酸素を付与するようになっている。この散気装置はエアー供給配管に接続された散気管を有し、この散気管に形成された複数のエアー散気孔から所定風量のエアーが散気される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような構成の好気処理槽において、散気管にスケール等の堆積物・付着物が堆積・付着し目詰まりが発生すると、散気装置から供給されるエアーの散気風量が確保できない場合がある。このような場合には好適な生物処理を行うことができないという不具合が発生することから、散気管の目詰まりを合理的に解消する技術に対する要請が高まっている。そこで従来より、散気管の各種の洗浄方法が提案されている。例えば、散気管の目詰まりが発生したとき散気管を処理槽から取外し、この散気管に例えば水道水等の水供給管を接続する。そして、水供給管から供給される水道水の水圧(水流)によって散気管内のスケール等の堆積物・付着物を吹き飛ばし、散気管の目詰まりを解消する方法が用いられる。しかしながら、このような方法では、散気管の目詰まりを確実に解消するのには有効であるものの、散気管の洗浄を行うに際し作業自体が煩雑になるうえに、好気処理槽の運転を一旦停止する必要があるという問題がある。
そこで、本発明は以上のような点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、排水を受入れて処理する処理槽と、この処理槽に配置されるエアー式作動装置と、このエアー式作動装置へ作動用エアーを供給するエアー供給手段とを有する排水処理装置において、エアー式作動装置の洗浄を合理的に行うのに有効な技術を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の排水処理装置は請求項1〜に記載の通りに構成される。また、本発明の排水処理装置における洗浄方法は請求項に記載の通りである。なお、これら各請求項に係る発明は、排水を受入れて処理する処理槽と、散気管と、逆洗管と、この散気管及び逆洗管へ作動用エアーを供給するエアー供給手段とを有する排水処理装置において、散気管の作動時よりも高負荷の作動用エアーをこの散気管へ供給するように設定し、この高負荷の作動用エアーを用いることで散気管の洗浄を合理的に行うことができるようにした技術である。従って、本発明は、単に高負荷のエアーを散気管の洗浄用として用いる技術に止まるものではなく、本来散気管を作動状態とする作動用エアーを高負荷に設定したうえでこの高負荷の作動用エアーを用いて散気管の洗浄を行うという特徴を有する。
【0005】
請求項1に記載の排水処理装置には、処理槽、散気管逆洗管、エアー供給手段が設けられている。処理槽は、槽内において排水の所定の処理を行うものであり、1または複数の処理槽によって排水処理装置を構成する。散気管及び逆洗管は、作動用エアーが供給されることによって散気管自体または逆洗管自体が作動する構成を有するものである。エアー供給手段は、エアー式作動装置へ作動用エアーを供給するものであり、例えば高圧エアーを吐出するブロワを用いた構成や、エアーボンベ等から高圧エアー供給する構成等を適宜用いる。
本発明の排水処理装置では、このエアー供給手段が散気工程(第1の設定モード)と洗浄工程(第2の設定モード)逆洗工程とに設定される構成となっている。散気工程では、散気管を作動可能とする所定負荷の作動用エアーが供給されるように設定される。すなわち、散気工程では、少なくとも散気管を作動させることができるだけの負荷の作動用エアーが供給され、逆洗工程では、少なくとも逆洗管を作動させることができるだけの負荷の作動用エアー(散気工程時よりも高い負荷の作動用エアー)が供給される。そして洗浄工程では、散気工程時よりも高い負荷の作動用エアーが散気管に供給されるように設定される。ここでいう作動用エアーの「負荷」とは、好適には風量(流量)、圧力を示すものであり、その他の因子、例えば流速、加速度等を広く含む主旨である。例えば、相対的に風量が多い場合や圧力が高い場合を高負荷と定義するものとし、反対に相対的に風量が少ない場合や圧力が低い場合を低負荷と定義するものとする。作動用エアーの負荷を切り替える構成としては、作動用エアーの負荷を可変とする一基のブロワを用いる構成、複数種類のブロワの組合せ或いは切り替えによって作動用エアーの負荷を可変とする構成等がある。
散気工程に対し洗浄工程を設けることによって、高負荷の作動用エアーを用いて散気管に堆積・付着し得るスケール等の堆積物・付着物の合理的な洗浄が可能となる。すなわち、散気工程時に散気管に堆積・付着した堆積物・付着物を、洗浄工程における高負荷の作動用エアーを用いて吹き飛ばし除去することが可能となる。また、洗浄工程における高負荷の作動用エアーを用いることで、散気管に堆積物・付着物が堆積・付着すること自体を防止することが可能となる。そして本発明の排水処理装置は、洗浄工程を、散気工程から逆洗工程への切換時または逆洗工程から散気工程への切換時に行う構成である。このように、本発明でいう「洗浄」には、堆積・付着した堆積物・付着物を除去する態様のみならず、堆積物・付着物が堆積・付着するのを防止する態様等をも含むものする。このような洗浄を行うことで、散気管の洗浄に際し従来のごとく作業自体が煩雑になることがなく、しかも処理槽の運転を停止する必要がない。また、散気管を作動状態とする作動用エアーを洗浄用として用いるため合理的である。
なお、洗浄工程では、作動用エアーを堆積物・付着物に直接作用させることでこの堆積物・付着物の洗浄を行ってもよいし、あるいは作動用エアーのエアー流れによって流動する処理水を堆積物・付着物に作用させることで洗浄を行ってもよい。また、散気工程に対し作動用エアーの負荷を相対的に高める態様、例えば、作動用エアーの負荷増加速度、負荷増加比率、高負荷を維持する時間、実施頻度等は必要に応じて種々選択可能である。また散気工程に対し作動用エアーの負荷を、例えばパルス的、或いは段階的に増加させることができる。
【0006】
また排水処理装置では、散気管(散気部)がエアー供給手段と接続して、エアー供給手段から供給された作動用エアーを散気エアーとして処理槽の処理水に対し散気する構成を有する。このような散気管は、散気管にスケール等の堆積物・付着物が堆積・付着し目詰まりを起こす場合があり、このような場合には、例えば散気エアーの散気風量を確保するのが難しくなる。散気風量が確保されないと、例えば処理水の均等な曝気攪拌を行うことができないという問題や、好気性微生物に付与される酸素が不足し良好な生物処理を行うことができないという問題がある。そこで、本発明のエアー供給手段を用いて散気管の洗浄を行うことで散気管からの散気風量を確保することができ、したがって良好な処理を行うことを可能とする。なお、ここでいう「処理水」は、所定の処理がなされる前のもの(実質的な被処理水)、或いは所定の処理がなされた後のもの(実質的な処理水)を広く含むものとする。
そして排水処理装置は、請求項2に記載のように、逆洗工程における作動用エアーの設定負荷と、洗浄工程における作動用エアーの設定負荷は同一としてもよい。
【0007】
また、請求項3に記載の排水処理装置では、エアー供給手段のエアー供給径路がエアリフトポンプ及び散気管に対し並列的に接続される構成を有する。すなわち、エアー供給手段から供給されるエアーは、処理槽内の処理水を処理槽の上流側に配置の槽に移送可能なエアリフトポンプと散気管とに分配されて供給されるようになっている。このような排水処理装置は、散気管に堆積物・付着物が堆積・付着すると散気管自体に作動用エアーが供給されにくくなり、エアリフトポンプへ作動用エアーの負荷がシフトする。従って、エアリフトポンプの本来の性能を維持するのが難しくなる。このような排水処理装置において、本発明のエアー供給手段を適用することによって、散気管の洗浄を合理的に行うことを可能とするうえに、エアリフトポンプに及ぼす影響を極力抑えることができ、排水処理装置自体の処理性能を維持することができる
【0008】
ここで、請求項1〜3に記載のエアー供給手段は、請求項4に記載のように、散気工程時における作動用エアーの負荷を洗浄工程時にパルス的に増加させるのが好ましい。ここでいう「パルス的」とは、作動用エアーの負荷を増加させる速度が高い態様であり、具体的には微小時間で散気工程から洗浄工程に切り替えような態様をいう。作動用エアーの負荷をパルス的に増加させることで、作動用エアーの負荷を徐々に増加させていく場合に比して堆積物・付着物に及ぼす作用を強めることができ、散気管の洗浄をより効果的に行うことができる。
【0009】
また、請求項1〜4に記載のエアー供給手段は、請求項5に記載のように、作動用エアーの負荷を可変とするブロワを用いて構成されるのが好ましい。これにより、一基のブロワを用いて作動用エアーの負荷を変更することができ、散気管の洗浄を行う構成を低コストで実現することができる。
また請求項1〜5に記載の排水処理装置は、請求項6に記載のように、散気管は、処理槽上部に向けて散気する構成であり、逆洗管は、散気管の下方に配置して処理槽内を逆洗する構成であることが好ましい。
【0010】
請求項に記載の洗浄方法によれば、作動用エアーの負荷を通常時よりも高く設定するモード(洗浄工程)を設けることで、散気管の洗浄を合理的に行うことができる。
【0011】
また、請求項に記載の洗浄方法は、逆洗工程の高負荷の作動用エアーを用いて洗浄工程を行う構成であってもよい。このようにすれば、散気部を有する散気管の洗浄を合理的に行うことができる。
【0012】
また、請求項に記載の洗浄方法は、散気管の洗浄を合理的に行うことを可能とするうえに、エアリフトポンプに及ぼす影響を極力抑える構成であってもよい。このようにすれば、排水処理装置自体の処理性能を維持することができる。
【0013】
また、請求項に記載の洗浄方法は、作動用エアーの負荷をパルス的に増加させる構成であってもよい。このようにすれば、作動用エアーの負荷を徐々に増加させていく場合に比して堆積物・付着物に及ぼす作用を強めることができ、散気管の洗浄をより効果的に行うことができる。
【0014】
また、請求項に記載の洗浄方法は、一基のブロワを用いて作動用エアーの負荷を変更する構成であってもよい。このようにすれば、散気管の洗浄を行う構成を低コストで実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、一般家庭等から排出される排水を受け入れて浄化し浄化水として排出する排水処理槽(浄化槽)につき、この排水処理槽に設置される散気装置の洗浄技術に本発明を適用した場合について説明するものである。
ここで、図1は本発明における排水処理装置の一実施の形態の排水処理槽1の構成を示す模式図である。図2は図1中の担体流動生物濾過槽30の構成を示す模式図である。
【0016】
図1に示すように、本発明における排水処理装置としての排水処理槽1には、流入管2および放流管3が設けられている。例えば一般家庭から排出された家庭用排水を流入管2を介して排水処理槽1へ受入れ、排水処理槽1内で連続的に浄化処理し、浄化処理した後の処理水を放流管3を介して放流する構成を有する。なお、本実施の形態では、排水処理槽1において所定の処理がなされる前の実質的な処理水、所定の処理がなされた後の実質的な処理水を、単に「処理水」というものとする。
【0017】
排水処理槽1は、処理行程の順に対応して、上流(図1中の左側)から順に第1嫌気濾床槽10、第2嫌気濾床槽20、担体流動生物濾過槽30(本発明における処理槽に対応している)、処理水槽40、消毒槽50を備えている。
第1嫌気濾床槽10と第2嫌気濾床槽20との間には、これら両槽を区画する仕切壁4が設けられている。第2嫌気濾床槽20と担体流動生物濾過槽30との間には、これら両槽を区画する仕切壁5が設けられている。担体流動生物濾過槽30と処理水槽40との間には、これら両槽を区画する仕切壁6が設けられている。処理水槽40と消毒槽50との間には、これら両槽を区画する越流堰7が設けられている。
【0018】
流入管2から受入れられた排水は、まず第1嫌気濾床槽10で処理され、次いで第1嫌気濾床槽10から仕切壁4を越えて第2嫌気濾床槽20へ移流し、第2嫌気濾床槽20で処理される。また、第2嫌気濾床槽20で処理された処理水は、仕切壁5を越えて担体流動生物濾過槽30へ移流し、担体流動生物濾過槽30で処理される。また、担体流動生物濾過槽30で処理された処理水は仕切壁6の下方を通って処理水槽40へ移流する。処理水槽40内の処理水は、後述する散気運転時においてその一部がエアーリフト式の流体移送構造を有する第1エアリフトポンプ70を介して第1嫌気濾床槽10へ戻され、残りは越流堰7を越えて消毒槽50へ移流する。消毒槽50へ流入した処理水は、その後、放流管3から系外へ放流される。
【0019】
次に、排水処理槽1の各槽の構成を詳細に説明する。
まず、嫌気濾床槽10,20には各々濾床11,21が形成されている。これら濾床11,21には、有機汚濁物質を嫌気処理(還元)する嫌気性微生物を着床させた所定量の濾材C1,C2が充填されている。従って、排水中の有機汚濁物質は、嫌気濾床槽10,20の嫌気性微生物によって嫌気処理される。そして、嫌気濾床槽10,20で処理された処理水は、各々濾床11,21を図1中の矢印方向へ降流するように構成されている。
【0020】
図2に示すように、担体流動生物濾過槽30の槽本体31には上部多孔部材38および下部多孔部材39が設けられている。これら多孔部材間の担体充填部32には、好気性微生物を着床させた所定量の粒状担体C3が槽内を流動できる程度に充填されている。これら多孔部材38,39は処理水の移動は許容するが粒状担体C3の移動は防止するように構成されている。粒状担体C3は、例えば粒状の中空円筒形に形成されている。この粒状担体C3には、処理水中の有機汚濁物質を好気処理(酸化)する好気性微生物が着床されている。そして、担体流動生物濾過槽30で好気処理された処理水は、担体充填部32を図1中の矢印方向へ降流するように構成されている。なお、粒状担体C3は、その材質としては、例えばパーライト、シラスバルーン、発泡コンクリート、活性炭、多孔質セラミック、多孔質硝子等の無機担体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成樹脂担体を広く用いることができる。
【0021】
また、担体流動生物濾過槽30には、ブロワ80を介して槽内の処理水に対してエアーを供給する散気装置35および逆洗装置36が設けられている。このエアーは、散気装置35および逆洗装置36を作動状態とする作動用としてブロワ80から供給される。散気装置35は後述する散気運転時に用いられ、逆洗装置36は後述する逆洗運転時に用いられる。散気装置35は複数のエアー供給孔を有する散気管35aを備え、逆洗装置36は複数のエアー供給孔を有する逆洗管36aを備えている。なお、散気管35aは槽内において逆洗管36aよりも上方に設けられている
【0022】
ブロワ80の吐出部には、第1エアー供給配管73および第2エアー供給配管93が設けられている。第1エアー供給配管73は、分配弁73aを介して散気管35aおよび後述する吸入管71に接続されている。すなわち、ブロワ80から第1エアー供給配管73へ吐出されたエアーは、本発明における作動用エアーとして散気装置35側と第1エアリフトポンプ70側とに並列的に供給される構成になっている。この第1エアー供給配管73が本発明におけるエアー供給径路を構成するものであり、この第1エアー供給配管73、分配弁73aおよびブロワ80等によって本発明のエアー供給手段が構成されている。
第2エアー供給配管93は、分配弁93aを介して逆洗管36aおよび後述する吸入管91に接続されている。すなわち、ブロワ80から第2エアー供給配管93へ吐出されたエアーは、各装置の作動用として逆洗装置36側と第2エアリフトポンプ90側とに並列的に供給される構成になっている。
【0023】
散気装置35から槽内にエアーが供給されると、散気管35aよりも上層に散気運転時における好気処理領域33(生物処理領域)が形成され、散気管35aよりも下層に散気運転時における濾過処理領域34が形成される。また、このとき好気処理領域33の粒状担体C3は処理水とともに槽内を流動するようになっている。一方、逆洗装置36からエアーが供給されると、担体充填部32(好気処理領域33および濾過処理領域34)の粒状担体C3全体が処理水とともに槽内を流動するようになっている。
【0024】
図1に戻って、前記した第1エアリフトポンプ70は、吸入側端部が処理水槽40の底部に浸漬される吸入管71、この吸入管71の上部から第1嫌気濾床槽10の方向へ水平に延びる排出管72を備え、吸入管71に前記の第1エアー供給配管73が接続されている。この吸入管71内へ作動用のエアーが供給されることによって、処理水槽40の処理水は吸入管71から吸入され、吸入管71および排出管72内を移送され、排出管72の流出側端部から第1嫌気濾床槽10へ排出される。すなわち、後述する散気運転時に、処理水槽40の処理水は、第1エアリフトポンプ70を介して、処理水槽40よりも上流側の第1嫌気濾床槽10との間で循環されることとなる。
【0025】
処理水槽40には、第1エアリフトポンプ70とほぼ同様の構成を有する第2エアリフトポンプ90が設けられている。この第2エアリフトポンプ90は、後述する逆洗運転時に用いられる。第2エアリフトポンプ90は、吸入側端部が担体流動生物濾過槽30の底部に浸漬される吸入管91、この吸入管91の上部から第1嫌気濾床槽10の方向へ水平に延びる排出管92を備え、吸入管91に前記の第2エアー供給配管93が接続されている。この吸入管91内へ作動用のエアーが供給されることによって、担体流動生物濾過槽30の処理水は逆洗水として吸入管91から吸入され、吸入管91および排出管92内を移送され、排出管92の流出側端部から第1嫌気濾床槽10へ排出される。第2エアリフトポンプ90へ供給されるエアー量は、例えば第1エアリフトポンプ70へ供給されるエアー量よりも多くなるように設定される。これにより、循環水の移送量よりも逆洗水の移送量の方を多くすることができ、より短時間で担体流動生物濾過槽30の逆洗運転を行うことができる。
【0026】
消毒槽50は消毒剤注入装置(図示省略)を備えており、処理水槽40から流入する処理水の消毒処理を行い、消毒処理後の処理水を放流管3を通じて放流するように構成されている。
【0027】
次に、主として担体流動生物濾過槽30および処理水槽40における排水処理方法について図1、図5、図6等を参照しながら説明する。ここで、図5は担体流動生物濾過槽30の散気運転時の状態を示す模式図であり、図6は担体流動生物濾過槽30の逆洗運転時の状態を示す模式図である。
【0028】
担体流動生物濾過槽30では散気運転と逆洗運転が行われるように構成されている。図5に示すように、散気運転では、ブロワ80から吐出されたエアーは分配弁73aを介して第1エアー供給配管73へのみ供給され、散気装置35および第1エアリフトポンプ70が作動される。
このとき、散気装置35の散気管35aから散気されたエアーによって、好気処理領域33の処理水および粒状担体C3が流動化する。これにより、処理水中の有機汚濁物質は、酸素が存在する好気性条件下において好気性微生物によって好気処理(酸化)される。また、この好気処理の際に発生するSS(Suspended Solid)等の被濾過物は、濾過処理領域34の粒状担体C3によって濾過される。
【0029】
また、散気運転時に、第1エアリフトポンプ70の吸入管71へ供給されたエアーによって第1エアリフトポンプ70が作動する。これにより、処理水槽40の処理水の一部は、吸入管71から吸入され、排出管72を介して循環水として第1嫌気濾床槽10へ移送され、それ以外の処理水は処理水槽40へ移流する。このように循環水を担体流動生物濾過槽30よりも上流側の槽へ循環させることにより、1パスで処理する場合に比して処理効率を向上させることができる。また、嫌気処理を行う第1嫌気濾床槽10へ循環水を移送することで、処理水中の窒素化合物を窒素ガスに還元し、窒素ガスとして除去することができる。また、逆洗運転時に処理水槽40に残留したSS等の被濾過物を、第1嫌気濾床槽10において回収することができる。なお、第1嫌気濾床槽10の代わりにあるいは第1嫌気濾床槽10の上流に、固液分離を行う夾雑物除去槽を設け、処理水槽40に残留したSS等の被濾過物を夾雑物除去槽において回収するように構成することもできる。
【0030】
一方、図6に示すように、逆洗運転では、ブロワ80から吐出されたエアーの供給先が第1エアー供給配管73から第2エアー供給配管93へ切り替わる。ブロワ80から吐出されたエアーは分配弁93aを介して第2エアー供給配管93へのみ供給され、逆洗装置36および第2エアリフトポンプ90が作動される。これにより散気運転が終了し、逆洗運転が開始されることとなる。
このとき、逆洗装置36の逆洗管36aから供給されたエアーによって、槽内全体の処理水および粒状担体C3が流動化する。これにより、散気運転時に粒状担体C3によって濾過されたSS等の被濾過物は、粒状担体C3から剥離する。なお、逆洗運転時に逆洗装置36から供給されるエアー量は、散気運転時に散気装置35から散気されるエアー量よりも多くなるように設定されるのが好ましい。このように設定することにより、粒状担体C3で捕捉した被濾過物を剥離させ易い。
【0031】
また、逆洗運転時に、第2エアリフトポンプ90の吸入管91へ供給されたエアーによって第2エアリフトポンプ90が作動する。これにより、粒状担体C3から剥離した被濾過物等を含む処理水は、吸入管91から吸入され、排出管92を介して逆洗水として第1嫌気濾床槽10へ移送される。而して、SS等の被濾過物は担体流動生物濾過槽30から抜き出され、槽内が洗浄され、濾過処理領域34における粒状担体の閉塞が防止されることとなる。
【0032】
次に、本実施の形態の特徴部分であるブロワ80の設定および散気装置35の洗浄方法について図3を参照しながら説明する。ここで、図3は散気装置35における散気風量の変更パターンを示す図である。
【0033】
本実施の形態のブロワ80は風量可変型であり、詳細な構成は省略するものの吐出風量を変更可能な構成を有する。ブロワ80には、その吐出風量、吐出圧力等を制御するコントローラ(図示省略)が内蔵されている。
本実施の形態では、ブロワ80は通常行程と洗浄行程とが設定される構成となっている。通常行程では、主として担体充填部32への散気を行い、担体流動生物濾過槽30の処理水の好気処理および濾過処理を行うように設定されている。この通常行程が本発明における散気工程に対応している。
一方、洗浄行程では、主として散気管35aの洗浄を行うように設定されている。すなわち、この洗浄行程では、散気装置35へのエアー供給量を通常行程時よりも増やし、これにより散気管35aに堆積・付着するスケール等の堆積物・付着物を吹き飛ばし、或いは堆積物・付着物が堆積・付着するのを防止することで散気管35aの目詰まりを解消することができる
【0034】
洗浄行程時において、ブロワ80は、例えば図3に示すような変更パターンに基づいて制御される。すなわち、通常行程では、担体流動生物濾過槽30において好気処理および濾過処理を行うのに必要とされる所定風量Q1のエアーを散気管35aから散気するようにブロワ80を制御する。洗浄行程時では、散気管35aから散気される風量Q2を所定時間(洗浄時間Δt)、風量Q1よりも増加させるようにブロワ80を制御する。ここでいう風量Q1,Q2が本発明における負荷に対応している。ここでは通常行程時よりも洗浄行程時の方が散気風量が多く、したがって洗浄行程時の方が相対的に高負荷となる。
このような洗浄行程を設けることによって、散気管35a内を通過するエアーの流速を上昇させ、散気管35a内のスケール等の堆積物・付着物をエアー流れによって吹き飛ばすことができる。従って、散気管35aに堆積物・付着物が堆積・付着したときの目詰まりの解消、また散気管35aに堆積物・付着物が堆積・付着すること自体の防止といった洗浄効果を得るのに有効である。
しかも、本実施の形態では、洗浄行程時の風量Q2が通常行程時の風量Q1の1.3倍以上となるように設定されている。換言すれば、通常行程時の風量Q1の0.3倍が増加風量ΔQとなる。このように設定することで、散気管35aの高い洗浄効果を得ることができる。また、本実施の形態では、通常行程時におけるエアーの風量(負荷)を、洗浄行程時にパルス的に増加させるように設定されている。このように設定することで、堆積物・付着物に及ぼす作用を強めることができ、散気管35aの洗浄をより効果的に行うことができる。更には、本実施の形態では、ブロワ80が定期的に自動で洗浄行程を行うように設定されている。このように設定することで、洗浄状態の維持や管理が容易になる。
上記洗浄行程は、逆洗行程から散気行程または、散気行程から逆洗行程への切替時に行う。これにより、散気行程および逆洗行程の一連の運転の中で定期的に洗浄行程が実施されることとなり合理的である。
【0035】
なお、本発明者らは、所定の散気風量Q2(>1.3Q1)で洗浄行程を行う場合の効果を検証するべく下記の試験を行った。この試験の結果を図4等を参照しながら説明する。ここで、図4は第1エアリフトポンプ70による循環水量の経日変化を示す図である。なお、散気装置35における散気風量は図3に示す変更パターンに基づいて設定した。
[試験条件]
1)通常行程時の風量Q1:40リットル/分
2)洗浄行程時の風量Q2:80リットル/分(>1.3Q1
3)洗浄行程時の洗浄時間Δt:30秒(1回/日の洗浄)
[測定項目]
1)洗浄行程を設定した場合の、第1エアリフトポンプ70による循環水量
の経日変化
2)洗浄行程を設定しない場合の、第1エアリフトポンプ70による循環水
量の経日変化
【0036】
図4に示すように、上記試験の結果、洗浄行程を設定して散気管35aの洗浄を行う場合(図4中の●プロット)は、散気管35aの洗浄を行なわない場合(図4中の□プロット)に比して第1エアリフトポンプ70による循環水量の上昇を抑えることができることが確認された。すなわち、ブロワ80から第1エアー供給配管73へ吐出されたエアーは、分配弁73aを介して散気装置35側と第1エアリフトポンプ70側とに並列的に供給されるため、散気管35aの目詰まりの度合いが大きくなると、エアーの供給比率が第1エアリフトポンプ70側にシフトし、結果的に循環水量が増加することとなる。換言すれば、第1エアリフトポンプ70による循環水量の変動から散気管35aの目詰まりの度合いを把握することが可能となる。この点を踏まえたうえで図4を参照すると、散気管35aの洗浄を行なわない場合はスケール等の堆積物・付着物により目詰まりが発生し、その度合いは日数の経過に伴って増大することが判る。一方、洗浄行程を設定して散気管35aの洗浄を行う場合は堆積物・付着物による目詰まりの発生自体を防止でき、またその状態を長期間にわたって維持できることが判る。
【0037】
以上のように、本実施の形態によれば、散気装置35へ供給される作動用のエアーの風量を通常行程時よりも高く設定する洗浄行程を設けることで、散気装置35を作動状態とする作動用エアーを散気管35aの洗浄用として用いた合理的な洗浄が可能となる。
また、本実施の形態によれば、散気管35aの洗浄を行うことで担体流動生物濾過槽30における好気処理を良好に行うことができるうえに、第1エアリフトポンプ70による循環水の循環水量を安定化させることができる。
また、本実施の形態によれば、洗浄行程においてエアーの風量をパルス的に増加させることで、エアーの風量を徐々に増加させていく場合に比してスケール等の堆積物・付着物に及ぼす作用を強めることができ、散気管35aの洗浄をより効果的に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、一基の風量可変型ブロワ80を用いてエアーの風量を変更することができ、散気管35aの洗浄を行う構成を低コストで実現することができる。
また、本実施の形態によれば、ブロワ80が定期的に自動で洗浄行程を行うように設定することで、洗浄状態の維持や管理が容易になる。
【0038】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0039】
(A)本実施の形態では、風量可変型の吐出ブロワ80を用いることで散気装置35へ供給するエアーの風量を変更する場合について記載したが、散気装置35へ供給するエアーの風量を変更する構成はこれに限定されるものではなく、必要に応じて種々変更可能である。散気装置35へ供給するエアーの風量を変更する別の構成を図7および図8を参照しながら説明する。ここで図7および図8はいずれも、散気装置35への風量を変更する構成の別の実施の形態を示す模式図である。
図7に示す構成では、二基のブロワB−1,B−2が設けられている。ブロワB−2の吐出径路は、切替弁Vを介してブロワB−1の吐出径路に接続可能になっている。このような構成において、散気運転時の通常行程では、ブロワB−1によって散気装置35に所定風量Q1のエアーを供給し散気管35aから散気する。一方、洗浄行程では、ブロワB−2の吐出径路をブロワB−1の吐出径路に接続しエアーの供給先を変更する。これにより散気装置35へ供給されるエアーの風量を風量Q2に増加することが可能となる。
図8に示す構成では、吐出風量の異なる二基のブロワB−1,B−2が設けられている。ブロワB−2は逆洗運転用であり、散気運転用のブロワB−1よりも吐出風量が多い構成となっている。ブロワB−1およびブロワB−2の吐出径路は、切替弁V1およびV2を介して互いに入れ替え可能になっている。このような構成において、散気運転時の通常行程では、ブロワB−1によって散気装置35に所定風量Q1のエアーを供給し散気管35aから散気する。一方、洗浄行程では、ブロワB−1の吐出径路を逆洗装置36側に接続し、反対にブロワB−2の吐出径路を散気装置35側に接続する。これにより散気装置35へ供給されるエアーの風量を風量Q2に増加することが可能となる。
【0040】
(B)また、本実施の形態では、通常行程時に散気装置35へ供給されるエアーの風量を、洗浄行程時に増加させることによって散気管35aの洗浄を行う場合につい記載したが、洗浄行程時に風量以外のエアーの負荷因子、例えば圧力、流速、加速度等を増加させてもよい。
【0041】
(C)また、本実施の形態では、通常行程時におけるエアーの風量を洗浄行程時にパルス的に増加させる場合について記載したが、エアーの風量を増加させる態様はこれに限定されるものではない。例えば、エアーの風量増加速度、風量増加比率等を必要に応じて種々変更することができる。
【0042】
(D)また、本実施の形態では、洗浄行程時の洗浄時間Δtを30秒に設定し、この洗浄行程を1回/日の頻度で行う場合について記載したが、洗浄時間、実施頻度等は、スケール等の堆積物・付着物の種類、堆積・付着状況等に応じて種々変更可能である。例えば、通常行程時の1.3倍の風量、30秒以上の洗浄時間、1回/日以上の頻度で、エアーの風量をパルス的に増加させた洗浄行程を行うのが好ましい。
【0043】
(E)また、本実施の形態では、エアーが供給されることによって作動する散気装置35の洗浄技術について記載したが、エアーが供給されることによって作動するその他のエアー式作動装置、例えば処理水の移送を行うエアリフトポンプの洗浄技術に本発明を適用することもできる。エアリフトポンプを洗浄する場合は、エアー流れによって流動する処理水をエアリフトポンプに堆積・付着するスケール等の堆積物・付着物に作用させることで洗浄を行うことができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、排水を受入れて処理する処理槽と、散気管と、逆洗管と、散気管及び逆洗管へ作動用エアーを供給するエアー供給手段とを有する排水処理装置において、散気管の洗浄を合理的に行うのに有効な技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における排水処理装置の一実施の形態の排水処理槽1の構成を示す模式図である。
【図2】 図1中の担体流動生物濾過槽30の構成を示す模式図である。
【図3】 散気装置35における散気風量の変更パターンを示す図である。
【図4】 第1エアリフトポンプ70による循環水量の経日変化を示す図である。
【図5】 担体流動生物濾過槽30の散気運転時の状態を示す模式図である。
【図6】 担体流動生物濾過槽30の逆洗運転時の状態を示す模式図である。
【図7】 散気装置35への風量を変更する構成の別の実施の形態を示す模式図である。
【図8】 散気装置35への風量を変更する構成の別の実施の形態を示す模式図である。
【符号の説明】
1…排水処理槽(排水処理装置)
10…第1嫌気濾床槽
20…第2嫌気濾床槽
30…担体流動生物濾過槽(処理槽)
35…散気装置、35a…散気管(散気部)
36…逆洗装置、36a…逆洗管
40…処理水槽
50…消毒槽
70…第1エアリフトポンプ
73…第1エアー供給配管、73a…分配弁
80…ブロワ
C3…粒状担体

Claims (7)

  1. 排水を受入れて処理する処理槽と、散気管と、逆洗管と、前記散気管及び前記逆洗管へ作動用エアーを供給するエアー供給手段とを有する排水処理装置であって、
    前記エアー供給手段は、前記散気管に作動用エアーを供給する散気工程と、前記散気工程よりも高負荷の作動用エアーを前記逆洗管に供給する逆洗工程と、前記散気工程よりも高負荷の作動用エアーを前記散気管に供給する洗浄工程とを有するとともに、
    前記洗浄工程を、前記散気工程から前記逆洗工程への切換時または前記逆洗工程から前記散気工程への切換時に行う構成であることを特徴とする排水処理装置。
  2. 請求項1に記載した排水処理装置であって、
    前記逆洗工程における作動用エアーの設定負荷と、前記洗浄工程における作動用エアーの設定負荷とが同一であることを特徴とする排水処理装置。
  3. 請求項1または2に記載した排水処理装置であって、
    前記処理槽内の処理水を、前記処理槽の上流側に設置の槽に移送可能なエアリフトポンプを備え、
    前記エアー供給手段のエアー供給径路は、前記エアリフトポンプと前記散気管に対し並列的に接続されていることを特徴とする排水処理装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載した排水処理装置であって、
    前記エアー供給手段は、前記散気工程時における作動用エアーの負荷を前記洗浄工程時にパルス的に増加させるように構成されていることを特徴とする排水処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載した排水処理装置であって、
    前記エアー供給手段は、前記作動用エアーの負荷を可変とするブロワを用いて構成されることを特徴とする排水処理装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載した排水処理装置であって、
    前記散気管は、前記処理槽上部に向けて散気する構成であり、
    前記逆洗管は、前記散気管の下方に配置して前記処理槽内を逆洗する構成であることを特徴とする排水処理装置。
  7. 排水を受入れて処理する処理槽と、この処理槽上部に向けて散気する散気管と、前記散気管の下方に配置して前記処理槽内を逆洗する逆洗管とを有する排水処理装置において、
    前記散気管に作動用エアーを供給する散気工程と、前記散気工程よりも高負荷の作動用エアーを前記逆洗管に供給する逆洗工程と、前記散気工程よりも高負荷の作動用エアーを供給して前記散気管を洗浄する洗浄工程とを有し、
    前記洗浄工程を、前記散気工程から前記逆洗工程への切換時または前記逆洗工程から前記散気工程への切換時に行うことを特徴とする洗浄方法。
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