JP3986690B2 - 光記録媒体および光記憶装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端径が小さい光量検出用の光ブローブによりエバネッセント光を検出するいわゆる走査型近接場光学顕微鏡(SNOM:Scanning Nearfield Optical Microscope)の原理を使用し、記録媒体に情報を記録あるいは再生する光記録媒体および光記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光の回折限界を越える分解能を持つ走査型近接場光学顕微鏡(SNOM:Scanning Nearfield Optical Microscope)の研究が活発に行われている。
【0003】
一般に、物体に光を照射すると、遠くまで伝搬する光と、光照射によって物質に誘起された分極同士の相互作用によってその近傍にのみ作られる電磁場、すなわち伝搬しない光とが発生する。この伝搬しない後者の光は、エバネッセント光と呼ばれる。このエバネッセント光を波長よりも短い先端径をもつ光プローブの先端に発生させ、分解能を飛躍的に向上させた走査型顕微鏡が、いわゆるSNOMである。この分解能は光プローブの先端径で決まるため、先端を尖らせるはど分解能は向上する。
【0004】
特開平8−287531号公報には、このSNOMを高密度記録装置に応用した例が開示されている。まず光プローブをスライダーに装着し、このスライダーを記録媒体上に浮上させ、光ブローブから発生したエバネッセント光を記録媒体に照射し、情報を記録再生する装置である。ここで、光プローブ近傍100nm前後の範囲にエバネッセント光が発生するため、高密度の記録マークが記録され、この記録マークを光プローブから発生するエバネッセント光によって検出する。光プローブの先端径を短くすることにより、光の回折限界を超えた微少記録マークの検出が可能であり、従来の光ディスクに比べて飛躍的に記録密度を向上させることができるものである。また、記録媒体にトラッキング用のマークが予め記録され、このマークを光プローブによって検出することにより、トラッキングするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記スライダーは、ゴミ等の原因により記録媒体に接触し、媒体面を傷つけるという問題点があった。エバネッセント光はプローブ先端から100nm程度の距離にしか到達しないため、情報記録層は記録媒体表面に設けられるが、この表面を傷つけると情報が完全に破壊されてしまう。しかも、記録情報は記録媒体の表面のうち、エバネッセント光が到達できる100nmの深さに記録されるため、わずかな傷で情報が完全に破壊されてしまう。
【0006】
また、光プローブから検出した信号は微弱であるため、この信号によって正確なトラッキングを行うことは困難であった。
【0007】
本発明はこの問題に鑑み、情報の破壊を防止し、信頼性のある光記録媒体および光記憶装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光記録媒体は、情報を記録または再生する情報記録領域に配置された凹部と、情報を記録または再生するための光プローブを搭載したスライダーが前記情報記録領域へ衝突するのを避けるための凸部とを有する光記録媒体であって、前記凸部と凹部とからなる案内溝が同心円状あるいはスパイラル状に設けられ、前記案内溝に沿った方向に光プローブの位置決め領域と前記情報記録領域とが分けて設けられ、前記案内溝に沿って光スポットのトラッキングが行われ、前記位置決め領域によって光プローブの位置決めが行われることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の光記録媒体は、請求項1記載の光記録媒体において、前記領域と前記凸部との段差は、エバネッセント光が到達する距離以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の光記録媒体は、請求項1記載の光記録媒体において、前記凸部は、光ビームを案内するための案内手段を形成していることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の光記録媒体は、請求項1記載の光記録媒体において、前記領域に複数の情報記録トラックを有することを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の光記憶装置は、請求項1乃至4の何れかに記載の光記録媒体を用いて、情報の記録または再生を行う光記憶装置であって、前記スライダーは、前記光記録媒体上に浮上あるいは摺動させることを特徴とする。
【0013】
請求項6記載の光記憶装置は、請求項5記載の光記憶装置において、前記光記録媒体に光ビームを照射する照射手段と、前記光ビームが照射された光スポット内において前記ブローブを移動させる移動手段と、異なる位置で検出された第1光量信号と第2光量信号とを入力する演算手段と、該演算手段の出力信号が所定値に近づくように、前記光スポット内の所定位置へ前記移動手段により前記プローブを移動させる制御手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の光記憶装置は、請求項6記載の光記憶装置において、前記凸部に沿って光ビームをトラッキングする光ビームトラッキング手段を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
本発明の実施例1について図1〜図8を用いて説明する。光源1から出射された光ビームblは対物レンズ2にて集光され、プリズム4を通して記録媒体であるディスク5の表面5aで反射される。このプリズム4は入射面4aと出射面4b、透過面4cを持つ台形状のプリズム(以後、この台形状プリズムを台形プリズムと呼ぶ)であり、光ビームblが台形プリズム4からディスク5へ透過する。なお、この台形プリズムは、台形状に限らず三角状であってもよい。この台形プリズム4の入射面4aは光ビームblの進行方向とはぼ直角な面であり、この面を介して光ビームblを入射することにより、ディスク5の表面5aにおいて光ビームblを全反射させ、エバネッセント光を発生させる。また、台形プリズムの出射面4bも反射光b2の進行方向とほぼ直角に設定されており、反射ビームb2が集光レンズ10を介して4分割ディテクタ11に入射される。また、台形プリズム4はディスク5の裏面5b上に浮上する浮上スライダを兼ねており、ディスク5との間隔を数十nmの距離で一定に保っている。
【0016】
ディスク5の表面5aには後述するように記録層5cが設けられており、この表面近傍に発生したエバネッセント光は光プローブ7aによって検出される。この光プローブ7aは後述するように、アクチュエータ8によってx軸方向とy軸方向に移動が可能であり、その移動量はx軸駆動信号i1とy軸駆動信号i2により制御される。アクチュエータ8はさらに浮上型のプローブスライダー9によってディスク5との間隔を数十nmの距離で一定に保つ。光プローブ7aで検出されたエバネッセント光は光ファイバー7bによってフォトディテクタ6に導かれ、光量信号dを出力する。この光量信号dに基づいて、後述するようにディスク5の表面5aに集光されたレーザスポットの中心あるいは所定の位置に光プローブ7aを位置決めする。なお、図1では、光プローブ7aで情報の記録や再生を行う系は図示していない。
【0017】
さて、4分割ディテクタ11から出力される電気信号al,a2,a3,a4は加算器12a,12bに送られ、その出力信号aa,abは、減算器13aに入力される。減算器13aから出力されるトラックエラー信号cは、対物レンズアクチュエータ3に送られて、対物レンズ2を駆動することにより光ビームblのトラッキングを行う。
【0018】
次に、フォトディテクタ6から出力された光量信号dは、第1サンプリング手段15aと第2サンプリング手段15bに送られる。光プローブ7aをx軸方向に位置決めする場合は、CPU22からx軸駆動手段20bへ命令信号l1が出力され、駆動信号i1によって、まず光プローブ7aを基準位置から一方の方向へ数十nm〜数百nmの所定の距離だけ移動させる。このとき第1サンプリング手段15aにおいてサンプルタイミング信号klに基づいて光量信号dをサンプリングし、第1光量信号elを出力する。次に命令信号l1によって、基準位置から反対の方向へ等距離の位置に光プローブ7aを移動させ、第2サンプリング手段15bにおいてサンプルタイミング信号k2に基づいて光量信号dをサンプリングし、第2光量信号e2を出力する。第1光量信号elと第2光量信号e2は減算手段16に送られ、その差信号fが差動増幅手段18の一方の端子に入力され、他方の端子には目標位置設定手段17からトラッキング目標値gが入力される。例えば、光ビームblが照射されたスポットの中心に光プローブ7aを位置決めするときはトラッキング目標値gをゼロにセットする。後述するが、これによって第1光量信号elと第2光量信号e2の差がゼロに近づくように光プローブ7の制御が行われる。差動増幅器18の出力信号hはスイッチ手段19に入力され、スイッチ制御命令jにより、この信号hをx軸駆動手段20bへ送る。x軸駆動手段20bでは、スイッチ手段19の出力信号hに基づいて駆動信号i1を光プロープ7へ送る。これにより第1光量信号elと第2光量信号e2の差がゼロに近づくように、アクチュエータ8ヘフィードバックが行われ、光プローブ7aを光ビームblのスポットのx軸方向の中心に位置決めする。
【0019】
さらに光プローブ7aを以下のようにy軸方向の中心へ位置決めする。差動増幅器18の出力信号hをy軸駆動手段20aへ送るように、CPU22からスイッチ手段19ヘスイッチ制御命令jを送る。その他の動作は、x軸方向の位置決めと同様であり、これによってy軸方向にも位置決めを行うことができる。
【0020】
図2は光ビームblがディスク5の表面5aに集光されたときの光スポットmと光プローブ7aの関係を示す図である。この図では、トラックに沿った方向をy軸方向とし、トラッキング方向をx軸方向とし、光プローブ7aをx軸方向にトラッキングする例を示す。ディスク5は、光学的に透明な基板5dと記録層5cから成り、複数の情報トラックtl〜t7はディスク5の凹部5hに配置され、凸部5fによって保護される。プローブスライダー9には、アクチュエータ8が搭載され、光プローブ7aはこのアクチュエータ8によって、x方向とy方向に移動制御される。プローブスライダー9とディスク5の隙間が約数十nmとなるように浮上されているが、この隙間にゴミなどが入り、衝突が発生する。このとき、凸部5fによってプローブスライダー9の底面が情報トラックtl〜t7の領域に接触することが防止される。したがって、情報トラックtl〜t7は衝突によるデータ破壊が防止される。凹部5hと凸部5fの段差はエバネッセント光が到達する距離以下であり、約数十nmとなるように基板5dは成形加工されている。これにより、エバネッセント光を使用して凹部5hに情報の記録や再生を行うことができる。また、凸部5fの幅は凹部5hの幅に比べて十分短くすることにより、凸部5fによるプローブスライダー9の浮上量への影響を少なくして、光プローブ7aと凹部5hの情報トラックとの間隔を一定に保ちながら浮上させることができる。また、凸部5fの一部が衝突により破損しても、同様に凹部5hに対する面積割合が小さいため浮上量への影響を少なくすることができる。なお、プローブスライダー9はディスク5上に浮上している例をしめしたが、これに限らず摺動している場合でもゴミ等によって摺動特性が悪化するが、この場合も凸部5fによって記録情報の破壊を防止することができる。
【0021】
また、凹部5hは光スポットmをトラッキングするためのトラッキング用の案内溝と兼用する事ができ、このためには凸部5fの間隔を光スポットmの直径の約半分となるように設定する。これにより光スポットmはトラッキング用の案内溝の中心を通るようにトラッキングされる。なお、本実施例の場合、案内溝として凹凸形状を示したが、これに限らず、表面の情報トラックの位置に対応して光学的に検知できる形状であればよい。
【0022】
また、光スポットm内の所定の位置に光プローブ7aを位置決めすることにより、実質上光プローブ7aが凹部5hの情報トラックtl〜t7の任意のトラックにトラッキングされる。例えば、図1における目標位置設定手段17からトラッキング目標値gをゼロにセットすると、図3において光スポットmの中心位置のトラックt4に光プローブ7aが位置決めされる。また、図1における目標位置設定手段17から出力されるトラッキング目標値gを順次ステップ状に切り替えることにより、図3におけるトラックtlからt7のそれぞれのトラックに光プローブ7aを位置決めする。これにより、光スポットmよりも小さいトラックピッチに光プローブ7aをトラッキングし、高密度の情報の記録や再生を行うことができる。また、このトラッキングでは、図2において光プローブ7aは凹部5hの上部に常に配置されるため、プローブスライダー9が凸部5fに衝突しても、光プローブ7aの衝突をさけることができ、先端の破損も防止することができる。
【0023】
また、図4に示すように、凸部5fと凹部5hからなる案内溝はディスク5の同心円状あるいはスパイラル状に設けられ、これに沿った方向に光プローブの位置決め領域5gと情報記録領域5iに分けられている。情報記録領域5iは図2に示した物理的な形状を持つが、位置決め領域5gでは凹部5hはなく、全て凸部5fと同一の高さを持つ平面とする。これにより。反射光量の変化によって情報記録領域5iと位置決め領域5gを判別できる。まず、この案内溝に沿って光スポットmのトラッキングが行われる。光プローブ7aが一方の情報記録領域5iに差し掛かると情報の記録や再生が行われる。他方の位置決め領域5gに差し掛かると、後述するように光スポットm内の任意の位置に光プローブ7aを位置決めする。再び情報記録領域5iに光プローブ7aが差し掛かると、情報の記録や再生動作に戻る。以後はこれを繰り返してディスク5の全域に光スポットmをトラッキングすると同時に、これに追従して光プローブ7aを任意のトラックにトラッキングすることができる。また、ディスク5の全域にわたって、凸部5fを設けられるため、記録情報を保護しながら情報の記録や再生を行うことができる。
【0024】
図5(a)において、光プローブ7aは基準位置(実線)に対して、トラツクと直角な方向に左右に等距離の位置(破線)に移動される。基準位置がスポット中心位置からずれていると、光スポットの光量分布において、上記の基準位置(黒丸)から等距離の位置でサンプリングされた光量信号elと光量信号e2(白丸)は異なる値となる。光プローブ7aの基準位置を光スポットmの中心の記録トラックt4に位置決めする場合は、光量信号elと光量信号e2との差がゼロに近づくように位置制御が行われる。すると、図5(b)に示すように、やがて光量信号elと光量信号e2が等しくなり、基準位置は光スポットmの光量分布の最大値であるスポット中心に近づく。これによって、記録トラックt4に光プローブ7を位置決めする事ができる。
【0025】
なお、図3に示したその他のトラックtl〜t3およびt5〜t7に光プローブを位置決めする場合は、図5(a)において、光量信号elと光量信号e2の差を所定の値にセットすることにより、基準位置を光スポットm内の任意のトラックに位置決めすることができる。
【0026】
さて、図5(b)において光量信号e1と光量信号e2が等しくなる場合を示したが、これ以外に光量信号el1光量信号e2の双方がほぼゼロとなり、実質上等しくなる場合がある。これは、基準位置が光スポットmの外にある場合である。このときは、光プローブが移動しても光量信号に変化が現れず、位置決めの制御は困難となる。
【0027】
また、サンプリングされた光量信号elとe2との差が所定の値となるように制御する場合には、一方が光スポットの外に出てゼロとなり、他方がこの差に等しい値となることがある。つまり、制御が誤って行われ、所望の位置に光プロープを位置決めできない場合がある。
【0028】
図6に示す装置は、これを回避するための装置の要部である。フォトディテクタ6から出力された光量信号dは、比較器24の一方の端子に入力され、電圧vlと比較される。比較器24の出力信号nはCPU22に送られ、光量信号dが電圧vl以下である場合は実質上電圧値がゼロであると判定する。もし、光量信号dをサンプリンクした光量信号e1と光量信号e2のどちらか一方の電圧値がゼロとなったことを検出したときは、どちらが検出されたかに基づいて光プローブ7のずれ方向を判断し、基準位置を光スポットmの中心方向へ戻してリセットを行う。これにより、光量信号のサンプリング位置が光スポットmの外へ出ることによる誤った位置制御を防止する。
【0029】
また、図5(a),(b)において光スポットmの光量分布を高いS/N比でサンプリングするためには、光スポットmのフォーカス制御を行って光量分布の形状を急峻にする必要がある。もし、光スポットmが十分に絞れていない場合は、光量分布の形状がなだらかになり、その裾野が広がってしまうため、サンプリングされた光量信号elと光量信号e2のS/N比が低下し、光プローブ7aの正確な位置決めが困難となる。
【0030】
図7に示す装置は、これを防止するための装置の要部を示す。4分割ディテクタ11からの出力信号alとa3は加算器25aに入力され、出力信号a2とa4は加算器25bに入力される。それぞれの加算器の出力信号naとnbは減算器26に入力され、いわゆる非点収差法におけるフォーカスエラー信号oを出力する。この信号oは対物レンズアクチュエータ3に送られて、フォーカス制御を行うと共に、ウィンドウコンパレータ27に入力される。ウィンドウコンパレータ27では、フォーカスエラー信号oが所定の範囲内に入っているかどうかを検出することにより、フォーカス制御が正常であるかどうかの検出信号pをCPU22に出力する。CPU22ではこれによってフォーカス制御を監視し、もしフォーカス制御が異常な場合は光プローブ7aの位置決め制御をストップする。これにより、光量信号elと光量信号e2のS/N比の低下による光プローブ7aの位置決め制御の暴走を防止する。
【0031】
図8は以上の位置制御動作を説明するフローチャートである。まず、光ビームblのフォーカス制御を行い、正常であるかどうか確認する(S1)。なお、以下の位置決め制御の途中において、もしフォーカス制御が異常であれば、直ちに位置決めを中断する。次に、フォーカス制御が正常であれば光ビームのトラッキング制御を行う(S2)。図5(a)において光プローブ7aを紙面上左へ移動する(S3)。光量信号e1をサンプリングする(S4)。同様に図5(a)において光プローブ7aを紙面上右へ移動する(S5)。光量信号e2をサンプリングする(S6)。図6における比較器24において光量信号elと光量信号e2の少なくとも一方がゼロでないか判断する(S7)。ゼロでなければ光量信号elと光量信号e2の差を光プローブ7のアクチュエータ8ヘフィードバックする(S8)。ゼロであれば、光プローブ7の基準位置をスポットの中心方向へ戻すためにステップ移動する(S9)。再び、S3へ戻って光プローブ7の位置決め制御を行う。
【0032】
(実施例2)
本発明の実施例2について、図9および図10を用いて説明する。図9において、ディスク30は、光学的に透明な基板30dと記録層30cから成る。記録層30c側のディスク30の表面に設けられた同一形状の凸部30f,30gは、実施例1と同様に、プローブスライダー9が記録層30cに衝突して、損傷を与えることを防ぐ。また、後述するように光スポットmをトラッキングするためのサンプルビットとしても使用される。このために、これらの凸部30f,30gは情報記録トラックtl〜t7を挟んで両側に配置され、トラッキング誤差信号を得るために、凸部30f,30gは交互にずらして配置されている。つまり、これら凸部30f,30gはディスク30の反対面では、同一形状の凹部になり、これらを光ビームのトラッキング用の案内溝とすることができる。なお、本実施例の場合、案内溝として凹形状を示したが、これに限らず、表面の情報トラックの位置に対応して光学的に検知できる形状であればよい。
【0033】
図10は、光スポットmのトラッキングと、光プローブ7aの位置決め装置を説明する図である。4分割ディテクタ11からの光量信号al〜a4は、加算器31において加算され、トータル信号qが光スポットトラッキング用のサンプルホールド回路32a,32bと、光プローブ位置決め用の第1サンプリング手段15aと第2サンプリング手段15bに送られる。サンプルホールド回路32a,32bは、図9に示した凸部30f,30gに光スポットmが差し掛かったときの光量信号qaとqbをそれぞれ検出して保持する。これら凸部によるトータル信号の減少量は比較的大きく、減算器33においてこの2つの信号qaとqbを差し引き、光スポットmのトラックエラー信号cを出力する。これを、対物レンズアクチュエータ3にフィードバックすることにより、図9における光スポットmを凸部30fと凸部30gとの中間にトラッキングする事ができる。このトラッキング方法は、よく知られているサンプルサーボ方式と同じものである。
【0034】
一方、凸部30f,30gに光スポットmが差し掛からない領域では、光プローブ7aによってエバネッセント光が伝播光に変換されて、ディスク30の表面から放射され、卜一クル信号qが減少する。情報の記録再生と、光プローブの位置決めはこの領域で行われる。光フローブの位置決め時は、図10において光フローブ位置決め用の第1サンプリング手段15aと第2サンプリング手段15bによって、実施例1と同様に光量信号elとe2を検出することにより、光プローブ7aの位置決めを行う。その他は、図1の説明と同様である。
【0035】
図11はトータル信号qの変化を示した図である。図5(a),(b)とは異なり、光スポットの中心に光プローブ7aが近いほど、トータル信号qは減少する。これは、中心はど多量のエバネッセント光が伝搬光に変換され、ディスク30の表面から放射されるためである。あとは同様にトータル信号qをサンプリングした光量信号elと光量信号e2の差が所定の値に近づくように光プローブ7aを制御することにより、光スポットm内の任意のトラックヘ位置決めを行うことができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1記載の光記録媒体によれば、スライダーが情報を記録または再生する情報記録領域に衝突することによる情報の破壊を防止することができるとともに、案内溝に沿って光スポットのトラッキングを行うことができ、また位置決め領域によって光プローブの位置決めを確実に行うことができる。
【0037】
請求項2記載の光記録媒体によれば、情報を記録または再生する領域へのスライダーの衝突を防止しながら、エバネッセント光を用いて情報の記録または再生を高密度で行うことができる。
【0038】
請求項3記載の光記録媒体によれば、情報を記録または再生する領域へのスライダーの衝突を防止しながら、トラッキング時にエバネッセント光を発生させるための光ビームのスポットをトラッキングすることができる。
【0039】
請求項4記載の光記録媒体によれば、情報を記録または再生する領域へのスライダーの衝突を防止しながら、高密度の記録再生ができる。
【0040】
請求項5記載の光記憶装置によれば、スライダーが情報を記録または再生する領域に衝突することによる情報の破壊を防止することができる。
【0041】
請求項6記載の光記憶装置によれば、光スポット内の任意の位置に位置決めすることができ、複数のトラックからなる高密度の記録または再生を実現することができる。
【0042】
請求項7記載の光記憶装置によれば、光ビームをトラッキングしているため、プローブをこれに追従させて、記録または再生を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る光記憶装置を示す図である。
【図2】本発明の実施例1に係る光記録媒体を示す図である。
【図3】図2における情報トラックを詳細に示す図である。
【図4】本発明に係る光記録媒体の全体を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る光フローブの位置決め動作を説明する図である。
【図6】本発明に係る光プローブを光スポット内に制限する装置を示す図である。
【図7】本発明に係る光フローブの位置決め制御の暴走を防止する装置を示す図である。
【図8】本発明に係る光プローブの位置決め方法を流れ図である。
【図9】本発明の実施例2に係る光記録媒体を示す図である。
【図10】本発明の実施例2に係る光記憶装置を示す図である。
【図11】本発明の実施例2に係る光プローブの位置決め動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 光源
2 対物レンズ
3 対物レンズアクチュエータ
4 台形プリズム
5 ディスク
5f 凸部
5h 凹部
6 フォトディテクタ
7a 光プローブ
7b 光ファイバー
8 アクチュエータ
22 CPU
Claims (7)
- 情報を記録または再生する情報記録領域に配置された凹部と、情報を記録または再生するための光プローブを搭載したスライダーが前記情報記録領域へ衝突するのを避けるための凸部とを有する光記録媒体であって、
前記凸部と凹部とからなる案内溝が同心円状あるいはスパイラル状に設けられ、
前記案内溝に沿った方向に光プローブの位置決め領域と前記情報記録領域とが分けて設けられ、
前記案内溝に沿って光スポットのトラッキングが行われ、前記位置決め領域によって光プローブの位置決めが行われることを特徴とする光記録媒体。 - 前記情報記録領域と前記凸部との段差は、エバネッセント光が到達する距離以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 前記凸部は、光ビームを案内するための案内手段を形成していることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 前記情報記録領域に複数の情報記録トラックを有することを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の光記録媒体を用いて、情報の記録または再生を行う光記憶装置であって、前記スライダーは、前記光記録媒体上に浮上あるいは摺動させることを特徴とする光記憶装置。
- 前記光記録媒体に光ビームを照射する照射手段と、前記光ビームが照射された光スポット内において前記プローブを移動させる移動手段と、異なる位置で検出された第1光量信号と第2光量信号とを入力する演算手段と、該演算手段の出力信号が所定値に近づくように、前記光スポット内の所定位置へ前記移動手段により前記プローブを移動させる制御手段と、を有することを特徴とする請求項5記載の光記憶装置。
- 前記凸部に沿って光ビームをトラッキングする光ビームトラッキング手段を有することを特徴とする請求項6記載の光記憶装置。
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