JP3986460B2 - 法面吹付け工法 - Google Patents

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  • Pit Excavations, Shoring, Fill Or Stabilisation Of Slopes (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面の地滑りなどを防止するために使用する、また、特に崩れやすい法面や美観を必要とする法面に格子状(井桁状)に配置したフレーム骨格に吹付けるのに使用する吹付け用急硬剤、急硬性セメントコンクリート、及びそれを用いた吹付け工法に関する。
なお、本発明ではセメントペースト、モルタル、及びコンクリートを総称してセメントコンクリートという。
また、本発明でいう部や%は特に規定のないかぎり質量基準である。
【0002】
【従来の技術とその課題】
法面とは、例えば、高速道路、ダム、及び急傾斜地等を中心に、切り土や盛土等によってできた傾斜面をいう。
法面はそのままでは、自然風化や強雨等により浸食や地滑りなどの法面崩壊が起こるので、法面を保護する必要がある。
【0003】
従来、法面の崩壊を防止するため、法面に直接セメントコンクリートを吹付ける方法が主流であり、法面の補強効果を増すために、法面に型枠を配置する方法が用いられている(特許文献1参照)。
【0004】
法面に型枠を配置する方法としては、例えば、金網や複数本の鉄筋を法面に格子状に配置してフレーム骨格を形成し、格子状のフレーム骨格の各交点部にアンカーを打ち込んだ後に、そのフレーム骨格にセメントコンクリートを吹付けて鉄筋コンクリート構造物たるコンクリートフレームを作って法面の安定を図る方法等が用いられている。
これらの中では、法面を整形したりカットしたりせずに、変形可能(フレキシブル)な金網や鉄筋を法面に直接配置する、フリーフレーム工法が通常用いられている。
【0005】
法面吹付け工法としては、施工現場で簡易プラントを作り、スランプ0cmの硬練りコンクリートを調製し、法面に配置したフリーフレーム骨格に吹付けし、その表面をコテ仕上げしてコンクリートフレームを形成する工法が通常行われている。
しかしながら、この方法では施工効率が2m3/h程度と低く、材料の配合に人手がかかるなどコスト高になるという課題があった。
【0006】
このため、吹付ける速度を高めてコンクリートを生コンプラントから供給することにより施工効率を上げ、人手を減らしてコストダウンすることが検討されている。
【0007】
吹付ける速度を高めるにはコンクリートのスランプを大きくして流動性を上げる必要があるが、スランプが大きいと吹付けたときにコンクリートが斜面からずり落ちるという課題があった。
このため吹付け直後にコンクリートの粘性を上げてスランプを低下させ、コンクリートのずり落ちを防止する必要があった。
【0008】
コンクリートの粘性を上げる方法として、例えば、吹付け時にカルシウムアルミネート系急結剤を使用すると、コンクリートのずり落ちを防ぐことは可能であるが、吹付けたコンクリートの硬化が早いためにコテ仕上げができなくなり、法面表面の美観を損ねるという課題があった。
【0009】
このように、吹付け時にセメントコンクリートと混合することによりセメントコンクリートのずり落ちを防止するとともに、コテ仕上げができる程度の可使時間を確保することが可能である吹付け用急硬剤が求められていた。
【0010】
本発明者は、前記課題を解消すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の吹付け用急硬剤を使用することにより、前記課題を解決できるという知見を得て本発明を完成するに至った。
【0011】
【特許文献1】
特公昭58−058493号
【0012】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、下記(1)を圧送し、途中で、下記(2)と(3)を含有してなる吹付け用急硬剤を合流・混合し、急硬性セメントコンクリートとして吹付けることを特徴とする法面吹付け工法であり、
(1)セメントコンクリート
(2)セメント100部に対して、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムを含有する液体急硬剤(成分濃度は5〜70%)を無水物換算で0.3〜5部
(3)セメント100部に対して、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン(成分濃度は0.5〜50%)を成分換算で0.01〜7部
鉄筋類を法面に配置してフレーム骨格を形成した後、そのフレーム骨格に下記(1)〜(3)を含有する急硬性セメントコンクリートを吹付け、コンクリートフレームを構築してなることを特徴とする法面吹付け工法であり、
(1)セメントコンクリート
(2)セメント100部に対して、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムを含有する液体急硬剤(成分濃度は5〜70%)を無水物換算で0.3〜5部
(3)セメント100部に対して、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン(成分濃度は0.5〜50%)を成分換算で0.01〜7部
急硬性セメントコンクリートの単位セメント量が270〜600kg/m3であることを特徴とする該法面吹付け工法であり、急硬性セメントコンクリートのW/Cが35〜65%であることを特徴とする請求項1〜3のうちの1項に記載の法面吹付け工法であり、急硬性セメントコンクリートのs/aが50〜100%であることを特徴とする該法面吹付け工法であり、さらに、液体急硬剤が(4)アルカノールアミンを含有してなることを特徴とする該法面吹付け工法であり、急硬性セメントコンクリートが、(2)と(3)をあらかじめ混合した吹付け用急硬剤を(1)に圧入したものであることを特徴とする該法面吹付け工法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明で使用する急硬性セメントコンクリートは、吹付け用急硬剤とセメントコンクリートとを含有するものであり、該吹付け用急硬剤は、カルシウムを含有する液体急硬剤とアルカリ増粘型ポリマーエマルジョンとを含有するものである。
【0015】
本発明で使用するカルシウムを含有する液体急硬剤(以下、Ca含有急硬剤という)は、セメントコンクリートと混合することにより凝結を促進するものであり、一度吹付けてから、再度同じ法面に吹付けるまでの時間を短縮でき、コテ仕上げが可能となる程度の可使時間を確保できるものである。
Ca含有急硬剤を使用しないと、短時間で再度同じ法面にセメントコンクリートを吹付けたときにずり落ちが生じる場合がある。
Ca含有急硬剤は特に限定されるものでないが、例えば、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、ギ酸カルシウム、及び塩化カルシウムなどが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。Ca含有急硬剤の中では、経済的に好ましく、水に対する溶解度が大きく、ずり落ちを防止する効果が大きく、ダレが見られない面で、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムが好ましい。
Ca含有急硬剤の使用形態は特に限定されるものではなく、粉末や水溶液が使用可能であるが、セメントコンクリート中に均一に混合させる面で、水溶液として使用することが好ましい。
Ca含有急硬剤の水溶液の成分濃度は特に限定されるものでないが、5〜70%が好ましく、10〜50%がより好ましい。5%未満では急硬性セメントコンクリートの強度発現性が伸びない場合があり、70%を超えると水溶液の粘性が高くなり、ホースで圧送する際の圧送性が低下する場合がある。
Ca含有急硬剤の使用量は、セメント100部に対して、無水物換算で0.3〜5部が好ましく、0.5〜3部がより好ましい。0.3部未満では急硬性セメントコンクリートのずり落ちを防止する効果が小さく、重ね吹きができず、初期強度発現性が伸びない場合があり、5部を超えると急硬性セメントコンクリートの凝結が促進しすぎてコテ仕上げをする時間が確保できず、圧送性が低下し、強度発現性が伸びない場合がある。
【0016】
本発明で使用するアルカリ増粘型ポリマーエマルジョン(以下、本エマルジョンという)は、アルカリ雰囲気下で増粘してセメントコンクリートの流動性を失わせるポリマーエマルジョンであり、セメントコンクリートと混合することにより、瞬時にセメントコンクリートを増粘させ、吹付け時のセメントコンクリートのダレを防止するものである。
【0017】
本エマルジョンは、(メタ)アクリル酸又はその塩等の不飽和カルボン酸類と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーなどのエチレン性不飽和化合物の共重合により得られる。
本エマルジョン中の不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物の配合割合は特に限定されるものではなく、モル比換算で95:5〜5:95が好ましい。
本エマルジョンの重合方法としては公知の方法が使用でき特に限定されるものではないが、不飽和カルボン酸類とエチレン性不飽和化合物とを、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、及び塊状重合等の方法で共重合することが挙げられる。
エマルジョンの重合時には、例えば、公知の重合開始剤、公知のレドックス触媒等の重合触媒、連鎖移動剤、及び界面活性剤を使用することが可能である。
【0018】
本エマルジョンは、通常、水性分散液の形で使用され、必要に応じて、凍結防止剤、バインダー、顔料、分散剤、ポリオール化合物、pH調整剤、増膜助剤、酸化防止剤、防腐剤、耐水化剤、消泡剤、潤滑剤、及び湿潤剤等を併用することも可能である。
【0019】
凍結防止剤としては、例えば、エチルグリコール、ブチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチルジグリコール、ブチルジグリコール、グリセリン、及びプロピオニルカルビノール又はこれらの混合物等が挙げられ、本発明では、安価に入手が可能であることからエチレングリコールを使用することが好ましい。
【0020】
本エマルジョンの成分濃度は特に限定されるものでないが、0.5〜50%が好ましく、2〜20%がより好ましい。0.5%未満では増粘効果が少ない場合があり、50%を超えると本エマルジョンの製造が技術的に難しくなり、安定性が損なわれる場合がある。
本エマルジョンの使用量は、セメント100部に対して、成分換算で0.01〜7部が好ましく、0.05〜3部がより好ましい。0.01部未満では増粘効果が認められず、ダレや肌落ちが発生し、急硬性セメントコンクリートのずり落ちを防止する効果が小さい場合があり、7部を超えるとダレや肌落ちが発生し、重ね吹きができず、強度発現性を阻害する場合がある。
【0021】
本発明で使用するアルカノールアミンは、さらに急硬性状を向上させるために使用するものであり、構造式においてN−R−OH構造を有する有機化合物である。ここで、Rは通常アルキル基又はアリル基と呼ばれる原子団であり、たとえば、メチレン基、エチレン基、及びn-プロピレン基等の直鎖型のアルキル基、イソプロピル基等の枝分かれ構造を有するアルキル基、並びに、フェニル基やベンジル基等の芳香族環を有するアリル基等が挙げられる。Rは窒素原子と2箇所以上で結合していてもよく、Rの一部又は全部が環状構造であってもよい。Rは複数の水酸基と結合していてもよい。Rはアルキル基の一部に炭素や水素以外の元素、例えば、イオウ、フッ素、塩素、及び酸素等が含まれていてもよい。また、Rには複数の水酸基が結合していてもよい。
このようなアルカノールアミンの例としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジブチルエタノールアミン、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン、及び三フッ化ホウ素トリエタノールアミン、又はこれらの誘導体等が挙げられる。
本発明ではこれらアルカノールアミンのうちの一種又は二種以上を使用することができ、特に、ジエタノールアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、及びそれらの混合物が好ましく、ジエタノールアミンがより好ましい。
アルカノールアミンの使用量は、Ca含有急硬剤100部に対して、0.5〜10部が好ましく、1〜5部がより好ましい。0.5部未満では効果が顕著でなく、10部を超えると液の安定性が損なわれる場合がある。
【0022】
本発明で使用するセメントとしては、JIS R 5210に規定される各種ポルトランドセメント、JIS R 5211、JIS R 5212、又はJIS R 5213に規定される各種混合セメント、JISの規定以上の混和材混合率で作製した高炉セメント、フライアッシュセメント、又はシリカセメント、並びに、石灰石粉末等を混合したフィラーセメントなどが挙げられる。
【0023】
本発明では、急硬性セメントコンクリートからのセメントペーストの分離を抑え、急硬性セメントコンクリートの圧送性や強度発現性を向上する面で、無機粉末を使用することが可能である。
無機粉末としては、シリカフューム、フライアッシュ、高炉スラグ、ベントナイト、炭酸カルシウム、及びメタカオリンなどが挙げられる。これらの中では、セメントコンクリートの圧送性や強度発現性を向上する効果が大きい面で、シリカフュームが好ましい。
無機粉末の比表面積は、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で1,500cm2/g以上が好ましく、2,000〜3,000cm2/gがより好ましい。1,500cm2/g未満では急硬性セメントコンクリートからのセメントペーストの分離を抑えられず、急硬性セメントコンクリートの圧送性や強度発現性が小さくなる場合がある。
無機粉末の使用量は、セメント100部に対して、3〜50部が好ましく、5〜30部がより好ましい。3部未満では急硬性セメントコンクリートからセメントペーストが分離し、強度発現性が小さくなる場合があり、50部を超えるとセメントコンクリートの粘性が大きくなり、圧送性が低下する場合がある。
【0024】
さらに、本発明では、急硬性セメントコンクリートの耐衝撃性や弾性の向上の面で、繊維を使用することが可能である。
繊維としては、無機質や有機質のいずれも使用可能である。
無機質の繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、ロックウール、石綿、セラミック繊維、及び金属繊維等が挙げられ、有機質の繊維としては、ビニロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリル繊維、セルロース繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、パルプ、麻、木毛、及び木片等が挙げられる。これらの中では、経済性の面で、金属繊維やビニロン繊維が好ましい。
繊維の長さは圧送性や混合性等の面で、50mm以下が好ましく、5〜30mmがより好ましい。50mmを超えると圧送中に急硬性セメントコンクリートがパイプなどを閉塞する場合がある。
繊維の使用量は、吹付け用急硬剤を含有しないセメントコンクリート100容量部中、0.1〜3容量部が好ましく、0.4〜1.5容量部がより好ましい。0.1容量部未満では耐衝撃性や弾性の向上の効果が小さい場合があり、3容量部を超えると圧送性が低下し、経済的でない場合がある。
【0025】
さらに、本発明では、急硬性セメントコンクリートの付着性を向上させる面で、減水剤を使用することが可能である。
減水剤はセメントコンクリート側と吹付け用急硬剤側のいずれか一方又は両方に添加することができ特に限定されるものではない。
減水剤としては、公知のものが使用可能であり、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物、及びポリカルボン酸系高分子化合物等が挙げられ、これらの中では、初期凝結性状や強度発現性に影響しにくい面で、ポリカルボン酸系高分子化合物が好ましい。
【0026】
本発明で使用する骨材は、吸水率が低く、骨材強度が高いものが好ましく、細骨材率や骨材の最大寸法は吹付けできれば特に限定されるものではない。
細骨材としては、川砂、山砂、石灰砂、及び珪砂等が使用可能であり、粗骨材としては、川砂利、山砂利、及び石灰砂利等が使用可能である。
【0027】
本発明では、前記各材料の他に、AE剤や凝結遅延剤を本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
【0028】
本発明において、Ca含有急硬剤と本エマルジョンは、別々にセメントコンクリートに圧入することも可能であり、Ca含有急硬剤と本エマルジョンをあらかじめ混合したものをセメントコンクリートに圧入することも可能である。
これらを別々にセメントコンクリートに添加する場合、Ca含有急硬剤を先にセメントコンクリートに混合し、その後、本エマルジョンを混合する方法が、吹付け用急硬剤を均一にセメントコンクリート中に分散できる面で好ましい。
【0029】
また、本エマルジョンがセメントコンクリートに圧入されてからセメントコンクリートとともに吐出されるまでの時間は、ダレ防止の面から3秒以内にすることが好ましい。
【0030】
本発明で使用する吹付け工法においては、従来から使用されている吹付け設備等が使用可能である。
【0031】
本発明で使用する吹付け工法としては、要求される物性、経済性、及び施工性等に応じた種々の吹付け工法が可能であり、例えば、乾式吹付け工法や湿式吹付け工法等の方法がある。
湿式吹付け工法としては、例えば、セメント、水、細骨材、必要に応じ粗骨材や減水剤等を加えて混練したものを、圧送ホースを用いて空気で圧送し、圧送ホースの途中に設けた混合管であるY字管の一方から、急硬剤供給装置により空気圧送した吹付け用急硬剤を合流・混合し、急硬性セメントコンクリートとして吹付ける方法等が挙げられる。
【0032】
圧送ホース中のY字管の取付位置は、混合性や圧送性等の面で、吐出口より手前40m以内が好ましく、3m以内がより好ましい。
【0033】
本発明の法面吹付け工法としては、吹付け用急硬剤とセメントコンクリートの混合物である急硬性セメントコンクリートを直に法面へ吹付けてもよいが、補強効果を増すために、鉄筋類等を配置してフレーム骨格を形成し、アンカーを打ち込んだ後、その上に急硬性セメントコンクリートを吹付けることが好ましく、変形可能な金網や鉄筋を配置したフリーフレーム工法がより好ましい。
【0034】
ここで、鉄筋類とは、金網や鉄筋等からなるものである。これらを組み合わせてフレーム骨格を形成し、急硬性セメントコンクリートを吹付け、コンクリートフレームとするものである。
【0035】
フリーフレーム工法に使用する鉄筋類の配置方法としては特に限定されるものではないが、通常、波形鉄筋φ1〜3mmからなる幅30〜60cm、長さ1〜3m程度の金網を2枚平行に金網の幅と同程度の間隔で、長手方向を法面に沿って配置し継ぎ足してゆく。次いで、平行に立てた2枚の金網に鉄筋等のスペーサーを用いて、フレーム骨格を形成する。このフレーム骨格を縦横に延長する際、この交点部にアンカーを打ち込むことが好ましい。また、このフレーム骨格の交点部に交点部用フレーム骨格を用いることも可能である。
このように配置したフレーム骨格に急硬性セメントコンクリートを用いて吹付けを行い、フレーム骨格の鉄筋類からはみ出した部分をコテ仕上げすることにより、コンクリートフレームの美観を保つことが可能である。
【0036】
法面で使用する急硬性セメントコンクリートは、単位セメント量を270〜600kg/m3とし、W/Cを35〜65%とすることが好ましい。35%未満ではポンプ圧送性が低下する場合があり、65%を超えると材料分離が発生する場合がある。
【0037】
さらに、コンクリートの場合には、s/a(細骨材率)を50〜100%とすることが好ましい。
また、法面で使用する急硬性セメントコンクリートとしては、通常、材齢4週の圧縮強度が15N/mm2以上となるようなものが使用されている。
【0038】
【実施例】
以下、実験例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0039】
実験例1
単位セメント量455kg/m3、W/C=52%、及びs/a=70%とし、スランプが18cm程度になるように減水剤の使用量を調整しコンクリートを調製した。
このコンクリートをコンクリート圧送機「アリバー280」により4m3/hの圧送速度、0.4MPaの圧送圧力で空気圧送した。
一方、セメント100部に対して、無水物換算で表1に示す量のCa含有急硬剤aと成分換算で本エマルジョンA1部からなる吹付け用急硬材をポンプで圧送し、吐出口より手前1mに取付けたY字管から圧送空気とともにコンクリートに圧入混合し、急硬性コンクリートとして吹付けを行い、重ね吹きと作業性について観測し、圧縮強度を測定した。結果を表1に併記する。
【0040】
<使用材料>
セメント :普通ポルトランドセメント、比重3.16
細骨材 :新潟県姫川産砂、比重2.62、FM値2.86
粗骨材 :新潟県姫川産砂利、比重2.63
減水剤 :ポリカルボン酸系高性能減水剤、市販品、液状
Ca含有急硬剤a:硝酸カルシウム水溶液、成分濃度50%
本エマルジョンA:エチルアクリレート/メタクリル酸を共重合したポリマーエマルジョン、モル比45/55、成分濃度10%
【0041】
<測定方法>
重ね吹き :幅30cm×長さ100cm×厚さ30cmのフレーム骨格を十字状に交差させて斜度が70°の法面に配置し、フレーム骨格に急硬性コンクリートを15cmの厚みで吹付け、1時間後に、15cmの厚みで再度、急硬性コンクリートを重ね吹きし、重ね吹きの状態を確認。全く崩落が見られない場合を○、重ね吹きした分の一部が崩落した場合を△、重ね吹きした分の50%以上が崩落した場合を×とした。
作業性 :幅10cm×長さ40cm×厚さ10cmのフレーム骨格に急硬性コンクリートを吹付けて5分間静置し、型枠の表面をコテで均して平坦に仕上げた。平坦にする際のコテ均しの作業性を評価。容易に仕上げることができた場合を○、仕上げるのに力を要した場合を△、力を入れても仕上げられない場合を×とした。
圧縮強度 :急硬性コンクリートの硬化体から直径5cm×高さ10cmサイズをコアリングし、耐圧機にて試験した。
【0042】
【表1】
Figure 0003986460
【0043】
実験例2
セメント100部に対して、表2に示すCa含有急硬剤を無水物換算で3部と、成分換算で本エマルジョンA1部を用い、ダレ、重ね吹き、及び作業性を観測したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
【0044】
<使用材料>
Ca含有急硬剤b:亜硝酸カルシウム水溶液、成分濃度44%
Ca含有急硬剤c:Ca含有急硬剤a50部とCa含有急硬剤b50部の混合物
【0045】
<測定方法>
ダレ :幅30cm×厚さ30cmの法面型枠を十字状に交差させて法面に配置し、その法面型枠に急硬性コンクリートを吹付けて観察し、ダレや肌落ちが全く見られない場合を○、少し見られた場合を△、多く見られた場合を×とした。
【0046】
【表2】
Figure 0003986460
【0047】
実験例3
セメント100部に対して、無水物換算でCa含有急硬剤a3部と表3に示す量の本エマルジョンAを用い、ダレと重ね吹きについて観測し、圧縮強度を測定したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表3に併記する。
【0048】
【表3】
Figure 0003986460
【0049】
実験例4
セメント100部に対して、無水物換算でCa含有急硬剤a3部と成分換算で表4に示す本エマルジョン1部を用い、ダレ、重ね吹き、及び作業性について観測したこと以外は実験例1と同様に行った。結果を表4に併記する。
【0050】
<使用材料>
本エマルジョンB:無水マレイン酸/メチルメタクリレートを共重合したポリマーエマルジョン、モル比40/60、成分濃度10%
本エマルジョンC:アクリル酸ナトリウム/ヒドロキシエチルアクリレートを共重合したポリマーエマルジョン、モル比40/60、成分濃度10%
本エマルジョンD:エチルアクリレート/メタクリル酸/マレイン酸ジエチルを共重合したポリマーエマルジョン、モル比40/40/30、成分濃度10%
本エマルジョンE:2-エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸/ブチルアクリレートを共重合したポリマーエマルジョン、モル比20/50/30、成分濃度10%
本エマルジョンF:メタアクリルアミド/アクリル酸/エチルメタクリレートを共重合したポリマーエマルジョン、モル比20/50/30、成分濃度10%
本エマルジョンG:酢酸ビニル/スチレン/アクリル酸/2-エチルヘキシルアクリレートを共重合したポリマーエマルジョン、モル比5/5/50/40、成分濃度10%
【0051】
【表4】
Figure 0003986460
【0052】
実験例5
Ca含有急硬剤a100部に対して、表5に示す種類と量のアルカノールアミンを使用し、この液体急硬剤をセメントに対して、6部使用したこと以外は、実験例1と同様に行った。結果を表5に併記する。
【0053】
<使用材料>
アルカノールアミンα:ジエタノールアミン、市販品
アルカノールアミンβ:N,N-ジメチルエタノールアミン、市販品
【0054】
【表5】
Figure 0003986460
【0055】
【発明の効果】
本発明の吹付け用急硬剤を用いると、吹付け直後の急硬性セメントコンクリートのダレや斜面からのずり落ちを防止でき、圧送性や強度発現性が良好で、かつ、コテ仕上げができる程度の可使時間を確保できるので、法面表面の美観を維持することが可能となる。

Claims (7)

  1. 下記(1)を圧送し、途中で、下記(2)と(3)を含有してなる吹付け用急硬剤を合流・混合し、急硬性セメントコンクリートとして吹付けることを特徴とする法面吹付け工法。
    (1)セメントコンクリート
    (2)セメント100部に対して、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムを含有する液体急硬剤(成分濃度は5〜70%)を無水物換算で0.3〜5部
    (3)セメント100部に対して、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン(成分濃度は0.5〜50%)を成分換算で0.01〜7部
  2. 鉄筋類を法面に配置してフレーム骨格を形成した後、そのフレーム骨格に下記(1)〜(3)を含有する急硬性セメントコンクリートを吹付け、コンクリートフレームを構築してなることを特徴とする法面吹付け工法。
    (1)セメントコンクリート
    (2)セメント100部に対して、硝酸カルシウム及び/又は亜硝酸カルシウムを含有する液体急硬剤(成分濃度は5〜70%)を無水物換算で0.3〜5部
    (3)セメント100部に対して、アルカリ増粘型ポリマーエマルジョン(成分濃度は0.5〜50%)を成分換算で0.01〜7部
  3. 急硬性セメントコンクリートの単位セメント量が270〜600kg/m3であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の法面吹付け工法。
  4. 急硬性セメントコンクリートのW/Cが35〜65%であることを特徴とする請求項1〜3のうちの1項に記載の法面吹付け工法。
  5. 急硬性セメントコンクリートのs/aが50〜100%であることを特徴とする請求項1〜4のうちの1項に記載の法面吹付け工法。
  6. さらに、液体急硬剤が(4)アルカノールアミンを含有してなることを特徴とする請求項1〜5のうちの1項に記載の法面吹付け工法。
  7. 急硬性セメントコンクリートが、(2)と(3)をあらかじめ混合した吹付け用急硬剤を(1)に圧入したものであることを特徴とする請求項1〜6のうちの1項に記載の法面吹付け工法。
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