JP3985233B2 - 多層セラミック基板の製造方法および多層セラミック基板 - Google Patents

多層セラミック基板の製造方法および多層セラミック基板 Download PDF

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Description

本発明は、高密度多層配線基板に用いる高精度で高度な平坦性を有する低温同時焼成(LTCC)の多層セラミック基板およびその製造方法に関する。
近年、LSI・チップ部品等は小型化・軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板も小型化・軽量化が望まれている。このような要求に対して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板は、要求される高密度配線が可能となり、かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において重視されている。
多層セラミック基板は、セラミック粒子に有機バインダ・可塑剤・溶剤等を加えてスラリーとし、ドクターブレード法によりグリーンシートを成形した後、銀などの低抵抗金属の粉末を含有する導体ペーストを印刷法によりガラスセラミックグリーンシート上に配線導体のパターンを形成し、次いで複数枚のグリーンシートを積層して、800〜1000℃の温度で同時焼成して得られる。
ところが、多層セラミック基板は、焼成工程において焼結に伴う収縮を生じるという問題がある。このような収縮は一様ではなく、使用する基板用の無機材料、グリーンシートの組成、原料である粉体粒度のバラツキ、配線導体のパターン、基板内部に配置される配線導体の材料等により収縮率や収縮方向が異なる。
この収縮率や収縮方向の不均一性を小さくするため、ガラスセラミックグリーンシート積層体の両面または片面に、ガラスセラミックス成分の焼成温度では焼結しないアルミナを材料とする拘束シートを積層して焼成し、その後、拘束シートを超音波洗浄やサンドブラスト等で除去する方法、いわゆる無収縮プロセスが行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、積層した未焼成のグリーンシートの両面に、拘束シートを形成してから焼成し、その後、多層セラミック基板の両面から拘束シートを除去するために、圧縮空気とともに水を吹き付けるか、セラミック粉を吹き付けるか、または水とセラミック粉末を混合したものを吹き付けることにより拘束シートを除去する多層セラミック基板の製造方法が開示される。
国際公開WO99/56510号公報
従来の無収縮プロセスを用いた多層セラミック基板の製造方法では、拘束シートをブラストで完全には除去しきれないという問題があった。特に、拘束シートのアルミナ粒子が多層セラミック基板の表面に形成された導体パターンの上に残留すると、めっき付け性、はんだ付け性が低下してめっき付け、半田付け不良を起こす問題があった。
また、圧縮空気とともに水を吹き付けるか、セラミック粉を吹き付けるか、または水とセラミック粉末を混合したものを吹き付ける際に、多層セラミック基板や、その表面に形成された導体パターンを傷つける。無理に除去しようと吹き付けの圧力を過剰にすると導体パターンが剥がれるという問題もあった。
そこで本発明は、多層セラミック基板の製造方法において、拘束シートの除去性が十分であり、多層セラミック基板や、その表面に形成された導体パターンの損傷、剥離の無い、高精度で高度な平坦性を有する低温焼成(LTCC)の多層セラミック基板に係る製造方法を提供し、もって、高精度で高度な平坦性を有する信頼性の高い多層セラミック基板の提供を目的とする。
本発明の手段1は、低温焼成可能なセラミックでなる複数のグリーンシートを準備する工程と、前記複数のグリーンシートの焼成温度では焼結しない無機材料を主とするセラミックスラリーをキャリアフィルム上に所定厚みで形成した後、乾燥して拘束シートを準備する工程と、前記複数のグリーンシートのうち、所望のグリーンシートに導体ペーストで導体パターンを作製する工程と、前記複数のグリーンシートのうち、所望のグリーンシートにビアホールを形成し、導体ペーストでビア導体を作製する工程と、前記ビア導体及び/または導体パターンを形成した複数のグリーンシートを積層してグリーンシート積層体を作製する工程と、前記拘束シートを前記グリーンシート積層体の両面または片面に積層したまま焼成する工程と、焼成後の前記グリーンシート積層体から前記拘束シートを除去する工程と、を具備する多層セラミック基板の製造方法であって、前記拘束シートの前記グリーンシート積層体に対向する面を、前記キャリアフィルムとの接触面側とすることを特徴とする多層セラミック基板の製造方法である。
本発明の手段2は、複数のセラミック層と、該複数のセラミック層の内部および少なくとも1つの主面表面上に形成された導体パターンと、該導体パターン同士を接続するビア導体と、を備えた多層セラミック基板であって、前記手段1に記載の多層セラミック基板の製造方法により作製されたことを特徴とする多層セラミック基板である。
本発明に係る多層セラミック基板の製造方法によると、拘束シートの除去性が十分であり、多層セラミック基板や、その表面に形成された導体パターンの損傷、剥離の無い、高精度で高度な平坦性を有する低温焼成(LTCC)の多層セラミック基板を得ることができ、もって、高精度で高度な平坦性を有する信頼性の高い多層セラミック基板を提供できる。
(作用効果)
本発明者は、多層セラミック基板の製造方法における拘束シートの除去性について精査した結果、拘束シートの表面が支配的な因子であることを見出し、更に拘束シートの前記グリーンシート積層体に対向する面として、前記キャリアフィルムとの接触面側を用いると、拘束シートの除去が極めて容易になることを知見した。そのメカニズムは次のように推測される。キャリアフィルムとの接触面側はバインダが濃縮し易いために、バインダ量が多く、バインダで粒子同士が平面方向に繋がった形態をとることができる。従って、このキャリアフィルムとの接触面側を使うと、拘束シートを構成する無機材料(例えばアルミナ)の固着を和らげるクッション作用が働き、その為に、拘束するけれども、固着が少ないという特有の作用効果を呈すると考えられる。
従って、本発明に係る多層セラミック基板の製造方法を用いると、拘束力は十分に保持しつつ、アルミナなどの固着は少ないので拘束シートの除去が極めて容易になる。
図1は、本発明に係る多層セラミック基板の製造方法を示す工程図である。ここで、下記の工程順序は一例を示しただけで、必ずしも下記の工程順である制約は無く、また複数の工程を同時に実施してもよく、場合によっては、不要となる工程は実施しない場合もある。
図2(A)は、例えばアルミナを主とするセラミックスラリーをドクターブレード法でキャリアフィルム5上に所定厚みで塗布形成した状態を示すSEM(走査型電子顕微鏡)写真の図である。図2(B)は、同じくキャリアフィルム5の自由面側を示すSEM(走査型電子顕微鏡)写真の図である。
さて、本発明に係る多層セラミック基板の製造方法のうち、低温焼成可能なセラミックでなる複数のグリーンシート10a、10b、10cを準備する工程は、図1(A)、(B)で例示したキャリアフィルム5上へのドクターブレード法による作製によることができる。尚、低温焼成可能なセラミックでなる複数のグリーンシート10a、10b、10cの作製はドクターブレード法に限定されず、例えば印刷法によって作製することもできる。以下、製造工程を順を追って説明する。
図1(A)は、前記複数のグリーンシート10a、10b、10cの焼成温度では焼結しない無機材料(例えばアルミナ)を主とするセラミックスラリー1をドクターブレード法でキャリアフィルム5上に所定厚みで塗布して拘束シート60a,60bを形成する工程を模式的に示す。セラミックスラリー1は、セラミック粒子をバインダと溶剤で泥しょう(スラリー)化したものである。
図1(B)は、乾燥した後、キャリアフィルム5を剥離して拘束シート60a,60bを準備する工程を示す。
図1(C)は、複数のグリーンシート10a、10b、10cを準備する工程を示している。但し、ここでは3層としているが、積層数は特定できず、回路構成によって異なり10層以上積層する場合もある。
図1(D)は複数のグリーンシート10a、10b、10c(この例では全てのグリーンシートとした)にビアホール20a、20bを作製する工程を示す。
図1(E)は、前記複数のグリーンシート10a、10b、10cのうち、所望のグリーンシート10a、10b、10cのビアホール20a、20bに導体ペーストでビア導体30a、30bを作製する工程と、所望のグリーンシート10a、10b、10cの表面に導体ペーストで導体パターン40a、40bを作製する工程とを示す。
ここで、所望のグリーンシートとは、多層セラミック基板の回路設計の必要に応じてビア導体30a、30bや導体パターン40a、40bを形成するグリーンシートをいう。図1(E)の例では、全てのグリーンシートにビア導体30a、30bや導体パターン40a、40bを形成した。
図1(F)は、プレスによる圧着、キャリアフィルムの剥離工程を繰り返して、前記ビア導体30a及び/または導体パターン40aを形成した複数のグリーンシート10a、10b、10cを積層してグリーンシート積層体50を作製する工程を示す。
グリーンシート積層体50を作製する工程を、更に詳しく説明する。
先ず、多層セラミック基板の表層となるグリーンシート10aを、固定用フィルム上にセットし、上側の金型で所定の圧力、温度、時間プレスし圧着する。上下の金型はヒーターを内蔵した単純な平板形状でよい。
プレスによる圧着が終わると、キャリアフィルム5を剥離する。この時、グリーンシートは固定用フィルムに強固に固定されており、キャリアフィルム5の剥離に際して一緒に剥離されることはない。
次に、第2層目のグリーンシート10bを積層する。グリーンシートには、内層に所定パターンの内部回路を構成する導体パターン40c、40dが印刷されている。グリーンシートを、主面が第1層のグリーンシート10aに当接するようにセットし、第1層のグリーンシート10aの場合と同様に、プレスし圧着する。この時、プレス温度を印刷ペースト内の粘着剤が軟化固着する温度とすれば、加圧力により印刷部が相手側のグリーンシートと接合する。従って、グリーンシート同士は、印刷ペーストを介して結合される。また、電極が無くセラミック層同士が直接接触するところも、電極を介する場合と同様に軟化して固着し、結合する。プレス温度は粘着剤の種類にもよるが、通常40〜90℃程度の低温でよく、接合強度は加圧力を変えることにより調整できる。
圧着後、キャリアフィルムを剥離する。第3層の10c以降は、第2層目の10bの積層で述べたと同様な一連の作業を繰り返す。
尚、本発明に係る多層セラミック基板の製造方法は、前述のグリーンシート積層体50の作製方法に限定されるものではない。すなわち、積層工程では、キャリアフィルムを用いないで、ステンレスなどの剛性の高い枠にグリーンシートを軽い張力を維持した状態で張り、剛性の高い枠ごと取り扱って印刷と積層を行う方法や、シート状のセラミックのみならず液状ペーストのセラミック材料の塗布/乾燥を繰り返す方法を採ることも可能であり、いずれの積層体作製方法を用いても本発明は有効に適用可能である。
また、図1(F)には図示してないが、グリーンシート積層体50を作製した後に、焼成後の最終分割を容易にするための分割溝を入れることも、しばしば有効である。
図1(G)は、前記複数のグリーンシート10a、10b、10cの焼成温度では焼結しない無機材料として、アルミナ粒子をバインダで結合した拘束シート60a,60bを前記グリーンシート積層体50の両面に積層した状態を示す図であり、このまま一体に焼成する。この際、重要なことは、拘束シート60a,60bのグリーンシート積層体50に対向する面を、キャリアフィルム5との接触面15Aとすることである。
図1(H)は、焼成後のグリーンシート積層体50から焼結しない拘束シート60a,60bを除去する工程を示す。焼成によって積層方向に収縮しているが、面内ではほとんど収縮していない。このようにして、所望層同士の配線パターンが接続され、三次元回路を形成することができる。
本発明に係る多層セラミック基板の製造方法においてグリーンシート10a、10b、10cに用いるセラミックの材料組成は、銀などの導体ペーストと同時焼成できる低温焼結セラミックス材料、所謂LTCCセラミックなら何でも使用できる。より好ましくは、主成分であるAl,Si,Sr,TiをそれぞれAl、SiO、SrO、TiOに換算したとき、Al換算で10〜60質量%、SiO換算で25〜60質量%、SrO換算で7.5〜50質量%、TiO換算で20質量%以下(0を含む)であり、その主成分100質量%に対して、副成分として、Bi、Na、K、Coの群のうちの少なくとも1種をBi換算で0.1〜10質量%、NaO換算で0.1〜5質量%、KO換算で0.1〜5質量%、CoO換算で0.1〜5質量%含有し、更に、Cu、Mn、Agの群のうちの少なくとも1種をCuO換算で0.01〜5質量%、MnO換算で0.01〜5質量%、Agを0.01〜5質量%含有し、その他不可避不純物を含有している混合物を700℃〜850℃で仮焼し、これを粉砕して平均粒径0.6〜2μmの微粉砕粒子からなる誘電体磁器組成物である。
これにより、本発明の誘電体磁器組成物は、銀や銅、金といった高い導電率を有する金属材料を内部電極として用いて、一体焼結を行うことができる。よって、本発明によると、誘電体材料の有する高いQ値を用い、しかも電気抵抗による損失を抑えた内部電極を用い、極めて損失の小さい電子部品を構成することができる。これにより、優れた電気特性および低損失な多層セラミック基板を実現することができる。
本発明に係る多層セラミック基板の製造方法において、拘束シート60a,60bに用いるセラミックの材料組成は、グリーンシート10a、10b、10cに用いるLTCCセラミックの焼成温度(800〜1000℃程度)では焼成しないものであれば使用できるが、様々な種類のアルミナが安価に入手できるのでアルミナを用いることが一般的である。
本発明に係る多層セラミック基板の製造方法におけるグリーンシート10a、10b、10c、拘束シート60a,60bの作製および拘束シートの形成手順について説明する。
グリーンシート10a、10b、10cは多層セラミック基板100の誘電体層を形成する、拘束シート60a,60bは焼成の間だけX−Y方向の収縮を拘束して焼成後は除去される、という機能の差があり材料組成も異なるものの、共にグリーンシートの製造という観点からは共通している。
本発明に係る多層セラミック基板の製造方法において、グリーンシート積層体50や拘束シート60a,60bに用いるグリーンシートの製造方法には、従来からのドクターブレード法などが適用できる。すなわち、ドクターブレード法などにより、誘電体、バインダ、及び可塑剤よりなるセラミックスラリーを、ポリエチレンテレフタレートフィルムのようなキャリアフィルム上に均一な厚さで塗布し、数十μmから数百μmのグリーンシート10a,10b,10cを形成する。
拘束グリーンシート60a,60bは、セラミックのグリーンシート10a,10b,10cの作製と同様にして、有機バインダ,可塑剤,溶剤等を用いて成形することによって得られる。有機バインダ、可塑剤、溶剤としては、セラミックのグリーンシート10a,10b,10cで使用したのと同様な材料が使用可能である。
ここで、可塑剤を添加するのは、拘束グリーンシートに可撓性を付与し、積層時に拘束グリーンシートとの密着性を高めるためである。それにより拘束力が増強される。
セラミックスラリーには、グリーンシートを形成するに必要なだけのバインダ量を含有させている。最適なバインダ量は、誘電体の粒子サイズや成分などによって異なるため、一義的ではなく、ケースバイケースで決定する。
そして必要に応じて、乾燥後のグリーンシートをキャリアフィルム5が付いたまま所定の寸法に裁断する。
次にスクリーン印刷により、キャリアフィルム5の反対面である主面の製品となる所定箇所に、所定パターンの内部回路を印刷する。印刷用ペーストは、導体として作用するAg粉と、これを印刷面に定着するための粘着剤を有している。
次に、グリーンシートを所定の順序に積層・圧着し積層ブロックを形成する。その後、積層ブロックの底面に底面側電極を印刷し、更に必要に応じて、上面またもしくは下面に溝入れ加工を施した後、拘束シート60a、60bを圧着する。しかる後焼成炉において脱脂・焼成して、多層セラミック基板を完成させる。
なお、図1において、多層セラミック基板の第1層、すなわち表層10aのAg電極の導体パターン40a,40bの一部に、また更に底面側の40g、40hの一部にも、図示しないオーバーコートを設けることも多い。オーバーコートの材質としては、例えばアルミナ−ガラス系低温焼成セラミック材料に例えばオーバーコート自身の視認性を向上するような機能を付与するための添加成分を加えた絶縁層が挙げられる。なお、焼結収縮特性や熱膨張特性がLTCCセラミック基板の素材と近似していることが望ましい。
表層の導体パターン40a、40b、40g、40hの一部、周縁にオーバーコートを被覆して電極被覆領域を形成することにより、表層の導体パターン40a、40b、40g、40hの機械的保護と共に、多層セラミック基板を使用する際に、表層の導体パターン40a、40b、40g、40hの上に設けた半田が流れ出して意図しない導電部と短絡することを防止することができる。その場合には、表層の導体パターン40a、40b、40g、40hのみならず、オーバーコートへの拘束層のアルミナ粒子の残留を極力低減する必要がある。
低温焼成セラミックのグリーンシートは、ドクターブレード法に限定されるものではなく、低温焼成セラミックを主とするペーストを作製し、印刷手段により塗布して印刷層として形成することも出来る。このペーストの場合は、ドクターブレード法でグリーンシートを形成する場合に比べて、有機バインダの選定条件が緩やかとなり、少なくとも流動性を付与するものであれば良く、添加量も少なくてすむ。
有機バインダの量は4vol%以上、10vol%未満に低減することができる。例えば、セルロース系樹脂が、合成樹脂の中では熱分解性が良く粘度調整をし易いので、好ましい。低温焼成セラミック粒子を準備し、別途、合成樹脂としてのエチルセルロースを、有機溶剤としてのテルピネオールに溶かしたビヒクルを準備し、低温焼成セラミック粒子とビヒクルを乳鉢と乳棒で予備混合した後、3本ロールで混合することによりペーストが作製される。この時のエチルセルロース量は通常10vol%未満で良い。つまり、印刷ペーストに使用するバインダは、印刷に必要な粘度特性とペーストを構成する粉末同士の密着性及び基板への密着性を有する程度であればよいので、通常10vol%未満で良い。より多くのバインダの添加は、印刷膜単体の強さを増大し、基板との密着性を高めることができるが、低温焼成セラミック粒子の充填率が減少するとともに分解物による導体パターンなどによる外部電極導体への悪影響がある。低温焼成セラミック粒子の充填率が高い方が、収縮率低減とそのばらつき低減に有効である。
以下、具体例を通して、本発明に係る多層セラミック基板の製造方法を説明する。
図1に例示した製造方法を用い、拘束シート60a,60bを構成する無機材料の粒子としてアルミナを用いた。アルミナ粒子の平均粒子径と形状が異なる4種類の試料を用いた。尚、平板状のアルミナ粒子の平均粒子径は、角度45度を成す線分で切断した時の長さを測定して4個の測定値の平均値とした。
拘束シート60a,60bのグリーンシート積層体50に対向する面を、PET(ポリエチレンテレフタレート)のキャリアフィルム5との接触面15Aとした場合を本発明の実施例(PET面と記載)、自由面15Bとした場合を比較例(自由面と記載)として、拘束シートを作製し、グリーンシート積層体50の上下に積層してから焼成した。その後、拘束シートを除去した後、反りと収縮率及び収縮ばらつきを測定し表1に示した。また、実施例と比較例の場合を対比したアルミナ残留量(wt%)を測定して表1に示した。尚、表1において、記号「Ag導体上」はAgでなる導体パターン上におけるアルミナ残留量を、記号「OC上」はオーバーコート(OC)上におけるアルミナ残留量を、記号「LTCC上」はLTCCセラミックでなる製品としての多層セラミック基板上(「Ag導体上」でも「OC上」でもない部分)におけるアルミナ残留量を示す。
更に、反り量とめっき性(めっき付け性)及び半田濡れ性(はんだ付け性)について比較評価した。その結果を表1に併記する。
Figure 0003985233
また、図2は拘束シート表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真像の図を示す。ここで、図2(A)はキャリアフィルムとの接触面側、いわゆる実施例のPET面側を示し、図2(B)は比較例である自由面側を対比して示している。
この図で示されるように、図2(A)のPETフィルムとの接触面側は平坦な平面が連続的に形成されていることが分かる。この理由は、フィルム接触面側は自由面側から溶剤が先に蒸発し、フィルム面側に濃縮したバインダが集まるようにして乾燥工程が進むことによりバインダが濃縮し易いために、バインダ量が多くなり、バインダで粒子同士が平面方向に繋がって広がる為であると考えている。それに対して、図2(B)で示す自由面側はバインダ量が少ないため、大小そのままの粒子が多く表面に露出していることが分かる。従って、キャリアフィルム5との接触面15A(PET面)側を基体と接触するように使うと、拘束シート60a,60bを構成する無機材料(例えばアルミナ)の固着を和らげるクッション作用が働き、その為に、拘束するけれども、固着が少ないという特有の作用効果を呈するものと考えている。
上記表1の結果から、実施例によるアルミナ残留量は、比較例の場合よりも遥かに少なく、特にAg導体上に残留するアルミナ量の減少が多く、めっき性(めっき付け性)、半田濡れ性(はんだ付け性)が顕著に向上する結果となった。グリーンシート積層体を構成する低温焼成セラミック材には、もともとアルミナが含まれており、ガラス成分との濡れ性が良く、あるいは反応し易いものである。その為、拘束シートの自由面側を積層体表面に密着させると、拘束シート内のアルミナが表面に直接接触し、焼成過程においてグリーンシート積層体内のガラス成分と容易に濡れ、あるいは反応して残留し易く、結果、大量のアルミナ残留が見られる。これに対してキャリアフィルム面側は、上述したように平面に広がったバインダの有機分がクッション作用をなし、アルミナの食い込み現象が少なくなるため、アルミナ残留量が減少すると考えられる。特に、Ag導体表面の場合、Agとアルミナはもともと相互に反応しないため、濡れ性はない。また、焼結中にAgは溶融しないので焼結の途中でアルミナが機械的に食い込むだけである。このようにグリーンシート積層体のセラミクス表面と比べてAg導体の表面はアルミナ残留量はもとから少なくなるべきものであるが、さらにフィルム面側を用いることによりバインダのクッション作用によって、よりアルミナの食い込み現象が少なくなり残留量も減少するのである。また、アルミナ粒子の形状についてみると、球状よりも平板状の方が残留量が少ない。これは平板状の方がキャリアフィルム面に平行に配向し易く平面を形成するアルミナ粒子が多くなるため、全平面にわたってアルミナの食い込みが抑制され、さらに上述のバインダのクッション作用との相乗効果によりアルミナ残留量をより減少することが出来る。
よって、本発明に係る多層セラミック基板の製造方法によると、拘束シートの除去性が十分であり、多層セラミック基板や、その表面に形成された導体パターンの損傷、剥離の無い、高精度で高度な平坦性を有する低温焼成(LTCC)の多層セラミック基板の製造方法を提供できるものである。その結果、高精度で高度な平坦性を有する信頼性の高い多層セラミック基板を得られた。
次に、収縮率と収縮ばらつき、アルミナ残留量、めっき性、半田濡れ性の測定・評価方法を併せて説明する。
収縮率と収縮ばらつきの評価方法について、まず収縮率は、試料としての多層セラミック基板上のパターンの位置座標を16個の基準点で測定し、それらの位置座標間の距離と設計値の距離を求め、その差を設計値で割った百分率(%)で示し、そのばらつきを最小二乗法により統計処理したものを収縮ばらつきとした。
その結果、キャリアフィルム面(PET面)側を用いた場合と、自由面側を用いた場合と共に収縮率とその収縮ばらつきは良好な結果が得られた。
反りの評価方法については、試料としての多層セラミック基板の表面の位置座標を16個の基準点で、レーザー変位計を用いて測定し、それらの位置座標から試料表面が本来持つべき仮想平面を求め、この仮想平面と実際の試料表面との距離を求め、これに基づき求められる。前記仮想平面の式は最小二乗法により求められ、仮想平面と実際の試料表面との変位の最大値と最小値との差を反り量とした。
その結果、キャリアフィルム面(PET面)側を用いた場合と、自由面側を用いた場合と共に良好な結果が得られた。
アルミナ残留量(残留アルミナ粒子の数)は、導体パターン表面に残留するアルミナ量をEDXで分析して比較した。EDXの加速電圧は10kV、取り込み時間は50秒である。尚、導体パターンの更に下層には多層セラミック基板の主成分の一つであるアルミナが存在するため、それをも検出して表面のアルミナ測定値に誤差をもたらす可能性がある。そこで、アルミナの拘束シートを使用しない自由焼成のセラミック基板でも同様に確認の分析を行い、導体パターンの下層に存在する多層セラミック基板の影響が無いことを確認した。同様にLTCC上とOC上のアルミナ残留量分析においても、多層セラミック基板主成分としてのアルミナの影響を排除するため、アルミナの拘束シートを使用しない自由焼成のセラミック基板の分析を行い、それをバックグラウンド値として用い、検出値から差し引いて評価している。
その結果は上述の通り、キャリアフィルム面(PET面)側を用いることによって、Ag導体上、OC上、LTCC上と共にアルミナ残留量が格段に減少することが確認された。
めっき性の評価方法について説明する。ここでめっき性とは、焼成後の多層セラミック基板の表面に形成されたAg導体パターン層の表面を保護する目的でNiめっき処理する際のNiめっきの付着性を言い、SEMおよび光顕観察により、めっき付き性を調べた。はんだ付け性については、Niめっき処理後の導体パターン層のピール(引き剥がし)強度を測定することにより行った。すなわち、多層セラミック基板を230±5℃のPb−Sn共晶ハンダで満たされたハンダ槽に5±0.5秒間半田ディップし、めっき被膜を有する1辺が2mmの正方形の表面の導体パターン層表面にハンダ層を形成した。次に、半田層を有する表面の導体パターン層の上に直径1mmのスズメッキCu線を半田によりL字状に接着し、引張試験機にてこのスズメッキCu線を垂直上方に10mm/分の速度で引っ張り、破断したときの強度を測定して評価した。
その結果、本発明に係る多層セラミック基板のめっき性とはんだ付け性は、従来の多層セラミック基板のめっき性に比べて格段に改善されていることが確認できた。これは、上述の通り本発明に係る多層セラミック基板における残留アルミナ粒子量が格段に低減されたことと関連する。
半田濡れ性の評価方法について説明する。半田濡れ性の評価は、評価試料をロジンフラックスに浸漬後、220℃の鉛−錫共晶半田中に5秒浸漬してから冷却し、5mm角パターンについて目視観察し、半田濡れ性を調べた。
その結果、本発明に係る多層セラミック基板の半田濡れ性は、従来の多層セラミック基板の半田濡れ性に比べて格段に改善されていることが確認できた。これは、上述の通り本発明に係る多層セラミック基板における残留アルミナ粒子量が格段に低減されたことと関連する。
以上、本発明に係る多層セラミック基板の製造方法によると、拘束シートの除去性が格段に改良されるので、除去に際して強度のブラスト処理を施す必要は無く、超音波洗浄を併用すると簡単なブラスト処理で拘束シートを除去でき、更に多層セラミック基板の表面や表面に形成された導体パターン層へのアルミナの残留も顕著に減少できる。
本発明に係る多層セラミック基板の製造方法および多層セラミック基板によると、高性能で信頼性の高い電子機器、例えば携帯電話が実現できる。
本発明に係る多層セラミック基板の製造方法の一実施例を示す工程図である。 本発明の多層セラミック基板の製造方法を用いた一実施例による場合(図2(A))と比較例(図2(B))の場合とを対比して、拘束シートの表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す図である。
符号の説明
1:セラミックスラリー
5:キャリアフィルム
10a、10b、10c:グリーンシート
15A:グリーンシートのキャリアフィルムとの接触面
15B:グリーンシートの自由面
20a・・・:ビアホール
30a・・・:ビア導体(焼成前)
40a・・・:導体パターン(焼成前)
50:グリーンシート積層体
60a,60b:拘束シート
70a、70b、70c:セラミック層
80a・・・:ビア導体(焼成後)
90a・・・:導体パターン(焼成後)
100:多層セラミック基板

Claims (2)

  1. 低温焼成可能なセラミックでなる複数のグリーンシートを準備する工程と、
    前記複数のグリーンシートの焼成温度では焼結しない無機材料を主とするセラミックスラリーをキャリアフィルム上に所定厚みで形成した後、乾燥して拘束シートを準備する工程と、
    前記複数のグリーンシートのうち、所望のグリーンシートに導体ペーストで導体パターンを作製する工程と、
    前記複数のグリーンシートのうち、所望のグリーンシートにビアホールを形成し、導体ペーストでビア導体を作製する工程と、
    前記ビア導体及び/または導体パターンを形成した複数のグリーンシートを積層してグリーンシート積層体を作製する工程と、
    前記拘束シートを前記グリーンシート積層体の両面または片面に積層したまま焼成する工程と、
    焼成後の前記グリーンシート積層体から前記拘束シートを除去する工程と、
    を具備する多層セラミック基板の製造方法であって、
    前記拘束シートの前記グリーンシート積層体に対向する面を、前記キャリアフィルムとの接触面側とすることを特徴とする多層セラミック基板の製造方法。
  2. 複数のセラミック層と、
    該複数のセラミック層の内部および少なくとも1つの主面表面上に形成された導体パターンと、
    該導体パターン同士を接続するビア導体と、を備えた多層セラミック基板であって、
    請求項1記載の多層セラミック基板の製造方法により作製されたことを特徴とする多層セラミック基板。
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