JP3984925B2 - 情報処理装置及び情報処理システム - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、販売者側の通信端末及び購入者側の通信端末から商品の販売情報及び購入情報を夫々受け付け、当該商品につきオークションを行うオークションサイトを提供可能な技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のサイト提供者が提供するオークション処理システムとして、一つの販売情報に対して複数の購入情報を紐つけ、販売情報と購入情報とを順次マッチングし、互いに条件を満たすものを成約させる、所謂１：Ｎオークション処理システムが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、購入者側からみた場合、以下のような問題点がある。即ち、１：Ｎオークション処理システムにより提供するサイトでは、一社分の商品しか取り扱ってない商品のみを紹介することが常である。従って、購入者が複数社の商品を比較して購入したいと思った場合には、複数のサイトに入る手間が生じ、利便性が高いものとは言い難かった。
【０００４】
従って、本発明の目的は、例えば購入者が複数社の商品を比較して購入したい場合には、単一のオークションサイトへのアクセスのみで足る利便性の高い所謂Ｎ：Ｎオークションサイトを構築・提供可能とすることにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報処理装置の第１の態様は、一又は複数の販売者側の通信端末及び一又は複数の購入者側の通信端末と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、前記販売者側の通信端末から商品の販売情報を受信するとともに、前記購入者側から指定される購入対象の商品の購入情報を前記購入者側の通信端末から受信する受信手段と、前記購入者側の指定に基づいて、購入情報と当該購入情報の購入対象となる商品の販売情報とを紐付けして管理する管理手段と、予め設定される販売情報に係る複数の第２の優先順位に基づいて、前記管理手段において管理される購入情報と販売情報との複数のＮ：１の紐付けに対する処理順序を前記複数の第２の優先順位毎に決定する第１の決定手段と、予め設定される紐付けに係る複数の第１の優先順位に基づいて、前記複数のＮ：１の紐付けに対する処理順序を前記第１の優先順位毎に決定する第２の決定手段と、前記第１の決定手段及び前記第２の決定手段により決定された前記管理手段において管理される複数の紐付けに対する処理順序に従って、前記複数の紐付けに対する成約処理を行う成約処理手段と、前記成約処理手段によって処理された複数の成約処理結果から所定の条件を満たす成約処理結果を選択する選択手段とを有し、前記管理手段は、前記成約処理手段により紐付けに対する成約処理が行われる度に、その成約処理に該当する販売情報と紐付けられる複数の購入情報のうちの当該成約処理に該当しない購入情報と当該販売情報との紐付けを削除し、前記第１の優先順位は、商品の購入希望価格、商品の購入希望順位及び購入情報の登録時間を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であり、前記第２の優先順位は、販売情報又は購入情報の当該情報処理装置への情報登録順及び顧客優先度順を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であることを特徴とする。
本発明の情報処理装置の第２の態様は、一又は複数の販売者側の通信端末及び一又は複数の購入者側の通信端末と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、前記販売者側の通信端末から商品の販売情報を受信するとともに、前記購入者側から指定される購入対象の商品の購入情報を前記購入者側の通信端末から受信する受信手段と、前記購入者側の指定に基づいて、購入情報と当該購入情報の購入対象となる商品の販売情報とを紐付けして管理する管理手段と、予め設定される購入情報に係る複数の第２の優先順位に基づいて、前記管理手段において管理される購入情報と販売情報との複数の１：Ｎの紐付けに対する処理順序を前記複数の第２の優先順位毎に決定する第１の決定手段と、予め設定される紐付けに係る複数の第１の優先順位に基づいて、前記複数の１：Ｎの紐付けに対する処理順序を前記第１の優先順位毎に決定する第２の決定手段と、前記第１の決定手段及び前記第２の決定手段により決定された前記管理手段において管理される複数の紐付けに対する処理順序に従って、前記複数の紐付けに対する成約処理を行う成約処理手段と、前記成約処理手段によって処理された複数の成約処理結果から所定の条件を満たす成約処理結果を選択する選択手段とを有し、前記管理手段は、前記成約処理手段により紐付けに対する成約処理が行われる度に、その成約処理に該当する購入情報と紐付けられる複数の販売情報のうちの当該成約処理に該当しない販売情報と当該購入情報との紐付けを削除し、前記第１の優先順位は、商品の購入希望価格、商品の購入希望順位及び購入情報の登録時間を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であり、前記第２の優先順位は、販売情報又は購入情報の当該情報処理装置への情報登録順及び顧客優先度順を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であることを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１０】
本発明に係るオークション処理システムは、例えば、図１に示すようなオークション処理システム１００に適用される。
オークション処理システム１００では、図１に示すように、航空券の市場管理を行うサーバ１０１、複数の販売業者（セラー）側の端末装置１１１〜１１３、及び、複数の購入者（バイヤー）側の端末装置１２１〜１２３がＷＡＮを介して互いに通信可能に接続された構成としている。
【００１１】
サーバ１０１、販売業者の端末装置１１１〜１１３及び購入者の端末１２１〜１２３は、例えば、中央処理装置（ＣＰＵ）、キーボード、マウス、表示装置、通信装置及び本システムの処理プログラムが予め格納されたメモリ等を備えたパーソナルコンピュータから成り、該メモリの処理プログラムをＣＰＵによって読み出し実行することで、後述する種々の処理を行うようになされている。
【００１２】
各販売業者は、端末装置１１１〜１１３上において商品属性情報、販売方法属性情報等の販売情報を入力し、一方、各購入者は、端末装置１２１〜１２３上において購入対象となる商品の商品属性情報、購入方法属性情報等の購入情報を入力する。ここで、各販売業者が入力する商品属性情報として、商品の名称、画像等を入力することができ、また、販売方法属性情報として、販売商品の数量、希望販売価格、後述する第１の優先順位等を入力することができる。一方で、各購入者が入力する購入方法属性情報としては、購入商品の数量、希望購入価格、後述する第１の優先順位等が挙げられる。
【００１３】
図２は、本発明の一実施形態におけるサーバ１０１の内部構成を模式的に示した図である。
図２に示すように、本実施形態におけるサーバ１０１は、インターネット等の通信回線を介して情報の送受信処理を行う通信処理部１０１１、後述する優先順位情報等、本実施形態のオークション処理に必要な各種情報を記憶するメモリ１０１２、販売情報と購入情報とのＮ：Ｎの紐つけを管理するためのテーブルを記憶したハードディスク１０１３、及び、オークション処理を含め本サーバ１０１の動作の全体制御を司る制御部１０１４を備えている。
【００１４】
次に、本実施形態に係るオークション処理システムの動作について詳細に説明する。
販売業者は、端末装置１１１〜１１３を操作してサイト提供者が提供するオークションサイトにアクセスする。すると、ログイン画面が画面上に表示され、販売業者は自らのＩＤ及びパスワードとともに自らが販売業者であることを入力する。そして、“決定”ボタンを押下することにより、これらの情報が端末装置１１１〜１１３からサーバ１０１に送信される。
【００１５】
サーバ１０１では、受信したＩＤ及びパスワードに基づいて販売業者の正当性を認証する。当該販売業者の正当性が認証された場合には、図３に示すような商品情報・商品属性情報入力画面が端末装置１１１〜１１３の画面上に表示される。
【００１６】
各販売業者Ａ〜Ｃは、図３の商品名情報・商品属性情報入力画面上で販売対象となる商品の販売情報（名称や属性情報など）を入力する。図３の例では、例えば販売業者Ａによって２種類の販売商品が入力されており、１つ目の商品（商品▲１▼）については、商品の名称“○○航空会社 ５／１ １１１便 羽田発（８：００） 福岡着（９：３０）”、商品の属性情報として数量“１０枚”、希望価格“２０，０００円”、優先順位“なし”が入力されている。また、２つ目の商品（商品▲２▼）については、商品名称“○○航空会社 ５／１ １２１便 羽田発（９：１０） 福岡着（１０：４０）”、商品の属性情報として数量“１０枚”、希望価格“２０，０００円”、優先順位“なし”が入力されている。その他の販売業者Ｂ、Ｃも同様に商品情報・商品属性情報入力画面上で販売対象となる商品に係る情報を入力する。本画面上で入力された情報はサーバ１０１内に登録される。
【００１７】
また、本実施形態では、販売業者Ａ〜Ｃが図３に示すような商品名情報・商品属性情報入力画面上において各販売商品の販売価格の下限値を設定し、サーバ１０１内において、その下限値を下回る希望購入価格の販売情報についてはオークション処理の対象から除外するように構成することも可能である。
【００１８】
一方、各購入者“あ”〜“う”も端末装置１２１〜１２３を操作することにより本Ｎ：Ｎオークションサイトにアクセスすることが可能である。これにより、ログイン画面が端末装置１２１〜１２３の画面上に表示され、自らのＩＤ及びパスワードとともに自らの購入者であることを入力する。そして、“決定”ボタンを押下することにより、これらの情報が端末装置１２１〜１２３からサーバ１０１に送信される。
【００１９】
サーバ１０１では、受信したＩＤ及びパスワードに基づいて購入者の正当性を認証する。当該購入者の正当性が認証された場合には、図４に示すような購入商品検索画面が端末装置１２１〜１２３の画面上に表示される。
【００２０】
図４の購入商品検索画面上で購入対象商品を検索するための検索条件を例えば購入者Ａが入力したとする。本実施形態では、購入者Ａは、５／１ 羽田発 福岡着 ○○航空会社の条件に合致する航空券を検索すべく、“○○航空会社 ５／１羽田発 福岡着”を検索条件として入力している。
【００２１】
続いて、図４中の“検索”ボタンを押下し、検索条件を確定させる。これにより、端末装置１２１〜１２３からサーバに対して検索条件が送信され、サーバ１０１上において当該検索条件に合致する販売情報が検索される。この検索結果の一例を図５に示す。図５は、サーバ１０１による検索結果の一覧画面を示した図であり、上記検索条件“○○航空会社 ５／１ 羽田発 福岡着”に適合した商品の商品名等が表示されている。
【００２２】
図５の例では、商品ａ〜商品ｄが一覧表示されており、購入者“あ”は、このうちから所望の商品（商品ａ、商品ｂ）を選択している。続いて、図５中の“次へ”ボタンを押下することにより、購入対象商品を確定させる。また、本実施形態では、購入対象商品を図５の検索結果表示画面上で個別に対象商品を指定する手法のほかに、ある条件を指定してその条件に合致する商品を包括的に購入対象と指定することもできる。例えば、図４中に示す検索条件をそのままサーバ１０１に送信することによっても、このような購入対象商品の指定を行うことができる。検索条件がサーバ１０１に送信された場合は、後述する紐つけ処理において当該条件に合致する全ての商品の販売情報と当該購入情報とが紐つけられることになる。
【００２３】
さらに他の対象商品の指定方法として、（１）低価格が好ましい等の理由で商品間に優先順位を設けたり、（２）例えば商品ａを１０個購入することを希望するが、商品ａが１０個に満たない場合は、商品ｂを補充して１０個とすること、或いは、（３）或る条件に適合し、且つ所定の価格以下の商品を２０個購入すること、等が指定可能である。
【００２４】
上記（１）の指定方法の場合におけるサーバ１０１の動作については後述する。上記（２）の指定方法の場合、サーバ１０１は、商品ａ及び商品ｂの販売情報の夫々と当該購入情報とを紐つけるが、商品ａの販売情報との紐つけを高い優先順位で扱い、もし商品ａを１０個成約できた場合には当該購入情報と商品ｂの販売情報との紐つけを解く。一方で、商品ａとの成約において成約数量が１０個に満たなかった場合は、引き続き商品ｂとの成約処理を行い成約数量を１０個とする。
【００２５】
上記（３）の指定方法の場合、サーバ１０１は、購入者が指定した条件（例えば、東京発、福岡着の航空券であれば他の条件には拘らない）に適合する全ての販売情報との紐つけを行い、成約数量が２０個になるまで所定の価格以下での成約処理を行う。
【００２６】
次に、端末装置１２１〜１２３上において図６に示す商品属性情報入力画面が表示される。購入者“あ”は、この画面上で商品ａ（商品▲１▼に相当）及び商品ｂ（商品▲２▼に相当）のそれぞれについて、購入希望価格、数量、優先順位を入力する。ここでいう優先順位とは、当該購入者の購入意欲の優先度を数値で示したものであり、図６の例では、商品ｂより商品ａの方に高い優先順位を付けている。続いて、図６の“決定”ボタンを押下することにより、上記の商品属性情報が確定する。
【００２７】
図６の商品属性入力画面上で入力された商品属性情報は、端末装置１２１〜１２３からサーバ１０１に送信され、サーバ１０１内において登録される。これにより、当該購入者による商品ａ及び商品ｂの入札処理が完了する。以下では、購入者“い”、購入者“う”も図４〜図６の画面を用いた同様の入力操作により、商品ａ〜商品ｄに対する入札処理を行ったものとして説明を行う。
【００２８】
サーバ１０１は、各購入者“あ”〜“う”から上記入札処理がある度に、販売情報と購入情報との紐付けを行う。この紐つけの例を図７に模式的に示した。図７では、販売情報と購入情報との紐つけを商品名と購入者名との紐つけによって示している。図７に示すように、本実施形態では、商品ａについては購入者“あ”〜購入者“う”からの入札処理、商品ｂについては、購入者“あ”及び購入者“い”からの入札処理、商品ｃについては、購入者“い”及び購入者“う”からの入札処理があったものとする。
【００２９】
＜第１のオークション処理＞
次に、図７の紐付けの例におけるオークション処理を図８及び図９のフローチャートを参照しながら説明する。図８のフローチャートは、後述する第１及び第２のオークション処理の流れを示したフローチャートであり、図９のフローチャートは、第３のオークション処理の流れを示したフローチャートである。
【００３０】
まず、第１のオークション処理について説明する。
先ず、販売者側及び購入者側の何れかをキー設定する。販売者側及び購入者側のどちらをキー設定するかは例えばサイト提供者によって任意に選択可能であり、オークション処理における満足度の比重を販売業者及び購入者の何れに置くかをこのキー設定によって定めることができる。尚、本オークション処理では、購入者側をキーとした場合を例示している。
【００３１】
続いて、サーバ１０１は、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位に従って、テーブル内において紐つけられた販売情報と購入情報（以下、紐つけられた一組の販売情報と購入情報を“入札情報”と称す）をソートする（ステップＳ８０１）。
【００３２】
また、本オークション処理の例では、第１の優先順位として、希望購入価格、購入希望順位、入札時間の優先順位がサイト提供者により予め設定されているものとする。サーバ１０１は、上記第１の優先順位に従ってテーブルの内の入札情報をソートする。即ち、希望購入価格が高い入札情報を最優先させて上段にソートし、希望購入価格が同じである入札情報については、購入希望順位が高い入札情報を上段にソートする。さらに、希望購入価格及び購入希望順位が同じである入札情報については、入札時間が早い入札情報を上段にソートする。本ソート処理の結果、図１０（ａ）に示すようなテーブル構成となる。
【００３３】
次に、図１０（ａ）のテーブルの最上段に登録される入札情報を成約させる（ステップＳ８０２、図１０（ｂ）中の１００１）。続いて、本オークション処理では、購入者側をキーにしているので、最上段の入札情報に登録される購入者“う”に係る他の入札情報を削除する（図中、×で表記）（ステップＳ８０３、図１０（ｂ）中の１００２）。続いて、成約した商品ｃの残数をチェックし、残なしである場合は、成約された商品ｃに係る他の入札情報を削除する（ステップＳ８０４、図１０（ｂ）中の１００３）。
【００３４】
次に、ステータスがブランクデータ（図中では、成約されておらず、且つ削除（×）にもなっていない無印データに相当）の入札情報を対象に、上記ステップＳ８０２〜ステップＳ８０５を繰り返し、ブランクデータの入札情報が存在しなくなるまでオークション処理を実行する（図１０（ｃ））。オークション処理が終了すると、販売業者の通信端末１１１〜１１３及び購入者の通信端末１２１〜１２３に成約結果をそれぞれ送信する。本実施形態は、上記のような販売情報と購入情報間の紐つけ処理、続くオークション処理によりＮ：Ｎオークションサイトを提供することを可能としている。
【００３５】
また、従来は、サイト提供者からみた場合、通常のオークションサイトで行われている販売情報の数だけオークション処理を繰り返していた。従って、オークション処理が終了するまで長い時間を必要とし、処理の負荷が大きく非効率であった。これに対して、本実施形態では、上記のように購入者“う”に係る他の入札情報や成約された商品ｃに係る他の入札情報を削除し、オークション処理対象を削減していくことによってオークション処理速度を向上させることが可能となる。
【００３６】
＜第２のオークション処理＞
次に、第２のオークション処理について説明する。
まず、第１のオークション処理と同様に、販売業者側及び購入者側の何れかをキー設定する。このオークション処理は、第１のオークション処理と同様に購入者側をキー設定するものとする。
【００３７】
続いて、サーバ１０１は、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位に従って、テーブル内の入札情報をソートする（ステップＳ８０１）。本オークション処理の例では、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位は、購入希望、購入価格、入札時間の順であるものとする。即ち、購入希望順位が高い入札情報を最優先させて上段にソートし、購入希望順位が同じ入札情報については、希望購入価格が高い入札情報を上段にソートする。さらに、購入希望順位及び購入希望価格が同じである入札情報については、入札時間が早い入札情報を上段にソートする。本ソート処理の結果、図１０（ａ）に示すようなテーブル構成となる。
【００３８】
次に、図１０（ａ）のテーブルの最上段に登録される入札情報を成約させる（ステップＳ８０２、図１１（ｂ）中の１１０１）。続いて、本オークション処理では、購入者側をキーにしているので、最上段の入札情報に登録される購入者“う”に係る他の入札情報を削除する（ステップＳ８０３、図１１（ｂ）中の１１０２）。続いて、成約した商品ｃの残数をチェックし、残なしである場合には、成約された商品ｃに係る入札情報を削除する（ステップＳ８０４、図１１（ｂ）中の１１０３）。
【００３９】
次に、ステータスがブランクデータの入札情報を対象に、上記ステップＳ８０２〜ステップＳ８０５を繰り返し、ブランクデータの入札情報が存在しなくなるまで本オークション処理を実行する（図１１（ｃ））。オークション処理が終了すると、該当する販売業者の通信端末１１１〜１１３及び購入者の通信端末１２１〜１２３に成約結果をそれぞれ送信する。
【００４０】
＜第３のオークション処理＞
次に、第３のオークション処理について説明する。
まず、第３のオークション処理と同様に、販売業者側及び購入者側の何れかをキー設定する。このオークション処理では、販売業者側をキー設定するものとする。
【００４１】
続いて、サーバ１０１は、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位に従って、テーブル内の入札情報をソートする（ステップＳ９０１）。本オークション処理の例では、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位は、サービス時間、購入価格、入札時間の順であるものとする。尚、ここでいう「サービス時間」とは、本実施形態の場合は各航空券の搭乗日及び搭乗時間のことをいい、広義的にはサービスを受ける時点を意味する。
【００４２】
従って、サーバ１０１内では、サービス時間が早い入札情報を最優先させて上段にソートし、サービス時間が同じ入札情報については、購入希望価格が高い入札情報を上段にソートする。さらに、サービス時間及び購入希望価格が同じである入札情報については、入札時間が早い入札情報を上段にソートする。本ソート処理の結果、図１２（ａ）に示すようなテーブル構成となる。
【００４３】
次に、図１２（ａ）のテーブルの最上段に登録される入札情報を成約させる（ステップＳ９０２、図１２（ｂ）中の１２０１）。続いて、本オークション処理では、販売業者側をキーにしているので、最上段の入札情報に登録される商品ａに係る他の入札情報を削除する（ステップＳ９０３、図１２（ｂ）中の１２０２）。次に、最上段の入札情報に登録される購入者“う”に係る他の入札情報を削除する（ステップＳ９０４、図１２（ｂ）中の１２０３）。
【００４４】
次に、ステータスがブランクデータの入札情報を対象に、上記ステップＳ９０２〜ステップＳ９０５を繰り返し、ブランクデータの入札情報が存在しなくなるまで本オークション処理を実行する（図１２（ｃ））。オークション処理が終了すると、該当する販売業者の通信端末１１１〜１１３及び購入者の通信端末１２１〜１２３に成約結果をそれぞれ送信する。
【００４５】
尚、上記では、購入者側のみ優先順位を指定する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態においては、販売業者側も上記第１の優先順位と同様の優先順位を販売情報に付加することができる。先ず、購入情報には優先順位がなく、販売情報に優先順位がある場合について説明する。
【００４６】
このような形態は、本オークションサイトがいわゆる共同調達サイト的に使用される場合に適用することができる。例えば、関東に本拠地を有する食品中小企業が複数で原材料を購入するような場合が考えられる。食品中小企業は各々、購入対象となる原材料の名称、規格や価格等を端末装置から入力するが、原材料の納入業者（販売業者）は、物流費や今後の関係等を考慮して、各販売先（購入者）につき優先順位をふる可能性がある。
【００４７】
ここで、上記説明では、販売情報及び購入情報の入力（サーバへの登録）順序は特に言及しなかったが、これらの入力順序は特に制限されず、双方とも任意のタイミングで入力可能である。従って、販売業者及び購入者は共に或る商品についてのオークション参加状況を端末装置１１１〜１１３、１２１〜１２３の画面上で参照することができる。これにより、例えば、販売業者側にとっては商品の購入希望者を画面上で確認することができ、上記のように物流費や今後の関係等を考慮し、各購入希望者に対する優先順位を販売情報に付加することができる。
【００４８】
また、納入方法により商品が異なってしまうような場合（例えば、キャベツ３００個を６玉入りケース５０箱（商品Ａ）で販売するか、１０玉入りケース３０箱（商品Ｂ）で販売するか、を選択できるような場合）、販売業者側は、商品Ａ及び商品Ｂの販売情報を端末装置上で入力する際に、それらの販売情報に優先順位（商品Ｂより商品Ａ優先）を付加する。
【００４９】
これにより、商品Ａと商品Ｂの双方について購入希望があった場合には、商品Ａを優先して成約処理がなされるが、商品Ａの購入希望がなく、商品Ｂの購入希望があった場合には、商品Ｂについて成約処理がなされることになる。従って、この場合、キャベツ３００個をいつもの納品形態で６玉入りのケースに入れ、５０個販売したいが、いつもと違う箱（１０玉入り）を使っても売れ残るよりはいい、というような場合にも対処することができる。
【００５０】
次に、購入情報に優先順位があり、且つ販売情報にも優先順位が付加されていた場合について説明する。
これは、例えば電力会社が複数の部品供給会社から部品を購入する場合等に適用することができる。電力会社はどの部品供給会社から部品を購入しても構わないとはいえ、できれば保守等の利便性の高い近接地の部品供給会社を優先したいと考える場合がある。また、部品供給会社は、保守の観点から近接地もしくは今後関係を構築していきたい電力会社等の順で優先順位を持ちたい場合等がある。
【００５１】
特に上記電力会社の例においては、サイト提供者がサーバ内に予め取り扱う品目等（この場合の品目は電力部品）を固定し、また参加する販売業者及び購入者を予め登録することで、その前提情報につき販売業者及び購入者が各々数量、価格、優先順位などを入力するように構成することが好ましい。予め登録される参加者の具体例としては、この場合、購入者としては電力９社、販売業者としては例えば取引上信頼のある部品供給会社或いは関連会社等が挙げられる。
【００５２】
その結果、販売業者から販売希望があるにも拘わらず、購入者からの購入希望がない、もしくは購入者から購入希望があるにも拘わらず販売業者からの販売希望がない、といった事態には、紐付きなしとして取り扱えば良い。
【００５３】
また、本発明の他の実施形態として、複数のオークション処理の結果から、売上・荒利・成約数等が最も高くなるような結果、販売業者側の販売残や購入者側の購入残を最小限に抑えるような結果、あるいは販売業者又は購入者の希望が一番叶う（販売業者又は購入者が設定した希望順位の合計値が最小となる）ような結果を選択することもできる。
【００５４】
ここで、▲１▼上記第１及び第２のオークション処理例のように、第１の優先順位が価格、優先順位、入札時間を要素としている場合、第１の優先順位の組合せにより存在するＮ：Ｎオークションの処理パターンは６通りとなる。また、▲２▼販売業者及び購入者の何れをキーとするかによって２通りの処理パターンが存在する。
【００５５】
さらに、本発明においては、サイト提供者は上記第１の優先順位のほかに第２の優先順位を更に設定することができる。第２の優先順位の具体例としては、販売情報又は購入情報の情報登録順、顧客優先度順（サイト得意先順など）、希望価格（販売希望価格又は購入希望価格）×数量の大きい順、が考えられる。▲３▼第２の優先順位が情報登録順、顧客優先度順、希望価格の組合せにより決定する場合、その組合せにより存在するＮ：Ｎオークションの処理パターンは６通りとなる。
【００５６】
尚、顧客優先度順の設定方法としては、本オークションサイトの頻繁に利用する、或いは毎回の納入量が多い所謂得意先、系列会社、及び、サイト提供者から近い場所に存在する顧客等に高い優先順位を付けること等が挙げられる。
【００５７】
第２の優先順位を用いた場合の処理を具体的に説明すると、図７に示すようなＮ：Ｎの紐つけを行った後、キー設定されている販売情報側又は購入情報側について上記第２の優先順位に従って入札情報をソートする。続いて、第２の優先順位により販売情報又は購入情報について処理されたソート順を遵守しつつ上記第１の優先順位に従って入札情報をソートする。そして、同様に上段の入札情報からオークション処理を実行することにより各入札情報の成約を行う。これにより、例えば、以前からのサイト得意先を優先させたオークション処理とするか、又は、当該オークション処理において最も購入額が高い顧客、或いは情報登録が最も早い顧客を優先させたオークション処理とするか、等の事項を更に加味したオークション処理を行うことが可能となる。
【００５８】
このような更に第２の優先順位を踏まえたオークション処理パターンは、上記▲１▼〜▲３▼より、６×２×６＝７２通りとなる。すなわち、７２通りのオークション処理結果から、所定の目的関数（売上・荒利・成約数、販売業者側の販売残、購入者側の購入残、販売業者又は購入者が設定した希望順位の合計）が所定の条件（売上・荒利・成約数等が最高値、販売業者側の販売残や購入者側の購入残が最小限、販売業者又は購入者が設定した希望順位の合計値が最小（販売業者又は購入者の希望が一番叶う））を満たすものを採用する。これにより、或る目的（目的関数）に最適なオークション処理を行うことが可能となる。尚、上記では、第１及び第２の優先順位の双方を踏まえたオークション処理パターンを対象に説明を行なったが、本実施形態は、第１の優先順位及び第２の優先順位の何れか一方のみを踏まえたオークション処理パターンにも適用可能である。
【００５９】
以上のように、本実施形態に係るオークション処理システムによれば、複数の販売情報と複数の購入情報を対象にしたＮ：Ｎオークションサイトを実現することができる。Ｎの数が多数になれば、当該市場内に一種の完全競争市場が実現する。さらに、一種の商品につき成約価格を複数設定できるので、従来存在しなかった取引が実現する。これにより、無駄になっていた財・サービスの有効利用が進み、社会経済全体の効用が極大化する。
【００６０】
従来のように一物につき一価格を設定する手法では、適正な価格設定が非常に困難なことから以下の問題が生じる。或る一定の販売数量を想定すると、価格設定が低い場合は需要がその販売数量を超過することがあり、販売機会のロスとなる。一方で、価格設定が高い場合は、その販売数量に需要が満たないことがあり、在庫ロスとなってしまう。
【００６１】
これに対し、本実施形態に係るオークション処理システムにより提供可能なＮ：Ｎオークションサイトによれば、一物につき複数の購入価格（一物多価格）で成約処理を行うことができる。つまり、同一種の商品を高価格でも購入したい者には、高価格で成約させることができ、低価格であれば購入したいという者も成約できる可能性がある。従って、或る一定の販売数量を想定した場合、低価格の購入者にも成約の可能性があることから在庫ロスを回避できる。また、それとともに、成約の対象に高価格の購入者も含まれることから売上を最大化させることが可能となる一方、不要に低い価格設定を行った場合に生じ得る販売機会のロスを回避することができる。
【００６２】
また、市場の潜在キャパシティを想定して本実施形態の効果について説明すると、従来は、時間の経過に伴って商品の価格を下げることで潜在キャパシティの有効活用を図っていたが、この場合も適正な価格設定は困難であり、潜在キャパシティを有効に利用できているか不明であった。これに対して、本実施形態によれば、完全競争市場下での一物多価格を実現することから、販売価格×数量を最大化させ、確実に潜在キャパシティの有効利用を図ることができる。
【００６３】
また、本Ｎ：Ｎオークションサイトは、不動産のオークションサイトにも適用することができる。従来、入札制度による不動産の販売方法が知られている。この販売方法は、予め不動産販売業者が一定の販売価格を設定し、その物件に対して応募する定価販売方法である。しかしながら、本販売方法では同様に価格設定ミスに伴い機会ロス、在庫ロス等の問題が生じるとともに、特に不動産という商品の性質上、抽選により不動産を購入する機会を逃した場合、購入希望者は多大な不快感を覚え得る。
【００６４】
これに対して、本Ｎ：Ｎオークションサイトは、機会ロス、在庫ロス等を解消することができる。また、例えば、本Ｎ：Ｎオークションサイトによって提供される完全競争市場下において、最も高い購入価格を提示した購入希望者が成約した場合には、他の購入希望者は不快感をそれ程覚えることはない。
【００６５】
さらに、本オークションサイトでは、販売業者側及び購入者側から提示された種々販売条件、購入条件をサーバ１０１で収集し、例えば着脱可能な情報記録媒体内に記録することで、サイト提供者は、この収集された情報を後の市場分析等に活用する副次的な効果も期待できる。
【００６６】
上記では、航空券、不動産等、取り扱う商品（財・サービス）の具体例を挙げて説明を行ったが、本オークションサイトに適用可能な商品はこれらに限られず、時間の経過に伴ってその価値が変動する性質のもの（生鮮品、ホテル宿泊券等）には全て適用することができる。
【００６７】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の販売情報と複数の購入情報間における販売情報と購入情報との対応関係を管理し、対応関係が管理されている販売情報と購入情報間のオークション処理を行うように構成したので、所謂Ｎ：Ｎオークションサイトを構築・提供することが可能となる。従って、例えば購入者が複数社の商品を比較して購入したい場合には、単一のオークションサイトへアクセスを行えば良く、利便性の向上を図ることが可能となる。
また、オークション処理により成約処理の対象となった販売情報（又は、購入情報）に対応付けられる購入情報（又は、販売情報）のうち成約処理の対象とならなかった購入情報（又は、販売情報）と販売情報（又は、購入情報）との対応付けを解くように構成したので、従来よりオークション処理速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係るオークション処理システムの構成を概略的に示した図である。
【図２】本発明の一実施形態に係るサーバの内部構成を模式的に示した図である。
【図３】商品情報・商品属性情報入力画面の一構成例を示した図である。
【図４】購入商品検索画面の一構成例を示した図である。
【図５】検索結果表示画面の一構成例を示した図である。
【図６】商品属性情報入力画面の一構成例を示した図である。
【図７】販売情報と購入情報との紐つけ例を示した図である。
【図８】第１及び第２のオークション処理の流れを示したフローチャートである。
【図９】第３のオークション処理の流れを示したフローチャートである。
【図１０】ソート処理及び成約処理の具体的な流れを説明するためのテーブル構成図である。
【図１１】ソート処理及び成約処理の具体的な流れを説明するためのテーブル構成図である。
【図１２】ソート処理及び成約処理の具体的な流れを説明するためのテーブル構成図である。
【符号の説明】
１００ オークション処理システム
１０１ サーバ
１１１〜１１３ 販売業者
１２１〜１２３ 購入者
１３１ ＷＡＮ
１０１１ 通信処理部
１０１２ メモリ
１０１３ ハードディスク
１０１４ 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、販売者側の通信端末及び購入者側の通信端末から商品の販売情報及び購入情報を夫々受け付け、当該商品につきオークションを行うオークションサイトを提供可能な技術に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来のサイト提供者が提供するオークション処理システムとして、一つの販売情報に対して複数の購入情報を紐つけ、販売情報と購入情報とを順次マッチングし、互いに条件を満たすものを成約させる、所謂１：Ｎオークション処理システムが知られている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、購入者側からみた場合、以下のような問題点がある。即ち、１：Ｎオークション処理システムにより提供するサイトでは、一社分の商品しか取り扱ってない商品のみを紹介することが常である。従って、購入者が複数社の商品を比較して購入したいと思った場合には、複数のサイトに入る手間が生じ、利便性が高いものとは言い難かった。
【０００４】
従って、本発明の目的は、例えば購入者が複数社の商品を比較して購入したい場合には、単一のオークションサイトへのアクセスのみで足る利便性の高い所謂Ｎ：Ｎオークションサイトを構築・提供可能とすることにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報処理装置の第１の態様は、一又は複数の販売者側の通信端末及び一又は複数の購入者側の通信端末と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、前記販売者側の通信端末から商品の販売情報を受信するとともに、前記購入者側から指定される購入対象の商品の購入情報を前記購入者側の通信端末から受信する受信手段と、前記購入者側の指定に基づいて、購入情報と当該購入情報の購入対象となる商品の販売情報とを紐付けして管理する管理手段と、予め設定される販売情報に係る複数の第２の優先順位に基づいて、前記管理手段において管理される購入情報と販売情報との複数のＮ：１の紐付けに対する処理順序を前記複数の第２の優先順位毎に決定する第１の決定手段と、予め設定される紐付けに係る複数の第１の優先順位に基づいて、前記複数のＮ：１の紐付けに対する処理順序を前記第１の優先順位毎に決定する第２の決定手段と、前記第１の決定手段及び前記第２の決定手段により決定された前記管理手段において管理される複数の紐付けに対する処理順序に従って、前記複数の紐付けに対する成約処理を行う成約処理手段と、前記成約処理手段によって処理された複数の成約処理結果から所定の条件を満たす成約処理結果を選択する選択手段とを有し、前記管理手段は、前記成約処理手段により紐付けに対する成約処理が行われる度に、その成約処理に該当する販売情報と紐付けられる複数の購入情報のうちの当該成約処理に該当しない購入情報と当該販売情報との紐付けを削除し、前記第１の優先順位は、商品の購入希望価格、商品の購入希望順位及び購入情報の登録時間を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であり、前記第２の優先順位は、販売情報又は購入情報の当該情報処理装置への情報登録順及び顧客優先度順を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であることを特徴とする。
本発明の情報処理装置の第２の態様は、一又は複数の販売者側の通信端末及び一又は複数の購入者側の通信端末と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、前記販売者側の通信端末から商品の販売情報を受信するとともに、前記購入者側から指定される購入対象の商品の購入情報を前記購入者側の通信端末から受信する受信手段と、前記購入者側の指定に基づいて、購入情報と当該購入情報の購入対象となる商品の販売情報とを紐付けして管理する管理手段と、予め設定される購入情報に係る複数の第２の優先順位に基づいて、前記管理手段において管理される購入情報と販売情報との複数の１：Ｎの紐付けに対する処理順序を前記複数の第２の優先順位毎に決定する第１の決定手段と、予め設定される紐付けに係る複数の第１の優先順位に基づいて、前記複数の１：Ｎの紐付けに対する処理順序を前記第１の優先順位毎に決定する第２の決定手段と、前記第１の決定手段及び前記第２の決定手段により決定された前記管理手段において管理される複数の紐付けに対する処理順序に従って、前記複数の紐付けに対する成約処理を行う成約処理手段と、前記成約処理手段によって処理された複数の成約処理結果から所定の条件を満たす成約処理結果を選択する選択手段とを有し、前記管理手段は、前記成約処理手段により紐付けに対する成約処理が行われる度に、その成約処理に該当する購入情報と紐付けられる複数の販売情報のうちの当該成約処理に該当しない販売情報と当該購入情報との紐付けを削除し、前記第１の優先順位は、商品の購入希望価格、商品の購入希望順位及び購入情報の登録時間を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であり、前記第２の優先順位は、販売情報又は購入情報の当該情報処理装置への情報登録順及び顧客優先度順を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であることを特徴とする。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１０】
本発明に係るオークション処理システムは、例えば、図１に示すようなオークション処理システム１００に適用される。
オークション処理システム１００では、図１に示すように、航空券の市場管理を行うサーバ１０１、複数の販売業者（セラー）側の端末装置１１１〜１１３、及び、複数の購入者（バイヤー）側の端末装置１２１〜１２３がＷＡＮを介して互いに通信可能に接続された構成としている。
【００１１】
サーバ１０１、販売業者の端末装置１１１〜１１３及び購入者の端末１２１〜１２３は、例えば、中央処理装置（ＣＰＵ）、キーボード、マウス、表示装置、通信装置及び本システムの処理プログラムが予め格納されたメモリ等を備えたパーソナルコンピュータから成り、該メモリの処理プログラムをＣＰＵによって読み出し実行することで、後述する種々の処理を行うようになされている。
【００１２】
各販売業者は、端末装置１１１〜１１３上において商品属性情報、販売方法属性情報等の販売情報を入力し、一方、各購入者は、端末装置１２１〜１２３上において購入対象となる商品の商品属性情報、購入方法属性情報等の購入情報を入力する。ここで、各販売業者が入力する商品属性情報として、商品の名称、画像等を入力することができ、また、販売方法属性情報として、販売商品の数量、希望販売価格、後述する第１の優先順位等を入力することができる。一方で、各購入者が入力する購入方法属性情報としては、購入商品の数量、希望購入価格、後述する第１の優先順位等が挙げられる。
【００１３】
図２は、本発明の一実施形態におけるサーバ１０１の内部構成を模式的に示した図である。
図２に示すように、本実施形態におけるサーバ１０１は、インターネット等の通信回線を介して情報の送受信処理を行う通信処理部１０１１、後述する優先順位情報等、本実施形態のオークション処理に必要な各種情報を記憶するメモリ１０１２、販売情報と購入情報とのＮ：Ｎの紐つけを管理するためのテーブルを記憶したハードディスク１０１３、及び、オークション処理を含め本サーバ１０１の動作の全体制御を司る制御部１０１４を備えている。
【００１４】
次に、本実施形態に係るオークション処理システムの動作について詳細に説明する。
販売業者は、端末装置１１１〜１１３を操作してサイト提供者が提供するオークションサイトにアクセスする。すると、ログイン画面が画面上に表示され、販売業者は自らのＩＤ及びパスワードとともに自らが販売業者であることを入力する。そして、“決定”ボタンを押下することにより、これらの情報が端末装置１１１〜１１３からサーバ１０１に送信される。
【００１５】
サーバ１０１では、受信したＩＤ及びパスワードに基づいて販売業者の正当性を認証する。当該販売業者の正当性が認証された場合には、図３に示すような商品情報・商品属性情報入力画面が端末装置１１１〜１１３の画面上に表示される。
【００１６】
各販売業者Ａ〜Ｃは、図３の商品名情報・商品属性情報入力画面上で販売対象となる商品の販売情報（名称や属性情報など）を入力する。図３の例では、例えば販売業者Ａによって２種類の販売商品が入力されており、１つ目の商品（商品▲１▼）については、商品の名称“○○航空会社 ５／１ １１１便 羽田発（８：００） 福岡着（９：３０）”、商品の属性情報として数量“１０枚”、希望価格“２０，０００円”、優先順位“なし”が入力されている。また、２つ目の商品（商品▲２▼）については、商品名称“○○航空会社 ５／１ １２１便 羽田発（９：１０） 福岡着（１０：４０）”、商品の属性情報として数量“１０枚”、希望価格“２０，０００円”、優先順位“なし”が入力されている。その他の販売業者Ｂ、Ｃも同様に商品情報・商品属性情報入力画面上で販売対象となる商品に係る情報を入力する。本画面上で入力された情報はサーバ１０１内に登録される。
【００１７】
また、本実施形態では、販売業者Ａ〜Ｃが図３に示すような商品名情報・商品属性情報入力画面上において各販売商品の販売価格の下限値を設定し、サーバ１０１内において、その下限値を下回る希望購入価格の販売情報についてはオークション処理の対象から除外するように構成することも可能である。
【００１８】
一方、各購入者“あ”〜“う”も端末装置１２１〜１２３を操作することにより本Ｎ：Ｎオークションサイトにアクセスすることが可能である。これにより、ログイン画面が端末装置１２１〜１２３の画面上に表示され、自らのＩＤ及びパスワードとともに自らの購入者であることを入力する。そして、“決定”ボタンを押下することにより、これらの情報が端末装置１２１〜１２３からサーバ１０１に送信される。
【００１９】
サーバ１０１では、受信したＩＤ及びパスワードに基づいて購入者の正当性を認証する。当該購入者の正当性が認証された場合には、図４に示すような購入商品検索画面が端末装置１２１〜１２３の画面上に表示される。
【００２０】
図４の購入商品検索画面上で購入対象商品を検索するための検索条件を例えば購入者Ａが入力したとする。本実施形態では、購入者Ａは、５／１ 羽田発 福岡着 ○○航空会社の条件に合致する航空券を検索すべく、“○○航空会社 ５／１羽田発 福岡着”を検索条件として入力している。
【００２１】
続いて、図４中の“検索”ボタンを押下し、検索条件を確定させる。これにより、端末装置１２１〜１２３からサーバに対して検索条件が送信され、サーバ１０１上において当該検索条件に合致する販売情報が検索される。この検索結果の一例を図５に示す。図５は、サーバ１０１による検索結果の一覧画面を示した図であり、上記検索条件“○○航空会社 ５／１ 羽田発 福岡着”に適合した商品の商品名等が表示されている。
【００２２】
図５の例では、商品ａ〜商品ｄが一覧表示されており、購入者“あ”は、このうちから所望の商品（商品ａ、商品ｂ）を選択している。続いて、図５中の“次へ”ボタンを押下することにより、購入対象商品を確定させる。また、本実施形態では、購入対象商品を図５の検索結果表示画面上で個別に対象商品を指定する手法のほかに、ある条件を指定してその条件に合致する商品を包括的に購入対象と指定することもできる。例えば、図４中に示す検索条件をそのままサーバ１０１に送信することによっても、このような購入対象商品の指定を行うことができる。検索条件がサーバ１０１に送信された場合は、後述する紐つけ処理において当該条件に合致する全ての商品の販売情報と当該購入情報とが紐つけられることになる。
【００２３】
さらに他の対象商品の指定方法として、（１）低価格が好ましい等の理由で商品間に優先順位を設けたり、（２）例えば商品ａを１０個購入することを希望するが、商品ａが１０個に満たない場合は、商品ｂを補充して１０個とすること、或いは、（３）或る条件に適合し、且つ所定の価格以下の商品を２０個購入すること、等が指定可能である。
【００２４】
上記（１）の指定方法の場合におけるサーバ１０１の動作については後述する。上記（２）の指定方法の場合、サーバ１０１は、商品ａ及び商品ｂの販売情報の夫々と当該購入情報とを紐つけるが、商品ａの販売情報との紐つけを高い優先順位で扱い、もし商品ａを１０個成約できた場合には当該購入情報と商品ｂの販売情報との紐つけを解く。一方で、商品ａとの成約において成約数量が１０個に満たなかった場合は、引き続き商品ｂとの成約処理を行い成約数量を１０個とする。
【００２５】
上記（３）の指定方法の場合、サーバ１０１は、購入者が指定した条件（例えば、東京発、福岡着の航空券であれば他の条件には拘らない）に適合する全ての販売情報との紐つけを行い、成約数量が２０個になるまで所定の価格以下での成約処理を行う。
【００２６】
次に、端末装置１２１〜１２３上において図６に示す商品属性情報入力画面が表示される。購入者“あ”は、この画面上で商品ａ（商品▲１▼に相当）及び商品ｂ（商品▲２▼に相当）のそれぞれについて、購入希望価格、数量、優先順位を入力する。ここでいう優先順位とは、当該購入者の購入意欲の優先度を数値で示したものであり、図６の例では、商品ｂより商品ａの方に高い優先順位を付けている。続いて、図６の“決定”ボタンを押下することにより、上記の商品属性情報が確定する。
【００２７】
図６の商品属性入力画面上で入力された商品属性情報は、端末装置１２１〜１２３からサーバ１０１に送信され、サーバ１０１内において登録される。これにより、当該購入者による商品ａ及び商品ｂの入札処理が完了する。以下では、購入者“い”、購入者“う”も図４〜図６の画面を用いた同様の入力操作により、商品ａ〜商品ｄに対する入札処理を行ったものとして説明を行う。
【００２８】
サーバ１０１は、各購入者“あ”〜“う”から上記入札処理がある度に、販売情報と購入情報との紐付けを行う。この紐つけの例を図７に模式的に示した。図７では、販売情報と購入情報との紐つけを商品名と購入者名との紐つけによって示している。図７に示すように、本実施形態では、商品ａについては購入者“あ”〜購入者“う”からの入札処理、商品ｂについては、購入者“あ”及び購入者“い”からの入札処理、商品ｃについては、購入者“い”及び購入者“う”からの入札処理があったものとする。
【００２９】
＜第１のオークション処理＞
次に、図７の紐付けの例におけるオークション処理を図８及び図９のフローチャートを参照しながら説明する。図８のフローチャートは、後述する第１及び第２のオークション処理の流れを示したフローチャートであり、図９のフローチャートは、第３のオークション処理の流れを示したフローチャートである。
【００３０】
まず、第１のオークション処理について説明する。
先ず、販売者側及び購入者側の何れかをキー設定する。販売者側及び購入者側のどちらをキー設定するかは例えばサイト提供者によって任意に選択可能であり、オークション処理における満足度の比重を販売業者及び購入者の何れに置くかをこのキー設定によって定めることができる。尚、本オークション処理では、購入者側をキーとした場合を例示している。
【００３１】
続いて、サーバ１０１は、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位に従って、テーブル内において紐つけられた販売情報と購入情報（以下、紐つけられた一組の販売情報と購入情報を“入札情報”と称す）をソートする（ステップＳ８０１）。
【００３２】
また、本オークション処理の例では、第１の優先順位として、希望購入価格、購入希望順位、入札時間の優先順位がサイト提供者により予め設定されているものとする。サーバ１０１は、上記第１の優先順位に従ってテーブルの内の入札情報をソートする。即ち、希望購入価格が高い入札情報を最優先させて上段にソートし、希望購入価格が同じである入札情報については、購入希望順位が高い入札情報を上段にソートする。さらに、希望購入価格及び購入希望順位が同じである入札情報については、入札時間が早い入札情報を上段にソートする。本ソート処理の結果、図１０（ａ）に示すようなテーブル構成となる。
【００３３】
次に、図１０（ａ）のテーブルの最上段に登録される入札情報を成約させる（ステップＳ８０２、図１０（ｂ）中の１００１）。続いて、本オークション処理では、購入者側をキーにしているので、最上段の入札情報に登録される購入者“う”に係る他の入札情報を削除する（図中、×で表記）（ステップＳ８０３、図１０（ｂ）中の１００２）。続いて、成約した商品ｃの残数をチェックし、残なしである場合は、成約された商品ｃに係る他の入札情報を削除する（ステップＳ８０４、図１０（ｂ）中の１００３）。
【００３４】
次に、ステータスがブランクデータ（図中では、成約されておらず、且つ削除（×）にもなっていない無印データに相当）の入札情報を対象に、上記ステップＳ８０２〜ステップＳ８０５を繰り返し、ブランクデータの入札情報が存在しなくなるまでオークション処理を実行する（図１０（ｃ））。オークション処理が終了すると、販売業者の通信端末１１１〜１１３及び購入者の通信端末１２１〜１２３に成約結果をそれぞれ送信する。本実施形態は、上記のような販売情報と購入情報間の紐つけ処理、続くオークション処理によりＮ：Ｎオークションサイトを提供することを可能としている。
【００３５】
また、従来は、サイト提供者からみた場合、通常のオークションサイトで行われている販売情報の数だけオークション処理を繰り返していた。従って、オークション処理が終了するまで長い時間を必要とし、処理の負荷が大きく非効率であった。これに対して、本実施形態では、上記のように購入者“う”に係る他の入札情報や成約された商品ｃに係る他の入札情報を削除し、オークション処理対象を削減していくことによってオークション処理速度を向上させることが可能となる。
【００３６】
＜第２のオークション処理＞
次に、第２のオークション処理について説明する。
まず、第１のオークション処理と同様に、販売業者側及び購入者側の何れかをキー設定する。このオークション処理は、第１のオークション処理と同様に購入者側をキー設定するものとする。
【００３７】
続いて、サーバ１０１は、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位に従って、テーブル内の入札情報をソートする（ステップＳ８０１）。本オークション処理の例では、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位は、購入希望、購入価格、入札時間の順であるものとする。即ち、購入希望順位が高い入札情報を最優先させて上段にソートし、購入希望順位が同じ入札情報については、希望購入価格が高い入札情報を上段にソートする。さらに、購入希望順位及び購入希望価格が同じである入札情報については、入札時間が早い入札情報を上段にソートする。本ソート処理の結果、図１０（ａ）に示すようなテーブル構成となる。
【００３８】
次に、図１０（ａ）のテーブルの最上段に登録される入札情報を成約させる（ステップＳ８０２、図１１（ｂ）中の１１０１）。続いて、本オークション処理では、購入者側をキーにしているので、最上段の入札情報に登録される購入者“う”に係る他の入札情報を削除する（ステップＳ８０３、図１１（ｂ）中の１１０２）。続いて、成約した商品ｃの残数をチェックし、残なしである場合には、成約された商品ｃに係る入札情報を削除する（ステップＳ８０４、図１１（ｂ）中の１１０３）。
【００３９】
次に、ステータスがブランクデータの入札情報を対象に、上記ステップＳ８０２〜ステップＳ８０５を繰り返し、ブランクデータの入札情報が存在しなくなるまで本オークション処理を実行する（図１１（ｃ））。オークション処理が終了すると、該当する販売業者の通信端末１１１〜１１３及び購入者の通信端末１２１〜１２３に成約結果をそれぞれ送信する。
【００４０】
＜第３のオークション処理＞
次に、第３のオークション処理について説明する。
まず、第３のオークション処理と同様に、販売業者側及び購入者側の何れかをキー設定する。このオークション処理では、販売業者側をキー設定するものとする。
【００４１】
続いて、サーバ１０１は、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位に従って、テーブル内の入札情報をソートする（ステップＳ９０１）。本オークション処理の例では、サイト提供者により予め設定された第１の優先順位は、サービス時間、購入価格、入札時間の順であるものとする。尚、ここでいう「サービス時間」とは、本実施形態の場合は各航空券の搭乗日及び搭乗時間のことをいい、広義的にはサービスを受ける時点を意味する。
【００４２】
従って、サーバ１０１内では、サービス時間が早い入札情報を最優先させて上段にソートし、サービス時間が同じ入札情報については、購入希望価格が高い入札情報を上段にソートする。さらに、サービス時間及び購入希望価格が同じである入札情報については、入札時間が早い入札情報を上段にソートする。本ソート処理の結果、図１２（ａ）に示すようなテーブル構成となる。
【００４３】
次に、図１２（ａ）のテーブルの最上段に登録される入札情報を成約させる（ステップＳ９０２、図１２（ｂ）中の１２０１）。続いて、本オークション処理では、販売業者側をキーにしているので、最上段の入札情報に登録される商品ａに係る他の入札情報を削除する（ステップＳ９０３、図１２（ｂ）中の１２０２）。次に、最上段の入札情報に登録される購入者“う”に係る他の入札情報を削除する（ステップＳ９０４、図１２（ｂ）中の１２０３）。
【００４４】
次に、ステータスがブランクデータの入札情報を対象に、上記ステップＳ９０２〜ステップＳ９０５を繰り返し、ブランクデータの入札情報が存在しなくなるまで本オークション処理を実行する（図１２（ｃ））。オークション処理が終了すると、該当する販売業者の通信端末１１１〜１１３及び購入者の通信端末１２１〜１２３に成約結果をそれぞれ送信する。
【００４５】
尚、上記では、購入者側のみ優先順位を指定する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態においては、販売業者側も上記第１の優先順位と同様の優先順位を販売情報に付加することができる。先ず、購入情報には優先順位がなく、販売情報に優先順位がある場合について説明する。
【００４６】
このような形態は、本オークションサイトがいわゆる共同調達サイト的に使用される場合に適用することができる。例えば、関東に本拠地を有する食品中小企業が複数で原材料を購入するような場合が考えられる。食品中小企業は各々、購入対象となる原材料の名称、規格や価格等を端末装置から入力するが、原材料の納入業者（販売業者）は、物流費や今後の関係等を考慮して、各販売先（購入者）につき優先順位をふる可能性がある。
【００４７】
ここで、上記説明では、販売情報及び購入情報の入力（サーバへの登録）順序は特に言及しなかったが、これらの入力順序は特に制限されず、双方とも任意のタイミングで入力可能である。従って、販売業者及び購入者は共に或る商品についてのオークション参加状況を端末装置１１１〜１１３、１２１〜１２３の画面上で参照することができる。これにより、例えば、販売業者側にとっては商品の購入希望者を画面上で確認することができ、上記のように物流費や今後の関係等を考慮し、各購入希望者に対する優先順位を販売情報に付加することができる。
【００４８】
また、納入方法により商品が異なってしまうような場合（例えば、キャベツ３００個を６玉入りケース５０箱（商品Ａ）で販売するか、１０玉入りケース３０箱（商品Ｂ）で販売するか、を選択できるような場合）、販売業者側は、商品Ａ及び商品Ｂの販売情報を端末装置上で入力する際に、それらの販売情報に優先順位（商品Ｂより商品Ａ優先）を付加する。
【００４９】
これにより、商品Ａと商品Ｂの双方について購入希望があった場合には、商品Ａを優先して成約処理がなされるが、商品Ａの購入希望がなく、商品Ｂの購入希望があった場合には、商品Ｂについて成約処理がなされることになる。従って、この場合、キャベツ３００個をいつもの納品形態で６玉入りのケースに入れ、５０個販売したいが、いつもと違う箱（１０玉入り）を使っても売れ残るよりはいい、というような場合にも対処することができる。
【００５０】
次に、購入情報に優先順位があり、且つ販売情報にも優先順位が付加されていた場合について説明する。
これは、例えば電力会社が複数の部品供給会社から部品を購入する場合等に適用することができる。電力会社はどの部品供給会社から部品を購入しても構わないとはいえ、できれば保守等の利便性の高い近接地の部品供給会社を優先したいと考える場合がある。また、部品供給会社は、保守の観点から近接地もしくは今後関係を構築していきたい電力会社等の順で優先順位を持ちたい場合等がある。
【００５１】
特に上記電力会社の例においては、サイト提供者がサーバ内に予め取り扱う品目等（この場合の品目は電力部品）を固定し、また参加する販売業者及び購入者を予め登録することで、その前提情報につき販売業者及び購入者が各々数量、価格、優先順位などを入力するように構成することが好ましい。予め登録される参加者の具体例としては、この場合、購入者としては電力９社、販売業者としては例えば取引上信頼のある部品供給会社或いは関連会社等が挙げられる。
【００５２】
その結果、販売業者から販売希望があるにも拘わらず、購入者からの購入希望がない、もしくは購入者から購入希望があるにも拘わらず販売業者からの販売希望がない、といった事態には、紐付きなしとして取り扱えば良い。
【００５３】
また、本発明の他の実施形態として、複数のオークション処理の結果から、売上・荒利・成約数等が最も高くなるような結果、販売業者側の販売残や購入者側の購入残を最小限に抑えるような結果、あるいは販売業者又は購入者の希望が一番叶う（販売業者又は購入者が設定した希望順位の合計値が最小となる）ような結果を選択することもできる。
【００５４】
ここで、▲１▼上記第１及び第２のオークション処理例のように、第１の優先順位が価格、優先順位、入札時間を要素としている場合、第１の優先順位の組合せにより存在するＮ：Ｎオークションの処理パターンは６通りとなる。また、▲２▼販売業者及び購入者の何れをキーとするかによって２通りの処理パターンが存在する。
【００５５】
さらに、本発明においては、サイト提供者は上記第１の優先順位のほかに第２の優先順位を更に設定することができる。第２の優先順位の具体例としては、販売情報又は購入情報の情報登録順、顧客優先度順（サイト得意先順など）、希望価格（販売希望価格又は購入希望価格）×数量の大きい順、が考えられる。▲３▼第２の優先順位が情報登録順、顧客優先度順、希望価格の組合せにより決定する場合、その組合せにより存在するＮ：Ｎオークションの処理パターンは６通りとなる。
【００５６】
尚、顧客優先度順の設定方法としては、本オークションサイトの頻繁に利用する、或いは毎回の納入量が多い所謂得意先、系列会社、及び、サイト提供者から近い場所に存在する顧客等に高い優先順位を付けること等が挙げられる。
【００５７】
第２の優先順位を用いた場合の処理を具体的に説明すると、図７に示すようなＮ：Ｎの紐つけを行った後、キー設定されている販売情報側又は購入情報側について上記第２の優先順位に従って入札情報をソートする。続いて、第２の優先順位により販売情報又は購入情報について処理されたソート順を遵守しつつ上記第１の優先順位に従って入札情報をソートする。そして、同様に上段の入札情報からオークション処理を実行することにより各入札情報の成約を行う。これにより、例えば、以前からのサイト得意先を優先させたオークション処理とするか、又は、当該オークション処理において最も購入額が高い顧客、或いは情報登録が最も早い顧客を優先させたオークション処理とするか、等の事項を更に加味したオークション処理を行うことが可能となる。
【００５８】
このような更に第２の優先順位を踏まえたオークション処理パターンは、上記▲１▼〜▲３▼より、６×２×６＝７２通りとなる。すなわち、７２通りのオークション処理結果から、所定の目的関数（売上・荒利・成約数、販売業者側の販売残、購入者側の購入残、販売業者又は購入者が設定した希望順位の合計）が所定の条件（売上・荒利・成約数等が最高値、販売業者側の販売残や購入者側の購入残が最小限、販売業者又は購入者が設定した希望順位の合計値が最小（販売業者又は購入者の希望が一番叶う））を満たすものを採用する。これにより、或る目的（目的関数）に最適なオークション処理を行うことが可能となる。尚、上記では、第１及び第２の優先順位の双方を踏まえたオークション処理パターンを対象に説明を行なったが、本実施形態は、第１の優先順位及び第２の優先順位の何れか一方のみを踏まえたオークション処理パターンにも適用可能である。
【００５９】
以上のように、本実施形態に係るオークション処理システムによれば、複数の販売情報と複数の購入情報を対象にしたＮ：Ｎオークションサイトを実現することができる。Ｎの数が多数になれば、当該市場内に一種の完全競争市場が実現する。さらに、一種の商品につき成約価格を複数設定できるので、従来存在しなかった取引が実現する。これにより、無駄になっていた財・サービスの有効利用が進み、社会経済全体の効用が極大化する。
【００６０】
従来のように一物につき一価格を設定する手法では、適正な価格設定が非常に困難なことから以下の問題が生じる。或る一定の販売数量を想定すると、価格設定が低い場合は需要がその販売数量を超過することがあり、販売機会のロスとなる。一方で、価格設定が高い場合は、その販売数量に需要が満たないことがあり、在庫ロスとなってしまう。
【００６１】
これに対し、本実施形態に係るオークション処理システムにより提供可能なＮ：Ｎオークションサイトによれば、一物につき複数の購入価格（一物多価格）で成約処理を行うことができる。つまり、同一種の商品を高価格でも購入したい者には、高価格で成約させることができ、低価格であれば購入したいという者も成約できる可能性がある。従って、或る一定の販売数量を想定した場合、低価格の購入者にも成約の可能性があることから在庫ロスを回避できる。また、それとともに、成約の対象に高価格の購入者も含まれることから売上を最大化させることが可能となる一方、不要に低い価格設定を行った場合に生じ得る販売機会のロスを回避することができる。
【００６２】
また、市場の潜在キャパシティを想定して本実施形態の効果について説明すると、従来は、時間の経過に伴って商品の価格を下げることで潜在キャパシティの有効活用を図っていたが、この場合も適正な価格設定は困難であり、潜在キャパシティを有効に利用できているか不明であった。これに対して、本実施形態によれば、完全競争市場下での一物多価格を実現することから、販売価格×数量を最大化させ、確実に潜在キャパシティの有効利用を図ることができる。
【００６３】
また、本Ｎ：Ｎオークションサイトは、不動産のオークションサイトにも適用することができる。従来、入札制度による不動産の販売方法が知られている。この販売方法は、予め不動産販売業者が一定の販売価格を設定し、その物件に対して応募する定価販売方法である。しかしながら、本販売方法では同様に価格設定ミスに伴い機会ロス、在庫ロス等の問題が生じるとともに、特に不動産という商品の性質上、抽選により不動産を購入する機会を逃した場合、購入希望者は多大な不快感を覚え得る。
【００６４】
これに対して、本Ｎ：Ｎオークションサイトは、機会ロス、在庫ロス等を解消することができる。また、例えば、本Ｎ：Ｎオークションサイトによって提供される完全競争市場下において、最も高い購入価格を提示した購入希望者が成約した場合には、他の購入希望者は不快感をそれ程覚えることはない。
【００６５】
さらに、本オークションサイトでは、販売業者側及び購入者側から提示された種々販売条件、購入条件をサーバ１０１で収集し、例えば着脱可能な情報記録媒体内に記録することで、サイト提供者は、この収集された情報を後の市場分析等に活用する副次的な効果も期待できる。
【００６６】
上記では、航空券、不動産等、取り扱う商品（財・サービス）の具体例を挙げて説明を行ったが、本オークションサイトに適用可能な商品はこれらに限られず、時間の経過に伴ってその価値が変動する性質のもの（生鮮品、ホテル宿泊券等）には全て適用することができる。
【００６７】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の販売情報と複数の購入情報間における販売情報と購入情報との対応関係を管理し、対応関係が管理されている販売情報と購入情報間のオークション処理を行うように構成したので、所謂Ｎ：Ｎオークションサイトを構築・提供することが可能となる。従って、例えば購入者が複数社の商品を比較して購入したい場合には、単一のオークションサイトへアクセスを行えば良く、利便性の向上を図ることが可能となる。
また、オークション処理により成約処理の対象となった販売情報（又は、購入情報）に対応付けられる購入情報（又は、販売情報）のうち成約処理の対象とならなかった購入情報（又は、販売情報）と販売情報（又は、購入情報）との対応付けを解くように構成したので、従来よりオークション処理速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施形態に係るオークション処理システムの構成を概略的に示した図である。
【図２】本発明の一実施形態に係るサーバの内部構成を模式的に示した図である。
【図３】商品情報・商品属性情報入力画面の一構成例を示した図である。
【図４】購入商品検索画面の一構成例を示した図である。
【図５】検索結果表示画面の一構成例を示した図である。
【図６】商品属性情報入力画面の一構成例を示した図である。
【図７】販売情報と購入情報との紐つけ例を示した図である。
【図８】第１及び第２のオークション処理の流れを示したフローチャートである。
【図９】第３のオークション処理の流れを示したフローチャートである。
【図１０】ソート処理及び成約処理の具体的な流れを説明するためのテーブル構成図である。
【図１１】ソート処理及び成約処理の具体的な流れを説明するためのテーブル構成図である。
【図１２】ソート処理及び成約処理の具体的な流れを説明するためのテーブル構成図である。
【符号の説明】
１００ オークション処理システム
１０１ サーバ
１１１〜１１３ 販売業者
１２１〜１２３ 購入者
１３１ ＷＡＮ
１０１１ 通信処理部
１０１２ メモリ
１０１３ ハードディスク
１０１４ 制御部
Claims (3)
- 一又は複数の販売者側の通信端末及び一又は複数の購入者側の通信端末と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、
前記販売者側の通信端末から商品の販売情報を受信するとともに、前記購入者側から指定される購入対象の商品の購入情報を前記購入者側の通信端末から受信する受信手段と、
前記購入者側の指定に基づいて、購入情報と当該購入情報の購入対象となる商品の販売情報とを紐付けして管理する管理手段と、
予め設定される販売情報に係る複数の第２の優先順位に基づいて、前記管理手段において管理される購入情報と販売情報との複数のＮ：１の紐付けに対する処理順序を前記複数の第２の優先順位毎に決定する第１の決定手段と、
予め設定される紐付けに係る複数の第１の優先順位に基づいて、前記複数のＮ：１の紐付けに対する処理順序を前記第１の優先順位毎に決定する第２の決定手段と、
前記第１の決定手段及び前記第２の決定手段により決定された前記管理手段において管理される複数の紐付けに対する処理順序に従って、前記複数の紐付けに対する成約処理を行う成約処理手段と、
前記成約処理手段によって処理された複数の成約処理結果から所定の条件を満たす成約処理結果を選択する選択手段とを有し、
前記管理手段は、前記成約処理手段により紐付けに対する成約処理が行われる度に、その成約処理に該当する販売情報と紐付けられる複数の購入情報のうちの当該成約処理に該当しない購入情報と当該販売情報との紐付けを削除し、前記第１の優先順位は、商品の購入希望価格、商品の購入希望順位及び購入情報の登録時間を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であり、前記第２の優先順位は、販売情報又は購入情報の当該情報処理装置への情報登録順及び顧客優先度順を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であることを特徴とする情報処理装置。 - 一又は複数の販売者側の通信端末及び一又は複数の購入者側の通信端末と通信回線を介して接続される情報処理装置であって、
前記販売者側の通信端末から商品の販売情報を受信するとともに、前記購入者側から指定される購入対象の商品の購入情報を前記購入者側の通信端末から受信する受信手段と、
前記購入者側の指定に基づいて、購入情報と当該購入情報の購入対象となる商品の販売情報とを紐付けして管理する管理手段と、
予め設定される購入情報に係る複数の第２の優先順位に基づいて、前記管理手段において管理される購入情報と販売情報との複数の１：Ｎの紐付けに対する処理順序を前記複数の第２の優先順位毎に決定する第１の決定手段と、
予め設定される紐付けに係る複数の第１の優先順位に基づいて、前記複数の１：Ｎの紐付けに対する処理順序を前記第１の優先順位毎に決定する第２の決定手段と、
前記第１の決定手段及び前記第２の決定手段により決定された前記管理手段において管理される複数の紐付けに対する処理順序に従って、前記複数の紐付けに対する成約処理を行う成約処理手段と、
前記成約処理手段によって処理された複数の成約処理結果から所定の条件を満たす成約処理結果を選択する選択手段とを有し、
前記管理手段は、前記成約処理手段により紐付けに対する成約処理が行われる度に、その成約処理に該当する購入情報と紐付けられる複数の販売情報のうちの当該成約処理に該当しない販売情報と当該購入情報との紐付けを削除し、前記第１の優先順位は、商品の購入希望価格、商品の購入希望順位及び購入情報の登録時間を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であり、前記第２の優先順位は、販売情報又は購入情報の当該情報処理装置への情報登録順及び顧客優先度順を含む各要素のうち何れの要素を優先させて処理するかに係る優先順位であることを特徴とする情報処理装置。 - 少なくとも一又は複数の販売者側の通信端末及び一又は複数の購入者側の通信端末を、通信回線を介して情報処理装置と接続した情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、請求項１又は２に記載の情報処理装置であることを特徴とする情報処理システム。
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