JP3984845B2 - 高周波受信回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、増幅回路及びミキサ回路を有し受信系フロントエンドを構成する高周波受信回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、移動通信機の高周波受信回路として、図6に示すように帯域通過フィルタを2つ用いた構成の回路が公知となっている。図6では、増幅回路52の前段に帯域通過フィルタ51が設けられ、増幅回路52とミキサ回路54の段間に帯域通過フィルタ53が設けられている。そして、帯域通過フィルタ51と増幅回路52との整合のために入力整合回路55が設けられ、また、増幅回路52と帯域通過フィルタ53との整合のために出力整合回路56が設けられ、さらに、帯域通過フィルタ53とミキサ回路54との整合のために入力整合回路57が設けられている。58は局部発振器、59は電源供給端子、60は入力端子、61は出力端子である。
【0003】
近年、移動通信機の需要が急速に高まり、通信機本体の小型化、高性能化、高機能化が要求されている。このような状況に際し、移動通信機を構成する個々の部品の使用を最小限におさえ、使用部品を減少することが求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図6に示した従来の高周波受信回路においては、信号入力段に帯域通過フィルタ51を設置し、増幅回路52とミキサ回路54との段間に帯域通過フィルタ53を設置し、さらに増幅回路52と帯域通過フィルタ51,53の間にそれぞれ整合回路55,56を設置し、帯域通過フィルタ53とミキサ回路54の間に整合回路57を設置する必要があり、使用部品の多さが問題となっていた。
【0005】
そこで、整合回路55,56,57を含む全ての素子を集積化することで、部品点数を削減することは可能であるが、これでは増幅回路52及びミキサ回路54の回路特性を評価する事が困難となり、さらに使用可能な周波数帯域が特定周波数に限定され、汎用性の低い集積回路となってしまう問題がある。
【0006】
なお、近年では、帯域通過フィルタの特性向上を受けて、増幅回路52の前段のみ帯域通過フィルタ51を接続し、増幅回路52とミキサ回路54の段間の帯域通過フィルタ53を不要とした回路構成もあるが、増幅回路52とミキサ回路54の間の整合回路は必要であり、上記した問題は残っている。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、集積化により実装面積の縮小を可能にしながらも、増幅回路及びミキサ回路の各々の回路特性を評価可能にし、さらに使用周波数帯域が限定されない汎用性をもつ高周波受信回路を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1にかかる発明は、受信高周波信号を増幅する増幅回路と、該増幅回路の出力信号と局部発振器の出力信号とを混合させて周波数を変換するミキサ回路とを有する高周波受信回路において、前記増幅回路は出力インピーダンスが略20mSの定コンダクタンスの第1の整合回路を出力側にませた集積回路から構成し、前記ミキサ回路は入力インピーダンスが略20mSの定コンダクタンスの第2の整合回路を入力側にませた集積回路から構成し、前記増幅回路の前記出力側と前記ミキサ回路の前記入力側を共通接続するとともに該共通接続部を第1のインダクタンス素子を介して電源供給端子に接続して第3の整合回路を構成し、前記増幅回路の前記出力側と前記ミキサ回路の前記入力側を前記第3の整合回路によって整合させたことを特徴とする高周波受信回路とした。
【0009】
請求項2にかかる発明は、受信高周波信号を増幅する増幅回路と、該増幅回路の出力信号と局部発振器の出力信号とを混合させて周波数を変換するミキサ回路とを有する高周波受信回路において、前記増幅回路は第1の整合回路を出力側にませた集積回路から構成し前記ミキサ回路は第2の整合回路を入力側に含ませた集積回路から構成し、前記増幅回路の前記出力側に第2のインダクタンス素子の一端を接続して他端の出力インピーダンスを略20mSの定コンダクタンスとし、前記ミキサ回路の前記入力側に第3のインダクタンス素子の一端を接続して他端の入力インピーダンスを略20mSの定コンダクタンスとし、前記第2および第3のインダクタンス素子の他端を共通接続するとともに該共通接続部を第1のインダクタンス素子を介して電源供給端子に接続して第3の整合回路を構成し、前記増幅回路の前記出力側と前記ミキサ回路の前記入力側を前記第3の整合回路によって整合させたことを特徴とする高周波受信回路とした。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の1つの実施形態を示す高周波受信回路の回路図である。この図1は1900MHz帯の高周波受信回路を例としたものであり、増幅回路1と整合回路2とミキサ回路3とに大別される。
【0012】
増幅回路1は入力端子5より高周波信号を入力しこれを増幅する集積化された回路である。ミキサ回路3は、局部発振器4より入力された局部発振信号と増幅回路1から出力する高周波増幅信号とを混合して得られる中間周波数信号を出力端子7より出力する集積化された回路である。整合回路2は増幅回路1の出力インピーダンスとミキサ回路3の入力インピーダンスの整合をとる回路である。
【0013】
増幅回路1は電界効果トランジスタ9を中心として構成されている。電界効果トランジスタ9のゲートは、コンデンサ10を介し入力端子5に接続されるとともに、抵抗器11を介してグランドに接続されている。また電界効果トランジスタ9のソースは、インダクタンス素子14に抵抗器12とコンデンサ13の並列回路を直列接続した回路を介しグランドに接続されている。電界効果トランジスタ9のドレインは、コンデンサ15を介しグランドに接続されるとともに、インダクタンス素子16を介し増幅信号を外部へ出力する回路となっている。
【0014】
コンデンサ15とインダクタンス素子16は増幅回路1の出力インピーダンスが20mSの定コンダクタンスになるように最適化されており、整合回路の一部も構成している。
【0015】
一方、ミキサ回路3は電界効果トランジスタ18を中心として構成されている。この電界効果トランジスタ18はデュアルゲート構造であり、第2ゲートはコンデンサ23を介して外部の局部発振器4からの局部発振信号を入力する局部発振信号入力端子17に接続されるとともに、抵抗器24を介してグランドに接続されている。電界効果トランジスタ18の第1ゲートは、上記の増幅回路1及び整合回路2から到来する高周波増幅信号をインダクタンス素子19とコンデンサ21を介して入力されるように接続されており、また抵抗器22を介しグランドに接続されている。インダクタンス素子19とコンデンサ21の接続部はコンデンサ20を介してグランドに接続されている。
【0016】
インダクタンス素子19とコンデンサ20はミキサ回路3の入力インピーダンスが20mSの定コンダクタンスになるように最適化されており、整合回路の一部も構成している。
【0017】
電界効果トランジスタ18のドレインは出力端子7に接続されており、ミキサ回路3より得られた中間周波数信号を出力するようになっている。また電界効果トランジスタ18のソースはインダクタンス素子27に抵抗器25とコンデンサ26の並列回路を直列接続した回路を介しグランドに接続されている。
【0018】
整合回路2においては、増幅回路1の出力側とミキサ回路3の入力側が共通接続されるとともに、その接続部はインダクタンス素子8を介して電源供給端子6に接続されている。この電源供給端子6は高周波的には接地されている。
【0019】
図2に図1に示した増幅回路1とミキサ回路3を接続している整合回路の等価回路を示し、図3に整合回路2を介して増幅回路1とミキサ回路3を整合する方法をスミスチャート上で示した。図2及び図3を用い、増幅回路1の出力側とミキサ回路2の入力側を受信周波数において50Ωに整合する方法について説明する。
【0020】
図2における電界効果トランジスタ9のドレインのインピーダンスは図3に示すaの点に位置する。増幅回路1の出力インピーダンスは、集積化されたコンデンサ15及びインダクタンス素子16により、20mSの定コンダクタンスであるbの点に位置する。
【0021】
一方、電界効果トランジスタ18における第1のゲートからコンデンサ21を介した箇所のインピーダンスはeの点に位置する。ミキサ回路3の入力インピーダンスは、集積化されたインダクタンス素子19及びコンデンサ20により、20mSの定コンダクタンスであるdの点に位置する。
【0022】
図2におけるインダクタンス素子8Aおよび8Bは、図1に示したインダクタンス素子8を等価な2つのインダクタンス素子として表したものである。
【0023】
増幅回路1の出力インピーダンス点bからインダクタンス素子8Aを介すことで、インピーダンスは50Ωの整合の点cとなる。一方、ミキサ回路3の入力インピーダンス点dからインダクタンス素子8Bを介したインピーダンスも50Ωの整合の点cとなる。
【0024】
このように、増幅回路1とミキサ回路2の間は、インダクタンス素子8A及び8Bを介すことで50Ω整合がなされるので、50Ω系の測定器による各々の回路特性を評価することが可能となる。
【0025】
次に、図2及び図3を用い、増幅回路1及びミキサ回路2の段間を1つのインダクタンス素子で整合する方法について説明する。
【0026】
増幅回路1の出力インピーダンス点bから、インダクタンス素子8を介すことで、インピーダンスは図3に示すd’の点になる。このd’の点は、ミキサ回路3の入力インピーダンス点dにおける共役インピーダンスの点である。すなわち、20mSの定コンダクタンスである増幅回路1の出力インピーダンス点bと、同じく20mSの定コンダクタンスであるミキサ回路3の入力インピーダンス点dとを接続する際は、図1に示す1つのインダクタンス素子8により整合することが可能である。また、図1に示すインダクタンス素子8は増幅回路1の電源電圧を供給する役割をも併せ持つ。
【0027】
以上、図1に示した増幅回路1とミキサ回路3を有する高周波受信回路を1900MHz帯で使用する場合のインピーダンス整合について説明してきた。次に、この高周波受信回路を、入力信号の周波数が前記した1900MHzよりも低い1500MHz帯で使用する場合のインピーダンス整合について図4及び図5に基づいて説明する。
【0028】
ここでは、図1に示した整合回路2に代えて、電源供給端子6に接続されたインダクタンス素子8’(図示せず)とインダクタンス素子28,29を備えた整合回路2’を使用する。インダクタンス素子8’は等価的には図4に示すように、インダクタンス8A’と8B’に分けることができる。
【0029】
増幅回路1の出力側はインダクタンス素子28の一方に接続され、そのインダクタンス素子28の他方は、インダクタンス素子8A’を介して電源供給端子6に接続されている。増幅回路1の出力インピーダンスはfの点に位置しており、インダクタンス素子28を介し、インピーダンスgの点に位置させることで、20mSの定コンダクタンスとなる。さらにインダクタンス素子8A’により、インピーダンスはcの50Ω整合の点に位置する。
【0030】
また、ミキサ回路3の入力側はインダクタンス素子29の一方に接続され、そのインダクダンス素子29の他方は、インダクタンス素子8B’を介して接地されている。ミキサ回路3の入力インピーダンスはhの点に位置しており、インダクタンス素子29を介し、インピーダンスiの点に位置させることで、20mSの定コンダクタンスとなる。さらにインダクタンス素子8B’より、インピーダンスはcの50Ω整合の点に位置する。
【0031】
このように、図1に記載の増幅回路1とミキサ回路3をそのまま使用しても、周波数に応じて前記した整合回路2の一部を変更するすることで、増幅回路1の出力側、ミキサ回路3の入力側ともに50Ω整合が実現でき、使用周波数帯の変更が可能となることが分かる。なお、本発明では、増幅回路1の出力側、ミキサ回路3の入力側ともに50Ω整合を実現するため、出力インピーダンス及び入力インピーダンスを20mSの定コンダクタンスとして説明したが、所望の特性が得られる範囲で20mS近傍に設定することが可能である。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の高周波受信回路は、増幅回路とミキサ回路の間に接続すべき整合回路の一部を、それら増幅回路やミキサ回路の一部として集積化するので、実装面積の縮小が可能となる一方、増幅回路とミキサ回路の各々の回路特性が評価可能となるとともに、使用周波数帯域が限定されない汎用性のある高周波受信回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の高周波受信回路(1900MHz帯)を示す回路図である。
【図2】 図1に示された高周波受信回路の等価回路図である。
【図3】 図1に示された高周波回路を構成する整合回路のインピーダンスと整合の説明図である。
【図4】 図1に示された高周波受信回路を1500MHz帯で使用する場合の等価回路図である。
【図5】 図4に示された高周波回路を構成する整合回路のインピーダンスと整合の説明図である。
【図6】 従来技術の高周波受信回路の回路図である。
【符号の説明】
1:増幅回路、2、2’:整合回路、3:ミキサ回路、4:局部発振器、6:電源供給端子、8:インダクタンス素子

Claims (2)

  1. 受信高周波信号を増幅する増幅回路と、該増幅回路の出力信号と局部発振器の出力信号とを混合させて周波数を変換するミキサ回路とを有する高周波受信回路において、
    前記増幅回路は出力インピーダンスが略20mSの定コンダクタンスの第1の整合回路を出力側にませた集積回路から構成し
    前記ミキサ回路は入力インピーダンスが略20mSの定コンダクタンスの第2の整合回路を入力側にませた集積回路から構成し
    前記増幅回路の前記出力側と前記ミキサ回路の前記入力側を共通接続するとともに該共通接続部を第1のインダクタンス素子を介して電源供給端子に接続して第3の整合回路を構成し
    前記増幅回路の前記出力側と前記ミキサ回路の前記入力側を前記第3の整合回路によって整合させたことを特徴とする高周波受信回路。
  2. 受信高周波信号を増幅する増幅回路と、該増幅回路の出力信号と局部発振器の出力信号とを混合させて周波数を変換するミキサ回路とを有する高周波受信回路において、
    前記増幅回路は第1の整合回路を出力側にませた集積回路から構成し
    前記ミキサ回路は第2の整合回路を入力側に含ませた集積回路から構成し、
    前記増幅回路の前記出力側に第2のインダクタンス素子の一端を接続して他端の出力インピーダンスを略20mSの定コンダクタンスとし、前記ミキサ回路の前記入力側に第3のインダクタンス素子の一端を接続して他端の入力インピーダンスを略20mSの定コンダクタンスとし、前記第2および第3のインダクタンス素子の他端を共通接続するとともに該共通接続部を第1のインダクタンス素子を介して電源供給端子に接続して第3の整合回路を構成し、
    前記増幅回路の前記出力側と前記ミキサ回路の前記入力側を前記第3の整合回路によって整合させたことを特徴とする高周波受信回路。
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