JP3984725B2 - インクジェット記録用インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法 - Google Patents

インクジェット記録用インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3984725B2
JP3984725B2 JP26434098A JP26434098A JP3984725B2 JP 3984725 B2 JP3984725 B2 JP 3984725B2 JP 26434098 A JP26434098 A JP 26434098A JP 26434098 A JP26434098 A JP 26434098A JP 3984725 B2 JP3984725 B2 JP 3984725B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
yellow
ink
acid
direct
color filter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP26434098A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11158431A (ja
Inventor
勝浩 城田
健 宮崎
昭夫 柏崎
広一郎 中澤
雅史 広瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP26434098A priority Critical patent/JP3984725B2/ja
Publication of JPH11158431A publication Critical patent/JPH11158431A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3984725B2 publication Critical patent/JP3984725B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Optical Filters (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも緑色の画素を備えたカラーフィルタの製造に用いることのできるインクジェット記録用インク、該インクを用いたカラーフィルタの製造方法、該製造方法により製造されるカラーフィルタ、該カラーフィルタを用いた液晶パネル、該液晶パネルを用いたコンピュータに関する。
【0002】
【従来の技術】
カラーフィルタはカラー液晶ディスプレイの重要な構成部品であり、支持基板上に例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の三原色からなる着色部を所定のパターンで繰り返して多数配列した構造を有している。
【0003】
近年、パーソナルコンピュータの発達、特に携帯用のパーソナルコンピュータの発達に伴い、液晶ディスプレイ、特にカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、さらなる普及のためには、より高精細で且つ高画質なディスプレイの提供と同時に、ディスプレイ本体の製造コストを削減しなければならないといった相反する要求を満足させる必要がある。特に、コスト的に比重の高いカラーフィルタに対する前記の要求が急速に高まってきている。
【0004】
従来から、カラーフィルタの要求特性を満足しつつ上記の要求に応えるべく、種々の方法が試みられているが、いまだ全ての要求特性を満足する方法は確立されていない。
【0005】
以下にカラーフィルタの代表的な製造方法を説明する。
【0006】
最も多く用いられている第1の方法は、染色法である。染色法は、染色可能な水溶性の高分子材料に感光剤を添加した組成物を用い、これをフォトリソグラフィ工程により支持基板上に所望の形状にパターニングして受容層を形成した後、該受容層を染色浴に浸漬して着色部を得る。この工程を3回繰り返すことにより、R、G、Bの3色のカラーフィルタを形成する。
【0007】
次に多く用いられている第2の方法は、顔料分散法であり、近年染色法に取って代わりつつある方法である。この方法では、先ず支持基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。この工程を3回繰り返すことにより、R、G、Bの3色のカラーフィルタを形成する。
【0008】
第3の方法は電着法である。この方法では、先ず支持基板上に透明電極をパターニングする。次に、顔料、樹脂、電解液等の入った電着塗装液に浸漬して第1の色を電着する。この工程を3回繰り返し、最後に焼成することによりR、G、Bの3色のカラーフィルタを形成する。
【0009】
第4の方法は印刷法である。印刷法は、熱硬化型の樹脂の顔料を分散させ、印刷を3回繰り返し、最後に樹脂を熱硬化させることにより、R、G、Bの3色のカラーフィルタを形成するものである。
【0010】
上記いずれの方法においても、着色層上に保護層を形成するのが一般的である。
【0011】
これらの方法に共通している点は、R、G、Bの3色を着色するために、同一工程を3回繰り返すことであり、それは必然的に製造コストを高くする。また、工程が多い程歩留が低下するという問題を有している。
【0012】
さらに、電着法においては形成可能なパターン形状が限定されるため、現状の技術ではTFT型のカラー液晶ディスプレイには適用できない。また第4の印刷法においては解像性及び平滑性が悪いという問題があり、ファインピッチのパターンは形成できない。
【0013】
以上挙げたように、カラーフィルタの製造方法には既にいくつかの方法があるが、ディスプレイの色彩性を重視した場合は、色材として染料を用いる染色法が一般的に有利とされている。
【0014】
しかしながら、上記のとおり染色法においては、着色部を形成する際、染色液に基板を浸漬する方法がとられているため、着色すべき受容層に染着しにくい染料は、例え色調(スペクトル特性)が良好であっても使用できないといった問題があった。さらに、複数の染料を混合(調色)して目的の色調を得ようとした場合にも、通常、各染料によって受容層材料に対する染着性が異なるため、色むらが発生し易く、色調コントロールが非常に困難であった。この現象は、混合する染料の構造が異なる場合に特に顕著で、例えばG或いはB着色部を形成する際に、フタロシアニン系染料を使用する場合、染着性が悪いため調色用として併用するする染料が非常に限定されてしまうといった問題があった。この問題を回避するため、例えばフタロシアニン骨格(シアン色)にモノアゾ構造の化合物(イエロー成分)を結合させることで一分子で緑色を再現し、調色することなく所望の色調を得ようという試みがなされれている。しかしながらこの方法によると、調色の必要がないため前述の色むらの発生といった問題は生じにくいものの、透過率をあげにくいといった新たな問題点を有していた。
【0015】
上記受容層に対する染料の染着性を向上させるために、染料がアニオン型の場合は、受容層中に4級アンモニウム等のカチオン基を導入して、染料の染着性を向上させようという試みが一般的に行なわれているが、染料の色調が変化したり(スペクトルシフト)、耐熱性が低下してしまう等の問題が発生している。
【0016】
上記問題点を解決するために、インクジェット方式を用いたカラーフィルタ基板の製造方法が提案されている(特開昭59−75205号公報、特開昭63−235901号公報、特開平1−217302号公報、特開平4−123005号公報など)。これらは前記方法と異なり、R、G、Bの各着色部を1工程で形成する方法であり、例えば各色材を含む硬化型インクを支持基板に直接付与して硬化させる方法、インク受容層に着色インクを付与して着色する方法等がある。
【0017】
上記インクジェット方式では、着色部の形成において、前述の染色法のような染料−受容層間の染着プロセスを経ないため、受容層側にカチオン基導入等による染着性向上手段を用いないくても良い。従って、染着前後での染料自体の色調変化(スペクトルシフト)や、耐熱性の低下といった問題も回避可能であり、さらには、調色のため複数の染料を含有するインクを用いた場合であっても予想と大幅に異なった色調になることはない。
【0018】
また、インクジェット方式では、1工程で複数色の着色部を形成することができ、さらにインクの使用量にも無駄がないため、大幅な生産性の向上、コストダウンを図ることができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
カラーフィルタの画素はできる限り高い色再現性と光透過性を有していることが好ましいが、この2つの特性を両立させることは困難である。例えばカラーフィルタの緑色の画素に関して、これまで種々の緑色の染料や顔料、さらにはイエロー染料とシアンの染料の混合したもの等が検討され、或いは使用されているが、高い色再現性を追求して画素の着色濃度を上げると光透過性が低下し、光透過性を重視すると色再現性が低下するという問題があり、高い色再現性と高い光透過性の双方をより高いレベルで両立した緑色画素を得るための技術開発が強く求められている。
【0020】
本発明の目的は、色再現性と光透過性をより高いレベルで両立させることのできるカラーフィルタの形成に好適に用いることのできるインクジェット記録用インクを提供することにある。
【0021】
また本発明の目的は、高い色再現性と光透過性をより高いレベルで両立させることのできる緑色の画素を備えたカラーフィルタを提供することにある。
【0022】
また本発明の他の目的は、カラー表示特性の優れた液晶パネルを提供する点にある。
【0023】
また本発明のさらに他の目的は、高いカラー表示特性を備えた画像表示部を有するコンピュータを提供する点にある。
【0024】
さらにまた本発明の他の目的は、色再現性と光透過性をより高いレベルで両立させることのできるカラーフィルタを低コストで製造することのできるカラーフィルタの製造方法を提供する点にある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記のような技術的要求に鑑み検討を重ねた結果、青みを帯びた緑色を有し、且つ透過率の最大値の大きな染料を黄色の染料で調色することによって色再現性と光透過性をより高いレベルで満足させることのできる緑色の画素を形成することができること、そしてその調色したものがインクジェット法によってインクジェットヘッドから正常に吐出させることができること、即ちインクジェット方式によるカラーフィルタの製造にも好適に適用することを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0026】
前記した目的を達成することのできるインクジェット記録用インクは、CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A、下記分光特性を有する水溶性染料B及び水性媒体を含むことを特徴とする。
【0027】
水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280である。
【0028】
水溶性染料B:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下である。
【0029】
また、前記目的を達成することのできるカラーフィルタは、光透過性基板上にパターン状に緑色の画素を具備しているカラーフィルタにおいて、該緑色の画素が、CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A、及び下記分光特性を有する水溶性染料Bを含んでいることを特徴とする。
【0030】
水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280である。
【0031】
水溶性染料B:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下である。
【0032】
また、前記目的を達成することのできる液晶パネルは、光透過性基板上にパターン状に緑色の画素を具備し、該緑色の画素が、CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A、及び下記分光特性を有する水溶性染料Bを含んでいるカラーフィルタ及び該カラーフィルタに対向配置されている光透過性基板を有し、該カラーフィルタと該光透過性基板との間に液晶化合物が封入されていることを特徴とする。
【0033】
水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280である。
【0034】
水溶性染料B:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下である。
【0035】
また、前記目的を達成することのできるコンピュータは、光透過性基板上にパターン状に緑色の画素を具備し、該緑色の画素が、CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A、及び下記分光特性を有する水溶性染料Bを含んでいるカラーフィルタ及び該カラーフィルタに対向配置されている光透過性基板を有し、該カラーフィルタと該光透過性基板との間に液晶化合物が封入されている液晶パネルを画像表示部として備えていることを特徴とするものである。
【0036】
水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280である。
【0037】
水溶性染料B:りん酸系緩衝液((pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下である。
【0038】
また、前記目的を達成することのできるカラーフィルタの製造方法は、CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A、下記分光特性を有する水溶性染料B及び水性媒体を含むインクジェット記録用インクをインクジェット法を用いて光透過性基板に向けて吐出させ、該基板上の所定の位置に付着させて、着色画素を形成する工程を有することを特徴とする。
【0039】
水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280である。
【0040】
水溶性染料B:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下である。
【0044】
そして本発明によれば、色再現性と光透過性という相反しがちな特性を高いレベルで両立した緑色画素を備えたカラーフィルタを得ることができ、その結果カラー表示特性に優れた液晶パネルを得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用インクは、CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A、下記分光特性を有する水溶性染料B及び水性媒体を含む。
【0046】
水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280である。
【0047】
水溶性染料B:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下である。
【0048】
上記水溶性染料Aは、イエローの光を相当量透過し、この染料自体は青みを帯びた緑色を有し、単独では緑色の再現性には適していないものの、色の明度を表わすXYZ表色系(JIS Z8701)に基づいて得られる刺激値Y(色の明度に対応)は、従来の緑色の画素用として知られているほとんどの染料と比較しても高い値を有しているものである。そこで本発明のインクは、水溶性染料Aの明度をほとんど損なうことなくイエローの光の吸収を増すような水溶性染料Bをインク中に該水溶性染料Aと共存させることによって、高い色再現性と高い光透過性とを両立してなる、高品質の緑色画素を備えたカラーフィルタの製造に適したインクとしたものである。ここで水溶性染料Aは、りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、K2 PO4 :16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280であり、好ましくは、XYZ表色系(JIS Z8701)に基づいて得られる刺激値Y(色の明度に対応)が45以上のものを選択することが、高い光透過性の画素を形成する上で好ましい。
【0049】
CIE色度図においてy値が0.520におけるx値が0.280を超える色素は、刺激値Yが低くなり、従来の緑色画素を与える染料に対する優位性が小さく、一方、0.190よりも小さい場合には、調色のために水溶性染料Bの添加量を増やす必要があり、その場合インクジェット記録用インクとしての適性が低下してしまうため好ましくない。即ち、上記x値の範囲は、本発明のインクが優れた緑色画素を与え、且つインクジェット適性を維持する上で好ましい範囲ということができるものである。
【0050】
(水溶性染料Aの具体例)
水溶性染料Aとしては、例えばフタロシアニン骨格にイエロー成分の光吸収性の構造(例えばモノアゾ構造等)を導入することで得られる。その際には下記の2点を考慮することが好ましい。
【0051】
▲1▼フタロシアニン骨格に結合させるイエロー成分の構造
▲2▼イエロー成分のフタロシアニン骨格部分に対するモル比
【0052】
即ち、イエロー成分をもたらす分子構造として、赤みのイエローを吸収する構造、即ちλmax の高い構造を選択すると、その染料自体は緑色を呈し、また明度も低下する。また染料分子内におけるイエロー成分の割合が高い場合も同様である。
【0053】
そして、下記一般式(I)で示されるフタロシアニン染料、本発明の水溶性染料Aとして用いられる。
【0054】
【化5】
Figure 0003984725
【0055】
上記式中、Zn−Pcは亜鉛フタロシアニン骨格を表わす。a=1又は2、b=0、1又は2、c=1又は2、但し、a+b+c≦4である。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、Lは−OH又は−NH2 を示し、M1 及びM2 は各々独立して1価のアルカリ金属(例えばNa、K等)を示す。
【0056】
(水溶性染料Bの具体例)
また水溶性染料Bとして定義される染料を、下記表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0003984725
【0058】
次に、水溶性染料A及びBのインク中における割合としては、CIE色度図におけるx値が3.10にできる限り近く、また水溶性染料Aの明度を損なわない範囲が好ましい。具体的には、水溶性染料A及びBの組み合わせによっても異なるが、例えば染料A:染料Bが5:5〜8:2の間で調整することで、所望の色に調色することができる。
【0059】
またインク中における水溶性染料A及びBの濃度は、合計でインク全重量に対して0.5〜10重量%、特には2〜9重量%とすることが好ましい。
【0060】
(インクのインクジェット吐出特性について)
本発明のインクジェット記録用インクは、カラーフィルタの緑色画素の形成に極めて好適に用いられるが、この用途に限定されるものではなく、一般的な画像の記録用インクジェットインクとして用いることもできる。インクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用させ、液滴を吐出する記録方法、及びインクに熱エネルギーを加えてインクの発泡により液滴を吐出する記録方法がある。
【0061】
本発明のインクをインクジェット記録用に用いる場合には、該インクをインクジェットヘッドから安定して吐出可能である特性を有することが好ましいが、インクジェットヘッドからの吐出性という観点からは、該液体の特性としては、例えばその粘度を1〜5cps、表面張力が25dyn/cm以上、特に粘度を1〜10cps、表面張力が35〜60dyn/cmとすることが好ましい。そしてインクに上記したような特性を担持させられる好ましい水性媒体としては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、チオジグリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びイソプロピルアルコールから選ばれる少なくとも1つのアルコールを含むものが好ましい。
【0062】
また、本発明のインクは、上記の成分の他に必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤等を添加することができ、さらに、市販の水溶性染料などを添加することもできる。
【0063】
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について図面を用いて説明する。図1は本発明のカラーフィルタの製造方法の一実施形態の工程図である。尚、図1における(a)〜(f)は下記工程−a〜fに対応する断面模式図である。
【0064】
工程−a
支持基板1上に必要に応じてブラックマトリクス2を形成する。支持基板1としては、一般にガラスが用いられるが、カラーフィルタの透明性を損なわず、強度等カラーフィルタの用途に応じた必要特性を有するものであれば、プラスチックなどでも良い。また、ブラックマトリクス2の膜厚は、当該カラーフィルタを液晶パネルに用いる場合で通常0.1〜0.5μmであり、基板1上にクロム等金属をスパッタ法或いは蒸着等により成膜し、所定の形状にパターニングして形成する。
【0065】
工程−b
次に、支持基板1上に硬化型樹脂組成物を用いてインク受容層3を形成する。本発明において、インク受容層3を形成する硬化型樹脂組成物は、光照射或いは光照射と熱処理によって硬化するタイプが好ましく、特に、後述する工程−cを経る場合には、該硬化によってインク吸収性を消失或いは発現する特性を有するものである。
【0066】
具体的には、下記一般式(1)に示される構造単位を少なくとも有するアクリルアミド系単量体単独の重合体、或いは当該単量体と他のビニル系単量体との共重合体を含むものを用い、工程−cを経る場合には、これらに光重合開始剤と組み合わせて用いるのが好ましい。
【0067】
【化6】
Figure 0003984725
【0068】
上記式中、R1 はHまたはCH3 、R2 はHまたは置換していても良いアルキル基を示す。
【0069】
上記一般式(1)で示される構造単位に相当する単量体として具体的には、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−エトキシメチルメタクリルアミド等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0070】
上記他のビニル系単量体としては、アクリル酸;メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル;ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基を含有したビニル系単量体;スチレン;α−メチルスチレン;アクリルアミド;メタクリルアミド;アクリロニトリル;アリルアミン;ビニルアミン;酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル等を挙げることができるが、これらに限られるものではない。
【0071】
上記一般式(1)で示される構造単位に相当する単量体と他のビニル系単量体との共重合比はモル比で95:5〜5:95の範囲が望ましい。上記したアクリルアミド系単独重合体及び/または共重合体に、さらに他の高分子化合物を混合しても良い。このような高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、或いはこれらの変性物等の合成樹脂、また、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でんぷん、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂等も挙げられる。
【0072】
上記他の高分子化合物の配合量としては、インク受容層を構成する樹脂全量に対し、70重量%以下とすることが好ましい。
【0073】
また、光重合開始剤としては、例えば、オニウム塩、ハロゲン化トリアジン化合物が好ましく用いられる。具体的には、オニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメチルスルホネートまたはこれらの誘導体等が挙げられる。さらに、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメチルスルホネートまたはこれらの誘導体が挙げられる。その中でも、ハロゲン化トリアジン化合物が好適に用いられる。ただし、それらに限定されるものでない。
【0074】
上記光重合開始剤の配合量は、前記インク受容層材料に対して重量基準で0.01〜20%、好ましくは、0.1〜10%である。また、増感剤としてペリレン、アントラセン等の化合物を加えても良い。
【0075】
また、上記硬化型樹脂組成物には、必要に応じて各種添加剤が含まれていても良い。具体的には、各種界面活性剤、染料固着剤(耐水化剤)、消泡剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、分散剤、粘度調整剤、pH調整剤、防かび剤、可塑剤等が挙げられる。これら添加剤については、従来公知の化合物から目的に応じて任意に選択すれば良い。
【0076】
上記硬化型樹脂組成物をスピンコート、ロールコート、バーコート、スプレーコート、ディップコート等の方法により支持基板1上に塗布し、必要に応じてプリベークしてインク受容層3とする。
【0077】
インク受容層3の厚さは、本実施形態のカラーフィルタを液晶パネルに用いる場合で0.3〜3.0μm程度である。
【0078】
工程−c
隣接する着色部同士でのインクの混色を防止するためには、望ましくは当該工程により非着色部5を形成しておく。即ち、フォトマスク4を用いて、インク受容層3をパターン露光し、非着色部5を形成する。本実施形態では露光によりインク吸収性を消失するタイプについて示すが、露光によりインク吸収性を発現するタイプの樹脂組成物を用いてインク受容層を形成した場合には、逆のパターンで露光すれば良い。また、後述する着色インク付与時に隣接する着色部同士でインクが混じらないように、非着色部5が撥インク性を発現するような成分をインク受容層3に付与しておくことが好ましい。
【0079】
上記パターン露光においては、ブラックマトリクス2に対応する開口部を有するものを使用するが、カラーフィルタの色ヌケを防止するためには、ブラックマトリクス2の幅よりも狭い開口部幅を有するマスクを用いることが好ましい。
【0080】
また、光照射手段としては、特に限定されないが、本発明ではDeep−UV光が好ましく、光照射条件は1〜3000mJ/cm2 程度である。また、必要に応じて熱処理も併用するが、熱処理の手段としては、オーブン、ホットプレート等が挙げられ、温度条件としては、50〜180℃で10秒間〜20分間行なえば良い。
【0081】
工程−d
インクジェットヘッド7より、R、G、Bの各色の着色インク8R、8G、8Bをインク受容層3の未露光部6の所定の位置に付与する。上記着色インクのうち、Gインク(8G)としては、前記した本発明のインクジェット用インクを用いる。他のR、Bインク(8R、8B)については特に限定されず適宜公知のインクを用いることができるが、インクジェットの描画条件を合わせる上で、なるべく組成や特性がGインクに近いことが望ましい。
【0082】
また、着色インク8R、8G、8Bには必要に応じて所望の特性を持たせるために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加することができる。
【0083】
また、インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェットタイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等が使用可能であり、着色面積及び着色パターンは任意に設定することができる。
【0084】
工程−e
全未露光部6に着色インク8R、8G、8Bを付与して着色部9R、9G、9Bを形成した後、光照射または光照射と熱処理によりインク受容層3全体を硬化させる。
【0085】
工程−f
通常、カラーフィルタ上に保護層10を形成する。保護層10は光硬化型、熱硬化型、或いは熱・光併用硬化型の樹脂組成物、或いは蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができる。いずれの場合もカラーフィルタとしての透明性を有し、その後のITO形成工程、配向膜形成工程等に耐えるものであれば使用することができる。
【0086】
図2に本発明の液晶パネルの一実施形態である、上記実施形態によるカラーフィルタを組み込んだTFTカラー液晶パネルの一例を示す。図2において、12は共通電極、13は配向膜、21は対向基板、22は画素電極、23は配向膜、24は液晶化合物である。
【0087】
カラー液晶パネルは、一般的にカラーフィルタ側基板1とTFT側基板21を合わせ込み、液晶化合物24を封入することにより形成される。液晶パネルの一方の基板21の内側に、TFT(図示しない)と透明な画素電極22がマトリクス状に形成される。また、もう一方の基板1の内側には、画素電極22に対向する位置に、R、G、Bが配列するようにカラーフィルタの着色部9R、9G、9Bが設置され、その上に透明な共通電極12が一面に形成される。ブラックマトリクス2は、通常カラーフィルタ側基板に形成される。さらに、両基板の面内には配向膜13、23が形成されており、これらをラビング処理することにより液晶分子を一定方向に配列させることができる。これらの基板はスペーサー(図示しない)を介して対向配置され、シール材(図示しない)によって貼り合わされ、その間隙に液晶化合物24が充填される。
【0088】
上記液晶パネルは、それぞれの基板の外側に偏光板を接着し、一般的に蛍光灯と散乱板を組み合わせたバックライトを用い、液晶化合物をバックライトの光25の透過率を変化させる光シャッターとして機能させることにより表示を行なう。
【0089】
また図1を用いて説明した、本発明のカラーフィルタの一実施形態は、ブラックマトリクス2をカラーフィルタ側基板1上に有する構成としたが、例えば図7に示すように、TFT基板21上にブラックマトリクスを設け、カラーフィルタ側基板1上にはブラックマトリクスを設けないような構成とすることもできる。さらには、図8に示したように、各色の画素がTFT基板の画素電極22上に配置されているような構成とすることもできる。そして本発明に関わる技術は、これらのいずれの態様にも適用可能である。
【0090】
また、図2、図7、図8に示した各々の構成の液晶パネルは、例えば図9に示すようなコンピュータ1001等の画像表示装置1003として用いられる。
【0091】
上記実施形態においては、TFTカラー液晶パネルについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、単純マトリクス型等他の駆動タイプの液晶素子にも好ましく適用される。
【0092】
また、本発明の液晶パネルにおいては、本発明のカラーフィルタを用いて構成されていれば、他の部材については従来の技術をそのまま用いることができる。従って、液晶化合物についても、一般に用いられているTN型液晶や強誘電性液晶等を好適に用いることができる。
【0093】
図3に本発明のカラーフィルタの製造方法の他の実施形態の工程図を示す。尚、図3における(a)〜(d)は下記工程−a〜dに対応する断面模式図である。
【0094】
工程−a
支持基板1上に隔壁部を形成する。隔壁部は後述する硬化型インクを付与した際に、隣接する異なる色のインクとの混色をさけるための部材であり、本実施形態では遮光層を兼ねたブラックマトリクス32とした。ブラックマトリクス32としては、好ましくは黒色顔料含有レジストを用い、一般的なフォトリソグラフィ法によりパターニングする。該ブラックマトリクス32は後述する硬化型インクを付与した際に、隣接する異なるインク同士が混じり合うのを防止するために、撥インク性付与しておくことが好ましい。本発明においてブラックマトリクス32の厚さは上記隔壁作用及び遮光作用を考慮すると0.5μm以上が好ましい。
【0095】
工程−b
次に、インクジェットヘッド33を用いて、R、G、Bの各色の硬化型インク34R、34G、34Bをブラックマトリクス32の開口部を埋めるように付与する。このR、G、Bのパターンはいわゆるキャスティングのような形で形成されても良い。また、ブラックマトリクス32の上で各色のインクが重ならない範囲で硬化型インクが付与されることが好ましい。
【0096】
本発明で使用される硬化型インクは、Gインク(34G)が前記した本発明のインクジェット用インクである。即ち特定の水溶性染料AとBの組み合わせを含有している。他のR、Bのインク(34R、34B)については特に限定されないが、インクジェットの描画条件を合わせるために、なるべく組成、特性がGインクに近いものが好ましい。
【0097】
尚、上記硬化型インク34R、34G、34Bは少なくともエネルギー付与により硬化する樹脂を含有している。このような樹脂としては、先の実施形態のインク受容層3を形成する硬化型樹脂組成物において挙げた樹脂や該樹脂と光重合開始剤の組み合わせ、市販のネガ型レジストなどを用いることができる。
【0098】
上記硬化型インクには、種々の溶媒を用いることができる。特にインクジェット方式に用いる場合の吐出性の面から、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒が好ましく用いられる。
【0099】
さらに、上記成分の他に必要に応じて所望の特性を持たせるために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加することができる。
【0100】
また、特に光により重合するタイプの光硬化性化合物を用いる場合には、色材をモノマーに溶解した無溶剤タイプとすることもできる。
【0101】
工程−c
必要に応じて乾燥工程を経て、光照射、熱処理等必要な処理を施して硬化型インクを硬化し、着色部35R、35G、35Bを形成する。
【0102】
工程−d
必要に応じて保護層36をカラーフィルタ上に形成する。
【0103】
上記実施形態により形成されたカラーフィルタについても、先に挙げた図2の実施形態と同様にして液晶パネルを構成することができる。当該液晶パネルの一実施形態の断面模式図を図4に示す。図中、図2と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。また、図7及び図8に示した構成と同様の液晶パネルを構成することもできる。そしてこれらの液晶パネルを用いて図9に示したコンピュータ1001の画像表示部1003として用いることができる。
【0104】
【実施例】
(実施例1)
りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2 HPO4 ・12H2 O:60mmol/リットル、KH2 PO4 :16mmol/リットル)に下記構造式(III)で示されるグリーンの水溶性染料を溶解し、33ppmの水溶液を作製した。この水溶液の色度及び刺激値YをJIS Z8701に従って測定したとろこ、CIE色度図におけるx値及びy値は(0.310、0.520)であった。このx値は、カラーフィルタのグリーンの画素が有していることが好ましい値である。即ち、下記構造式(III)の染料は、イエローの染料による調色が不要である。また刺激値Yは56であった(日本色彩学会編、「色彩化学ハンドブック」参照)。
【0105】
【化7】
Figure 0003984725
【0106】
上記式中、Cu−Pcは銅フタロシアニン骨格を示す。d=1又は2、e=0,1又は2、f=1又は2であり、但し、d+e+f≦4である。
【0107】
次に、上記と同様にして前記一般式(I)で示したフタロシアニン染料に含まれる、下記構造式(II)で示されるフタロシアニン染料の33ppmりん酸系緩衝液溶液を作製し、CIE色度図におけるx値及びy値を測定したところ、(0.240、0.520)であった。また刺激値Yは(72)であった。
【0108】
【化8】
Figure 0003984725
【0109】
上記式中、a=1又は2、b=0,1又は2、c=1又は2、但し、a+b+c≦4である。
【0110】
また、上記構造式(II)及び(III)のりん酸系緩衝液溶液の透過スペクトルを分光光度計(オリンパス光学(株)製「OSP−SP200」)を用いて測定した。その結果を図6に(i)及び(ii)として示す。同図から明らかなように、構造式(II)で示されるフタロシアニン染料の水溶液は、450nmより短波長側の光を相当量透過していることがわかる。
【0111】
次に、上記構造式(II)のフタロシアニン染料、及び530nmでの透過率が95%であり450nmでの透過率が0%のイエローの水溶性染料(C.I.アシッドイエロー1)を、2.6:2.4の割合で混合した63.5ppmりん酸系緩衝液溶液を作製した。この染料溶液のCIE色度図におけるx値及びy値は各々(0.310、0.520)であり、また刺激値Yは(67)であった。またこの溶液の透過スペクトルを図6に(iii)として示す。
【0112】
この結果から、前記構造式(III)で示されるフタロシアニン染料の水溶液と、前記構造式(II)で示されるフタロシアニン染料とC.I.アシッドイエロー1の混合水溶液とでは、同じ色度を示すにも関わらず、明度が約20%も高いことがわかる。またこのことは、図6の透過スペクトルにおいて、透過率のピーク値が、曲線(ii)よりも曲線(iii)の方が高いことからもわかる。
【0113】
反対に、これら2種の水溶液を同一明度(Y値)となるように調整した場合には、上記(II)の染料及びC.I.アシッドイエロー1の混合水溶液のx,y色度の値のうちのy値が大きくなる、即ち色再現範囲が広いものとなる。
【0114】
本発明のインクジェット記録用インクは、上記混合水溶液で示されるように、特定の色度特性を有する水溶性染料Aを特定の分光特性を有する水溶性染料Bで調色することにより、従来のグリーン染料を用いた場合に比較して、明度が高く、色再現範囲が広いが、当該傾向は、インク受容層を着色してカラーフィルタを形成する場合、及び、硬化型インクとして直接硬化させてカラーフィルタを形成する場合においても同様に再現することができ、透過率が高く色再現範囲の広いグリーンフィルタを形成することができる。
【0115】
(実施例2、比較例1)
60×150μmの大きさの開口部を多数配列させたブラックマトリクスを備えたガラス基板上に、インク受容層としてN−メチロールアクリルアミドとヒドロキシエチルメタアクリレートとを重量比で5:5の割合で重合させた共重合体からなる硬化性樹脂組成物を、乾燥膜厚1μmとなるようにスピンコートし、90℃で20分間プリベークを行なった。次いで、インクジェットプリンタヘッド、及び下記の組成の赤(R)インク、グリーン(G)インク及びブルー(B)インクを用いて、R、G及びBの画素を描画した。描画条件は、1吐出動作で吐出されるインク量が平均で約30ngであるインクジェットヘッドを用いて、インクドット間ピッチが約20μmとなるように設定した。
【0116】
次いでインク受容層を220℃で30分間ベーキングしてインク受容層を硬化させ、乾燥させた後、硬化、乾燥させたインク受容層上に2液型のアクリル系硬化型樹脂(日本合成ゴム(株)製「SS−7625」)を乾燥膜厚が1.2μmとなるようにスピンコートし、230℃、50分間加熱処理して硬化させ、液晶パネル用カラーフィルタを作製した。
【0117】
Figure 0003984725
【0118】
評価方法
評価1:グリーンフィルタの刺激値Y、x値及びy値の測定
オリンパス光学(株)製の顕微分光光度計「OSP−SP200」を用いて得られたグリーンフィルタの透過率を測定することにより刺激値(明度)Yを測定した。測定波長領域は380〜780nm(5nm毎に透過率を測定)、光源はC光源、測定スポット径は50nmで実施した。また同様にして測定した刺激値X及びZを用いて、CIE色度図におけるx値及びy値を算出した。その結果を表3に示す。
【0119】
評価2:グリーンフィルタの色彩性の官能評価
上記のようにして作製された各カラーフィルタを用いて液晶パネルを作製し、グリーン画素のみ点灯させて目視により色調を評価した。その結果を表3に示す。
【0120】
【表2】
Figure 0003984725
【0121】
【表3】
Figure 0003984725
【0122】
【化9】
Figure 0003984725
【0123】
上記式中、Zn−Pcは亜鉛フタロシアニン骨格を示す。g=1又は2、h=1又は2、但し、g+h≦3である。
【0124】
【化10】
Figure 0003984725
【0125】
上記式中、Zn−Pcは亜鉛フタロシアニン骨格を示す。k=1又は2、m=0,1又は2、n=1又は2、但し、k+m+n≦4である。
【0126】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、色再現性と光透過性とを極めて高いレベルで両立させたグリーン画素を備えたカラーフィルタを得ることができる。また色再現性と光透過性とを極めて高いレベルで両立させたグリーンの画素を備えたカラーフィルタを低コストで製造することが可能となる。
【0127】
また本発明によれば、より一層優れたカラー表示特性を備えたカラー液晶パネルを得ることができ、さらにまた本発明によれば、画像表示部のカラー表示特性が極めて良好なコンピュータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカラーフィルタの製造方法の一実施形態の工程図である。
【図2】図1で形成したカラーフィルタを組み込んだ液晶パネルの一実施形態の断面模式図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの製造方法の他の実施形態の工程図である。
【図4】図2で形成したカラーフィルタを組み込んだ液晶パネルの一実施形態の断面模式図である。
【図5】CIE色度図を示す図である。
【図6】実施例1における各種染料水溶液の透過スペクトルである。
【図7】本発明の液晶パネルの他の実施形態の断面模式図である。
【図8】本発明の液晶パネルのさらに他の実施形態の断面模式図である。
【図9】本発明の液晶パネルを画像表示部として備えたコンピュータの概略斜視図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 ブラックマトリクス
3 インク受容層
4 フォトマスク
5 非着色部
6 未露光部
7 インクジェットヘッド
8R、8G、8B 着色インク
9R、9G、9B 着色部
10 保護層
12 共通電極
13 配向膜
21 対向基板
22 画素電極
23 配向膜
24 液晶化合物
25 バックライト光
31 支持基板
32 ブラックマトリクス
33 インクジェットヘッド
34R、34G、34B 硬化型インク
35R、35G、35B 着色部
36 保護層
1001 コンピュータ
1003 画像表示部

Claims (8)

  1. CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A下記分光特性を有する水溶性染料Bとを重量比で5:5〜8:2の割合で水性媒体とともに含むことを特徴とするインクジェット記録用インク。
    水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2HPO4・12H2O:60mmol/リットル、K2PO4:16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280であり、下記一般式(I)で示される構造を有するフタロシアニン系染料である。
    Figure 0003984725
    (上記式中、Zn−Pcは亜鉛フタロシアニン骨格を表わす。a=1又は2、b=0,1又は2、c=1又は2、但し、a+b+c≦4である。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、Lは−OH又は−NH 2 を示し、M 1 及びM 2 は各々独立して1価のアルカリ金属を示す。)
    水溶性染料B:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2HPO4・12H2O:60mmol/リットル、K2PO4:16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下であり、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー19、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー44、C.I.アシッドイエロー104、C.I.アシッドイエロー110、C.I.アシッドイエロー127、C.I.アシッドイエロー141、C.I.アシッドイエロー169、C.I.アシッドイエロー176、C.I.アシッドイエロー184、C.I.アシッドイエロー235、C.I.アシッドイエロー246、C.I.ダイレクトイエロー9、C.I.ダイレクトイエロー10、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー39、C.I.ダイレクトイエロー50、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー84、C.I.ダイレクトイエロー87、C.I.ダイレクトイエロー90、C.I.ダイレクトイエロー98、C.I.ダイレクトイエロー137、C.I.ダイレクトイエロー144、C.I.ダイレクトイエロー147、C.I.リアクティブイエロー1、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブイエロー18、C.I.リアクティブイエロー49、C.I.リアクティブイエロー79、C.I.リアクティブイエロー81、C.I.リアクティブイエロー99、C.I.リアクティブイエロー135及びC.I.リアクティブイエロー220から選ばれる少なくとも1種である。
  2. 上記水溶性染料AのXYZ表色系(JIS Z8701)に基づいて得られる刺激値Yが45以上である請求項1記載のインクジェット記録用インク。
  3. 上記水溶性染料Aが下記構造式(II)で示されるフタロシアニン染料である請求項1または2に記載のインクジェット記録用インク。
    Figure 0003984725
    (上記式中、Zn−Pcは亜鉛フタロシアニン骨格を表わす。a=1又は2、b=0,1又は2、c=1又は2、但し、a+b+c≦4である。)
  4. 光透過性基板上にパターン状に緑色の画素を具備しているカラーフィルタにおいて、該緑色の画素が、CIE色度図において下記のようなx及びy色度特性を有する水溶性染料A下記分光特性を有する水溶性染料Bとを重量比で5:5〜8:2の割合で含んでいることを特徴とするカラーフィルタ。
    水溶性染料A:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2HPO4・12H2O:60mmol/リットル、K2PO4:16mmol/リットル)中で、色度yが0.520の時にxが0.190〜0.280であり、下記一般式(I)で示される構造を有するフタロシアニン系染料である。
    Figure 0003984725
    (上記式中、Zn−Pcは亜鉛フタロシアニン骨格を表わす。a=1又は2、b=0,1又は2、c=1又は2、但し、a+b+c≦4である。Rは炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示し、Lは−OH又は−NH 2 を示し、M 1 及びM 2 は各々独立して1価のアルカリ金属を示す。)
    水溶性染料B:りん酸系緩衝液(pH:7.5、Na2HPO4・12H2O:60mmol/リットル、K2PO4:16mmol/リットル)中で波長530nmの光の透過率が95%以上、波長450nmの光の透過率が50%以下であり、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー19、C.I.アシッドイエロー23、C.I.アシッドイエロー44、C.I.アシッドイエロー104、C.I.アシッドイエロー110、C.I.アシッドイエロー127、C.I.アシッドイエロー141、C.I.アシッドイエロー169、C.I.アシッドイエロー176、C.I.アシッドイエロー184、C.I.アシッドイエロー235、C.I.アシッドイエロー246、C.I.ダイレクトイエロー9、C.I.ダイレクトイエロー10、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトイエロー39、C.I.ダイレクトイエロー50、C.I.ダイレクトイエロー58、C.I.ダイレクトイエロー84、C.I.ダイレクトイエロー87、C.I.ダイレクトイエロー90、C.I.ダイレクトイエロー98、C.I.ダイレクトイエロー137、C.I.ダイレクトイエロー144、C.I.ダイレクトイエロー147、C.I.リアクティブイエロー1、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブイエロー18、C.I.リアクティブイエロー49、C.I.リアクティブイエロー79、C.I.リアクティブイエロー81、C.I.リアクティブイエロー99、C.I.リアクティブイエロー135及びC.I.リアクティブイエロー220から選ばれる少なくとも1種である。
  5. 上記水溶性染料AのXYZ表色系(JIS Z8701)に基づいて得られる刺激値Yが45以上である請求項記載のカラーフィルタ。
  6. 請求項4または5に記載のカラーフィルタ及び該カラーフィルタに対向配置されている光透過性基板を有し、該カラーフィルタと該光透過性基板との間に液晶化合物が封入されていることを特徴とする液晶パネル。
  7. 請求項に記載の液晶パネルを画像表示部として備えていることを特徴とするコンピュータ。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のインクジェット記録用インクをインクジェット法を用いて光透過性基板に向けて吐出させ、該基板上の所定の位置に付着させて、着色画素を形成する工程を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
JP26434098A 1997-09-22 1998-09-18 インクジェット記録用インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法 Expired - Fee Related JP3984725B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26434098A JP3984725B2 (ja) 1997-09-22 1998-09-18 インクジェット記録用インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-255861 1997-09-22
JP25586197 1997-09-22
JP26434098A JP3984725B2 (ja) 1997-09-22 1998-09-18 インクジェット記録用インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11158431A JPH11158431A (ja) 1999-06-15
JP3984725B2 true JP3984725B2 (ja) 2007-10-03

Family

ID=26542446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26434098A Expired - Fee Related JP3984725B2 (ja) 1997-09-22 1998-09-18 インクジェット記録用インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3984725B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4538220B2 (ja) * 2003-12-16 2010-09-08 東洋インキ製造株式会社 カラーフィルタ用赤色着色組成物およびカラーフィルタ
JP2007171656A (ja) * 2005-12-22 2007-07-05 Fujifilm Corp カラーフィルタ及びその製造方法並びに液晶表示装置
JP5858835B2 (ja) * 2012-03-16 2016-02-10 新日鉄住金化学株式会社 カラーフィルター用紫外線硬化性インキ受容層及びカラーフィルターの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11158431A (ja) 1999-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0947563B1 (en) Ink, color filter, liquid crystal panel, and computer, and process for producing color filter
US6533852B2 (en) Recording ink, method for ink jet recording, method for producing color filter, color filter, method for producing liquid crystal display panel, liquid crystal display panel, and yellow ink
JP3969884B2 (ja) インク、カラーフィルター、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルターの製造方法
US6248482B1 (en) Ink, color filter, liquid crystal panel, and computer, and process for producing color filter
JPH0829771A (ja) カラーフィルタ、その製造方法、及びカラーフィルタを備えた液晶パネル
US6063174A (en) Ink for use in ink-jet recording, color filter, liquid crystal panel, computer and method for producing color filter
JP2002265834A (ja) 記録用インク、インクジェット記録方法、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ及び液晶ディスプレイパネル
JP4261657B2 (ja) カラーフィルタの製造方法
JPH0815522A (ja) カラーフィルタ、その製造方法、及びカラーフィルタを備えた液晶パネル
JPH11302283A (ja) フタロシアニン化合物、インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法
JPH08327811A (ja) カラーフィルタ用インク、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法および液晶パネル
JP3984725B2 (ja) インクジェット記録用インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法
JPH08179110A (ja) カラーフィルタ、その製造方法及び液晶パネル
JP2001288393A (ja) 記録用インク、インクジェット記録方法、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ、液晶ディスプレイパネルの製造方法、液晶ディスプレイパネル、及び黄色インク
JP2000147241A (ja) カラ―フィルタの製造方法、この製造方法で製造されたカラ―フィルタを用いた液晶素子及びインクジェットヘッド
JPH08327998A (ja) カラーフィルタ用インク、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法および液晶パネル
JPH08230314A (ja) カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ及びこれを用いた液晶パネル
JP2002212471A (ja) インク、カラーフィルターとその製造方法、液晶パネル、コンピュータ及び画像表示デバイス
JP2002302626A (ja) 記録用インク、インクジェット記録方法、カラーフィルタの製造方法、液晶ディスプレイパネルの製造方法及び液晶ディスプレイパネル
JPH0829777A (ja) カラーフィルタ、その製造方法、及びカラーフィルタを備えた液晶パネル
JP3969885B2 (ja) インク、カラーフィルタ、液晶パネル、コンピュータ及びカラーフィルタの製造方法
JPH0894821A (ja) カラーフィルタ、その製造方法、及びカラーフィルタを備えた液晶パネル
JPH08211219A (ja) カラーフィルタ、その製造方法、カラーフィルタを備えた液晶パネル、及びカラーフィルタ用インク
JP2001214096A (ja) 記録用インク、インクジェット記録方法、カラーフィルタの製造方法、被膜性インク、液晶ディスプレイパネルの製造方法、及び、液晶ディスプレイパネル
JPH08327812A (ja) カラーフィルタ用インク、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法および液晶パネル

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050517

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070619

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070709

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100713

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110713

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120713

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120713

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130713

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees