JP3983633B2 - 研削用砥石及び研削方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなる被研削体を研削するための研削用砥石及び当該研削用砥石を用いた研削方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコンインゴットから切り出されたシリコンウエーハを仕上げ加工してシリコンウエーハの表面を鏡面とするためには、ウエーハ表面に研磨用の遊離砥粒と酸あるいはアルカリ等の薬液とを含むスラリーを供給しながら研磨布によって研磨(ポリッシング)する手法が知られている。
【0003】
前記研磨用の遊離砥粒としては、例えばシリカ粒子が一般的に使用される。この場合、シリコンに対してシリカ粒子を吹き付けたときの摩擦による物理的な研磨作用だけでなく、例えばシリコン表面にシリカ粒子が接触したときの摩擦熱により化学的な研磨作用(メカノケミカル作用)が得られ、シリコンウエーハの表面を精度良く研磨でき、鏡面化を実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記スラリー中にはアルカリ溶液あるいは酸などの薬液が含まれているので薬液に対して中和処理などの廃液処理を行う必要があり、しかも研磨処理中はスラリーが供給され続けていることからスラリーの使用量が多く、このため廃液処理の負荷が大きく、廃液処理のコストが高くなってしまう。またスラリーの使用量が多いことから遊離砥粒の使用量も多くなり、この遊離砥粒の処理のためのコストも高くなってしまう。
【0005】
一方、廃液処理の負荷を軽減するため遊離砥粒に替えて微細なシリカ粒子を例えばフェノール樹脂中に分散せしめ、このフェノール樹脂を固化成形して固定砥粒とした砥石を用いて研削することも検討されている。この場合、研削中の目詰まりや過熱を防止するために砥石とウエーハとの接触部分に例えば純水からなる研削水を供給して研削屑を洗い流しながら研削が行われる。このように研削水を供給すると冷却作用と共にウエーハの表面のシリコンに水酸基(OH)が結合し、当該表面が多量の水酸基で覆われてしまうが、シリカ粒子とシリコンとのメカノケミカル反応は適温下において、空気中の酸素が介在することにより促進されると考えられているので、多量の水酸基の存在および温度低下によりメカノケミカル作用が低下して研削速度が遅くなり、また鏡面化の研削精度が悪くなるといった問題が懸念される。更にまたシリカ粒子として粉砕した不定形シリカや凝集シリカなどが用いられているので表面にスクラッチが発生する懸念もあり、現実には固定砥粒の実施化が阻まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的はシリコン又はシリコンを主成分とする材料からなる被研削体を研削処理する場合に、迅速かつ高精度な研削ができると共に、研削時に発生する廃液が少ない研削用砥石及び当該砥石を用いた研削方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の研削用砥石は、シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなる被研削体の被研削面に対して、研削用砥石の研削面を押圧するように前記研削用砥石を支持し、前記被研削体の表面において、前記研削用砥石との接触部位よりも外れた部位に研削水を供給すると共に、前記被研削体と前記研削用砥石とを相対的に回転させて、前記研削用砥石の研削面に研削水が接触する前に、前記被研削体の回転によって、前記被研削体の表面から研削水が吹き飛ばされ或いは撥水されて水分が殆ど残らない状態で被研削体の研削を行う研削方法に用いられる研削用砥石であって、
ポリビニルアルコールの一部を耐水化して得た多孔性の樹脂からなる砥粒結合体と、
この砥粒結合体中に分散され、平均粒径が0.1μm〜10μmの球状の溶融シリカ粒子からなる砥粒と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の砥石によれば、砥粒(シリカ粒子)と被研削体の表面とが接触する点において、摩擦熱が発生し、また圧力が高いことからシリカとシリコンとの固相反応が進行し、研削が進んでいく。また空気中の酸素が被研削体のシリコンの未結合手に結合してこの反応を一層促進すると考えられる。
本発明で用いる砥粒は球状の溶融シリカ粒子を用いており、更にまた砥粒結合体としてポリビニルアルコールを用いているので硬度がフェノール樹脂などに比べて小さく、そのためこのポリビニルアルコールを用いたことによる砥粒結合体のいわば緩衝作用により砥粒が研削時に砥粒結合体側に適度に潜り込もうとし、局所的に接触圧が高くなることが抑えられるので、スクラッチが形成されにくい。
一方ポリビニルアルコール樹脂は親水性、吸水性であるが、このままでは強度が小さくまた水分を吸収して膨潤するので、本発明ではポリビニルアルコールの一部を例えばアセタール化や疎水性樹脂によるコーティングを行うことによって耐水化して砥粒結合体として用いている。この砥粒結合体において耐水化されていないポリビニルアルコールの部分は親水性、吸水性があるので、例えば被研削体の表面に研削水を供給して研削を行うときに、被研削体のシリコン表面及びシリカ粒子表面に接触する水分量は少なく、従ってそれらの表面に吸着される水酸基の量が少なくなる。この水酸基は上述の固相反応における酸素の介入を阻止すると考えられるので、水酸基の量が少なくなることにより固相反応が低下することが抑えられて化学的研削が促進される。この結果短い研削時間で高精度な研削処理を行うことができる。そして砥粒は遊離砥粒としてではなく砥石中に含まれる固定砥粒をなすものであるから研削を行う際の廃液処理の負荷が小さい。
【0009】
砥石中のポリビニルアルコールの含有率は例えば2体積%〜10体積%に調整される。また砥石中の砥粒の含有率が例えば20体積%〜50体積%に調整される。更に砥石の気孔率は例えば30%以上とされる。
【0010】
本発明の研削方法は、上述の研削用砥石を用いて研削水を供給しながらシリコン又はシリコンを主成分とする材料からなる被研削体を研削することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1を用いて説明する。図1は、本発明にかかる研削用砥石1の断面を微視的にとらえ、それを模式的に示したものである。図中10は、例えば煙霧シリカや微細粒子シリカが例えば溶融炉に噴霧供給され、このシリカが加熱溶融されて得られる球状の溶融シリカ粒子からなる砥粒である。この砥粒10は平均粒径が例えば0.1〜10μmのものが用いられ、前記研削用砥石1に対して当該砥粒10の含有率が例えば20体積%〜50体積%になるようにして、バインダ材である多孔性のポリビニルアルコール樹脂を含む砥粒結合体11中に分散されている。このポリビニルアルコール樹脂は親水性、吸水性であるが、このままでは強度が小さくまた水分を含むと膨潤してしまうので、砥石作製時において原料のポリビニルアルコール(PVA)の一部を耐水化例えばアセタール化せしめて例えばポリビニルアセタール(PVAt)とし、かつ疎水性樹脂であるフェノール樹脂によりコーティングすることで当該砥粒結合体11に強度をもたせている。そして砥粒結合体11には、例えば研削用砥石1に対して気孔率が30体積%以上、好ましくは60体積%〜80体積%の範囲内になるようにして連通する泡状の気孔12が形成されており、この気孔12の平均径は例えば50μm以上である。
【0012】
ここで研削用砥石1の製造方法の一例について簡単に説明する。先ず、ポリビニルアルコールを20重量%含む水溶液に対して、例えばホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)を加え、次いで砥粒10および液状フェノールを加えて原料液を調製する。次いでこの原料液を撹拌混合すると、ポリビニルアルコールの一部がアセタール化してポリビニルアセタールが生成することにより、ポリビニルアルコール樹脂が耐水化されると共に、このアセタール化反応により原料液がゲル化して反応生成物の析出と共に相分離が起き、後に砥粒結合体11となる部分に微細気孔が形成されることとなる。そして十分に撹拌混合されると、前記ポリビニルアルコールの重量と同程度の塩酸を加え、その後成形型に流し込んで例えば50℃で24時間かけて固化させる。しかる後、水洗浄を行って残存する酸を洗い流し、150℃で5時間程度の乾燥を行うことにより、例えば図2に示すような円環状の研削用砥石1が形成される。なお、前記コーティングに用いる疎水性樹脂はフェノール樹脂に限定されず、例えばメラミン樹脂であってもよい。更に前記耐水化とする手法は、アセタール化あるいはコーティングのいずれか一つであってもよい。
【0013】
次いで上述の研削用砥石1を用いて被研削体例えば半導体用のシリコンウエーハ2の表面を研削するための研削装置3の一例について図3を用いて簡単に説明する。図3(a)は平面図、(b)は縦断面図を示している。図中30はシリコンウエーハ2を載置するための被処理体支持部であるターンテーブルであり、このターンテーブル30は図示しない駆動機構により鉛直軸回りに回転可能なように構成されている。またターンテーブル30の上方側には、当該ターンテーブル30にチャック30aを介して吸着載置されたシリコンウエーハ2に対して、その研削面を押圧するようにして例えば図2記載の研削用砥石1を支持するための砥石支持手段31が設けられている。この砥石支持手段31は図示しない駆動機構により研削用砥石1を鉛直軸回りに回転可能なように構成されている。また図中32は、研削時にシリコンウエーハ2の表面に研削水を供給するための給水ノズルである。このような研削装置3では、各駆動機構により研削用砥石1とシリコンウエーハ2とを相対的に回転させ、更にシリコンウエーハ2の表面において研削用砥石1との接触部位よりも外れた部位に給水ノズル32から研削水を供給し、シリコンウエーハ2の表面を洗浄しながら研削用砥石1をシリコンウエーハ2の表面に押圧して研削する。
【0014】
続いて研削用砥石1がシリコンウエーハ2を研削する様子について説明する。この実施の形態の研削用砥石1は、砥粒結合体11としてポリビニルアルコール樹脂を用いており、このポリビニルアルコール樹脂は軟質であるため研削用砥石1の研磨面(砥石表面)をシリコンウエーハ2の表面に押圧すると、研磨面にある砥粒10は、砥粒結合体11の緩衝作用により当該砥粒結合体11中に潜り込んで、そのため研磨面に分散している砥粒10群の各々の接触圧が面内である程度揃った状態で砥粒10がシリコンウエーハ2に接触する。そしてシリコンウエーハ2と研削用砥石1とが相対的に摺動されて研削されることとなるが、このとき砥粒10である球状の溶融シリカ粒子がシリコンウエーハ2の表面に点接触し、その接触点は圧力が高く、また摩擦により発熱した状態になる。このため砥粒10による擦過作用に加えて、砥粒10の成分であるシリカ(SiO)とシリコンウエーハ2上のシリコン(Si)との固相反応が進行し、いわばメカノケミカル作用によってシリコンウエーハ2上のシリコンが研削され、鏡面が形成されていく。この固相反応は実験によれば湿式で研削するよりも乾燥状態の方が反応速度が早い。即ち、既述のようにこの固相反応は酸素の存在により促進するが、その反応過程には酸素がシリコンの未結合手と結合することが含まれると考えられ、水分が存在するとシリコンに水酸基(OH)が結合し、研磨用砥石1の温度低下を招き、酸素の結合が阻害されると推測される。従って乾燥状態下で研削を行うことが好ましいが、研磨面の過熱およびシリコンの削り滓が気孔12に入り込んで砥石研削用砥石1の目詰まりを起こすことを防ぐために、研削水例えば純水を供給する場合には、シリコンウエーハ2および砥粒10の表面に水酸基が付着してしまう。しかし砥粒結合体11として一部が耐水化された多孔性のポリビニルアルコール樹脂を用いていることから水分の影響を受けにくい。これは次のように考えられる。即ち、砥粒結合体11には耐水化されていないポリビニルアルコール樹脂が残っていて、その部分は親水性、吸水性があり、このため水分は砥粒10、砥粒結合体11およびシリコンウエーハ2のうち親水性のポリビニルアルコール樹脂を含む砥粒結合体11に付着し、更に毛管現象により多孔性の砥粒結合体11内に浸透する。そしてこの水分はポリビニルアルコール樹脂がその分子構造内に有する水酸基と分子間引力により互い引き合って当該砥粒結合体11に保水され、その結果シリコンウエーハ2および砥粒10の表面に付着する水酸基の量が少なくなり、酸素の介在を阻害する程度が小さくなる。
【0015】
上述の実施の形態によれば、砥粒10とシリコンウエーハ2の表面とが接触する点において、熱および圧力が高い状態で固相反応が進行して研削が進んでいくので、短い研削時間で高精度な研削処理を行うことができる。また研削時に水分が存在しても砥粒結合体11には親水性、吸収性のあるポリビニルアルコール樹脂の部分が存在するので、水分による固相反応の進行の阻害を抑えることができ、早い研削速度を維持することができる。そして砥粒は、遊離砥粒としてではなく研磨用砥石1中に含まれる固定砥粒をなすものであるから薬液を必要とせず、また使用する砥粒の量も少ない。このため研削により発生する廃液や使用済みの砥粒の量が少なくなるので、廃液処理の負荷を小さくすることができる。
【0016】
また更に上述の実施の形態によれば、砥粒10に球状の溶融シリカ粒子を用いているので、角張った不定形シリカ粒子を用いる場合に比べてスクラッチが形成されにくい。更に砥粒結合体11としてポリビニルアルコール樹脂を用いているので硬度がフェノール樹脂、タルクなどに比べて小さく、そのため局所的に高い接触圧が発生することが抑えられ、その結果、後述する実施例からも明らかなようにシリコンウエーハ2の表面におけるスクラッチの発生防止の上で有利であり、高精度な鏡面とすることができる。
【0017】
ここで砥粒10として球状の溶融シリカ粒子に替えて、例えば極微細なシリカ粒子を凝集せしめて形成される球状の凝集シリカを用いると、この凝集シリカは溶融シリカに比して押圧した際に砕けて形状が崩れてしまい易く、そうするとシリコンウエーハ2に対する砥粒10の接触面積が大きくなり、単位面積あたりの接触圧が小さくなって研削能力が落ちてしまうので接触圧を大きくするなど制御が面倒になる。また砕けたシリカ片が前記毛管現象がおこる砥粒結合体11の気孔を塞ぐなどして砥粒結合体11の吸水力が低下する。更に凝集シリカは極微細なシリカ粒子の集合体であることから、その内部に僅かながら空隙が残っており、この空隙内に水分が浸透して凝集シリカ粒子自体を湿らせる。このように凝集シリカ粒子内部にまで浸透してしまうと砥粒結合体11では吸水することができず、砕けた際に湿った表面が現れて固相反応の進行が低下することも考えられる。このような理由から球状の溶融シリカは球状の凝集シリカに対して格段に優れている。
【0018】
また、砥粒10の平均粒径が1μm以下になると砥粒10が砥石結合体11中に安定分散しにくいといった理由から砥石の作製が困難になると一般的に言われているが、本実施例にあっては砥粒10に球状の溶融シリカ粒子を用いることにより、例えば表面に凸凹のある粉砕シリカなどと比べて流動性がよいことから0.1μmのものであっても砥粒結合体11中に高密度化させて研削用砥石1を作製することが可能であることを試作により確認している。このため砥粒結合体11の砥粒保持力が高くなるので研削用砥石1の研削能力が高い。ここで砥粒10の平均粒径は0.1μm〜10μmであれば本発明の効果を得ることができるが、砥粒10の平均粒径が小さすぎると前記した理由が顕著に表れて研削用砥石1の作製が難しくなり、また粒径が大きすぎると研削精度が粗くなることから、研削用砥石1の作製および研削処理面の鏡面化をより確実なものとするためには、砥粒10は平均粒径を0.2〜3μmとするのが好ましい。
【0019】
更にまた、前記研磨用砥石1中のポリビニルアルコールの占める割合が2体積%よりも低い場合、ポリビニルアルコール樹脂による網目構造を確保できない理由から砥石の成形が難しく、また親水性が低くなる。また10体積%よりも大きくすると、ポリビニルアルコール樹脂による接触が増え、摩擦抵抗が大きくなり駆動機構が大型化する。そのため研磨用砥石1中のポリビニルアルコールを2体積%〜10体積%とするのが好ましい。
【0020】
本発明の研削用砥石1においては、球状の溶融シリカ粒子を用いているので研削時に砥粒10が砕けてしまうことが少なく、そのため研削面の目詰まりが起こり難いので、研削時に研削水を供給しないで研削するようにしてもよい。その場合、摩擦熱により過熱しすぎるのを抑えるための、例えば温調され、更には湿度調整された冷却用のエアーをシリコンウエーハ2の表面に供給するなどの冷却手段を設け適度に冷却するようにしてもよい。
【0021】
また、シリコンウエーハ2表面の清浄化のために、研削水を供給しながら研削する方法として、研削水例えば純水を用いて図3(a)に示すように、研削用砥石1との接触部から抜け出た位置のシリコンウエーハ2の表面に向かって研削用砥石1との間に所定の間隔を空けるようにして、研削用砥石1に直接かからないように研削水を噴射させるようにしてもよい。これにより、研削後研削待機中のシリコンウエーハ2の表面を効果的に洗浄できると共に、洗浄された部分が次に研削用砥石1との接触部に入るときにはシリコンウエーハ2の表面からは水が吹き飛ばされ或いは撥水されて水分が殆ど残らない状態で研削が行われるため、水分によるメカノケミカル作用を阻害することもなくなる。なお、研削用砥石1の大きさや、回転方向は図3(a)に示すもののみに限定されない。
【0022】
【実施例】
続いて本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
本例は本発明の研削用砥石1を既述の手法にて調製し、半導体用のシリコンウエーハ2を被研削体にして既述の研削装置3を用いて研削試験を行った例である。具体的な調製条件については、20重量%のポリビニルアルコール水溶液1300gと、アセタール化反応用のホルマリン300gと、平均粒径が1μmの砥粒10が1500gと、コーティング用の液状フェノール(固形分50重量%)600gと、発泡に必要な成分や結合助剤等を含むフィラー150gと、水1375gを充分に混合した後、50重量%の塩酸を300g加えて成形型に流し込み、50℃で24時間かけて固める。そしてこの成形型中の塩酸を十分に水洗いして取り除いた後、150℃で5時間乾燥させて研削用砥石1を得る。このようにして調製した研削用砥石1を図4に示すように砥石支持手段31にセットし、給水ノズル32から洗浄水である純水を1リットル/minで供給すると共に、研削用砥石1を100rpm、シリコンウエーハ2を30rpmの回転数で相対的に回転させながら10分間研削を行った。このときシリコンウエーハ2の中央部に研削残り20を作って研削後に段差Lの高さを測定し、計算により研削レートを求めた。また研削処理面を観察してスクラッチの有無、および面粗さを確認した。なお面粗さについては触針式粗さ計により確認した。調製した砥石に対するポリビニルアルコール樹脂、フェノール樹脂、砥粒等の夫々の組成(体積比率)を図5に示し、研削試験の結果を図6に示す。
【0023】
(比較例1)
本例は、砥粒、気孔およびフェノール樹脂は略同程度の体積比率を有するが、ポリビニルアルコール樹脂を含まずタルクを含む例である。タルクは層状構造の含水マグネシウムケイ酸塩であり、ポリビニルアルコール樹脂に比べると僅かではあるがこの層間にある程度の吸水性を有している。また硬度はポリビニルアルコール樹脂に比べて大きい。具体的な調製条件を以下に示す。先ずタルク370gと、平均粒径が1μmの砥粒10が1500gと、液状フェノール(固形分50重量%)650gと、食塩140gとを充分に混合した後、成形型に流し込み、50℃で24時間かけて固める。この固化したものを温水に浸して食塩を溶解分離させることで気孔を形成させて実施例1と同程度の高気孔率を得た。その後150℃で5時間乾燥させて砥石を得る。調製した砥石に対するフェノール樹脂、タルク、砥粒等の夫々の組成(体積比率)を図5に示し、研削試験の結果を図6に示す。
【0024】
(実施例1および比較例1の考察)
図6に示すように、実施例1では研削レートが0.3μm/minであるのに対し、ポリビニルアルコール樹脂を含まない比較例1では、研削レートは0.05μm/minで実施例1の1/6程度である。また研削面の面粗さは実施例1では平均粗さ(Ra)が0.5〜3nmであるのに対し、比較例1ではシリコンウエーハに対して別の研削装置を用いて粗削りしたときの前加工面が残っている。即ち、ポリビニルアルコール樹脂を含む砥粒結合体11を用いることにより、短い研削時間で高精度な研削が行えることが確認された。また比較例1ではスクラッチが発生しているが実施例1ではスクラッチがない。即ち、シリコンウエーハ2の表面が傷つかないことが確認された。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなる被研削体を研削処理する場合に、この被研削体および砥粒の表面に接触する水酸基の量が抑えられて研削面での固相反応が盛んになされることにより、迅速かつ高精度な研削ができると共に、砥粒として球状の溶融シリカ粒子を用いかつポリビニルアルコール樹脂を含む砥粒結合体を用いているのでスクラッチが発生しにくく、更に研削時に発生する廃液の量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る研削用砥石の断面を示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る研削用砥石の外観形状を示す斜視図である。
【図3】上記研削用砥石を用いた研削装置の一例を示す概観図である。
【図4】本発明の効果を確認するために行った実施例を示す説明図である。
【図5】本発明の効果を確認するために行った実施例を示す特性図である。
【図6】本発明の効果を確認するために行った実施例を示す特性図である。
【符号の説明】
1 研削用砥石
10 砥粒
11 砥粒結合体
12 気孔
2 シリコンウエーハ

Claims (10)

  1. 被研削体と砥粒との間における固相反応が研削水中の水分によって阻害されることを抑えるために、ポリビニルアルコールの一部を耐水化して得た多孔性の樹脂からなる砥粒結合体と、この砥粒結合体中に分散され、平均粒径が0.1μm〜10μmの球状の溶融シリカ粒子からなる砥粒と、を備えた研削用砥石を用い、シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなる被研削体を研削する研削方法であって、
    前記被研削体を支持部上に載置する工程と、
    前記被研削体の被研削面に対して、前記研削用砥石の研削面を押圧するように前記研削用砥石を支持する工程と、
    前記被研削体の表面において、前記被研削体と研削用砥石との接触部位よりも外れた部位に研削水を供給すると共に、前記被研削体と前記研削用砥石とを相対的に回転させて、前記研削用砥石の研削面に研削水が接触する前に、前記被研削体の回転によって、前記被研削体の表面から研削水が吹き飛ばされ或いは撥水されて水分が殆ど残らない状態で被研削体の研削を行う工程と、を含むことを特徴とする研削方法。
  2. ポリビニルアルコールは、アセタール化及び疎水性樹脂によるコーティングのうちの少なくとも一方により耐水化されることを特徴とする請求項1記載の研削方法。
  3. 砥石中のポリビニルアルコールの含有率が2体積%〜10体積%であることを特徴とする請求項1又は2記載の研削方法。
  4. 砥石中の砥粒の含有率が20体積%〜50体積%であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の研削方法。
  5. 砥石の気孔率が30%以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の研削方法。
  6. シリコン又はシリコンを主成分とする材料からなる被研削体の被研削面に対して、研削用砥石の研削面を押圧するように前記研削用砥石を支持し、前記被研削体の表面において、前記研削用砥石との接触部位よりも外れた部位に研削水を供給すると共に、前記被研削体と前記研削用砥石とを相対的に回転させて、前記研削用砥石の研削面に研削水が接触する前に、前記被研削体の回転によって、前記被研削体の表面から研削水が吹き飛ばされ或いは撥水されて水分が殆ど残らない状態で被研削体の研削を行う研削方法に用いられる研削用砥石であって、
    前記被研削体と砥粒との間における固相反応が研削水中の水分によって阻害されることを抑えるために、ポリビニルアルコールの一部を耐水化して得た多孔性の樹脂からなる砥粒結合体と、
    この砥粒結合体中に分散され、平均粒径が0.1μm〜10μmの球状の溶融シリカ粒子からなる砥粒と、を備えたことを特徴とする研削用砥石。
  7. ポリビニルアルコールは、アセタール化及び疎水性樹脂によるコーティングのうちの少なくとも一方により耐水化されることを特徴とする請求項6記載の研削用砥石。
  8. 砥石中のポリビニルアルコールの含有率が2体積%〜10体積%であることを特徴とする請求項6又は7記載の研削用砥石。
  9. 砥石中の砥粒の含有率が20体積%〜50体積%であることを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の研削用砥石。
  10. 砥石の気孔率が30%以上であることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の研削用砥石。
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