JP3983039B2 - 電気機器のキャビネット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気機器のキャビネットに関し、具体的には機器の前面に位置するフロントパネル内にドアを設けたキャビネットに関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、従来のキャビネット(3)の斜視図である。キャビネット(3)は、機器の前面に配備されるフロントパネル(2)に、機器の内部を覆うトップリッド(30)を具えている。機器の内部には、記録媒体が挿入される収納室(31)が設けられ、フロントパネル(2)内には、複数の操作釦(21)(21)の他に、該収納室(31)の前面開口を覆い、手動で開閉されるドア(1)が設けられている。ドア(1)の上下端部からは夫々第1軸体(4)、第2軸体(40)が突出し、フロントパネル(2)に回動自在に嵌まる。
図9は、閉じたドア(1)を図7のB−B線を含む面にて破断した断面図である。ドア(1)は両軸体(4)(40)の他に、自由端部表面に摘み片(12)を、自由端部裏面に押込み片(10)を具えており、押込み片(10)の先端部には突起(11)が設けられている。フロントパネル(2)には該押込み片(10)に押されて弾性変形する爪片(50)が設けられ、爪片(50)は突起(11)と係合する。両軸体(4)(40)はフロントパネル(2)に開設された嵌合孔(20)に余裕が少ない状態で嵌まる。
図10は、ドア(1)を閉じる直前の状態を示す断面図である。押込み片(10)の突起(11)は一旦爪片(50)を側方に押して弾性変形させる。ドア(1)が更に押し込まれ、突起(11)が爪片(50)を擦りながら通過すれば、爪片(50)が弾性復帰して図9に示すように、突起(11)と係合する。これにより、ドア(1)はロックされる。
ドア(1)を開くには、摘み片(12)を把持して手前に引く。突起(11)は爪片(50)を撓み変形させ、突起(11)は爪片(50)に擦りながら、爪片(50)を通過し、ドア(1)が開く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ドア(1)を閉じる際に、爪片(50)を押して弾性変形させるが、この弾性変形させるのに必要な力が強いと、ドア(1)の開閉に大きな力を要し、開閉しにくくなる。また、突起(11)と爪片(50)との摩擦力が強いと、突起(11)又は爪片(50)が摩耗しやすくなるから、ドア(1)を何度も開閉すると、ドア(1)のロック動作が保証されない問題もある。
本発明の目的は、ドアを円滑に開閉し、且つドアのロック動作における保証範囲を広げることにある。
【0004】
【課題を解決する為の手段】
ドア(1)の自由端部又は該ドア(1)の自由端部に対向するパネル(2)上の箇所の何れか一方には、他方に押されて弾性変形し、該他方に係合する爪片(50)が設けられている。
第1軸体(4)と、該第1軸体(4)が嵌まる嵌合孔(20)の周縁との間には、ドア(1)が爪片(50)の弾性力に押された方向に第1軸体(4)が距離hだけ移動できる隙間Hが形成され、この距離hは爪片(50)の係り代よりも小さく設けられ、
第2軸体(40)は、隙間Hよりも小さな余裕をもって嵌合孔(20)に嵌まっている。
【0005】
【作用及び効果】
ドア(1)を閉じると、ドア(1)は爪片(50)の弾性力に押される。第1軸体(4)は距離hだけ移動できるが、第2軸体(40)は移動を規制され、ドア(1)は一旦第2軸体(40)を中心に傾く。爪片(50)はドア(1)又はパネル(2)と擦るが、ドア(1)は第1軸体(4)の移動に伴って、爪片(50)との摩擦箇所から逃げる方向に動いており、爪片(50)とドア(1)又はパネル(2)との摩擦力は従来よりも緩和される。
また、距離hは、爪片(50)の係り代よりも小さいから、ドア(1)が一旦距離hだけ逃げても、爪片(50)はドア(1)又はパネル(2)に必ず係合する。
爪片(50)がドア(1)又はパネル(2)を通過して、ドア(1)が閉じれば、爪片(50)とドア(1)又はパネル(2)とが係合する。該係合により、第1軸体(4)は内向きに付勢され、ドア(1)は第2軸体(40)を中心に傾いた状態から戻される。
爪片(50)と、ドア(1)又はパネル(2)との摩擦力は従来よりも緩和されるから、ドア(1)を円滑に開閉できる。また、爪片(50)と、ドア(1)又はパネル(2)の摩耗量が小さくなるから、ドア(1)のロック動作における保証範囲を広げることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一例を図を用いて詳述する。
図1は、本例に係わるキャビネット(3)の斜視図であり、ドア(1)を分離している。これは、電気機器、具体的には監視用カメラに接続されて該カメラの画像をフレーム毎にハードディスクに記録する機器のキャビネット(3)であり、従来と同様に、機器の前面に配備されるフロントパネル(2)に、機器の内部を覆うトップリッド(30)を具えている。機器の内部には、スマートメディア(商標)等の記録媒体が挿入される収納室(31)が設けられ、フロントパネル(2)内には、複数の操作釦(21)(21)の他に、該収納室(31)の前面開口を覆い、手動で開閉されるドア(1)が設けられている。ドア(1)の上下端部からは、夫々第1軸体(4)、第2軸体(40)が突出し、収納室(31)の前面開口の周縁部に開設された嵌合孔(20)(20)に夫々回動自在に嵌まる。ドア(1)は起立姿勢にて、パネル(2)に枢支されている。ドア(1)及びフロントパネル(2)は、合成樹脂で形成され、稍弾性を有する。
【0007】
(ドアの開閉動作)
図2は、開いたドア(1)を図1のB−B線を含む面にて破断した断面図である。ドア(1)は両軸体(4)(40)の他に、自由端部表面に摘み片(12)を、自由端部裏面に押込み片(10)を具えており、押込み片(10)の先端部には突起(11)が設けられている。フロントパネル(2)には該押込み片(10)に押されて弾性変形する爪片(50)が設けられ、爪片(50)は突起(11)と係合する。爪片(50)と突起(11)とで、ドア(1)のロック機構(5)を構成する。第2軸体(40)はフロントパネル(2)に開設された嵌合孔(20)に余裕が少ない状態で嵌まる。
第1軸体(4)が嵌まる嵌合孔(20)は、第1半円孔(20a)と、該第1半円孔(20a)と右端縁が合わさり、第1半円孔(20a)よりも大きな曲率半径を有する第2半円孔(20b)を具え、第1半円孔(20a)の左端縁と第2半円孔(20b)の左端縁は、隙間Hだけ離れている(図7(a)参照)。第1軸体(4)は第2軸体(40)よりも余裕のある状態で嵌合孔(20)に嵌まり、爪片(50)と突起(11)と係合する直前に、第1軸体(4)は隙間H内を動いて距離hだけずれることができる(図7(b)参照)。この距離hは、爪片(50)の突起(11)との係り代よりも小さく形成される。
【0008】
図3は、ドア(1)を閉じる直前の状態を示す断面図である。押込み片(10)の突起(11)は一旦爪片(50)を側方に押して弾性変形させる。ドア(1)は爪片(50)の弾性力により斜め左方に押され、第1軸体(4)は図7(b)に示すように、隙間H内を距離hだけ斜め左側に移動する。第2軸体(40)は嵌合孔(20)に余裕が少ない状態で嵌まっているから、ドア(1)は図4に示すように、第2軸体(40)を中心に反時計方向に回動する。爪片(50)は突起(11)と擦るが、ドア(1)は第1軸体(4)の移動に伴って、爪片(50)から逃げており、爪片(50)と突起(11)との摩擦力は従来よりも緩和される。従って、ドア(1)を円滑に開閉できる。また、爪片(50)と、突起(11)の摩耗量が小さくなるから、ドア(1)のロック動作における保証範囲が広がる。
距離hは、爪片(50)の係り代よりも小さいから、ドア(1)が一旦距離hだけ動いても、図3に示すように爪片(50)が突起(11)から外れることはない。
【0009】
爪片(50)が突起(11)を通過して、図5に示すように、ドア(1)が閉じれば、爪片(50)と突起(11)とが係合する。該係合により、図5にFで示すように、突起(11)に内向きの力が働くので、第1軸体(4)にも力Fが加わる。第1軸体(4)は図7(b)に示す位置から、第1半円孔(20a)の周縁に沿って斜め右側に動き、図7(a)に示す位置に達する。ドア(1)は第2軸体(40)を中心に傾いた状態から起立姿勢に戻される。ドア(1)はロックされた状態を保つ。
ドア(1)が閉じた状態では、ドア(1)とフロントパネル(2)は略同一面上に配備される。ドア(1)とフロントパネル(2)は、連続した外観を呈し、従来の構成に比して、外観に違和感はない。
また、従来にあっては、ドア(1)を何度も開閉することにより、爪片(50)と突起(11)の摩耗量が大きかったから、ドア(1)のロック機構を爪片(50)以外に設ける必要があった。しかし、本例にあっては、爪片(50)と突起(11)の摩耗量が小さくなるから、ロック機構を別途設ける必要が無くなる。これにより、ロック機構を別途設けるコストが低減できるとともに、ロック機構を取り付ける工程がなくなり、作業性が改善される。
【0010】
図4に示すように、押込み片(10)及び爪片(50)は第2軸体(40)よりも、第1軸体(4)寄りに位置している。このように、ドア(1)のロック機構を、距離hだけ移動する第1軸体(4)寄りに設けることにより、ロック機構、具体的には爪片(50)により押されるドア(1)が嵌合孔(20)内を動きやすくなる。換言すれば、爪片(50)が第1軸体(4)寄りに位置し、第2軸体(40)から離れていることにより、ドア(1)は第2軸体(40)を中心に回動しやすくなる。
【0011】
ドア(1)を開くには、摘み片(12)を把持して手前に引く。突起(11)は爪片(50)を撓み変形させ、爪片(50)の弾性力により、ドア(1)は距離hだけ一旦斜め左方に移動する。突起(11)は爪片(50)に擦りながら、爪片(50)を通過し、ドア(1)が開く。
また、実施例では、嵌合孔(20)をフロントパネル(2)に開設し、軸体(4)(40)をドア(1)に設けるとしたが、図6に示すように、嵌合孔(20)をドア(1)に開設し、軸体(4)(40)をフロントパネル(2)に設けてもよい。この場合、隙間Hは、第1軸体(4)の右側に形成される。即ち、隙間Hは、ドア(1)が爪片(50)の弾性力に押された方向に第1軸体(4)又は嵌合孔(20)が移動できるように形成されている。
【0012】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
上記例では、爪片(50)はフロントパネル(2)に、突起(11)はドア(1)に設けられているとしたが、爪片(50)をドア(1)に、突起(11)をフロントパネル(2)に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本例に係わるキャビネットの斜視図である。
【図2】開いたドアを図1のB−B線を含む面にて破断した断面図である。
【図3】ドアを閉じる直前の状態を示す断面図である。
【図4】ドアの正面図である。
【図5】閉じたドアの断面図である。
【図6】別の実施例に於けるドアの断面図である。
【図7】(a)、(b)は、ドアの開閉時に於ける嵌合孔と第1軸体の位置関係を示す図である。
【図8】従来のキャビネットの斜視図である。
【図9】閉じたドアを図7のB−B線を含む面にて破断した断面図である。
【図10】ドアを閉じる直前の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
(1) ドア
(2) フロントパネル
(4) 第1軸体
(20) 嵌合孔
(40) 第2軸体
(50) 爪片
Claims (3)
- ドア(1)と、該ドア(1)が取り付けられるパネル(2)を具え、ドア(1)の両端部から第1、第2軸体(4)(40)を突出し、パネル(2)には該軸体(4)(40)が回動自在に嵌まる嵌合孔(20)(20)が開設されたキャビネットに於いて、
ドア(1)の自由端部又は該ドア(1)の自由端部に対向するパネル(2)上の箇所の何れか一方には、他方に押されて弾性変形し、該他方に係合する爪片(50)が設けられ、
第1軸体(4)と、該第1軸体(4)が嵌まる嵌合孔(20)の周縁との間には、ドア(1)が爪片(50)の弾性力に押された方向に第1軸体(4)が距離hだけ移動できる隙間Hが形成され、この距離hは爪片(50)の係り代よりも小さく設けられ、
第2軸体(40)は、隙間Hよりも小さな余裕をもって嵌合孔(20)に嵌まっていることを特徴とするキャビネット。 - ドア(1)と、該ドア(1)が取り付けられるパネル(2)を具え、パネル(2)から第1、第2軸体(4)(40)を突出し、ドア(1)には該軸体(4)(40)が回動自在に嵌まる嵌合孔(20)(20)が開設されたキャビネットに於いて、
ドア(1)の自由端部又は該ドア(1)の自由端部に対向するパネル(2)上の箇所の何れか一方には、他方に押されて弾性変形し、該他方に係合する爪片(50)が設けられ、
第1軸体(4)と、該第1軸体(4)が嵌まる嵌合孔(20)の周縁との間には、ドア(1)が爪片(50)の弾性力に押された方向に嵌合孔(20)が距離hだけ移動できる隙間Hが形成され、この距離hは爪片(50)の係り代よりも小さく設けられ、
第2軸体(40)は、隙間Hよりも小さな余裕をもって嵌合孔(20)に嵌まっていることを特徴とするキャビネット。 - 爪片(50)は、第2軸体(40)よりも第1軸体(4)に近い位置に形成された請求項1又は2に記載のキャビネット。
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