JP3981923B2 - 電子ナンバープレートおよびそれを用いる駐車方向認識装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子ナンバープレートを利用した駐車場における車両用の駐車方向認識装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等車両のナンバープレートは電子化の方向で、その実用化に向って開発が進められている。電子ナンバープレートには、車両情報や車検情報、その他の情報が登録可能で、登録情報を道路側の機器等と電子的にやりとりして、さまざまな活用(例えば、料金徴収の自動化、交通流の最適化、都市部の通過交通流入制限等)が考えられている。
【0003】
従来技術として、例えば、特許文献1には、車両固有の情報を記憶させたナンバープレートを車両の前部と後部とに設け、駐車場の駐車位置に設けた読み取り器で検出するようにして、車両がどちらの方向から進入しても検出できる車両入出庫管理システムの提案がされている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−287396号公報
【0005】
一方、近年、駐車場において車両を駐車する際、車両の駐車方向を制限する(例えば、前方駐車指定)駐車場が増えてきている。従来、車両の駐車方向を判断する方法として、駐車場に監視カメラを設置して、駐車場管理者が監視カメラの映像をモニターで監視して駐車方向を管理する方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では人的作業要素が強く、監視者がいないと管理ができない。さらに、駐車方向が指定の方向と異なることを運転者に告知する場合、車両外の機器を用いた方法、例えば、駐車場に設けたスピーカを通して知らせる等の方法であり、運転者にとって告知対象車両が自車であることが認識しずらい問題があった。また、特許文献1に開示された技術では、例えば、前方駐車指定の駐車場において、後方駐車した場合、車両が駐車したことは確認できても、前方駐車か後方駐車かの確認まではできない。
【0007】
本発明は上記した点を背景になされたものであって、人的な労力を要することなく、車両内で運転者が駐車方向の誤りを認識できる駐車方向認識装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決するために本発明は、車両の前部と後部の少なくとも一方に装着される電子ナンバープレートであって、電子ナンバープレートは、車両の前部に取り付けられる電子ナンバープレートには前部のプレートであることを表すプレート情報を、車両の後部に取り付けられる電子ナンバープレートには後部のプレートであることを表すプレート情報を記憶した前後プレート識別情報記憶手段と、その前後プレート識別情報に基づき、前記車両の進行方向側に取り付けられているナンバープレートが前部プレートであるか、後部プレートであるかを外部へ通信する通信手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
上記構成により、電子ナンバープレートは前部のプレートか後部のプレートかを識別できる情報を記憶しており、車両に取り付けられ利用されることにより、車両の前部か後部かが認識され、駐車場における正しい駐車方向に駐車されているかどうかの判定が可能となる。
【0010】
また、本発明は、車両の前部と後部に装着される電子ナンバープレートであって、電子ナンバープレートは、車両の前部に取り付けられる電子ナンバープレートには前部のプレートであることを表すプレート情報を、車両の後部に取り付けられる電子ナンバープレートには後部のプレートであることを表すプレート情報を記憶した前後プレート識別情報記憶手段と、その前後プレート識別情報に基づき、前記車両の進行方向側に取り付けられているナンバープレートが前部プレートであるか、後部プレートであるかを外部へ通信する通信手段とを含み、
車両内に設けられた電源制御手段により、前部の電子ナンバープレートへの電源の供給と後部の電子ナンバープレートへの電源の供給とが制御されることを特徴とする。
【0011】
上記構成により、電子ナンバープレートは前部のプレートか後部のプレートかを識別できる情報を記憶しており、車両に取り付けられ利用されることにより、車両の前部か後部かが認識され、駐車場における正しい駐車方向に駐車されているかどうかの判定が可能となる。また、前部の電子ナンバープレートへの電源の供給と後部の電子ナンバープレートへの電源の供給とが、例えば、車両のシフト選択に応じ、前部あるいは後部の電子ナンバープレートの一方のみに電源が供給されるようにすることが可能になり、不要な電源供給を防ぎ、電力消費の抑制が図れる。
【0012】
さらに、本発明は、車両を特定化できる車両固有の車両情報を記憶する車両情報記憶手段を含む構成としており、前後のプレートを識別できる情報を記憶した電子ナンバープレートが車両に取り付けられ利用されることにより、車両の前部か後部かが認識され、駐車場における駐車方向が正しくない場合に、車両を特定化し運転者に知らせることが可能となる。
【0013】
また、駐車場における駐車の方向と駐車禁止エリアとを表す車両駐車関係情報を記憶する駐車場情報記憶手段と、駐車場情報が車両内において表示されるように車両内表示手段に信号を出力できる出力手段とを含む構成としており、前後のプレートを識別できる情報を記憶した電子ナンバープレートが車両に取り付けられ利用されることにより、駐車場における駐車方向の指定情報あるいは駐車禁止エリアの情報等の駐車関係情報を車両内で知ることができるとともに駐車場において正しい駐車方向に駐車されているかどうかの判定が可能となる。
【0014】
さらに、本発明駐車方向認識装置は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子ナンバープレートと、
駐車場の駐車位置における前記車両が駐車したとき前記電子ナンバープレートと通信し前記プレート識別情報を読み取る読取手段と、
この読取手段から送信された前記プレート識別情報を受け取りこのプレート識別情報をもとに前方駐車か後方駐車かの駐車方向の正誤を判定する判定手段と、
を備える。
【0015】
上記構成により、プレート識別情報をもった電子ナンバープレートを装着した車両と駐車場側における読取手段とが通信を行うことで、駐車車両が前方駐車か、後方駐車かを判断でき、正しい駐車方向でない場合、運転者に知らせることが可能である。
【0016】
また、本発明は、判定手段からの信号を受けて駐車方向が誤っていることを報知する報知手段を含む構成としており、プレート識別情報をもった電子ナンバープレートを装着した車両と駐車場側における読取手段とが通信を行うことで、駐車車両が前方駐車か、後方駐車かを判断でき、正しい駐車方向でない場合、運転者に報知することができる。この報知手段は、例えば、電子ナンバープレートがオン・オフされても、駐車方向の誤りの情報がクリアされない限り持続され、運転者に確実に知らせることが可能となる。また、報知手段として、報知が複数回にわたって行われる場合にも、あるいは連続的に行われる場合にも安全性がより高められる。
【0017】
また、本発明は、好適な態様として、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子ナンバープレートと、
駐車場の駐車位置に設けられ車両が駐車したとき前記電子ナンバープレートのいずれか一方と通信し車両情報およびプレート識別情報を読み取る駐車位置通信端末と、
この駐車位置通信端末から送信された車両情報およびプレート識別情報を受け取りこのプレート識別情報をもとに前方駐車か後方駐車かの駐車方向の正誤を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果および車両情報に基づき、駐車方向が誤っていることを車両情報で特定された車両に駐車位置通信端末を介し送信する送信手段とを有する通信端末管理センターと、
この通信端末管理センターからの送信を受けて駐車方向が誤っていることを車両内において報知する報知手段と、
を備える。
【0018】
上記構成により、プレート識別情報をもった電子ナンバープレートを装着した車両と駐車場側における駐車位置通信端末とが通信を行うことで、駐車車両が前方駐車か、後方駐車かを判断でき、正しい駐車方向でない場合、車両を特定化して運転者に知らせることができ、運転者は、駐車方向の誤りを車両内で確実に知ることができる。
【0019】
さらに、本発明では、報知手段は、誤って駐車していることの車両内での警告表示と、警告音の発生と、降車のとき車両キーが抜けないようにするキーロックとのうち少なくとも1つを実行する。
【0020】
上記構成により、正しい駐車方向でない場合、運転者は、警告表示や警告音あるいはキーロックによって駐車方向の誤りを降車する前に車両内で確実に知ることができる。
【0021】
また、本発明は、車両のシフトが前進あるいは後進のいずれに選択されているかを検出するシフト検出手段を備え、このシフト検出手段からの信号を受けて、前進選択の場合、前部の電子ナンバープレートのみに電源を供給し、後進選択の場合、後部の電子ナンバープレートのみに電源を供給する。
【0022】
上記構成により、車両のシフトの選択に応じ、前部あるいは後部の電子ナンバープレートの一方のみに電源が供給されるように制御して、不要な電源供給を防ぎ、電力消費を抑制することができる。
【0023】
さらに、この発明は、駐車場の駐車方向および自車両の向きを検出する向き検出手段と、この向き検出手段からの情報に基づき、駐車場の駐車方向と自車両の方向との角度差から車両が駐車エリアに前進する方向に向いて駐車する動作に入っているかあるいは後進する方向に向いて駐車する動作入っているかを判定する駐車動作判定手段とを備え、この駐車動作判定手段からの信号を受けて、前進する方向に向いて駐車する動作に入っている場合、前部の電子ナンバープレートのみに電源を供給し、後進する方向に向いて駐車する動作入っている場合、後部の電子ナンバープレートのみに電源を供給する。
【0024】
上記構成により、駐車場内に駐車する動作に入っている車両の向いている方向に応じて、前部あるいは後部のうちいずれか一方の電子ナンバープレートのみに電源が供給され、他方の電子ナンバープレートの電源が切断されるように制御しており、例えば、前方駐車している場合、後部の電子ナンバープレートとの通信は断たれ、駐車したときに通信すべき電子ナンバープレートを正確に選択し、駐車方向の誤認識を防止でき、かつ不要な電源供給を防ぎ、電力消費を抑制することができる。また、この種のシステムでは、電子ナンバープレートと通信端末との間の通信において、周波数の割り当てが行われるが、上記構成により、前部か後部のうち一方の電子ナンバープレートが選択され通信を行うので、周波数の有効利用が図れる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明に係る電子ナンバープレートの正面図を示す。電子ナンバープレート1は、ナンバープレート本体2と、このナンバープレート本体の上方コーナー部に装着した電子ユニット3とを含み構成される。
【0026】
図2は、電子ユニット3の構成を示すブロック図であり、外部と無線通信を行なう通信手段4と、制御部5と、車両情報(車両番号)やナンバープレート識別情報(前後プレート区分)等を記憶するROM6と、駐車場サービス情報等を記憶する読み書き可能な記憶装置としてのRAM7と、インターフェイス回路8等とを備えている。
【0027】
電子ユニット3内のメモリ情報は、公的機関で使用するROM6の公用データ記憶部と民間施設で使用されるRAM7の民間用データ記憶部に大別される。ROM6およびRAM7における情報の詳細を図13に示す。
【0028】
ROM6は、公的に利用される記憶部として、例えば、ICメーカーが管理するメーカー管理情報等のICチップ情報記憶領域6’、電子ナンバープレートの車両における装着位置の識別、例えば、前部と後部を識別するプレート識別情報や自動車登録番号(車両番号)および車両情報識別子(システムにおいて通信で使用される個々の車両を識別する車両ID)を含む電子ナンバープレート情報記憶領域6’’とを有する。その他、検査証情報(車両の緒元情報、初回登録情報)、TDM(交通需要マネジメント)情報、福祉車両情報が記憶される。このROM6への外部からの書き込みはできないようにしている。
【0029】
RAM7は、民間に利用される記憶部として、例えば、駐車場における駐車方向制限情報や駐車禁止エリア情報等の駐車場サービス情報記憶領域7’を有する。その他、入出庫管理情報、愛車クラブ情報が記憶される。
【0030】
図3は、本発明の駐車方向認識装置の概念を示す全体構成図である。車両10は、その前部に前部電子ナンバープレート1aと後部に後部電子ナンバープレート1b(これらを総称して電子ナンバープレート1とする場合がある)を装着している。電子ナンバープレート1は、中継通信器22と通信し、この中継通信器22からの出力は、車両内制御装置13に入力される。この車両内制御装置13は、車両の駐車方向が正しくない場合に運転者に報知する報知手段等を制御するもので、詳細は後述する。なお、電子ナンバープレート1と車両内制御装置13とは、中継通信器22を介し接続されているが、直接に接続されてもよい。
【0031】
図5は、本発明に係る車両内機器の接続構成を概略的に示す説明図である。車両内制御装置13、キーシリンダ14、ナビゲーション装置15、このナビゲーション装置15のディスプレイ16、オーディオ17、車両のシフトレバーの位置を検出するシフト位置検出センサ18、車両内表示装置19が、車内LAN20で結ばれている。
【0032】
図6は、本発明に係る電子ナンバープレート1を含む車両内機器と電源の接続構成を概略的に示す説明図である。前部電子ナンバープレート1aと後部電子ナンバープレート1bは電源21から電源供給を受ける。車両内制御装置13は、シフト位置検出センサ18あるいはナビゲーション装置15からの信号を受けて、前部電子ナンバープレート1aと後部電子ナンバープレート1bへの電源供給を制御する。
【0033】
駐車場には(図3参照)複数の路上通信端末11(路上器ともいう)が設置される。電子ナンバープレート1と路上通信端末11が通信を行った履歴を記憶し蓄えるために路上通信端末管理センター12が、所定の場所に設けられる。この路上通信端末管理センター12は、車両10が駐車場に駐車したとき、駐車エリアに設置された路上通信端末11を介し電子ナンバープレート1と通信し、プレート識別情報をもとに、車両が指定方向に駐車しているかどうかの判定をする手段を備え、詳細は後述する。路上通信端末11は、路上の各所にも複数設置されるものである。
【0034】
図4は、この駐車方向認識装置の構成を示すブロック図である。路上通信端末管理センター12は、管理コンピュータとして、CPU30、ROM31、RAM32、I/Oインターフェイス33、大容量記憶部としてのハードディスク装置(HDD)34を備えている。電子ナンバープレート1と通信を行うことにより、電子ナンバープレート1に記憶されている車両情報(車両番号)や、プレート識別情報(前部と後部のプレートの識別)等が路上通信端末管理センター12のHDD34に蓄えられる。
【0035】
図7は、車両1が駐車場に進入した場合における電子ナンバープレートと路上通信端末との通信の説明図である。駐車場入場ゲート近傍に設置された路上通信端末11と、車両10に装着された前部電子ナンバープレート1aとが通信を行い、駐車場の駐車方向制限情報や駐車エリアにおける駐車方向制限情報、駐車禁止エリア情報、駐車場内での路上通信端末との間の通信周波数の割り当て、駐車場の設置絶対角度等の情報を取得し、RAM7内の駐車場サービス情報記憶領域7’に記憶する。なお、駐車場入場ゲート近傍に路上通信端末11が設置されていない場合、駐車エリアに設置された路上通信端末11と通信することにより、上記の駐車方向制限情報等を受け取ることができる。前述の駐車場の駐車方向制限情報等は前記路上通信端末管理センター12に蓄えられている。路上通信端末11を介し前部電子ナンバープレート1aが前記路上通信端末管理センター12と通信を行いその情報を受け取る。
【0036】
前部電子ナンバープレート1aからの出力は車両内制御装置13に入力され、車両内制御装置13からの信号により車両内表示装置19に、前述の情報をもとに駐車方向制限情報を表示(例えば、後方駐車が禁止されている場合は、後方駐車禁止をテキスト表示したり、車両の絵の後方部に×印を付して表示する等)したり、あるいは駐車禁止エリア情報を表示(例えば、駐車場内の地図に駐車禁止領域を表示)することができる。
【0037】
なお、入場ゲート近傍に設置された路上通信端末11と電子ナンバープレート1との通信による提供情報は、入場時間や駐車場の混雑状況により変更可能で、これらの条件で駐車方向制限をなくしたりすることができる。また、前述の周波数の割り当ては、駐車場が混雑して駐車場内の路上通信端末や車両間で同一周波数を使用することで、電波干渉を起こし、通信品質が劣化することを防止するものである。割り当ての方法としては、例えば、駐車エリアにおいて区分けして、使用する周波数を変え、車両内のGPS等の位置情報をもとに、使用周波数を決定したり、あるいは高層型の駐車場では、各階の入場口に路上通信端末を設けて、各階で使用周波数を割り当てを行ってもよい。
【0038】
図8は、本発明に係るナビゲーション装置を含む電源制御部のブロック図である。ナビゲーション装置15は、位置検出器40と、この位置検出器40からの信号を受け位置情報等をディスプレイ15に表示する制御回路41とを含み構成される。この制御回路41には、地図のデータが入力される地図データ入力器42が接続されている。また、車両内の操作スイッチ群43が制御回路41に接続され、スイッチ操作により制御する。制御回路41には、リモコン44の操作による信号を受けるリモコンセンサ45が接続され、リモコン44でも操作できる。ナビゲーション装置15は、地図データ等を記憶する外部メモリ46を有している。位置検出器40は、地磁気の方向を検出する地磁気センサ47と、方位を検出するジャイロコンパス48と、走行速度を算出するための走行距離を検出する距離センサ49と、GPS衛星からの電波を受信するGPS受信機50とを備え、車両の位置、進行方向、車両の向きを検出する。GPS受信機50はアンテナ51を接続している。
【0039】
前部電子ナンバープレート1aの前部電子ユニット3aと,後部電子ナンバープレート1bの後部電子ユニット3b(これらを総称して電子ユニット3とする場合がある)とには、電源制御回路52が接続され、この電源制御回路52はナビゲーション装置15の制御回路41からの出力信号を受けて、前部電子ナンバープレート1aと後部電子ナンバープレート1bへの電源の供給を制御する。車両内制御装置13は、電源制御回路52を含み構成されている。
【0040】
図9は、本発明に係るシフト位置検出センサ18を含む電源制御部のブロック図である。電源制御回路52にシフト位置検出センサ18が接続され、このシフト位置検出センサ18からの出力信号を受けて、前部電子ナンバープレート1aの前部電子ユニット3aと後部電子ナンバープレート1bの後部電子ユニット3bへの電源の供給を制御する。
【0041】
次に、本発明の動作について図10に示す制御フローに従って説明する。駐車場へ入場した場合、S1において、駐車場の入力ゲート近くに路上通信端末11があるかどうかを判断する。YESの場合(ある場合)、S2において、その路上通信端末11と通信を行い、必要な情報を入手する。駐車制限情報等はRAM7内の駐車場サービス情報記憶領域7’に記憶する。S3において、駐車制限情報は車両内制御装置13に送信される。この情報は車両内表示装置19に表示される。S4において、前部電子ナンバープレート1aと後部電子ナンバープレート1bの電源制御が開始される。車両のシフトが前進選択されている場合は、シフト位置検出センサ18からの信号により前部電子ナンバープレート1aの前部電子ユニット3aのみに電源が供給される。後進選択されている場合、後部電子ナンバープレート1bの後部電子ユニット3bのみに電源が供給される。これにより、不要な電源供給を防ぎ、電力消費を抑制することができる。
【0042】
次に、S5において、駐車エリアに設置された路上通信端末11と電子ナンバープレート1間で通信を行い、駐車方向を確認する。S6において、駐車場の駐車方向の制限はあるかどうかを判定する。YESの場合(ある場合)、S7において、車両10は指定された方向に駐車されているかどうかを判定する。車両10が駐車場に駐車したとき、例えば、駐車エリアに設置された路上通信端末11と前部電子ナンバープレート1aとが通信し、プレート識別情報をもとに、通信しているプレートが前部と認識することで、車両が前方駐車していることを判定する。また、後部電子ナンバープレート1bと路上通信端末11とが通信して、同様に、車両が後方駐車していることを判定する。判定結果がNOの場合(駐車方向が正しくない場合)、S8において、運転者に駐車方向が正しくないことを報知する。路上通信端末管理センター12はこの判定手段の判定結果および車両情報に基づき、誤って駐車していることを車両情報で特定された車両に送信する。
【0043】
路上通信端末11と電子ナンバープレート1との通信は、1対多数との通信が行われるものの、各車両の電子ナンバープレート1には、各個別の車両情報を保有しており、車両に取り付けられた電子ナンバープレート1は、自車に対する通信か、他車に対する通信かを判別して、自車に対する通信と特定された場合のみ、その情報を自車両に取り込みデータの書き換えを行う。データの書き換えとしては、例えば、RAM7内に駐車方向の正誤を記憶する領域を作り、路上通信端末11で駐車方向の判定した後、その正誤情報を書き込む。その後、正誤情報を認識して、駐車方向が正しいかどうかを運転者に知らせる。電子ナンバープレート1から、その出力は車両内制御装置13に入力される。車両内の報知手段として、車両内制御装置13の信号により車両内表示装置19に警告表示したり、車両内LEDを点灯したり、スモールランプを点灯し続けたり、警告音を鳴らしたりして降車の際に運転者に知らせたり、あるいは車両キーがキーシリンダ14から抜けないようにすることができる。これにより、運転者は、車両内で駐車方向の誤りを知ることができる。
【0044】
報知において、シフトの選択位置が変更されても、例えば、シフトがニュートラルに変更されても、あるいはバックに切り替わって電子ナンバープレート1の電源がオン・オフされても、駐車方向の誤りの情報がクリアされない限り報知は持続され、運転者に確実に知らせることが可能となる。また、報知手段として、報知が複数回にわたって行われる場合にも、あるいは連続的に行われる場合にも安全性がより高められる。
【0045】
この電子ナンバープレート1内に記入された正誤情報は、車両キーが抜かれたときにリセットされる。違法駐車して車両を停車し、その後、一般道を走行しようとすると、路上通信端末11との通信が行われない限り、この情報がクリアされないため、上記のようにリセットする。なお、情報をクリアする時期は、次のエンジン始動時としてもよく、違法駐車のまま放置した車両の運転者に対し、注意をより促すことができる。
【0046】
S7において、YESの場合(駐車方向が正しい場合)、S9に移り、車両キーがキシリンダ14から抜かれたかどうかを判定する。YESの場合(車両キーが抜かれた場合)、S10においてにおいて電子ナンバープレート1の電源をオフにする。また、S1において、NOの場合(ない場合)、S5に移り、以降のステップは前述同様である。
【0047】
なお、他の実施例として、例えば、身障者用の駐車エリアに一般車両が駐車しようとした場合には、図13の車両の緒元情報や登録情報を用いて、駐車可能な車両か、駐車不可能な車両かを路上通信端末11が認識して、車両に駐車状態の良否を報知することができる。また、緊急車両の駐車エリアに一般車両が駐車しようとした場合には、その車両の前部と後部とのどちらかの電子ナンバープレート1を路上通信端末11が認識したとき、運転者に駐車禁止エリアであることを報知することができる。
【0048】
駐車場における電子ナンバープレート1の電源制御は、前述のように、車両のシフトが前進選択されている場合は、前部電子ナンバープレート1aのみに電源が供給され、後進選択されている場合は、後部電子ナンバープレート1bのみに電源が供給されるが、車両が一旦、駐車場に駐車する動作に入ると、車両が同一方向に向いているにもかかわらずシフトを前進選択したり後進選択する動作が繰り返される。この場合、シフトの選択が変更されても、どちらか一方の電子ナンバープレート1で通信をできるようにすることが必要である。車両が駐車動作に入ったことは、車両走行スピードの低下や急激な方向変更、短時間でのシフト変更の繰り返し等で認識できる。
【0049】
図11は車両10の駐車動作における電源制御を説明する図である。駐車場の駐車方向xと自車両の方向をyとし、その方向角度差(θ)が90°以下であれば、車両は前進する方向に向いて駐車動作に入っている状態で、その場合には、前部電子ナンバープレート1aのみに電源の供給を行い、方向角度差(θ)が90°以上であれば、車両は後進する方向に向いて駐車動作に入っている状態で、その場合には、後部電子ナンバープレート1bのみに電源の供給を行う。前記駐車方向の情報は、駐車場の入力ゲートに設置された路上通信端末11から取得したり、ナブゲーション装置15の地図データから入手し、自車両の方向の情報は、ナブゲーション装置15の地磁気センサ47やジャイロコンパス48で取得して、制御回路41で、その角度差を演算し算出する。駐車エリアには車両止め60が設けられている。
【0050】
次に、駐車動作について図12に示す制御フローに従って説明する。S20においてに、駐車方向が指定された駐車場に入場したかどうかを判定する。YESの場合(指定がある場合)、S21において、車両が駐車動作に入ったかどうかを判定する。YESの場合、S23において、駐車方向と自車両の方向の角度差は測定可能か否かを判定する。YESの場合、S24において、駐車方向と自車両の方向の角度差を演算し算出する。θ≦90°の場合、S25において、車両10の前部電子ナンバープレート1aをスタンバイモードとし、後部電子ナンバープレート1bを電源オフにする。一方、θ≧90°の場合、S26において、車両10の後部電子ナンバープレート1bをスタンバイモードとし、前部電子ナンバープレート1aを電源オフにする。その後、S28に移り、車両が正規な方向に駐車されているかどうかを判定する。YESの場合、S30において、電子ナンバープレート1の電源をオフにする。
【0051】
このように前部電子ナンバープレート1aと後部電子ナンバープレート1bへの電源を選択して供給することで、路上通信端末11が前部と後部の電子ナンバープレート1aと1bとに同時に通信することを回避したり、車両が前方駐車しているにもかかわらず路上通信端末11と後部電子ナンバープレート1bとが通信することを防止している。これにより、例えば、前方駐車している場合、後部の電子ナンバープレートとの通信は断たれ、駐車するときに通信すべき電子ナンバープレート1を正確に選択して駐車方向の誤認識を防止することができる。あわせて不要な電源の供給を防止し電力消費を抑制できる。また、どちらか一方の選択通信を行っているため、周波数の割り当てにおいて、周波数の有効利用にもつながる。
【0052】
なお、S20において、NOの場合(駐車方向の指定がない場合)、S29において、車両を駐車するかどうかを判定する。YESの場合(駐車する場合)、前述のように駐車方向を認識する必要がないために、S30においてに、電子ナンバープレート1の電源の供給を停止する。また、S29において、NOの場合(駐車しない場合)、一般走行と同様の電源の供給を電子ナンバープレート1に行う。
【0053】
さらに、S21において、NOの場合(駐車動作に入っていない場合)、S22において、前述の説明と同様に、車両のシフト位置により前進選択で前部電子ナンバープレート1aのみに電源が供給され、後進選択で後部電子ナンバープレート1bのみに電源が供給される。
【0054】
また、S23において、駐車方向と自車両の方向の角度差が測定可能であることを前提にしているが、駐車場の方向入手ができなかったり、自車両の方向が測定できない場合が有り得る。その場合、S27において、前後両方の電子ナンバープレート1aと1bとに電源を供給することで、確実にどちらか一方の電子ナンバープレート1が路上通信端末11と通信できるようにしている。
【0055】
さらに、S28において、NOの場合(駐車方向が正しくない場合)、運転者に駐車方向が誤っていることを報知するステップ(図10に示すS8のように)をいれることができる。報知手段としては、前述説明と同様である。このステップの後、S23に戻るようにしてもよい。
【0056】
なお、前記駐車方向と自車両の方向の角度しきい値は90°としているが、電子ナンバープレート1の選択精度を向上させるために、90°よりも小さな角度としてもよい。
【0057】
また、本実施例では、電子ナンバープレート1を車両の前部と後部にそれぞれ装着しているが、図14に示すように、例えば、前部のみに装着して駐車位置に前部検出用の路上通信端末11aと、後部検出用の路上通信端末11bとを設けてもよい。駐車したとき、前部の電子ナンバープレート1aと前部検出用の路上通信端末11aとが通信することにより、前部のプレートと認識して、前方駐車であることを判定できる。一方、前部の電子ナンバープレート1aと後部検出用の路上通信端末11bとが通信した場合、後部のプレートでないと認識して、後方駐車であると判定できる。電子ナンバープレート1を後部のみに装着しても同様に判定できる。
【0058】
なお、本実施例における電子ナンバープレートの通信手段は、次のようなナンバープレートも含む。すなわち、情報の記憶手段と交信手段を有するデータキャリアがナンバープレートに取り付けられ、データキャリアに近接して対向させた読取器から電磁誘導波を発信させることにより、データキャリア側のコイルを励起させ、信号をデータキャリア側から受け取り記憶された情報を読取る通信方式も含み、同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ナンバープレートの一例を示す正面図。
【図2】その電子ユニット部の構成例を示すブロック図。
【図3】本発明の駐車方向認識装置の概念を示す全体構成図。
【図4】その駐車方向認識装置の一例を示すブロック図。
【図5】本発明に係る車両内機器の接続構成の一例を概略的に示す説明図。
【図6】本発明に係る電子ナンバープレートを含む車両内機器と電源の接続構成の一例を概略的に示す説明図。
【図7】本発明に係る電子ナンバープレートと路上通信端末との通信の一例を示す説明図。
【図8】本発明に係るナビゲーション装置を含む電源制御部の一例を示すブロック図。
【図9】本発明に係るシフト位置検出センサを含む電源制御部の一例を示すブロック図。
【図10】本発明の駐車方向認識装置の制御動作を示すフローチャート。
【図11】本発明に係る駐車動作における電源制御の一例を示す説明図。
【図12】図11の制御動作を示すフローチャート。
【図13】本発明に係るROMとRAMにおける情報内容を示す図。
【図14】図3の他の実施例を示す説明図。
【符号の説明】
1a 前部電子ナンバープレート(電子ナンバープレート)
1b 後部電子ナンバープレート(電子ナンバープレート)
3a 前部電子ユニット(電子ユニット)
3b 後部電子ユニット(電子ユニット)
6 ROM
7 RAM
10 車両
11 路上通信端末
12 路上通信端末管理センター
13 車両内制御装置
15 ナビゲーション装置
18 シフト位置検出センサ
19 車両内表示装置
41 制御回路
52 電源制御回路
Claims (10)
- 車両の前部と後部の少なくとも一方に装着される電子ナンバープレートであって、前記電子ナンバープレートは、車両の前部に取り付けられる電子ナンバープレートには前部のプレートであることを表すプレート情報を、車両の後部に取り付けられる電子ナンバープレートには後部のプレートであることを表すプレート情報を記憶した前後プレート識別情報記憶手段と、その前後プレート識別情報に基づき、前記車両の進行方向側に取り付けられているナンバープレートが前部プレートであるか、後部プレートであるかを外部へ通信する通信手段とを含むことを特徴とする電子ナンバープレート。
- 車両の前部と後部に装着される電子ナンバープレートであって、前記電子ナンバープレートは、車両の前部に取り付けられる電子ナンバープレートには前部のプレートであることを表すプレート情報を、車両の後部に取り付けられる電子ナンバープレートには後部のプレートであることを表すプレート情報を記憶した前後プレート識別情報記憶手段と、その前後プレート識別情報に基づき、前記車両の進行方向側に取り付けられているナンバープレートが前部プレートであるか、後部プレートであるかを外部へ通信する通信手段とを含み、車両内に設けられた電源制御手段により、前部の電子ナンバープレートへの電源の供給と後部の電子ナンバープレートへの電源の供給とが制御されることを特徴とする電子ナンバープレート。
- 車両を特定化できる車両固有の車両情報を記憶する車両情報記憶手段を含む請求項1または2記載の電子ナンバープレート。
- 駐車場における駐車の方向と駐車禁止エリアとを表す車両駐車関係情報を記憶する駐車場情報記憶手段と、前記駐車場情報が車両内において表示されるように車両内表示手段に信号を出力できる出力手段とを含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子ナンバープレート。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子ナンバープレートと、
駐車場の駐車位置における前記車両が駐車したとき前記電子ナンバープレートと通信し前記プレート識別情報を読み取る読取手段と、
この読取手段から送信された前記プレート識別情報を受け取りこのプレート識別情報をもとに前方駐車か後方駐車かの駐車方向の正誤を判定する判定手段と、
を備える駐車方向認識装置。 - 前記判定手段からの信号を受けて駐車方向が誤っていることを報知する報知手段を含む請求項5記載の駐車方向認識装置。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子ナンバープレートと、
駐車場の駐車位置に設けられ前記車両が駐車したとき前記電子ナンバープレートのいずれか一方と通信し前記車両情報およびプレート識別情報を読み取る駐車位置通信端末と、
この駐車位置通信端末から送信された前記車両情報およびプレート識別情報を受け取りこのプレート識別情報をもとに前方駐車か後方駐車かの駐車方向の正誤を判定する判定手段と、この判定手段の判定結果および前記車両情報に基づき、駐車方向が誤っていることを前記車両情報で特定された車両に前記駐車位置通信端末を介し送信する送信手段とを有する通信端末管理センターと、
この通信端末管理センターからの送信を受けて駐車方向が誤っていることを車両内において報知する報知手段と、
を備える駐車方向認識装置。 - 前記報知手段は、誤って駐車していることの車両内での警告表示と、警告音の発生と、降車のとき車両キーが抜けないようにするキーロックとのうち少なくとも1つを実行する請求項7記載の駐車方向認識装置。
- 車両のシフトが前進あるいは後進のいずれに選択されているかを検出するシフト検出手段と、このシフト検出手段からの信号を受けて、前進選択の場合、前記前部の電子ナンバープレートのみに電源を供給し、後進選択の場合、前記後部の電子ナンバープレートのみに電源を供給する電源制御手段とを含む請求項5ないし8のいずれか1項に記載の駐車方向認識装置。
- 前記駐車場の駐車方向および自車両の向きを検出する向き検出手段と、この向き検出手段からの情報に基づき、前記駐車場の駐車方向と自車両の方向との角度差から車両が駐車エリアに前進する方向に向いて駐車する動作に入っているかあるいは後進する方向に向いて駐車する動作入っているかを判定する駐車動作判定手段と、この駐車動作判定手段からの信号を受けて、前進する方向に向いて駐車する動作に入っている場合、前記前部の電子ナンバープレートのみに電源を供給し、後進する方向に向いて駐車する動作入っている場合、前記後部の電子ナンバープレートのみに電源を供給する駐車対応電源制御手段とを含む請求項5ないし9のいずれか1項に記載の駐車方向認識装置。
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