JP3981463B2 - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置、及びこの装置に用いられる画像形成方法に係り、詳しくは、形成画像の非画像部との境界(以下、エッジと称する)を平滑化するスムージング処理の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像形成方法としてダイレクトトーニングまたはトナープロジェクションと称される画像形成方法が知られている。この画像形成方法(以下、直接記録方法という)は、次のようなプロセスで画像を形成するものである。即ち、孔やスリットの周りに設けた飛翔制御電極に電圧を印加して、帯電させた画像形成粒子、例えばトナーの層やトナークラウドに電界を加え、該孔や該スリットに対応する特定の位置のトナー等の集合体を選択的に飛翔させる。そして、この集合体を上記孔や上記スリットを通して移動させて紙等の記録部材に付着させることで、該集合体による単位画像を該記録部材の表面に直接形成する。なお、「単位画像」とは、例えばドット等のことを示し、画像形成粒子の集合体により形成される最小単位の画像を示す概念である。
【0003】
図1は、直接記録方法によるトナーの飛翔状態を示した模式図である。図中、1は粒子担持体、2は開口部保持部材としてのフレキシブルプリント基板(以下、FPCと称する)、3は記録部材としての紙、4は対向電極、5はトナーをそれぞれ示す。また、FPC2は、微小開口部としての孔と、該孔の周囲に配置されたリング状の飛翔制御電極2aとからなる単位画像形成部としてのドット形成部を複数有している。なお、図1は1つのドット形成部を拡大して示している。
【0004】
直接記録方法では、例えば、マイナスに帯電するトナーを用い、粒子担持体1を接地し、対向電極4に+900[V]の直流高電圧を印加し、飛翔制御電極2aに+325[V]の飛翔電圧(Vblack)を200[μsec]印加する。この印加により、粒子担持体1上のトナー5に対して6×106[V/m]の電界が作用する。そして、この作用の結果、トナー5に加わるクーロン力が、トナー5と粒子担持体1との間に作用している付着力や鏡像力の和を上回って、トナー5の集合体が対向電極4に向かって飛翔し、FPC2の孔を通過する。この孔を通過したトナー5の集合体は、対向電極4に印加された電圧により形成される飛翔電界に引かれてさらに飛翔を続け、対向電極4上を搬送手段(不図示)により所定方向に搬送されている紙3に付着して飛翔を終える。この付着により、紙3上に複数のトナー5の集合体からなるドットが記録される。
【0005】
そして、近年、この直接記録方法の応用技術として、上記飛翔制御電極の他に偏向制御電極を設け、この偏向制御電極に偏向電圧を印加することにより、飛翔させたトナーの飛翔経路を偏向させるドットディフレクションコントロール法(以下、DDC法と称する)が、スウェーデンのアレイ プリンターズ AB社により提案されている。
【0006】
図2(a)、(b)及び(c)はそれぞれDDC法によるトナーの飛翔状態を示した模式図である。図中、2b1及び2b2は飛翔制御電極2aの近傍に対向配置された偏向制御電極対である。また、黒色で示される飛翔制御電極2aは、上記Vblackが印加されている状態を示す。さらに、黒色で示される偏向制御電極2b1又は2b2は、後述の偏向電圧が印加されている状態を、白色で示される飛翔制御電極2b1又は2b2は、該偏向電圧が印加されていない状態(又はVactiveよりもゼロに近い電圧値であるVnonactが印加されている状態)を、それぞれ示す。
【0007】
DDC法では、上記Vblackに加えて、例えば+325[V]の偏向電圧(Vactive)を偏向制御電極に印加することにより、トナー5の飛翔経路を主走査方向に偏向させてトナー5の紙3上への付着位置を、本来の付着位置から図2の左方向(a)又は右方向(c)にずらす。そして、このようにトナー5の紙3上への付着位置をずらすことにより、1つの上記ドット形成部から、紙3上の3画素分に相当する3つのドットを形成することができる。具体的には、紙3を副走査方向に1画素分移動させる間に、飛翔経路を主走査方向に対して左方向に偏向させたトナーの集合体によるドットLd(図2(a))と、飛翔経路を偏向させないトナーの集合体によるドットNd(図2(b))と、飛翔経路を主走査方向に対して右方向に偏向させたトナーの集合体によるドットRd(図2(c))とを、紙3上に形成する。
【0008】
以上のように、DDC法では、1つの上記ドット形成部により3つのドットを形成できるので、FPCの構造を簡素化して製造コストを低減することができる。例えば、100[dpi]用のFPCで300[dpi]の画像を形成することができる。
【0009】
一方、従来、電子写真方式の画像形成方法として、文字や図形等の画像のエッジをスムージング処理することにより、形成画像の品質を向上させるものが知られている。例えば、レーザプリンタでは、主に次のようなスムージング処理法が用いられている。即ち、レーザの点灯時間を変えてドットの大きさを変化させることにより、主走査方向におけるエッジ補正を、レーザの点灯の位相を変えて記録部材へのドットの付着位置を変化させることにより、副走査方向におけるエッジ補正を、それぞれ行うことによりエッジのスムージングを行っている。
【0010】
しかし、このようなスムージング処理法では、主走査方向におけるドットの付着位置が補正されないので、不完全なスムージングとなってしまう。
図3は原型画像を、図4はこの原型画像を300dpi2値画像で形成したものを、図4は図3の画像に従来の上記スムージング処理法を施したものを、それぞれ示す。なお、本明細書において、「原型画像」とは、例えば複写等のようにオリジナル画像と同等の画像を複製する場合には該オリジナル画像等のことを示し、CAD等で作成した図面情報やフォント等の文字情報に基づいて画像を形成する場合には、これらの情報により具体化される画像等のことを示す概念である。また、それぞれの図の各マス目は300dpiの1画素を示す。さらに、本来、各ドットは円形に形成されるが、これらの図においては便宜的に正方形で示している。
【0011】
図3及び図4に示されるように、原型画像を300dpi2値画像に変換するとジャギーの目立つエッジとなる。そして、この300dpi2値画像に従来の上記スムージング処理法を施すと、図5に示されるように、主走査方向(図面左右方向)においては、ドット(マス目c5、c6、g6及びg7)の付着位置調整により、エッジがスムージングされて原型画像の曲線に近い形状となる。他方、副走査方向(図面上下方向)においては、ドットの付着位置を調整することができないため、ドット(マス目e3、f2、g2、h2、h5及びi5)の大きさ調整によりエッジがスムージングされる。しかし、ドットの大きさ調整によってスムージングされるエッジは、ドットの付着位置調整によってスムージングされるエッジよりも、ジャギーが目立ってしまう。即ち、レーザープリンタにおけるエッジスムージング処理法では、副走査方向におけるドットの付着位置を調整することができないので、副走査方向におけるエッジスムージングが不完全になるという不具合がある。
【0012】
このような不具合は、LEDや感熱記録方式の画像形成方法においても同様に生じ、これらの方式の場合には、印字ヘッドの構造に起因して主走査方向のエッジスムージングが不完全となる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、直接記録方法やDDC法にエッジスムージング処理を併用する場合においては、主走査方向におけるドットの付着位置を各ドット形成部毎に調整することができないので、主走査方向におけるエッジスムージングが不完全になるという問題がある。例えば、DDC法においては、トナーの飛翔経路を偏向させて主走査方向における記録部材上のドットの付着位置を変化させることが可能であるが、この偏向はあくまでも隣接画素の正規位置にドットを形成させるためのものであり、図2における偏向距離Lは全てのドット形成部において同一である。即ち、全ての上記ドット形成部におけるドットの偏向距離Lを一律に調整すればよい。このため、全ての偏向制御電極2b1を導通可能な状態に、且つ、全ての偏向制御電極2b2を導通可能な状態にそれぞれ構成し、上記Vblackの印加にかかわらず、全ての偏向制御電極2b1と全ての偏向制御電極2b2とへの適切な上記偏向電圧の印加を、一律にON/OFFしている。勿論、印加する上記偏向電圧の値を変化させることにより、偏向距離Lを変化させることは可能であるが、この場合、該印加の時に形成される各ドットの偏向距離Lが全て一律に変化してしまう。
【0014】
本発明は以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、直接記録方法を用いる画像形成方法又は画像形成装置において、ジャギーの目立たない優れたエッジスムージングを実現することができる画像形成方法又は画像形成装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の微小開口部を互いに独立あるいは一連に設けた開口部保持部材と、前記開口部保持部材と一体又は別体に設け、粒子担持体に担持させた微小な画像形成粒子の前記粒子担持体からの飛翔を制御させる複数の飛翔制御電極と、前記開口部保持部材と一体又は別体に設け、画像形成粒子の飛翔経路の偏向を制御させる複数の偏向制御電極とを前記粒子担持体に対向させた対向電極と前記粒子担持体との間に配設し、画像情報に基づいて、任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的に飛翔させ、又は、任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を、前記偏向制御電極に偏向電圧をそれぞれ印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的且つ偏向的に飛翔させ、飛翔させた画像形成粒子を任意の微小開口部を通して前記対向電極側に移行させることで、前記対向電極上又は前記対向電極上の記録部材上に、移行させた画像形成粒子を付着させて画像を形成する画像形成方法であって、前記飛翔電圧の印加タイミング、前記偏向電圧の印加タイミング、又は、前記偏向電圧の値、のうち少なくとも1つを各飛翔制御電極又は各偏向制御電極に対して個々に調整することにより、前記対向電極上又は前記記録部材上における画像形成粒子の付着位置を、前記記録部材の表面の移動方向、及び、前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向、に個々に調整して前記表面の画像部と非画像部との境界を平滑化し、且つ、その平滑化の際に、原型画像の画像部と非画像部とのエッジに相当する位置よりも画像部側に生じてしまう欠損部の面積が所定値以上になる場合には、前記原型画像の非画像部に対応する粒子担持体領域から画像形成粒子を飛翔させ、その画像形成粒子の前記付着位置を、1画素を超える移動距離で調整して、前記画像形成粒子を前記欠損部に付着させることを特徴とするものである。
【0018】
この発明においては、上記微小開口部と、この微小開口部に対応する上記飛翔制御電極及び上記偏向制御電極と(以下、これらをまとめて単位画像形成部と称する)を用いて形成する単位画像の上記対向電極上又は上記記録部材上における付着位置を、主副両走査方向に調整することにより、エッジをスムージングする。例えば、各単位画像形成部毎に、各飛翔制御電極への飛翔電圧の印加タイミングを変化させたり、各偏向制御電極に印加する偏向電圧の値を変化させて上記偏向の大きさを変化させたりすることにより、上記対向電極又は上記記録部材の移動方向における各単位画像の付着位置を個々に調整する。また例えば、各単位画像形成部毎に、各偏向制御電極に印加する偏向電圧の値を変化させて上記偏向の大きさを変化させることにより、上記移動方向に直行し且つ上記対向電極又は上記記録部材の表面に平行な方向における各単位画像の付着位置を個々に調整する。
更に、この発明においては、原型画像の非画像部に対応する上記粒子担持体の表面の画像形成粒子を飛翔させ、1画素を超える距離で上記偏向させて他の画素に付着させる。例えば、原型画像のエッジに接触する部分の画素に形成する単位画像の大きさや付着位置を調整するだけでは、エッジのスムージングに限界があり、僅かながら上記欠損面積が生じてしまう。本発明においては、原型画像の非画像部に対応する画素の単位画像を1画素を超える距離で移動・付着させることにより、この僅かな上記欠損面積に画像を補うことができる。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1の画像形成方法であって、上記偏向制御電極として、上記記録部材の表面の移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向への上記偏向を制御させる偏向制御電極を用い、上記偏向電圧の値を各偏向制御電極に対して個々に調整することにより、前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向における上記付着位置を調整し、上記飛翔電圧、又は、前記飛翔電圧及び前記偏向電圧、の印加タイミングを、各飛翔制御電極、又は、各飛翔制御電極及び各偏向制御電極、に対して個々に調整することにより前記移動方向における上記付着位置を調整することを特徴とするものである。
【0023】
この発明においては、各偏向制御電極に印加する偏向電圧の値を変化させて上記平行な方向における上記偏向の大きさを変化させることにより、上記対向電極上又は上記記録部材上の該平行な方向における各単位画像の付着位置を調整する。また、各飛翔制御電極、又は、各飛翔制御電極及び各偏向制御電極、への上記飛翔電圧、又は、該飛翔電圧及び該偏向電圧、の印加タイミングを個々に変化さることにより、上記対向電極上又は上記記録部材上の上記移動方向における各単位画像の付着位置を調整する。即ち、上記偏向制御電極は、画像形成粒子の飛翔経路を上記平行な方向にのみ偏向制御すればよく、上記移動方向に偏向制御する必要がない。
【0024】
請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成方法であって、上記偏向制御電極として、上記記録部材の表面の移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向への上記偏向を制御させる第1偏向制御電極と、前記移動方向への上記飛翔経路の偏向を制御させる第2偏向制御電極とを用い、各第1偏向制御電極及び各第2偏向制御電極に印加する上記偏向電圧の値を個々に調整することにより前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向及び前記移動方向おける上記付着位置を個々に調整することを特徴とするものである。
【0025】
この発明においては、各第1偏向制御電極に印加する偏向電圧の値を変化させて該平行な方向における上記偏向の大きさを個々に変化させることにより、上記対向電極上又は上記記録部材上の上記平行な方向における各単位画像の付着位置を調整する。また、各第2偏向制御電極に印加する偏向電圧の値を変化させて上記移動方向における上記偏向の大きさを個々に変化させることにより、上記対向電極上又は上記記録部材上の上記移動方向における各単位画像の付着位置を調整する。従って、各単位画像形成部に対して、各飛翔制御電極又は各偏向制御電極への飛翔電圧又は偏向電圧の印加タイミングを個々に変化させる必要がない。
【0026】
なお、原型画像の上記境界に対して、単位画像を跨げて上記付着させる場合には、該原型画像の該境界よりも、非画像部側に突出させる該単位画像の面積と、画像部側に生じてしまう非画像形成部分の面積とを等しくする位置に、該単位画像を付着させるようにするとよい。
【0027】
このようにすることで、原型画像のエッジに対して、単位画像を跨げて上記付着させる場合には、該エッジよりも、非画像部側に突出させる該単位画像の面積(以下、突出面積と称する)と、画像部側に生じてしまう非画像部分の面積(以下、欠損面積と称する)とを等しくする。例えば、突出面積を欠損面積よりも広くすると、形成画像の面積が該原型画像の面積よりもよりも広くなる。また例えば、突出面積を欠損面積よりも狭くすると、形成画像の面積が該原型画像の面積よりもよりも狭くなる。そして、原型画像と形成画像との面積の差が大きくなるほど、原型画像と形成画像との形状に差が生ずる。つまり、上記突出面積を上記欠損面積よりも広くしたり狭くしたり(又は上記欠損面積を上記突出面積よりも広くしたり狭くしたり)するほど、原型画像と形成画像との形状の差が大きくなる。
【0028】
請求項4の発明は、請求項1、2又は3の画像形成方法であって、各飛翔制御電極への上記飛翔電圧の印加時間長さを個々に調整することを特徴とするものである。
【0029】
この発明においては、上記対向電極上又は上記記録部材上に形成される単位画像の大きさは、上記飛翔電圧の印加時間長さと正の相関があり、標準の単位画像の大きさを限度として、該印加時間が長いほど大きくなる。このため、各飛翔制御電極への上記飛翔電圧の印加時間を個々に調整するにより、各微小開口部を通過させる画像形成粒子の数を各微小開口部毎に調整して、上記対向電極上又は上記記録部材上に形成する単位画像の大きさを個々に調整できる。そして、標準よりも小さな大きさに調整した単位画像を用いることにより、微小な上記欠損面積に対して効率よく画像を補充し、形成画像と原型画像との画像面積の差をより小さくすることができる。
【0030】
なお、原型画像の上記境界よりも画像部側に生じてしまう非画像部分の面積を最小にするように、上記単位画像の大きさを調整することが望ましい。
【0031】
このようにして、形成する上記単位画像の大きさを調整して上記欠損面積を最小にすることで、形成画像と原型画像との画像面積の差をより小さくする。
【0034】
また、1つの上記微小開口部から、上記平行な方向の一方の方向に上記偏向させる画像形成粒子の集合体と、該偏向させない画像形成粒子の集合体と、該平行な方向のもう一方の方向に該偏向させる画像形成粒子の集合体とをそれぞれタイミングを分けて飛翔させるドットディフレクションコントロール法を用いるようにすることが望ましい。
【0036】
請求項5の発明は、互いに独立あるいは一連に形成された複数の微小開口部を有する開口部保持部材と、前記開口部保持部材と一体又は別体に形成され、粒子担持体に担持される微小な画像形成粒子の前記粒子担持体からの飛翔を制御する複数の飛翔制御電極と、前記開口部保持部材と一体又は別体に形成され、画像形成粒子の飛翔経路の偏向を制御する複数の偏向制御電極と、を前記粒子担持体に対向する対向電極と前記粒子担持体との間に備え、画像情報に基づいて、任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的に飛翔させ、又は、任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を、前記偏向制御電極に偏向電圧をそれぞれ印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的且つ偏向的に飛翔させ、飛翔させた画像形成粒子を任意の微小開口部を通して前記対向電極側に移行させることで、前記対向電極上又は前記対向電極上の記録部材上に、移行させた画像形成粒子を付着させて画像を形成する画像形成装置であって、前記飛翔電圧の印加タイミング、前記偏向電圧の印加タイミング、又は、前記偏向電圧の値、のうち少なくとも1つを各飛翔制御電極又は各偏向制御電極に対して個々に調整することにより、前記対向電極上又は前記記録部材上における画像形成粒子の付着位置を、前記対向電極又は前記記録部材の表面の移動方向、及び、前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向、に個々に調整して前記表面の画像部と非画像部との境界を平滑化し、且つ、その平滑化の際に、原型画像の画像部と非画像部とのエッジに相当する位置よりも画像部側に生じてしまう欠損部の面積が所定値以上になる場合には、前記原型画像の非画像部に対応する粒子担持体領域から画像形成粒子を飛翔させ、その画像形成粒子の前記付着位置を、1画素を超える移動距離で調整して、前記画像形成粒子を前記欠損部に付着させることを特徴とするものである。
【0037】
この発明においては、上記対向電極上又は上記記録部材上における各単位画像の付着位置を、主副両走査方向に調整してエッジをスムージングする。更に、原型画像の非画像部に対応する上記粒子担持体の表面の画像形成粒子を飛翔させ、1画素を超える距離で上記偏向させて他の画素に付着させる。例えば、原型画像のエッジに接触する部分の画素に形成する単位画像の大きさや付着位置を調整するだけでは、エッジのスムージングに限界があり、僅かながら上記欠損面積が生じてしまう。本発明においては、原型画像の非画像部に対応する画素の単位画像を1画素を超える距離で移動・付着させることにより、この僅かな上記欠損面積に画像を補うことができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
まず、従来の直接記録方法を用いる画像形成装置(以下、直接記録画像形成装置と称する)の一例について説明する。
図6は本一例の直接記録画像形成装置の要部の概略構成を示す斜視図である。本直接記録画像形成装置は、画像形成粒子としてのトナーを担持する粒子担持体としての現像ローラ1、該現像ローラ1に対向するように配置した対向電極としての対向電極部材4、複数のドット形成部(即ち、微小開口部を有する開口部保持部材、飛翔制御電極及び偏向制御電極)を有するFPC2等を備えている。現像ローラ1はトナーを収容するトナー容器6の内部に配置され、現像ローラ1の表面には、公知技術によりトナーを担持させることができる。本一例では、ドクターブレード7あるいは図示を省略されたトナー供給部材と現像ローラ1との間における摩擦によってマイナスに摩擦帯電したトナーを、静電気力で現像ローラ1上に担持し、ドクターブレード7で規制することによりトナー層を形成している。
【0041】
上記FPC2は、トナー容器6の下壁部に形成された開口を塞ぐように取り付けられている。このFPC2は、図7に示されるように、現像ローラ1と対向電極部材4との間で現像ローラ1から対向電極部材4へのトナー飛翔を制御するように、複数の微小開口部としてのトナー通過孔(以下「孔」という)2c及び各孔の周りに形成された内径0.160[mm]の飛翔制御電極としてのリング状電極2aを有している。この孔2cの内径、及び、紙3の搬送方向と直交する方向(現像ローラ1の軸方向)における孔2c間のピッチphは、紙3に記録する画像の解像度に応じて設定される。本一例では、解像度300[dpi]程度の画像を記録できるように、厚さ0.075[mm]のポリイミドからなる基板に、内径φが0.140[mm]の孔2cを、上記ピッチphが0.0845[mm]となる間隔で形成している。また、この孔2cは、紙3の搬送方向の幅Wが約2[mm]の領域に8列(2c−1〜2c−8)形成され、孔2cの総数は2300個となっている。各孔2cの周りには互いに電気的に独立した、内径=0.160[mm]のリング状電極2aが形成され、各リング状電極2aは、画像情報に応じた電圧を印加するための電源回路に接続されている。
【0042】
図8は、本直接記録画像形成装置の画像記録部の拡大模式図である。トナー5を担持する現像ローラ1は接地され、この現像ローラ1と対向して設けられた対向電極部材4との間に、現像ローラ1上に担持されたトナー5を対向電極部材4に向けて飛翔させるための飛翔電界を形成する高圧電源8が接続されている。この高圧電源8により対向電極部材4にトナー5の平均的な帯電極性と逆の極性の直流高電圧が印加される。
【0043】
また、現像ローラ1と対向電極部材4との間には、FPC2が配設されている。そして、現像ローラ1とFPC2の各リング状電極2aとの間には、画像情報に基づいて生成された制御電圧を各リング状電極2aに印加する電源(以下「画像電源」という)9が接続されている。この画像電源9により、画像情報に基づいてON/OFF制御されたパルス状の制御電圧が各リング状電極2aに対して印加される。この制御電圧のON時の電圧(以下、飛翔制御電圧又はVblackという)の値は例えば+325[V]、OFF時の電圧(以下、非飛翔制御電圧又はVwhiteという)の値は例えば−50[V]に設定される。
【0044】
また、図示の装置では、上記FPC2のリング状電極2aと対向電極部材4との間隔Liは0.5[mm]、リング状電極2aと現像ローラ1との間隔Lkは0.05[mm]、現像ローラ1の周速は300[mm/sec]、紙3の搬送速度は100[mm/sec]である。
【0045】
図9はトナーの飛翔状態を示した模式図である。例えば、マイナスに帯電するトナーを用い、現像ローラ1を接地し、対向電極4に+900[V]の直流高電圧(以下、Vbeとも称する)を印加し、飛翔制御電極2aに+325[V]の飛翔制御電圧(Vblack)を200[μsec]印加する。この印加により、現像ローラ1上のトナー5に対して6×106[V/m]の電界が作用する。そして、この作用の結果、トナー5に加わるクーロン力が、トナー5と粒子担持体1との間に作用している付着力や鏡像力の和を上回って、トナー5の集合体が対向電極4に向かって飛翔し、FPC2の孔を通過する。この孔を通過したトナー5の集合体は、対向電極4に印加された電圧により形成される飛翔電界に引かれてさらに飛翔を続け、対向電極4上を搬送手段(不図示)により所定方向に搬送されている紙3に付着して飛翔を終える。この付着により、紙3上に複数のトナー5の集合体からなるドットが記録される。なお、この装置において、紙3上のトナーを付着させない非画像部に対応するリング状電極2aには、−50[V]の非飛翔制御電圧(Vwhite)が印加される。
【0046】
以上のように、従来の直接記録画像形成装置を用いて紙3上に画像を形成することができる
【0047】
次に、DDC法を用いて画像を形成する従来の画像形成装置(以下、DDC画像形成装置)の一例について説明する。
本一例に係るDDC画像形成装置においては、上記直接記録画像形成装置の構成に加え、FPC2が現像ローラ1から飛翔したトナーを偏向する偏向制御電極対2bを有している。図10は、本DDC画像形成装置におけるFPC2の孔2cの拡大図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。このFPC2は、リング状電極2aに加え、リング状電極2aよりも対向電極部材4側に偏向制御電極対である偏向制御電極2b−1及び2b−2を有している。偏向制御電極2b−1及び第2偏向制御電極2b−2はそれぞれバナナ状、具体的には上記リング状の飛翔制御電極2aより一回り大きなリングの180度よりも小さな角度分に相当する形状をしていて、上述の孔2cを挟むように形成されている。各孔2cに対応する各偏向制御電極2b−1は電気的に全て導通するように構成され、同時に同じ値の電圧が印加される。同様に、各孔2cに対応する各偏向制御電極2b−2は電気的に全て導通するように構成され、同時に同じ値の電圧が印加される。
【0048】
図11は、図10のFPC2の偏向制御電極2b−1に+325[V]の偏向側偏向制御電圧(以下、Vdef1とも称する)を、偏向制御電極2b−2に−50[V]の反偏向側偏向制御電圧(以下、Vdef2とも称する)を、それぞれ印加したときのトナー5の飛翔の状態を示す模式図である。なお、この模式図は、トナーの飛翔をコンピュータでシミュレーションした結果に基づいて描かれており、該シミュレーションにより得られる結果は、実際のトナーの飛翔状態に酷似していることが実験により確かめられている。また、他の電圧の印加条件については、上記直接記録画像形成装置と同様であり、具体的には、Vblackを+325[V]に、Vwhiteを−50[V]に、Vbeを+900[V]に設定している。さらに、図11(a)はVblack印加直後のトナーの位置を示しており、図11(b)、図11(c)及び図11(d)はその200μsec後、400μsec後、523μsec後のトナーの位置を示す。また、図中上下に延びる線は電気力線である。現像ローラ1上の、孔2cの中央部に対応する位置より飛翔し始めたトナー5は、電気力線に沿って左に移動され、上記中央部に対応する位置より左にシフトして紙3の上に着地する。偏向制御電極2b−1と偏向制御電極2b−2との間の電位差を変えると、該電位差により形成される電界(以下、偏向電界という)が変わり、トナー5の着地点は変わる。
【0049】
偏向制御電極2b−2への印加電圧を0[V]一定とし、偏向制御電極2b−1への印加電圧を変化させて上記シミュレーションを行ったときの、偏向制御電極2b−1への印加電圧と、紙3上の上記中央部に対応する位置からのトナー着地点のシフト量との関係を表1に示す。左右の偏向制御電極間の電位差に正比例して上記中央部に対応する位置からのシフト量は大きくなる。実測でも、ドットの位置は偏向電位差に従って変わっていた。なお、このシミュレーションにおいて、トナーの帯電量は一律−2[μC/g]として計算した。また、表1を2次元軸空間にプロットしたものを図12に示す。
【表1】
【0050】
上述のようにDDC法によれば、ドット形成部の数を減らすことが可能である。例えば、300[dpi]で3分割する場合には、一つの孔から時間的に3つに分けてトナーストリームを通過させ、その先頭トナーストリームを左に300[dpi]相当分約84[μm]偏向させ、次のトナーストリームは偏向電圧を印加せずに直進させ、3番目のトナーストリームは、右に約84[μm]偏向させて画像を形成する。このようにすれば、100[dpi]用のドット形成部数で300[dpi]の画像を得ることができる。本一例のDDC画像形成装置を用いて図3に示した原型画像を形成したところ、図4と同様の300[dpi]2値の画像を形成することができた。
【0051】
なお、300[dpi]2値画像を形成するLEDや感熱記録方式を用いる画像形成装置でも、図4と同様の画像を形成することができる。また、DDC、LED又は感熱記録方式を用いる画像形成装置で形成画像のエッジスムージング処理を行う場合には、記録部材表面の主走査方向又は副走査方向のいずれかの方向におけるドットの付着位置を調整することができないので、該いずれかの方向におけるエッジのスムージングが不完全となる。例えば、本一例のDDC画像形成装置が形成する画像の場合には、図5に示されたように、図の上下方向(以下、副走査方向と称する)におけるエッジのスムージングが不完全となる。
【0052】
次に、本発明を適用した画像形成装置の第1実施形態について説明する。
本第1実施形態に係る画像形成装置のFPC2の各偏向制御電極2b−1及び各偏向制御電極2b−2は、図示を省略された電気回路により、それぞれ個別にVdef1又はVdef2が印加される。一方、図示を省略された制御回路は、各偏向制御電極2b−1及び各偏向制御電極2b−2に対して、図示を省略された電源より任意のタイミングで且つ任意の値のVdef1又はVdef2を印加するように制御することで、図4の上下方向(以下、副走査走向と称する)におけるドットの付着位置を調整する。また、各リング状電極2aに対して、画像電源9より任意のタイミングでVblackを印加するように制御することで、図4の左右方向(以下、主走査方向と称する)におけるドットの付着位置を調整する。さらに、これらの調整を行いながら、上記300[dpi]2値画像の形成において非画像部とすべきであった画素(例えば図4のc5、d3、e3、f2、g2、g6、h5及びi5、以下同じ)にドットの一部を付着させるように制御する。これらの制御により、形成画像のエッジスムージングが行われる。なお、このエッジスムージングの際、ドットの付着位置を決定するアルゴリズムとして、原型画像のエッジより非画像部側に突出させる部分のドットの面積(突出面積)と、画像部側に生じてしまう非画像形成部分(欠損面積)との面積を等しく且つ最小にするアルゴリズムが用いられる。
以上の構成の他は、上記DDC画像形成装置の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0053】
図13は、図3の原型画像に係る画像情報を基に本画像形成装置を用いて形成した画像の拡大図、図14は、図3の原型画像に係る画像情報を基に公知の画像形成技術を用いて形成した1200[dpi]2値画像の拡大図である。図示のように、本第1実施形態の画像形成装置により形成される画像のエッジの滑らかさは、1200[dpi]2値画像のエッジの滑らかさに匹敵することがわかる。即ち、本画像形成装置は、100[dpi]用のドット形成部数で、1200[dpi]2値画像に匹敵する画像を形成することができる。
【0054】
次に、本発明を適用した画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図15は本画像形成装置のFPC2における孔2cの拡大図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。このFPC2において、上記孔2cを通過するトナーを偏向させるための偏向制御電極2bは、副走査方向にトナー粒子を偏向させるような電圧が印加される第1偏向制御電極対としての偏向制御電極2b−1及び2b−2と、主走査方向に該偏向させるような電圧が印加される第2偏向制御電極対としての偏向制御電極2b−3及び2b−4とから構成されている。即ち、図10に示されたFPC2における、トナー粒子を副走査方向で偏向可能に左右に設けられた偏向制御電極2b−1及び2b−2に加えて、上下に第2偏向制御電極対としての偏向制御電極2b−3及び2b−4を追加して構成している。また、各偏向制御電極2b−1、2b−2、2b−3及び2b−4は、それぞれ個別にVdef1又はVdef2が印加されるように構成されている。一方、図示を省略された制御回路は、各偏向制御電極2b−1、2b−2、2b−3及び2b−4に対して、図示を省略された電源より任意のタイミングで且つ任意の値のVdef1又はVdef2を印加するように制御することで、主走査方向及び副走査方向におけるドットの付着位置を調整する。また、この調整を行いながら、上記300[dpi]2値画像の形成において非画像部とすべきであった画素に、ドットの一部を付着させるように制御する。これらの制御により、形成画像のエッジスムージングが行われる。なお、このエッジスムージングの際、ドットの付着位置を決定するアルゴリズムとして、原型画像のエッジより非画像部側に突出させる部分のドットの面積(突出面積)と、画像部側に生じてしまう非画像形成部分(欠損面積)との面積を等しくするアルゴリズムが用いられる。また、各リング状電極2aへのVblackの印加タイミングは変更されない。
以上の構成の他は、上記DDC画像形成装置の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
図3の原型画像に係る画像情報に基づいて本画像形成装置を用いて画像を形成したところ、図13と同様の画像が形成された。即ち、本画像形成装置は、100[dpi]用のドット形成部数で、1200[dpi]2値画像に匹敵する画像を形成することができる。但し、本画像形成装置は、各ドット形成部に4つの偏向制御電極を有し、且つ、これら偏向制御電極へ電圧を個別に印加するように構成されているので、FPCの構造が上記第1実施形態の画像形成装置より複雑である。一方、上記第1実施形態の画像形成装置は、本画像形成装置よりもFPCの構造が簡素であるが、各偏向制御電極及び各リング状電極への電圧印加のタイミングを個別に調整するので、該電圧印加の制御の方法、該制御に用いる制御回路、該制御回路に用いる制御プログラム、等が本画像形成装置より複雑である。
【0056】
次に、上記第1実施形態の画像形成装置に、より特徴的な構成を適用した一実施例について説明する。本実施例の画像形成装置の制御回路は、上記エッジスムージングの際、各リング電極2aに対して、画像電源9より任意の時間長さ(以下、パルス幅と称する)で、Vblack又はVwhiteを印加するように制御する。図16は、本実施例における、リング電極2aに印加するVblackのパルス幅[μsec]と、該パルス幅を用いて形成されるドットの形状との関係を示す模式図である。図示のように、リング電極2aに印加するVblackのパルス幅の変化に応じて、形成されるドットのサイズが変化する。具体的には、Vblackのパルス幅が小さくなる程、ドットのサイズが小さくなる。即ち、本画像形成装置においては、リング電極2aに印加するVblackのパルス幅を変化させることにより、形成するドットのサイズを変化させる。また、制御回路は、上記欠損面積及び上記突出面積が最小となるようにドットのサイズ変化させる。
【0057】
以上の構成の本画像形成装置を用い、図3の原型画像に係る画像情報に基づいて画像を形成したところ、図17に示される画像が形成された。図示のように、本画像形成装置により形成した画像の形状は、図13に示される画像の形状よりもさらに原型画像に近いことがわかる。具体的には、図13の欠損面積A、B、C及びDが、消失しているか又は減少していることにより、原型画像の形状に近づいている。
【0058】
次に、上記実施例の画像形成装置に、より特徴的な構成を適用した一具体例について説明する。
本具体例の画像形成装置の制御回路は、上記エッジスムージングの際、上記アルゴリズムに加えて、上記欠損面積が所定値以上になる場合には、原型画像では非画像部となる紙3上の画素に対応する現像ローラ1の領域から、該欠損面積に応じた量のトナーを飛翔させ、該飛翔させたトナーの紙3上への付着位置を、1画素を超える移動距離で調整することにより、該欠損面積上に付着させるアルゴリズムを用いる。具体的には、1画素あたりに含まれる上記欠損面積の割合が、10%以上になる場合にこのアルゴリズムを用いる。
【0059】
以上の構成の本画像形成装置を用い、図3の原型画像に係る画像情報に基づいて画像を形成したところ、図18に示される画像が形成された。図19は、図17の画像に含まれるドットの輪郭のみを示すとともに、上記アルゴリズムにより1画素以上の距離を移動されたドットを示すものである。図示のように、b5及びb6の画素に対応するドットが、大きさを小さくされながら、c5とc6との間、及び、c6とc7との間、にそれぞれ移動・付着されることにより、c5とc6との間、及び、c6とc7との間、にそれぞれ生じる上記欠損面積を補充している。この補充により、図17の画像、即ち上記実施例の画像形成装置により形成された画像、よりも原型画像に近い形状の画像を形成することができる。
【0060】
なお、図20に、図18の画像に含まれる全てのドットの輪郭を示すとともに、移動されたドットが本来付着されるべきであった位置を点線で示した。図示のように、c5、d3、f2、g6、h5及びi5の画素に対応するドットが標準の大きさで移動・付着され、且つ、b5、b6、b8、c4、e2及びg7の画素に対応するドットが大きさを小さくされながら移動・付着されていることがわかる。
【0061】
次に、本発明を適用した画像形成装置の第3実施形態について説明する。
本第3実施形態の画像形成装置は、上記第1実施形態の100dpi相当の電極パターンと異なり、300dpi相当の電極パターンを備えている。即ち、本第3実施形態の画像形成装置は、ドット形成部を上記第1実施形態の画像形成装置より3倍多く備えている。また、DDC法を実施しないように構成されている。以上の構成の他は、上記第1実施形態の画像形成装置と同様であるので説明を省略する。
【0062】
図3の原型画像に係る画像情報に基づいて本画像形成装置を用いて画像を形成したところ、図13と同様の画像が形成された。但し、実施形態の3倍の速度で画像を形成することができた。
【0063】
なお、本明細書のそれぞれの実施形態、実施例及び具体例において、FPC2の現像ローラ1側に飛翔制御電極2aを設け、対向電極4側に偏向制御電極2bを設けた画像形成装置について説明したが、図2に示したように、飛翔制御電極2aと同一平面で且つ飛翔制御電極2aの外側に偏向制御電極2bを設けてもよい。また、各電極の構造は、リング状やバナナ状に限らず、様々な変形が可能である。また、帯電させたトナー粒子を用いる粉体画像形成方法や粉体画像形成装置に限らず、イオンを制御するイオンモジュレーシヨンや、帯電させたインク滴を電界で偏向させる荷重偏向型インクジェット等を用いる画像形成方法又は画像形成装置にも本発明が適応可能である。
【0064】
また、紙などの用紙を記録部材として、該記録材上にトナーを付着させて画像形成を行うものを例示したが、該記録部材としては、紙などの絶縁体の他、紙の背面に上記対向電極として機能する電極層(例えばアルミ箔層)を形成したものでもよい。更に、該対向電極は、回転する無端ベルト状の金属薄膜からなり、付着されたトナーを紙などの記録部材に転写する構成のものでもよい。
【0065】
【発明の効果】
請求項1、2、3、4又は5の発明によれば、画像形成粒子の上記対向電極上又は上記記録部材上における付着位置を主副両走査方向に調整するので、主走査方向のみ又は副走査方向のみに調整する場合よりも形成画像のエッジのジャギーを目立たなくすることができるという優れた効果がある。更には、原型画像のエッジに接触する部分の画素に形成する単位画像の大きさや付着位置を調整してもなお生じてしまう僅かな上記欠損面積を、他の画素に対応する単位画像で補うことができるので、原型画像により近い形状の画像を形成することができるという優れた効果がある。
【0067】
特に、請求項2の発明によれば、上記偏向制御電極が画像形成粒子の飛翔経路を上記平行な方向にのみ偏向制御するので、該偏向制御電極の電気的回路を簡素化することができるという優れた効果がある。
【0068】
また請求項3の発明によれば、各単位画像形成部に対して、各飛翔制御電極又は各偏向制御電極への飛翔電圧又は偏向電圧の印加タイミングを個々に変化させる必要がないので、これら電圧の制御方法、制御に用いる装置の電気回路、又は、該装置に用いる制御プログラム、を簡素化することができるという優れた効果がある。
【0070】
また請求項4の発明によれば形成画像と原型画像との画像面積の差をより小さくすることができるので、原型画像により近い形状の画像を形成することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】直接記録方法によるトナーの飛翔状態を示した模式図。
【図2】(a)はDDC法によるドットLd形成時のトナーの飛翔状態を示した模式図。
(b)はDDC法によるドットNd形成時のトナーの飛翔状態を示した模式図。
(c)はDDC法によるドットRd形成時のトナーの飛翔状態を示した模式図。
【図3】原型画像の拡大図。
【図4】同原型画像を300dpi2値画像で形成したものの拡大図。
【図5】同原型画像に従来のスムージング処理法を施したものの拡大図。
【図6】従来の直接記録画像形成装置の概略構成を示す斜視図。
【図7】同直接記録画像形成装置のFPCを示す拡大平面図。
【図8】同直接記録画像形成装置の画像記録部の拡大模式図。
【図9】同直接記録画像形成装置におけるトナーの飛翔状態を示した模式図。
【図10】(a)は従来のDDC画像形成装置におけるFPC2の孔2cの拡大図平面図。
(b)は同孔2の拡大断面図。
【図11】(a)は同FPC2の偏向制御電極にVblackを印加した直後のトナーの位置を示す模式図。
(b)は同印加から200μsec後のトナーの位置を示す模式図。
(c)は同印加から400μsec後のトナーの位置を示す模式図。
(d)は同印加から523μsec後のトナーの位置を示す模式図。
【図12】偏向制御電極2b−1への印加電圧と、紙3上におけるトナー着地点のシフト量との関係を示す図。
【図13】同原型画像に係る画像情報を基に本第1実施形態の画像形成装置を用いて形成した画像の拡大図。
【図14】同画像情報を基に公知の画像形成技術を用いて形成した1200[dpi]2値画像の拡大図。
【図15】(a)は本第2実施形態の画像形成装置のFPC2における孔2cの拡大図平面図。
(b)は同孔2cの拡大断面図。
【図16】本実施例の画像形成装置におけるVblackのパルス幅と、形成されるドットの形状との関係を示す模式図。
【図17】同画像情報に基づいて同画像形成装置により形成された画像の拡大図。
【図18】同画像情報に基づいて本具体例の画像形成装置により形成された画像の拡大図。
【図19】図17の画像に含まれるドットの輪郭と、図18の画像において1画素以上の距離を移動されたドットとを示す拡大図。
【図20】図18の画像に含まれるドットの輪郭と、移動ドットの本来の付着位置とを示す拡大図。
【符号の説明】
1 現像ローラ
2 FPC
2a リング状電極
2b 偏向制御電極
2c トナー通過孔
3 紙
4 対向電極部材
5 トナー
6 トナー容器
7 ドクターブレード
8 高圧電源
9 画像電源
Claims (5)
- 複数の微小開口部を互いに独立あるいは一連に設けた開口部保持部材と、
前記開口部保持部材と一体又は別体に設け、粒子担持体に担持させた微小な画像形成粒子の前記粒子担持体からの飛翔を制御させる複数の飛翔制御電極と、
前記開口部保持部材と一体又は別体に設け、画像形成粒子の飛翔経路の偏向を制御させる複数の偏向制御電極と
を前記粒子担持体に対向させた対向電極と前記粒子担持体との間に配設し、
画像情報に基づいて、
任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的に飛翔させ、又は、任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を、前記偏向制御電極に偏向電圧をそれぞれ印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的且つ偏向的に飛翔させ、飛翔させた画像形成粒子を任意の微小開口部を通して前記対向電極側に移行させることで、前記対向電極上又は前記対向電極上の記録部材上に、移行させた画像形成粒子を付着させて画像を形成する画像形成方法であって、
前記飛翔電圧の印加タイミング、前記偏向電圧の印加タイミング、又は、前記偏向電圧の値、のうち少なくとも1つを各飛翔制御電極又は各偏向制御電極に対して個々に調整することにより、
前記対向電極上又は前記記録部材上における画像形成粒子の付着位置を、前記記録部材の表面の移動方向、及び、前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向、に個々に調整して前記表面の画像部と非画像部との境界を平滑化し、且つ、その平滑化の際に、原型画像の画像部と非画像部とのエッジに相当する位置よりも画像部側に生じてしまう欠損部の面積が所定値以上になる場合には、前記原型画像の非画像部に対応する粒子担持体領域から画像形成粒子を飛翔させ、その画像形成粒子の前記付着位置を、1画素を超える移動距離で調整して、前記画像形成粒子を前記欠損部に付着させることを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1の画像形成方法であって、
上記偏向制御電極として、上記記録部材の表面の移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向への上記偏向を制御させる偏向制御電極を用い、
上記偏向電圧の値を各偏向制御電極に対して個々に調整することにより、前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向における上記付着位置を調整し、
上記飛翔電圧、又は、前記飛翔電圧及び前記偏向電圧、の印加タイミングを、各飛翔制御電極、又は、各飛翔制御電極及び各偏向制御電極、に対して個々に調整することにより前記移動方向における上記付着位置を調整することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1又は2の画像形成方法であって、
上記偏向制御電極として、
上記記録部材の表面の移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向への上記偏向を制御させる第1偏向制御電極と、
前記移動方向への上記飛翔経路の偏向を制御させる第2偏向制御電極と
を用い、
各第1偏向制御電極及び各第2偏向制御電極に印加する上記偏向電圧の値を個々に調整することにより前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向及び前記移動方向おける上記付着位置を個々に調整することを特徴とする画像形成方法。 - 請求項1、2又は3の画像形成方法であって、
各飛翔制御電極への上記飛翔電圧の印加時間長さを個々に調整することを特徴とする画像形成方法。 - 互いに独立あるいは一連に形成された複数の微小開口部を有する開口部保持部材と、
前記開口部保持部材と一体又は別体に形成され、粒子担持体に担持される微小な画像形成粒子の前記粒子担持体からの飛翔を制御する複数の飛翔制御電極と、
前記開口部保持部材と一体又は別体に形成され、画像形成粒子の飛翔経路の偏向を制御する複数の偏向制御電極と、
を前記粒子担持体に対向する対向電極と前記粒子担持体との間に備え、
画像情報に基づいて、
任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的に飛翔させ、又は、任意の飛翔制御電極に飛翔電圧を、前記偏向制御電極に偏向電圧をそれぞれ印加して前記粒子担持体から画像形成粒子を選択的且つ偏向的に飛翔させ、飛翔させた画像形成粒子を任意の微小開口部を通して前記対向電極側に移行させることで、前記対向電極上又は前記対向電極上の記録部材上に、移行させた画像形成粒子を付着させて画像を形成する画像形成装置であって、
前記飛翔電圧の印加タイミング、前記偏向電圧の印加タイミング、又は、前記偏向電圧の値、のうち少なくとも1つを各飛翔制御電極又は各偏向制御電極に対して個々に調整することにより、
前記対向電極上又は前記記録部材上における画像形成粒子の付着位置を、前記対向電極又は前記記録部材の表面の移動方向、及び、前記移動方向に直交し且つ前記表面に平行な方向、に個々に調整して前記表面の画像部と非画像部との境界を平滑化し、且つ、その平滑化の際に、原型画像の画像部と非画像部とのエッジに相当する位置よりも画像部側に生じてしまう欠損部の面積が所定値以上になる場合には、前記原型画像の非画像部に対応する粒子担持体領域から画像形成粒子を飛翔させ、その画像形成粒子の前記付着位置を、1画素を超える移動距離で調整して、前記画像形成粒子を前記欠損部に付着させることを特徴とする画像形成装置。
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