JP3981204B2 - 織物構造物の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テント、幌等に適した防水性、光線透過性および耐久性にすぐれた織物構造物を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
屋外用の仮設または常設の大型テントや車両の幌として、広巾の織物を縫製により継ぎ合わせたものが用いられているが、織物は光線透過性をほとんど有しないので、太陽光線が射し込むことが望まれる使い方はできない。
【0003】
農業用ハウスの場合、従来はポリエチレンフィルムやポリ塩化ビニルフィルムが用いられていたが、いずれも耐久性が不足するため、前者の場合は1〜2年、後者の場合でも2〜3年位で新しいものと張り替えなければならない上、張り替えるたびに廃棄物が大量に発生するのでその焼却も容易ではなく、特にポリ塩化ビニルフィルムの場合には焼却自体が規制されるようになってきたため、その処置に窮している。
【0004】
そこで大型テントや農業用ハウスのためのシート材料として、光線透過性を確保するため、ガラス繊維等の耐熱性糸で目の粗いネット状の織物を製織し、その織物の少なくとも片面にフッ素系樹脂フィルムを積層して一体化したラミネート織物を用いることが検討されている。ラミネート用のフィルムとしてフッ素系樹脂フィルムを用いる理由は、該フィルムの耐侯性や耐久性が極めてすぐれているからである。織物のための糸としてガラス繊維等の耐熱性糸を用いる理由は、フッ素系樹脂フィルムのラミネート時の高温に耐えるようにするためである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ガラス繊維等の耐熱性糸でできた目の粗いネット状の織物にフッ素系樹脂フィルムをラミネートするときには、たとえば260〜300℃程度の温度条件下に熱圧着を行うところ、そのときにフッ素系樹脂フィルムが無視しえないほど収縮してラミネート物の周辺が中央側に引きつけられるように収縮し、均質なラミネート物を得ることができない。またフィルム部分に、しわ、曇り、気泡などを生じることを免かれない。そのためこのラミネート物は、均質さの点で難がある上、それを介して遠景を見ようとしても判別できないほど透視性が悪く、光線透過が余り期待できない。
【0006】
このような事態を避けるために、織物の大きさを小さくして収縮を目立たなくすることが考えられるが、そのようにしても収縮による不均一性は容易には解消しない。また、大型テントや農業用ハウスのためのシート材料は大型であるのが通常であるため、多数枚のラミネート物を縫製などにより継ぎ合わせて大型のラミネート物にすることは、外観を悪くし、継ぎ合わせのための工数も負担になり、さらには継ぎ合わせ部分の防水加工のための工数も多大なものとなる。
【0007】
本発明は、このような背景下において、目の粗いネット状の織物にフィルムをラミネートする従来のラミネート法とは全く異なる方法により、防水性、光線透過性および耐久性にすぐれ、かつ任意の大きさの(特に大型の)織物構造物を製造することのできる工業的な方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の織物構造物の製造法は、熱溶融可能な耐熱性樹脂フィルムをスリットしたテープ(1t)と耐熱性糸(1s)とを経糸(1) として用いてこれらを一定の規則で配列し、耐熱性糸(2s)を緯糸(2) として用いて製織を行うことにより織物を得ること、ついで製織後の織物を熱圧着することにより、織物組織中の隣接するテープ(1t)の端縁同士を融着接合すると共に、そのテープ(1t)と経緯の耐熱性糸(1s), (2s)とを一体化すること、を特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0010】
〈製織〉
本発明においては、経糸(1) として、テープ(1t)と、耐熱性糸(1s)とを用いる。また緯糸(2) として耐熱性糸(2s)を用いる。テープは一般には糸と称しないこともあるが、本発明においてはテープ(1t)を経糸方向に配列して製織に供するので、糸と呼ぶことにする。
【0011】
テープ(1t)は、原反となる熱溶融可能な耐熱性樹脂フィルムをスリットしたものであり、全体の巾とのバランスで過度に広巾でない限りその巾は任意であるものの、たとえば、狭い方では2mm以上、3mm以上、5mm以上、10mm以上というようにすることができ、広い方では300mm以下、200mm以下、100mm以下というようにすることができる。テープ(1t)の巾が極端に狭いときは、光線透過性の点で不利となる。一方テープ(1t)の巾が極端に広いときは、後の熱圧着過程でのテープ(1t)の収縮が無視しえなくなり、また織物構造物に占めるテープ(1t)の割合が過度に大きくなるので強度も不足するようになる。
【0012】
テープ(1t)の厚みにも制限はないが、たとえば10〜1000μm 程度あるいはそれ以上、殊に15〜500μm 程度とすることが多い。テープ(1t)は、単層のみならず、複数枚を重ねたものであってもよい。
【0013】
耐熱性樹脂フィルムとしては、まず、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)などの熱溶融可能なフッ素系樹脂のフィルムがあげられ、最初に述べたETFEが、コスト、溶融温度、透明性などを総合考慮すると、実用上特に重要である。融点は、共重合体の場合や第3成分を含む場合にはその組成によっても異なるが、ETFEが257〜300℃程度、ECTFEが197〜239℃程度、PFAが302〜310℃程度、FEPが255〜265℃程度、PCTFEが212〜217℃程度、PVDFが172〜177℃程度である。
【0014】
耐熱性の度合は目的物の用途によっても異なる。従って、耐熱性樹脂フィルムとしては、上述のフッ素系樹脂のフィルムのほか、熱溶融可能で、光線透過性を有し、防水性を有し、かつ相応の耐熱性(たとえば120℃以上、殊に150℃以上)を有する種々の樹脂またはエラストマーのフィルムを用いることもできる。
【0015】
耐熱性糸(1s), (2s)としては、ガラス繊維糸、鉱物(セラミックス)繊維糸、金属(ステンレススチール、形状記憶合金等)繊維糸、炭素繊維糸、各種の合成繊維糸、各種の半合成または天然繊維糸などが用いられる。合成繊維糸の場合には、アラミド(芳香族アミド)繊維糸、ポリエーテルエーテルケトン繊維糸、ポリアミドイミド繊維糸、ポリイミド繊維糸、ポリベンズイミダゾール繊維糸、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維糸、液晶ポリエステル繊維糸などの耐熱性の高い繊維糸が好適である。ただし耐熱性糸(1s), (2s)は、後述の熱圧着に際し、耐熱性樹脂フィルムをスリットしたテープ(1t)が溶融または軟化したときに、強度が保たれる程度の耐熱性を有していればよい。
【0016】
耐熱性糸(1s), (2s)は、モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸、紡毛糸(フィラメントを適当な長さに切断して撚りをかけることにより毛羽を付与したもの)、スリット糸(フィルムをスリットしたもの)、カバリング糸(芯となる糸にスリット糸やフィラメント糸等の他の糸を螺旋状に巻き付けたもの)などのいずれであってもよい。またこれらの糸は、同種または異種の糸の適当本数を引き揃えまたは撚り合わせ、さらには必要に応じ再撚り合わせや再引き揃えを行ったものであってもよい。耐熱性糸(1s), (2s)の太さは、細手のものから太手のものまで任意である。
【0017】
耐熱性糸(1s), (2s)は、熱溶融可能な耐熱性樹脂を含浸または被覆した糸であることが特に好ましい。後の熱圧着工程においてテープ(1t)と経緯の耐熱性糸(1s), (2s)との一体化が円滑になされる上、織物構造物としたときに耐熱性糸(1s), (2s)の耐水性が確保されるからである。
【0018】
耐熱性糸(1s), (2s)に含浸または被覆する熱溶融可能な耐熱性樹脂は、熱圧着時にテープ(1t)を構成する樹脂と融着するものが適当である。たとえば、テープ(1t)がフッ素系樹脂で構成されているときは、耐熱性糸(1s), (2s)に含浸または被覆する耐熱性樹脂もフッ素系樹脂であることが好ましい。
【0019】
上記の経糸(1) および緯糸(2) を用いての製織に際しては、織り巾と同等かそれ以上の巾を有する熱溶融可能な耐熱性樹脂フィルムを繰り出すときに、カッター(3) で所定の巾にスリットしてテープ(1t)となすと共に、そのスリット位置を目安に耐熱性糸(1s)を配列することにより、テープ(1t)と耐熱性糸(1s)とを一定の規則で(通常は交互に)配列し、経糸(1) 列とする。そして常法に従い、経糸(1) をそうこう(4) で上下させて開口しながら、緯糸(2) である耐熱性糸(2s)を緯入し、おさ(5) で打ちつける操作を繰り返して製織する。なおテープ(1t)はそうこう(4) の目にカールないし丸まった状態で挿通されることになり、またおさ(5) の間隙もテープ(1t)巾に合わせることになる。
【0020】
製織は、経糸(1) および緯糸(2) が一重状態で交錯している一重織物とすることが多いが、経糸(1) または緯糸(2) の少なくとも一方が二重以上に重なっている重ね織物とすることもできる。また2枚の重なった織物を織るときに表裏の織物が両耳端で接結するような袋織りを行い、袋織物とすることもできる。織り組織は、平織り組織のほか、綾織り組織、朱子織り組織、これらの変化織り組織とすることもできる。
【0021】
製織に際しては、シャトルを用いる一般の織機のほか、ジェット織機(ウォータージェット、エアジェット)、レピア(Lapier)織機、スルザー(Sulzer)織機などの無杼織機などを用いることができる。
【0022】
ところで、本発明の織物構造物は、その主たる用途に鑑みると、できるだけ広巾であることが好ましいことが多い。またその巾に対応して、緯糸としてもある程度太番手の緯糸を使用することが好ましい場合が多い。しかるに広巾ないし超広巾の織物を織ろうとすると、あるいは太番手の緯糸を使用しようとすると、緯糸の緯入を通常のシャトルを用いて行ったのでは、シャトルに収容できる緯糸量には制限があるので、頻繁に緯糸を補充しなければならないという煩わしがある上、緯糸交換時に織物の緯糸組織に不均一さを生ずることを免かれない。
【0023】
加えて、広巾ないし超広巾の織布を織ろうとするときには、次のような問題点もある。すなわち、シャトルの走行機構としては、通常はピッキング機構によりシャトルを打撃する方法が採用されるが、広巾ないし超広巾の織布を製織するときには、初速を大にするため打撃音が大きくなるだけでなく、糸の繰り出し時のテンションむらなどに起因してシャトルが斜め方向に飛び出して作業員に危険をもたらすことがあり、またそのような飛び出しのおそれがあるので夜間の無人運転ができないという問題点がある。
【0024】
そこで本発明においては、もし必要なら、次のような工夫を講じることが望ましい。すなわち、経糸(1) および緯糸(2) を用いて製織を行うにあたり、緯糸(2) を収容した飛走体(6) を磁着手段(8) 付きの移動体(7) に積載し、その移動体(7) を、織機側に設置した磁着手段(10)付きの誘導手段(9) の往復動に追随して往復動させることにより緯入を行うのである。この方法によれば、極めて長い長さの緯糸あるいは太番手の緯糸を、補充することなく緯入に供することができるので、製織操作を長時間にわたり無人で行うことがきる。
【0025】
ここで飛走体(6) としては、緯糸(2) が芯なしの中空状巻回物(H) の形態に形成され、かつ緯糸(2) の始端側がその中空状巻回物(H) の内面側の空洞(S) の所から繰り出されるようになっているものが好適である。この場合、その中空状巻回物(H) の外面側がさらに接着テープ、収縮チューブ、樹脂コーティング被膜、ケース、ネットなどの外面材で覆われているようなものを飛走体(6) とすることが特に好ましい。この構造の飛走体(6) は、たとえば、管や棒などの適当な芯材に緯糸(2) を多重に螺旋巻きした後、好ましくはその中空状巻回物(H) の外面側の少なくとも一部を外面材で覆い、ついで芯材を引き抜くことにより得られる。このとき、緯糸(2) の始端側が、中空状巻回物(H) の内面側の空洞(S) の所から繰り出されるようにする。緯糸(2) の巻回にあたっては、S撚りの糸とZ撚りの糸を2本引き揃えて巻回することもできる。
【0026】
上記の飛走体(6) を用いて緯入を行うときには、その飛走体(6) を移動体(7) に積載しておく。この移動体(7) は、従来のシャトルに相当するものである。移動体(7) の好適な例は車輪付きの台車であり、移動体(7) の他の例は滑り性の良い材料でできた滑走体である。飛走体(6) を積載固定するため、移動体(7) にはバンド等の固定部材を付設するか、移動体(7) を閉蓋式にしたり筒形にしたりするなどの工夫を講じる。
【0027】
一方、織機側には、往復動可能な誘導手段(9) を設置すると共に、その誘導手段(9) に磁着手段(10)を設置しておく。誘導手段(9) の好適な例は往復動可能な無端ベルトであり、駆動走行のためにその無端ベルトをローラやプーリーなどの回転体間に張設する。誘導手段(9) の他の例は、チェイン、牽引ワイヤ、プッシャーなどである。磁着手段(10)は、たとえば誘導手段(9) が無端ベルトであるときは、その無端ベルトに直接設置してもよいが、磁着手段(10)を一旦板体(11)に設置し、その板体(11)を無端ベルトの上面に設置するのが通常である。
【0028】
移動体(7) に設ける磁着手段(8) と、誘導手段(9) に設ける磁着手段(10)とは、磁石−磁石、磁石−磁性体、磁性体−磁石の組み合わせとすることができ、これらを混在させることもできる。磁性体とは鉄片などである。
【0029】
上記のように、移動体(7) には磁着手段(8) を設けてあり、織機側の誘導手段(9) には磁着手段(10)を設けてある。そこで、経糸の開口運動に合わせて誘導手段(9) を経糸群の巾を越えて往復動させれば、それに追随して移動体(7) が往復動するので、緯入を行うことができる。飛走体(6) を積載した移動体(7) の往復動を円滑にするために、織機側には、移動体(7) を浮かす方向に風を送る送風手段を設けることが好ましい。
【0030】
〈熱圧着〉
そして上記のようにして製織を行った後の織物を熱圧着することにより、織物中の隣接するテープ(1t)の端縁同士が融着接合されると同時に、そのテープ(1t)と経緯の耐熱性糸(1s), (2s)とが一体化(密着や融着)される。熱圧着は、製織の直後に行ってもよく、製織後に一旦巻き取った織物を、爾後の適当な段階で熱圧着してもよい。
【0031】
熱圧着温度は、テープ(1t)を構成する耐熱性樹脂フィルムの溶融温度に依存する。耐熱性糸(1s), (2s)が熱溶融可能な耐熱性樹脂を含浸または被覆した糸であるときは、その耐熱性樹脂の溶融温度も考慮に入れる。一例をあげると、これらの耐熱性樹脂フィルムおよび耐熱性樹脂がETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)であるときは、エチレンとテトラフルオロエチレンとの共重合割合によっても融点が異なるが(その融点については、「ふっ素樹脂ハンドブック、日刊工業新聞社発行、1990年11月30日初版1刷発行」の446頁に記載がある)、その融点の前後かその融点を越える温度、たとえば260〜320℃程度とすることができる。
【0032】
もし必要なら、熱圧着後に、さらに樹脂加工や撥水加工などの後加工を行うこともできる。熱圧着時にテープ(1t), (1t)の継ぎ目の所に別のテープを添えて熱圧着を行うことも可能である。
【0033】
〈用途〉
本発明の方法により得られる織物構造物は、屋外用の仮設または常設の大型テント、エア膨張式テントまたはその支柱、各種の幌、テラス用の幕、農業用ハウスのためのシート材料、搬送用ベルト、サイロ用の大型袋をはじめ、従来織物やラミネート織物が用いられている種々の用途に用いることができる。
【0034】
〈作用〉
本発明においては、織物を得た後、それを熱圧着するだけで、目的の織物構造物を得ることができる。この織物構造物は、防水性、光線透過性を有し、耐久性に富んでいる。
【0035】
この織物構造物にあっては、織物中の隣接するテープ(1t)の端縁同士が融着接合されている上、そのテープ(1t)と経緯の耐熱性糸(1s), (2s)とが一体化されている。従って、従来のようなラミネート操作を行わないにもかかわらず、結果的にはネット状の織物にフィルムをラミネートしたのと同様の構造が得られる。
【0036】
そして、テープ(1t)自体の巾は比較的狭く、そのテープ(1t)が上記のように織物中の隣接するテープ(1t)の端縁同士が融着接合されているので、熱圧着操作にあたっての収縮率が小さく、従来のラミネート操作におけるようなラミネートフィルムの収縮に基くしわ寄りや不均一さを生じない上、テープ(1t)部分の透明性が保たれ、織物構造物全体の光線透過率が高い。
【0037】
そして先に述べような製織上の工夫を講じれば、広巾ないし超広巾の織物を得ようとするときあるいは太番手の緯糸(2) を用いるときでも、緯糸(2) を補充することなくあるいは緯糸(2) の補充頻度を著しく減ずることができるので、工業的生産性の点からも有利であり、さらには従来のようなシャトルの打撃操作がなくなるので製織時の騒音も著しく小さくなり、またシャトルの飛び出しのおそれが皆無となって夜間の無人運転も可能となる。
【0038】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0039】
実施例
図1は本発明の織物構造物における製織工程の一例を示した説明図である。図2は図1のそうこう(4) の部分の状態を模式的に示した説明図である。図3は図1のおさ(5) の部分の状態を模式的に示した説明図である。図4は製織後の織物を熱圧着して得られた織物構造物の一例を示した平面図である。図5は緯糸(2) を収容した飛走体(6) を用いて製織を行うときの状態を示した正面図である。
【0040】
熱溶融可能な耐熱性樹脂フィルムの一例としての広巾のETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)フィルムを原反ロールから繰り出し、多数並んだカッター(3) により所定の巾にスリットしてテープ(1t)としながら、経方向に配列した。また耐熱性糸(1s)として、上記と同じETFEを含浸ないし被覆したガラス繊維ヤーンを、上記カッター(3) の設置位置に合わせて経方向に配列した。
【0041】
一方、耐熱性糸(2s)として、上記耐熱性糸(1s)と同様に上記と同じETFEを含浸ないし被覆したガラス繊維ヤーンを緯糸(2) として準備した。この緯糸(2) を用い、金属管からなる芯材を回転させると共に、供給する緯糸(2) を左右方向に移動または揺動させながら多重に螺旋巻きすることにより、中空状巻回物(H) の形態に形成していった。螺旋巻きを終了した後、得られた中空状巻回物(H) に接着テープからなる外面材を螺旋巻きしていくことにより、中空状巻回物(H) の外面を外面材で覆った。最後に芯材を引き抜くことにより(芯材引き抜き後のスペースは空洞(S) となる)、目的とする飛走体(6) を得た。得られた飛走体(6) にあっては、緯糸(2) が芯なしの中空状巻回物(H) の形態に形成されていると共に、その中空状巻回物(H) の外面が外面材で覆われており、かつ緯糸(2) の始端側を中空状巻回物(H) の内面側の空洞(S) の所から繰り出されるようになっている。繰り出された緯糸(2) は、飛走体(1) の空洞(S) のどちらかの端部側から導出されるようになる。
【0042】
図1のように、上記のテープ(1t)と耐熱性糸(1s)とが交互に配列された状態で、これらを経糸(1) として用い、その経糸(1) をそうこう(4) で上下させて開口しながら、緯糸(2) である耐熱性糸(2s)を上記飛走体(1) の状態で緯入し、おさ(5) で打ちつける操作を繰り返して、製織を行った。
【0043】
このときには、図5に示したように、緯糸(2) を収容した飛走体(6) を磁着手段(8) 付きの移動体(車輪付きの台車)(7) に積載し、その移動体(7) を、織機側に設置した磁着手段(10)付きの誘導手段(駆動および従動ローラ間に張設した無端ベルト)(9) の往復動に追随して往復動させることにより緯入を行った。図2中の(11)は、磁着手段(10)を設置した板体である。
【0044】
なおテープ(1t)は、図2に示したように、そうこう(4) の目にカールないし丸まった状態で挿通されている。また図3のように、おさ(5) の間隙はテープ(1t)巾および耐熱性糸(1s)に合わせてある。
【0045】
上記のようにして製織した織物を270〜280℃で熱圧着したところ、図4に示した織物構造物が得られた。この織物構造物にあっては、織物中の隣接するテープ(1t)の端縁同士が融着接合していると共に、そのテープ(1t)と経緯の耐熱性糸(1s), (2s)とが一体化していた。この織物構造物は、防水性、光線透過性がすぐれており、また耐侯性が良好で、耐久性が顕著にすぐれていた。
【0046】
【発明の効果】
本発明の織物構造物の製造法は、
・織物を得た後、それを熱圧着するだけで、目的の織物構造物を得ることができるので、工業的生産性の点で有利であること、
・得られた織物構造物は、防水性、光線透過性を有し、耐久性に富むこと、
・織物中の隣接するテープ(1t)の端縁同士が融着接合されている上、そのテープ(1t)と経緯の耐熱性糸(1s), (2s)とが一体化されているので、従来のようなラミネート操作を行わないにもかかわらず、結果的にはネット状の織物にフィルムをラミネートしたのと同様の構造が得られること、
・テープ(1t)自体の巾は全体の巾とのバランスで相対的に狭く、そのテープ(1t)が上記のように織物中の隣接するテープ(1t)の端縁同士が融着接合されているので、熱圧着操作にあたっての収縮率が小さく、従来のラミネート操作におけるようなラミネートフィルムの収縮に基くしわ寄りや不均一さを生じない上、テープ(1t)部分の透明性が保たれ、織物構造物全体の光線透過率が高いこと、
・先に述べような製織上の工夫を講じれば、広巾ないし超広巾の織物を得ようとするときあるいは太番手の緯糸(2) を用いるときでも、緯糸(2) を補充することなくあるいは緯糸(2) の補充頻度を著しく減ずることができるので、工業的生産性の点からも有利であり、さらには従来のようなシャトルの打撃操作がなくなるので製織時の騒音も著しく小さくなり、またシャトルの飛び出しのおそれが皆無となって夜間の無人運転も可能となること、
などのすぐれた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の織物構造物における製織工程の一例を示した説明図である。
【図2】図1のそうこう(4) の部分の状態を模式的に示した説明図である。
【図3】図1のおさ(5) の部分の状態を模式的に示した説明図である。
【図4】製織後の織物を熱圧着して得られた織物構造物の一例を示した平面図である。
【図5】緯糸(2) を収容した飛走体(6) を用いて製織を行うときの状態を示した正面図である。
【符号の説明】
(1) …経糸、
(1t)…テープ、(1s)…耐熱性糸、
(2) …緯糸、
(2s)…耐熱性糸、
(3) …カッター、
(4) …そうこう、
(5) …おさ、
(6) …飛走体、
(7) …移動体、
(8) …磁着手段、
(9) …誘導手段、
(10)…磁着手段、
(11)…板体、
(H) …中空状巻回物、
(S) …空洞

Claims (4)

  1. 熱溶融可能な耐熱性樹脂フィルムをスリットしたテープ(1t)と耐熱性糸(1s)とを経糸(1) として用いてこれらを一定の規則で配列し、耐熱性糸(2s)を緯糸(2) として用いて製織を行うことにより織物を得ること、
    ついで製織後の織物を熱圧着することにより、織物組織中の隣接するテープ(1t)の端縁同士を融着接合すると共に、そのテープ(1t)と経緯の耐熱性糸(1s), (2s)とを一体化すること、
    を特徴とする織物構造物の製造法。
  2. 耐熱性糸(1s), (2s)として、熱溶融可能な耐熱性樹脂を含浸または被覆した糸を用いることを特徴とする請求項1記載の製造法。
  3. 耐熱性糸(1s), (2s)に含浸または被覆した熱溶融可能な耐熱性樹脂が、フッ素系樹脂である請求項2記載の製造法。
  4. テープ(1t)の原反である熱溶融可能な耐熱性樹脂フィルムが、フッ素系樹脂フィルムである請求項1記載の製造法。
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