JP3980253B2 - 油圧シリンダーの断面略コ字形の三面保護構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、造園業や比較的狭い建築現場等での掘削作業や整地作業に使用されるショベル系のフロントアタッチメントとブレードとを備えた多機能の掘削作業機に係り、装着されたブレードをアングル操作を行う油圧シリンダーの三面保護構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これら比較的規模の小さい土木作業である造園業や比較的狭い建築現場等での作業現場では、作業の省力化と効率化を進めて施工期間の短縮化を図る必要があることから、これら掘削作業や整地作業の機械化が推し進められており、一台の掘削作業機にバケットとブレードを備えた多機能の掘削作業機のバケットで掘削すると共に、この掘削された土砂等を掘削作業機を前進させながらブレードで土砂を押送したり、前進しながら地均し作業をしたり、また、後退しながら掘削された地面をブレードにより整地作業を行っている。
【0003】
従来のバケットやブレードを備えた多機能の掘削作業機を図面によって説明すると、図1は、下部走行体1に取付けたブレード6と上部旋回体2に取付けたバケット12とを備えた多機能の掘削作業機の側面図である。下部走行体1の上に設けた旋回丸胴3を介して上部旋回体2が旋回自在に取付けられている。そして、この下部走行体1の前方或いは後方には地面を整地するためのブレード6が、下部走行体1に取付けられたブレード昇降フレーム7に装着されており、ブレード昇降用油圧シリンダー8によってブレード昇降フレーム7を上下昇降させてブレード6の高さを調節し、掘削作業機の前進又は後進しながら地面の整地作業を行っている。
【0004】
そして、この整地作業の際、ブレード昇降用油圧シリンダー8には、整地作業時にブレード6を越えて上から落下してくる土砂等によってブレード昇降用油圧シリンダー8が破損することの無いように、その上面にのみブレード昇降用油圧シリンダー保護カバー24が設けられている。ブレード昇降用油圧シリンダー8のみに限らず、他の油圧シリンダー25、26にも油圧シリンダー保護カバー35、36が設けられている。
【0005】
上部旋回体2には、その前方のブーム支持体9を介してブーム10の基端が取付けられ、ブーム10の先端にはアーム11が取付けられ、その先端には土砂を掘削作業や積込み作業を行うバケット12が取付けられている。なお、符号13はブーム10のためのブーム昇降用油圧シリンダー、符号14はアーム11のためのアーム用油圧シリンダー、符号15はバケット12のためのバケット用油圧シリンダーである。これらブーム昇降用油圧シリンダー13、アーム用油圧シリンダー14、バケット用油圧シリンダー15は、操作レバースタンド16に取付けられた操作レバー17をオペレータが操作して、ブーム10、アーム11、バケット12を屈伸させることでバケット12によって地面の掘削作業および掘削した土砂の搬送積込作業、及び前後進・回転走行、上部旋回体の旋回を行うようになっている。なお、符号4はオペレータのための座席、符号5はキャノピーで、符号16は操作レバー17の操作レバースタンドである。
【0006】
次に、従来公知のバケットとブレードとを備えた多機能の掘削作業機について図2を参照しながら説明する。図2は、従来例の多機能の掘削作業機の油圧シリンダへの油圧ホースの取付け構造を示す平面展開図である。従来公知のバケットとブレードとを備えた多機能の掘削作業機の有する様々な作業のうち、例えば、ブレード6をアングル操作するためオペレータによって上部旋回体2に設けた操作レバースタンド16に取付けられたアングル操作用操作レバー17が操作されると、操作レバー17の操作による圧油は、下部走行体1側に設けた旋回丸胴3の内部のスイベルジョイント21の油路から下部走行体1に設けられているアングル操作用のセレクターバルブ22を切換える。
【0007】
そして、このセレクターバルブ22には図示されていない油圧ポンプからの圧油が接続されており、セレクターバルブ22の切換えにより油圧ポンプからの圧油は、このセレクターバルブ22の出力ポートに接続されているアングル用油圧ホース32、32を経て、一端がブレード昇降フレーム7に設けられたブラケット31に、他端がブレード6背面に設けられたブラケット30に取付けられているアングル用油圧シリンダー26のロッド側又はボトム側に送られ、アングル用油圧シリンダー26を伸縮させ、掘削作業機に取付けられたブレード6の左右端を前後方向に前進後退してブレード6に角度を付けるようになっている。なお、符号34は、油圧ホースを案内支持するための逆U字状の油圧ホースガイドで、ブレード昇降フレーム7の上面側に設けられている。
【0008】
このようにブレード6を前後方向に角度を付けるアングル用油圧シリンダー26に圧油を供給するため、アングル操作用のセレクターバルブ22からアングル用油圧シリンダー26のロッド側又はボトム側までが、ブレード昇降フレーム7の外側に沿った1本のアングル用油圧ホース32によって接続されている。
【0009】
このアングル用油圧シリンダー26は、アングル用油圧シリンダー26のボトム側がブレード昇降フレーム7の側面部に設けられたアングル用油圧シリンダー取付けブラケット37に自在接手を介して取付けられており、また、アングル用油圧シリンダー26のロッド部はブレード6の背面に設けられた取付けブラケット30に球面ブッシュを介して取付けられている。
【0010】
そして、このブレード昇降フレーム7とブレード6の背面側とに取付けられたアングル用油圧シリンダー26は、アングル用油圧シリンダー26のロッド側又はボトム側に圧油が供給されることによって伸縮し、このアングル用油圧シリンダー26の伸縮により、ブレード昇降フレーム7の先端中央部に背面が枢支されたブレード6は、該枢支部を中心としてブレードの左右端が前後方向に角度が付けられて、掘削作業機の前後進に応じてブレード6の前面或いは背面の土砂がブレードの傾斜に沿って側方に排土される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来公知のバケットとブレードを備えた多機能の掘削作業機は、特に、ブレード6を地面に引きずり後進しながらの整地作業では、前進時のようにブレード6の上を土砂が越えることはないが、引きずったブレード6の各作業用の油圧シリンダーを取付けた側に土砂が溜まり、この溜まった土砂が各作業用の油圧シリンダーの露出したロッド部にあたり、土砂によって傷付けられ損傷し易い。
【0012】
従来の多機能の掘削作業機では、各作業用油圧シリンダーの上側にのみ油圧シリンダー保護カバー24、25、35が設けられているだけなので、油圧シリンダー保護カバーで保護されていない露出した油圧シリンダーのロッド部の側面部及び下部が、土砂によって傷付けられ損傷する。このようにロッド部が損傷すると、ロッド部と油圧シリンダーのシリンダー部とのシール性が損なわれ油圧シリンダーとしての機能が損なわれ、終には油圧シリンダー全体を交換しなければならなかった。
【0013】
特に、ブレード6を前後方向に角度を付けるアングル用油圧シリンダー26は、他のブレード昇降用油圧シリンダー8やチルト用油圧シリンダー25に比してブレード昇降フレームの整地作業を行っている地面Gに近い箇所に取付けられているので、他の油圧シリンダーに比してロッド部の内側や下方の部分が土砂によって傷付けられ損傷し易い。また、アングル用油圧シリンダー26は、地面Gに近い箇所に取付けられていることと、オペレータから比較的見難いためにブレード昇降用油圧シリンダー8によりブレード6の降下操作をした際に、アングル用油圧シリンダー26のロッド部の下側が地面G上にある石や岩石にぶつかって損傷することが多々あった。
【0014】
そこで、本発明は、上述した課題によりなされたもので、アングル用油圧シリンダーの上方側と内方側と下方側の3方側を保護するようにした3面からなる断面略コ字形の三面保護カバーをアングル用油圧シリンダーに取付けたアングル用油圧シリンダーロッドの保護構造を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の発明は、バケットとブレードを備えた多機能の掘削作業機において、アングル用油圧シリンダーのロッド部の上方側と内方側と下方側の3方側を保護する断面略コ字形の三面保護カバーを、該ロッド部の取付部材に取付けたことを特徴とするものである。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明の請求項2に記載の発明は、三面保護カバーの側面板の内側面には、アングル用油圧シリンダーのシリンダー部の外周面の側面に設けられた被ガイド部材を挟んで支持案内するガイドプレートを設けると共に、アングル用油圧シリンダーのシリンダー部の外周面の上面及び下面には、滑動案内部材が設けられていることを特徴とするものである。また、上記の目的を達成するため、本発明の請求項3に記載の発明は、滑動案内部材は、ラバー又は合成樹脂製であることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図3〜5によって説明する。図3は、本発明の油圧シリンダー三面保護カバーを装着した油圧シリンダーの側面図で、図4は、本発明の油圧シリンダー三面保護カバーを装着した油圧シリンダーの平面図で、図5は、図3のイ−イ線による断面図である。
【0018】
多機能の掘削作業機のブレード6を前後方向に角度を付けるアングル用油圧シリンダー26は、アングル用油圧シリンダー26のシリンダー部の取付部材39が、ブレード昇降フレーム7の側面部に設けられたアングル用油圧シリンダー取付けブラケット37に自在接手を介して取付けられており、また、アングル用油圧シリンダー26のロッド部の取付部材40は、ブレード6の背面側に設けられた取付けブラケット30に球面ブッシュを介して取付けられている。
【0019】
このアングル用油圧シリンダー26のロッド部の取付部材40には、アングル用油圧シリンダー26のロッド部の最伸長時の長さよりも僅か余裕の長さを有する三面保護カバーの上面板411と三面保護カバー41の側面板412と三面保護カバーの下面板413との三枚の鋼板からなる断面略コ字形の油圧シリンダー三面保護カバー41が、該取付部材40に設けられた取付けボス部材42に三面保護カバー41の側面板412が取付けボルト43によって取付けられており、該油圧シリンダー26のロッド部を覆い保護するようになっている。
【0020】
そして、三面保護カバー41の側面板412には、後述するアングル用油圧シリンダー26のシリンダー部の内側面に設けられた被ガイド部材45を挟んで支持案内するガイドプレート46、46が設けられている。
【0021】
一方、アングル用油圧シリンダー26のシリンダー部の上面には、ラバー又は合成樹脂製の滑動案内部材44が、また、該油圧シリンダー26のシリンダー部の下面には、同じくラバー又は合成樹脂製の滑動案内部材44がそれぞれ設けられており、油圧シリンダー26のシリンダー部の外周面の側面には被ガイド部材45が設けられている。
【0022】
したがって、アングル用油圧シリンダー26の伸縮に伴って、アングル用油圧シリンダー26のロッド部は、断面略コ字形の三面保護カバー41によってカバーされているので、整地作業中の土砂が油圧シリンダーの露出したロッド部にあたって損傷するのを防止することができる。また、アングル用油圧シリンダー26の伸縮に伴って、アングル用油圧シリンダー26のロッド部に取付けられた三面保護カバー41は、該三面保護カバー41の側面板412に設けられたガイドプレート46、46が、アングル用油圧シリンダー26のシリンダー部の内側面に設けられた被ガイド部材45を挟んで支持案内されるので、アングル用油圧シリンダー26のロッド部に取付けられた三面保護カバー41が、アングル用油圧シリンダー26のシリンダー部から離脱することはなく支持案内される。
【0023】
また、三面保護カバー41は、アングル用油圧シリンダー26のシリンダー部の外周面とアングル用油圧シリンダー26のシリンダー部の上面と下面に設けられた滑動案内部材44、44の厚み分の間隔をもって滑動支持される。アングル用油圧シリンダー26のロッド部に取付けられた三面保護カバー41は、その一端がロッド部の取付部材40に設けられた取付けボス部材42に取付けられると共に、他端は滑動案内部材44の厚み分の間隔をもって支持されているので、片持ち支持の状態での支持と異なり、安定した状態で滑動支持される。
【0024】
更に、作業中に三面保護カバー41の上面板411や下面板413に土砂が当たっても、三面保護カバー41の上面板411や下面板413とアングル用油圧シリンダー26のシリンダー部の上面と下面との間には、ラバー又は合成樹脂製の滑動案内部材44を介装しているので、三面保護カバー41が土砂との衝撃を緩和することができる。
【0025】
なお、アングル用油圧シリンダー26のロッド部は、その取付部材40がブレード6の背面に設けられた取付けブラケット30に球面ブッシュを介して取付けられているので、ブレード6の昇降により揺動して捻れる場合があるが、このためアングル用油圧シリンダー26のロッド部の保護のために取付けボルト43で取付けられている三面保護カバー41自身が共に捻れてしまう恐れがあるが、このためにアングル用油圧シリンダー26が揺動する角度を考えて、予めそれより大きい球面ブッシュを使用し、ブレード6の昇降により三面保護カバー41が捻れるのに対応している。
【0026】
また、断面略コ字形の三面保護カバー41として、図5に示したように上面板411と三面保護カバー41の側面板412と三面保護カバーの下面板413との三枚の鋼板からなる断面略コ字形の油圧シリンダー三面保護カバー41を示したが、三面保護カバーの変形例として、図6及び図7に示すような断面形状の三面保護カバーでもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアングル用油圧シリンダーロッドの保護構造において、アングル用油圧シリンダーのロッド部の上方側と内方側と下方側の3方側を保護する断面略コ字形の三面保護カバーを、該ロッド部の取付部材に取付けることにより、整地作業中の土砂が、アングル用油圧シリンダーの露出したロッド部にあたって損傷するのを防止することができると云う効果を奏する。
【0028】
また、アングル用油圧シリンダーのロッド部とシリンダー部とにわたって設けた断面コ字形の三面保護カバーを、シリンダー部に設けた被ガイド部材とロッド部に設けた前記被ガイド部材を挟んで支持案内するガイドプレートとにより支持案内しているので、支持案内中に断面略コ字形の三面保護カバーが確実に支持案内することができると云う効果を奏する。
【0029】
また、アングル用油圧シリンダーのシリンダー部の上面と下面には、ラバー又は合成樹脂製の滑動案内部材が設けられているので、三面保護カバー41が土砂との衝撃を緩和することができると云う効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】バケットとブレードとを備えた多機能の掘削作業機の側面図、
【図2】従来例の多機能の掘削作業機の油圧シリンダへの油圧ホースの取付け構造を示す平面展開図、
【図3】本発明の油圧シリンダー三面保護カバーを装着した油圧シリンダーの側面図、
【図4】本発明の油圧シリンダー三面保護カバーを装着した油圧シリンダーの平面図、
【図5】図3のイ−イ線による断面図、
【図6】本発明の油圧シリンダー三面保護カバー変形例の断面図、
【図7】本発明の油圧シリンダー三面保護カバー他の変形例の断面図である。
【符号の説明】
1 下部走行体、 2 上部旋回体、 3 旋回丸胴、 4 座席、
5 キャノピー、 6 ブレード、 7 ブレード昇降フレーム、
8 ブレード昇降用油圧シリンダー、 9 ブーム支持体、 10 ブーム、
11 アーム、 12 バケット、 13 ブーム昇降用油圧シリンダー、
14 アーム用油圧シリンダー、 15 バケット用油圧シリンダー、
16 操作レバースタンド、 17 操作レバー、 18 取付けブラケット、
19 チルト用油圧シリンダー、 20 機台、 21 スイベルジョイント、
22 セレクターバルブ、 23 ブレード昇降用油圧シリンダー取付部材、
24 ブレード昇降用油圧シリンダー保護カバー、
25 チルト用油圧シリンダー、 26 アングル用油圧シリンダー、
27 フレーム取付けブラケット、 28 油圧ホース中継保持ブラケット、
29 ホース接続ジョイント、 30 取付けブラケット、
31 取付けブラケット、 32 アングル用油圧ホース、
33 チルト用油圧ホース、 34 油圧ホースガイド、
35 アングル用油圧シリンダー保護カバー、
36 チルト用油圧シリンダー保護カバー、
37 アングル用油圧シリンダー取付けブラケット、 38 ロッド部、
39 シリンダー部の取付部材、 40 ロッド部の取付部材、
41 油圧シリンダー三面保護カバー、 411 三面保護カバーの上面板、
412 三面保護カバーの側面板、 413 三面保護カバーの下面板、
42 取付けボス部材、 43 取付けボルト、 44 滑動案内部材、
45 被ガイド部材、 46 ガイドプレート、 G 地面。
Claims (3)
- バケットとブレードを備えた多機能の掘削作業機において、アングル用油圧シリンダーのロッド部の上方側と内方側と下方側の3方側を保護する断面略コ字形の三面保護カバーを、該ロッド部の取付部材に取付けたことを特徴とするアングル用油圧シリンダーロッドの保護構造。
- 前記三面保護カバーの側面板の内側面には、アングル用油圧シリンダーのシリンダー部の外周面の側面に設けられた被ガイド部材を挟んで支持案内するガイドプレートを設けると共に、アングル用油圧シリンダーのシリンダー部の外周面の上面及び下面には、滑動案内部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアングル用油圧シリンダーロッドの保護構造。
- 前記滑動案内部材は、ラバー又は合成樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載のアングル用油圧シリンダーロッドの保護構造。
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