JP3979054B2 - 転がり軸受ユニットの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車輪速センサを備えた転がり軸受ユニットの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の転がり軸受ユニットとしては、図2に示すものが提案されている(特開平11−183492号公報)。
【0003】
この転がり軸受ユニット100は、回転軸部材101と、この回転軸部材101の小径部101Aに嵌合,固定された内輪102と、この内輪102および上記回転軸部材101の内輪軌道101Bに対向する外輪103を有する。この外輪103の軌道107,108と上記内輪軌道101B,内輪102の軌道102Bとの間には、それぞれ、複数の玉109,110が配置されている。
【0004】
この外輪103の軸方向の端部103Aと上記回転軸部材101の根元部101Cとの間にはシール部105が配置され、上記外輪103のもう一方の端部103Bと上記内輪102の肩部102Aとの間にはシール部106が配置されている。
【0005】
上記外輪103の端部103Bの外周面は、ナックル111に嵌合していて、このナックル111が有する径方向貫通穴111Aに車輪速センサ112が挿入,固定されている。この車輪速センサ112の検知部112Aは、リング状エンコーダ113に対して、所定の隙間を隔てて対向している。このリング状エンコーダ113は、シール部106のうち、内輪102の肩部102Aに固定された部材(図示せず)に固定され、内輪102と共に回転するようになっている。
【0006】
この転がり軸受ユニット100は、外輪103に対して、回転軸部材101および内輪102が回転すると、車輪速センサ112の検知部112Aがエンコーダ113の回転を検知する。これにより、回転軸部材101のフランジ部115に取り付けられる車輪(図示せず)の回転を検出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記転がり軸受ユニット100では、外輪103を嵌合,固定するナックル111に車輪速センサ112を固定しており、内輪102に固定するシール部106にエンコーダ113を固定している。
【0008】
このため、特に、車輪速センサ112の位置が、ナックル111の精度ばらつきの影響を受けることとなり、車輪速センサ112とエンコーダ113との間の隙間を高精度に設定することが困難であった。したがって、車輪速センサ112とエンコーダ113と接触を避けるために、上記隙間をある程度大きくすることが必要となり、車輪速センサ112の検知感度の向上の妨げとなっていた。
【0009】
そこで、この発明の目的は、車輪速センサとターゲットとの間の間隙を高精度で設定でき、車輪速センサの検知感度の向上を図れる転がり軸受ユニットの取付構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の転がり軸受ユニットの取付構造は、外周にホイール取付け用フランジ部が形成された外輪と、外周にナックル取付け用フランジ部が形成された内輪と、上記内輪と外輪の間に配置される複数の転動体と車輪速センサを有する転がり軸受ユニットの取付構造において、
上記内輪のナックル取付け用フランジ部の端面にナックルが結合され、
上記車輪速センサは、上記ナックルと非接触であると共に上記内輪のナックル取付け用フランジ部に取り付けられ、
上記外輪に上記車輪速センサ用のターゲットを取り付け、
上記車輪速センサ用のターゲットは、上記内輪と外輪の間の円環状空間で、上記車輪速センサに対向するように配置されていることを特徴としている。
【0011】
この請求項1の発明では、内輪のナックル取付け用フランジ部に車輪速センサを取り付けたから、ナックルに車輪速センサを取り付ける従来例と異なり、ナックルへの内輪の取り付け精度とは無関係に、車輪速センサの位置を設定でき、車輪速センサの位置を高精度に設定できる。したがって、車輪速センサとターゲットとの間の間隙を小さくして、車輪速センサの検知感度を向上できる。
【0012】
また、請求項2の発明の転がり軸受ユニットの取付構造は、請求項1に記載の転がり軸受ユニットの取付構造において、上記ナックルは、上記転動体よりも径方向外方に延在し ていると共に車輪速センサ用軸方向貫通穴を有し、上記車輪速センサは、上記車輪速センサ用軸方向貫通穴に挿通された状態であり、
上記車輪速センサとナックルとは所定間隔を隔てて非接触であることを特徴としている。
【0013】
この請求項2の発明では、上記車輪速センサは、上記内輪のナックル取付け用フランジ部を貫通して、ナックル取付け用フランジ部に取り付けられているから、車輪速センサの位置をさらに高精度に設定できると共に、コンパクト化を図れる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0015】
図1に、この発明の転がり軸受ユニットの実施形態の半断面を示す。この転がり軸受ユニットは、外輪1と、内輪2と、この内輪2と外輪1との間に配置され、2列に配列された玉3,4を備える。この玉3は、外輪1の第1軌道5と内輪2の第1軌道6の間で周方向に所定間隔を隔てて複数個だけ配置されており、玉4は、外輪1の第2軌道7と内輪2の第2軌道8との間で周方向に所定間隔を隔てて複数個だけ配置されている。
【0016】
上記内輪2は、基部2Aと、この基部2Aの軸方向端部に形成された環状凹部10に嵌合,固定された軌道部2Bからなり、この軌道部2Bは第1軌道6を含んでいる。
【0017】
また、この内輪2の基部2Aは、ナックル取付け用フランジ部11を有し、このフランジ部11に軸方向に貫通するネジ穴12が形成されている。このフランジ部11の端面11Aにナックル15が密接され、このナックル15のネジ穴15A,フランジ部11のネジ穴12にボルト16を螺合させて、フランジ部11とナックル15を締結している。
【0018】
さらに、このナックル取付け用フランジ部11のネジ穴12の径方向内方には、軸方向に貫通するセンサ用ネジ穴18が形成され、ナックル15は、センサ用ネジ穴18に対向する部分に、センサ用軸方向貫通穴20を有している。このセンサ用軸方向貫通穴20に、車輪速センサ21が挿通され、この車輪速センサ21の先端検知部21Aは、その外周に形成されたネジ部22を上記センサ用ネジ穴18に螺合させることで、フランジ部11に締結されている。なお、この車輪速センサ21の基部21Bは、ナックル15の貫通穴20内でナックル15と所定間隔を隔てており、ナックル15に対して非接触である。また、この基部21Bと先端検知部21Aとの境の段面21Cは、フランジ部11の端面11Aに密接している。さらに、内輪基部2Aは、端面11Aから軸方向に突出した軸端部22を有し、この軸端部22は、ナックル15の内周面15Bに嵌合している。
【0019】
一方、上記外輪1は、その外周に径方向外方に延在するホイール取付け用フランジ部23を有し、このフランジ部23に車輪(図示せず)が取付けられる。また、この外輪1のナックル側端部1Aは、内輪2のフランジ部11に対して、所定の軸方向隙間を隔てている。この外輪1のナックル側端部1Aと、内輪2の基部2Aの第2軌道8とフランジ部11との間の中段部25との間の円環状空間には、シール部27が配置されている。このシール部27は、外輪1のナックル側端部1Aの内周面に固定された外側シールリング28と、内輪2の中段部25の外周面に固定された内側シールリング30と、この内側シールリング30に接着したゴム製シール材31からなる。このシール材31の3つの先端リップは外側シールリング28の内周面に摺接する。
【0020】
このシール部27の外側シールリング28の軸方向の端面にターゲットとしての磁性体リング33が固定されている。この磁性体リング33は、上記車輪速センサ21の先端検知部21Aに対して軸方向の所定間隙を隔てて対向している。
【0021】
また、外輪1の反ナックル側端部1Bの内周面には、シール蓋35が嵌合,固定されている。
【0022】
上記構成の軸受ユニットは、内輪2に対して外輪1が回転すると、外輪1のナックル側端部1Aに固定したシールリング28に固定した磁性体リング33が、内輪2に直接に固定された車輪速センサ21の先端検知部21Aに対して回転する。これにより、車輪速センサ21は、磁性体リング33からの磁気パルス信号を検知して、車輪の回転を表す信号を出力する。
【0023】
この実施形態では、内輪2のナックル取付け用フランジ部11に車輪速センサ21を直接に取り付けたから、ナックルに車輪速センサを取り付ける従来例と異なり、ナックル15への内輪2の取り付け精度とは無関係に、車輪速センサ21の位置を設定でき、車輪速センサ21の位置を高精度に設定できる。したがって、車輪速センサ21とターゲットである磁性体リング33との間の間隙を小さくして、車輪速センサ21の検知感度を向上できる。
【0024】
また、この実施形態の転がり軸受ユニットでは、車輪速センサ21は、内輪2のナックル取付け用フランジ部11を貫通して、ネジ穴18への螺合により、フランジ部11に取り付けられているから、車輪速センサ21の位置をさらに高精度に設定できると共に、コンパクト化を図れる。
【0025】
尚、上記実施形態では、シール部27のシールリング28に磁性体リング33を固定したが、外輪1の端部1Aに磁性体リング33を直接固定してもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の転がり軸受ユニットの取付構造は、内輪のナックル取付け用フランジ部に車輪速センサを取り付けたから、ナックルに車輪速センサを取り付ける従来例と異なり、ナックルへの内輪の取り付け精度とは無関係に、車輪速センサの位置を設定でき、車輪速センサの位置を高精度に設定できる。したがって、車輪速センサとターゲットとの間の間隙を小さくして、車輪速センサの検知感度を向上できる。
【0027】
また、請求項2の発明の転がり軸受ユニットの取付構造では、上記車輪速センサは、上記内輪のナックル取付け用フランジ部を貫通して、ナックル取付け用フランジ部に取り付けられているから、車輪速センサの位置をさらに高精度に設定できると共に、コンパクト化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の転がり軸受ユニットの取付構造の実施形態の断面図である。
【図2】 従来の転がり軸受ユニットの実施形態の断面図である。
【符号の説明】
1…外輪、1A…ナックル側端部、2…内輪、2A…基部、2B…軌道部、
3,4…玉、5,6…第1軌道、7,8…第2軌道、
11…ナックル取付け用フランジ部、11A…端面、12…ネジ穴、
15…ナックル、15A…ネジ穴、15B…内周面、20…貫通穴、
21…車輪速センサ、21A…先端検知部、21B…基部、21C…段面、
22…軸端部、23…ホイール取付け用フランジ部、25…中段部、
27…シール部、28…外側シールリング、30…内側シールリング、
31…シール材、33…磁性体リング、35…シール蓋。

Claims (4)

  1. 外周にホイール取付け用フランジ部が形成された外輪と、外周にナックル取付け用フランジ部が形成された内輪と、上記内輪と外輪の間に配置される複数の転動体と車輪速センサを有する転がり軸受ユニットの取付構造において、
    上記内輪のナックル取付け用フランジ部の端面にナックルが結合され、
    上記車輪速センサは、上記ナックルと非接触であると共に上記内輪のナックル取付け用フランジ部に取り付けられ、
    上記外輪に上記車輪速センサ用のターゲットを取り付け、
    上記車輪速センサ用のターゲットは、上記内輪と外輪の間の円環状空間で、上記車輪速センサに対向するように配置されていることを特徴とする転がり軸受ユニットの取付構造
  2. 請求項1に記載の転がり軸受ユニットの取付構造において、
    上記ナックルは、上記転動体よりも径方向外方に延在していると共に車輪速センサ用軸方向貫通穴を有し、
    上記車輪速センサは、上記車輪速センサ用軸方向貫通穴に挿通された状態であり、
    上記車輪速センサとナックルとは所定間隔を隔てて非接触であることを特徴とする転がり軸受ユニットの取付構造。
  3. 請求項1または2に記載の転がり軸受ユニットの取付構造において、
    上記内輪のナックル取付け用フランジ部は、軸方向に貫通する車輪速センサ用ネジ穴を有し、
    上記車輪速センサは、外周にネジ部が形成された先端検知部を有すると共にこの先端検知部のネジ部が上記車輪速センサ用ネジ穴に螺合されていることを特徴とする転がり軸受ユニットの取付構造。
  4. 外周にホイール取付け用フランジ部が形成された外輪と、外周にナックル取付け用フランジ部が形成された内輪と、上記内輪と外輪の間に配置される複数の転動体と車輪速センサを有する転がり軸受ユニットの取付方法において、
    上記内輪のナックル取付け用フランジ部の端面にナックルを結合し、
    上記車輪速センサを、上記ナックルと非接触の状態で上記内輪のナックル取付け用フランジ部に取り付け、
    上記内輪と外輪の間の円環状空間で上記車輪速センサに対向するように、上記外輪に上記車輪速センサ用のターゲットを取り付けることを特徴とする転がり軸受ユニットの取付方法。
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