JP3979027B2 - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、ビアホールを内部に備えた、例えば、積層セラミックインダクタ(積層コイル部品)や積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
積層セラミックインダクタ(積層コイル部品)や積層セラミックコンデンサなどの積層セラミック電子部品には、内部にビアホールを備えたものが少なくない。
【0003】
ところで、積層セラミック電子部品の製造に用いられる、キャリアフィルムにより裏打ちされたセラミックグリーンシートにビアホール用の貫通孔を形成する方法としては、
(1)セラミックグリーンシート側からレーザを照射するとともに、レーザ出力及びパルス幅を最適に制御することにより、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成する方法、すなわち、レーザ出力Wとパルス幅τの積(投入エネルギー)Wτを、除去するシート体積熱量Qになるように設定し(Q=Wτ)、キャリアフィルムが溶融しないようにパルス幅を時間制限した加工方法(特開平7−193375号公報)、
(2)YAGレーザを使用する場合にはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをキャリアテープ(キャリアフィルム)として用い、CO2レーザを使用する場合にはAl、Cuなどの金属材をキャリアテープとして用い、キャリアテープ上にセラミックグリーンシートを成膜した後、セラミックグリーンシート側からレーザを照射してセラミックグリーンシートに貫通孔を形成することにより、キャリアテープにダメージを与えることなく、セラミックグリーンシートに貫通孔を形成するようにした方法、すなわち、PETフィルムが、YAGレーザ光を透過させ、Al、Cuなどの金属材からなるキャリアテープがCO2レーザ光を反射する性質を利用して、キャリアフィルムがダメージを受けないようにした加工方法(特開昭61−74792号公報)
などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記(1)の方法においては、レーザ出力の安定性が低下すると、キャリアフィルムに損傷を与える場合があり、必ずしも信頼性が十分ではないという問題点がある。
例えば、CO2レーザの場合、キャリアフィルムのレーザ光波長帯での吸収率が高いため、キャリアフィルムが加工され、場合によっては貫通孔が形成されてしまうことがある。
【0005】
また、上記(2)の方法においては、YAGレーザを用いた場合、レーザ出力の安定性が低下すると、キャリアフィルム(PETフィルム)に損傷を与えてしまうという問題点があり、また、CO2レーザを用いた場合、Al、Cuなどの金属材からなるキャリアテープのレーザ反射材としての機能により、キャリアテープの損傷を軽減することはできるが、キャリアテープはセラミックグリーンシートを剥離した後、廃棄されることになるため、効率が悪いという問題点がある。
【0006】
また、キャリアテープが損傷を受けた場合、貫通孔に導電性ペーストを充填したセラミックグリーンシートを積層し、熱圧着した後、キャリアフィルムを剥離し、これを繰り返すことにより、積層体を形成した場合、セラミックグリーンシートをキャリアフィルムから剥離させる際に、ビアホールに充填された導電性ペーストがキャリアフィルム側に残ってしまい、十分な導通信頼性を確保することができなくなるという問題点がある。
【0007】
さらに、レーザ光がキャリアフィルムを貫通するに至ると、貫通孔に導電性ペーストを印刷・充填した場合に、キャリアフィルムの下部より導電性ペーストが漏れ、印刷ステージ(テーブル)に導電性ペーストが付着し、連続加工を行った場合、セラミックグリーンシートに導電性ペーストが付着し、ショート不良を引き起こすというような問題点がある。
【0008】
本願発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、キャリアフィルムに損傷を与えることなく、セラミックグリーンシートに、ビアホール用の貫通孔を形成する工程を経て、積層セラミック電子部品を効率よく製造することが可能なセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明(請求項1)の積層セラミック電子部品の製造方法は、
樹脂製のキャリアフィルム上に、レーザ光に対する反射率の高い金属反射膜を薄膜形成法により形成する工程と、
前記金属反射膜上にセラミックグリーンシートを形成する工程と、
前記セラミックグリーンシート側から前記金属反射膜に向けてレーザ光を照射することにより、前記セラミックグリーンシートにビアホール用の貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填したセラミックグリーンシートを積層、圧着する積層工程と
を備え、
前記キャリアフィルムおよび金属反射膜は、前記積層工程において、セラミックグリーンシートから剥離されることを特徴としている。
【0010】
上記構成とすることにより、セラミックグリーンシートの貫通孔を通過したレーザ光を、金属反射膜により反射させて、キャリアフィルムにまでレーザ光が到達することを防止し、キャリアフィルムに損傷を与えることなく、セラミックグリーンシートに、ビアホール用の貫通孔を確実に形成することが可能になる。
また、キャリアフィルムが大きな損傷(ダメージ)を受けることがないので、その後の工程で、セラミックグリーンシートの貫通孔に導電性ペーストを印刷、充填した後、キャリアフィルムから剥離する場合に、セラミックグリーンシートの貫通孔内の導電性ペーストが、キャリアフィルム側に移行してしまう(取られてしまう)ことを防止することが可能になり、積層体におけるセラミック層の上下の電極の導通信頼性に優れたビアホールを確実に形成することが可能になる。
したがって、セラミックグリーンシートに、ビアホール用の貫通孔を形成する工程を経て、積層セラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0011】
また、請求項2の積層セラミック電子部品の製造方法は、前記金属反射膜の表面にシリコン離型層が配設されていることを特徴としている。
【0012】
金属反射膜の表面にシリコン離型層が配設されている場合、加工後のセラミックグリーンシートを、キャリアフィルムから容易に剥離することが可能になり、セラミックグリーンシートの積層工程を容易化して、ビアホールを備えた積層セラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0013】
また、本願発明(請求項3)の積層セラミック電子部品の製造方法は、
樹脂製のキャリアフィルム上に、レーザ光に対する反射率の高い金属反射膜を薄膜形成法により形成する工程と、
前記金属反射膜上に別の樹脂製のフィルムを配設する工程と、
前記別の樹脂製のフィルム膜上にセラミックグリーンシートを形成する工程と、
前記セラミックグリーンシート側から前記金属反射膜に向けてレーザ光を照射することにより、前記セラミックグリーンシートにビアホール用の貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填したセラミックグリーンシートを積層、圧着する積層工程と
を備え、
前記キャリアフィルム、金属反射膜および前記別の樹脂製のフィルムは、前記積層工程において、セラミックグリーンシートから剥離されることを特徴としている。
【0014】
上記構成とすることにより、セラミックグリーンシートの貫通孔を通過したレーザ光を、金属反射膜により反射させて、キャリアフィルムにまでレーザ光が到達することを防止し、キャリアフィルムに損傷を与えることなく、セラミックグリーンシートに、ビアホール用の貫通孔を確実に形成することが可能になる。
また、キャリアフィルムが大きな損傷(ダメージ)を受けることがないので、その後の工程で、セラミックグリーンシートの貫通孔に導電性ペーストを印刷、充填した後、キャリアフィルムから剥離する場合に、セラミックグリーンシートの貫通孔内の導電性ペーストが、キャリアフィルム側に移行してしまう(取られてしまう)ことを防止することが可能になり、積層体におけるセラミック層の上下の電極の導通信頼性に優れたビアホールを確実に形成することが可能になる。
【0015】
なお、この請求項3の積層セラミック電子部品の製造方法においては、金属反射膜上の別の樹脂製のフィルムの一部も加工されることになり、被加工部分にも導電性ペーストが充填されることになるが、該フィルムの厚みを所定の厚みに調整しておくことにより、該フィルムの被加工部分に充填された導電性ペーストのみがキャリアフィルム側に移行して、セラミックグリーンシートの貫通孔に充填された導電性ペーストが、キャリアフィルム側に移行してしまう(取られてしまう)ことを抑制、防止することが可能になり、積層体におけるセラミック層の上下の電極の導通信頼性に優れたビアホールを確実に形成することが可能になる。
したがって、セラミックグリーンシートに、ビアホール用の貫通孔を形成する工程を経て、積層セラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0016】
また、請求項4の積層セラミック電子部品の製造方法は、前記別の樹脂製のフィルムの表面にシリコン離型層が配設されていることを特徴としている。
【0017】
別の樹脂製のフィルムの表面にシリコン離型層が配設されている場合、加工後のセラミックグリーンシートを、キャリアフィルムから容易に剥離することが可能になり、セラミックグリーンシートの積層工程を容易化して、ビアホールを備えた積層セラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0018】
また、請求項5の積層セラミック電子部品の製造方法は、前記金属反射膜を前記キャリアフィルムの略全面に形成することを特徴としている。
【0019】
また、請求項6の積層セラミック電子部品の製造方法は、前記キャリアフィルム上に形成するセラミックグリーンシートの厚みが、キャリアフィルムの厚みより小さいことを特徴としている。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、関連発明及び本願発明の実施の形態を示してその特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[関連発明の実施形態]
(1)図1(a)に示すように、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる、厚み30〜50μmのキャリアフィルム1を用意し、このキャリアフィルム1の上面に、シリコンコーティングを施して、シリコン離型層2を形成する。
なお、シリコン離型層は、セラミックグリーンシートの剥離性を高める役割を果たす。
【0021】
(2)次に、図1(b)に示すように、シリコン離型層2を介して、キャリアフィルム1上に、蒸着法により金属膜(この関連発明の実施形態ではCu薄膜)3を形成する。
なお、この関連発明の実施形態では、金属膜(Cu薄膜)3は蒸着法により形成するようにしているが、他の薄膜形成方法により形成することも可能である。
【0022】
(3)それから、図1(c)に示すように、金属膜3に、フォトレジストを塗布して、露光、エッチングを施し、金属膜3a1、3b1を形成する。さらに、金属膜パターンの厚みを大きくするために、その上に化学めっきにより金属めっき膜3a2、3b2(内部電極として使用したい金属材料からなる膜)を形成することにより、所望の形状を有する金属膜パターン(電極パターン)3a、3bを形成する。
なお、金属めっき膜3a2、3b2は、パターニングされた金属膜(蒸着膜)3a1、3b1の表面には成長するが、シリコン離型層2が形成されたキャリアフィルム1の表面は活性化されないため、キャリアフィルム1の表面にはめっき膜は形成されない。なお、金属膜3を形成した後、そのまま、その全面に金属めっき膜3a2、3b2を形成してから、フォトリソグラフィによりパターニングしてもよい。
なお、金属膜パターン3a,3bの構成材料としては、ビアホールの形成に使用される加工用のレーザ光波長に対して反射率の高いものを用いることが望ましい。通常は、Cu、Al、Au、Ag、Ni、W、Ptなどが例示される。また、金属膜パターン3a,3bの全体の厚みは、通常、約0.1〜1μmの範囲とすることが望ましい。
【0023】
(4)次に、キャリアフィルム1と金属膜パターン3a、3bの複合体上に、ドクターブレード法により、厚み3〜5μmのセラミックグリーンシート4(図1(d))を形成する。
これにより、セラミックグリーンシート4は、キャリアフィルム1と金属膜パターン3a、3bの複合体に裏打ちされた状態で保持される。
【0024】
(5)そして、セラミックグリーンシート4の上面より、金属膜パターン3a、3bの形成されている領域に、YAGレーザパルス光(約0.01〜1mJ/パルス)を複数回照射し、図1(e)に示すように、直径(加工径)が約100μmのビアホール用のテーパー状貫通孔5を形成する。なお、レーザ光としては、YAGレーザに限らず、CO2レーザを用いることも可能である。
なお、レーザ照射の際の位置決めは、セラミックグリーンシート4越しに金属膜パターン3a、3bを認識することにより行う。
このレーザ照射の工程において、入射されるレーザ光は、金属層(金属膜パターン)3a、3bの表面で大半が反射されるため、キャリアフィルム1が損傷を受けることを効率よく抑制することが可能になる。
【0025】
なお、金属膜パターン3a、3bにより反射されるレーザ光以外のレーザ光は、セラミックグリーンシート4に吸収(一部反射)されるもの、金属膜パターン3a、3bに吸収されるもの、キャリアフィルム1に吸収されるものがあり、キャリアフィルム1にもレーザ光のエネルギーが一部達するが、そのエネルギーはわずかであり、キャリアフィルム1が大きな損傷を受けることはない。
【0026】
(6)次に、(5)の工程で形成されたビアホール用の貫通孔5に、図1(f)に示すように、スクリーン印刷法により、導電性ペースト6を充填(塗布)する。充填(塗布)された導電性ペースト6は上下層を導通させる接続電極6aとして機能するとともに、セラミックグリーンシート4の表面側の電極パターン6bとして機能する。なお、この関連発明の実施形態では、導電性ペースト6として、金属膜パターン3a、3bを構成するめっき膜材料と同種の金属材料(この関連発明の実施形態ではCu)を導電成分とする導電性ペースト6を用いた。
この導電性ペースト6の塗布工程において、貫通孔5への導電性ペースト6の充填を行うと同時に、セラミックグリーンシート4の表面(電極膜パターン3a、3bが形成されている面と逆側の面)に電極を形成することが可能になる。
なお、このようにして形成されたセラミックグリーンシート4をキャリアフィルム1から剥離した状態を図1(g)に示す。
【0027】
(7)その後、(6)の工程で得られたセラミックグリーンシート1を積層し、熱圧着した後、キャリアフィルム1を剥離し、これを繰り返すことにより、例えば、図2(a)に模式的に示すような、内部電極(コイルパターン)11と、内部電極11を導通させるビアホール5aを備えた積層体12を形成することができる。
【0028】
(8)そして、この積層体12を焼成した後、図2(b)に示すように、外部電極13を形成することにより、積層セラミック電子部品(この関連発明の実施形態では積層コイル部品)を効率よく製造することが可能になる。
【0029】
上述のように、この関連発明の実施形態においては、キャリアフィルム1上に形成された金属膜パターン3a、3bを覆うように形成されたセラミックグリーンシート4に、セラミックグリーンシート4側から、レーザ光を照射するようにしているので、セラミックグリーンシート4に形成される貫通孔5を通過したレーザ光を、金属膜パターン3a、3bにより反射させて、キャリアフィルム1にまでレーザ光が到達することを抑制、防止することができる。したがって、キャリアフィルム1に実質的な損傷を与えることなく、セラミックグリーンシート4に、ビアホール用の貫通孔5を確実に形成することができる。
【0030】
なお、本願発明は、この関連発明の実施形態の場合のように、キャリアフィルム1よりも、セラミックグリーンシート4の厚みが小さく、キャリアフィルム1を損傷しやすいような場合に、キャリアフィルム1に実質的な損傷を与えることなく、セラミックグリーンシート4に、ビアホール用の貫通孔5を確実に形成することができて、特に有意義である。
【0031】
また、この関連発明の実施形態の方法によれば、金属膜パターン3a、3bが、レーザ光の出力変動などが生じた場合に、レーザ光がキャリアフィルム1にまで達することを阻止するストッパーとしての機能を果たすため、ビアホール品質を向上させることが可能になる。
【0032】
また、キャリアフィルム1が大きな損傷(ダメージ)を受けることがないので、セラミックグリーンシート4の貫通孔5に導電性ペースト6を印刷、充填した後、キャリアフィルム1から剥離した場合に、セラミックグリーンシート4の貫通孔5内の導電性ペースト6が、キャリアフィルム1側に移行してしまう(取られてしまう)現象の発生を防止することが可能になり、積層体におけるセラミック層の上下の電極の導通信頼性に優れたビアホールを確実に形成することが可能になる。
【0033】
また、この関連発明の実施形態の方法によれば、金属膜パターン3a、3bが、内部電極としても機能するように構成されているので、セラミックグリーンシート4の逆側の面にも電極パターンを形成することにより、セラミックグリーンシート4の両主面に電極パターンを効率よく形成することが可能になる。
なお、金属膜パターン3a、3bは、内部電極として機能していなくても、レーザ光により貫通孔5を形成する箇所に対応した位置に設けられていれば構わない。
【0034】
また、この関連発明の実施形態では金属膜パターン3a,3bを蒸着法により形成するようにしているので、薄膜形成が可能で、しかも、高精度なパターニングを行うことができる。
【0035】
[本願発明の実施形態1]
(1)図3(a)に示すように、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる、厚み30〜50μmのキャリアフィルム1を用意し、このキャリアフィルム1の上面に、図3(b)に示すように、厚みが約0.1〜0.5μmの金属反射膜(この実施形態1ではNi膜)30を形成する。なお、金属反射膜30としては、CO2レーザ(λ=9.4μm、10.4μm)を用いる場合、Cu、Al、Ag、Ni、Wなどを成膜し、また、YAGレーザ(λ=1064nm)を用いる場合には、Cu、Al、Au、Agなどを成膜する。
なお、これらの金属反射膜としては、レーザ光の波長に対して、反射率の高いものを選択する。
そして、金属反射膜(Ni膜)30の表面にシリコンコーティングを施して、シリコン離型層2を形成する。なお、シリコン離型層は、セラミックグリーンシートの剥離性を高める役割を果たす。
【0036】
(2)次に、ドクターブレード法により、図3(c)に示すように、金属反射膜30上に、シリコン離型層2を介して、厚み3〜5μmのセラミックグリーンシート(裏打ちセラミックグリーンシート)4を形成する。
【0037】
(3)それから、セラミックグリーンシート4の上面より、金属反射膜30に向けてレーザ光(この実施形態1ではCO2レーザ)を複数回照射し、図3(d)に示すように、直径(加工径)が約100μmのビアホール用の貫通孔5を形成する。このとき、入射されるレーザ光は、金属反射膜(Ni膜)30の表面で大半が反射されるため、キャリアフィルム1が損傷を受けることを効率よく抑制することができる。
【0038】
(4)それから、(3)の工程で形成されたビアホール用の貫通孔5に、図3(e)に示すように、スクリーン印刷により導電性ペースト6を充填(塗布)する。充填(塗布)された導電性ペースト6は上下層を導通させる接続電極6aとして機能するとともに、セラミックグリーンシート4の表面側の電極パターン6bとして機能する。なお、この実施形態1では、導電性ペースト6として、金属膜パターン3a,3bを構成する材料と同種の金属材料(この実施形態1ではNi)を導電成分とする導電性ペースト6を用いた。
なお、このようにして形成されるセラミックグリーンシート4をキャリアフィルム1から剥離した状態を図3(f)に示す。
【0039】
(5)その後、(4)の工程で得られたセラミックグリーンシート4を積層し、熱圧着した後、キャリアフィルム1を剥離し、これを繰り返すことにより、例えば、図4(a)に模式的に示すような、内部電極(コイルパターン)11と、内部電極11を導通させるビアホール5aを備えた積層体12を形成することができる。
【0040】
(6)そして、この積層体12を焼成した後、図4(b)に示すように、外部電極13を形成することにより、積層セラミック電子部品(この実施形態1では積層コイル部品)を効率よく製造することができる。
【0041】
上述のように、キャリアフィルム1上に、金属反射膜30が配設され、かつ、金属反射膜30上にセラミックグリーンシート4が配設された構造を有する裏打ちセラミックグリーンシート4に、セラミックグリーンシート4側から、金属反射膜30に向けてレーザ光を照射するようにしているので、セラミックグリーンシート4の貫通孔5を通過したレーザ光を、金属反射膜30により反射させて、キャリアフィルム1にまでレーザ光が到達することを抑制することが可能になり、キャリアフィルム1に実質的な損傷を与えることなく、セラミックグリーンシート4に、ビアホール用の貫通孔5を確実に形成することができる。
【0042】
また、この実施形態1の方法によれば、金属反射膜30が、レーザ光の出力変動などが生じた場合に、レーザ光がキャリアフィルム1にまで達することを阻止するストッパーとしての機能を果たすため、ビアホール品質を向上させることが可能になる。
【0043】
また、キャリアフィルム1が大きな損傷(ダメージ)を受けることがないので、その後の工程で、セラミックグリーンシート4の貫通孔5に導電性ペースト6を印刷、充填した後、キャリアフィルム1から剥離した場合に、セラミックグリーンシート4の貫通孔5内の導電性ペースト6が、キャリアフィルム1側に移行してしまう(取られてしまう)ことを防止することが可能になり、積層体におけるセラミック層の上下の電極の導通信頼性に優れたビアホールを確実に形成することができる。
【0044】
[本願発明の実施形態2]
図5は、本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかかる積層セラミック電子部品の製造方法の一工程を示す図である。
【0045】
この実施形態2においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のキャリアフィルム1の表面に、加工用のレーザ光に対する反射率の高い金属反射膜30を形成するとともに、金属反射膜30上に別の樹脂製のフィルム(この実施形態2では、キャリアフィルム1と同じくポリエチレンテレフタレートからなるフィルム)14を形成し、該フィルム14上にセラミックグリーンシート4が配設された構造を有する裏打ちセラミックグリーンシートに対し、セラミックグリーンシート4の上方から、金属反射膜30に向けてレーザ光を照射するようにしている。
なお、図5において、図1及び図3と同一符号を付した部分は、同一又は相当部分を示している。
【0046】
この実施形態2の積層セラミック電子部品の製造方法によれば、キャリアフィルム1上に金属反射膜30及びフィルム14が配設されているので、キャリアフィルム1にまでレーザ光が到達することが抑制、防止され、キャリアフィルム1に実質的な損傷を与えることなく、セラミックグリーンシート4に、ビアホール用の貫通孔5を確実に形成することができる。
【0047】
また、この実施形態2の構成においては、フィルム14の厚みを所定の厚みに調整しておくことにより、貫通孔5に充填された導電性ペースト6が、キャリアフィルム1側に移行してしまう(取られてしまう)ことを効率よく防止することが可能になり、積層体におけるセラミック層の上下の電極の導通信頼性に優れたビアホールを確実に形成することができる。
【0048】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0049】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(独立の請求項である請求項1および3の発明)によれば、セラミックグリーンシートに、ビアホール用の貫通孔を形成する工程を経て、積層セラミック電子部品を効率よく製造することが可能になる。
【0050】
また、上述の各請求項に従属する請求項2、4,5および6の発明によれば、さらに効率よくビアホールを備えた積層セラミック電子部品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(g)は本願発明が関連する発明の一実施形態にかかる積層セラミック電子部品の製造方法を示す断面図である。
【図2】 (a)は、図1に示す方法によりビアホールを形成したセラミックグリーンシートを積層することにより形成された積層体を示す断面図、(b)は本願発明が関連する発明の実施形態にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造された積層セラミック電子部品(積層コイル部品)を示す断面図である。
【図3】 (a)〜(f)は本願発明の実施形態(実施形態1)にかかる積層セラミック電子部品の製造方法を示す断面図である。
【図4】 (a)は、図3に示す方法によりビアホールを形成したセラミックグリーンシートを積層することにより形成された積層体を示す断面図、(b)は本願発明の実施形態1にかかる積層セラミック電子部品の製造方法により製造された積層セラミック電子部品(積層コイル部品)を示す断面図である。
【図5】 本願発明の他の実施形態(実施形態2)にかかる積層セラミック電子部品の製造方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1 キャリアフィルム
2 シリコン離型層
3 金属膜
3a,3b 金属膜パターン(電極パターン)
3a1,3b1 金属膜
3a2,3b2 金属メッキ膜
4 セラミックグリーンシート
5 ビアホール用の貫通孔
5a ビアホール
6 導電性ペースト
6a 接続電極
6b 電極パターン
11 内部電極(コイルパターン)
12 積層体
13 外部電極
14 別の樹脂製のフィルム
30 金属反射膜
Claims (6)
- 樹脂製のキャリアフィルム上に、レーザ光に対する反射率の高い金属反射膜を薄膜形成法により形成する工程と、
前記金属反射膜上にセラミックグリーンシートを形成する工程と、
前記セラミックグリーンシート側から前記金属反射膜に向けてレーザ光を照射することにより、前記セラミックグリーンシートにビアホール用の貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填したセラミックグリーンシートを積層、圧着する積層工程と
を備え、
前記キャリアフィルムおよび金属反射膜は、前記積層工程において、セラミックグリーンシートから剥離されることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記金属反射膜の表面にシリコン離型層が配設されていることを特徴とする請求項1記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
- 樹脂製のキャリアフィルム上に、レーザ光に対する反射率の高い金属反射膜を薄膜形成法により形成する工程と、
前記金属反射膜上に別の樹脂製のフィルムを配設する工程と、
前記別の樹脂製のフィルム上にセラミックグリーンシートを形成する工程と、
前記セラミックグリーンシート側から前記金属反射膜に向けてレーザ光を照射することにより、前記セラミックグリーンシートにビアホール用の貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填する工程と、
前記貫通孔に導電ペーストを充填したセラミックグリーンシートを積層、圧着する積層工程と
を備え、
前記キャリアフィルム、金属反射膜および前記別の樹脂製のフィルムは、前記積層工程において、セラミックグリーンシートから剥離されることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記別の樹脂製のフィルムの表面にシリコン離型層が配設されていることを特徴とする請求項3記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
- 前記金属反射膜を前記キャリアフィルムの略全面に形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
- 前記キャリアフィルム上に形成するセラミックグリーンシートの厚みが、キャリアフィルムの厚みより小さいことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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