JP3978943B2 - シート状物識別搬送装置のクリーニングカード - Google Patents

シート状物識別搬送装置のクリーニングカード Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙幣やカードなど、シート状物を識別して搬送するシート状物識別搬送装置において、内部に設けられている識別手段や搬送手段を清掃するために用いられるクリーニングカードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図12はシート状物識別搬送装置の一例を示すものであり、挿入口1を側端部に設けたハウジング14内に搬送手段3や識別手段4を設けて形成してある。搬送手段3はモータで回転駆動されるプーリ15間に懸架される搬送ベルト16と、搬送ベルト16の前端部と後端部の上面(あるいは下面)に接して配置されるローラ17とを具備して形成されるものであり、搬送ベルト16は一対を平行に配設してある。また識別手段4は磁気ヘッド18と光学センサ19とを具備して形成されるものである。
【0003】
そして紙幣、磁気カード、ICカードなどのシート状物2が挿入口1から差し込まれ、その先端が搬送ベルト16と前端部のローラ17との間に挿入されたことが位置検知センサ20などで検知されると、搬送ベルト16は図12(a)の矢印方向に走行駆動され、シート状物2をハウジング14の奥のほうへ取り込んで搬送し、磁気ヘッド18や光学センサ19の直下を通過させ、磁気ヘッド18や光学センサー19でシート状物2を識別するようになっている。
【0004】
上記のようなシート状物識別搬送装置において、識別手段4や搬送手段3を清掃するために、クリーニングカードが用いられている。クリーニングカードをシート状物2と同様にして挿入口1から差し込んで、搬送ベルト16でクリーニングカードをハウジング14の奥のほうへ取り込んで搬送し、磁気ヘッド18や光学センサ19などの識別手段4に接触させながら通過させることによって、識別手段4の清掃を行なうことができるものであり、またクリーニングカードで搬送ベルト16やローラ17などの搬送手段3を清掃するようにしたものである。
【0005】
しかし、識別手段4の磁気ヘッド18や光学センサ19に対してクリーニングカードは擦れるために、クリーニングカードによって清掃効果を有効に得ることができるが、クリーニングカードは搬送ベルト16やローラ17などの搬送手段3の動きに応じて移動するだけなので、クリーニングカードは搬送手段3と擦れ合うというようなことがなく、搬送手段3に対してはクリーニングカードによる清掃効果を有効に得ることは難しい。
【0006】
そこで、特開平2−199593号公報のものでは、挿入口1に差し込むクリーニングカードを手先で保持することによって、クリーニングカードが搬送手段3の箇所まで差し込まれたままそれ以上取り込まれないように固定しておき、クリーニングカードに対して搬送手段3を空回りさせ、クリーニングカードと搬送手段3とが擦れ合うようにして、クリーニングカードによる搬送手段3の清掃効果を高く得るようにしている。
【0007】
しかし、このようにクリーニングカードを手先で保持することによって固定することは、作業性が非常に悪いと共に、クリーニングカードを挿入口1から差し込む寸法が曖昧で定まらず、クリーニングカードの先端が搬送手段3の挿入口1側の端部よりもさらに大きく差し込まれて、識別手段4を配置した位置にまで達していると、搬送手段3を清掃することによってクリーニングカードに付着した汚れが、識別手段4へと滲んで、識別手段4を汚してしまうおそれがある。
【0008】
このために、特開平3−224081号公報では、クリーニングカードの後部の両側端にストッパ部を張り出して設け、ストッパ部が挿入口1の外側に引っ掛かることによって、クリーニングカードが搬送手段3の箇所まで差し込まれた状態で保持固定することができるようにしてあり、また特開平3−240894号公報では、クリーニングカードの後部に別体構成のストッパを取り付け、ストッパが挿入口1の外側に引っ掛かることによって、クリーニングカードが搬送手段3の箇所まで差し込まれた状態で保持固定することができるようにしてある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の特開平3−224081号公報のものでは、ストッパ部はクリーニングカードと一体に形成されているために、クリーニングカードを挿入口1から内部へと通過させて、識別手段4を設けた箇所に通すことができず、搬送手段3の清掃はできても識別手段4の清掃を行なうことができないものであり、搬送手段3の清掃専用として使用せざるを得ないという問題があった。また、後者の特開平3−240894号公報のものでは、ストッパをクリーニングカードから外すことによって、クリーニングカードを挿入口1から内部へと通過させて、識別手段4を設けた箇所に通すことができ、搬送手段3の他に識別手段4の清掃を行なうこともできるが、ストッパという別部材が必要になって、コストなどの面で不利になるという問題があった。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、搬送手段と識別手段の両方の清掃に用いることができ、またストッパ等の別部材を用いるような必要なく、搬送手段の清掃を効率良く行なうことができるシート状物識別搬送装置のクリーニングカードを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るシート状物識別搬送装置のクリーニングカードは、挿入口1から差し込まれたシート状物2を取り込む搬送手段3と、搬送手段3で取り込まれたシート状物2を識別する識別手段4を具備するシート状物識別搬送装置において、挿入口1から差し込まれて搬送手段3や識別手段4を清掃するために用いられるクリーニングカードCであって、差し込み方向での後部に、挿入口1の外面に係止される係止片5をその厚み方向に折り曲げることによって形成するための折り曲げ加工部6を設けて成ることを特徴とするものである。
【0012】
また請求項2の発明は、折り曲げ加工部6よりも前部の差し込み方向での長さが、挿入口1から搬送手段3までの距離よりも大きく、且つ挿入口1から識別手段4までの距離よりも小さくなるように形成して成ることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項3の発明は、差し込み方向と交叉する方向の線で切り目7を設け、この切り目7で係止片5を切り起こして折り曲げ形成可能にして成ることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項4の発明は、係止片5を折り曲げ形成する箇所において折り目(あるいはミシン目)8を設けて成ることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項5の発明は、複数本の係止片5が、一方の片面側へ突出させて折り曲げ形成されるようにして成ることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項6の発明は、複数本の係止片5が、両方の面にそれぞれ突出させて折り曲げ形成されるようにして成ることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項7の発明は、係止片5を、複数段で折り曲げ形成されるようにして成ることを特徴とするものである。
【0018】
また請求項8の発明は、係止片5の差し込み方向の前端部に、挿入口1の外面の周縁に突設された枠部9に嵌合される嵌合凹部10を凹設して成ることを特徴とするものである。
【0019】
また請求項9の発明は、複数本の係止片5が一方の片面側に折り曲げ形成されると共に係止片5の先部同士が係合されるようにして成ることを特徴とするものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
クリーニングカードCはPETなどの樹脂製カード板材の両面の全面に不織布を積層接着して厚み0.2mm程度の矩形に形成されるものである。そして図2はクリーニングカードCの実施の形態の一例を示すものであり、後述のように挿入口1から差し込む方向を矢印で示すと、図2(a)に示すように、差し込み方向での後部に一側端から差し込み方向と直交して交叉する方向に切り目7を入れ、また切り目7の先端から後端に至る折り目(あるいはミシン目でもよい)8が設けてある。この切り目7と折り目8に囲まれるクリーニングカードCの後部が折り曲げ加工部6である。
【0022】
一方、シート状物識別搬送装置は既述の図12と同様に、挿入口1を側端部に設けたハウジング14内に、搬送ベルト16やローラ17などからなる搬送手段3や、磁気ヘッド18や光学センサ19などからなる識別手段4を設けて形成されるものである。
【0023】
そしてシート状物識別搬送装置内を清掃するにあたっては、まず、折り曲げ加工部6を折り曲げ加工しない平板状態の図2(a)のままのクリーニングカードCを用い、クリーニングカードCを挿入口1からハウジング14内に差し込む。クリーニングカードCの先端が挿入口1に差し込まれたことがハウジング14内に設けた位置検知センサ20などで検知されると、搬送ベルト16が走行駆動され、クリーニングカードCをハウジング14の奥のほうへ取り込んで搬送し、図1(a)のように、クリーニングカードCを磁気ヘッド18や光学センサ19などの識別手段4の位置を通過させる。このようにクリーニングカードCを搬送手段3で搬送する際に、磁気ヘッド18や光学センサ19などの識別手段4にクリーニングカードCを接触させることによって、識別手段4の清掃を行なうことができるものである。
【0024】
このようにして識別手段4の清掃を行なった後、搬送手段3を清掃するにあたっては、クリーニングカードCの折り曲げ加工部6を、折り目8に沿って折り曲げると共に切り目7によって切り起こすことによって、この折り曲げ加工部6を係止片5として図2(b)のようにクリーニングカードCの片面側へ突出させる。係止片5はクリーニングカードCの前端縁と直交するように折り曲げ形成されるようになっている。そしてこのように表面に略直角に突出するように係止片5を折り曲げて加工したクリーニングカードCを用い、クリーニングカードCを挿入口1からハウジング14内に差し込む。クリーニングカードCの先端が挿入口1に差し込まれたことがハウジング14内に設けた位置検知センサ20などで検知されると、搬送ベルト16が走行駆動され、クリーニングカードCをハウジング14の奥のほうへ取り込んで搬送しようとするが、図1(b)のように、クリーニングカードCの係止片5が挿入口1の外側に引っ掛かって係止されるので、クリーニングカードCの先部が搬送手段3の箇所まで差し込まれた状態で、クリーニングカードCがこれ以上ハウジング14内に引き込まれないように保持固定することができる。従ってこの状態では、クリーニングカードCに対して搬送手段3の搬送ベルト16は空回りすることになり、クリーニングカードCと搬送手段3が擦れ合って、クリーニングカードCによる搬送手段3の清掃効率を高く得ることができるものである。
【0025】
このようにして、折り曲げ加工部6を折り曲げない平板状態でクリーニングカードCを用いることによって、識別手段4の清掃を行なうことができると共に、折り曲げ加工部6を折り曲げて係止片5を突出して形成させた状態でクリーニングカードCを用いることによって、搬送手段3の清掃を行なうことができるものであり、クリーニングカードCで識別手段4と搬送手段3をそれぞれ清掃することができるものである。尚、折り曲げ加工部6を折り曲げない平板状態のクリーニングカードCで識別手段4の清掃を行なった後、係止片5を形成させたクリーニングカードCで搬送手段3の清掃を行なうようにするのが好ましく、このようにすれば、清浄なクリーニングカードCで先ず識別手段4を清掃することができ、搬送手段3を清掃してクリーニングカードCに付着した汚れで識別手段4を汚してしまうようなことがなくなるものである。
【0026】
ここで、クリーニングカードCは、その前端から係止片5の前端縁までの寸法Lが、挿入口1の外面から搬送手段3の搬送ベルト16の挿入口1側の前端縁までの距離Lより大きく、且つ、挿入口1の外面から識別手段4の挿入口1に最も近い部分までの距離Lより小さくなるように設定してある。従って、係止片5を折り曲げてクリーニングカードCを挿入口1から差し込むと、クリーニングカードCの先端部は搬送手段3に接触する位置にまで挿入されるが、挿入口1に係止片5が係止されることによって、クリーニングカードCの先端部は識別手段4を設けた箇所にまで挿入されない。このために、クリーニングカードCに搬送手段3を擦れさせてクリーニングカードCで搬送手段3の清掃を行なうにあたって、搬送手段3の清掃でクリーニングカードCに付着した汚れが、識別手段4へと滲んで、識別手段4を汚すようなことを防ぐことができるものである。また挿入口1に係止片5が係止された状態で、クリーニングカードCが深く搬送手段3に挿入されていると、クリーニングカードCに対する搬送手段3の摩擦が大きくなり、搬送手段3を駆動するモータ等への負荷が大きくなって、故障の原因になるおそれがあるが、クリーニングカードCが深く搬送手段3に挿入されないようにLの寸法を設定することによって、このような問題を防ぐことができるものである。
【0027】
図3はクリーニングカードCの実施の形態の他の一例を示すものであり、図3(a)に示すように、差し込み方向と斜めに交叉する方向に「く」字形に切り目7を入れ、また切り目7の両端を結ぶように差し込み方向と直交する折り目(あるいはミシン目でもよい)8が設けてある。この切り目7と折り目8に囲まれるクリーニングカードCの後部が折り曲げ加工部6である。そしてクリーニングカードCの折り曲げ加工部6を、折り目8に沿って折り曲げると共に切り目7によって切り起こすことによって、この折り曲げ加工部6を係止片5として図3(b)のようにクリーニングカードCの片面側へ突出させることができるものである。
【0028】
図4はクリーニングカードCの実施の形態の他の一例を示すものであり、図4(a)に示すように、差し込み方向での後部に両側端からそれぞれ差し込み方向と直交して交叉する方向に切り目7を入れ、また各切り目7の先端から後端に至る折り目(あるいはミシン目でもよい)8が設けてある。この各切り目7と各折り目8に囲まれるクリーニングカードCの後部両側が折り曲げ加工部6である。そしてこのものでは、クリーニングカードCの後部両側の折り曲げ加工部6を、折り目8に沿って折り曲げると共に切り目7によって切り起こすことによって、この各折り曲げ加工部6を係止片5として図4(b)のようにクリーニングカードCの一方の片面側へ突出させるようにしてある。各係止片5はクリーニングカードCの前端縁と直交して、クリーニングカードCの中心線に対して面対称になるように折り曲げ形成されている。
【0029】
そしてこのように二片(三片以上の複数片でもよい)の係止片5を一方の片面側に折り曲げて加工したクリーニングカードCを用いると、クリーニングカードCの係止片5は挿入口1の幅方向の二箇所(複数箇所)に引っ掛かって係止されるものであり、クリーニングカードCの幅方向において安定した強度でクリーニングカードCを保持固定することができるものである。またこのように安定した強度でクリーニングカードCを保持固定することができる結果、搬送手段3に対するクリーニングカードCの接触位置が安定するものである。
【0030】
図4(b)の実施の形態では、複数の係止片5をクリーニングカードCの一方の片面側へ突出させる折曲したが、図5の実施の形態では、図4(a)と同様に切り目7と折り目8を設けたクリーニングカードCの後部両側の折り曲げ加工部6を、折り目8に沿って折り曲げると共に切り目7によって切り起こすことによって、この各折り曲げ加工部6を係止片5としてクリーニングカードCの一方の片面側と他方の片面側へそれぞれ突出させるようにしてある。各係止片5はクリーニングカードCの前端縁と直交して、クリーニングカードCの中心線に対して線対称になるように折り曲げ形成されている。
【0031】
そしてこのように二片(三片以上の複数片でもよい)の係止片5のうち一片を一方の片面側に、他片を他方の片面側に折り曲げて加工したクリーニングカードCを用いると、クリーニングカードCの係止片5は挿入口1の幅方向の二箇所(複数箇所)で上側と下側に引っ掛かって係止されるものであり、クリーニングカードCの幅方向及び厚み方向において安定した強度でクリーニングカードCを保持固定することができるものである。またこのように安定した強度でクリーニングカードCを保持固定することができる結果、搬送手段3に対するクリーニングカードCの接触位置が安定するものである。
【0032】
図6はクリーニングカードCの実施の形態の他の一例を示すものであり、図6(a)に示すように、差し込み方向での後部に両側端からそれぞれ差し込み方向と直交して交叉する方向に切り目7を入れ、また各切り目7においてその先端及び中央部から後端に至る二本の折り目(あるいはミシン目でもよい)8が設けてある。この各切り目7と切り目7の先端側の各折り目8に囲まれるクリーニングカードCの後部両側が折り曲げ加工部6である。そしてこのものでは、クリーニングカードCの後部両側の折り曲げ加工部6を、各折り目8に沿って折り曲げると共に切り目7によって切り起こすことによって、この各折り曲げ加工部6を係止片5として図6(b)のようにクリーニングカードCの一方の片面側と他方の片面側へそれぞれ突出させるようにしてある。各係止片5はクリーニングカードCの前端縁と直交して、クリーニングカードCの中心線に対して線対称になるように折り曲げ形成されているものであり、各係止片5は二本(三本以上の複数本でもよい)の折り目8によって複数段に折曲された形状に形成されている。このように係止片5を複数段に折曲することによって、この折曲部で係止片5を補強することができるものであり、係止片5を挿入口1に係止させる際の強度を高く得ることができるものである。
【0033】
図6(b)の実施の形態では、複数段に折曲して係止片5を形成するにあたって、先部が外側へ向くように折曲するようにしたが、図7の実施の形態では、先部が内側へ向くように折曲して係止片5を形成するようにしてある。尚、図6(b)や図7の実施の形態では、複数の係止片5をクリーニングカードCの一方の片面側と他方の片面側へそれぞれ突出させて、クリーニングカードCの中心線に対して線対称になるように形成したが、複数の係止片5をクリーニングカードCの一方の片面側に突出させて、クリーニングカードCの中心線に対して面対称になるように形成してもよい。
【0034】
図8はクリーニングカードCの実施の形態の他の一例を示すものであり、図8(a)に示すように、差し込み方向での後部に両側端からそれぞれ差し込み方向と直交して交叉する方向に切り目7を入れると共に切り目7の先端部において切り目7から後部側に連続する凹部21をクリーニングカードCに設け、また各切り目7においてその先端及び中央部から後端に至る二本の折り目(あるいはミシン目でもよい)8が設けてある。この各切り目7と切り目7の先端側の各折り目8に囲まれるクリーニングカードCの後部両側が折り曲げ加工部6である。そしてこのものでは、クリーニングカードCの後部両側の折り曲げ加工部6を、折り目8に沿って折り曲げると共に切り目7によって切り起こすことによって、この各折り曲げ加工部6を係止片5として図8(b)のようにクリーニングカードCの一方の片面側と他方の片面側へそれぞれ突出させるようにしてある。各係止片5はクリーニングカードCの前端縁と直交して、クリーニングカードCの中心線に対して線対称になるように折り曲げ形成されているものであり、各係止片5は二本(三本以上の複数本でもよい)の折り目8によって複数段に折曲された形状に形成されている。そしてクリーニングカードCを挿入口1へ差し込む方向での前端縁の基部において、各係止片5には凹部21によって嵌合凹部10が形成されている。
【0035】
そしてこのように嵌合凹部10を設けた係止片5を折り曲げ加工したクリーニングカードCを用いると、図9のように、クリーニングカードCの係止片5はその嵌合凹部10が、挿入口1の周縁に外側へ突出して設けられている枠部9に嵌合した状態で、挿入口1の外面に係止されることなり、この嵌合によって安定した強度で係止片5を挿入口1に係止させることができ、安定した強度でクリーニングカードCを保持固定することができるものである。
【0036】
図10はクリーニングカードCの実施の形態の他の一例を示すものであり、図10(a)に示すように、差し込み方向での後部に両側端からそれぞれ差し込み方向と直交して交叉する方向に切り目7が入れてある。この各切り目7より後部側が折り曲げ加工部6となるものであり、クリーニングカードCの後部の左右にそれぞれ形成される折り曲げ加工部6のうち、一方の折り曲げ加工部6の側端部には切り目7に開口する係止切り込み25が、他方の折り曲げ加工部6の側端部には後端に開口する係止切り込み26がそれぞれ設けてある。そしてこのものでは、クリーニングカードCの後部両側の折り曲げ加工部6を、切り目7によって切り起こすように円弧状に折り曲げることによって、この各折り曲げ加工部6を係止片5として図10(b)のようにクリーニングカードCの一方の片面側へ突出させると共に、係止切り込み25,26同士を係止させることによって、各係止片5の先端部同士を係止させるようにしてある。各係止片5はこの係止によって結合され、クリーニングカードCから突出して屈曲する状態を保持されるものである。従って、上記の各実施の形態のように係止片5を折り曲げた状態に保持するために折り目8で角を付けて折るような必要なく、係止片5をクリーニングカードCから突出させた状態に確実に保持することができるものである。
【0037】
図11はクリーニングカードCの実施の形態の他の一例を示すものであり、図11(a)に示すように、差し込み方向での後部に両側端からそれぞれ差し込み方向と直交して交叉する方向に切り目7が入れてある。この各切り目7より後部側が折り曲げ加工部6となるものであり、クリーニングカードCの後部の左右にそれぞれ形成される折り曲げ加工部6のうち、一方の折り曲げ加工部6の側端部には係止突片27を突設すると共に他方の折り曲げ加工部6の側端部には係止孔28がそれぞれ設けてある。そしてこのものでは、クリーニングカードCの後部両側の折り曲げ加工部6を、切り目7によって切り起こすように円弧状に折り曲げることによって、この各折り曲げ加工部6を係止片5として図11(b)のようにクリーニングカードCの一方の片面側へ突出させると共に、係止孔28に係止突片27を挿入係止させることによって、各係止片5の先端部同士を係止させるようにしてある。各係止片5はこの係止によって結合されるので、上記と同様に、係止片5をクリーニングカードCから突出させた状態に確実に保持することができるものである。
【0038】
尚、上記の各実施の形態にあって、切り目7は幅がない線として形成するようにしてもよく、切り目7を設けた箇所が一目で確認できるように1mm程の幅の切欠として形成するようにしてもよい。また切り目7や折り目(ミシン目)8は、クリーニングカードCの製造時に、型でプレスする際に同時に成形して形成することができる。
【0039】
【発明の効果】
上記のように本発明は、挿入口から差し込まれたシート状物を取り込む搬送手段と、搬送手段で取り込まれたシート状物を識別する識別手段を具備するシート状物識別搬送装置において、挿入口から差し込まれて搬送手段や識別手段を清掃するために用いられるクリーニングカードであって、差し込み方向での後部に、挿入口の外面に係止される係止片をその厚み方向に折り曲げることによって形成するための折り曲げ加工部を設けたので、折り曲げ加工部を折り曲げない平板状態でクリーニングカードを用いることによって、挿入口から差し込んだクリーニングカードを搬送手段で取り込んで識別手段の清掃を行なうことができると共に、折り曲げ加工部を折り曲げて係止片を厚み方向に突出させた状態でクリーニングカードを用いることによって、係止片を挿入口に係止させてクリーニングカードを固定した状態で搬送手段に接触させ、搬送手段の清掃を行なうことができるものであり、クリーニングカードを搬送手段と識別手段の両方の清掃に用いることができ、またストッパ等の別部材を用いるような必要なく、搬送手段の清掃を効率良く行なうことができるものである。
【0040】
また請求項2の発明は、折り曲げ加工部よりも前部の差し込み方向での長さが、挿入口から搬送手段までの距離よりも大きく、且つ挿入口から識別手段までの距離よりも小さくなるように形成したので、折り曲げ加工部を折り曲げて係止片を形成したクリーニングカードを挿入口から差し込むと、クリーニングカードは搬送手段に接触する位置にまで挿入されるが、挿入口に係止片が係止されることによって、クリーニングカードは識別手段を設けた箇所にまで挿入されないものであり、クリーニングカードに搬送手段を接触させて搬送手段の清掃を行なうにあたって、搬送手段の清掃でクリーニングカードに付着した汚れが、識別手段へと滲んで、識別手段を汚すようなことを防ぐことができるものである。
【0041】
また請求項3の発明は、差し込み方向と交叉する方向の線で切り目を設け、この切り目で係止片を切り起こして折り曲げ形成可能にしたので、折り曲げ加工部を折り曲げて係止片を加工するにあたって、加工の位置が明確になると共に加工が容易になるものである。
【0042】
また請求項4の発明は、係止片を折り曲げ形成する箇所において折り目あるいはミシン目を設けたので、折り曲げ加工部を折り曲げて係止片を加工するにあたって、加工の位置が明確になると共に加工が容易になるものである。
【0043】
また請求項5の発明は、複数本の係止片が、一方の片面側へ突出させて折り曲げ形成されるようにしたので、クリーニングカードの係止片は挿入口の幅方向の複数箇所で係止されるものであり、クリーニングカードの幅方向において安定した強度でクリーニングカードを保持固定することができるものである。
【0044】
また請求項6の発明は、複数本の係止片が、両方の面にそれぞれ突出させて折り曲げ形成されるようにしたので、クリーニングカードの係止片は挿入口の幅方向の複数箇所においてクリーニングカードの両面で係止されるものであり、クリーニングカードの幅方向及び厚み方向において安定した強度でクリーニングカードを保持固定することができるものである。
【0045】
また請求項7の発明は、係止片を、複数段で折り曲げ形成されるようにしたので、複数段の折曲で係止片を補強することができ、係止片を挿入口に係止させる際の強度を高く得ることができるものである。
【0046】
また請求項8の発明は、係止片の差し込み方向の前端部に、挿入口の外面の周縁に突設された枠部に嵌合される嵌合凹部を凹設したので、挿入口の枠部に対する嵌合凹部の嵌合によって、安定した強度でクリーニングカードの係止片を挿入口に係止させることができ、安定した強度でクリーニングカードを保持固定することができるものである。
【0047】
また請求項9の発明は、複数本の係止片が、一方の片面側に折り曲げ形成されると共に係止片の先部同士が係合されるようにしてあるので、各係止片の先部同士をこの係止によって結合することができ、係止片をクリーニングカードから突出させた状態に確実に保持することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるクリーニングカードの使用状態を示すものであり(a),(b)はそれぞれ断面図である。
【図2】本発明のクリーニングカードの実施の形態の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ斜視図である。
【図3】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ斜視図である。
【図4】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ斜視図である。
【図5】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示すものであり、(a),(b)はそれぞれ斜視図である。
【図7】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示す斜視図である。
【図8】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。
【図9】同上のクリーニングカードの使用状態の断面図である。
【図10】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図11】本発明のクリーニングカードの実施の形態の他の一例を示すものであり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【図12】シート状物識別搬送装置を示すものであり、(a)は正面断面図、(b)は平面断面図である。
【符号の説明】
1 挿入口
2 シート状物
3 搬送手段
4 識別手段
5 係止片
6 折り曲げ加工部
7 切り目
8 折り目
9 枠部
10 嵌合凹部

Claims (9)

  1. 挿入口から差し込まれたシート状物を取り込む搬送手段と、搬送手段で取り込まれたシート状物を識別する識別手段を具備するシート状物識別搬送装置において、挿入口から差し込まれて搬送手段や識別手段を清掃するために用いられるクリーニングカードであって、差し込み方向での後部に、挿入口の外面に係止される係止片をその厚み方向に折り曲げることによって形成するための折り曲げ加工部を設けて成ることを特徴とするシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  2. 折り曲げ加工部よりも前部の差し込み方向での長さが、挿入口から搬送手段までの距離よりも大きく、且つ挿入口から識別手段までの距離よりも小さくなるように形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  3. 差し込み方向と交叉する方向の線で切り目を設け、この切り目で係止片を切り起こして折り曲げ形成可能にして成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  4. 係止片を折り曲げ形成する箇所において折り目あるいはミシン目を設けて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  5. 複数本の係止片が、一方の片面側へ突出させて折り曲げ形成されるようにして成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  6. 複数本の係止片が、両方の面にそれぞれ突出させて折り曲げ形成されるようにして成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  7. 係止片を、複数段で折り曲げ形成されるようにして成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  8. 係止片の差し込み方向の前端部に、挿入口の外面の周縁に突設された枠部に嵌合される嵌合凹部を凹設して成ることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
  9. 複数本の係止片が、一方の片面側に折り曲げ形成されると共に係止片の先部同士が係合されるようにして成ることを特徴とする請求項1乃至5、7、8のいずれかに記載のシート状物識別搬送装置のクリーニングカード。
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