JP3978809B2 - エアゾール缶の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エアゾール缶の製造方法に関し、さらに詳しくはエアゾール缶の開口部の絞り加工において、絞り加工の際に内面および外面の塗膜を破損しないエアゾール缶の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エアゾール缶の製造方法として、アルミニウムスラグをインパクト成形して有底の円筒缶を成形し、この円筒缶の内面および外面に塗装を施した後に、この円筒缶の開口部に絞り加工が施される製造方法があった。具体的には、アルミニウムスラグをインパクト成形し、有底の直径10mm乃至50mmの円筒缶を造り、この円筒缶の開口部に絞り加工を施すことにより、係合凹部を形成するものである。そして、係合凹部の開口部側は、胴部内径より若干小さい内径まで拡げられ、バルブ固定部が形成されている。
【0003】
このような従来のエアゾール缶の製造方法としては、図7および図8に示すような製造方法がある。図中、20はエアゾール缶であり、このエアゾール缶20の開口部21は、図7に示すように、外装ダイ22および外径寸法Bのパンチ23によって絞り加工が施され、開口部21の内径は寸法Bに形成されている。
外装ダイ22およびパンチ23は、エアゾール缶20の缶軸方向に往復運動するネッキングマシンに取付けられたダイホルダー25内に内装されている。
【0004】
図8は、内径寸法Bに絞り加工された開口部21に、さらに寸法Aの係合凹部28を形成する工程を示した断面図である。開口部21の先端が、水平方向に移動を阻止されたパンチ26を、開口部21の先端部に挿入して固定し、開口部21の後方の胴部に対して、缶軸に直角方向から成形ロール29を当接して、絞り込むことにより、内径寸法A(A<B)の係合凹部28が形成されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の製造方法にあっては、成形ロール29による絞り加工の際に、図8に示す係合凹部28のX矢視部の部位における内面および外面の塗膜が、アルミニウムの円筒缶表面から剥離し、又は塗膜の物性が劣化する欠点があった。
【0006】
この発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、エアゾール缶の開口部に施される絞り加工の際に、絞り加工が施される係合凹部の内面および外面の塗膜の破損防止を図った、エアゾール缶の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、この発明は有底の円筒缶を成形し、その有底の円筒缶の内面または外面に塗装を施し、次にその塗装を施した有底の円筒缶の開口部に、パンチおよび外装ダイを用いて一定の寸法まで絞り込んで肩部および小径の首部を形成し、次に該小径の首部の開口部側に、口拡げパンチおよび外装ダイを用いて一定の寸法まで口拡げ加工を施して、環状凹溝状の係合凹部および円筒状のバルブ固定部を形成することを特徴とするエアゾール缶の製造方法である。
このようなエアゾール缶の製造方法においては、前記塗装後の有底の円筒缶に肩部および小径の首部を成形する工程ならびに係合凹部およびバルブ固定部を形成する工程をネッキングマシンによって順次行うのが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、エアゾール缶1をネッキングマシンのターンテーブル2に取付けたダイホルダー3内に内装された外装ダイ4、パンチ5およびこれらのダイによって絞り加工されているエアゾール缶1を示した断面図である。エアゾール缶1は、缶ホルダー6によって底部が支持され、ネッキングマシンのターンテーブル2およびダイホルダー3が缶軸方向に往復運動することにより、エアゾール缶1の開口部7には絞り加工が施される。
【0009】
図2は、エアゾール缶1の開口部7を内径寸法Aまで絞り込むための外装ダイ4および外径寸法Aのパンチ5を示した断面図である。外装ダイ4の開口部の内径は、エアゾール缶1の外径と同じであり、胴部中程から開口部7にかけて徐々に内径が小さく構成され、開口部7と内径寸法Aのパンチ5とが内接するように構成されている。
【0010】
図3は、上記方法で内径寸法Aまで絞られた開口部7を、逆に寸法B(A<B)まで拡げる工程を示す図面である。この工程における口拡げパンチ8は、先端8aの外径寸法がAで、後端8bの外径寸法がBより構成されている。そして、上記口拡げパンチ8と外装ダイ9との間で、図4に示すように内径寸法Aの係合凹部10と内径寸法Bのバルブ固定部12が形成される。
【0011】
すなわち、開口部7が、図3に示すように口拡げパンチ8の先端部にのみ外接している場合は、開口部7の内径は一律に寸法Aであり、図4に示すように開口部7が口拡げパンチ8の後端部に外接することにより、開口部7の内径寸法は、寸法Aから寸法B(A<B)に拡げられる。
【0012】
このようにして成形されたエアゾール缶1の開口部7には、先端部からバルブ11が内装され、係合凹部10の上方に形成されたバルブ固定部12において、バルブ11のハウジングが固定される。そして、図5に示す実施の形態においては、バルブカバー13の先端が、係合凹部10にカシメられることにより、バルブ11がエアゾール缶1のバルブ固定部12に内装される。
【0013】
図6は、他の実施の形態を示すもので、エアゾール缶1のバルブ固定部12に、バルブ11を固定した後、開口部7の先端をバルブ11の天面で内側に折り曲げることにより、バルブ11はエアゾール缶1のバルブ固定部12に内装されている。
【0014】
次に、本発明の作用について説明する。本発明は、従来の製造方法のように、成形ロールを用いて、一度に深く絞り加工を施すものでないから、成形ロールが当接する係合凹部10の内面および外面の塗膜が、エアゾール缶1のアルミニウム表面から剥離し、又は塗膜が劣化するのを防止することができる。
【0015】
(実験結果)
従来と本発明の製造方法によって製造された、エアゾール缶1について、各々加工後の係合凹部10の内面塗膜について通電値を測定した。その結果、以下の様な結果が得られた。
エアゾール缶1の胴径28φ,A=20φ,B=22φ
従来のエアゾール缶1の通電値…5〜20mA
本発明のエアゾール缶1の通電値…1mA以下
以上から、本発明に係る製造方法により製造されたエアゾール缶1については、係合凹部10の内面塗膜の損傷が頗る少なく、通電値も良好な結果が得られた。
【0016】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明によればエアゾール缶の開口部の成形の際に、加工部の内面又は外面の塗膜が破損するのを防止できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る製造装置の全体を示した断面図。
【図2】この発明に係る製造工程において、開口部の内径寸法をAにする絞り成形工程を示した断面図。
【図3】この発明に係る製造工程において、開口部の内径寸法をAとBにする絞り成形工程を示した断面図。
【図4】この発明に係る製造工程において、開口部の内径寸法をAとBにする絞り成形工程を示した断面図。
【図5】この発明に係る製造方法で製造されたエアゾール缶にバルブを内装した実施の形態を示した断面図。
【図6】この発明に係る製造方法で製造されたエアゾール缶にバルブを内装した他の実施の形態を示した断面図。
【図7】従来のエアゾール缶の製造方法を示した断面図。
【図8】従来のエアゾール缶の製造方法を示した断面図。
【符号の説明】
1 エアゾール缶
7 開口部
8 口拡げパンチ
10 係合凹部
12 バルブ固定部

Claims (2)

  1. 有底の円筒缶を成形し、
    その有底の円筒缶の内面または外面に塗装を施し、
    次にその塗装を施した有底の円筒缶の開口部に、パンチおよび外装ダイを用いて一定の寸法まで絞り込んで肩部および小径の首部を形成し、
    次に該小径の首部の開口部側に、口拡げパンチおよび外装ダイを用いて一定の寸法まで口拡げ加工を施して、環状凹溝状の係合凹部および円筒状のバルブ固定部を形成することを特徴とするエアゾール缶の製造方法。
  2. 前記塗装後の有底の円筒缶に肩部および小径の首部を成形する工程ならびに係合凹部およびバルブ固定部を形成する工程をネッキングマシンによって順次行う請求項1記載のエアゾール缶の製造方法。
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