JP3977215B2 - 充電装置、充電方法および該充電装置を備えた携帯端末 - Google Patents

充電装置、充電方法および該充電装置を備えた携帯端末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、充電装置、充電方法および該充電装置を備えた携帯端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、リチウムイオン電池が携帯電話などの携帯端末の動作用二次電池として利用されるようになっている。このリチウムイオン電池は、高エネルギー密度であるため、携帯端末を小型化、軽量化することが可能となる。このようなリチウムイオン電池の充電方法としては、CC−CV(定電流−電圧)方式やパルス充電方式などがある(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−195225号公報
【特許文献2】
特開平7−87679号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、CC−CV方式で充電する場合、充電時間が長くなり、CV領域において発熱する恐れなどが生じてしまう。また、パルス充電方式の場合、パルスのノイズが発生することがある。
一方、過電圧充電を防ぐために、一般的にリチウムイオン電池の電圧として4.2V以上の電圧を印加することができないよう充電条件が設定されている。この電圧は、1セル当たりの充電時の性能保証電圧(定格充電電圧)のことをいい、センター電圧と称されている。
ところで、電池には分極があり、その分だけ電池の内部電圧が降下するという現象がある。
【0005】
この電池の分極には、抵抗分極、拡散(濃度)分極、活性化分極がある。抵抗分極は、電池が持っている直流抵抗によって発生する電圧のことをいう。拡散分極とは、電極付近でのイオンの集中で発生する電圧のことをいい、移動するイオンの量に対して電極面積が十分に大きければ、イオン集中はおきないが、電極面積が小さすぎるとイオン集中が起こり、高い電圧が発生する。
また、活性化分極とは、温度に対するイオンの活性度により発生する電圧のことをいい、低温になれば活性度が落ちてイオンの動きが緩慢になり、高い電圧が発生する。逆に、高温になれば、活性度が高くなりイオンの動きが活発になり、動きが速くなるので電圧が低くなる。つまり、いずれの分極の場合でも、電圧が高くなるほど分極抵抗が大きい状態であるということになる。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、電池の分極によって電池の内部電圧が低下する分を補正して充電電圧を高く設定することで、充電時間が短く、かつ、過電圧を防止することができる充電装置、充電方法および該充電装置を備えた携帯端末を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、電池の充電条件に応じた分極特性に関する補正条件記憶する補正条件記憶と、前記電池の充電条件を検出する充電条件検出手段と、前記充電条件検出手段により検出された前記電池の充電条件に応じて前記補正条件記憶部から分極特性に関する補正条件を取得し、その取得した補正条件に基づいて予め設定された電圧を補正し、その補正した電圧まで前記電池を定電流で充電する充電制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項2記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記充電制御手段は、前記補正された電圧になると充電を終了することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明では、請求項1又は請求項2記載の発明において、前記補正条件は、前記電池の抵抗分極、拡散分極、活性化分極に関する条件であることを特徴とする。
請求項4記載の発明に係る携帯端末は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の充電装置を備えたことを特徴とする。
請求項5記載の発明に係る充電方法では、電池の充電条件に応じた分極特性に関する補正条件記憶する第1のステップと、前記電池の充電条件を検出する第2のステップと、前記第2のステップにより検出された前記電池の充電条件に応じて前記第1のステップにより記憶された分極特性に関する補正条件を取得し、その取得した補正条件に基づいて予め設定された電圧を補正し、その補正した電圧まで前記電池を定電流で充電する第3のステップと、を有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の充電装置(充電回路)、充電方法および該充電装置を備えた携帯端末の好適な実施形態について図1ないし図3を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る充電回路の概略構成を示した図である。なお、この充電回路は、携帯端末に備えられているものとして説明する。
図1に示す充電回路は、電池1、電流検出抵抗2、電流検出アンプ3、サーミスタ4、セレクタ5、A/Dコンバータ6、CPU7、ROM8、充電スイッチ10を備えている。
【0010】
電流検出抵抗2は、充電電流を検出する抵抗である。電流検出アンプ3は、電流検出抵抗2を流れる充電電流の大きさおよび向きを充電条件として検出する。また、回路11a、11bは、電池1の端子間の電圧を充電条件として検出する。
サーミスタ4は、電池1の温度を充電条件として測定する。
セレクタ5は、各充電条件として検出された電流、電圧、温度のA/Dコンバータへの入力切り替えを行う。A/Dコンバータ6は、セレクタ5から入力された電流、電圧、温度をデジタルに変換する。
【0011】
CPU7は、充電制御手段として機能し、A/Dコンバータ6から入力された電流、電圧、温度のデジタル値に基づいて、ROM8から充電時の充電条件に応じた分極を補正条件として取得し、この補正条件に基づく分極を電池1のセンター電圧に加算した終電圧を算出する。そして、この終電圧に至るまで定電流で充電を制御する。
充電スイッチ10は、CPU7からの制御に基づいて充電回路のオン/オフを行うスイッチである。
【0012】
ROM8は、補正条件記憶手段として機能し、充電時の充電条件に応じた分極を補正条件として記憶している。
ここで、ROM8に記憶する補正条件について図2を参照しながら説明する。ROM8が記憶する補正条件は、それぞれ電池1の抵抗分極、拡散分極、活性化分極に関する。
図2(a)に示すように電池1の端子電圧は、電池の抵抗分極(An)、拡散分極(Bn)により電圧降下し、その分だけ充電に有効利用される電圧が低下することになる。
そこで、ROM8にあらかじめ充電電流の変化に対する分極の値として図2(b)に示すようなテーブルを、また、温度の変化に対する分極の値として図2(c)のようなテーブルを記憶しておく。また、電池に応じたセンター電圧も記憶しておく。
【0013】
ここで、図2(b)において、A0、A1、A2、A3、・・・は、抵抗分極を示し、B0、B1、B2、B3、・・・は、拡散分極を示している。そして、各充電電流において対応するAnとBnを加算すると、これらの分極の補正値(加算値)となる。なお、本発明はCC充電を行うので、AnとBnの組は1つのみとなる。また、図2(c)において、C0、C1、C2、C3、・・・は、各温度での活性化分極を示している。
そして、センター電圧に上記3つの分極の補正値が加算された電圧を終電圧とし、CPU7は、この終電圧に至るまで定電流で充電を制御するようになっている。
なお、ROM8は、各分極を求めるための所定の計算式や関数が記憶されていてもよい。この場合、CPU7は、入力された電流、電圧、温度のデジタル値に基づいて、ROM8の所定の計算式や関数から分極を算出し、センター電圧に加算するようになっている。
【0014】
次に、図1を参照しながら、充電回路の動作について説明する。なお、充電(CHG)入力に接続される充電器の電流値は、規定値であるとする。
充電入力が入ると、電流検出アンプ3は、電流検出抵抗2を流れる充電電流の大きさを充電条件として検出する。また、回路11a、11bは、電池1の電圧を充電条件として検出し、サーミスタ4は、電池1の温度を充電条件として測定する。
セレクタ5から充電電流、電圧、温度の各充電条件が入力されると、A/Dコンバータ6は、各充電条件をデジタル値に変換する。
【0015】
CPU7は、A/Dコンバータ6から入力された充電条件に基づいて、ROM8からセンター電圧に加算する補正条件を取得し、センター電圧に加算する。CPU7は、A/Dコンバータ6から充電電流が入力された場合には、ROM8から抵抗分極に関する補正条件を、電圧が入力された場合には拡散分極に関する補正条件を、温度が入力された場合には活性化分極に関する補正条件を取得する。そして、CPU7は、このセンター電圧に各分極の補正値を加算して終電圧とし、充電電圧が終電圧に至るまで定電流で充電するように充電スイッチ10の制御を行う。そして、充電電圧が終電圧となった時点で、充電スイッチ10をオフとして充電終了する。
【0016】
図3は、従来の充電方式と本実施の形態に係る充電回路の充電方式との比較を示した図である。
従来のCC−CV充電方式では、電圧がセンター電圧を超えると(a1)、定電圧で充電を行うので、b1の時点で充電完了となるが、CV充電の特性上、充電時間が長くなる(図3(a))。また、パルス充電方式の場合、パルスのノイズが電圧に影響してしまうことがある(図3(b))。
一方、本実施の形態に係る充電回路ではCC充電して電圧がセンター電圧を超えても(a1)、各分極の補正値分だけ加算された電圧、つまり終電圧までCC充電を続ける。これにより、電池の端子電圧がセンター電圧に達した後も定電流で充電を行うことができ、充電時間を短縮することができる(c1)。しかも、この間、電池内部電圧はセンター電圧以下に保たれるので、過充電を防止することができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の充電回路、充電方法および該充電回路を備えた携帯端末は、検出された充電条件に基づいて、前記補正条件を取得し、その補正条件に基づく分極を前記電池のセンター電圧に加算した終電圧に至るまで所定の電流で充電するので、有効に使われない電圧を高く設定し、充電時間が短くて、過電圧を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態に係る充電回路の概略構成を示した図である。
【図2】 分極による電圧低下とその補正方法を示した図である。
【図3】 従来の充電方式と本実施の形態に係る充電回路の充電方式との比較を示した図である。
【符号の説明】
1 電池
2 電流検出抵抗
3 電流検出アンプ
4 サーミスタ
5 セレクタ
6 A/Dコンバータ
7 CPU
8 ROM
10 充電スイッチ

Claims (5)

  1. 電池の充電条件に応じた分極特性に関する補正条件記憶する補正条件記憶と、
    前記電池の充電条件を検出する充電条件検出手段と、
    前記充電条件検出手段により検出された前記電池の充電条件に応じて前記補正条件記憶部から分極特性に関する補正条件を取得し、その取得した補正条件に基づいて予め設定された電圧を補正し、その補正した電圧まで前記電池を定電流で充電する充電制御手段と、を有することを特徴とする充電装置。
  2. 前記充電制御手段は、前記補正された電圧になると充電を終了する、ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
  3. 前記補正条件は、前記電池の抵抗分極、拡散分極、活性化分極に関する条件である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の充電装置
  4. 請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の充電装置を備えたことを特徴とする携帯端末。
  5. 電池の充電条件に応じた分極特性に関する補正条件記憶する第1のステップと、
    前記電池の充電条件を検出する第2のステップと、
    前記第2のステップにより検出された前記電池の充電条件に応じて前記第1のステップにより記憶された分極特性に関する補正条件を取得し、その取得した補正条件に基づいて予め設定された電圧を補正し、その補正した電圧まで前記電池を定電流で充電する第3のステップと、を有することを特徴とする充電方法。
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