JP3977075B2 - Gm増幅器およびGm−Cフィルタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Gm増幅器およびGm−Cフィルタの改良に関し、特に、高精度で、温度変化などの環境の変化に影響されず、かつ、消費電流の小さいGmアンプおよびGm−Cフィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来のGm−C型の低域通過フィルタを使用したGm−Cフィルタの構成例を示す。
このGm−Cフィルタは、例えば、Gmアンプ(トランスコンダクタンス増幅器)とコンデンサ(容量)から構成されるGm−Cフィルタ型の低域通過フィルタからなり、調整の対象となる調整フィルタ1と、これを調整する自己調整用バイアス発生回路(PLL回路)2とから構成されている。
【0003】
さらに詳述すると、このGm−Cフィルタは、自己調整用バイアス発生回路2が、基準クロック信号CKに基づき所定のバイアス電流IBを生成して調整フィルタ1に供給し、調整フィルタがそのバイアス電流IBに応じた出力特性を持って作動するようになっている。
自己調整用バイアス発生回路2は、例えば、図12に示すように、Gmアンプとコンデンサから構成されるGm−C型の低域通過フィルタからなる基準フィルタ3と、コンパレータ4、5と、排他的論理和回路からなる位相比較器6と、低域通過フィルタなどからなる積分器7とを備えている。
【0004】
位相比較器6は、基準フィルタ3およびコンパレータ4を介して供給される基準クロック信号CKと、コンパレータ5を介して供給され基準クロック信号CKとの排他的論理和を求め、それに応じた出力信号S1を出力するようになっている。基準クロック信号CKは、水晶発振器(図示せず)などで発生したものを使用する。
積分器7は、位相比較器6からの出力信号S1を積分処理した信号をバイアス信号IBとして、調整フィルタ1と基準フィルタ3にそれぞれ供給するようになっている。ここで、積分器7は、いわゆる完全積分器でも良く、または、低域通過フィルタと等価である不完全積分器でも良く、自己調整用バイアス発生回路2の回路構成に適したものが使用される。
【0005】
基準フィルタ3は、低域通過フィルタの特性を有すると同時に、その位相遅れが、低域では位相シフト0度、高域では位相シフト180度、カットオフ(遮断)周波数のところでは位相シフトが90度となる位相特性を有するように構成されている。
すなわち、図12において、基準クロック信号CKの周波数が基準フィルタ3のカットオフ周波数fcに一致している場合には、位相比較器6からの出力信号S1は、その周波数が基準クロック信号CKの2倍で、かつ、HレベルとLレベルのそれぞれの期間が等しいデューティー比が50%の信号となる。このとき、その位相比較器6からの出力信号S1を積分器7で積分処理した直流出力レベルは、デューティー比が50%であるので変動せず、位相ロック状態が実現される。
【0006】
一方、このとき、仮に、基準フィルタ3のカットオフ周波数fcがその設計値よりも小さいときには、その位相遅れは設計値よりも大きくなる。この結果、位相比較器6の出力信号S1は、Hレベルの期間がLレベルの期間よりも短くなり、積分器7の出力レベルを低下させる方向に動作する。そして、その出力レベルが下がったときに、基準フィルタ3のGmアンプのバイアス電圧を発生させる回路では、全てのGmアンプの相互コンダクタンス(gm)値が上がるように構成されている。この結果、基準フィルタ3のカットオフ周波数が設計値に等しくなる方向にシフトし、設計値に等しくなったときに、積分器7の出力信号のレベルが一定となり、位相ロックの状態になる。
【0007】
これに対して、基準フィルタ3のカットオフ周波数fcがその設計値よりも大きなときには、積分器7の出力レベルを増加する方向に動作し、基準フィルタ3のGmアンプの相互コンダクタンス値が下がるように構成されている。この結果、基準フィルタ3のカットオフ周波数が設計値に等しくなる方向にシフトし、設計値に等しくなったときに、積分器7の出力信号のレベルが一定となり、位相ロックの状態になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図12に示すような従来のGm−Cフィルタでは、自己調整用バイアス回路2を構成する基準フィルタ3と、調整フィルタ1とは、Gmアンプとコンデンサを構成要素としている。
しかし、Gmアンプの入力電圧に対する出力電流の比である相互コンダクタンスの値は、自己調整用バイアス発生回路2が発生するバイアス電流IBが一定の場合には、温度変化によりその値が変化するが、コンデンサの容量値は温度変化よっては殆ど変化しない。
【0009】
このため、所定の温度範囲で、調整フィルタ1の周波数特性を一定にするためには、自己調整用バイアス発生回路2を常時動作させ、基準フィルタ3と調整フィルタ1を構成するGmアンプの相互コンダクタンスの値が一定になるように、バイアス電流IBを調整し続けなければならない。
このように、従来のGm−Cフィルタでは、フィルタとして使用する調整フィルタ1の周波数特性を一定にするためには、自己調整用バイアス発生回路2を常時動作させなければならず、特に、低消費電力を必要とする用途では、その自己調整用バイアス発生回路2の消費電流は無視することができない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記の点に鑑みてなされたものであり、低消費電力を実現できるGm増幅器およびGm−Cフィルタを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して本発明の目的を達成するために、請求項1、2に記載のGm増幅器は、以下のように構成した。
すなわち、請求項1に記載の発明は、バイアスの大きさに応じて相互コンダクタンスを制御可能なGmアンプと、設定信号に応じた所定のバイアスであって、前記Gmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償するバイアスを発生するバイアス発生回路と、前記バイアス発生回路に入力する設定信号の設定値を校正する校正回路と、前記校正回路で校正された設定値を記憶するとともに、その設定値を前記バイアス発生回路に供給する記憶回路と、を備えたGm増幅器であって、前記バイアス発生回路は、基準抵抗と、前記基準抵抗の一端に接続される第1の電流源と、前記基準抵抗の両端の電位差を入力とするGmアンプと、前記Gmアンプの出力側に接続される第2の電流源と、前記第2の電流源と前記Gmアンプの出力電流との差の電流に応じて、前記Gmアンプの入力同相電圧を調整するバイアス電圧を発生する電圧バイアス発生回路と、前記電圧バイアス発生回路が発生するバイアス電圧をバイアス電流に変換して出力するバイアス変換回路と、を備え、前記第1および第2の電流源のうちの少なくとも一方は可変であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のGm増幅器において、前記第1および前記第2の電流源のうちの少なくとも一方は、複数の電流源からなり、かつ、その複数の電流源を選択的に切り換えて電流値を調整するようになっていることを特徴とするものである。
このように本発明のGm増幅器では、Gmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償するバイアス発生回路により、相互コンダクタンスの温度ドリフトを防ぐようにしたので、温度変化など環境変化に起因するGmアンプの相互コンダクタンスの変化による特性の変化を防止できる。
【0014】
また、本発明のGm増幅器では、校正回路で校正された設定値を記憶回路に記憶して使用するようにした。このため、校正期間を除く期間は、校正回路の動作を中止して消費電力を低減化できる。
一方、請求項〜請求項に記載のGm−Cフィルタは、以下のように構成した。
すなわち、請求項に記載の発明は、第1のGmアンプと第1のコンデンサから構成し、前記第1のGmアンプに供給するバイアスの大きさに応じてその第1のGmアンプの相互コンダクタンスが調整可能な調整フィルタと、設定信号に応じた所定のバイアスであって、前記第1のGmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償するバイアスを発生するバイアス発生回路と、前記第1のGmアンプと同等の構成からなる第2のGmアンプと第2のコンデンサを含み、校正時に、前記バイアス発生回路に入力する設定信号の設定値を校正する校正回路と、前記校正回路で校正された設定値を記憶するとともに、その設定値を前記バイアス発生回路に供給する記憶回路と、を備えたGm−Cフィルタであって、前記校正回路は、前記第1のGmアンプと同等の構成からなる第2のGmアンプを含み、基準クロックが入力されるフィルタ回路と、前記フィルタ回路の出力信号と前記基準クロックとの位相差を求める位相比較器と、前記位相比較器の出力を積分し、自身の積分値がリセット自在である積分器と、前記積分器の出力をデジタル信号に変換する量子化器と、を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
求項に記載の発明は、請求項に記載のGm−フィルタにおいて、前記バイアス発生回路は、基準抵抗と、前記基準抵抗の一端に接続される第1の電流源と、前記基準抵抗の両端の電位差を入力とするGmアンプと、前記Gmアンプの出力側に接続される第2の電流源と、前記第2の電流源と前記Gmアンプの出力電流との差の電流に応じて、前記Gmアンプの入力同相電圧を調整するバイアス電圧を発生する電圧バイアス発生回路と、前記電圧バイアス発生回路が発生するバイアス電圧をバイアス電流に変換して出力するバイアス変換回路と、を備え、前記第1および第2の電流源のうちの少なくとも一方は可変であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のGm−Cフィルタにおいて、前記第1および前記第2の電流源のうちの少なくとも一方は、複数の電流源からなり、かつ、その複数の電流源を選択的に切り換えて電流値を調整するようになっていることを特徴とするものである。
請求項に記載の発明は、請求項乃至請求項のいずれかに記載のGm−フィルタにおいて、前記記憶回路は、外部からデータが読み書き自在であることを特徴とするものである。
【0018】
このように本発明のGm−Cフィルタは、Gmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償するバイアス発生回路により、相互コンダクタンスの温度ドリフトを防ぐとともに、校正回路で校正されて設定値により、製造プロセスに起因するコンデンサの容量値のばらつきをGmアンプの相互コンダクタンスを調整することで相殺するようにした。このため、温度変化など環境変化に影響されない高精度のフィルタ特性を実現できる。
【0019】
また、本発明のGm−Cフィルタでは、校正回路で設定された設定値を記憶回路に記憶して使用するようにした。このため、校正期間を除く期間は、校正回路の動作を中止して消費電力を低減化できる。
さらに、記憶回路として、データの読み書き可能なものを使用する場合には、校正したデータを一旦外部のメモリに転送しておき、それを記憶回路に再び書き込んで使用できるので、校正回路による校正の回数を減らすことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のGm増幅器とGm−Cフィルタの実施形態について、図面を参照して説明する。
本発明のGm−Cフィルタは、本発明のGm増幅器を含むので、以下では、本発明のGm−Cフィルタの実施形態について説明する。
本発明の実施形態のGm−Cフィルタ10は、図1に示すように、調整フィルタ11と、校正回路12と、記憶回路13と、バイアス発生回路としてのバイアス電流発生回路14とを備え、記憶回路13がデータを処理可能なCPU(マイクロコンピュータ)15に接続されている。
【0021】
調整フィルタ11は、本来のフィルタであって、例えばGmアンプとコンデンサから構成され、Gmアンプに供給するバイアス電流の大きさに応じてその相互コンダクタンスが調整され、所望の周波数特性が得られるようになっている。
校正回路12は、校正時に、バイアス電流発生回路14に入力すべき設定信号S3の設定値を校正する回路である。すなわち、校正回路12は、マイクロコンピュータ15からの校正開始信号に基づき校正を開始し、その校正時に、後述のように基準クロック信号CKに基づき調整信号S2を発生し、この調整信号S2を記憶回路11に供給するようになっている。
【0022】
記憶回路13は、データが読み書き自在なメモリからなり、校正回路12で校正が完了して確定された設定信号S3の設定値を記憶しておくものである。この記憶回路13は、後述のように、校正回路12が校正時には、初期値を書き込んでおき、その値を校正回路12からの調整信号S2に応じて逐次変更することにより設定信号S3の設定値を確定するようになっている。
バイアス電流発生回路14は、記憶回路13に記憶された設定信号S3に応じたバイアス電流IBであって、調整フィルタ11および校正回路12のそれぞれのGmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償するバイアス電流IBを発生する回路である。
【0023】
また、この実施形態では、調整フィルタ11の校正時には、校正回路12、記憶回路13、およびバイアス電流発生回路13の間でループを形成するようになている。
次に、校正回路12の具体的な構成について、図2〜図5を参照して説明する。
校正回路12は、図2に示すように、フィルタ回路としての基準フィルタ21と、コンパレータ22、23と、排他的論理和回路からなる位相比較器24と、例えばコンデンサからなる積分器25と、例えば1ビットの量子化器26とから構成されている。
【0024】
基準フィルタ21は、例えばGmアンプとコンデンサ(容量)から構成されGm−C型の低域通過フィルタからなる。この基準フィルタ21は、基準クロック信号CKが入力されるようになっている。基準フィルタ21の出力は、コンパレータ22を介して位相比較器24の一方の入力側に供給されるようになっている。また、基準クロック信号CKは、コンパレータ23を介して位相比較器24の他方の入力側に供給されるようになっている。
【0025】
位相比較器24は、基準フィルタ21およびコンパレータ22を介して供給される基準クロック信号CKと、コンパレータ23を介して供給され基準クロック信号CKとの排他的論理和を求め、それに応じた出力信号S1を出力するようになっている。
積分器25は、位相比較器24からの出力信号S1を所定時間積分処理し、この積分処理した値を量子化器26に出力するようになっている。量子化器26は、積分器25の出力信号をHレベル(高レベル)またはLレベル(低レベル)のデジタル信号に変換し、これを調整信号S2として図1に示す記憶回路13に出力するようになっている。
【0026】
次に、基準フィルタ21の構成について、図3を参照して説明する。
基準フィルタ21は、図3に示すように、Gmアンプ31〜34と、コンデンサC1、C2と、同相信号調整回路35、36とから構成され、バイアス電流発生回路14で発生したバイアス電流IBに比例した電流値が、同相信号調整回路35、36にそれぞれ供給されるようになっている。
さらに詳述すると、Gmアンプ31とGmアンプ32とが直列に接続されるとともに、そのGmアンプ31、32の各出力端子の両端にコンデンサC1、C2がそれぞれ接続されている。また、Gmアンプ31の出力側は、同相信号調整回路35の入力側に接続されるとともに、Gmアンプ33の出力側に接続されている。同相信号調整回路35の出力は、Gmアンプ31、33にそれぞれ供給されるようになっている。
【0027】
また、Gmアンプ32の出力側は、同相信号調整回路36の入力側、Gmアンプ33の入力側、およびGmアンプ34の出力側にそれぞれ接続されている。同相信号調整回路36の出力は、Gmアンプ32、34にそれぞれ供給されるようになっている。さらに、Gmアンプ34は、自己の+入力端子と−出力端子が接続され、自己の−入力端子と+出力端子が接続されている。
次に、Gmアンプ31〜34の構成について説明するが、これらはいずれも図4に示すような構成となっている。
【0028】
すなわち、Gmアンプ31〜34は、いずれも図4に示すように、差動対を構成するN型のMOSトランジスタQ11、Q12と、負荷用のP型のMOSトランジスタQ13、Q14とから構成される。
さらに詳述すると、MOSトランジスタQ11は、そのゲートに−入力信号(−IN)が入力され、そのドレインから+出力信号(+OUT)を取り出すようになっている。また、MOSトランジスタQ11のドレインは、MOSトランジスタQ13のドレインに接続されている。MOSトランジスタQ12は、そのゲートに+入力信号(+IN)が入力され、そのドレインから−出力信号(−OUT)を取り出すようになっいる。また、MOSトランジスタQ12のドレインは、MOSトランジスタQ14のドレインに接続されている。
【0029】
MOSトランジスタQ11、Q12のソースは共通接続され、その共通接続部が接地ラインVSSに接続されている。また、MOSトランジスタQ13、Q14のソースが共通接続され、その共通接続部が電源ラインVDDに接続されている。さらに、MOSトランジスタQ13、14の各ゲートには、同相信号調整回路35からの同相レベル制御用の信号が供給されるようになっている。
次に、同相信号調整回路35、36の構成について説明するが、これらはいずれも図5に示すような構成となっている。
【0030】
すなわち、同相信号調整回路35、36は、いずれも図5に示すように、図4のMOSトランジスタQ11、Q12と同様に構成され、差動対を形成するN型のMOSトランジスタQ21、Q22と、カレントミラー回路を構成するP型のMOSトランジスタQ23、Q24とから構成される。
さらに詳述すると、MOSトランジスタQ21、Q22の各ゲートには、図4に示すGmアンプの出力信号を入力するようになっている。また、MOSトランジスタQ21、Q22の各ソースは共通接続され、その共通接続部が接地ラインVSSに接続されている。さらに、MOSトランジスタQ21、Q22の各ドレインは共通接続され、その共通接続部がMOSトランジスタQ23のドレインに接続されている。
【0031】
MOSトランジスタQ23、Q24は、その各ゲートが共通接続され、その共通接続部がMOSトランジスタQ24のドレインに接続され、そのドレインにバイアス電流発生回路14からのバイアス電流IBが入力されるようになっている。また、MOSトランジスタQ23、Q24の各ソースは共通接続され、その共通接続部が電源ラインVDDに接続されている。
このような構成からなる同相信号調整回路では、MOSトランジスタQ24にバイアス電流発生回路14からのバイアス電流IBが入力され、そのバイアス電流IBに比例する電流IB1がMOSトランジスタQ23に流れ、これがMOSトランジスタQ21、Q22に流入する。そして、そのMOSトランジスタQ23のドレイン電圧を、Gmアンプ31〜34を構成するMOSトランジスタQ13、Q14のゲートに供給する同相レベル制御用の信号として取り出すようにしている。
【0032】
このため、同相信号調整回路35、36は、Gmアンプ31〜34の正負の出力信号の同相レベルを、同相信号調整回路35、36のMOSトランジスタQ21、Q22のドレインに流入する電流の和がIB1と等しくなるように調整する。また、同相レベルが調整されたGmアンプ31〜34のMOSトランジスタQ11、Q12には、バイアス電流IBに比例する電流が流れ、Gmアンプ31〜34の各相互コンダクタンスgmは、次の(1)式により調整される。
【0033】
gm=A×√IB (1)
(1)式において、Aは定数であり、√IBはIBの平方根を表す。
基準フィルタ21のフィルタ特性は、図6に示すように、低域での位相遅れは0度、高域での位相遅れは180度、入力信号の周波数がカットオフ周波数と等しいときの位相遅れは90度となるように構成されている。
すなわち、図2において、基準フィルタ21への入力信号、すなわち、基準クロック信号CKの周波数と基準フィルタ21のカットオフ周波数fcに一致している場合には、位相比較器24の出力信号S1は、その周波数が基準クロック信号CKの2倍で、かつ、HレベルとLレベルのそれぞれの期間が等しいデューティー比が50%の信号となる。このとき、その位相比較器24からの出力信号S1を積分器25で積分処理した直流出力レベルは、デューティー比が50%であるので変動しない。
【0034】
一方、このとき、仮に、基準クロック信号CKの周波数より基準フィルタ21のカットオフ周波数fcが小さいときには、その位相遅れは90度よりも大きくなる。この結果、位相比較器24の出力信号S1は、Hレベルの期間がLレベルの期間よりも長くなり、積分器23の出力レベルを上昇させる方向に動作し、量子化器26はHレベルを出力する。
これに対して、基準クロック信号CKの周波数より基準フィルタ21のカットオフ周波数fcが大きいときには、その位相遅れは90度よりも小さくなる。この結果、位相比較器24の出力信号S1は、Hレベルの期間がLレベルの期間よりも短くなり、積分器23の出力レベルを低下させる方向に動作し、量子化器26はLレベルを出力する。
【0035】
次に、図1に示す記憶回路13の構成について説明する。
記憶回路13は、例えば4ビットの記憶素子(レジスタ)で構成される。この各記憶素子には、校正回路12の校正時に、校正回路12からの1ビットからなる調整信号S2の各値が独立に記憶されていき、その校正の終了後には、その確定された各値が記憶されるようになっている。
記憶回路13に記憶された4ビットのデータは、バイアス電流発生回路14に供給されるようになっている。また、記憶回路13の各記憶素子には、CPU15から4ビットの設定信号が任意のタイミングで転送されて記憶できるようになっている。
【0036】
次に、図1に示すバイアス電流発生回路14の構成について、図7を参照して説明する。
バイアス電流発生回路14は、図7に示すように、基準抵抗75と、この基準抵抗の一端に接続される電流源72と、基準抵抗75の両端の電位差を入力とするGmアンプ70と、このGmアンプ70の出力側に接続される電流源71と、電流源72とGmアンプ70の出力電流との差の電流に応じて、Gmアンプ70の入力同相電圧を調整するバイアス電圧を発生する電圧バイアス発生回路73と、この電圧バイアス発生回路73が発生するバイアス電圧をバイアス電流に変換して出力するバイアス変換回路74とを備え、電流源71は電流値が可変自在に構成されている。
【0037】
さらに詳述すると、基準抵抗75の一端は、電流源72を介して接地ラインVSSに接続されている。また、基準抵抗75の他端は、電圧バアイス発生回路73を構成するMOSトランジスタQ7を介して電源ラインVDDに接続されている。
Gmアンプ70は、基準抵抗75の両端の電位差を入力とするMOSトランジスタQ1、Q2と、カレントミラー回路を形成し負荷用のMOSトランジスタQ3、Q4とからなる。MOSトランジスタQ1、Q2は、図4のMOSトランジスタQ11、Q12と同等に構成される。
【0038】
MOSトランジスタQ1、Q2の各ゲートには、基準抵抗75の一端の電位とその他端の電位が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタQ1、Q2の各ソースは共通接続され、その共通接続部が接地ラインVSSに接続されている。さらに、MOSトランジスタQ1、Q2の各ドレインは、MOSトランジスタQ3、Q4の各ドレインに接続されている。
MOSトランジスタQ3、Q4の各ゲートは共通接続され、その共通接続部がMOSトランジスタQ3のドレインに接続されている。また、MOSトランジスタQ4のドレインは、電流源71の一端とMOSトランジスタQ7のゲートにそれぞれ接続されている。電流源71の他端は、接地ラインVSSに接続されている。さらに、MOSトランジスタQ3、Q4の各ソースは共通接続され、その共通接続部が電源ラインVDDに接続されている。
【0039】
MOSトランジスタQ5、Q6の各ゲートには、基準抵抗75の一端の電位とその他端の電位が印加されるようになっている。また、MOSトランジスタQ5、Q6の各ソースは共通接続され、その共通接続部が接地ラインVSSに接続されている。さらに、MOSトランジスタQ5、Q6の各ドレインは共通接続され、その共通接続部から出力電流Ioutを取り出すようにしている。
このように構成されるバイアス電流発生回路14では、電源の投入後、回路が安定したときには、Gmアンプ70の出力電流は、電流源71の出力する電流IS1〔A〕に等しくなるように、電圧バイアス発生回路73は、基準抵抗の両端AおよびBの同相電圧、すなわちGmアンプ70の入力同相電圧を発生する。
【0040】
このとき、基準抵抗75の抵抗値をRR〔Ω〕とすると、基準抵抗75の両端の電圧はIS2×RR〔V〕となり、Gmアンプ70の入力電圧と出力電流の比である相互コンダクタンスgmは、次の(2)式によって表され、電流源71および電流源72の電流比と基準抵抗75の抵抗値のみで決まる値となる。
gm=IS1/(IS2×RR) (2)
ここで、基準抵抗75には、例えば、抵抗値の温度変化の小さいものを使用することで、温度変化の小さい任意の相互コンダクタンスgmが得られる。
【0041】
次に、電流源71の構成について、図8を参照して説明する。
電流源71は、図8に示すように、カレントミラー回路からなりそれぞれ発生電流の異なる複数の電流源80〜84と、その電流源81から84を選択するためにトランジスタなどのスイッチ85〜88とから構成され、電流源80は電流源72と比例関係にある電流irefを発生するようになっている。
すなわち、電流源71は、電流源81〜84とこれらに対応するスイッチ85〜88とが直列接続され、この各直列回路と電流源80とが、電流出力端子89と接地ラインVSSとの間に並列に接続されている。そして、その電流源81〜84の各発生電流が、電流源80の電流irefに加算されて全体の電流IS1が形成され、この電流IS1がGmアンプ70の出力に供給されるようになっている。
【0042】
このとき、電流源81は電流irefに比例する8irの微小電流を発生し、同様に、電流源82は電流irefに比例する4irの微小電流、電流源83は電流irefに比例する2irの微小電流、電流源84は電流irefに比例する1irの微小電流を発生するように構成されている。
そして、これらの各電流源81〜84に対応する各スイッチ85〜88は、記憶回路13から出力される4ビットのデジタル設定信号S3に基づいてオンオフ制御されるようになっている。例えば、4ビットのデジタル設定信号S3のうち、最小ビットがスイッチ88、2ビット目がスイッチ87、3ビット目がスイッチ86、4ビット目がスイッチ85に対応するようになっている。
【0043】
また、デジタル設定信号S3のビット信号が「1」であるときに、対応するスイッチ85〜88がオン状態となり、その対応する電流源81〜84の所定の微小電流が発生し、そのビット信号が「0」のときには、対応するスイッチ85〜88がオフ状態となり、その対応する電流源81〜84からの所定の微小電流の出力が停止するようになっている。
従って、各電流源81〜84の発生電流は、それぞれ8ir、4ir、2ir、1irに設定されて電流源80からの電流irefに加算されるようになっているので、この電流源71は、オン状態とするスイッチ85〜89の組み合わせにより、iref〜(iref+15ir)の範囲で出力電流IS1を調整することができる。
【0044】
このように、電流源71の電流IS1を任意に調整できることにより、式(2)において右辺の電流比は任意に設定できるので、Gmアンプ70の相互コンダクタンスgmは任意に調整される。
このようにバイアス電流発生回路14で発生するバイアス電流IBは、基準フィルタ21の同相信号調整回路35、36に供給され、これにより基準フィルタ21を構成するGmアンプ31〜34の相互コンダクタンスgmは、任意に設定され、かつ、その温度変化を小さくできる。このため、基準フィルタ21は、温度変化が小さく、任意のカットオフ周波数を持つものが実現できる。
【0045】
次に、図1に示す調整フィルタ11の構成について、図9を参照しながら説明する。
調整フィルタ11は、図9に示すように、例えばGm−C構成のリープフロッグ型の低域フィルタであって、Gmアンプ91〜97と、コンデンサC91〜C95と、同相信号調整回路101〜103とから構成される。
また、この調整フィルタ11は、同相信号調整回路101〜103に対してバイアス電流発生回路14で発生するバイアス電流IBがそれぞれ供給され、これにより調整フィルタ11を構成するGmアンプ91〜97の相互コンダクタンスgmは、任意に調整され、かつ、その温度変化を小さくできるようになっている。このため、この調整フィルタ11は、基準フィルタ21と同様に、温度変化が小さく、カットオフ周波数が任意に調整できるようになっている。
【0046】
さらに詳述すると、Gmアンプ91〜93が直列に接続されるとともに、そのGmアンプ91〜93の各出力端子の両端にコンデンサC91〜C93がそれぞれ接続されている。
また、Gmアンプ91の出力側は、同相信号調整回路101の入力側、Gmアンプ94の出力側、およびGmアンプ95の出力側にそれぞれ接続されている。同相信号調整回路101には、バイアス電流発生回路14で発生するバイアス電流IBが供給され、同相信号調整回路101の出力は、Gmアンプ91、94、95に供給されるようになっている。Gmアンプ94は、その出力が入力側に帰還されるようになっているとともに、その入力側がGmアンプ97の出力側にコンデンサC94、C95を介して接続されている。
【0047】
Gmアンプ92の出力側は、同相信号調整回路102の入力側、Gmアンプ95の入力側、およびGmアンプ96の出力側にそれぞれ接続されている。また、同相信号調整回路102には、バイアス電流発生回路14で発生するバイアス電流IBが供給され、同相信号調整回路102の出力は、Gmアンプ92、96に供給されるようになっている。
さらに、Gmアンプ93の出力側は、同相信号調整回路103の入力側、Gmアンプ96の入力側、およびGmアンプ97の出力側にそれぞれ接続されている。また、同相信号調整回路103には、バイアス電流発生回路14で発生するバイアス電流IBが供給され、同相信号調整回路103の出力は、Gmアンプ93、94に供給されるようになっている。また、Gmアンプ97は、その出力が入力側に帰還されるようになっている。
【0048】
なお、図9に示す調整フィルタ11のGmアンプ91〜97と、同相信号調整回路101〜103とは、図3に示す基準フィルタ21のGmアンプ31〜34と、同相信号調整回路35、36に相当し、その具体的な構成が同様であるので、その説明は省略する。
次に、このような構成からなるGm−Cフィルタ10において、そのカットオフ周波数の校正を行う場合の動作例について説明する。
【0049】
まず、記憶回路13の各記憶素子の初期値として適当な値、例えば3ビット目に「1」、2ビット目に「0」、1ビット目に「0」、0ビット目に「0」を設定する。これにより、バイアス電流発生回路14は、その設定値に従ったバイアス電流IBを発生し、このバイアス電流IBが校正回路12の基準フィルタ21および調整フィルタ11に供給される。
このとき、仮に、基準フィルタ21のカットオフ周波数fcが設計値よりも小さいときには、上述のように、校正回路12から出力される調整信号S2が「H」レベルとなり、記憶回路13に記憶されるその3ビット目の値は「1」と確定する。
【0050】
次に、記憶回路13の各記憶素子は、3ビット目に「1」、2ビット目に「1」、1ビット目に「0」、0ビット目に「0」が設定され、上記と同様の手順により校正回路12からの調整信号S2が、例えば「L」レベルとなれば、その2ビット目の値は「0」が確定する。そして、1ビット目および0ビット目の各値についても、同様に校正回路12の出力S2を用いて確定させていく。
このような校正の方式は、いわゆる逐次比較方式であり、その校正が終了して記憶回路13の各記憶素子に確定された値は、基準フィルタ21のカットオフ周波数fcが設計値に一致するように調整された値となる。
【0051】
このとき、調整フィルタ11のカットオフ周波数は、その設計値に一致するように調整される。これは、調整フィルタ11が基準フィルタ21と同一機能構成のGmアンプを使用しているからである。
このようにして一旦校正されたGm−Cフィルタ10は、記憶回路13にその各ビットの確定した値が記憶され、この各値がバイアス電流発生回路14に出力される。バイアス電流発生回路14は、その各値に従ってバイアス電流IBを発生し、このバイアス電流IBが調整フィルタ11に供給されて図9のGmアンプ91〜97の動作を決定する。
【0052】
Gmアンプ91〜97の相互コンダクタンスgmは、(2)式に示すように、温度変化など周囲の環境変化によらずに一定値となる。この結果、Gm−Cフィルタ10は、広い温度範囲にわたり、高精度のフィルタ特性を実現することができる。
また、一旦校正されたGm−Cフィルタ10においては、記憶回路13に校正した値を記憶しているため、校正の終了後は校正回路12の電源をオフにしても良い。このため、従来のGm−Cフィルタのように自己調整用バイアス発生回路を常時動作する場合に比較して、消費電力を低減できる。
【0053】
以上説明したように、この実施形態によれば、バイアス電流に応じて相互コンダクタンスを制御可能に構成するGmアンプと、このGmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償する調整可能なバイアス電流を出力するバイアス電流発生回路14と、所定時間内に校正を実行する校正回路12とを設けるようにした。このため、温度変化などの環境変化の影響を受けない、高精度のフィルタ特性を有するGm−Cフィルタを実現できる。
【0054】
また、この実施形態では、バイアス電流発生回路14を、調整フィルタ11に使用されるGmアンプと同じ構成のGmアンプ70と、少なくとも一方が調整可能な電流源71、72と、Gmアンプ70の入力直流電圧を調整する電圧バイアス発生回路73と、バイアス変換回路74とから構成するようにした。このため、調整フィルタ11を構成するGmアンプとバイアス電流発生回路14のGmアンプとのマッチング(整合)が良くなり、より高精度であって環境の変化を受け難いフィルタ特性を実現できる。
【0055】
さらに、この実施形態では、電流源71をデジタル設定信号により、その電流値を調整するようにしたので、高精度であって環境の変化を受け難いフィルタ特性を実現できる。
また、この実施形態では、校正回路12を、調整フィルタ11に使用されるGmアンプと同じ構成のGmアンプからなる基準フィルタ21、位相比較器24、積分器25、および量子化器26ナドから構成するようにした。このため、調整フィルタ11のフィルタ特性を高精度に校正できる。
【0056】
さらに、この実施形態では、記憶回路13を外部のCPU15から読み出し及び書き込みできるように構成したので、一旦校正したデータを外部のメモリに記憶しておくことで、電源のオフなどにより記憶回路13の記憶内容がクリアされた場合でも、再びその校正データを記憶回路13に書き込むことで、校正する回数を減らすことができる。
次に、図2に示す積分器25の変形例について、図10を参照しながら説明する。
【0057】
この積分器25Aは、図10に示すように、コンデンサCと、リセットスイッチ105とを備え、リセットスイッチ105がオンしたときには、コンデンサCの出力が量子化器26のしきい値レベルVcに設定されるようになっており、校正時の積分開始時にリセットスイッチ105を一旦オン状態にし、積分値をリセットした後、再びリセットスイッチ105をオフ状態にし、積分動作させるようになっている。
【0058】
このため、積分器25Aによれば、そのリセットスイッチ105の操作によりそれ以前の積分値はクリアされ、量子化器26のしきい値レベルから積分動作を行うことができるので、積分時間を短縮でき、その結果、校正時間を短縮することができる。
なお、上記の実施形態では、バイアス電流に応じて相互コンダクタンスを制御するGmアンプを使用するGm−Cフィルタ10について説明した。しかし、これに代えて、Gmアンプを、図11に示すように、バイアス電圧に応じて相互コンダクタンスを制御するコモンモードフィードバック型に構成するようにしても良い。
【0059】
このコモンモードフィードバック型のGmアンプ110は、図4のGmアンプと同様に構成するGmアンプ111に、増幅器112と、Gmアンプ111と同様のGmアンプ113とを追加するようにし、増幅器112とGmアンプ113に後述のバイアス電圧B11を供給するようにするものである。
この場合には、図7に示すバイアス電流発生回路14は、バイアス変換回路74が不要となり、Gmアンプ70の入力ノードA,Bの電位のどちらか、またはその平均値を、増幅器112とGmアンプ113の各バイアス電圧B11として供給するようにする。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のGm増幅器によれば、温度変化など環境変化に起因するGmアンプの相互コンダクタンスの変化による特性の変化を防止できる。
また、本発明のGm増幅器によれば、校正期間を除く期間は、校正回路の動作を中止できるので、全体として消費電力を低減化できる。
【0061】
さらに、本発明のGm−Cフィルタによれば、温度変化など環境変化に影響されない高精度のフィルタ特性を実現できる。
また、本発明のGm−Cフィルタによれば、校正期間を除く期間は、校正回路の動作を中止できるので、全体として消費電力を低減化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるGm−Cフィルタの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す校正回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す基準フィルタの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図3に示すGmアンプの構成の一例を示す回路図である。
【図5】図3に示す同相信号調整回路の構成の一例を示す回路図である。
【図6】図2および図3に示す基準フィルタの出力特性を示す説明図である。
【図7】図1に示すバイアス電流発生回路の構成の一例を示す回路図である。
【図8】図7に示す電流源の構成の一例を示す回路図である。
【図9】図1に示す調整フィルタの構成の一例を示す回路図である。
【図10】積分器の変形例を示す回路図である。
【図11】Gmアンプの他の構成例を示す回路図である。
【図12】従来のGm−Cフィルタの概略構成を示すブロック図である。
【符号の簡単な説明】
10 Gm−Cフィルタ
11 調整フィルタ
12 校正回路
13 記憶回路
14 バイアス電流発生回路
15 CPU(マイクロコンピュータ)
21 基準フィルタ
22、23 コンパレータ
24 位相比較器
25 積分器
26 量子化器
31〜34 Gmアンプ
35、36 同相信号調整回路
70 Gmアンプ
71、72 電流源
73 電圧バイアス発生回路
74 バイアス変換回路
75 基準抵抗
80〜84 電流源
85〜88 スイッチ
91〜97 Gmアンプ

Claims (6)

  1. バイアスの大きさに応じて相互コンダクタンスを制御可能なGmアンプと、
    設定信号に応じた所定のバイアスであって、前記Gmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償するバイアスを発生するバイアス発生回路と、
    前記バイアス発生回路に入力する設定信号の設定値を校正する校正回路と、
    前記校正回路で校正された設定値を記憶するとともに、その設定値を前記バイアス発生回路に供給する記憶回路と、を備えたGm増幅器であって、
    前記バイアス発生回路は、
    基準抵抗と、
    前記基準抵抗の一端に接続される第1の電流源と、
    前記基準抵抗の両端の電位差を入力とするGmアンプと、
    前記Gmアンプの出力側に接続される第2の電流源と、
    前記第2の電流源と前記Gmアンプの出力電流との差の電流に応じて、前記Gmアンプの入力同相電圧を調整するバイアス電圧を発生する電圧バイアス発生回路と、
    前記電圧バイアス発生回路が発生するバイアス電圧をバイアス電流に変換して出力するバイアス変換回路と、を備え、
    前記第1および第2の電流源のうちの少なくとも一方は可変であることを特徴とするGm増幅器。
  2. 前記第1および前記第2の電流源のうちの少なくとも一方は、複数の電流源からなり、かつ、その複数の電流源を選択的に切り換えて電流値を調整するようになっていることを特徴とする請求項1に記載のGm増幅器。
  3. 第1のGmアンプと第1のコンデンサから構成し、前記第1のGmアンプに供給するバイアスの大きさに応じてその第1のGmアンプの相互コンダクタンスが調整可能な調整フィルタと、
    設定信号に応じた所定のバイアスであって、前記第1のGmアンプの相互コンダクタンスの温度依存性を補償するバイアスを発生するバイアス発生回路と、
    前記第1のGmアンプと同等の構成からなる第2のGmアンプと第2のコンデンサを含み、校正時に、前記バイアス発生回路に入力する設定信号の設定値を校正する校正回路と、
    前記校正回路で校正された設定値を記憶するとともに、その設定値を前記バイアス発生回路に供給する記憶回路と、を備えたGm−Cフィルタであって、
    前記校正回路は、
    前記第1のGmアンプと同等の構成からなる第2のGmアンプを含み、基準クロックが入力されるフィルタ回路と、
    前記フィルタ回路の出力信号と前記基準クロックとの位相差を求める位相比較器と、
    前記位相比較器の出力を積分し、自身の積分値がリセット自在である積分器と、
    前記積分器の出力をデジタル信号に変換する量子化器と、
    を備えたことを特徴とするGm−Cフィルタ。
  4. 前記バイアス発生回路は、
    基準抵抗と、
    前記基準抵抗の一端に接続される第1の電流源と、
    前記基準抵抗の両端の電位差を入力とするGmアンプと、
    前記Gmアンプの出力側に接続される第2の電流源と、
    前記第2の電流源と前記Gmアンプの出力電流との差の電流に応じて、前記Gmアンプの入力同相電圧を調整するバイアス電圧を発生する電圧バイアス発生回路と、
    前記電圧バイアス発生回路が発生するバイアス電圧をバイアス電流に変換して出力するバイアス変換回路と、
    を備え、
    前記第1および第2の電流源のうちの少なくとも一方は可変であることを特徴とする請求項3に記載のGm−Cフィルタ。
  5. 前記第1および前記第2の電流源のうちの少なくとも一方は、複数の電流源からなり、かつ、その複数の電流源を選択的に切り換えて電流値を調整するようになっていることを特徴とする請求項に記載のGm−Cフィルタ。
  6. 前記記憶回路は、外部からデータが読み書き自在であることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のGm−Cフィルタ。
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