JP3976978B2 - ドアクローザにおけるアーム間の継手装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドアクローザにおける二つのアーム間の継手装置に関する。更に具体的には、クローザ本体、メインアーム、アジャストアーム及びブラケットを備えて成るドアクローザにおけるメインアームとアジャストアームを連結するための継手装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の継手装置の一例を図5を参照して説明する。同図に示されたドアクローザは、クローザ本体1、メインアーム2、アジャストアーム3及びブラケット4で構成され、メインアーム2とアジャストアーム3とを連結する継手装置は、メインアーム2の端部に植設された突軸91の回りにフランジ付きの弾性高分子材料製のブッシュ92を介し、アジャストアーム3の端部をその嵌め孔をもって嵌め込む。
【0003】
また、前記ブッシュ92及びアジャストアーム3の端部が抜け出さないように、フランジ付きの止めねじ93を、突軸91の先端部の雌ねじ孔に蝶合させて構成されている。
【0004】
更に、クローザ本体1及びブラケット4の垂直方向の相対位置が設計値よりずれると継手装置にこじりが生じるので、通常、図5に示すようにアジャストアーム3の先端部に水平回動軸94を設け、これによりこじりを吸収するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような従来の継手装置においては、次に示すようになお改善すべき点が見られる。すなわち、一つには、二つのアーム2、3間はドアクローザが工場から出荷されるときは通常仮止めされていて、ドアクローザの取付現場において、止めねじ93を取り外すことにより、両アーム2、3を一旦分離させてクローザ本体1及びブラケット4を扉10及び扉枠20にそれぞれ固定させた後、再び両アーム2、3を止めねじ93で結合させる。
【0006】
その為、止めねじのねじ戻し並びにねじ込み作業を要してかなり面倒であり、また、ドアクローザの使用中における止めねじの緩みの問題もある。
【0007】
そこで、上記の不都合を解消するため、本出願人は、特願平9−320479号を以て、新規な継ぎ手装置を提案した。
【0008】
この継ぎ手装置は、メインアームの先端に植設されると共に頂部にテーパ部を形成し、これに続く円筒部の中間に溝部を形成したアームピンと、アームピンの円筒部に回動可能に嵌合し、軸線方向の中間位置に中心軸に関して対称的に一対の円弧状の溝を形成した中空円筒状のアームピンブッシュと、アジャストアームの先端に回動可能に装着され、アームピンブッシュを外側から保持すると共に、巾方向の中間位置に平面部を除いて全長にわたって切欠が形成された二又状のブッシュホルダーと、同じくアジャストアームの先端にブッシュホルダーと同軸に回動可能に装着され、アームピンの小径部を両側から抱きかかえるようにして係合し、かつ、巾方向の動きがアームピンブッシュ及びブッシュホルダーの切欠に拘束された弾性のある二又状のクリップとを有することを特徴とするものである。
【0009】
この発明は、上記本出願人の先の提案に係る継ぎ手装置を改良し、更に構造を簡単にし、かつ作動を確実にした新規な継ぎ手装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、メインアームの先端に中心軸を鉛直にして植設され、先端を丸めるか或いはテーパを形成すると共に基部にフランジを一体に形成したアームピンと、このアームピンと回動可能に嵌合できる筒体で、アジャストアームの先端に、その中心軸を鉛直面内で傾動可能に装着されたアームピンブッシュとを有し、このアームピンブッシュの内周面にリング収納溝を形成し、このリング収納溝内に、全体の形状がC字形で内径がアームピンブッシュのそれよりも小さい連結リングを収納すると共に、アームピンの外周面に断面V字形の係合溝を形成し、アームピンをアームピンブッシュに嵌合させ、連結リングをリング収納溝と係合溝との間に跨がらせた状態で、アームピンとアームピンブッシュとを軸線方向において拘束するようにし、一方、アームピンとアームブッシュとを連結リングを間に介在させた状態で嵌合させたとき、アームピンブッシュとアームピンのフランジとの間に間隙が生じるように、各部の寸法を設定したことを特徴とする。
【0011】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を図1乃至図4を参照して説明する。
図1において符号5はアームピンを示し、このアームピン5は、メーンアーム2の先端において上向きに、すなわちアジャストアーム3に向かって、例えばかしめ等の結合方法によって植設されている。
【0012】
このアームピン5の先端部(上端部)は、後述するメインアームとアジャストアームとの連結時連結リングを拡開するため、丸められるか或いはテーパが形成されている。
【0013】
図示の実施例では、図2に示すように、アームピン5の先端部に先細りのテーパが形成されると共に、上端隅部が丸められている。
【0014】
また、アームピン5の上端部には、断面V字形の係合溝6が形成されている。この係合溝6の断面形状のV字の開角度は、例えば90度とする。
【0015】
一方、アジャストアーム3の先端には、筒状のアームピンブッシュ7が装着されている。このアームピンブッシュ7の内径は、上記アームピン5とガタ無く嵌合でき、かつ円滑に回動できるように設定されている。
【0016】
また、このアームピンブッシュ7は、図3に示すように厚板を断面略鍵穴形に成形したブッシュホルダー8と、このブッシュホルダー8の平行板部及びアジャストアーム3の先端を貫通する前記水平回動軸94とを介して、アジャストアーム3の先端にその中心軸を傾動可能に装着されている。
【0017】
ブッシュホルダーの中心軸を傾動可能に装着するのは、前記したように、クローザ本体1及びブラケット4の垂直方向の相対位置が設計値よりずれたときのこじりを解消するためである。
【0018】
上記アームピンブッシュ7の内周面には、断面が例えばコ字形で全体の形状が円形のリング収納溝9が形成されている。
【0019】
そして、このリング収納溝9内には、図1及び図4に示すように、断面が円形で全体の形状がC字形の連結リング11が収納されている。
【0020】
この連結リング11の内径は、図1に示すように、アームピンブッシュ4の内径よりも小さくなるように設定されている。
【0021】
また、リング収納溝9の外径、すなわちコ字形の底面が形成する幅の狭い周面の内径は、図1に示すように、連結リング11がリング収納溝9内で少し拡開できるように設定されている。
【0022】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による継ぎ手装置は、図1に示すようにアームピン5とアームピンブッシュ7とを整合させた後、例えばアームピンブッシュ7の方を矢印に沿って下方に押動し、アームピン5の先端とアームピンブッシュ7の下端開口部とを先ず嵌合させる。
【0023】
しかる後、更にアームピンブッシュ7を下方に移動させると、今度はアームピン5の先端隅部が連結リング11の内周部に当接し、両者の間に生じる楔作用により、連結リング11が拡開してその内周縁がアームピン5の先端部外周面に嵌合するに致る。
【0024】
更にアームピンブッシュ7が下降すると、連結リング11とアームピンの係合溝6とが整合し、連結リング11の弾力により、図2に示すように、連結リング11が係合溝6内に落込むようにしてこれと係合する。
【0025】
このようにして、図2に示すように、連結リング11がアームピンの係合溝6とアームピンブッシュのリング収納溝9の両方に跨がるようにして両者を上下方向において拘束する。
【0026】
図2に示す装着状態では、連結リング11と係合溝6との上下方向の相対位置を変えようとする力は、両者の間に生じる楔作用により連結リング11を拡開しようとする力に変換されるから、余程大きな力を作用させない限り連結リング11が係合溝6を乗り越えることは困難である。
【0027】
しかしながら、ある程度以上の力で両者を上下方向に引き離すと、楔作用で連結リング11が拡開しながら係合溝6の上方の傾斜面を乗り越え、図1に示すようにアームピン5をアームピンブッシュ7から抜き外すことができる。
【0028】
なお、この発明は、図示の実施例に限定されず、種々に変形して実施することが可能である。
【0029】
例えば、リング収納溝9の断面形状は、図示のようにコ字形でなくてもよく、例えば連結リング11を上下方向において挟持する一対の内面の間隔が連結リング11の上下方向の寸法より少し大きく設定してあれば、リング収納溝9の底面の形状は任意である。
【0030】
また、連結リング11の断面形状も、その内周縁がアームピンの係合溝6との間に楔作用が生じさえすれば任意である。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、メインアームの先端に植設され、先端を丸めるか或いはテーパを形成したアームピンと、このアームピンと回動可能に嵌合できる筒体で、アジャストアームの先端に、その中心軸を鉛直面内で傾動可能に装着されたアームピンブッシュとを有し、このアームピンブッシュの内周面にリング収納溝を形成し、このリング収納溝内に、全体の形状がC字形の連結リングを収納すると共に、アームピンの外周面に断面V字形の係合溝を形成し、アームピンをアームピンブッシュに嵌合させ、連結リングをリング収納溝と係合溝との間に跨がらせた状態でアームピンとアームピンブッシュとを軸線方向において拘束するようにしたから、簡単な構造でメインアームとアジャストアームとを確実に連結でき、しかも一動作でこれらの着脱を行える、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による継ぎ手装置の一部断面拡大側面図で、連結前の状態を示す。
【図2】この発明の一実施例による継ぎ手装置の一部断面拡大側面図で、連結後の状態を示す。
【図3】ブッシュホルダーの一部断面拡大平面図。
【図4】連結リングの拡大平面図。
【図5】従来のドアクローザにおけるアーム間の継手装置を例示する正面図。
【符号の説明】
1 ドアクローザ本体
2 メインアーム
3 アジャストアーム
4 ブラケット
5 アームピン
6 係合溝
7 アームピンブッシュ
8 ブッシュホルダー
9 リング収納溝
11 連結リング

Claims (3)

  1. メインアームの先端に中心軸を鉛直にして植設され、先端を丸めるか或いはテーパを形成すると共に基部にフランジを一体に形成したアームピンと、このアームピンと回動可能に嵌合できる筒体で、アジャストアームの先端に、その中心軸を鉛直面内で傾動可能に装着されたアームピンブッシュとを有し、このアームピンブッシュの内周面にリング収納溝を形成し、このリング収納溝内に、全体の形状がC字形で内径がアームピンブッシュのそれよりも小さい連結リングを収納すると共に、アームピンの外周面に断面V字形の係合溝を形成し、アームピンをアームピンブッシュに嵌合させ、連結リングをリング収納溝と係合溝との間に跨がらせた状態で、アームピンとアームピンブッシュとを軸線方向において拘束するようにし、一方、アームピンとアームブッシュとを連結リングを間に介在させた状態で嵌合させたとき、アームピンブッシュとアームピンのフランジとの間に間隙が生じるように、各部の寸法を設定したことを特徴とするドアクローザにおけるアーム間の継ぎ手装置。
  2. 上記リング収納溝の断面形状がコ字形である請求項1記載のドアクローザにおけるアーム間の継ぎ手装置。
  3. 上記連結リングの断面形状が円形である請求項1記載のドアクローザにおけるアーム間の継ぎ手装置。
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