JP3976705B2 - 静電現像用トナー及びこれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電現像用トナー(以下、単に「トナー」と記すことがある)及びこれを用いた画像形成装置に関し、より詳細には非晶質シリコン感光体に好適に用いられるトナー及びこれを用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
長期間の使用によっても帯電性が安定して維持され画像品質が低下しないトナーを提供すべく、これまでから種々の提案がなされている。例えば特許文献1では、特定の比誘電率や体積固有抵抗を有するシリカ及びチタンの微粒子を外添したトナーが提案されている。また特許文献2では、比誘電率が特定範囲の微粒子を外添したトナーが提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−255745号公報(特許請求の範囲、表1、表2)
【特許文献2】
特開平11−218959号公報(特許請求の範囲、表1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
確かに、前記提案されたトナーは画像品質の維持には優れているが、絶縁破壊(リーク)が比較的起こりやすい非晶質シリコン感光体などに用いた場合には、前記表面処理された微粒子によって感光体の絶縁破壊が発生し、複写画像上に黒点が表れる不具合が生じる。
【0005】
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、感光体が絶縁破壊することなく、また長期にわたって帯電性が安定して維持されるトナーを提供することをその目的とするものである。
【0006】
また本発明の目的は、画像黒点が発生することなく長期間にわたって優れた画像が得られる画像形成装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、長期間使用してもトナー帯電量が低下しないようにするためには、トナーに外添する無機微粒子の体積抵抗を高めにすればよいこと、及び感光体の絶縁破壊を防止するためには、前記無機微粒子の体積抵抗を低くすればことをよいことを突き止めた。そして、この対立する解決手段を同時に実施するためには、トナーの外添剤として、スズ及びアンチモンでその表面を処理して特定範囲に導電化した無機微粒子を使用すればよいことをまず見出した。そしてさらに検討を重ねた結果、スズ及びアンチモンによる表面処理状態が良すぎると感光体の絶縁破壊を招く一方、表面処理状態が悪すぎるとトナーの帯電低下を招くことを突き止めた。また同時に表面処理状態の指標として交流電界100KHzでの誘電正接(Tanδ)が使用できることを見出し本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち本発明によれば、トナー粒子に無機微粒子を外添した静電現像用トナーにおいて、前記無機微粒子の少なくとも1つが、スズ及びアンチモンで表面処理されてなり、交流電界100KHzでの誘電正接が0.070〜0.300の範囲であることを特徴とするトナーが提供される。これにより長期間にわたって安定して帯電性が維持され、しかも感光体の絶縁破壊が有効に防止される。
【0009】
ここでトナーの帯電安定性および感光体の絶縁破壊防止を一層向上させる観点から、前記のスズ及びアンチモンで表面処理された無機微粒子は酸化チタンであるのが好ましい。
【0010】
また本発明によれば、静電潜像担持体と、この静電潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像にトナーを供給して現像する現像手段と、この現像手段により現像された静電潜像担持体のトナーを被転写部材に転写させる転写手段と、被転写部材上にトナーを溶融定着させる定着手段とを有する画像形成装置において、前記静電潜像担持体として非晶質シリコン感光体を用い、前記トナーとして、前記記載の静電現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0011】
感光体の感度を上げる観点からは、前記非晶質シリコン感光体の感光層の層厚を20μm以下とすることが推奨される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーの大きな特徴は、トナー粒子に外添する無機微粒子の少なくとも1つを、スズ及びアンチモンで表面処理したことにある。これにより無機微粒子の体積抵抗を制御でき、トナー帯電量の低下や感光体の絶縁破壊を防止できるようになる。
【0013】
本発明で使用できる無機微粒子としては特に限定はなく、例えば酸化チタンやシリカ、アルミナ、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。この中でも酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては従来公知のものが使用できる。例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、アモルファス酸化チタン等が挙げられる。また粒径として一次粒子径が0.1〜0.3μmの範囲の酸化チタンが好ましい。酸化チタンは疎水化処理されていてもよい。環境安定性が向上するからである。疎水化処理剤としては例えばシランカップリング剤やチタネートカップリング剤、シリコンオイル、シリコーンワニスなどが挙げられる。疎水化度はメタノールウェッタビリティ法で50%以上であることが望ましい。
【0014】
スズ及びアンチモンによる無機微粒子の表面処理は例えば次のようにして行えばよい。無機微粒子の水性懸濁液中に、水溶性スズ化合物と水溶性アンチモン化合物とを添加し、中和して、無機微粒子の表面にスズの含水酸化物とアンチモンの含水酸化物とを被着させる。なお、前記懸濁液中の無機微粒子の濃度としては20〜300g/lの範囲が好ましい。スズ化合物及びアンチモン化合物として塩化スズ及び塩化アンチモンの塩酸水溶液を用いる場合には、前記塩酸水溶液を添加した後アルカリ水溶液を加えて中和し、酸化スズと酸化アンチモンの水和物を無機微粒子表面に被着させる。この場合、前記懸濁液のpHが2〜7を維持するように前記塩酸水溶液と同時にアルカリ水溶液を加えることが推奨される。アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの水溶液が挙げられる。
【0015】
塩化スズ及び塩化アンチモンのアルコール溶液又はアセトン溶液を用いる場合は、前記懸濁液を70〜90℃にあらかじめ加熱しておき、この中にアルコール溶液又はアセトン溶液を加え、加水分解させることにより酸化スズと酸化アンチモンの水和物を無機微粒子に被着させる。
【0016】
そして、この懸濁液を濾過・洗浄し、得られたケーキを必要により乾燥させた後、300〜800℃で焼成して、酸化スズと酸化アンチモンを被着させた無機微粒子を得る。
【0017】
ここで重要なことは、交流電界100KHzにおける無機微粒子のTanδを0.070〜0.300の範囲にすることである。交流電界100KHzでのTanδは、スズやアンチモンの表面処理状態、換言すれば分散状態の指標となるものであり、スズやアンチモンの分散状態は、Tanδが小さいほどよく、Tanδが大きいほど悪い。Tanδが0.070より小さいと、スズやアンチモンの分散状態が良すぎて感光体の絶縁破壊を招く。一方、Tanδが0.300より大きいと、表面処理状態が悪すぎてトナーの帯電低下を招く。Tanδのより好ましい範囲は、0.111〜0.200の範囲である。無機微粒子のTanδの制御は例えば、表面処理工程において無機微粒子の水性懸濁液中に水溶性スズ化合物と水溶性アンチモン化合物とを添加する添加時間を変化させることにより行える。
【0018】
無機微粒子をトナー粒子に外添する方法としては従来公知の処理を用いることができ、例えば高速流動型攪拌機やV型混合機に無機微粒子とトナー粒子を投入し撹拌混合する方法が挙げられる。混合時間を長く及び撹拌速度を速くするほど、トナー粒子に均一に分散される。
【0019】
無機微粒子の外添量はトナー粒子に対して1〜2wt%の範囲が好ましい。無機微粒子の外添量が1wt%より少ないと、本発明の効果が十分には得られないおそれがある一方、外添量が2wt%を超えると、トナーの流動性が悪くなり初期から画像濃度不足となるおそれがあるからである。
【0020】
本発明で用いるトナー粒子としては特に限定はなく、従来公知のものを用いることができる。例えば、結着樹脂に着色剤を分散混合し、必要により帯電制御剤やワックス、磁性粉などを添加したトナー粒子が挙げられる。
【0021】
ここで用いる結着樹脂としては、例えば熱可塑性樹脂や、未効果乃至は初期縮合物の熱硬化性樹脂が挙げられる。具体的には、ポリスチレン等のビニル芳香族樹脂、スチレン−アクリル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
【0022】
結着樹脂中に含有させる着色剤としては、例えば、黒色顔料として、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック;黄色顔料として、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ;橙色顔料として、赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK;赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B;紫色顔料として、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ;青色顔料として、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC;緑色顔料として、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG;白色顔料として、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を使用できる。このような着色剤は結着樹脂100重量部当り2〜20重量部、特に5〜15重量部の量で使用するのが好ましい。
【0023】
帯電制御剤としては特に限定はなく、これまで公知の帯電制御剤を使用でき、例えば正帯電性帯電制御剤としては、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、有機金属化合物等を使用でき、負帯電性帯電制御剤としては、オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等を使用できる。帯電制御剤の添加量としては、結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
【0024】
上記結着樹脂中に含有させるワックスとしては従来公知のものが使用でき、例えば脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸の高級アルコールエステル、アルキレンビス脂肪酸アミド化合物、天然ワックスや、数平均分子量が1,000〜10,000、特に2,000〜6,000の範囲にあるポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体など挙げられる。ワックスの添加量は結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
【0025】
本発明のトナーは、粉砕分級法、溶融造粒法、スプレー造粒法、懸濁・乳化重合法等のそれ自体公知の方法で製造し得るが、製造設備や生産性などの点から粉砕分級法が好適に使用できる。かかる粉砕分級法では、結着樹脂及び第1磁性粉、必要により電荷制御剤、離型剤などのトナー組成物をヘンシェルミキサーやV型混合機などで前混合した後、二軸押出機などの融混練装置を用いて溶融混練する。この溶融混練物を冷却した後、粗粉砕・微粉砕し、必要によりその後分級して、所定の粒度分布を有するトナー粒子とする。そして前記の通り、このトナー粒子の表面に無機微粒子を外添してトナーとする。なお、本発明のトナーはそのまま一成分系現像剤として用いてもよいし、キャリアと混合して二成分系現像剤として用いてもよい。
【0026】
本発明のトナーを二成分系現像剤として用いる場合、使用するキャリアに限定はなく、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属及びそれらの合金、あるいは希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライトなどのソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物及びそれらの混合物等の磁性体材料を焼結及びアトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子、及び当該磁性体粒子の表面を樹脂被覆したものを使用することができる。また、上記キャリアとして磁性体分散型樹脂を使用することもできる。この場合、用いる磁性体としては上記磁性体材料が使用でき、結着樹脂としては、例えばビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂あるいはこれらの混合物を挙げることができる。
【0027】
キャリアの粒子径は、一般に電子顕微鏡法による粒径で表して20〜200μm、特に30〜150μmのものが好ましい。またキャリアの見掛け密度は、磁性材料を主体とする場合は磁性体の組成や表面構造等によっても相違するが、一般に2.4〜3.0g/cm3の範囲が好ましい。
【0028】
前記トナーとキャリアからなる二成分系現像剤中のトナー濃度は1〜20重量%、好ましくは3〜15重量%である。トナー濃度が1重量%未満の場合、画像濃度が薄くなりすぎ、他方トナー濃度が20重量%を超える場合、現像装置内でトナー飛散が発生し機内汚れや転写紙などの背景部分にトナーが付着する不具合が生じるおそれがあるからである。
【0029】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。図1に、本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概説図を示す。図1の装置は、現像剤としてトナーとキャリアからなる二成分系現像剤を使用した磁気ブラシ現像である。
【0030】
感光体1は矢印の方向に一定速度で回転される。感光体1の周囲には、その回転方向に沿って帯電手段2、露光手段3、現像装置4、転写手段5、クリーニング手段6が配置されている。帯電手段2の放電により感光体1の表面は所定の電位に一様に帯電される。感光体1が矢印方向に回転し、次に露光手段3により画像に対応した静電潜像が感光体1の表面に形成される。この画像形成装置は反転現像方式であるので、潜像部分の表面電位が減衰し、非露光部の表面電位は初期帯電電位が維持される。次に、現像装置4によって当該静電潜像はトナーで現像される。
【0031】
図2に、2成分磁気ブラシ現像方式の現像装置4の概略図に示す。現像ローラ41は少なくとも現像時においては感光体1に対する最近接距離が約500μmになるように配置され、現像ローラ41の外面に担持された現像剤の磁気ブラシ45aが感光体1の表面に接触するように設定されている。この磁気ブラシ45aと感光体1の接触部が現像領域である。
【0032】
現像装置4の基本構成は、現像剤45を現像領域まで搬送する現像ローラ41と、現像ローラ41上に均一な現像剤層厚を形成するためのブレード43を備え、現像ローラ41の回転方向は感光体面に対して同方向となる順方向現像を用いる。固定された複数のマグネット42は、パドルローラ44から現像ローラ41上に現像剤45を捕獲する機能、ブレード43で均一な現像剤層厚を形成する機能、現像域でソフトな磁気ブラシを形成する機能、現像を終えてトナーが少なくなった現像剤を剥ぎ落とす機能を有し、相互に隣接するマグネットの磁極性、磁力の選定により作られた磁界によりこれらの機能を発揮している。パドルローラ44から現像ローラ41へ供給された現像剤45は、現像ローラ41内に固定されたマグネット42の作用によって現像ローラ41の回転に伴いブレード43まで運ばれる。ここでブレード43と現像ローラ41との間隙によって現像域への運ばれる現像剤量が調整され、余剰の現像剤はブレード43の垂直面に沿って上昇し、セパレータ46上をパドルローラ44へと循環する。現像域へ運ばれた現像剤は、マグネット42の作用により磁気ブラシ45aとなり、感光体ドラム1に接触することによって現像剤中のトナーが、感光体1上に形成された静電潜像(露光部)に付着し当該潜像を可視像化する。
【0033】
現像剤中のトナー濃度検知手段(不図示)によって、トナー濃度が所定範囲より低いと判断された場合は、補給ローラ48が回転駆動されてトナー補給部47のトナーが現像剤45中へ補給され、現像剤45中のトナー濃度は所定範囲内となるよう制御される。
【0034】
図1において、感光体1が転写手段5に対向する位置になったとき、感光体1上のトナー像は被転写部材7へ転写する。被転写部材7上のトナー像は、その後図示しない定着手段において熱及び圧力が加えられて被転写部材7上に溶融定着する。一方、感光体1上に残存する、転写しなかったトナーは、クリーニング手段6において、クリーニングブラシ61で予め清掃され、つぎにクリーニングブレード62によって完全に清掃される。
【0035】
本発明で使用できる感光体(像担持体)の材料に限定はなく、従来公知のものが使用できる。例えば非晶質シリコン系感光体、有機系感光体、Se系感光体、ZnO感光体、CdS系感光体などの感光体が挙げられる。この中でも、絶縁破壊が比較的起こりやすい非晶質シリコン感光体などの感光体に対して本発明のトナーは特に有効に使用できる。また耐久性の観点からも非晶質シリコン感光体が好ましい。加えて、感光体の感度を上げる観点からは、非晶質シリコン感光体の感光層の層厚を20μm以下とすることが推奨される。この場合、感光層はより絶縁破壊しやすくなるが、本発明のトナーを使用することでその発生を防止することができる。感光体の形状に限定はなく、従来公知の形状を用いることができる。例えばドラム状、シート状、ベルト状、ウェブ状などの形状が挙げられる。この中でもドラム状が好適である。
【0036】
【実施例】
以下、本発明のトナー及び画像形成装置について実施例に基づきさらに詳述する。なお、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0037】
(無機微粒子Aの作製)
アナターゼ型酸化チタン100gを水に分散させて懸濁液(濃度100g/l)とする。この懸濁液を70℃に加熱した後、塩化スズ10gと塩化アンチモン3gとを2N−希塩酸50mlに溶解させた溶液と、10%水酸化ナトリウム水溶液とを、懸濁液のpHが2〜3を維持するように60分間にわたって添加して、酸化チタンの表面処理を行った。この表面処理された酸化チタンを濾過、洗浄して得られたケーキを600℃で1時間焼成し、そして粉砕した後、チタネートカップリング処理して無機微粒子Aを得た。
【0038】
(無機微粒子Bの作製)
懸濁液への溶液の添加時間を120分間とした以外は無機微粒子Aと同様にして無機微粒子Bを得た。
【0039】
(無機微粒子Cの作製)
懸濁液への溶液の添加時間を30分間とした以外は無機微粒子Aと同様にして無機微粒子Cを得た。
【0040】
(無機微粒子Dの作製)
塩化スズを5g、塩化アンチモンを1.5gとし、懸濁液への溶液の添加時間を30分間とした以外は無機微粒子Aと同様にして無機微粒子Dを得た。
【0041】
(無機微粒子Eの作製)
塩化スズを10g、塩化アンチモンを3gとし、懸濁液への溶液の添加時間を150分間とした以外は無機微粒子Aと同様にして無機微粒子Eを得た。
【0042】
(無機微粒子Fの作製)
塩化スズを10g、塩化アンチモンを3gとし、懸濁液への溶液の添加時間を20分間とした以外は無機微粒子Aと同様にして無機微粒子Fを得た。
【0043】
(無機微粒子Gの作製)
アナターゼ型酸化チタンをチタネートカップリング処理して無機微粒子Gを得た。
【0044】
前記作製した無機微粒子A〜GのTanδ及び体積抵抗を下記方法により測定した。結果を表1に示す。
【0045】
(Tanδ及び体積抵抗の測定)
粉体用電極装置(「SE43型」安藤電気社製)とLCRメータ(「AG4311型」安藤電気社製)を用いて、錠剤成型器によって直径17mm×厚さ0.500〜0.600mmの円柱状サンプルを作製し、これをサンプル固体用電極内部に装着し正弦波Vpp=1V、100KHzで交流ブリッジ法により測定した。
【0046】
(結着樹脂の製造)
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを4.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを1.0mol、テレフタル酸を4.5mol、無水トリメリット酸を0.5mol、酸化ジブチル錫4gを窒素雰囲気下で230℃、8時間かけて反応させ、さらに8.3KPaで軟化点120℃のポリエステル樹脂を得た。
【0047】
(トナーの製造)
前記製造したポリエステル樹脂 100重量部
カーボンブラック(「MA100」三菱化学社製) 5重量部
電荷制御剤(「FCA201PS」藤倉化成社製) 5重量部
ワックス(「ユーメックス110TS」三洋化成社製) 4重量部
上記構成成分をヘンシェルミキサ5分混合した後、二軸押出機(「PCM30」池貝社製)で投入量12kg/h、シリンダ温度120℃、軸回転数200rpmで溶融混練して得たトナー用樹脂組成物を、気流式粉砕機(「IDS−2」日本ニューマチック社製)で微粉砕し、風力分級機で分級処理して、平均粒径9μmのトナー粒子を得た。
このトナー粒子2Kgに、シリカ(「RA200HS」日本アエロジル社製)0.5wt%と、前記作製した無機微粒子A〜G1.0wt%とをヘンシェルミキサー(「20B」三井鉱山社製、羽根速度:30m/s)で3分混合して実施例1〜4,比較例1〜3のトナーを作製した。
【0048】
(現像剤の製造)
前記トナー20gとキャリア500gとを500mlのポリ容器に入れ、100rpmで30分間ボールミルで混合して、実施例1〜4,比較例1〜3の現像剤を作製した。なお、使用したキャリアは、Cu−Znフェライトコアを、コアに対して0.6wt%のシリコーン系樹脂で被覆したものを用いた。その平均粒径は60μm、飽和磁化は60emu/g、体積固有抵抗1.0×108Ω・cmであった。
【0049】
(特性評価)
前記作製した各現像剤を用いて、図1の構成を有する京セラミタ社製「FS-8000C」の改造機(感光体として層厚14μmの非晶質シリコン感光体を使用)で1万枚耐刷試験(原稿濃度5%)を行った。そして耐刷後の画像濃度(ID)及びカブリ濃度(FD)を測定した。結果を表1に示す。具体的評価方法は下記の通りである。
【0050】
(画像黒点)
複写画像を目視にて観察し、黒点がなかった場合を「○」、そして黒点があった場合を「×」とした。
【0051】
(画像濃度・カブリ濃度の測定)
反射濃度計(東京電色社製の型番TC−6D)を用いて複写画像黒べた部及び背景部の濃度を測定した。評価基準は、画像濃度が1.4以上で、カブリ濃度は0.008未満である。
【0052】
【表1】
【0053】
本発明の要件を満足する実施例1〜4のトナーでは、1万枚耐刷試験によっても画像黒点は発生せず、画像濃度(ID)及びカブリ濃度(FD)は良好な値であった。これに対し、Tanδが小さい比較例1のトナーでは画像黒点が発生した。逆にTanδが大きい比較例2のトナーでは、画像黒点は発生しなかったものの、カブリ濃度が高くなった。またTanδが小さく、表面処理していない酸化チタンを用いた比較例3のトナーでは、画像黒点が発生し耐刷後の画像濃度(ID)が低くなった。
【0054】
【発明の効果】
本発明のトナーでは、トナー粒子に外添する無機微粒子の少なくとも1つとして、スズ及びアンチモンで表面処理されてなり、交流電界100KHzでの誘電正接が0.070〜0.300の範囲であるものを用いるので、長期間にわたって安定して帯電性が維持され、しかも感光体として非晶質シリコン感光体を用いた場合であってもの感光体の絶縁破壊が有効に防止される。
【0055】
前記のスズ及びアンチモンで表面処理された無機微粒子が酸化チタンであると、トナーの帯電安定性および感光体の絶縁破壊防止が一層向上する。
【0056】
また本発明の画像形成装置では、静電潜像担持体として非晶質シリコン感光体を用い、且つトナーとして前記トナーを用いるので、画像黒点が発生することなく、長期間にわたって良好な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像形成装置の一例を示す構成図である。
【図2】 図1の画像形成装置における現像装置の拡大構成図である。
【符号の説明】
1 感光体(像担持体)
2 帯電手段
3 露光手段
4 現像装置
5 転写手段
6 クリーニング手段
7 被転写部材
41 現像ローラ
42 マグネット
43 ブレード
44 パドルローラ
45 現像剤
45a 磁気ブラシ
46 セパレータ
47 トナー補給部
48 補給ローラ
61 クリーニングブラシ
62 クリーニングブレード
Claims (4)
- トナー粒子に無機微粒子を外添した静電現像用トナーにおいて、
前記無機微粒子の少なくとも1つが、スズ及びアンチモンで表面処理されてなり、交流電界100KHzでの誘電正接が0.070〜0.300の範囲であることを特徴とする静電現像用トナー。 - 前記のスズ及びアンチモンで表面処理された無機微粒子が酸化チタンである請求項1記載の静電現像用トナー。
- 静電潜像担持体と、この静電潜像担持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電された前記静電潜像担持体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像にトナーを供給して現像する現像手段と、この現像手段により現像された静電潜像担持体のトナーを被転写部材に転写させる転写手段と、被転写部材上にトナーを溶融定着させる定着手段とを有する画像形成装置において、
前記静電潜像担持体として非晶質シリコン感光体を用い、
前記トナーとして、請求項1又は2に記載の静電現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成装置。 - 前記非晶質シリコン感光体の感光層の層厚が20μm以下である請求項3記載の画像形成装置。
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