JP3976595B2 - カラーフィルター用着色画像形成材料及びカラーフィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶カラーディスプレイ等に使用されるカラーフィルター用着色画像形成材料、具体的には、赤色画素用のカラーフィルター用着色画像形成材料及びカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶カラーディスプレイ等の透過型表示素子の低消費電力化を図るには、バックライトの光利用効率を向上することが効果的であり、その手段のひとつとして、カラーフィルターの透過率を高めることが考えられる。しかしながらカラーフィルターの透過率を全波長にわたって高めると、表示色の彩度が低下するため、透過率の向上と鮮明な色調再現性との両立は困難である。彩度が低いと、表示可能な色の色度範囲が狭くなるという問題があり、実用的でなく、両者を満足するカラーフィルターは見いだされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では透過率を向上し、すなわち明度を高め低消費電力化を達成しながらも、彩度を低下させず鮮明な色調再現が可能となるようなカラーフィルターを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明(請求項1)は、樹脂及び赤色色素を含むカラーフィルター用着色画像形成材料において、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使用し、該赤色色素が、C.I.(カラーインデックス)PR254を使用し、且つ該着色画像形成材料を用いて形成された赤色画素の透過率が560nmで10%以下かつ600nmで80%以上であることを特徴とするカラーフィルター用着色画像形成材料を提供する。
また、本発明(請求項2)は、上記に加え、さらに赤色色素以外の色素を含む上記カラーフィルター用着色画像形成材料を提供する。
また、本発明(請求項3)は、分散剤を含有する上記カラーフィルター用着色画像形成材料を提供する。
【0005】
また、本発明(請求項3)は、基板上に赤色、緑色及び青色画素を有するカラーフィルターに於いて、該赤色画素が、上記カラーフィルター用着色画像形成材料により形成されてなることを特徴とするカラーフィルターを提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、赤色画素の色調(明度と彩度)を決定する最も重要な因子は使用される赤色色素の透過率曲線であることに注目した。すなわち560nmと600nmにおける透過率の比がなるべく大であり、かつその間の透過率曲線の立ち上がりがなるべく急峻であれば、そのような色素を使用した材料による赤色画素の透過率も同様に急峻な曲線となるため、明度を向上させながらも彩度を低下させないカラーフィルターが実現可能となるとの知見に基づくものである。
【0007】
本発明の最大の特徴は、カラーフィルターの赤色画素用の色素として、その赤色色素の着色透過膜としての透過率が560nmで10%とした場合に於いて、580nmでは40%以上かつ600nmでは80%以上となる色素を使用することにある。即ち、色素として赤色色素のみを含む着色透過膜を形成し、その560nmにおける透過率が10%となるように顔料濃度および膜厚を調整した場合に於いて、該着色透過膜の透過率を測定すると580nmでは40%以上かつ600nmでは80%以上となるような色素を使用することを意味する。この様な透過率測定用の着色透過膜を形成する際には、樹脂、光重合開始剤等色素以外の組成は、実際のカラーフィルター等の画素を形成する場合に使用されるのと同じ種類および量用いるのが好ましい。即ち、色素の濃度が異なるために分散剤等の必要量を変え、かつ他色の色素を混在させない以外は、実際の画素画像形成用の材料と同じ材料、量比で混合して、着色透過膜を形成することが好ましい。
【0008】
上記透過率は580nmでは50%以上かつ600nmでは85%以上であるのがより好ましい。かかる色素は染料、顔料のいずれでも良いが、顔料である場合、公知の顔料分散法によるカラーフィルターの製造方法に適用可能であるため、好適であり、かかる顔料として、本発明においては、C.I.(カラーインデックス)PR254を使用する。
【0009】
又、本発明の赤色画素は、通常、上記の特定の赤色色素以外に少なくとも1種の色素を含有するが、これは色度調整の目的で使用されるもので、かかる目的に適合する色素であれば、いずれでも良いが、上記と同様の理由で顔料が好ましく、オレンジ色、黄色等の顔料が一般的であり、具体的には例えば、C.I.PO71、PY181、PY139等が挙げられる。
【0010】
本発明のカラーフィルター用着色画像形成材料は、通常、少なくとも上記の如き赤色色素、少なくとも1種以上の赤色以外の色素と樹脂を含有する。樹脂としては、特に限定されず、カラーフィルター形成用樹脂として公知の樹脂がいずれも使用でき、例えばアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
【0011】
より具体的には、バインダー樹脂、エチレン性化合物、光重合開始系を含有する光重合性組成物に上記の如き特定の赤色色素及び少なくとも1種以上の赤色以外の色素を含有するのが好適である。バインダー樹脂としては、上記に例示の樹脂が挙げられ、これらは、この構造中に感光性基を有していても良い。
【0012】
エチレン性化合物としては、上記光重合開始系により重合が誘起されるエチレン性化合物であれは良く、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノール誘導体を用いることができる(なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。)。また、必要に応じてこれらのエチレン性化合物を2種以上組み合わせて用いることもできる。
【0013】
光重合開始系としては、例えばチタノセン系、ビイミダゾール系、ベンゾチアゾール系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾトリアゾール系、サリシレート系紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じてそれらを組み合わせて使用することもできる。好ましい例としては、チタノセン系及びビイミダゾール系が挙げられ、より好ましくはこれらを併用するものが挙げられる。また、必要に応じて光重合促進剤を併用することもできる。光重合促進剤として日本化薬(株)製KAYACURE EPA等や、KAYACURE DMBI等の安息香酸誘導体を挙げることができる。
【0014】
本発明のカラーフィルター用着色画像形成材料が光重合性組成物を含む場合の配合比は、通常、バインダー樹脂100重量部に対し、エチレン性化合物が5〜100重量部、光重合開始系が0.01〜30部の範囲で使用される。又、本発明の赤色色素及びそれ以外の色素の配合割合は、所望の透過率曲線を達成される量であれば、特に限定されないが、通常、赤色色素が、本発明のカラーフィルター用着色画像形成材料の全固形分に対して20〜40重量%で、又、赤色以外の色素が全固形分に対して5〜20重量%で使用される。
【0015】
尚、色素として顔料を使用する場合には、分散剤を使用するのが好ましく、その場合の分散剤は、界面活性剤、低分子分散剤、高分子分散剤など顔料分散に効果的なものならばいずれでも良い。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤等が挙げられる。低分子分散剤としては例えば、ゼネカ(株)製Solsperseシリーズやビックケミー社製Disperbykシリーズ等が挙げられる。高分子分散剤としては熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも使用できる。
【0016】
又、本発明のカラーフィルターは、基板上に赤色、緑色、及び青色画素を有するカラーフィルターに於いて、赤色画素が上記のカラーフィルター用着色画像形成材料を用いて形成されたものであって、該赤色画素の透過率が560nmで10%以下かつ600nmで80%以上であることを特徴とする。透明基板としては、各種ガラス板、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン等のプラスチックシートを用いることができる。
【0017】
本発明のカラーフィルター用着色画像形成材料を用いてカラーフィルターを製造する方法としては、従来公知の顔料分散法、染料分散法、電着法及び染色法等が挙げられる。カラーフィルターの製造に際しては、光重合性樹脂を用いた顔料分散法による場合、以下のような手順である。まず顔料を分散剤および溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの一部と混合し、十分に分散処理を行ってインク状の分散液を調整した後、この分散液にエチレン性化合物、光重合開始剤および溶剤の残部を添加混合して、均一なカラーレジスト溶液とする。次にスピンコート法等の塗布方法を用いて基板上に塗布し、乾燥後、必要な部分をマスクを用いて光照射し、現像・乾燥し、熱処理・紫外線処理を施すことにより該1色のフィルターを形成する。この工程を他の2色について繰り返して行うことにより、カラーフィルターを得る。
【0018】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により何等限定されるものではない。
実施例及び比較例
まず下記に記載の赤色顔料をそれぞれ10.0g、分散剤としてビック・ケミー社製byk−161を13.3g、および溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート35.7gを混合し、粒子径0.5mmのガラスビーズ180gを加え、ペイントコンディショナーで5時間振とうし、赤色の分散液を得た。また同様の手法により、色度調整用の黄色分散液を得た。
【0019】またクリアーレジストとしては、バインダーとして下記式(1)で表される繰り返し単位を有するアクリル系樹脂4.0g、エチレン性化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート4.0g、光重合開始剤として2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体0.4g、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.2g、2−メチルベンゾチアゾール0.4g、溶剤としてプロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート34.5gを混合し、撹拌均一化した。
【0020】
以上の顔料分散液とクリアーレジストとを撹拌混合したのち、濾過して均一なカラーレジストを得た。これを透明基板上にスピンコートにより1〜2μmの厚さに塗布し、ホットプレートにて70℃で3分間乾燥後、フォトマスクを用いて紫外線を100mj/cm2照射し硬化させ、アルカリ現像液によりパターニングを行った。ついで高圧水銀灯により5000mj/cm2の紫外線照射し、さらに200℃のオーブン中で10分間熱処理し、カラーフィルターを作製した。
【0021】
尚、実施例及び比較例では下記の顔料を使用してカラーフィルターを作成した。
【0022】
【化1】
【0023】
(実施例1)赤色顔料としてC.I.PR254(チバガイギー社製「クロモフタールDPPレッドBP」)を使用したインク5.0gと、これと色度調整のため黄色顔料PY139(BASF製「パリオトール1841D」)を使用したインク1.2g、およびクリアーレジスト18.3gとを調合したカラーレジストにより、膜厚1.0μmとなるように作製したカラーフィルター。
(比較例1)赤色顔料としてPR177(チバガイギー社製「クロモフタールレッドA2B」)を使用したインク5.0gと、これと色度調整のため黄色顔料PY139(同上)を使用したインク1.1g、およびクリアーレジスト14.3gとを調合したカラーレジストにより、膜厚1.5μmとなるように作製したカラーフィルター。
【0024】
作成した各カラーフィルターの赤色画素につき、明度や彩度を評価比較した。尚、表1に実施例および比較例で用いた赤色顔料を使用して形成した着色透過膜の各波長での透過率、ならびに実際に作製したカラーフィルターの赤色画素の色度と明度を示す。ここでの赤色顔料を使用して形成した着色透過膜の透過率は、該赤色顔料分散液2.0gとクリアレジスト4.8gを使用し、をそれぞれに単独に上述した手法でカラーレジスト化し、透明基板上で1〜2μmの膜厚になるような試料を作製し、測定したものである。
【0025】
【表1】
実施例1および比較例1のカラーフィルターの透過率曲線をそれぞれ図1、2に示す。実施例1のカラーフィルターの透過率曲線からは、560nmで2%、600nmで95%の透過率を有し、また比較例1と同様な色度でありながら大幅に明度が向上していることがわかる。
【0026】
対して比較例1では560nmで7%600nmで76%の透過率であり、また明度も実施例におよばない。以上の結果は色度調整用の補色顔料の種類によっても効果に若干の違いがあり、補色顔料の透過率曲線は赤色顔料のそれとなるべく近いことが望ましい。例えば補色顔料をPY139からPO71(チバガイギー社製「DPP Orange TR」)に変更することにより、上記の実施例と比較してY値はさらに1程度の向上が可能である。
【0027】
さらに以上の例は色度(x=0.55、y=0.33)なる赤色に調色した場合の結果であるが、本発明の効果は上記の場合のみにとどまらず、色度範囲(x≧0.51、y≦0.36)なる赤色の再現においても同様である。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、透過率を向上し、すなわち明度を高め低消費電力化を達成しながらも、彩度を低下させず鮮明な色調再現が可能となるようなカラーフィルターを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のカラーフィルターによる赤色画素の透過率曲線を示す図。
【図2】比較例1のカラーフィルターによる赤色画素の透過率曲線を示す図。
Claims (4)
- 樹脂、溶剤及び赤色色素を含むカラーフィルター用着色画像形成材料において、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを使用し、該赤色色素として、C.I.(カラーインデックス)PR254を使用し、且つ該着色画像形成材料を用いて形成された赤色画素の透過率が560nmで10%以下かつ600nmで80%以上であることを特徴とするカラーフィルター用着色画像形成材料。
- さらに少なくとも1種以上の赤色以外の色素を含む請求項1に記載のカラーフィルター用着色画像形成材料。
- 分散剤を含有する請求項1又は2に記載のカラーフィルター用着色画像形成材料。
- 基板上に赤色、緑色及び青色画素を有するカラーフィルターに於いて、該赤色画素が、請求項1乃至3の何れか1項に記載のカラーフィルター用着色画像形成材料により形成されてなることを特徴とするカラーフィルター。
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