JP3975563B2 - 雨滴センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のワイパー自動制御装置に採用するに適した雨滴センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の雨滴センサとしては、第641694号欧州特許公報にて示すようなものがある。
この雨滴センサは、車両のフロントウインドシールドの内壁に装着されて、雨滴の有無を光学的に検出するもので、当該雨滴センサは、図12にて示すごとく、センサ本体の隔壁1に光学部材2を組み付けることで構成されている。
【0003】
ここで、隔壁1は、嵌合穴部1aと、複数のフック1bとを備えており、各フック1bは、隔壁1の内面(図12にて図示上面)のうち嵌合穴部1aの周縁部から当該嵌合穴部1a側へ上に凸な湾曲形状にて延出している。
また、光学部材2は、センサ本体の発光素子から受光素子への光の光学的経路を構成する断面略コ字状プリズム3を備えている。このプリズム3は、発光素子の光を入射される凸レンズ4及び受光素子に光を出射する凸レンズ5をそれぞれ形成した各透光性ブロック部6、7を備えている。
【0004】
そして、センサ本体の隔壁1に対する光学部材2の組み付けは、嵌合穴部1a内に光学部材2を嵌合することでなされるが、この嵌合は、各フック1bの爪を、その弾力に抗して、両ブロック部6、7の各左右側壁に上下に形成した両突起6a、7a間に係止させることで行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記雨滴センサのフロントウインドシールドに対する装着は、次のようにして行われる。
即ち、まず、光学部材2を、その光透過面8にて、フロントウインドシールドの内壁に透光性接着剤により接着硬化する。次に、上記フロントウインドシールドをその外周部にて当該車両のフレームのうちフロントウインドシールドに対応する部分(以下、フレーム部分という)に接着剤により接着する。そして、これに引き続いて、センサ本体を光学部材2に組み付ける。
【0006】
具体的には、センサ本体の嵌合穴部1aを光学部材2に対向する位置に保持する。そして、光学部材2がセンサ本体の嵌合穴部1a内に嵌合されるように、センサ本体を光学部材2に押し付ける。
このとき、各フック1bは、その爪により、その弾力に抗して、両ブロック部6、7の上側突起6a、7aに沿い下側突起6a、7b側へ摺動する。これに伴い、各フック1bは、その爪にて、両ブロック部6、7の各両突起6a、7a間に抜け止め係止される。
【0007】
これにより、雨滴センサのフロントウインドシールドに対する装着が終了する。
しかし、上記装着過程において、光学部材2が接着硬化されたフロントウインドシールドを当該車両の上記フレーム部分に接着した後、センサ本体を光学部材2に組み付ける際、上述のように、センサ本体を光学部材に押し付けるため、この押しつけ力は、センサ本体をフロントウインドシールドの内壁に交差する方向(例えば、直交する方向)に作用することとなる。
【0008】
従って、この押しつけ力が、光学部材2を介してフロントウインドシールドと当該車両の上記フレーム部分との接着面に伝達される。その結果、フロントウインドシールドの当該車両の上記フレーム部分に対する接着不良、或いはフロントウインドシールドと当該車両の上記フレーム部分との間のシール不良等の不具合を招く。このような不具合は、センサ本体の光学部材2への組み付けが、フロントウインドシールドの外周部と当該車両の上記フレーム部分との間の接着剤が硬化する前になされるときに特に著しい。
【0009】
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、ウインドシールドの内壁に接着した光学部材に対し、センサ本体を、ウインドシールドにその内壁側から力を作用させることなく、装着するようにした雨滴センサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決にあたり、請求項1に記載の発明によれば、
ウインドシールド(10)の内壁に透光性接着剤層(50)により底壁(21)にて接着される光学部材(L)と、
この光学部材を収容する凹所(65)を設けてなるケーシング(60)と、光学部材の内部を通しその入射側からその出射側にかけて光をウインドシールドの内壁による反射作用のもとに透過させてこの透過光量を検出するセンサ本体(B)とを備える雨滴センサであって、
ケーシングの周壁のうちウインドシールドの内壁に並行に延びる周壁部分(66)に沿い押動によりスライドされて当該周壁部分を介して光学部材を上記凹所内に着脱可能に固定するスライドロック部材(70)を備える雨滴センサが提供される。
【0011】
このように、スライドロック部材をケーシングの上記周壁部分に沿い押動によりスライドすることで、当該スライドロック部材により上記周壁部分を介して光学部材を上記凹所内に着脱可能に固定する。
これにより、ウインドシールドの内壁に接着した光学部材に対し、センサ本体を、ウインドシールドにその内壁側から力を作用させることなく、装着することができる。このことは、雨滴センサをウインドシールドの内壁に作業性よくかつ良好に装着できることを意味する。
【0012】
また、上述のように、スライドロック部材に対する押動力をウインドシールドの内壁に伝達することなく、センサ本体を光学部材に装着できるので、この装着が、ウインドシールドの外周部とその被接着対象である車両等のフレーム部分との間の接着剤が硬化していない状態で行われても、ウインドシールドの車両等のフレーム部分に対する良好な接着状態を維持できる。
【0013】
その結果、フロントウインドシールドの当該車両のフレーム部分からの剥離や或いはフロントウインドシールドと当該車両のフレーム部分との間のシール不良を招くことはない。
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の雨滴センサにおいて、
ケーシング内にて光学部材を介しスライドロック部材に対向する位置に設けたばね部材(80)を備えて、
スライドロック部材は、ばね部材との間にて光学部材を挟持することで、この光学部材を上記凹所内に着脱可能に固定する。
【0014】
これにより、スライドロック部材により、ばね部材との間における光学部材の挟持を確保しつつ、センサ本体を光学部材に装着できる。その結果、請求項1に記載の発明の作用効果をより一層向上できる。
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の雨滴センサにおいて、
スライドロック部材は、
上記周壁部分に形成した挿通穴部(66d)に挿通されるロック用突起(70b)であって上記周壁部分の内面に形成した係止部(66b)の傾斜状スライド面(66c)に沿いスライドロック部材のスライドに伴い案内される傾斜状スライド面(72d)を備えて、
この傾斜状スライド面の案内に応じて、ばね部材との間にて光学部材を挟持する。
【0015】
これにより、請求項2に記載の発明の作用効果をより一層円滑に達成できる。
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の雨滴センサにおいて、
スライドロック部材は、上記周壁部分に形成した他の挿通穴部(66e)に挿通されて抜け止めされる抜け止め用突起(70c)を備えている。
【0016】
これにより、スライドロック部材が、抜け止め用突起により、ケーシングの上記周壁部分に仮止めされ得るので、スライドロック部材の紛失等を招くことなく、別途、ユーザーが、雨滴センサをウインドシールドの内壁に装着する場合にも、この装着を確実に行える。
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の雨滴センサにおいて、
スライドロック部材は、そのスライドに伴い、上記周壁部分の外面に形成した隆起部(66a)に嵌まり合う係合穴部(71a)を備えている。
【0017】
これにより、スライドロック部材をケーシングの上記周壁部分に沿いスライドさせたとき、スライドロック部材の係合穴部が上記周壁部分の隆起部に嵌まり合って音を発することで、センサ本体の光学部材に対する装着の終了を認識することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明が車両用雨滴センサSに適用された例を示しており、この雨滴センサSは、当該車両のフロントウインドシールド10の外壁に設けたワイパーのためのワイパー自動制御装置に採用される。
【0019】
なお、上記ワイパーは、雨滴センサSの検出出力に基づきワイパー自動制御装置により駆動制御されて、フロントウインドシールド10の外壁のうちその払拭領域に沿い摺動する。
雨滴センサSは、当該車両のフロントウインドシールド10にその内壁側から上記払拭領域に対応して設けられているもので、この雨滴センサSは、フロントウインドシールド10の上記払拭領域に滴下する雨滴を光学的に検出して上記ワイパー自動制御装置に出力する。
【0020】
雨滴センサSは、図1及び図2にて示すごとく、センサ本体Bと、光学部材Lとを備えている。なお、本実施形態では、雨滴センサSの図1にて図示右側及び左側が当該車両の右側及び左側に対応する。
光学部材Lは、図1にて図示断面形状を有するように、透明樹脂材料により形成されており、この光学部材Lは、図1乃至図4から分かるように、プリズム20と、3つの入射側平凸レンズ30と、3つの出射側平凸レンズ40とにより構成されている。
【0021】
プリズム20は、その底壁21にて、透光性接着テープ等の透光性接着剤層50により、フロントウインドシールド10の内壁(上記払拭領域に対応する部分)に接着されている。
プリズム20は、板状透光部22と、この透光部22の長手方向両端に一体に形成してなる入射側透光部23及び出射側透光部24とを有するように、図1及び図3にて示すごとくコ字状に形成されている。
【0022】
各平凸レンズ30は、図1乃至図3から分かるように、その底壁にて、プリズム20の入射側透光部23の傾斜壁23aと一体となるように形成されており、一方、各平凸レンズ40は、図1、図3及び図4から分かるように、その底壁にて、プリズム20の出射側透光部24の傾斜壁24aと一体となるように形成されている。
【0023】
ここで、各平凸レンズ30の光軸31(図1参照)は、これら各平凸レンズ30を通りプリズム20内に入射側透光部23を介し入射する光を接着剤層50を介しフロントウインドシールド10の外壁にてプリズム20内へ全反射させるように設定されている。
このため、各平凸レンズ30を通り入射側透光部23に入射した光は、板状透光部22内にてその上壁22aとフロントウインドシールド10の外壁との間で接着剤層50を通り全反射による相互反射を繰り返しながら進行し、出射側透光部24から各平凸レンズ40を通りその光軸41に沿い透過する。
【0024】
また、入射側透光部23の図2にて図示左右側壁には、その各図示上側半分部分にて、それぞれ、突出壁部23bが突出形成されている。なお、各突出壁部23bの上端隅角部分は、図2にて例示するごとく、切除されている。
一方、出射側透光部24の図4にて図示左右側壁には、その各図示上側半分部分にて、それぞれ、突出壁部24bが突出形成されている。なお、各突出壁部24bの上端隅角部分は、図4にて例示するごとく、切除されている。
【0025】
センサ本体Bは、図1、図2及び図6にて示すごとく、ケーシング60を備えており、このケーシング60は、両ケーシング部材60a、60bをその各開口部にてはめ合わせて、構成されている。
また、センサ本体Bは、3つの発光素子61(図1及び図6では一発光素子61のみを示す)と、受光素子62(図1及び図6では一受光素子62のみを示す)とを備えている。
【0026】
各発光素子61は、ケーシング部材60b内にて支持される各発光側筒体63(図1及び図6では一筒体63のみを示す)内に収納されており、これら各発光素子61は、その光を、ケーシング部材60bの各発光側筒部65b(後述する)を通して、各対応の平凸レンズ30に入射する。
一方、各受光素子62は、ケーシング部材60b内にて支持される各受光側筒体64(図1及び図6では一筒体64のみを示す)内に収納されており、これら各受光素子62は、各平凸レンズ40の出射光を、ケーシング部材60bの各受光側筒部65c(後述する)を通して、それぞれ受光する。なお、これら各受光結果が雨滴センサSとしての検出結果に相当する。
【0027】
ケーシング部材60bは、図1及び図6にて示すごとく、光学部材Lを収容する凹所65を備えており、この凹所65は、ケーシング部材60bの環状底壁67(図1、図2、図6、図7参照)の中空部内周部から当該ケーシング部材60b内へ凹状に湾曲形成されて、フロントウインドシールド10の内壁側に向け開口している。
【0028】
この凹所65は、図1、図5、図6及び図7から分かるように、その底壁65aの両端部にて、3つの発光側筒部65b及び3つの受光側筒部65cを備えている。各発光側筒部65bは、各対応の筒体63と平凸レンズ30との間に同軸的に位置している、一方、受光側筒部65cは、各対応の平凸レンズ40と筒体64との間に同軸的に位置している。
【0029】
なお、各平凸レンズ30を各発光側筒部65bの下端開口部内に位置させるように、各筒部65bは、上端開口部から下端開口部にかけて断面末広がり状に形成されている。一方、各平凸レンズ40を各受光側筒部65cの下端開口部内に位置させるように、各筒部65cは、上端開口部から下端開口部にかけて断面末広がり状に形成されている。
【0030】
また、凹所65は、その内部にて、図1、図5、図6及び図8にて示すごとく、互いの平行な一対のバー65dを備えている。これら両バー65dは、凹所65の図5及び図7にて図示上下両壁65e、65fの各両左右方向中間部位の間にそれぞれ互いに間隔をおいて梁状に形成されている。
但し、これら両バー65dとフロントウインドシールド10の内壁との間隔は、図1にて示すごとく、光学部材Lの上壁22aとフロントウインドシールド10の内壁との間隔にほぼ等しい。
【0031】
また、センサ本体Bは、図2及び図5にて示すごとく、板状スライドロック部材70を備えており、このスライドロック部材70は、ケーシング部材60bの図2にて図示左側壁66に組み付けられている。
このスライドロック部材70は、図2、図5及び図9にて示すごとく、スライド板70aを備えており、このスライド板70aは、図5及び図9にて示すごとく、板本体71の基部から操作部72をL字状に延出させて形成されている。
【0032】
ここで、板本体71は、ケーシング部材60bの左側壁66の外壁から外方へ隆起する両隆起部66a(図5参照)と係合する両係合穴部71aを備えている。
また、スライドロック部材70は、ロック用両突起70bと、抜け止め用突起70cとを備えている。
【0033】
両突起70bは、板本体71の内壁のうちその長手方向両中間部位から断面四角形状に突出しており、これら各突起70bの先端面は、平行面部72aと、傾斜面部72bとを備えている。
ここで、平行面部72aは、図2にて例示するごとく、板本体71の内壁に平行に突起70bの先端面の図示上側半分部分にて形成されており、この平行面部72aには、隆起部72cが隆起形成されている。
【0034】
これにより、一方の突起70bは、図2にて示すごとく、ケーシング部材60bの左側壁66に形成した両挿通穴部66dの一方に挿通されて、平行面部72aの隆起部72cにて、プリズム20の入射側透光部23における左側突出壁部23bに押接している。また、これと同様に、他方の突起70bは、ケーシング部材60bの他方の挿通穴部66dに挿通されて、平行面部72aの隆起部72cにて、プリズム20の出射側透光部24における左側突出壁部24bに押接している。
【0035】
また、両突起70bにおいて、各斜面部72bは、板本体71の内壁から離れるように各平行面部72aの下端から下方へ傾斜状に形成されており、上述のように各突起70bを左側壁66の各挿通穴部66dに挿通したとき、各傾斜面部72bは、図2にて例示するごとく、各左側突出壁部23b、24bの下端隅角部に斜め下方から押接している。
【0036】
その結果、入射側透光部23の右側突出壁部23b及び出射側透光部24の右側突出壁部24bが、後述する両板ばね80の各先端部81にこれら各板ばね80の弾力に抗して押し付けられている。
また、両突起70bは、それぞれ、その各基部から板本体71の先端側へかつこの板本体71の内壁から離れるように傾斜状に延出するスライド面72dを備えている。これら各スライド面72dは、ケーシング部材60bの左側壁66からその内面側へ突出する各係止部66bのスライド面66cに沿い板本体71の先端側へ案内される。このことは、スライドロック部材70が、両突起70bの両係止部66bへの係止によりロックされることを意味する。
【0037】
抜け止め用突起70cは、両突起部73(図9では一方の突起部73のみを示す)により構成されており、図9にて図示右方から突起70cを見たとき、各突起部73は、板本体71の幅方向に互いに対向して当該板本体71の内壁から突出している。また、両突起部73は、その間隔を末広がり状に広げるように、板本体71の内壁から突出しており、これら各突起部73の先端部73a(図9では、一方の先端部73aのみを示す)は互いに逆方向へL字状に屈曲している。
【0038】
これにより、突起70cは、その両突起部73の弾力に抗して、板本体71に形成した挿通穴部66eを通し挿入抜け止めされる。このことは、突起70cは、スライドロック部材70をケーシング部材60bの左側壁66に仮止めする役割を果たすことを意味する。
両板ばね80は、共に、略L字状に形成されており、これら各板ばね80は、図5にて示すごとく、ケーシング部材60b内にその環状底壁67の内側にて互いに対称的に配設されている。
【0039】
図5にて図示左側板ばね80は、その基部にて、ケーシング部材60bの図示左側壁中央に左側支持部66gに支持されており、この左側板ばね80は、その基部からケーシング部材60bの内壁に沿い図示上壁65eの左右方向中央に向けてL字状に延出している。また、この左側板ばね80の先端部81は、図5にて示すごとく、光学部材Lの入射側透光部23の右側突出壁部23bにその弾力に抗して当接している。
【0040】
一方、図5にて図示右側板ばね80は、その基部にて、ケーシング部材60bの図示右側壁中央に右側支持部66gに支持されており、この右側板ばね80は、その基部からケーシング部材60bの内壁に沿い図示上壁65eの左右方向中央に向けてL字状に延出している。また、この右側板ばね80の先端部81は、左側ばね80と同様に、光学部材Lの出射側透光部24の右側突出壁部24bにその弾力に抗して当接している。
【0041】
このように構成した本実施形態において、雨滴センサSのセンサ本体Bをフロントウインドシールド10に装着するに先立ち、まず、雨滴センサSの光学部材Lをフロントウインドシールド10の内表面(上記払拭領域に対応する部分)に接着剤層50により接着した後この接着剤層50を硬化させる。
次に、フロントウインドシールド10をその外周部にて当該車両のフレームのうちフロントウインドシールド10に対応する部分(以下、フレーム部分という)に接着剤により接着する。
【0042】
そして、スライドロック部材70をケーシング部材60bに抜け止め状態に取り付けたセンサ本体Bを次にようにして光学部材Lに装着する。
ここで、具体的には、スライドロック部材70においては、図11にて示すように、ロック用各突起70b及び抜け止め用突起70cが、その各先端部にて、ケーシング部材60bの左側壁66の各挿通穴部66d、66e内に挿入され、かつスライドロック部材70のスライド板70aがケーシング部材60bの左側壁66の外壁から幾分離した状態に維持される。
【0043】
ついで、光学部材Lを、その底壁21にて、接着剤層50により、フロントウインドシールド10の内壁のうち上記払拭領域に対応する部分に接着する。
然る後、光学部材Lがセンサ本体Bの凹所65内に収容されるように、センサ本体Bを、ケーシング部材60bの底壁67側から光学部材Lに押し付ける。
これにより、フロントウインドシールド10の内壁に接着した光学部材Lが、センサ本体Bの凹所65内に良好に収容される。
【0044】
ここで、光学部材Lをセンサ本体Bの凹所65内に収容するに要するセンサ本体Bの光学部材Lに対する押し付け力は小さいので、この押し付け力が接着剤層50を介しフロントウインドシールド10の内壁に伝達されることは殆どない。
従って、フロントウインドシールド10の外周部と当該車両のフレーム部分との間の接着剤が硬化していなくても、フロントウインドシールド10の当該車両のフレーム部分との接着不良、フロントウインドシールド10の当該車両のフレーム部分からの剥離等の不具合が生ずることはない。
【0045】
上述のような収容後、スライドロック部材70の操作部72を、図11にて図示矢印方向(ケーシング部材60bの左側壁66の外壁に沿い板本体71の先端に向かう方向)に押動する。
すると、スライドロック部材70のロック用両突起70bが、その各スライド面72dにて、ケーシング部材60bの左側壁66の両係止部66bの各スライド面66cに沿い案内される。よって、板本体71は左側壁66の外壁に接する方向にスライドする。
【0046】
このため、スライドロック部材70が、両突起70bにて、両係止部66bに板本体71の基部側から係止してロックされる。このような過程において、光学部材Lの各平凸レンズ30、40の光軸が対応の各発光素子61及び各受光素子62の光軸に合うように、光学部材Lの両透光部23、24の各右側突出壁部23b、24bが、スライドロック部材70の各突起70bにより各板ばね80の先端部81にその弾力に抗して押し付けられる。
【0047】
これにより、光学部材Lは、光軸調整を良好に確保しつつ、スライドロック部材70と両板ばね80との間にその弾力により着脱可能に挟持される。なお、光学部材Lは、両バー65dとフロントウインドシールド10の内壁との間に移動不能に支持される。
ここで、この挟持状態では、両突起70bが、その各平行面部72aの隆起部72cにて、プリズム20の入射側透光部23の左側突出壁部23b及び出射側透光部24の左側突出壁部24bに押接することで、両板ばね80の各先端部に押しつけられている。しかも、両突起70bの各斜面部72bは、各左側突出壁部23b、24bの下端隅角部に斜め下方から押接している。
【0048】
換言すれば、スライドロック部材70をフロントウインドシールド10の内壁に平行に押動することで、センサ本体Bを光学部材Lに装着する。このことは、スライドロック部材70のスライドのみで、雨滴センサSをフロントウインドシールド10に対して作業性よく簡単にかつ良好に装着できることを意味する。
また、上述のように、スライドロック部材70をフロントウインドシールド10の内壁に平行に押動することで、センサ本体Bを光学部材Lに装着するので、この装着時に、スライドロック部材70に対する押動力がフロントウインドシールド10の内壁に伝達されることがない。
【0049】
従って、通常、作業効率を高めるため、フロントウインドシールド10を当該車両のフレーム部分に接着した接着剤が硬化していない状態でセンサ本体Bを光学部材Lと装着するが、このような装着の場合でも、フロントウインドシールド10の当該車両のフレーム部分との間の接着状態を良好に維持できる。
その結果、フロントウインドシールド10の当該車両のフレーム部分からの剥離やフロントウインドシールド10の外周部と当該車両のフレーム部分との間のシール性の不良の発生を確実に防止できる。
【0050】
また、上述のようにスライドロック部材70をケーシング部材60bの左側壁66にロックしたとき、板本体71の各係合穴部71a内に左側壁66の各隆起部66aが嵌まり込む。
この嵌まり込みは板本体71の弾力に抗してなされるので、板本体71の内面と左側壁66との間に接触時に音が発生する。これにより、スライドロック部材70が良好にセンサ本体Bにロックされたことを確認できる。
【0051】
従って、スライドロック部材70の不完全なスライドによるセンサ本体Bの光学部材Lに対する装着不良の発生を確実に防止できる。
また、抜け止め用突起70cは、ケーシング部材60bの左側壁66にスライドロック部材70を抜け止めするので、スライドロック部材70はケーシング部材60bに常に一体的に付随することとなる。従って、スライドロック部材70の紛失を招くことなく、ユーザーは、独自に別途センサ本体Bを光学部材Lに装着する際にも、この装着を確実に行える。
【0052】
なお、本発明の実施にあたり、雨滴センサSは、例えば、車両のリヤウインドシールドに装着するものであってもよい。
また、上記実施形態においては、雨滴センサSがフロントウインドシールド10の内壁のうちワイパーの払拭領域に対応する部分に装着された例について説明したが、これに限らず、フロントウインドシールド10の外壁のうち雨滴が滴下する領域に対応する部分であれば、フロントウインドシールド10の内壁のどの部分に雨滴センサSを装着するようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、スライドロック部材70のロック用各突起70bと両板ばね80の各先端部81との間にて光学部材Lの各透光部23、24を挟持するようにした例について説明したが、ロック用各突起70bに代えて板本体71の長手方向略中央に抜け止め用突起70cを邪魔しない位置にて設けた単一のロック用突起70bにより光学部材Lの板状透光部22を両板ばね80の各先端部81に向けて押し付けるようにして、当該単一のロック用突起70bと両板ばね80の各先端部81との間にて光学部材Lを挟持するようにしても、上記実施形態と同様の作用効果を達成できる。
【0054】
この場合、両板ばね80の一方を廃止するとともに他方の板ばね80の先端部81を板本体71の長手方向略中央に対応する位置まで延長するようにして、単一のロック用突起70bと他方の板ばね80の先端部81との間にて光学部材Lの板状透光部22を挟持するようにしても、同様である。
また、両板ばね80を共に廃止して、スライドロック部材70により光学部材Lをケーシング部材60bの右側壁(左側壁66に対向する壁)に押しつけるようにして実施してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、スライドロック部材70の各突起70b、70cのための各挿通穴部66d、66eをケーシング部材60bの左側壁66に設けるようにしたが、これに限らず、各挿通穴部66d、66eは、左側壁66の図8にて図示上方へ開口するように形成した切り欠き部であってもよい。
また、本発明の実施にあたり、上記実施形態にて述べた両板ばね80に代えて、これら各板ばね80の先端部81の位置に設けたばね部材を採用して実施してもよい。
【0056】
また、本発明の実施にあたり、上記実施形態では、ケーシング部材60の左側壁66に両隆起部66aを設けるようにしたが、いずれか一方の隆起部66aを廃止してもよい。なお、これに伴い、スライドロック部材70の両挿通穴部71aのうち廃止する隆起部66aに対応する挿通穴部71aは廃止すればよい。
また、本発明の実施にあたり、雨滴センサSは、車両に限ることなく、船舶や航空機等の雨滴センサであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用雨滴センサの一実施形態をフロントウインドシールドの内壁に装着した状態にて示す部分破断図である。
【図2】図1の雨滴センサを図示左方から見た部分破断図である。
【図3】図1の光学部材の側面図である。
【図4】図3の光学部材を図示右方から見た側面図である。
【図5】図1のケーシング部材60bをスライドロック部材70を備えた状態で図示上方から見た平面図である。
【図6】センサ本体の部分破断図である。
【図7】図1のケーシング部材60bを図示上方から見た平面図である。
【図8】図7のケーシング部材60bの側面図である。
【図9】スライドロック部材の平面図である。
【図10】スライドロック部材の側面図である。
【図11】スライドロック部材をケーシング部材60bの左側壁に沿いスライドさせる前状態を示す平面図である。
【図12】従来の雨滴センサの概略部分斜視図である。
【符号の説明】
B…センサ本体、L…光学部材、10…フロントウインドシールド、
21…底壁、50…透光性接着剤層、60…ケーシング、65…凹所、
66…左側壁、66b…ストッパ、66c、72d…傾斜状スライド面、
66a…隆起部、66d、66e…挿通穴部、70…スライドロック部材、
70b…ロック用突起、80…板ばね。

Claims (5)

  1. ウインドシールド(10)の内壁に透光性接着剤層(50)により底壁(21)にて接着される光学部材(L)と、
    前記光学部材を収容する凹所(65)を設けてなるケーシング(60)と、前記光学部材の内部を通しその入射側からその出射側にかけて光を前記ウインドシールドの内壁による反射作用のもとに透過させてこの透過光量を検出するセンサ本体(B)とを備える雨滴センサであって、
    前記ケーシングの周壁のうち前記ウインドシールドの内壁に並行に延びる周壁部分(66)に沿い押動によりスライドされて当該周壁部分を介して前記光学部材を前記凹所内に着脱可能に固定するスライドロック部材(70)を備える雨滴センサ。
  2. 前記ケーシング内にて前記光学部材を介し前記スライドロック部材に対向する位置に設けたばね部材(80)を備えて、
    前記スライドロック部材は、前記ばね部材との間にて前記光学部材を挟持することで、この光学部材を前記凹所内に着脱可能に固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の雨滴センサ。
  3. 前記スライドロック部材は、
    前記周壁部分に形成した挿通穴部(66d)に挿通されるロック用突起(70b)であって前記周壁部分の内面に形成した係止部(66b)の傾斜状スライド面(66c)に沿い前記スライドロック部材のスライドに伴い案内される傾斜状スライド面(72d)を備えて、
    この傾斜状スライド面の案内に応じて、前記ばね部材との間にて前記光学部材を挟持するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の雨滴センサ。
  4. 前記スライドロック部材は、前記周壁部分に形成した他の挿通穴部(66e)に挿通されて抜け止めされる抜け止め用突起(70c)を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の雨滴センサ。
  5. 前記スライドロック部材は、そのスライドに伴い、前記周壁部分の外面に形成した隆起部(66a)に嵌まり合う係合穴部(71a)を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の雨滴センサ。
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