JP3975326B2 - 導電部材及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置や静電記録プロセスに用いられる現像装置、転写装置、クリーニング装置等に使用される導電部材及び該導電部材を用いた現像装置、転写装置又はクリーニング装置を具備した電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、複写機、プリンター等の電子写真装置では、まず、感光体の表面を一様に帯電させ、この感光体に光学系から映像を投射して、光の当たった部分の帯電を消去することによって潜像を形成する静電潜像プロセスにより静電潜像を得、次いで、トナーの付着によるトナー像の形成、紙等の記録媒体へのトナー像の転写により、プリントする方法がとられている。
【0003】
これらのプロセスの中で、先ず現像に関しては、潜像を保持した感光ドラム等に非磁性一成分現像剤を供給し、感光ドラムの潜像に該現像剤を付着させて潜像を可視化する現像方法として、加圧現像法が知られており(米国特許第3152012号、同第3731146号等)、この方法によれば、磁性材料が不要であるため装置の簡素化、小型化が容易であると共に、トナーのカラー化が容易である。
【0004】
この加圧現像法は、図2に示されているように、トナー(非磁性一成分現像剤)を担持した現像ローラ6を感光ドラム等の静電潜像を保持した潜像保持体5に接触させて、トナーを該潜像保持体5の潜像に付着させることにより現像を行うもので、このため上記現像ローラ6は、感光ドラム等の潜像保持体5に密着した状態を確実に保持しつつ回転しなければならず、導電性を有する弾性体で形成する必要がある。
【0005】
また、トナーにより現像され可視化されたトナー像を潜像保持体から転写紙に転写させる転写装置においては、コロナ帯電器を用いて転写紙を帯電させてトナー像を転写紙に転写させることが行われるが、コロナ放電ではオゾンの発生や高圧電源の必要性等の問題点があった。この問題点を解決した転写装置として、図2に示されているように、導電性ゴムよりなるバイアスローラ(転写ローラ)9を用いて転写紙8を帯電させる転写装置が知られている。この方式においては高い転写効率とムラのない転写画像を得るため、感光ドラム5との間に一定のニップ幅を設定したり、ローラ、ドラム間の圧力を低くする必要があり、かなり柔らかい導電性ゴムを用いなければならない。なお、図2の装置において、転写紙8に転写されたトナー像は定着器13により加熱され転写紙8に定着するようになっている。
【0006】
更に、上記トナー像の転写後に感光ドラム上に残されたトナーは、クリーニング装置により除去されるが、このクリーニング装置としては、従来感光体にウレタンゴム等で形成したブレードのエッジを押圧しトナーをかきとるものが一般的であった。しかし、このようなブレードを用いた場合、感光体との摩擦力が大きく、駆動力が大きくなったり、エッジにより感光ドラムを傷つけやすく、かつゴムブレートが傷ついた場合クリーニングできなくなることがあった。このような問題点を解決したものの一つとして、図2に示されているように、電圧印加することができるクリーニングローラ11を用いてクリーニング装置12を構成し、、このクリーニングローラ11により直接感光ドラム5表面から残存トナーを除去するか、又はトナーを強制帯電させ、現像ローラ等でトナーを回収するクリーナーレス法が提案されている。このクリーニングローラにおいても、前述の転写ローラ等と同様な特性が要求される。
【0007】
しかしながら、従来の上記現像ローラ、転写ローラ、クリーニングローラには、これを構成する弾性体の特性から以下の欠点がある。
1.シリコーンゴム、NBR、EPEM等の弾性ゴムを用いて、上記ローラの弾性層を形成した場合、良好な密着性を得るために低硬度化すると、感光ドラムの汚染が発生する。
2.ウレタンフォーム等のスポンジ体を用いて上記ローラの弾性層を形成した場合、トナーが弾性層内部に侵入して長期的に使用すると、トナーの目詰まりによってローラが固くなってしまったり、トナーによるローラ表面の汚れにより画質が低下する場合がある。この傾向は、スポンジ体だけでなくトナーを付着しやすい表面を有するローラの場合も同様である。
3.一般に上記ローラを単層で構成する場合、表面摩擦係数が非常に大きいため、現像ローラの場合は、現像ブレード及び感光体との間に大きな負荷を与え、トナーの搬送不均一化、或いは駆動におけるジッタにより画像欠陥をもたらしやすい。また、前述の転写ドラムにおいても摩擦力の増大は、転写材がズレたり、歪んだりして、画質低下の原因となる。
【0008】
これらの問題を解決するために、例えば、ゴムやウレタンフォーム等の弾性層の表面に、表面の平滑性確保や抵抗調整、トナー帯電特性向上のため、アクリル、ウレタン、ナイロン、ポリエチレン、エポキシ、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、フェノール、ポリアミド、ウレタン変性アクリル樹脂等の樹脂溶液をディッピング法やスプレー法により塗布して、ローラ表面に樹脂層を形成することが知られている。
【0009】
とりわけ、上記ウレタン変性アクリル樹脂は、低硬度で対汚染性に優れ、かつ導電特性、性能安定性に優れることが特開平7−310732号公報等に報告されている。また、このウレタン変性アクリル樹脂は、ウレタン部を有することにより弾性力、塗膜強度が高いといった特性も有しており、変形に対する戻り性に優れるという利点もある。
【0010】
しかしながら、近年の厳しい環境条件(高温・高湿度など)、高速化への対応においては、上記の樹脂が長期間感光体に当接することにより、感光体との間で張り付きが生じ、塗膜剥離やそれに伴う感光体汚染が生じてしまうことがある。また、これら導電部材へのトナー付着によるトナー搬送の不均一化、転写不良が生じる場合もあり、更には粘着性の強さによっては、例えば感光体との摩擦を原因とするトナー融着、感光体の削れ、導電部材の削れ等による画像不良が発生することもある。このため、導電部材に用いられる塗膜には、感光体への張り付きを確実に防止すること、特に粘着性、摩擦性、トナー付着性をさらに小さくすることが求められる。
【0011】
この改善策としては、主鎖のウレタンプレポリマーにシリコーン鎖を含有させるなどの処方により、ウレタン変性アクリル樹脂にシリコーン成分を含有させるなどの方法があるが、この方法によると感光体への密着性、摩擦性にある程度の改善は見られるものの十分とはいい難く、またトナー付着性についてはあまり効果が見られない。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、低硬度で良好な非密着性を有し、感光体などの相手部材に対する張り付きや汚染といった不都合を生じることなく、かつ電圧印加を行わない非作動時にはトナーが付着しにくく、低い表面摩擦係数を有し、濃度ムラや地カブリなどのない高品質な画像が得られ、しかも長期の使用においても画質を低下させることのない導電部材、及び該導電部材を用いた電子写真装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、弾性層上に少なくとも1層の樹脂層を形成し、現像ローラ、転写ローラ、クリーニングローラ等の導電部材を得る場合に、部材の表面を構成する最外樹脂層を、ウレタン変性アクリル樹脂を基材樹脂として形成すると共に、このウレタン変性アクリル樹脂中のアクリル樹脂成分の含有割合を50〜60重量%とし、更にこのアクリル樹脂成分のうち30〜40重量%のアクリルモノマーがフッ素を含有したものとすることにより、低硬度で良好な非密着性を有すると共に、感光体などの相手部材に対する張り付きや汚染といった不都合を生じることなく、かつ電圧印加を行わない非作動時にはトナーが付着しにくく、低い表面摩擦係数を有し、濃度ムラや地カブリなどのない高品質な画像が得られ、しかも長期の使用においても画質を低下させることのない、現像ローラ、転写ローラ、クリーニングローラ等の導電部材が得られることを見出し、本発明を完成したものである。
【0014】
従って、本発明は、電子写真装置に使用される導電部材において、弾性層と、該弾性層上に形成された少なくとも1層の樹脂層とを具備してなり、部材表面を構成する最外樹脂層が、ウレタン変性アクリル樹脂を基材樹脂として含有し、かつ該ウレタン変性アクリル樹脂中のアクリル樹脂成分の含有割合が50〜60重量%であり、更にこのアクリル樹脂成分のうち30〜40重量%のアクリルモノマーがフッ素を含有したものであることを特徴とする導電部材を提供する。
【0015】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0016】
本発明の導電部材は、上述のように、部材の表面を構成する最外樹脂層を、フッ素含有アクリルモノマーを含む樹脂を基材樹脂とする樹脂材料で形成したものである。
【0017】
上記最外樹脂層を形成する樹脂材料に用いられる基材樹脂は、上記のように、フッ素含有アクリルモノマーを含有するものであり、本発明では、ウレタン変性アクリル樹脂に、フッ素含有アクリルモノマーをグラフト処理、共重合、或いは活性水素基とイソシアネート基を用いて結合する、などの方法により、フッ素含有アクリルモノマーを結合させたものが用いられる。
【0018】
ここで本発明では、このウレタン変性アクリル樹脂中のアクリル樹脂成分の含有割合は50〜80重量%とされ、更にこのアクリル樹脂成分のうちの30〜40重量%のアクリルモノマーがフッ素を含有するものとされる。
【0019】
上記フッ素含有アクリルモノマーとしては、パーフロロオクチルエチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレートなどのメタクリレート末端にフルオロアルキル基等が結合したフッ素変性アクリレートが代表例として挙げられる。
【0020】
アクリル樹脂をウレタン成分で変性して上記のようなウレタン変性アクリル樹脂を得る方法としては、相溶性、液安定性、膜柔軟性等の観点から、ウレタン樹脂とアクリル樹脂成分を化学的に結合させる方法が好ましく採用される。具体的には、例えば2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等により、アクリル重合体に水酸基を導入したポリマーと分子末端にイソシアネート基を持つウレタンプレポリマーとの反応、又は下記のような分子末端に(片末端又は両末端)に水酸基を持つアクリル成分とイソシアネート基を末端に持つウレタンプレポリマーとの反応等により合成される(A:メタアクリル酸、メタアクリル酸エステルモノマー或はオリゴマー)。この場合、ウレタンプレポリマーとしてはポリエーテル系、ポリエステル系、ポリオレフィン系等が用いられる。こうして得られる重合体において、ウレタン鎖とアクリル鎖は互いにブロック型で結合していてもよく又グラフト型で結合していてもよい。
【0021】
【化1】
【0022】
また、数種のポリオールと2官能性イソシアネート(例えば、HDI:ヘキサメチレンジイソシアネートなど)を用いて主鎖となるウレタンプレポリマーを生成し、そのウレタンプレポリマーの側鎖部分にメルカプト基を含有させておき、アクリルモノマーとラジカル促進剤を組み合わせてウレタン部へアクリルモノマーをグラフとさせ、また、アクリルモノマーの重合も同時に行って合成する方法を用いることもできる。
【0023】
また、本発明に用いられるウレタン変性アクリル樹脂は、上述の方法により得られるものに限定されるものではなく、その他にもアクリルジオール混合系にジイソシアネートを添加する方法、アクリルモノマーに両末端又は片末端イソシアネートポリエステル、ポリエーテル等を付加し、そのウレタンアクリレートを重合する或は共重合する方法等によっても得ることができる。また、これらの合成に用いられるアクリル樹脂成分としては、ポリマーとしてのガラス転移温度Tgが室温から約80℃までのものが好ましく、上記2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の他に、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、アクリルアミド等を用いることもできる。更に、これらにスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、マレイン酸及びその誘導体等の重合性モノマーを共重合する場合もある。
【0024】
ここで、上記のように、ウレタン変性アクリル樹脂中におけるアクリル樹脂成分の含有割合は、50〜60重量%である。この場合、アクリル樹脂成分が少ないと得られる塗膜(最外樹脂層)の粘着性、摩擦性が大きくなってしまう場合があり、一方多すぎると表面性、電気特性、柔軟性が低下してしまう場合がある。
【0025】
また、このウレタン変性アクリル樹脂は、ウレタン成分とアクリル成分が化学的に結合しているので、それらの組成比を変えることで、硬度、粘着性、摩擦性等の諸物性を随意に調整でき、このことがウレタン変性アクリル樹脂が他の樹脂或はエラストマー材料と比較して好ましい所以である。
【0026】
本発明では、上述のように、このようなウレタン変性アクリル樹脂にフッ素含有アクリル樹脂をグラフトさせるなどの方法により生成したフッ素含有ウレタン変性アクリルを基材樹脂として用いるが、この場合フッ素含有量はウレタン変性アクリル樹脂中でのアクリル含有量に依存し、上記のようにフッ素含有アクリルの含有割合は、アクリル部全体の30〜40重量%とされる。
【0027】
ここで、上記ウレタン変性アクリル樹脂は、特に制限されるものではないが、末端又は側鎖に活性水素基を含有させ、ポリイソシアネート化合物等で架橋させて用いることが好ましい。この場合、ポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロヘキサンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、ウンデカントリイソシアネート、ヘキサメチレントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらイソシアネート化合物の重合体、誘導体、変性体、水素添加体などが挙げられる。これらの中では、特にヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族イソシアネート、これらの重合体、誘導体、変性体が耐オゾン性や耐熱性などに優れる点から好ましく用いられる。
【0028】
また、相手材との粘着性改良の点から、上記ウレタン変性アクリル樹脂中にシリコーン成分を含有させることもできる。具体的には、例えばシリコーン鎖を含むポリオールを原料として用いたウレタンプレポリマーとアクリル成分との反応により合成する等の方法が考えられる。この場合、ウレタンプレポリマー中におけるシリコーン成分の含有割合は1〜90重量%、特に5〜85重量%であることが好ましい。また、反応後のウレタン変性アクリル樹脂中におけるシリコーン成分の組成としては0.5〜60重量%、特に1〜50重量%であることが望ましい。これは、シリコーン成分が少なすぎると、ほとんど効果が見られず、多すぎてもあまり性能の向上が見れないためであり、また多く含有させようとするとウレタン変性アクリル樹脂の合成時に反応が進みにくく、或いは相分離が起こりやすくなるという不都合を生じることにもなる。
【0029】
本発明導電部材の部材表面を構成する最外樹脂層は、上記のように、上記フッ素含有ウレタン変性アクリル樹脂を基材樹脂成分として含有する樹脂材料で形成されたものである。
【0030】
この最外樹脂層を形成する樹脂材料中には、特に制限されるものではないが、シリカ粉末を添加配合することができ、これにより接触面積の低下により対密着性(非粘着性)がより向上する場合がある。また、この樹脂材料中には、必要に応じて導電剤を添加して所望の抵抗値に調整することができ、この場合導電剤としては、特に制限はなく、各種電子導電剤や各種イオン導電剤を用いることができるが、本発明では特にカーボン等の導電性粉体が好ましく用いられる。なお、この最外層樹脂層の電気抵抗は、特に制限されるものではないが、通常は106〜1013Ω・cm、特に107〜1012Ω・cmであることが好ましい。
【0031】
この最外樹脂層を導電部材に形成する方法は、特に制限されるものではないが、上記各成分を含む塗料を調製し、この塗料をディッピング法やスプレー法などにより導電部材に塗布する方法が好ましく用いられる。
【0032】
また、この最外樹脂層の厚さは、導電部材の形態等に応じて適宜設定され、特に制限されるものではないが、通常は50μm以下、特に2〜30μmとすることが好ましく、50μmを超えると硬くなってこの最外樹脂層の柔軟性が損なわれる場合がある。
【0033】
なお、この最外樹脂層を形成する樹脂組成物には、架橋剤、増粘剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0034】
本発明の導電部材は、少なくとも部材表面が上記最外樹脂層で形成されたものであればよく、その形態は用途や用いられる電子写真装置の構成等に応じてロール状、プレート状、ブロック状、球状、ブラシ状などの適宜な形態とすることができ、特に制限されるものではないが、通常は部材表面に上記最外樹脂層を有するロール状の導電ローラとすることが好ましく、例えば、図1(A)に示したように、シャフト1の外周に弾性層2を形成し、この弾性層2上に上述の最外樹脂層3を形成した導電ローラを例示することができる。
【0035】
この場合、上記シャフト1としては、金属或いはプラスチック製のシャフトを用いることができ、また部材の形態や導電部材が用いられる電子写真装置の機構などによってはこのシャフト1を省略することもできる。
【0036】
また、上記弾性層2を形成する弾性体も特に制限されず、感光ドラムや転写紙等の相手部材との良好な接触状態を得ることができる弾性体であればよく、公知のゴム或いは樹脂、又はこれらの発泡体(以下、「フォーム」という)で形成することができる。具体的には、ポリウレタン、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム等を基材ゴムとするゴム組成物が例示される。
【0037】
上記弾性層2には、導電剤を添加することにより、導電性を付与又は調整して所定の抵抗値とすることができる。その導電剤としては、特に限定されず、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等のハロゲン化ベンジル塩等の第四級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等の非イオン性帯電防止剤などの帯電防止剤、NaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaCl等のLi+、Na+、K+等の周期律表第1族の金属塩、あるいはNH4 +の塩などの電解質、また、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト、アンチモンドープの酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー等が挙げられる。この場合、これら導電剤の配合量は、組成物の種類や導電部材の種類などに応じて適宜選定され、特に制限されるものではないが、通常は弾性層の体積抵抗率が104〜109Ω・cm、好ましくは105〜107Ω・cmとなるように調整される。
【0038】
なお、この弾性層2の厚さは、部材の種類や形態、大きさ、層構成等に応じて適宜設定され、特に制限されるものではないが、図1(A)及び後述する図1(B)に示したようなロール状の導電部材の場合、通常2〜30mm、特に3〜20mm程度とすることが好ましい。
【0039】
ここで、上記弾性層2上に上記フッ素含有アクリルモノマーを含む樹脂を基材樹脂とする樹脂材料の塗料を上述の如く塗工して上記最外樹脂層3を形成する場合に、その塗料に用いられる溶媒は水系でも溶剤系でもよい。
【0040】
また、必要に応じて、図1(B)に示したように、上記最外樹脂層3と上記弾性層2との間に中間樹脂層4を設けることもできる。この場合、この中間樹脂層4を形成する樹脂は、特に制限されるもではないが、水系樹脂が好ましく用いられる。水系樹脂としては、溶媒が水であればどのようなタイプでも良く、水溶性タイプ、エマルジョンタイプ、サスペンションタイプ等があり、特にカルボキシル基、水酸基、アミノ基等の活性水素を持つ樹脂が好ましく用いられる。より具体的には、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、ポリジオキソラン等の温水可溶性系などが挙げられる。これらの中でもアクリル樹脂は、従来から導電部材用樹脂として汎用されてきたウレタン、ナイロン等に比べてかなり誘電率が小さいため、静電容量も小さくなり、交流印加による導電部材/感光体間の電気的引力・反発力が低減され、帯電音の発生が抑制されることから特に好ましく用いられる。とりわけアクリル樹脂の中でも、ガラス転移温度が−50〜10℃で、カルボキシル基、水酸基の含有率が2〜5重量%で、ソープフリーのエマルジョンタイプのものが、架橋効果がよく、かつ低硬度化できるため好ましく用いられる。
【0041】
また、この中間樹脂層4には、導電剤を添加して導電性を付与又は調整することができる。この場合、導電剤としては、上記弾性層2で例示したものと同様の導電剤を例示することができるが、中でもカーボンを用いることが好ましく、特に酸素含有量が5%以上、特に7%以上、更には9%以上であるものが好ましく、かつ、pHは5以上、特に6以上、更には7以上であることが好ましい。即ち、通常のカーボンの酸素含有量は、0.1〜3%程度であり、一部に酸化処理を施したカーボンも存在するが、この酸化処理を施したカーボンは酸素含有量が若干増加するにつれてpHが酸性側へとシフトしてしまう傾向があり、カーボンが酸性であると水系樹脂に添加した場合に安定性が低下するおそれがある。これに対して上記カーボンは、酸素含有量が多いにもかかわらず、中性ないしアルカリ性を維持したものであり、安定的に水系樹脂に添加し得るものである。また、カーボン表面にカルボキシル基、水酸基、ケトン基等の官能基を付加し、かつこれらの基が有する水素の一部をナトリウム等のアルカリ金属に置換させたものが好適に用いられる。なお、この特定の酸素含有量及びpH値を有するカーボンは、上記最外樹脂層3を水系塗料で形成する場合に、その最外樹脂層3に導電剤として添加配合するカーボンとしても好適に用いられる。
【0042】
この中間樹脂層4には、その目的を逸脱しない範囲で、造膜助剤、顔料分散剤、増粘剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤、構造粘性付与剤等の適宜な添加剤を必要に応じて適量添加することができる。
【0043】
なお、この中間樹脂層4は、上述のように、水系樹脂を用いて形成することが好ましいが、この水系樹脂以外の樹脂を含有していても差し支えなく、また必要に応じてこの中間樹脂層4を複数層形成することもできる。
【0044】
この中間樹脂層4の形成方法は、特に制限はなく、公知のディピング法、スプレー法、押出成形法などを採用することができるが、通常、各成分を溶剤に溶解又は分散した塗料を調製してディピング法により塗膜を形成する方法が好ましく用いられる。なお、この中間樹脂層4として組成の異なる層を複数層形成してもよい。
【0045】
以上のように、本発明の導電部材は、弾性層2上に上記中間樹脂層4を介して、又は直接上記最外樹脂層3を形成したものである。この場合、いずれの層構成及び用途であっても導電部材として適当な抵抗は、良好な画像を得るために体積抵抗が105〜1011Ωcmであることが好ましく、特には106〜1010Ωcmであることが好ましい。
【0046】
ここで、本発明の導電部材では、その表面の摩擦抵抗が小さいことが好ましく、特に制限されるものではないが、セルロース100%、30g/m2,70メッシュの布に100gfの荷重をかけて圧接した場合の該布に対する摩擦係数が1以下、特に0.6以下であることが好ましい。これにより、感光体等との摩擦に起因するトナー融着、感光体削れ、導電部材の削れなどをより確実に防止することができる。そして、上記最外層樹脂層を形成した本発明導電部材によれば、このような表面摩擦特性を容易に達成することができる。
【0047】
この場合、上記摩擦係数の測定は、図3に示した測定器により測定することができる。即ち、基台51上に設けられた可動ステージ52にセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布(ベンコットリントフリー)15を固定し、この布15上に被評価物の本発明導電部材14を接触させた状態に配置すると共に、加圧手段53により100gfの荷重をかけて、布15と導電部材14とを圧接させ、この状態で上記可動ステージ52を進退運動させることにより摩擦速度100mm/minで布15と導電部材14とを摩擦運動させ、このときの摩擦抵抗をロードセル54にて測定し、その摩擦抵抗値から上記布(ベンコットリントフリー)15に対する導電部材14の摩擦係数を求めればよい。なお、摩擦相手材として、セルロース100%、30g/m2,70メッシュの布(ベンコットリントフリー)を選択した理由は、現像部材、転写部材、クリーニング部材等の導電部材の表面性と最も相関があったことと、得られる摩擦係数の測定範囲が適当であったためである。
【0048】
【発明の効果】
本発明の導電部材は、部材表面を形成する最外樹脂層を、特定のフッ素含有ウレタン変性アクリル樹脂を基材樹脂として形成したことにより、感光体などの相手部材に対する張り付きや汚染といった不都合を生じることなく、かつ電圧印加を行わない非作動時にはトナーが付着しにくく、低い表面摩擦係数を有し、濃度ムラや地カブリなどのない高品質な画像が得られ、しかも長期の使用においても画質を低下させることのないものであり、電子写真装置の現像部材、転写部材、クリーニング部材等として用いることにより、良好な画像を安定的に得ることができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0050】
[実施例1](現像部材)
アクリル成分の割合が50重量%で、かつそのアクリルモノマーの30重量%がフッ素含有アクリルモノマーであるフッ素含有ウレタン変性アクリル樹脂(Tg:80)をメチルエチルケトン(MEK)溶媒に溶かし、さらにイソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように加えて塗料Aを調製した。
【0051】
金属製シャフトの外周に、導電剤(カーボンブラック)の添加により抵抗値を調整したイソプレンゴムからなる厚さ6mmの弾性層(体積抵抗率107Ω・cm)を形成してイソプレンゴムローラを作製した。このイソプレンゴムローラを上記塗料A中に浸漬し、乾燥することにより、上記イソプレンゴム弾性層上に約10μmの最外樹脂層Aを形成して、図1(A)と同様の層構成を有する現像ローラを作成した。
【0052】
得られたローラの表面粗さはJIS十点平均粗さRzで、3.7μmであった。また、図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は0.41であった。
【0053】
[実施例2](現像部材)
アクリル成分の割合が60重量%で、かつそのアクリルモノマーの40重量%がフッ素含有アクリルモノマーであるフッ素含有ウレタン変性アクリル樹脂(Tg:27)をMEK溶媒に溶かし、さらにシリカ粉末をウレタン樹脂100重量部に対して30重量部添加した後、イソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように添加し、塗料Bを調製した。
【0054】
実施例1と同様のイソプレンゴムローラを上記塗料B中に浸漬し、乾燥することにより、該ローラのイソプレンゴム弾性層上に約10μmの最外樹脂層Bを形成して、図1(A)と同様の層構成を有する現像ローラを作成した。
【0055】
得られたローラの表面粗さはJIS十点平均粗さRzで、6.5μmであった。また、図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は0.31であった。
【0056】
[比較例1](現像部材)
アクリル成分の割合が50重量%で、かつそのアクリルモノマーがフッ素を一切含有しないウレタン変性アクリル樹脂(アクリル部Tg:27)をMEK溶媒に溶かし、イソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように添加して、塗料Cを調製した。
【0057】
実施例1と同様のイソプレンゴムローラを上記塗料C中に浸漬し、乾燥することにより、該ローラのイソプレンゴム弾性層上に約10μmの最外樹脂層Cを形成して、図1(A)と同様の層構成を有する現像ローラを作成した。
【0058】
得られたローラの表面粗さはJIS十点平均粗さRzで、3.2μmであった。また、図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は2.15であった。
【0059】
[比較例2](現像部材)
アクリル成分の割合が50重量%で、かつそのアクリルモノマーがフッ素を一切含有しないウレタン変性アクリル樹脂(アクリル部Tg:50)をMEK溶媒に溶かし、さらにシリカ粉末をウレタン変性アクリル樹脂100重量部に対して30重量部添加した後、イソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように添加して、塗料Dを調製した。
【0060】
実施例1と同様のイソプレンゴムローラを上記塗料D中に浸漬し、乾燥することにより、該ローラのイソプレンゴム弾性層上に約10μmの最外樹脂層Dを形成して、図1(A)と同様の層構成を有する現像ローラを作成した。
【0061】
得られたローラの表面粗さはJIS十点平均粗さRzで、7.2μmであった。また、図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は1.07であった。
【0062】
上記実施例1,2及び比較例1,2の現像ローラについて、下記方法により感光体密着(粘着)、感光体汚染、トナー帯電性、トナー搬送性、耐久後の画像カブリ及び現像ローラ削れを評価した。結果を表1に示す。
【0063】
[感光体密着(粘着)、感光体汚染]
図2に示したプリンタカートリッジに被試験ローラを現像ローラとして装着し、40℃/80%RHの条件下に2週間放置し、感光ドラムと現像ローラとの密着性、及び感光ドラムの汚染を調べた。
[トナー帯電性]
図2に示したプリンタカートリッジに被試験ローラを現像ローラとして装着し、線速50mm/秒の周速で回転させ、現像ローラ表面に均一なトナー薄層を形成し、このトナー薄層を吸引してファラデーゲージ内に導入し、電荷量を測定した。
[トナー搬送性]
図2に示したプリンタカートリッジに被試験ローラを現像ローラとして装着し、線速50mm/秒の周速で回転させ、現像ローラ表面に均一なトナー薄層を形成し、このトナー薄層を吸引して重量測定することにより、トナー搬送量を調べた。
[耐久後の画像カブリ]
図2に示したプリンタカートリッジに被試験ローラを現像ローラとして装着し、現像バイアス電圧350Vとし、平均粒径7μmの非磁性一成分トナーを用いて、線速150mm/秒の周速で回転させながら反転現像で画像出しを行い、この画像出しを5000枚繰り返して、白地、ハーフトーン、黒地の各画像における画質(カブリの有無及び程度)を評価した。
[現像ローラ削れ]
上記耐久テスト後の被試験ローラを取り出し、そのローラ表面をビデオマイクロスコープで観察して、傷、削れの度合いを評価した。
【0064】
【表1】
評価基準
:極めて良好
○△:良好
△:普通
△×:あまりよくない
×:悪い
【0065】
上記表1の通り、フッ素含有アクリルモノマーを含有したウレタン変性アクリル樹脂により最外樹脂層を形成した実施例の現像ローラは、感光体汚染、感光体密着を生じることなく、またトナー帯電性、トナー搬送性に優れカブリのない良好な画像を確実に得ることができる優れた性能を有し、かつローラ削れを生じることなく長期に亘って良好な性能を維持し得る優れた耐久性を有するものである。これに対して、比較例の現像ローラは、感光体汚染、感光体密着が生じやすく、またトナーがローラ表面から離れ難いためフィルミングが発生し、トナー帯電性・搬送性の低下が起こりやすく、画像不良が発生する。更に、比較例にあっては、摩擦係数が大きいためローラ削れも発生している。
【0066】
[実施例3](転写部材)
アクリル成分の割合が50重量%で、かつそのアクリルモノマーの30重量%がフッ素含有アクリルモノマーであるフッ素含有ウレタン変性アクリル樹脂(Tg:80)をMEK溶媒に溶かし、さらにイソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように加えて塗料Eを調製した。
【0067】
金属製シャフトの外周に、導電剤(カーボンブラック)の添加により抵抗値を調整したウレタンフォームからなる厚さ6mmの弾性層(体積抵抗率107Ω・cm)を形成してウレタンフォームローラを作製した。このウレタンフォームローラを上記塗料E中に浸漬し、乾燥することにより、上記ウレタンフォーム弾性層上に約10μmの最外樹脂層Eを形成して、図1(A)と同様の層構成を有する転写ローラを作成した。
【0068】
図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は0.48であった。
【0069】
[比較例3](転写部材)
アクリル成分の割合が40重量%で、かつそのアクリルモノマーがフッ素を一切含有しないウレタン変性アクリル樹脂(Tg:50)をMEK溶媒に溶かし、さらにイソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように加えて塗料Fを調製した。
【0070】
実施例3と同様のウレタンフォームローラを上記塗料F中に浸漬し、乾燥することにより、該ローラのウレタンフォーム弾性層上に約10μmの最外樹脂層Fを形成して、図1(A)と同様の層構成を有する転写ローラを作成した。
【0071】
図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は1.55であった。
【0072】
上記実施例3及び比較例3の転写ローラを荷重1kgで感光ドラムに押圧し、温度50℃/湿度85%RHの環境下に2週間放置したところ、実施例3のローラには特に問題は生じなっかたのに対し、比較例3のローラと感光ドラムとの間では、両者の張付き及び汚染が生じていた。また、両転写ローラをレーザービームプリンタにセットして5000枚の画像出しを行ったところ、実施例3のローラでは特に問題は見られなかったが、比較例3のローラでは、ローラ表面上のトナー汚れなどにより、画像における文字中抜けや転写紙裏面の汚れが発生した。
【0073】
更に、上記画像出し前後のローラ表面の表面光沢度を下記方法で測定したところ、実施例3のローラでは画像出し前後での差が3.7であったのに対し、比較例3のローラでは画像出し後に光沢度が15.2も低下し、ローラ表面へのトナー付着による光沢度の大幅な低下が認められた。
光沢度の測定方法
ローラを長さ10cmに調製し、ローラ形に合わせてはめ込み可能な黒色固定台にローラを固定する。ヘイズ−グロスメーター(ビッグガードナー社製)の測定口にこのローラを表面が測定面となるように配置し、入射光角度85°(測定面積8×60mm)で表面光沢度を測定し、DIN67 530による黒色ガラス標準版の反射指数1.567を100とした値でローラの表面光沢度とする。
【0074】
[実施例4](クリーニング部材)
金属シャフトの外周に形成された厚さ3mmの導電性ウレタンフォームからなる弾性層(1×105Ω・cm)の表面に、厚さ100μmの下記中間樹脂層Gを形成し、更にその上に厚さ10μmの下記最外樹脂Hを形成して、図1(B)と同様の層構成を有するクリーニングローラを作成した。
【0075】
中間樹脂層G
水系アクリル樹脂にカーボンを添加した塗料Gをディピング法により塗布して形成し、体積抵抗率は5×107Ω・cmに調整した。
最外樹脂層H
アクリル成分の割合が60重量%で、かつそのアクリルモノマーの30重量%がフッ素含有アクリルモノマーであるフッ素含有ウレタン変性アクリル樹脂(アクリル部Tg:80)をMEK溶媒に溶かし、さらにイソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように加えて塗料Hを調製し、この塗料Hをディピング法により塗布して形成した。
【0076】
得られたローラの表面粗さはJIS十点平均粗さRzで、0.7μmであった。また、図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は0.30であった。
【0077】
上記クリーニングローラをプリンターカートリッジに装着し、温度40℃/湿度95%RHの環境下に2週間放置したところ、感光ドラムとの張付きは見られなかった。また、そのカートリッジを用いて画像出しを行ったところ良好な画像が得られ、更に連続8000枚画像出しを行っても、画像の劣化は見られなかった。更に、上記実施例3,比較例3と同様に画像出し前後の表面光沢度を測定したところ、画像出し前58.0、画像出し後55.3とほとんど変化なく、トナー付着がほとんどないことが認められた。
【0078】
[比較例4](クリーニング部材)
実施例5と同様の弾性層の表面に、実施例4と同様の中間樹脂層Gを形成し、更にその上に厚さ10μmの下記最外樹脂層Iを形成して、図1(B)と同様の層構成を有するクリーニングローラを作成した。
【0079】
最外樹脂層I
アクリル成分の割合が50重量%で、かつそのアクリルモノマーがフッ素を一切含有しないウレタン変性アクリル樹脂(Tg:27)をMEK溶媒に溶かし、さらにイソシアネート架橋剤をNCOインデックスが1.5となるように加えて塗料Iを調製し、この塗料Iディピング法により塗布して形成した。
【0080】
得られたローラの表面粗さはJIS十点平均粗さRzで、0.7μmであった。また、図3に示された測定器を用い、このローラを温度22℃/湿度50%RHの条件でセルロース100%、30g/m2,70メッシュの布を用いて摩擦試験を行ったところ摩擦係数は2.5であった。
【0081】
上記クリーニングローラをプリンターカートリッジに装着し、温度40℃/湿度95%RHの環境下に2週間放置したところ、感光ドラムとの張付きが発生した。また、そのカートリッジを用いて画像出しを行ったところ、感光ドラム周期で横方向に1本の筋模様の汚染が見られ、その画像出しにおいてはクリーニング不良による白地カブリが発生した。更に、上記実施例3,比較例3と同様に画像出し前後の表面光沢度を測定したところ、画像出し前が51.0であったのに対して、画像出し後は27.9と大きく低下し、トナー付着による表面光沢度の低下が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる導電部材を例示する概略断面図である。
【図2】本発明の導電部材を用いた電子写真装置の一例を示す概略図である。
【図3】導電部材表面の摩擦係数を測定する測定器の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 シャフト
2 弾性層
3 最外樹脂層
4 中間樹脂層
5 感光ドラム(潜像保持体)
6 現像ローラ(現像部材)
7 現像装置
8 転写紙
9 転写ローラ(転写部材)
11 クリーニングローラ(クリーニング部材)
12 クリーニング装置
13 定着器
Claims (7)
- 電子写真装置に使用される導電部材において、
弾性層と、該弾性層上に形成された少なくとも1層の樹脂層とを具備してなり、部材表面を構成する最外樹脂層が、ウレタン変性アクリル樹脂を基材樹脂として含有し、かつ該ウレタン変性アクリル樹脂中のアクリル樹脂成分の含有割合が50〜60重量%であり、更にこのアクリル樹脂成分のうち30〜40重量%のアクリルモノマーがフッ素を含有したものであることを特徴とする導電部材。 - 上記最外樹脂層が、2官能以上のイソシアネート架橋剤を含有するものである請求項1記載の導電部材。
- 上記最外樹脂層が、導電性粉体を含有するものである請求項1又は2に記載の導電部材。
- セルロース100%、30g/m2,70メッシュの布に100gfの荷重をかけて圧接した場合の該布に対する摩擦係数が1以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電部材。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電部材の表面に現像剤を担持して該現像剤の薄膜を形成し、この状態で静電潜像を表面に保持した潜像保持体に接触させて該現像剤を潜像保持体の表面の静電潜像に付着させることにより、該静電潜像を可視化させる現像装置を具備してなることを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電部材で転写紙を帯電させ、現像剤によって可視化された静電潜像から現像剤を転写紙に転写させる転写装置を具備してなることを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電部材により潜像保持体に残存する現像剤を除去するクリーニング装置を具備してなることを特徴とする電子写真装置。
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