JP3975228B2 - 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法 - Google Patents

着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3975228B2
JP3975228B2 JP2004198847A JP2004198847A JP3975228B2 JP 3975228 B2 JP3975228 B2 JP 3975228B2 JP 2004198847 A JP2004198847 A JP 2004198847A JP 2004198847 A JP2004198847 A JP 2004198847A JP 3975228 B2 JP3975228 B2 JP 3975228B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
color
colored
water
composition
plaster
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004198847A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004315363A (ja
JP2004315363A5 (ja
Inventor
陸男 姫野
Original Assignee
ヒメノイノベック株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=33479483&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP3975228(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by ヒメノイノベック株式会社 filed Critical ヒメノイノベック株式会社
Priority to JP2004198847A priority Critical patent/JP3975228B2/ja
Publication of JP2004315363A publication Critical patent/JP2004315363A/ja
Publication of JP2004315363A5 publication Critical patent/JP2004315363A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3975228B2 publication Critical patent/JP3975228B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、着色漆喰組成物について、着色漆喰塗膜の色飛びを抑制する方法に関する。
漆喰は、落ち着きのある重厚な仕上がり感に加えて、調湿性(吸湿性及び放湿性)、防カビ性及び防火性といった機能に優れているため、古くから建築の屋内外(壁や天井など)の塗り壁材として使用されている建築材料である。
従来漆喰の施工は、まず現場で原料である石灰と結合剤を水で混練りして材料を調製して行われるのが一般的である。しかし石灰、結合剤及び水の配合割合は、個々の左官業者の経験及び技量に応じて異なるため、業者による格差が出易く一定した品質が得られないという問題がある。このため、予め石灰と結合剤を混合しておき現場で水だけを配合すればよい形態(粉体混合漆喰組成物)、もしくは予め石灰、結合剤及び水を混合して現場で直ちに使用できる形態(既調製漆喰組成物、水含有漆喰組成物)のものが求められている。
また、漆喰は主原料である石灰の色に基づいて基本的には白色を有しているが(白漆喰)、近年、需要者のニーズの多様化に従って多彩な色に着色した色漆喰が求められるようになっている。しかしながら、一般に着色剤は石灰中で均一に分散されにくいため石灰に配合した場合に色分かれを生じやすく、これが着色漆喰塗膜の色むらの原因となることが指摘されている(例えば、特許文献1及び2参照のこと)。
なお、漆喰の着色に関する公知文献としては上記の特許文献(特許文献1及び2)を、また既調合済み漆喰に関する公知文献としては、例えば下記の特許文献3〜15などを挙げることができる。
特開平7−196355号公報 特開平9−156968号公報 実開昭56−7732号公報 実開昭56−65935号公報 実開平2−13645号公報 特開平7−51840号公報 特開平7−61840号公報 特許第3083519号公報 特許第3094227号公報 特開2000−313840号公報 特開2000−313841号公報 特開2000−313843号公報 特開2000−313844号公報 特開2001−187861号公報 WO02/04569
本発明は、かかる従来の漆喰の現場調製(用時調製)の問題及び漆喰の着色の問題を解決することを目的とする。具体的には、本発明は現場での調合や調色の手間を省いて簡単にまたは直ちに使用できるように予め石灰に結合剤と着色剤、または更に水を加えて調合した着色漆喰組成物であって、着色に関する従来の問題を解消する方法を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は漆喰組成物の着色方法、特に塗膜を形成した際の色飛びを有意に抑制することのできる漆喰組成物の着色方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、着色漆喰組成物について着色漆喰塗膜の色飛びを抑制する方法を提供することを目的とする。
色漆喰材料を、現場での調合や調色の手間を省いて簡便に使用できるように、予め石灰に結合剤及び着色剤、または更に水を配合した状態で市場に供給するには、石灰を主材料とする漆喰組成物を均一に着色し、かつその着色を安定に維持することが必要である。こうした組成物の不均一な着色及び色分かれは形成する塗膜の色むらや色差発生の原因の一つとなり、化粧塗材(仕上げ塗材)としての商品価値を著しく損なうことになる。
本発明者は、着色漆喰組成物、特に水を予め配合した着色漆喰組成物(水含有着色漆喰組成物)について不均一な着色や色分かれを防止し、色むらや色差を生じない着色塗膜の形成が可能な漆喰塗材の開発を目指して日夜研究を重ねていたところ、単に漆喰の主成分である石灰を着色顔料で着色するのではなく、石灰に白色顔料を組み合わせて、これを着色ベースとすることによって、漆喰組成物を均一かつ安定に着色することができることを見いだした。そして当該着色方法によると、塗膜を形成した場合でも色飛びや色むらが有意に抑制され、しかも重ね塗りした場合にも色差の殆どない着色漆喰塗膜が形成できるのを確認した。さらに本発明者は、特に上記方法によって着色した水含有着色漆喰組成物は、耐水性容器に充填して包装形態にした状態で色分かれが抑制された安定な着色状態を維持しており、当該形態で市場に安定して供給でき、また長期保存も可能であることを確認した。本発明はこれらの知見に基づいて開発されたものである。
すなわち、本発明は下記項1〜6に掲げる漆喰組成物の着色方法である:
項1.顔料として着色顔料と白色顔料とを組み合わせて配合することを特徴とする、石灰、結合剤及び水を含有する漆喰組成物の着色方法。
項2.石灰、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物を重ね塗りすることによって生じる着色漆喰塗膜の色差を抑制する着色方法である、項1に記載の漆喰組成物の着色方法。
項3.着色漆喰塗膜の乾燥後の色むらを抑制する着色方法である、項1に記載の漆喰組成物の着色方法。
項4.着色漆喰塗膜の色とびを抑制する着色方法である、項1に記載の漆喰組成物の着色方法。
項5.水含有漆喰組成物の均一着色法である、項1に記載の漆喰組成物の着色方法。
項6.水含有漆喰組成物を色分かれを抑制して着色する方法である、項1に記載の漆喰組成物の着色方法。
なお、上記項1〜6に掲げる着色方法には、下記の態様が包含される。また、下記の態様(a)〜(g)は上記各着色方法に1乃至複数組み合わせて用いることができる。
(a) 石灰として消石灰を用いる上記項1〜6のいずれかに記載の漆喰組成物の着色方法。
(b) 白色顔料として無機顔料を用いる上記項1〜6のいずれかに記載の漆喰組成物の着色方法。
(c) 白色顔料として酸化チタンを用いる上記項1〜6のいずれかに記載の漆喰組成物の着色方法。
(d) 着色顔料として無機顔料を用いる上記項1〜6のいずれかに記載の漆喰組成物の着色方法。
(e) 漆喰組成物にカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を配合する、上記項1〜6のいずれかに記載の漆喰組成物の着色方法。
(f) 漆喰組成物にノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を配合する、上記項1〜6のいずれかに記載の漆喰組成物の着色方法。
(g) 漆喰組成物にメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を配合する、上記項1〜6のいずれかに記載の漆喰組成物の着色方法。
当該本発明の漆喰組成物の着色方法は、前述するように、従来の着色漆喰組成物の問題であった着色漆喰塗膜特有の色むらや色飛びを抑制するために好適に用いられる。ゆえに、本発明の「漆喰組成物の着色方法」は、具体的には「着色漆喰塗膜の色むらを抑制する着色方法」または「着色漆喰塗膜の色飛びを抑制する着色方法」である。
漆喰組成物は、施工時(使用時)には必ず水を配合した状態で用いられる。上記項1に記載する本発明の着色方法が対象とする漆喰組成物は、施工時に石灰、結合剤及び水を含有した状態で用いられる漆喰組成物であって、市場に流通する漆喰組成物の形態の別を問わない。当該市場に流通する漆喰組成物の形態としては、具体的には石灰及び結合剤を含む粉体混合物であって使用時に水を配合して用いられるもの、及び石灰、結合剤及び水を含む既調合済みの漆喰組成物(水含有漆喰組成物)であって現場で直ちに使用されるものを挙げることができる。すなわち、前者の場合、石灰及び結合剤を含む粉体混合物を顔料として着色顔料と白色顔料とを組み合わせて着色する場合であっても、施工時に水を配合して用いられるものである以上、本発明の着色方法に含まれる。
本発明の漆喰組成物の着色方法は、水を配合した水含有漆喰組成物に対して、色分かれの発生を抑制して全体にわたって一様な色(均一)に着色する方法でもある。よって本明細書でいう「漆喰組成物の着色方法」は、「着色漆喰組成物の色分かれ抑制方法」とも言い換えることができる。
前述するように、上記の方法で着色した漆喰組成物によれば色飛びが抑制されて所望の色を一様に有する着色漆喰塗膜が形成できる。よって、本発明は下記に掲げる方法を提供するものである:
項9−1.塗膜形成に石灰、白色顔料、着色顔料、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物を用いることを特徴とする、着色漆喰塗膜の色飛びを抑制する方法。
項9−2.塗膜形成に石灰、酸化チタン、着色顔料、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物を用いることを特徴とする、着色漆喰塗膜の色飛びを抑制する方法。
項9−3.石灰、白色顔料、着色顔料、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物を用いて塗膜形成することを特徴とする、色飛びまたは色飛びによる白色化を抑制した着色漆喰塗膜の形成方法。
項9−4.石灰、酸化チタン、着色顔料、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物を用いて塗膜形成することを特徴とする、色飛びまたは色飛びによる白色化を抑制した着色漆喰塗膜の形成方法。
項9−5.着色漆喰組成物が、石灰に白色顔料または酸化チタンを混ぜた混合物をベースに、これを着色顔料で着色してなるものである、項9−1乃至9−4のいずれかに記載する方法。
項9−6.均一な色目を有する着色漆喰塗膜を形成する方法である項9−1乃至9−5のいずれかに記載する方法。
項9−7.項9−1乃至9−6のいずれかに記載する方法で形成された、色飛びまたは色飛びによる白色化が抑制されてなる着色漆喰塗膜。
項9−8.項9−1乃至9−6のいずれかに記載する方法で形成された、色飛びまたは色飛びによる白色化が抑制されて、均一な色目を有する着色漆喰塗膜。
なお、上記に掲げる方法には、それぞれ下記の態様が包含される。また、下記の態様(a)〜(d)は上記の各方法に1乃至複数組み合わせて用いることができる。
(a) 石灰が消石灰である上記のいずれかに記載する方法。
(b) 白色顔料として無機顔料を用いる上記のいずれかに記載する方法。
(c) 白色顔料として酸化チタンを用いる上記のいずれかに記載する方法。
(d) 着色顔料として無機顔料を用いる上記のいずれかに記載する方法。
また本発明は、水含有漆喰組成物の着色を安定に維持した形態物に関する。具体的には本発明は下記項10〜11に掲げる漆喰包装体である:
項10.項1乃至6のいずれか1項に記載される着色方法によって着色された着色漆喰組成物が、耐水性容器に充填され、気密状態で収容されてなる漆喰包装体。
項11.着色漆喰組成物が耐水性容器に脱気充填して密封されてなる、項10に記載の漆喰包装体。
なお、当該漆喰包装体には、下記の態様が包含される。また下記の態様(a)〜(j)は上記項10または11の漆喰包装体に1乃至複数組み合わせて用いることができる
(a) 着色漆喰組成物に用いられる石灰が消石灰である上記項10または11に記載する漆喰包装体。
(b) 着色漆喰組成物に用いられる白色顔料が無機顔料である上記項10または11に記載の漆喰包装体。
(c) 着色漆喰組成物に用いられる白色顔料が酸化チタンである上記項10または11に記載する漆喰包装体。
(d) 着色漆喰組成物に用いられる着色顔料が無機顔料である上記項10または11に記載の漆喰包装体。
(e) 着色漆喰組成物が、さらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有するものである、上記項10または11に記載する漆喰包装体。
(f) 着色漆喰組成物が、さらにノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を含有するものである、上記項10または11に記載する漆喰包装体。
(g) 着色漆喰組成物が、さらにメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を含有するものである、上記項10または11に記載する漆喰包装体。
(h) 耐水性容器が二酸化炭素バリア性の容器である、上記項10または11に記載する漆喰包装体。
(i) 耐水性容器が水蒸気バリア性の容器である、上記項10または11に漆喰包装体。
(j) 耐水性容器が着色漆喰組成物と接触する少なくとも内側面が耐アルカリ性を有するものである上記項10または11に漆喰包装体。
(1)漆喰組成物の着色方法
(1-1) 本発明は、石灰、結合剤及び水を含有した状態で用いられる漆喰組成物を色分かれなく一様に着色する方法である。また、本発明は石灰、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物(水含有着色漆喰組成物)によって形成される着色漆喰塗膜の色飛びを抑制するために好適に用いられる漆喰組成物の着色方法である。
(1-2) 当該方法は、上記漆喰組成物の着色に着色顔料と白色顔料とを組み合わせて用いることによって達成することができる。本発明は、漆喰組成物の着色に際して、漆喰の主成分である石灰に白色顔料を組み合わせて、これをベースとして着色顔料で着色するという発想に基づくものである。
(1-3) ここで用いる石灰としては、漆喰材料として使用される石灰を広く挙げることができる。具体的には酸化カルシウムを主成分とする生石灰,及び水酸化カルシウムを主成分とする消石灰を挙げることができる。なお、これらの石灰としては、建築・土木部材などの廃材から再生された石灰を使用することもできる。これらの石灰は1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは消石灰である。なお、ここで生石灰及び消石灰とはそれぞれ主成分として酸化カルシウム及び水酸化カルシウムを含有する石灰を意味し、その限りにおいて他成分として炭酸カルシウム(カルサイト,アラゴナイト,バテライト,塩基性炭酸カルシウム及び非晶質炭酸カルシウムなどの沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)及びドロマイト(CaMg(CO3)2)などを含有していることを特に妨げるものではない。また、消石灰は他成分として生石灰(酸化カルシウム)を、生石灰は他成分として消石灰(水酸化カルシウム)を含んでいても良い。
(1-4) 漆喰組成物に配合する上記石灰の割合は、特に制限されないが、最終漆喰組成物(着色漆喰組成物)の固形分100重量%あたりの石灰の配合割合として通常15〜95重量%の範囲から適宜選択することができる。より具体的な配合割合としては15〜75重量%、好ましくは30〜70重量%、より好ましくは40〜70重量%、さらに好ましくは45〜65重量%を例示することができる。
(1-5) 上記石灰と組み合わせて用いられる白色顔料としては、有機顔料及び無機顔料の別を問わないが、好ましくは無機の白色顔料である。具体的には酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料を挙げることができる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは酸化チタン、または酸化チタンと他の白色顔料との組み合わせである。酸化チタンは、白色顔料としての使用態様を備えるものであれば、ルチル形、アナタース形及びブルッカイト形のいずれも使用することができるが、好ましくはルチル形である。なお、酸化チタンは分散性や耐久性などの性能の向上を目的としてAl23・nH2OやSiO2・nH2O等の含水金属酸化物などで表面処理されていてもよい。
(1-6) 白色顔料の粒子径は、特に制限されないが、例えば0.01〜0.5μm、好ましくは0.1〜0.5μmを例示することができる(電顕法による一次粒子経)。
(1-7) 白色顔料の配合割合は、本発明の効果を奏するものであればよく、特に制限されない。好ましくは最終漆喰組成物(着色漆喰組成物)に含まれる石灰100重量部に対して少なくとも0.1重量部であり、より好ましくは0.5重量部以上、さらに好ましくは1重量部以上、よりさらに好ましくは5重量部以上である。白色顔料の割合が多いほどその効果が顕著に奏されるので好ましいが、経済性やその他の観点から、通常0.1〜50重量部、0.5〜40重量部、1〜30重量部、5〜25重量部、または8〜20重量部の範囲を例示することができる。なお制限はされないが、最終漆喰組成物の固形分100重量%あたりの配合割合として、固形換算で例えば0.05〜40重量%、好ましくは0.25〜30重量%、より好ましくは0.5〜25重量%、さらに好ましくは2.5〜20重量%、よりさらに好ましくは4〜15重量%を例示することができ、これらの範囲を目安にして適宜調整することができる。
(1-8) 漆喰組成物に配合する着色顔料としては、白以外の有色顔料であれば、特に制限されない。また、本発明の効果を奏することを限度として有機顔料及び無機顔料の別を問わない。具体的にはカーボンブラックや酸化鉄(鉄黒)等の黒色顔料:カドミウムレッド,べんがら(赤色酸化鉄),モリブデンレッド、鉛丹等の赤色顔料:黄鉛(クロムイエロー),チタンイエロー,カドミウムイエロー,黄色酸化鉄(黄鉄),タン,アンチモンイエロー,バナジウムスズイエロー,バナジウムジルコニウムイエローの黄色顔料:酸化クロム,ビリジアン,チタンコバルトグリーン,コバルトグリーン,コバルトクロムグリーン,ビクトリアグリーン、フタロシアニングリーン等の緑色顔料:または群青,紺青,コバルトブルー,セルリアンブルー,コバルトシリカブルー,コバルト亜鉛シリカブルー等の青色顔料などを例示することができる。好ましくは、耐アルカリ性の着色顔料であり、より好ましくは、黒色酸化鉄(鉄黒)、べんがら(赤色酸化鉄)、または黄色酸化鉄(黄鉄)などの酸化鉄や群青等の酸化金属、またはカーボンブラックを主成分とする着色顔料である。なお、これらは1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせてもよく、所望の色になるように組み合わせや配合割合を適宜調整することができる。
(1-9) また、着色顔料の配合割合は、使用する着色顔料の種類や希望する着色の色によって適宜調整することができ、特に制限はされない。通常、着色漆喰組成物に含まれる白色顔料100重量部に対して0.01重量部以上、例えば0.01〜100重量部の範囲から適宜選択して用いることができる。例示を挙げれば0.05〜100重量部、0.1〜80重量部、0.1〜50重量部、0.2〜40重量部、0.5〜30重量部の範囲を挙げることができる。
(1-10) また漆喰組成物の成分として用いる結合剤としては、石灰同士の初期接着を高めたり、また漆喰塗材の施工面に対する付着力を高める性質を有するものであればよく、天然糊料(フノリ、海藻糊、銀杏糊など)、合成糊料(化学糊)並びに合成樹脂をそれぞれを任意に使用することができる。なお、合成樹脂としては水溶性又は水分散性樹脂が好ましく、具体的にはスチレン−アクリルエステル,スチレン−アクリロニトリル及びスチレン−アクリルアミド−アクリル酸エチルなどのスチレン/アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステルや酢酸ビニル−メタクリル酸エステル等の酢酸ビニル/アクリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル等のブタジエン/アクリル共重合体、塩化ビニル/アクリル共重合体、塩化ビニリデン/アクリル共重合体、ベオバ/アクリル共重合体、アクリル共重合体、塩化ビニル/エチレン共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル/ベオバ共重合体、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/ベオバ共重合体、酢酸ビニル/フマール酸エステル(例えば酢酸ビニル/フマール酸ジブチル等)、酢酸ビニル/マレイン酸エステル(例えば酢酸ビニル/マレイン酸ジブチル等);ベオバ/エチレン、アクリル変性・アルキド樹脂、アクリル変性・酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂等のビニル系合成樹脂またはポリウレタン樹脂を例示することができる。耐候性の観点から、好ましくはアクリル系の樹脂である。かかるものとしては特許第3094227号公報に記載される(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、または(メタ)アクリロニトリルの少なくとも1つをモノマー成分として構成される重合体(ホモポリマー、コポリマー)を例示することができる(特許第3094227号公報、段落[0015]〜[0017]参照。当該特許公報の記載は本発明の明細書の記載として援用される)。
(1-11) 漆喰組成物に配合する上記結合剤の割合は、特に制限されないが、例えば、最終着色漆喰組成物の固形分100重量%あたりの結合剤の配合割合としては固形換算で通常2〜50重量%の範囲を挙げることができる。好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
(1-12) 本発明の漆喰組成物に配合される水の割合は特に制限されない。好ましくは最終の水含有着色漆喰組成物100重量%あたり水が10〜70重量%の割合で含まれるような範囲から適宜選択することができる。この場合、水含有着色漆喰組成物は固形分が30〜90重量%の割合になるように調製される。より具体的には、例えば水含有着色漆喰組成物をスプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適した形態(所謂、塗料形態)に調製する場合には通常水が30〜60重量%、好ましくは35〜50重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。また水含有着色漆喰組成物を鏝塗りに適した形態(所謂、塗材形態)に調製する場合には通常水が10〜40重量%、好ましくは20〜35重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。
(1-13) 漆喰組成物の着色(調色)は、基本的に上記の各成分を混合して塗材または塗料の常套方法、例えば調合用機器(ミキサー、シェーカー、ミル、ニーダーなど)等を用いて混合することにより実施することができる。このとき、使用用途や塗工方法に応じて適宜所望の粘度に調整することもできる。また、使用時に水を配合して用いられる態様の漆喰組成物の場合は、水以外の上記成分として好ましくは粉体物を用いることが好ましく、これらの水以外の成分を混合して着色した後に、水を配合して調製することができる。
(1-14) 上記水を配合した着色漆喰組成物の粘度は、塗料または塗材として使用できる粘度であれば特に制限されない。拘束はされないが、水含有漆喰組成物をスプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適するように調製する場合は、25℃で300cps以上、好ましくは300〜10,000cps、より好ましくは700〜10,000cpsの範囲を、また鏝塗りに適するように調製する場合は25℃で2,000〜30,000cps、好ましくは5,000〜20,000cpsの範囲となるように調製することができる。漆喰組成物の粘度調整は、固形分含量(水分含量)を調節したり、結合剤の種類やその配合割合を調節したり、また必要に応じてさらに増粘剤を配合して調節してもよい。
(1-15) ここで増粘剤は、水との相溶性がよく水溶性または水分散性を有し、さらに漆喰組成物の主成分である石灰と相溶性のあるものが好適に使用される。具体的にはカチオン性またはノニオン性の親水性高分子化合物を例示することができる。
(1-16) カチオン性の親水性高分子化合物としては、第4級アンモニウム塩基やアミノ基等のカチオン性の親水性基を有するものを広く挙げることができる。具体的にはアミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩(共)重合体、ポリアミノメチルアクリルアミドの塩若しくは第4級アンモニウム塩、アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミド共重合体の塩もしくは第4級アンモニウム塩、ポリアミノメチルアクリルアミドの塩若しくは4級塩、キトサンの塩酸塩,硫酸塩若しくは酢酸塩、カチオン化デンプン、ポリエチレンイミン、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物の共重合物、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化グアガム、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化デンプンなどが例示される。
(1-17) またノニオン性の親水性高分子化合物としては、水酸基、エーテル基、アミド基等の非イオン性の親水性基を有するものを広く挙げることができる。具体的にはポリビニルアルコール、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のホルマリン縮合物、ポリエチレンポリアミンプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール共重合物、ポリグリコールエステル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物;グアガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラヤガム、クリスタルガム、プルラン、キサンタンガムのガム剤;メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が例示される。
(1-18) 好ましくは、漆喰組成物中に存在し得る例えば石灰などの電解性物質の挙動に影響を与えず、その存在に関わらず使用できる点から、ノニオン性の親水性高分子化合物である。中でも好ましくはセルロース誘導体である。
(1-19) また、増粘剤として水酸基を有する親水性高分子化合物を用いることもできる。
(1-20) ここで水酸基を有する親水性高分子化合物として、具体的には燐酸デンプン、カチオン化デンプン、デンプン/アクリル酸/アクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化デンプンなどのデンプン類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、カラギーナン、アルギン酸またはその塩、キトサンまたはその塩、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化グアガム、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、カードラン、プルラン、キチン、タマリンドシードガム、デキストラン、デキストリンなどの多糖類;ポリビニルアルコール;グリセリンやポリエチレングリコールなどの多価アルコールなどを例示することができる。
(1-21) 好ましくは、水酸基を有するノニオン性の親水性高分子化合物である。かかるものとして、具体的には、ポリビニルアルコール、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のホルマリン縮合物、ポリエチレンポリアミンプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール共重合物、ポリグリコールエステル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物;グアガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラヤガム、クリスタルガム、プルラン、キサンタンガム等のガム剤;メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が例示される。好ましくは、メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体である。
(1-22) なお、制限はされないが、セルロース誘導体が、メトキシル基またはエトキシル基を有するものである場合、その置換度(セルロースのグルコース環単位あたり、メトキシル基またはエトキシル基で置換された水酸基の平均個数)としては1〜2.5、好ましくは1.3〜2を好適に例示することができる。また、ヒドロキシプロポキシル基またはヒドロキシエトキシル基を有するものである場合、その置換モル数(セルロースのグルコース環単位あたりに付加したヒドロキシプロポキシル基またはヒドロキシエトキシル基の平均モル数)としては0.1〜0.8、好ましくは0.1〜0.5、より好ましくは0.15〜0.3を挙げることができる。
(1-23) 上記の各親水性高分子化合物は、分子量を特に制限するものではないが、好ましくは2%水溶液(20℃)の粘度に換算して、約3,000〜20,000mPa・s、好ましくは約4,000〜15,000mPa・sを有するものである。かかるものとして、制限はされないが、分子量が1000〜100万の範囲にある親水性高分子化合物を適宜選択して使用することができる。好ましくは5000〜100万、より好ましくは1万〜100万、さらに好ましくは10万〜50万の分子量を有するものを使用することができる。
(1-24) 漆喰組成物に配合する上記各種の親水性高分子化合物の割合は、特に制限されず、最終組成物である着色漆喰組成物の固形分100重量%あたりに含まれる割合として固形換算(総量)で通常0.01〜3重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは0.03〜2重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。なお制限はされないが、水含有着色漆喰組成物100重量%中に親水性高分子化合物が0.003〜2.5重量%、好ましくは0.009〜1.5重量%、より好ましくは0.015〜1.5重量%、さらに好ましくは0.03〜0.8重量%の割合となるように調整することが望ましい。
(1-25) 上記の親水性高分子化合物によれば、石灰、白色顔料、着色顔料、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物の粘度を調整することができるとともに、水中での石灰の凝集並びにそれによる固液分離(固形分の沈殿や離水)をより有効に防止することができる。
(1-26) また他の増粘剤としてセメントやコンクリートの分野で使用される増粘剤の中から本発明の効果を妨げないものを任意に選択し使用することもできる。好ましくは電解性のない非イオン性の増粘剤である。
(1-27) さらに本発明が対象とする漆喰組成物には、その他の任意成分として、本発明の効果を妨げない範囲で、体質顔料、油、スサなどの繊維、光触媒、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、凍結融解安定剤、皮膜形成助剤、レオロジー調整剤、充填剤、pH調整剤、イオン交換樹脂、界面活性剤、可塑剤、減水剤、防腐剤、抗菌剤、流動化剤、防水剤、凝結剤又は凝結促進剤等を配合することもできる。
(1-28) ここで体質顔料としては、タルク,カオリンクレー,水酸化アルミニウム,炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質(沈降性)炭酸カルシウム),ベントナイト,硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウム、バライト粉)、ホワイトカーボン、シリカなどを例示することができる。
(1-29) 油としては、従来漆喰材料に使用されている油を広く使用することができ、例えば菜種油、亜麻仁油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボガド油、月見草油、大豆油、トウモロコシ油、落花生油、綿実油、胡麻油、コメ油、ナタネ油、オリーブ油、ヒマシ油、エマ油、キリ油、ニガー種子油、カポック油、紅花油、むらさき種子油、サクラソウ種子油、ツバキ油等の各種の植物油を挙げることができる。
(1-30) 光触媒としては光触媒活性を有する酸化物を例示することができる。かかる光触媒活性を有する酸化物としては、酸化チタン、酸化ルビジウム、酸化コバルト、酸化セシウム、酸化クロム、酸化ロジウム、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化第二鉄、三酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ルテニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化モリブデン、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化ニオブ及び酸化タンタルなどの無機酸化物が例示できる。
(1-31) 顔料分散剤及び湿潤剤としては、いずれも通常塗料や塗材に配合して用いられるものの中から適宜選択することができ、例えばアルキルナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物、低分子ポリアクリル酸アンモン、低分子量スチレン−マレイン酸アンモン共重合体、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルやアルキルフェノールエーテル、スルホコハク酸誘導体、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとのブロックポリマーなどを例示することができる。
(1-32) 消泡剤としては、通常塗料、塗材や建築用吹き付け材に配合して用いられるものの中から適宜選択することができる。例えば、オクチルアルコール、グリコール誘導体、シクロヘキサン、シリコン、プルロニック系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の各種の抑泡剤及び破泡剤を挙げることができる。
(1-33) 充填剤としては、例えば珪砂、寒水砂、パーライト,バーミキュライト,シラス球及び汚泥焼成骨材などの再生骨材等の無機質骨材(細骨材)の他、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ギブサイト、マイカ、セラミックサンド、ガラスビーズ、パーライト、酸性白土、陶石、ロウ石、長石、石灰石、石膏、ドロマイト、マグネサイト、滑石、トルマリンなどの天然無機質材料;水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、天然カルシウム等の水不溶性金属水酸化物;トベルモナイトやゾノトライト等のケイ酸カルシウム系水和物;カルシウムアルミネート水和物、カルシウムスルホアルミネート水和物等の各種酸化物の水和物;アルミナ、シリカ、含水ケイ酸、マグネシア、酸化亜鉛、スピネル、合成炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウムなどの合成無機質などの粉末状、繊維状もしくは粒状の無機材料を挙げることができる。
(1-34) 防水剤としては、特に制限されないが、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、オルガノアルコキシシラン等を例示することができる。
(1-35) 凝結剤又は凝結促進剤としても特に制限されない。例えば、漆喰組成物中に硫酸カルシウムを含む場合は、該硫酸カルシウムの水和硬化性発現を補助もしくは増強する作用を有するものを使用することが好ましい。かかる作用を有するものとして、具体的には硫酸カリウム、ミョウバン、二水セッコウの微粉末、シュウ酸などの有機酸などが例示できる。
(1-36) 斯くして調製される着色漆喰組成物は、後記の実験例に示すように、石灰に白色顔料を混ぜてこれをベースに着色顔料で着色することによって、色分かれなく組成物全体にわたり一様に且つ安定に着色されている。なお、着色漆喰組成物が色分かれなく組成物全体にわたり一様に着色(均一着色化)されているか否かの判断は、水を配合して調製した着色漆喰組成物(水含有漆喰組成物)を透明容器(または透明袋)にいれてかき混ぜながら、または放置した後に目視で判断することもできる。また、調製した水含有着色漆喰組成物を基板に塗工(塗装)し、形成された塗膜について色むらの有無を観察することによっても判断することができる。
(1-37) 本発明の方法によって、均一でしかも安定した着色が施された水含有着色漆喰組成物は、実験例1及び3等で示すように色むらや、重ね塗りによる下塗面と上塗面との色差(塗膜面の色度、色彩、色相または色調の差)の発生が抑制されてなる着色漆喰塗膜の形成に有効に使用することができる。ゆえに、本発明の着色方法は、同時に着色漆喰塗膜の乾燥後の色むらを抑制する着色方法、並びに水含有着色漆喰組成物を重ね塗りすることによって生じる色差を抑制する着色方法でもある。また、実験例2及び3で示すように、本発明の方法によって着色された水含有着色漆喰組成物を用いることにより、着色漆喰塗膜特有の色飛びによる白色化を有意に抑制することができる。ゆえに、本発明の着色方法は同時に着色漆喰塗膜の色飛びまたはそれによる白色化を抑制する着色方法でもある。なお実験例3等に示すように、着色漆喰塗膜の色飛びを抑制することによって着色漆喰塗膜の経時的な色むら発生や重ね塗りによる色差発生という問題も同時に解消する。このことから、着色漆喰塗膜に顕著に見られる色むらや重ね塗りによる色差発生という現象は、漆喰の主成分である石灰、特に消石灰が強アルカリであることに基づいて生じる着色漆喰塗膜の色飛び、及び色飛びによる白色化(石灰の白色が浮きたつ現象)が原因であると考えられる。
(1-38) 本発明の方法で着色される水含有着色漆喰組成物は、好適には色むらや重ね塗りによる色差(特に、色飛びによる白色化を原因とした色むらや重ね塗りによる色差発生)が化粧塗材(仕上げ塗材)としての商品価値を損なわない程度に抑制されてなるものであるが、白色顔料を併用することによって、白色顔料を用いない場合よりも色むらや重ね塗りによる色差発生に対する抑制効果、特に色飛びを原因とした色むらや重ね塗りによる色差発生に対する抑制効果が認められる限り、本発明の技術的範囲に属するものである。
(2)水含有着色漆喰組成物の重ね塗りによる色差発生抑制方法
(2-1) 上記(1-37)で述べるように、(1)に記載する本発明の方法によって着色された水含有着色漆喰組成物は、重ね塗りしても着色漆喰塗膜での色差発生が有意に抑制されて塗り継ぎの目立たない、均一な色を有する着色漆喰塗膜を形成するために有効に使用することができる。よって、本発明は別の角度から、石灰を主成分とする水含有着色漆喰組成物について、重ね塗りによって生じる着色漆喰塗膜の色差発生を抑制する方法を提供するものである。
(2-2) 当該方法は、漆喰組成物の着色方法として(1)で詳述する方法を採用することによって達成することができる。具体的には、石灰、白色顔料、結合剤、及び水を含有する漆喰組成物を着色顔料を用いて着色することによって実施することができる。言い換えれば、本発明は、着色漆喰塗膜形成に用いる水含有着色漆喰組成物として、石灰、白色顔料、着色顔料、結合剤及び水を混合して調製された組成物を用いることによって実施することができる。
(2-3) ここで水含有漆喰組成物の着色(着色漆喰組成物の調製)に使用される石灰及び結合剤の種類や配合量、白色顔料及び着色顔料の種類や配合量、水の割合及び調合方法などは前述(1)に記載のものを同様にして用いることができる((1-3)〜(1-14)等参照)。また、水含有着色漆喰組成物に配合し得る他の成分についても、前述(1)の記載と同様のものを用いることができる((1-15)〜(1-35)参照)。
(2-4) また、水含有着色漆喰組成物の塗工方法も特に制限されず、塗材や塗料の塗工に使用される通常の方法〔刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗り(エアレスガン、エアスプレー)〕を同様に利用することができる。
(3)着色漆喰塗膜の色むら抑制方法
(3-1) 石灰はpHが約9.5〜12.6とアルカリ性の強い成分である。このため、石灰を主成分とする漆喰組成物は、耐アルカリ性の着色顔料を使用した場合でも均一な着色が難しく、また形成された着色漆喰塗膜も乾燥によってまた経時的に色褪せや色飛びを生じやすい(実験例1〜3等参照)。そして、それが色むらの原因になると考えられる。
(3-2) 上記(1-37)で述べるように、(1)に記載する本発明の漆喰組成物の着色方法は、こうした着色漆喰塗膜の色むらの抑制に有効に使用することができる。よって、本発明は別の角度から、石灰を主成分とする着色漆喰塗膜について色むらの発生を抑制する方法を提供するものである。
(3-3) 当該方法は、着色漆喰塗膜の形成に用いる水含有漆喰組成物の着色方法として(1)で詳述する方法を採用することによって達成することができる。具体的には、石灰、白色顔料、結合剤、及び水を含有する漆喰組成物を着色顔料を用いて着色することによって実施することができる。言い換えれば、本発明は、石灰、白色顔料、着色顔料、結合剤及び水を混合して調製することで着色された水含有着色漆喰組成物で塗膜形成することによって実施することができる。斯くして、色むらのない着色漆喰塗膜が形成できるとともに、経時的に生じる色飛びによって生じる不均一な色褪せを抑制することによって色むらの発生を有意に抑制することができる。
(3-4) ここで塗膜形成に用いる水含有着色漆喰組成物の調製に使用する石灰、白色顔料、着色顔料、及び結合剤の種類や配合割合、水の割合及び調合方法などは、前述の(1)に記載の通りである((1-3)〜(1-14)等参照)。また、水含有着色漆喰組成物に配合し得る他の成分についても、前述(1)の記載と同様のものを用いることができる((1-15)〜(1-35)参照)。
(3-5) また、水含有着色漆喰組成物の塗工方法も特に制限されず、塗材や塗料の塗工に使用される通常の方法〔刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗り(エアレスガン、エアスプレー)〕を同様に利用することができる。
(3-6) なお、理論に拘束されるものではないが、本発明による着色漆喰塗膜の色むら抑制効果は、石灰と白色顔料の混合物をベースに着色することによって、施工に用いる水含有漆喰組成物を均一にかつ安定に着色することができ、しかもそれによって形成された着色漆喰塗膜の乾燥時、及び経時的な水蒸散に伴って生じ得る着色顔料の遊離(色飛び)が有意に抑制された結果によるものと推論することができる。
(3-7) 本発明の方法は、色むらが抑制されて一様の色を有する着色漆喰塗膜の形成に有効に利用することができる。
(4)着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法
(4-1) 前述するように、石灰はpHが約9.5〜12.6とアルカリ性の強い成分であるため、石灰を主成分とする漆喰組成物は、耐アルカリ性の着色顔料を使用した場合でも均一な着色が難しく、また形成された着色漆喰塗膜も乾燥によってまた経時的に色飛び(白色化)を生じやすい(実験例2及び3参照)。かかる色飛びは、着色漆喰塗膜の乾燥時並びに経時的な色むらの原因となる。また、着色漆喰塗膜の色飛び並びに色飛びによる塗膜の白色化(着色漆喰塗膜に石灰の白色が浮きたつ現象)は、水含有着色漆喰組成物を重ね塗りした際に特に顕著であり、塗り重ねて塗工する場合の色差発生の原因となる(実験例3)。
(4-2) 上記(1-37)で述べるように、(1)に記載する本発明の方法によって着色された水含有着色漆喰組成物は、着色漆喰塗膜の色飛びの抑制に有効に使用することができる。よって、本発明は別の角度から、石灰を主成分とする着色漆喰塗膜について色飛び、並びにそれによる着色漆喰塗膜の白色化を抑制する方法を提供するものである。
(4-3) 当該方法は、水含有漆喰組成物の着色方法として(1)で詳述する方法を採用することによって達成することができる。具体的には、石灰、白色顔料、結合剤、及び水を含有する漆喰組成物を着色顔料を用いて着色することによって実施することができる。言い換えれば、本発明は石灰、白色顔料、着色顔料、結合剤及び水を混合して調製することで着色された水含有着色漆喰組成物で塗膜形成することによって実施することができる。斯くして本発明によれば、順次塗り継ぎながら塗工する場合や、1回塗りと2回塗りまたは補修塗りなどといった重ね塗りをした場合でも、下塗り面と上塗り面との間に生じ得る色差(特に塗り重ね面と他面との間に生じる色差)を有意に抑制することができる。
(4-4) ここで塗膜形成に用いる水含有着色漆喰組成物の調製に使用する石灰、白色顔料、着色顔料、及び結合剤の種類や配合割合、水の割合及び調合方法などは、前述の(1)に記載の通りである((1-3)〜(1-14)等参照)。また、水含有着色漆喰組成物に配合し得る他の成分についても、前述(1)の記載と同様のものを用いることができる((1-15)〜(1-35)参照)。
(4-5) また、水含有着色漆喰組成物の塗工方法も特に制限されず、塗材や塗料の塗工に使用される通常の方法〔刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー塗り(エアレスガン、エアスプレー)〕を同様に利用することができる。
(4-6) なお、理論に拘束されるものではないが、本発明による着色漆喰塗膜の重ね塗りによる色差発生の抑制効果は、石灰と白色顔料の混合物をベースに着色顔料で着色することによって、施工に用いる水含有漆喰組成物を均一にかつ安定に着色することができ、しかも形成した着色漆喰塗膜の乾燥時の水蒸散に伴って生じ得る着色顔料の遊離(色飛び)が有意に抑制された結果によるものと推論することができる。
(5)着色漆喰組成物の安定化法
本発明の方法によって着色された水含有漆喰組成物は、耐水性容器に充填し気密状態で収容されることによって安定に維持することができる。
(5-1) ここで水含有着色漆喰組成物を収容するために使用される容器は、耐水性であることが必須であるが、可撓性を有していることが好ましい。さらに漆喰組成物に含まれる水酸化カルシウムの二酸化炭素吸収による固化を防止するためには、二酸化炭素バリア性を有していることが好ましい。かかる二酸化炭素バリア性を有する容器としては、容器内に収容された水含有着色漆喰組成物が悪影響(固化)を受けない程度に二酸化炭素透過抵抗性を有するものであればよい。例えば、通常の塗料用容器の他、可撓性容器を構成するフィルムもしくはシートからなる容器も素材及びその厚さを適宜選択することによって用いることができる。
(5-2) 後者の場合、一般に二酸化炭素バリア性素材として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、各種の(ポリ)塩化ビニリデンコートフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)コートフィルム、ポリエステル(特にPVDCコートポリエステル)、ナイロン(特にPVDCコートナイロン)、ポリビニルアルコール、ビニロン、塩化ビニリデン、セロハン(ラッカーコートセロハン、ポリマーコートセロハン)、アルミ箔ラミネートフィルム、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機物質の蒸着フィルムなどの合成樹脂が知られている。本発明においては、特に制限されることなく二酸化炭素バリア性のあるフィルムを任意に選択して使用することができる。なお、一般に、本発明が対象とする水含有着色漆喰組成物を耐水性容器に気密状態で収容し、常温(20±5℃)で少なくとも1ヶ月間保存した場合に、内部の漆喰組成物に硬化が認められない場合は、当該容器は二酸化炭素バリア性があると判断できる。
(5-3) 好適な容器としては、上記素材に限定されることなく、200 g/m2/24hrs/atm(20℃、dry)以下の二酸化炭素透過度を有するフィルムで構成されたものを例示することができる。好ましくは100 g/m2/24hrs/atm(20℃、dry)以下、より好ましくは50 g/m2/24hrs/atm(20℃、dry)以下、さらに好ましくは20 g/m2/24hrs/atm(20℃、dry)以下、さらに好ましくは10 g/m2/24hrs/atm(20℃、dry)以下である(ASTM D1434-58、厚さ25.4μ)。このような二酸化炭素バリア性を有する容器は、公知のガスバリア性素材、特に二酸化炭素透過バリア性素材の厚みを調整したり、フィルムを該素材からなるラミネート層を含むように2層以上の複層若しくは多層フィルムとして調製することで達成することができる。
(5-4) さらに容器は、内部に収容した漆喰組成物から水分が蒸散することによる乾燥固化をより強固に防止して安定性を高めるために、さらに水蒸気バリア性を備えていることが好ましい。
(5-5) かかる水蒸気バリア性は、容器内に収容された漆喰組成物が悪影響(乾燥固化)を受けない程度に、水蒸気透過抵抗性を有するものであればよい。例えば、通常の塗料用容器の他、可撓性容器を構成するフィルムもしくはシートからなる容器も素材及びその厚さを適宜選択することによって用いることができる。
(5-6) 後者の場合、水蒸気バリア性素材として、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)、各種(ポリ)塩化ビニリデンコートフィルム、防湿セロハン(ラッカーコートセロハン、ポリマーコートセロハン)、ポリエステル、PVDCコートポリエステル、PVDCコートナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度、特に高密度ポリエチレン)、リニアローデンポリエチレン、延伸ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、延伸ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、アルミ箔ラミネートフィルム、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの無機物質の蒸着フィルムなどの合成樹脂が知られている。本発明では、好適には、特に制限されることなく水蒸気バリア性のあるフィルムを任意に選択して使用することができる。なお、一般に、本発明が対象とする水含有着色漆喰組成物を耐水性容器に気密状態で収容し、常温(20±5℃)で少なくとも1ヶ月間保存した場合に、内部の漆喰組成物に乾燥固化が認められない場合は、当該容器は水蒸気バリア性があると判断できる。
(5-7) 好適な容器としては、上記素材に限定されることなく、40 g/m2・24hrs(37.8℃、90%RH)以下の水蒸気透過度を有するフィルムで構成されたものを例示することができる。水蒸気透過度として、好ましくは30 g/m2・24hrs(37.8℃、90%RH)以下、より好ましくは20 g/m2・24hrs(37.8℃、90%RH)以下、さらに好ましくは10 g/m2・24hrs(37.8℃、90%RH)以下である(ASTM E-96、厚さ25.4μ)。このような水蒸気バリア性は、公知の水蒸気バリア性素材の厚みを調整したり、フィルムを該素材からなるラミネート層を含むように2層以上の複層若しくは多層フィルムとして調製することで達成することができる。
(5-8) さらに本発明で使用する容器として好適な容器としては、耐水性を備え、好ましくはさらに可撓性、より好ましくは二酸化炭素バリア性及び水蒸気バリア性を有するものである。かかる容器は、一種の樹脂から構成される単層フィルムからなるものであっても、また2種以上の樹脂フィルムの積層構造(ラミネート層またはコート層)を有する複層若しくは多層フィルムからなるものであってもよい。また、なお、無延伸フィルム、延伸フィルム(一軸延伸、二軸延伸)の別を問うものではない。好ましくは少なくとも一面がポリビニルアルコール(PVA)樹脂でコーティングされたフィルム(PVAコート2軸延伸ポリプロピレンフィルムなど)、少なくとも一面がポリ塩化ビニリデン(PVDC)樹脂でコーティングされたフィルム(PVDCコート2軸延伸ポリプロピレンフィルム、PVDCコートポリエステルフィルム、PP/PVDC/PPなど)、ポリオレフィン無延伸共押出多層フィルム(PP/PE/PP、ポリオレフィン(PE,PP等)/ポリ塩化ビニリデン/ポリオレフィン)などが例示されるが、特にこれらに制限されるものではない。
(5-9) 上記においてさらにより最適な容器としては強度、耐衝撃性、耐ピンホール性、ヒートシール性、または耐アルカリ性といった性質に優れた合成樹脂を素材とするフィルムから構成されることが好ましい。かかる種々異なる性質を充足させるために、複層又は多層フィルムを使用してもよい。この場合、少なくとも容器の内側層に耐アルカリ性及びヒートシール性を持たせることが好ましい。
(5-10) 特に容器中に収容する水含有着色漆喰組成物の液性から、本発明で用いる容器は少なくとも該漆喰組成物と接触する内側面が耐アルカリ性を有するものであることが好ましい。このためには、耐アルカリ性容器を用いる方法、フィルムや缶などの容器の内側面を耐アルカリ性樹脂でコーティングする方法、フィルムの内側面に耐アルカリ性樹脂フィルムを採用する方法などを用いることができる。耐アルカリ性樹脂としては塩化ビニル、酢酸ビニル、ウレタン樹脂などを例示することができる。好ましくはビニルポリマーの単独重合体(例えば、重量平均分子量2万以上のものが例示される)もしくは共重合体及び/または耐アルカリ性ウレタン樹脂(例えば、重量平均分子量10万以上のものが例示される)を含むものであり、特にポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を好適に例示することができる。なお、本発明において耐アルカリ性とは、内容物である漆喰組成物を入れて常温で3ヶ月、好ましくは6ヶ月放置した場合でも、目視で容器フィルムの溶解や腐蝕が観察されないことをいう。より好適には下記の加速試験で耐アルカリ性が得られるものを用いることが望ましい。
(5-11) <耐アルカリ性評価の加速試験>
耐水性容器に1規定の水酸化カリウム水溶液を入れ、50℃の恒温器中に6時間放置し、次いで室温に18日間放置した後に、水酸化カリウム水溶液を取り出して、目視で容器内面の溶解や腐蝕の有無を評価する。
(5-12) フィルムの場合、採用する厚さ(容器の厚さ)は、上記二酸化炭素バリア性および水蒸気バリア性を充足することを限度として特に制限されないが、好ましくは3〜30μm、より好ましくは5〜200μmである。厚さが2μm未満であると、強度、耐衝撃性、耐ピンホール性及び二酸化炭素透過バリア性が不十分となり易く、また300μmを著しく超えると可撓性(柔軟性)や透明性が不十分になりやすい。より好ましくは10〜100μmであり、さらに好ましくは10〜80μmである。
(5-13) フィルムとしての透明性は特に要求されないが、内容物として収容する着色漆喰組成物が耐候性に優れているため光による影響が少ないこと、及び内容物が外から認識できるほうが商品として好ましいことから、透明性を有することが望ましい。この場合、透明性とは目視により内容物がみえることを意味する。
(5-14) さらに本発明で用いる容器は、使用時に開封しやすいように、易引裂性を備えていてもよい。易引裂性技術としては従来公知の技術を任意に使用することができ、例えばVノッチやUノッチの形成、ティアテープ使用、針状フィラーの使用、ミシン目形成、またはフィルム表面に微細な傷を付ける等の方法が例示できる。また、上記性質を充足することを限度として、フィルムの中間層に一軸延伸ポリオレフィンフィルムをラミネートした易開封性材料(例えば、二軸延伸ポリエステルフィルム/一軸延伸ポリオレフィンフィルム/無延伸ポリオレフィンフィルムの三層ラミネートフィルムなど)を使用することもできる。
(5-15) また本発明で用いる容器は、開口部にジッパーなどの再閉鎖手段を備えていてもよい。
(5-16) かかる耐水性容器への漆喰組成物の充填・密封方法は特に制限されないが、好ましくは、充填時に空気ができるだけ混入しないように充填し、次いで充填口をヒートシール(バーシール、熱溶融シール、熱溶断シール)、インパルスシール、高周波シールまたは超音波シールなどの常法に従って気密封鎖(密封)する方法を挙げることができる。なお、空気ができるだけ混入しないように充填する方法としては、例えば脱気条件、真空条件またはN2ガス置換条件下で充填する方法や漆喰組成物を容器に充填した後、脱気しながら充填口を封鎖する方法を例示することができる。
(5-17) 斯くして耐水性容器に充填収容された水含有着色漆喰組成物は、かかる所謂漆喰包装体の形態で、容器が開封されるまで、調製時の均一な状態を安定に保つことができる。特に固化や離水、色分かれといった内容成分の不均一化が有意に防止された状態で、水含有着色漆喰組成物を安定に維持することができる。容器が開封された後は、内容物が空気と接触することによって経時的に硬化または固化するが、再び空気が入らないように密封することによって防止することができる。水含有着色漆喰組成物は、好ましくは1回もしくは2〜3回で使い切れるような用量で容器に収容されていることが望ましい。かかる内容重量としては制限されないが一例として0.5〜5kgを例示することができる。容器として可撓性容器を用いて調製される漆喰包装体の例を図1〜2に示す。なお、ここで容器内部に収容される水含有着色漆喰組成物は、例えば25℃で少なくとも2,000cpsの粘度を有する塗材として用いられるものが望ましい。
(6)漆喰包装体
本発明はまた前述する水含有着色漆喰組成物の安定化のために使用される漆喰包装体を提供する。
当該漆喰包装体は、石灰、結合剤、着色顔料、白色顔料及び水を含有する漆喰組成物を耐水性容器に充填し収容して包装体にしたものである。当該漆喰包装体は、主成分の石灰に加えて着色顔料と白色顔料とを併用して調合・調色された着色漆喰組成物が耐水性容器に気密に収容されることによって、色分かれや乾燥による固化(固液分離)等の不都合なく水含有着色漆喰組成物を均一に着色した状態で安定に保持することができる。
漆喰包装体の内容成分、すなわち漆喰組成物の調製に使用される石灰及び結合剤の種類や配合量、白色顔料及び着色顔料の種類や配合量、水の割合及び調合方法などは前述(1)に記載のものを同様にして利用することができる((1-3)〜(1-14)等参照)。また、かかる漆喰組成物を収容する容器の種類、及び収容する方法などについても前述(5)に記載のものをそのまま利用することができる((5-1)〜(5-17)参照)。
なお、包装体に収容する水含有着色漆喰組成物にはさらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を配合することもできる。これによって石灰、結合剤、着色顔料、白色顔料及び水を含有する漆喰組成物について、経時的に生じ得る沈殿や離水などの固液分離の発生を有意に予防することができ、より一層水含有着色漆喰組成物の安定性を維持することができる。
なお、ここで用いられるカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物または水酸基を有する親水性高分子化合物水酸基を有するノニオン系の親水性高分子化合物の種類やその割合についても前述(1)に記載のものを同様にして利用することができる((1-15)〜(1-25)参照)。
なお、容器に収容する水含有着色漆喰組成物には、他の成分として前述(1)に記載の体質顔料、増粘剤、油、光触媒、顔料分散剤、湿潤剤、消泡剤、充填剤、防水剤、凝結剤、凝結促進剤などの任意成分を同様に配合することもできる((1-26)〜(1-36)参照)。
本発明の漆喰包装体によれば、石灰、結合剤、白色顔料、着色顔料及び水を含有する漆喰組成物を、均一に着色した状態で、既調合/既調色済みの色漆喰塗材(塗料形態を含む)として提供することができる。また、漆喰組成物の成分としてさらにカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を配合することにより、保存によって生じ得る固液分離(沈殿、離水)を有意に抑制することができ、着色顔料を含む色漆喰組成物を既調合済みの塗材または塗料の形態で色分かれ等のない安定した商品として市場に供給することができる。
なお、本発明には下記に掲げる発明が包含される:なお、ここに記載する「項1乃至6のいずれか1項に記載される着色方法」とは、先の[課題を解決するための手段]の欄で述べる項1乃至6の着色方法を意味する。
項12.項1乃至項6のいずれか1項に記載される着色方法によって着色された着色漆喰組成物を耐水性容器に気密状態で収容することを特徴とする、着色漆喰組成物の安定化法。
項13.着色漆喰組成物を耐水性容器に脱気充填して密封することを特徴とする、項12に記載の着色漆喰組成物の安定化法。
なお、当該着色漆喰組成物の安定化法には、下記の態様が包含される。また、これらの態様(a)〜(j)は1つまたは複数組み合わせて上記安定化方法に用いることができる。
(a)石灰が消石灰である上記項12または13に記載する着色漆喰組成物の安定化法。
(b) 白色顔料として無機顔料を用いる上記項12または13に記載する着色漆喰組成物の安定化法。
(c) 白色顔料として酸化チタンを用いる上記項12または13に記載する着色漆喰組成物の安定化法。
(d) 着色顔料として無機顔料を用いる上記項12または13に記載する着色漆喰組成物の安定化法。
(e) 漆喰組成物にカチオン性の親水性高分子化合物、ノニオン性の親水性高分子化合物及び水酸基を有する親水性高分子化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を配合する、上記着色漆喰組成物の安定化法。
(f) 漆喰組成物にノニオン性の水酸基を有する親水性高分子化合物を配合する、上記着色漆喰組成物の安定化法。
(g) 漆喰組成物にメチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,及びヒドロキシエチルメチルセルロースよりなる群から選択される少なくとも1種のセルロース誘導体を配合する、上記着色漆喰組成物の安定化法。
(h) 着色漆喰組成物の色の安定化方法である、上記着色漆喰組成物の安定化法。
(i) 耐水性容器として二酸化炭素バリア性の容器を用いる、上記着色漆喰組成物の安定化法。
(j) 耐水性容器として水蒸気バリア性の容器を用いる、上記着色漆喰組成物の安定化法。
本発明の着色方法によれば、従来難しいとされていた石灰の均一な着色が可能となり、経時的な色分かれをも抑制して漆喰組成物を安定に着色することができる。漆喰組成物の不均一な着色や保存による色分かれは形成される着色漆喰塗膜の色むらの原因の一つになる。このため、本発明の漆喰組成物の着色方法は、色むらのない着色漆喰塗膜の形成に有用に使用することができる。さらに本発明の着色方法によれば、石灰の高いアルカリ性が原因と考えられる着色漆喰塗膜の色飛び、及びそれによる白色化を有意に抑制することができる。着色漆喰塗膜の色飛び現象は、着色漆喰塗膜の乾燥時の水蒸散、また漆喰の吸放湿性に伴う経時的な水蒸散によって顕著に認められる。よって、水含有着色漆喰組成物を重ね塗りすることによって生じる色差の発生や経時的に生じる色むらは、特にかかる着色漆喰塗膜の色飛び現象が原因と考えられる。ゆえに本発明の漆喰組成物の着色方法は、色飛びのない着色漆喰塗膜の形成に有用であるととともに、重ね塗りによる色差の発生並びに乾燥後の経時的な色むらの発生を抑制するために有効に使用することができる。特に本発明の着色方法によれば、色差なく重ね塗りすることが可能となることから、タッチアップの効いた補修塗りが可能な水含有着色漆喰組成物を提供することができる。
このように本発明の着色方法は、従来現場において用時調製(調合・調色)して用いられていた着色漆喰材を予め調色した既調色品、または予め水までも配合した既調合品として安定な状態に提供するのに有効に用いることができ、さらに塗布した場合に色飛びなく、重ね塗りした場合でも色むらや色差の発生なく均一に所望な色の塗膜を形成するのに有効に用いることができる。
また本発明の重ね塗りによる色差発生の抑制方法は、水含有着色漆喰組成物を塗膜形成材料として用いて塗工する際に、塗り継ぎや補修によって生じる色差(下塗り面と上塗り面との色の差)を抑制することによって、均一な色目(色度、色相、色彩)を有する着色漆喰塗膜の形成に有効に用いることができる。すなわち、本発明の方法は、補修や重ね塗りが可能な水含有着色漆喰組成物の提供に有効に用いることができる。
さらにまた本発明の着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法は、着色漆喰塗膜の白色化を抑制して所望の色を有する塗膜を形成するのに、また重ね塗りによる塗膜の色飛び度の相違に伴う色差発生を抑制するのに、さらに着色漆喰塗膜の経時的色飛びに伴う色むらの発生を抑制するのに、各々有効に用いることができる。すなわち、本発明の着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法は、均一な色目(色度、色相、色彩)を有する着色漆喰塗膜の形成に有用である。
以下、本発明の内容を以下の実験例及び実施例を用いて具体的に説明する。ただし、これらの実施例等は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。
実験例1
(1)表1に記載の成分を塗材調合用ミキサーに入れて撹拌することにより漆喰組成物の固形分を水に分散させて、水含有着色漆喰組成物〔色漆喰塗材(粘度約15,000〜20,000cps(25℃)B型粘度計;固形分含有率約65〜70%)(実施例1〜2、比較例1)、及び色漆喰塗料(粘度約1,000cps(25℃)B型粘度計;固形分含有率約57%)(実施例3)〕を調製した。これを試験板(フレキシブル板、500×200×3mm)の平滑な面にそれぞれ鏝(実施例1〜2、比較例1)または刷毛(実施例3)で一様に塗り、8時間おいてから当該塗工面の半分の面に2回目の鏝塗りまたは刷毛塗りを行った。塗膜が乾燥した後、一回塗り面を目視で観察して色むらの有無を観察し、また一回塗り面と二回塗り面の色の差(色差:ΔE(*ab))を測定し、下記の基準に従って評価した。
[塗膜の色むらの有無]
◎:色むらが全くない
△:若干色むらが認められる
×:色むらが認められる
[塗膜の色差評価 ]
◎:ΔE(*ab)が0.5以下
○:ΔE(*ab)が0.5より大きく1以下
×:ΔE(*ab)が1より大きい。
(2)上記で塗工した試験板(実施例1〜3及び比較例1の水含有着色漆喰組成物でそれぞれ塗工)を、着色塗膜面が日中に太陽光に当たるように配置して1週間放置し、1週間後に着色漆喰塗膜面の色むら発生の有無を目視により評価した。なお、色むら発生の有無の評価は、下記の基準に従って、塗工乾燥時(塗布から8時間後)の塗膜面と1週間後の塗膜面とを比較対比することによって行った。
[着色漆喰塗膜の色むらの有無]
塗工乾燥時の塗膜面と比べて、
◎:色むらの発生は殆ど認められない
△:若干色むらの発生が認められる
×:色むらの発生が認められる。
結果を合わせて表1に示す。
Figure 0003975228
表1の結果に示すように、顔料として着色顔料だけを石灰に混ぜた比較例1の着色漆喰組成物と比較して、着色顔料と白色顔料を組み合わせて含む本発明の着色漆喰組成物は、塗工乾燥後の着色漆喰塗膜に色むらが生じてないことから、着色顔料が均一に分散され混合されていること(均一に着色されていること)が確認された。
また、着色顔料と白色顔料を組み合わせて配合することによって、重ね塗りによる色差の発生が抑制でき(タッチアップ性がある)、重ね塗りや補修塗りを色差なくできることがわかった。さらに、本発明の方法により着色した水含有着色漆喰組成物で形成された着色漆喰塗膜は、塗工乾燥時に色むらが生じないだけでなく、経時的にも色むらの発生が有意に抑制できることが確認された。
実験例2
表2に記載の成分を塗材調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、水含有着色漆喰組成物(固形含有率約65.6重量%)(実施例4[本発明組成物]、及び比較例2[比較組成物])を調製した。これらをそれぞれ試験板(フレキシブル板、150×70×3mm)の平滑な面に刷毛で一様に塗り、常温で乾燥させ、乾燥塗膜の色を目視で観察して比較した。
Figure 0003975228

その結果、白色顔料を含まない比較組成物は、水を含んだ乾燥前の状態(湿潤塗膜)では白色顔料を含む本発明組成物に比して濃い茶色を有していたのに対し、乾燥後は本発明組成物の乾燥塗膜に比して顕著に白色化しており、色飛びが生じていることが観察された。かかる比較組成物の乾燥塗膜の白色化現象は、石灰が強アルカリであることに基づいて、水の蒸散に伴って生じる色飛びが原因であると考えられた。本発明組成物の結果から、石灰を白色顔料と着色顔料を用いて着色することにより、上記石灰の強アルカリによって生じる着色顔料の色飛び及びそれによる着色漆喰塗膜の白色化が有意に抑制できることがわかった。
実験例3
表3に記載の成分を塗材調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、水含有着色組成物(固形含有率約51重量%)(実施例5[本発明組成物]、比較例3[比較組成物3]及び比較例4[比較組成物4])を調製した。これらを、予め酸化チタン入りシーラーで下塗処理しておいた試験板(フレキシブル板、170×50×3mm)の該シーラー処理面にそれぞれ刷毛で一様に塗り、常温で乾燥させた(1回塗工面)。4時間後、当該塗工面の半分の面にそれぞれ同じ水含有着色組成物を刷毛塗りした(2回塗工面)。さらに常温で乾燥させた後、2回塗工面の一部をそれぞれ同じ水含有着色組成物を刷毛塗りした(3回塗工面)。塗膜が乾燥した後、一回塗工面、2回塗工面、及び3回塗工面の色目(色度、色相、色彩)を目視で観察し、それぞれ色差の有無を評価した。
Figure 0003975228
その結果、石灰(水酸化カルシウム)に代えて沈降炭酸カルシウムを用いた比較組成物4(白色顔料を含まず)は、2回塗り及び3回塗りと塗り重ねるにつれて段々と塗工面の色が濃くなる(重ね塗りによる濃色化)のに対し、石灰を用いた比較組成物3(白色顔料を含まず)は、2回塗り及び3回塗りと塗り重ねるにつれて段々と塗工面の色が白くなる(重ね塗りによる白色化)ことがわかった。こうした石灰組成物(比較組成物3)の重ね塗りによる白色化現象は、石灰が強アルカリであることに基づいて、水の蒸散に伴って生じる色飛びが原因であり、石灰を主成分とする着色漆喰組成物に特有の問題であると考えられた。そしてこうした色飛び及びそれによる白色化、着色漆喰が組成物の重ね塗りによる色差発生や経時的に発生する色むらの原因である考えられた。一方、石灰に白色顔料を配合した本発明の着色漆喰組成物(本発明組成物)は、色飛び及び白色化が有意に抑制されており、重ね塗りして調製した2回塗工面及び3回塗工面はいずれも1回塗工面と同じ色目(色度、色相、色彩)を有しており、目視によって色差は認められなかった。このことから、石灰を白色顔料と着色顔料を用いて着色することにより、石灰の強アルカリによって生じる着色顔料の色飛びが有意に抑制でき、その結果、着色漆喰組成物に特有に生じる重ね塗りによる色差の発生や着色漆喰塗膜特有の色むらの発生を抑制できることがわかった。なお、比較組成物3及び4の1回塗工面は、本発明組成物を用いた場合と同様に色むらなく仕上げることができた。これは塗工試験板として予め酸化チタン入りシーラーで下塗処理しておいた試験板を用いたことによると考えられる。
また、黒色酸化鉄に代えてカーボンブラックを用い、他の成分は実施例5と同様にして調製した着色漆喰組成物(着色顔料:赤色酸化鉄、黄色酸化鉄及びカーボンブラック)を用いて同様に実験したところ、実施例5と同様に色飛びや色むらの発生が有意に抑制されていた。
実験例4
表4に記載の成分を塗材調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、水含有着色漆喰組成物(粘度約15,000cps(25℃)に調整(B型粘度計);固形分含有率約66〜67%)(実施例6〜7、比較例5〜7)を調製した。次いで調製した各水含有着色漆喰組成物をそれぞれ1kgずつ耐水性のフィルムバック(サラン-UB#158:旭化成(株):厚み15μm(ASTM D-3985)、酸素透過度10ml/(m2.day.MPa)(20℃、75%RH)(ASTM D-3985)、透湿度1g/(m2.day)(38℃、90%RH)(ASTM F-372))に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールし、下記に示す性能評価試験に供した。
<水含有着色漆喰組成物の安定性>
フィルムバックに収容された実施例6〜7及び比較例5〜7の水含有着色漆喰組成物(本発明塗材6〜7、比較塗材5〜7)を常温(20±5℃)下で保存して、1ヶ月間後、内容成分について、離水の有無(固液分離)及び着色顔料の色分かれの有無を観察し、下記の基準に従って評価した。
[固液分離の有無]
◎:離水が全く生じていない
△:若干離水が認められる
×:明らかに離水が生じている
[色分かれの有無]
◎:色分かれが全く生じていない
△:若干色分かれが認められる
×:明らかに色分かれしている。
<塗膜性能>
常温で1ヶ月間保存した上記の各水含有着色漆喰組成物充填フィルムバック(着色漆喰包装体)を開封して、中の水含有着色漆喰組成物(本発明塗材6〜7、比較塗材5〜7)をこて板に取り出した。これを鏝で数回かき混ぜた後、試験板(フレキシブル板、500×200×3mm)の平滑な面にそれぞれ鏝で一様に塗り、8時間おいてから当該塗工面の半分の面に2回目の鏝塗りを行った。塗膜が乾燥した後、一回塗り面の色むらの有無を目視で観察し、また一回塗り面と二回塗り面との色の差(色差:ΔE(*ab))を測定して、下記の基準に従って評価した。
[塗膜の色むらの有無]
◎:色むらが全くない
△:若干色むらが認められる
×:色むらが認められる
[塗膜の色差評価]
◎:ΔE(*ab)が0.5以下
○:ΔE(*ab)が0.5より大きく1以下
×:ΔE(*ab)が1より大きい。
<乾燥着色漆喰塗膜の色むら発生の有無>
上記で塗工した試験板(本発明塗材6〜7、比較塗材5〜7でそれぞれ塗工)を、着色塗膜面が日中に太陽光に当たるように配置して、1週間放置して、1週間後に着色漆喰塗膜面の色むら発生の有無を目視により評価した。なお、色むら発生の有無の評価は、下記の基準に従って、塗工乾燥時(塗工8時間後)の塗膜面と1週間後の塗膜面とを対比することによって行った。
[着色漆喰塗膜の色むらの有無]
塗工乾燥時の塗膜面と比べて、
◎:色むらの発生は殆ど認められない
△:若干色むらの発生が認められる
×:色むらの発生が認められる。
結果を合わせて表4に示す。
Figure 0003975228
これらの結果から、着色顔料を含有する水含有着色漆喰組成物は白色顔料を併用することによって色分かれ等の不都合が生じることなく着色顔料が安定に分散されることがわかった。また当該本発明の着色漆喰組成物は、水を配合した状態で保存した場合でも塗工により形成した着色漆喰塗膜に色むらが生じず、このことから均一に安定した状態で着色されていることが確認された(着色安定性)。また重ね塗りによる色差評価から、本発明の方法で着色された着色漆喰組成物は、タッチアップ性があり、色差や色むらなく重ね塗りをすることができることがわかった。さらに、上記水含有着色漆喰組成物を用いて形成された着色漆喰塗膜は、塗工乾燥時に色むらが生じないだけでなく、経時的にも色むらの発生が有意に抑制できることが確認された。
実験例5
表5に記載の成分を塗材調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、水含有着色組成物(粘度約15,000〜20,000cps(25℃)B型粘度計;固形分含有率約63〜70%)(実施例8〜10)を調製し、実験例4と同様に、耐水性のフィルムバック(サラン-UB#158:旭化成(株))に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールし、性能評価試験に供した。結果を表5に合わせて示す。
Figure 0003975228
実験例6
実施例6と比較例5の処方において、石灰の量を35重量%から32重量%に、骨材の量を20重量%から10重量%に代えて、同様にして水含有着色漆喰組成物を調製した(それぞれ実施例8、比較例8)。なお、増粘剤を適宜配合することにより、粘度が58,000mP・s(20℃、BH型回転粘度計、7号ローター使用、10rpm、60秒)となるように調製した。これを100ml容量の透明のメスシリンダー(高さ15cm)に入れ密封した。この状態で、1サイクル0℃6時間及び50℃6時間(12時間)の温冷サイクル試験を24サイクル(12日間)繰り返した。
その結果、比較例8の水含有着色漆喰組成物は、温冷サイクル試験後に着色顔料の色浮きが認められたのに対し、実施例8の本発明の水含有着色漆喰組成物は温冷サイクル試験前と試験後で色分かれを含め外観に全く変化は認められなかった。さらに、その後1ヶ月間室温で放置しても変化は認められず、安定な状態で維持されていた。
本発明の漆喰包装体の一例を示す図である。(a)は全体像、(b)は包装体をA−A'部で切断した場合の断面図を示す。 本発明の漆喰包装体の一例を示す図である。 本発明の漆喰包装体の一例を示す図である。

Claims (2)

  1. 石灰、結合剤及び水を含有する着色漆喰組成物によって形成される着色漆喰塗膜の色飛びまたは色飛びによる白色化を抑制する方法であって、上記漆喰組成物の着色に白色顔料と着色顔料として酸化金属またはカーボンブラックを組み合わせて用いる方法。
  2. 白色顔料が酸化チタンである、請求項1記載の方法。
JP2004198847A 2002-02-15 2004-07-06 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法 Expired - Lifetime JP3975228B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004198847A JP3975228B2 (ja) 2002-02-15 2004-07-06 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002039047 2002-02-15
JP2002338416 2002-11-21
JP2004198847A JP3975228B2 (ja) 2002-02-15 2004-07-06 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003036293A Division JP2004217494A (ja) 2002-02-15 2003-02-14 漆喰組成物の着色方法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006273115A Division JP2007001863A (ja) 2002-02-15 2006-10-04 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004315363A JP2004315363A (ja) 2004-11-11
JP2004315363A5 JP2004315363A5 (ja) 2006-03-16
JP3975228B2 true JP3975228B2 (ja) 2007-09-12

Family

ID=33479483

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004198847A Expired - Lifetime JP3975228B2 (ja) 2002-02-15 2004-07-06 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3975228B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5075857B2 (ja) * 2009-03-04 2012-11-21 関西ペイント株式会社 模様塗装仕上げ方法
ES2896279T3 (es) 2015-12-11 2022-02-24 Yoshino Gypsum Co Composición de yeso para material de revestimiento de curado en seco, material de revestimiento a base de yeso, y método de construcción para material de revestimiento a base de yeso

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
NL7410315A (nl) * 1973-08-14 1975-02-18 Wacker Chemie Gmbh Bekledingsmiddel voor gebouwen.
AU2001269489A1 (en) * 2000-07-10 2002-01-21 Mutsuo Himeno Coating composition
JP2002327523A (ja) * 2001-02-14 2002-11-15 Masao Miura 建築室内表面仕上げ材およびそれを使用した仕上げ方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004315363A (ja) 2004-11-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2010315648B2 (en) Ready mixed setting type joint compound and set initiator in chambered pouch
CN101481584B (zh) 一种内墙干粉乳胶涂料及其制备方法
JP5585906B2 (ja) 可撓性被膜を形成する水性組成物
CN102618191A (zh) 高分子速溶型环保胶粉
JP2007001863A (ja) 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法
CN101343430A (zh) 纳米、环保、无机膨胀型隧道防火涂料及制备方法
CN105505063A (zh) 一种白色水性抗碱封闭底漆及其制作方法
CN101343451A (zh) 零voc健康内墙涂料及其生产方法
JP2006240981A (ja) 非水硬化性コーティング組成物
JP3975228B2 (ja) 着色漆喰塗膜の色飛び抑制方法
JP5176253B2 (ja) 消石灰を含む水配合コーティング組成物
JP3661154B2 (ja) 重ね塗りによって生じる着色漆喰塗膜の色差を抑制する方法
JP4654587B2 (ja) 水含有アルカリ性着色塗材組成物の着色安定化法
WO2003068705A1 (fr) Procede de coloration de compositions de platre
JP2004217494A (ja) 漆喰組成物の着色方法
JP5429453B2 (ja) 石灰を含有する水配合コーティング組成物
JP2007211225A (ja) 非水硬化性接着剤および機能性ボード
JP2003305712A (ja) 水を含有する漆喰組成物の安定化法
JP4310610B2 (ja) 白華抑制塗材及び白華抑制方法
JP5176252B2 (ja) 石灰を含有する水配合コーティング組成物の改良
JP2010236350A (ja) アルカリ性着色被覆面の色とび及び色差抑制方法
JP3834792B2 (ja) 着色漆喰組成物の着色安定化方法
JP2017019927A (ja) 水性塗料組成物
CN110499085A (zh) 一种耐温变施工的真石漆及其制备方法
JP4791724B2 (ja) 粉状塗料

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051227

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051227

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20051228

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20060303

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060314

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060501

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20061005

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20061115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070123

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070227

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070314

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070313

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070514

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3975228

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100629

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110629

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120629

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130629

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130629

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130629

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term