JP2007211225A - 非水硬化性接着剤および機能性ボード - Google Patents
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Abstract
【課題】石灰を結合剤として含むスラリーまたはペースト形態の非水硬化性接着剤を提供する。また石灰を接着材および仕上げ材として用いて調製される機能性ボードを提供する。
【解決手段】 石灰、キレート化合物および水を使用してスラリーまたはペースト形態の非水硬化性接着剤を調製する。シート状または板状の表面材が、石灰を主成分とする有色接着材層を間に介して積層されてなるボードであって、表面材の少なくとも一枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部を通じて外部にあらわれてなる機能性ボードを提供する。
【選択図】なし
【解決手段】 石灰、キレート化合物および水を使用してスラリーまたはペースト形態の非水硬化性接着剤を調製する。シート状または板状の表面材が、石灰を主成分とする有色接着材層を間に介して積層されてなるボードであって、表面材の少なくとも一枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部を通じて外部にあらわれてなる機能性ボードを提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、石灰を結合剤として含むスラリーまたはペースト形態の非水硬化性接着剤に関する。より詳細には、本発明は粘着性を高めて石灰の初期の接着性を強化し、且つ石灰の自硬性を利用した接着剤に関する。当該接着剤は、石灰が有する各種の機能(空気浄化機能、調湿機能、防かび・抗菌機能、防火機能など)を備えるため、建築物の新設または補修の際の内装・外装建材の接着、家具や建具部材の接着、および梱包材や収納容器の接着などに好適に使用することができる。さらに本発明は、石灰を接着材および仕上げ材として用いて調製される機能性ボードに関する。
建築物の新設や補修において各種建材同士を接着する作業に用いる接着剤として、従来より合成樹脂系接着剤(例えば、ウレタン樹脂系接着剤、アクリレート樹脂系接着剤、酢酸ビニル樹脂系接着剤などの有機溶剤型接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などの無溶剤型接着剤、エマルジョン系接着剤などの水性接着剤など)が広く使用されている。中でも有機溶剤型接着剤は、有機溶剤の揮発によってポリマーを造膜、固化させるものであるため、使用により必然的に揮発性溶剤や未反応の揮発性モノマー等の揮発性有機化合物(VOC)が放出されてしまい、シックハウス症候群或いはシックビル症候群を引き起こす原因として問題となっている。これに対して、VOCの問題のない無機系の水性接着剤としてセメントモルタルが知られている。しかしながら、セメントは水硬性であるため予め水と混合してスラリーまたはペースト形態で練り置きしておくことはできず、使用時に現場で水を配合して混練りする必要がある。かかる現場での調合は手間がかかるとともに、製品組成や性能の安定性が得られないという問題および現場で粉塵が発生するという問題がある。一方、石灰は古くから知られた気硬性の無機被覆材料であり、例えば漆喰やドロマイトプラスターは落ち着きのある重厚な仕上がり感に加えて、調湿性(吸湿性及び放湿性)、VOC吸着分解性、防カビ・抗菌性、消臭性、および防火性といった機能に優れているため、シックハウス症候群が問題となっている昨今、環境改善用塗材として再び見直されている。しかしながら、石灰は、自硬性はあるものの粘着性がなく初期の接着力が低いため、そのまま接着剤として使用することはできず、アクリル樹脂やエチレン酢酸ビニル樹脂などの各種樹脂を接着補強剤として配合することが必要とされている(特許文献1など参照)。
特開平11−335629号公報
本発明は、石灰を主成分とし、その自硬性を利用しながら且つ粘着性を高めて初期接着性を強化してなる、既調合タイプの非水硬化性接着剤を提供することを目的とする。また本発明は、かかる非水硬化性接着剤の各種用途を提供することを目的とする。さらに、本発明は、石灰を接着材および仕上げ材として用いて調製される機能性ボードを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく日夜鋭意研究を重ねていたところ、石灰にカルシウムイオンに対してキレート作用を有する化合物(キレート化合物)を配合し、水と混合することによって粘性が出ることを見出し、この知見に基づいて、キレート化合物を利用することで石灰に粘着性、すなわち初期接着性を付与することができ、これに石灰本来の自硬性が組み合わさることによって接着剤として利用可能であることを確認した。さらに、本発明者は、石灰にキレート化合物を配合しておくことで、水存在下で水ガラスなどのケイ素化合物を添加してもポゾラン現象が生じず、逆に石灰の接着性を強化することができることを見出し、完全に無機質材料からなる既調合タイプのスラリーまたはペースト形態の接着剤が提供できることを確認した。本発明はかかる知見に基づいて開発されたものである。本発明は下記I〜VIに掲げる態様を含む:
I.非水硬化性接着剤
(I−1)石灰、キレート化合物および水を含有することを特徴とする非水硬化性接着剤。
(I−2)キレート化合物が、分子量1000以下の有機系キレート化合物または無機系キレート化合物である、(I−1)記載の非水硬化性接着剤。
(I−3)有機系キレート化合物が、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物および還元性有機酸系キレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(I−2)記載の非水硬化性接着剤。
(I−4)キレート化合物が、分子量600以下のキレート化合物である(I−1)乃至(I−3)のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−5)さらに接着補強剤を含むことを特徴とする(I−1)乃至(I−4)いずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−6)さらにケイ素化合物を含むことを特徴とする(I−1)乃至(I−5)のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−7)ケイ素化合物が、ゼオライト、シリカ、珪藻土、フライアッシュ、ケイ酸ナトリウム、およびメタケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である(I−6)に記載する非水硬化性接着剤。
(I−8)木工用、紙用、布用、プラスチック用、ガラス用、またはコンクリート用の接着剤である(I−1)乃至(I−7)のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−9)スラリーまたはペースト形態で容器に収納されてなる上記(I−1)乃至(I−8)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤。
II.非水硬化性接着剤の使用
(II−1)建築用接着剤として(I−1)乃至(I−9)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤を用いて建築物の内装または外装の新設または補修を行う、建築物の施工方法。
(II−2)接着剤として(I−1)乃至(I−9)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤を用いて被着面に被着材を接着する工程を有する、建材(パネル、ボード)、建具、衝立、パーティション、家具、梱包材、または収納容器の製造方法。
III.接着物
(III−1)(I−1)乃至(I−9)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤を用いて接着された接着部を有する接着物。
(III−2)建材、建具、家具、梱包材、または収納容器である(III−1)記載の接着物。
IV.キレート化合物の使用
(IV−1)石灰を結合成分とする非水硬性接着剤の製造のための、キレート化合物の使用。
(IV−2)キレート化合物を粘性付与剤として使用する、(IV−1)記載のキレート化合物の使用。
(IV−3)キレート化合物が、分子量1000以下の有機系キレート化合物または無機系キレート化合物である(IV−1)または(IV−2)に記載する使用。
(IV−4)有機系キレート化合物が、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物および還元性有機酸系キレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(IV−3)に記載する使用。
(IV−5)キレート化合物が、分子量600以下のキレート化合物である(IV−1)乃至(IV−4)のいずれかに記載する使用。
I.非水硬化性接着剤
(I−1)石灰、キレート化合物および水を含有することを特徴とする非水硬化性接着剤。
(I−2)キレート化合物が、分子量1000以下の有機系キレート化合物または無機系キレート化合物である、(I−1)記載の非水硬化性接着剤。
(I−3)有機系キレート化合物が、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物および還元性有機酸系キレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(I−2)記載の非水硬化性接着剤。
(I−4)キレート化合物が、分子量600以下のキレート化合物である(I−1)乃至(I−3)のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−5)さらに接着補強剤を含むことを特徴とする(I−1)乃至(I−4)いずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−6)さらにケイ素化合物を含むことを特徴とする(I−1)乃至(I−5)のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−7)ケイ素化合物が、ゼオライト、シリカ、珪藻土、フライアッシュ、ケイ酸ナトリウム、およびメタケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である(I−6)に記載する非水硬化性接着剤。
(I−8)木工用、紙用、布用、プラスチック用、ガラス用、またはコンクリート用の接着剤である(I−1)乃至(I−7)のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
(I−9)スラリーまたはペースト形態で容器に収納されてなる上記(I−1)乃至(I−8)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤。
II.非水硬化性接着剤の使用
(II−1)建築用接着剤として(I−1)乃至(I−9)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤を用いて建築物の内装または外装の新設または補修を行う、建築物の施工方法。
(II−2)接着剤として(I−1)乃至(I−9)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤を用いて被着面に被着材を接着する工程を有する、建材(パネル、ボード)、建具、衝立、パーティション、家具、梱包材、または収納容器の製造方法。
III.接着物
(III−1)(I−1)乃至(I−9)のいずれかに記載する非水硬化性接着剤を用いて接着された接着部を有する接着物。
(III−2)建材、建具、家具、梱包材、または収納容器である(III−1)記載の接着物。
IV.キレート化合物の使用
(IV−1)石灰を結合成分とする非水硬性接着剤の製造のための、キレート化合物の使用。
(IV−2)キレート化合物を粘性付与剤として使用する、(IV−1)記載のキレート化合物の使用。
(IV−3)キレート化合物が、分子量1000以下の有機系キレート化合物または無機系キレート化合物である(IV−1)または(IV−2)に記載する使用。
(IV−4)有機系キレート化合物が、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物および還元性有機酸系キレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(IV−3)に記載する使用。
(IV−5)キレート化合物が、分子量600以下のキレート化合物である(IV−1)乃至(IV−4)のいずれかに記載する使用。
さらに本発明者は、石灰の接着材としての機能および仕上げ材としての機能を有効に利用することにより、VOCを生じることなく、空気浄化性、調湿性および防かび・抗菌性を有し、且つ意匠性のある機能性ボードを作成した。
V.機能性ボード
(V−1)シート状または板状の表面材が、石灰を主成分とする有色接着材層を間に介して積層されてなるボードであって、表面材の少なくとも一枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部の底部に形成されて開口部を通じて外部と接してなる機能性ボード。
(V−2)表面材とその開口部底部に形成された有色接着材層とにより、視覚的に識別可能な模様が形成されてなる(V−1)記載の機能性ボード。
(V−3)有色接着材層が、石灰および水に加えて、キレート化合物および接着補強剤からなる群から選択される少なくとも1つを含有するスラリーまたはペースト形態の接着材を、シート状または板状の表面材にコーティングすることによって形成される、(V−1)または(V−2)に記載の機能性ボード。
(V−4)キレート化合物が、分子量1000以下の有機系キレート化合物または無機系キレート化合物である(V−3)記載の機能性ボード。
(V−5)有機系キレート化合物が、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物および還元性有機酸系キレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(V−4)記載の機能性ボード。
(V−6)キレート化合物が、分子量600以下のキレート化合物である(V−3)乃至(V−5)のいずれかに記載の機能性ボード。
(V−7)接着材がさらにケイ素化合物を含むものである(V−3)乃至(V−6)のいずれかに記載の機能性ボード。
(V−8)ケイ素化合物が、ゼオライト、シリカ、珪藻土、フライアッシュ、ケイ酸ナトリウム、およびメタケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である(V−7)に記載する機能性ボード。
(V−9)建具、家具、梱包材若しくは収納容器の部材または建材である(V−1)乃至(V−8)のいずれかに記載の機能性ボード。
(V−10)(V−1)乃至(V−9)のいずれかに記載の機能性ボードを少なくとも1面に有する建具、家具、梱包材または収納容器。
(V−11)(V−1)乃至(V−9)のいずれかに記載の機能性ボードを少なくとも1面に、開口部を有する面を内側にして有する家具、梱包材または収納容器。
(V−12)生鮮食品または衣料の収納容器である(V−11)記載の収納容器。
VI.機能性メッシュシート
(VI−1)メッシュシートの繊維部に、石灰を主成分とする組成物が付着してなる機能性メッシュシート。
(VI−2)石灰を主成分とする組成物が、石灰および水に加えて、キレート化合物及び接着補強剤からなる群から選択される少なくとも1つを含有するスラリーまたはペースト形態の組成物がメッシュシートの繊維部に付着して乾燥したものである(VI−1)に記載する機能性メッシュシート。
(VI−3)エアコンまたは空気清浄機のフィルター、虫除けネット、または防臭・防虫(防ダニ、防白蟻)・防カビシートである、(VI−1)または(VI−2)に記載する機能性メッシュシート。
V.機能性ボード
(V−1)シート状または板状の表面材が、石灰を主成分とする有色接着材層を間に介して積層されてなるボードであって、表面材の少なくとも一枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部の底部に形成されて開口部を通じて外部と接してなる機能性ボード。
(V−2)表面材とその開口部底部に形成された有色接着材層とにより、視覚的に識別可能な模様が形成されてなる(V−1)記載の機能性ボード。
(V−3)有色接着材層が、石灰および水に加えて、キレート化合物および接着補強剤からなる群から選択される少なくとも1つを含有するスラリーまたはペースト形態の接着材を、シート状または板状の表面材にコーティングすることによって形成される、(V−1)または(V−2)に記載の機能性ボード。
(V−4)キレート化合物が、分子量1000以下の有機系キレート化合物または無機系キレート化合物である(V−3)記載の機能性ボード。
(V−5)有機系キレート化合物が、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物および還元性有機酸系キレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、(V−4)記載の機能性ボード。
(V−6)キレート化合物が、分子量600以下のキレート化合物である(V−3)乃至(V−5)のいずれかに記載の機能性ボード。
(V−7)接着材がさらにケイ素化合物を含むものである(V−3)乃至(V−6)のいずれかに記載の機能性ボード。
(V−8)ケイ素化合物が、ゼオライト、シリカ、珪藻土、フライアッシュ、ケイ酸ナトリウム、およびメタケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である(V−7)に記載する機能性ボード。
(V−9)建具、家具、梱包材若しくは収納容器の部材または建材である(V−1)乃至(V−8)のいずれかに記載の機能性ボード。
(V−10)(V−1)乃至(V−9)のいずれかに記載の機能性ボードを少なくとも1面に有する建具、家具、梱包材または収納容器。
(V−11)(V−1)乃至(V−9)のいずれかに記載の機能性ボードを少なくとも1面に、開口部を有する面を内側にして有する家具、梱包材または収納容器。
(V−12)生鮮食品または衣料の収納容器である(V−11)記載の収納容器。
VI.機能性メッシュシート
(VI−1)メッシュシートの繊維部に、石灰を主成分とする組成物が付着してなる機能性メッシュシート。
(VI−2)石灰を主成分とする組成物が、石灰および水に加えて、キレート化合物及び接着補強剤からなる群から選択される少なくとも1つを含有するスラリーまたはペースト形態の組成物がメッシュシートの繊維部に付着して乾燥したものである(VI−1)に記載する機能性メッシュシート。
(VI−3)エアコンまたは空気清浄機のフィルター、虫除けネット、または防臭・防虫(防ダニ、防白蟻)・防カビシートである、(VI−1)または(VI−2)に記載する機能性メッシュシート。
本発明の非水硬性接着剤は、キレート化合物の配合により適度な粘性を有して初期接着が強化されており、薄肉の塗布でも接着剤として有効に利用することができる。本発明の非水硬性接着剤は、セメントモルタルとは異なり、水存在下では硬化せず乾燥とともに硬化する特性(気硬性)を有するため、予め水でスラリーまたはペースト形態に練り置き可能であり、現場で直ちに使用できる既調合タイプの容器入り接着剤である。また、本発明の非水硬性接着剤は、揮発性有機化合物(VOC)等の有機溶媒を用いていないので安全性が高く、しかも石灰の優れた機能(消臭およびVOC吸着などの空気浄化機能、調湿機能、防カビ・抗菌機能、防火機能)をそのまま備えているという特徴を有する。このため本発明の非水硬性接着剤は、建築物の新設又は補修に際して内装建材や外装建材の接着剤として、或いは各種建材どうしの接着剤、家具や建具の接着剤、または梱包材や収納容器の接着剤として、安全且つ有効に利用することができる。また本発明の機能性ボードは、石灰が有する仕上げ材および接着材としての機能を有効に利用したものである。当該機能性ボードは、石灰の優れた機能(空気浄化機能、調湿機能、防カビ・抗菌機能、防火機能)により、建築物の壁、天井または床などの化粧パネルとして、また家具や建具の棚板、側板、天板、底板または仕切板などのボードとして、さらに梱包材や収納容器の部材などとして広く利用することができる。
I.非水硬化性接着剤
本発明の非水硬化性接着剤は、成分として、石灰に加えてキレート化合物および水を含有することを特徴とする。ここで「非水硬化性」とは、接着剤が水存在下で凝結固化しないこと、言い換えれば、水を配合したままで使用可能な状態(スラリーまたはペースト形態)で保存可能であることを意味する。この意味において、本発明の非水硬化性接着剤は、セメントや石こうなどの水硬性物質を含む接着剤などのように、水存在下で凝結固化する性質を有する組成物とは区別される。石灰としては、具体的には生石灰及び消石灰を挙げることができる。なお、これらの石灰としては、工業用石灰、塩焼き石灰、貝灰(貝焼灰)、建築・土木部材などの廃材から再生された再生石灰を使用することもできる。これらの石灰は1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは、気硬性材料で漆喰やドロマイトプラスターの主原料となる消石灰である。なお、ここで生石灰とは主成分として酸化カルシウムを含有する石灰、消石灰とは水酸化カルシウムを含有する石灰をそれぞれ意味し、その限りにおいて他成分として、炭酸カルシウム(カルサイト,アラゴナイト,バテライト,塩基性炭酸カルシウム及び非晶質炭酸カルシウムなどの沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、ドロマイト(CaMg(CO3)2)、焼成ドロマイトまたはこれらの成分(例えば酸化マグネシウム)を含有することを特に妨げるものではない。石灰と併用される他成分として好ましくはドロマイト(CaMg(CO3)2)、焼成ドロマイトまたはこれらの成分(例えば酸化マグネシウム)である。なお、接着剤に配合する上記石灰の割合は、特に制限されないが、接着剤の固形分100重量%あたりの石灰の配合割合として通常3〜95重量%の範囲から適宜選択することができる。石灰の配合割合の下限値として5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、または40重量%を挙げることができる。また上限値として80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、または60重量%を挙げることができる。より具体的な配合割合として、制限されないが10〜80重量%、15〜75重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは35〜70重量%、さらにまた好ましくは40〜70重量%、特に好ましくは40〜65重量%、また特に好ましくは40〜60重量%を例示することができる。本発明の接着剤に配合される水の割合は特に制限されない。好ましくは接着剤100重量%あたり水が10〜70重量%の割合で含まれるような範囲から適宜選択することができる。この場合、接着剤は固形分が30〜90重量%の割合になるように調製される。より具体的には、例えば接着剤をスプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適したスラリー形態に調製する場合には通常水が30〜60重量%、好ましくは35〜50重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。また接着剤をペースト形態に調製する場合には通常水が10〜40重量%、好ましくは20〜35重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。
本発明の非水硬化性接着剤は、成分として、石灰に加えてキレート化合物および水を含有することを特徴とする。ここで「非水硬化性」とは、接着剤が水存在下で凝結固化しないこと、言い換えれば、水を配合したままで使用可能な状態(スラリーまたはペースト形態)で保存可能であることを意味する。この意味において、本発明の非水硬化性接着剤は、セメントや石こうなどの水硬性物質を含む接着剤などのように、水存在下で凝結固化する性質を有する組成物とは区別される。石灰としては、具体的には生石灰及び消石灰を挙げることができる。なお、これらの石灰としては、工業用石灰、塩焼き石灰、貝灰(貝焼灰)、建築・土木部材などの廃材から再生された再生石灰を使用することもできる。これらの石灰は1種単独で使用してもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。好ましくは、気硬性材料で漆喰やドロマイトプラスターの主原料となる消石灰である。なお、ここで生石灰とは主成分として酸化カルシウムを含有する石灰、消石灰とは水酸化カルシウムを含有する石灰をそれぞれ意味し、その限りにおいて他成分として、炭酸カルシウム(カルサイト,アラゴナイト,バテライト,塩基性炭酸カルシウム及び非晶質炭酸カルシウムなどの沈降炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム)、ドロマイト(CaMg(CO3)2)、焼成ドロマイトまたはこれらの成分(例えば酸化マグネシウム)を含有することを特に妨げるものではない。石灰と併用される他成分として好ましくはドロマイト(CaMg(CO3)2)、焼成ドロマイトまたはこれらの成分(例えば酸化マグネシウム)である。なお、接着剤に配合する上記石灰の割合は、特に制限されないが、接着剤の固形分100重量%あたりの石灰の配合割合として通常3〜95重量%の範囲から適宜選択することができる。石灰の配合割合の下限値として5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、または40重量%を挙げることができる。また上限値として80重量%、75重量%、70重量%、65重量%、または60重量%を挙げることができる。より具体的な配合割合として、制限されないが10〜80重量%、15〜75重量%、好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは35〜70重量%、さらにまた好ましくは40〜70重量%、特に好ましくは40〜65重量%、また特に好ましくは40〜60重量%を例示することができる。本発明の接着剤に配合される水の割合は特に制限されない。好ましくは接着剤100重量%あたり水が10〜70重量%の割合で含まれるような範囲から適宜選択することができる。この場合、接着剤は固形分が30〜90重量%の割合になるように調製される。より具体的には、例えば接着剤をスプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適したスラリー形態に調製する場合には通常水が30〜60重量%、好ましくは35〜50重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。また接着剤をペースト形態に調製する場合には通常水が10〜40重量%、好ましくは20〜35重量%の割合で含まれるように調製するのが望ましい。
本発明で使用するキレート化合物は、キレート作用に基づいてカルシウムイオンなどの金属イオンを捕捉ないしは封鎖するイオン封鎖能を有する化合物(イオン封鎖剤)であり、かかる作用を有するものであれば、特にその種類を制限するものではない。通常分子量が2000以下、好ましくは1000以下、より好ましくは700以下、さらに好ましくは600以下、さらにまた好ましくは500以下、特に好ましくは50〜450程度の分子量を有する低分子量のキレート化合物である。かかるキレート化合物として、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物、および還元性有機酸系キレート化合物などの有機系キレート化合物;ケイ酸塩、リン酸塩及び硫酸塩といった無機系キレート化合物を挙げることができる。これらのキレート化合物は、いずれも当業者で周知である。制限はされないが、カルボン酸系キレート化合物としては、シュウ酸、プロピオン酸、スピクルスポール酸(spiculisporicacid)、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、マロン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらの異性体等のカルボン酸またはその塩;クエン酸、イソクエン酸、酒石酸、グルコン酸、ヘプトグルコン酸、ヒドロキシマロン酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルクロン酸、β−D−グルコピラヌロン酸、サリチル酸、マンデル酸、グルコヘプタン酸、アラボン酸、およびこれらの異性体等のヒドロキシカルボン酸またはその塩;ニトリル三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレンジアミンコハク酸、ジエチレントリアミノ五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、L−グルタミン酸二酢酸(GLDA)、L−アスパラギン酸二酢酸(ASDA)、1,3−プロパンジアミン四酢酸(PDTA)、ジメルカプトールコハク酸(DMSA)、及びメチルグリシン二酢酸(MGDA)などのアミノカルボン酸またはその塩;ジヒドロキシエチルグリシン(DEG)、トリエタノールアミン(TEA)、N−(2−ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(HEIDA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸(DHEDDA)、及び1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸(DPTA−OH)等のヒドロキシアミノカルボン酸またはその塩;カルボキシメチルタルトロン酸(CMT)、及びカルボキシメチルオキシ琥珀酸(CMOS)等のエーテルカルボン酸またはその塩;などを挙げることができる。なお、水中で遊離して上記のカルボン酸となる化合物、例えば水中で遊離してグルコン酸となるグルコノデルタラクトンまたはその塩も本発明でいうカルボン酸系キレート化合物に含まれる。ホスホン酸系キレート化合物としては、フィチン酸、アミノメチレンホスホン酸(NMP)、アミノトリメチルホスホン酸(NTMP)、メチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸等のヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)等のホスホノカルボン酸誘導体、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、並びにこれらの塩を挙げることができる。スルホン酸系キレート化合物としては、ジメルカプトプロパノールスルホン酸(DMPS)またはこの塩を挙げることができる。還元性有機酸系キレート化合物としては、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸などの還元性(抗酸化作用)を有する有機酸ならびにこれらの塩を挙げることができる。無機系キレート化合物としては、メタケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸ナトリウムおよびオルソケイ酸ナトリウム等のケイ酸塩;オルソ燐酸ナトリウム、リンピロ燐酸ナトリウム、トリポリ燐酸ナトリウム、テトラ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム等の燐酸塩;硫酸ナトリウムおよびスルファミン酸等の硫酸塩を挙げることができる。好ましくは燐酸塩である。ケイ酸塩は、他の無機系キレート化合物または有機系キレート化合物と組み合わせて使用することが好ましい。上記に掲げる各種化合物の塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、またはストロンチウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;プロトン化されたアミンまたはプロトン化されたアルカノールアミンの塩;亜鉛や鉄などの金属塩を例示することができる。好ましくはナトリウム塩である。なお、これらの各種キレート化合物は水和物であってもよい。これらのキレート化合物は1種単独で使用することもできるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の接着剤に配合されるキレート化合物の割合は、石灰に粘着性(初期接着性)を付与する限りにおいて特に制限されず、そのカルシウムイオン封鎖力(捕捉力)に応じて、また接着剤中に含まれる石灰の種類や接着剤の用法(例えば、薄塗りや厚塗りの別など)などに応じて、接着剤100重量%あたり通常0.01〜5重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは0.02〜3重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.05〜0.5重量%の割合を例示することができる。
本発明の接着剤には、さらに接着補強剤を配合することもできる。ここでいう接着補強剤とは、被着面に対する接着剤の初期接着力を高めたり、また接着剤に含まれる石灰同士の初期接着を高める性質を有するものである。かかる接着補強剤として、具体的には天然糊料(つのまた、フノリ、うるち米、海藻糊、銀杏糊、膠、カゼイン、デキストリン、増粘多糖類など)、合成糊料(メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルアルコールなどの化学糊)、合成樹脂、または水ガラス(ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム)をそれぞれ任意に使用することができる。ここで合成樹脂としては水溶性又は水分散性樹脂が好ましく、具体的にはスチレン−アクリルエステル,スチレン−アクリロニトリル及びスチレン−アクリルアミド−アクリル酸エチルなどのスチレン/アクリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステルや酢酸ビニル−メタクリル酸エステル等の酢酸ビニル/アクリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル等のブタジエン/アクリル共重合体、塩化ビニル/アクリル共重合体、塩化ビニリデン/アクリル共重合体、ベオバ/アクリル共重合体、アクリル共重合体、塩化ビニル/エチレン共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル/ベオバ共重合体、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/ベオバ共重合体、酢酸ビニル/フマール酸エステル(例えば酢酸ビニル/フマール酸ジブチル等)、酢酸ビニル/マレイン酸エステル(例えば酢酸ビニル/マレイン酸ジブチル等);ベオバ/エチレン、アクリル変性・アルキド樹脂、アクリル変性・酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂等のビニル系合成樹脂またはポリウレタン樹脂を例示することができる。耐候性の観点から、好ましくはアクリル系の樹脂である。アクリル系の樹脂としてより好適には、特許第3094227号公報に記載される(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類、または(メタ)アクリロニトリルの少なくとも1つをモノマー成分として構成される重合体(ホモポリマー、コポリマー)を例示することができる(特許第3094227号公報、段落[0015]〜[0017]参照。当該特許公報の記載は本発明の明細書の記載として援用される)。また増粘多糖類としては、ウェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、およびタマリンドシードガムなどの天然植物または微生物に由来するガム質を挙げることができる。
通常、水酸化カルシウムの中に可溶性シリカを配合するとポゾラン反応が生じて不溶性のシリカ質化合物が生成して硬化するが、本発明の接着剤はキレート化合物を配合していることにより、可溶性シリカとしてケイ素化合物を配合した場合でもポゾラン反応(硬化現象)が抑制されて水を含有した状態で流動性(スラリー状、ペースト状)が維持できるという長所を備えている。このため、本発明の接着剤は、接着補強剤としてケイ素化合物(ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム)である水ガラスを配合することもできる。かかる水ガラスは無機化合物であるため、本発明において好適に使用される接着補強剤である。なお接着補強剤として水ガラス(ケイ酸ナトリウムの濃水溶液)を用いる場合、接着剤100重量%中に0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%の割合で配合することができる。
本発明の接着剤は、前述するように石灰、キレート化合物及び水を基本成分とし、さらに必要に応じて接着補強剤を含有するものであるが、本発明の効果を奏することを限度として、他の成分を含有することもできる。かかる成分としては、増粘剤、顔料(白色顔料、着色顔料)、体質顔料、繊維、光触媒、分散剤、湿潤剤、減水剤、流動化剤、消泡剤、充填剤、pH調整剤、界面活性剤、防水剤等を挙げることもできる。ここで増粘剤は、水との相溶性がよく水溶性または水分散性を有し、さらに接着剤の主成分である石灰と相溶性のあるものが好適に使用される。具体的には親水性高分子化合物を例示することができる。親水性高分子化合物としては、第4級アンモニウム塩基やアミノ基等のカチオン性の親水性基を有するカチオン性の親水性高分子化合物を例示することができる。かかる親水性高分子化合物として、具体的にはアミノアルキル(メタ)アクリレート4級塩(共)重合体、ポリアミノメチルアクリルアミドの塩若しくは第4級アンモニウム塩、アクリルアミド/アミノメチルアクリルアミド共重合体の塩もしくは第4級アンモニウム塩、ポリアミノメチルアクリルアミドの塩若しくは4級塩、キトサンの塩酸塩,硫酸塩若しくは酢酸塩、カチオン化デンプン、ポリエチレンイミン、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート4級化物の共重合物、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化グアガム、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化デンプンなどが例示される。また親水性高分子化合物として、水酸基、エーテル基、アミド基等の非イオン性の親水性基を有するノニオン性の親水性高分子化合物を例示することができる。かかる親水性高分子化合物として、具体的にはポリビニルアルコール、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のホルマリン縮合物、ポリエチレンポリアミンプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール共重合物、ポリグリコールエステル、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物;グアガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラヤガム、クリスタルガム、プルラン、キサンタンガムの天然のガム剤;メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が例示される。好ましくは、接着剤中に存在し得る例えば石灰などの電解性物質の挙動に影響を与えず、その存在に関わらず使用できる点から、ノニオン性の親水性高分子化合物である。中でも好ましくは天然のガム質、およびセルロース誘導体である。また、増粘剤として水酸基を有する親水性高分子化合物を用いることもできる。ここで水酸基を有する親水性高分子化合物として、具体的には燐酸デンプン、カチオン化デンプン、デンプン/アクリル酸/アクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化デンプンなどのデンプン類;メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、カラギーナン、アルギン酸またはその塩、キトサンまたはその塩、ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド化グアガム、グアガム、ローカストビーンガム、タラガム、カードラン、プルラン、キチン、タマリンドシードガム、デキストラン、デキストリンなどの多糖類;ポリビニルアルコール;グリセリンやポリエチレングリコールなどの多価アルコールなどを例示することができる。好ましくは、水酸基を有するノニオン性の親水性高分子化合物である。かかるものとして、具体的には、ポリビニルアルコール、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物のホルマリン縮合物、ポリエチレンポリアミンプロピレンオキサイド・エチレンオキサイド付加物、アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール共重合物、ポリグリコールエステル、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合物;グアガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラヤガム、クリスタルガム、プルラン、キサンタンガム等のガム剤;メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体が例示される。好ましくは、メチルセルロース,エチルセルロース,ヒドロキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース誘導体である。また親水性化合物として、糖類を配合することもできる。例えば、グルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、キシロース、アラビノース、リボース等の単糖類:マルトース、シュークロース、ラクトース、トレハロース等の二糖類:マルトトリオース、ラフィノース等の三糖類:オリゴ糖:及びソルビトールなどの糖アルコース等の糖類を挙げることができる。接着剤に配合する上記各種の増粘剤の割合は、特に制限されず、接着剤の固形分100重量%あたりに含まれる割合として固形換算(総量)で通常0.01〜5重量%の範囲から適宜選択することができる。好ましくは0.03〜3重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。なお制限はされないが、接着剤100重量%中に増粘剤が0.003〜3重量%、好ましくは0.009〜2重量%、より好ましくは0.015〜2重量%、さらに好ましくは0.03〜1重量%の割合となるように調整することが望ましい。
白色顔料としては、有機顔料及び無機顔料の別を問わないが、好ましくは無機の白色顔料である。具体的には酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポン、鉛白、アンチモン白及びジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種の無機白色顔料を挙げることができる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは酸化チタン、または酸化チタンと他の白色顔料との組み合わせである。酸化チタンは、白色顔料としての使用態様を備えるものであれば、ルチル形、アナタース形及びブルッカイト形のいずれも使用することができる。なお、酸化チタンは分散性や耐久性などの性能の向上を目的としてAl2O3・nH2OやSiO2・nH2O等の含水金属酸化物などで表面処理されていてもよい。また顔料として着色顔料を配合することができる。着色顔料としては、白以外の有色顔料であれば、特に制限されない。また、有機顔料及び無機顔料の別を問わない。具体的にはカーボンブラックや酸化鉄(鉄黒)等の黒色顔料:カドミウムレッド,べんがら(赤色酸化鉄),モリブデンレッド、鉛丹等の赤色顔料:黄鉛(クロムイエロー),チタンイエロー,カドミウムイエロー,黄色酸化鉄(黄鉄),タン,アンチモンイエロー,バナジウムスズイエロー,バナジウムジルコニウムイエローの黄色顔料:酸化クロム,ビリジアン,チタンコバルトグリーン,コバルトグリーン,コバルトクロムグリーン,ビクトリアグリーン、フタロシアニングリーン等の緑色顔料:または群青,紺青,コバルトブルー,セルリアンブルー,コバルトシリカブルー,コバルト亜鉛シリカブルー等の青色顔料などを例示することができる。好ましくは、耐アルカリ性の着色顔料であり、より好ましくは、黒色酸化鉄(鉄黒)、べんがら(赤色酸化鉄)、または黄色酸化鉄(黄鉄)などの酸化鉄や群青等の酸化金属、またはカーボンブラックを主成分とする着色顔料である。なお、これらは1種単独で使用されても、また2種以上を任意に組み合わせてもよく、所望の色になるように組み合わせや配合割合を適宜調整することができる。また色土を使用することもできる。着色顔料の配合割合は、使用する着色顔料の種類や希望する着色の色によって適宜調整することができ、特に制限はされない。体質顔料としては、タルク,カオリンクレー,水酸化アルミニウム,炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、軽質(沈降性)炭酸カルシウム),ベントナイト,硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウム、バライト粉)、ホワイトカーボン、シリカなどを例示することができる。
繊維としては、従来漆喰材料に使用されている天然繊維やポリエチレンやテトロンなどの化学繊維、セラミック繊維、ガラス繊維、または小麦ファイバーなどを挙げることができる。天然繊維としては、ツタ、はますさ、白毛すさ、南京すさ、さらしすさ、油すさ、および紙すさなどを挙げることができる。光触媒としては光触媒活性を有する酸化物を例示することができる。かかる光触媒活性を有する酸化物としては、酸化チタン、酸化ルビジウム、酸化コバルト、酸化セシウム、酸化クロム、酸化ロジウム、酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化レニウム、酸化第二鉄、三酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ビスマス、酸化ルテニウム、チタン酸ストロンチウム、酸化モリブデン、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化ニオブ及び酸化タンタルなどの無機酸化物が例示できる。分散剤及び湿潤剤としては、制限されないが、例えばアルキルナフタレンスルホン酸ソーダのホルマリン縮合物、ポリアクリル酸共重合体、アクリル酸−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルやアルキルフェノールエーテル、スルホコハク酸誘導体、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとのブロックポリマーなどを例示することができる。減水剤または流動化剤としては、リグニンスルホン酸系、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系、ポリスチレンスルホン酸系、ポリカルボン酸系などの界面活性剤を例示することができる。消泡剤としては、制限されないが、例えば、オクチルアルコール、グリコール誘導体、シクロヘキサン、シリコン、プルロニック系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等の各種の抑泡剤及び破泡剤を挙げることができる。充填剤としては、例えば珪砂、寒水砂、パーライト,バーミキュライト,シラス球及び汚泥焼成骨材などの再生骨材等の無機質骨材(細骨材)の他、カオリン、ハロイサイト、モンモリロナイト、ベントナイト、ギブサイト、マイカ、セラミックサンド、ガラスビーズ、パーライト、酸性白土、陶石、ロウ石、長石、石灰石、石膏、ドロマイト、マグネサイト、滑石、トルマリン、珪藻土、フライアッシュなどの天然無機質材料;水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、天然カルシウム等の水不溶性金属水酸化物;トベルモナイトやゾノトライト等のケイ酸カルシウム系水和物;カルシウムアルミネート水和物、カルシウムスルホアルミネート水和物等の各種酸化物の水和物;アルミナ、シリカ、含水ケイ酸、マグネシア、酸化亜鉛、スピネル、合成炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウムなどの合成無機質などの粉末状、繊維状もしくは粒状の無機材料を挙げることができる。防水剤としては、特に制限されないが、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、オルガノアルコキシシラン等を例示することができる。なお、本発明の接着剤は、前述の通り、キレート化合物の配合により可溶性シリカによるポゾラン反応(硬化現象)が抑制されているため、ケイ素化合物(一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウムなど)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、四塩化ケイ素、シラン、シリコン、ケイ素樹脂)またはこれを成分として含む物質(例えば、珪藻土、シリカ、ゼオライト、フライアッシュ、水ガラスなど)を配合することができることを1つの特徴とする。これらのケイ素化合物の配合割合は特に制限されない。例えば、珪藻土、シリカ、ゼオライトまたはフライアッシュなどの場合、接着剤100重量%中、0.5〜90重量%の範囲から選択することができ、通常1〜60重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%の割合を挙げることができる。
本発明の接着剤は、基本的に上記の各成分を混合して常套方法、例えば調合用機器(ミキサー、シェーカー、ミル、ニーダーなど)等を用いて混合することにより調製することができる。このとき、使用用途や塗工方法に応じて適宜所望の粘度に調整することもできる。かかる接着剤は、非水硬化性であるため、水の存在下で硬化することなく、長期間にわたって直ちに使用できるスラリーおよびペースト形態を有している。このため、通常工場で各成分を混合しスラリー状およびペースト状に調製したものを容器に収納した状態で使用者に提供することができる。ここで接着剤を収容するために使用される容器は、耐水性で内容物を気密に収納できるものであることが必須であるが、接着剤の液性から、さらに少なくとも該接着剤と接触する内側面が耐アルカリ性を有するものであることが好ましい。容器の形態は特に問わず、缶などの非撓性容器(硬質容器)のほか、袋形態またはチューブ形態を有する可撓性容器を用いることもできる。斯くして調製される本発明の接着剤は、初期接着性と自硬性(気硬性)を兼ねそなえ、しかも適度な粘性を有して伸張性に優れているため、被着材に円滑に施工することができる。本発明の接着剤は、種々の被着材に適用することができる。被着材として、具体的には、例えば木材、繊維、複合材料、セラミック、ガラス、コンクリート、石膏、ゴム、紙、プラスチック〔熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エンジニアリングプラスチック(ナイロン、ポリアミド、ポリアセタールホモ重合体、ポリアセタール共重合体、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート)、プラスチック発泡体〕、金属(鋼板、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金、チタンまたはその合金など)などを挙げることができる。従って、本発明の接着剤は、木工用接着剤、布用接着剤、カーペット用接着剤、タイル用接着剤、セラミック用接着剤、ガラス用接着剤、コンクリート用接着剤、紙用接着剤、プラスチック用接着剤、金属用接着材などとして、合板・集成材・単板積層材、建築、土木、自動車、鉄道車両、航空、電機、通信機器、精密・OA機器、衣料・履き物、包装、梱包材、食料品・衣料・日用品の収納容器、製本、家具、医療などの幅広い分野において利用することができる。本発明の接着剤は、制限されないが、石灰に起因して空気浄化性(揮発性有機化合物吸着性、消臭性)、調湿性、防カビ・抗菌性および防火性を備えることから、特に建築用の接着剤として有用である。また消臭、調湿および防かび・抗菌が望まれる家具、建具、梱包材、食料品・衣料・日用品などの収納容器等の接着剤としても有用である。具体的には例えば各種建築物の天井面や壁(内・外壁)面や床面等の内装面及び外装面の接着;建築物の天井、壁(内・外壁)および床の下地材や化粧材として用いられる各種の建築用部材(クロス、パネル、ボード、タイル)、または建具(戸、欄間、衝立、屏風、間仕切り(パーティション)など)や家具(収納家具、下駄箱、台所収納庫、クローゼット)、梱包材や容器(衣料や生鮮食料品などのダンボールやプラスチック製の梱包材または容器)などの各部材の接着に有用である。なお、部材の種類は特に問わず、上記各種の材質のものを挙げることができる。ボード及びパネルとしては、例えば建築用の内装(室内の壁、天井、床等)や外装に用いられるボード材料及びパネル材料を広く挙げることができる。具体的には、木質板、合板(ベニア合板、ランバーコア合板、ペーパーコアサンドイッチ合板、ボードコア合板)、中密度繊維板、プラスチック板、セメントモルタル、石綿セメント珪酸カルシウムボード、中空セメント板、木毛セメント板、発泡セメントボード、木片セメント板、セメントスラグ抄造板、セメントスラグ系成形板、押出成形セメント、パルプセメント板、鋼板パネル、コンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート、PCパネル、ALCパネル、石綿スレート、石膏ボード、石膏プラスター、漆喰ドロマイトプラスター、パーティクルボード、ケイ酸カルシウムボード、サイディングボード、ダンボール、ガラス製パネル、プラスチック製ボード(ウレタン系、スチレン系、エチレン系、フェノール系、イソシアネート系などの樹脂性ボードやポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォームなどの硬質発泡性合成樹脂素材からなる発砲ボード)などを例示することができる。クロスとしては、例えば建築用の内装(室内の壁や天井等)に用いられるクロス材料を広く挙げることができる。クロス材料としては紙や各種繊維からなる不織布または織布等の繊維質シートを挙げることができる。具体的には、紙としては和紙、洋紙(上質紙、中質紙)、クラフト紙、薄葉紙、裏打紙、樹脂含浸紙等、ボール紙、厚紙等のいずれであってもよく、例えば難燃処理を施した紙であって壁紙の施工に適したもの、例えば難燃性裏打紙や不燃紙等も包含される。繊維質シートとしては、例えば天然繊維;ガラス繊維;またはポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維などを構成素材として得られる多孔性の織布や不織布、編み物等を挙げることができる。これらの被着材への接着剤の塗布方法は、特に制限されず、ロールコーターやフローコーター、ハケ、ローラーまたはコテやヘラ等を用いる塗付け方法及びスプレーや各種ガンを用いた吹きつけ方法等の慣用法を挙げることができる。被着材に塗布された接着剤は、被着材同士を押圧後乾燥することによって硬化する。乾燥には、自然乾燥法、通風乾燥法、強制乾燥法または加熱乾燥法のいずれもが使用できる。
II.機能性ボード
本発明の機能性ボードは、シート状または板状の表面材が、石灰を主成分とする有色接着材層を間に介して積層されてなるボードであって、表面材の少なくとも一枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部の底部に形成されて開口部を通じて外部と接してなることを特徴とする。石灰を主成分とする有色接着材層は、石灰および水に加えて、キレート化合物および接着補強剤より成る群から選択される少なくとも1つを有するスラリーまたはペースト形態の接着材を、シート状または板状の表面材の片面または両面にコーティングすることによって形成される。石灰、キレート化合物および接着補強剤は、前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができ、また石灰、キレート化合物、接着補強剤および水の割合も前述の記載に従うことができる。キレート化合物と接着補強剤はいずれも石灰に初期接着性を付与するものであり、特にキレート化合物によれば石灰に粘性と耐ひび割れ性を付与することができる。なお、キレート化合物と接着補強剤とはそれぞれ単独で使用することもできるが、必要に応じて組み合わせて使用することもできる。特に接着補強剤として水ガラスを使用する場合は、ポゾラン反応を抑制する点からキレート化合物と併用することが好ましい。本発明の接着材は、上記組成を基本とするものであるが、本発明の効果を奏することを限度として、他の成分を含有することができる。かかる成分としては好適には顔料(白色顔料および着色顔料)を挙げることができる。石灰は本来白色を有するものである。しかしこれらにさらに白色顔料を配合することにより白色度を増したり、乾燥時の色むらや色差を抑制し、さらに着色した際の発色性をよくしたり色褪せを防止することができる。また着色顔料で着色することによって色とりどりの色彩を付与して意匠性を高めることができる。白色顔料や着色顔料は前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができる。白色顔料の配合割合は、本発明の効果を妨げるものでなければよく、特に制限されない。好ましくは接着剤に含まれる石灰100重量部に対して少なくとも0.05重量部であり、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上である。通常は石灰100重量部に対して0.1〜100重量部、0.1〜80重量部、0.5〜60重量部、1〜50重量部、1〜40重量部の範囲から適宜選択して用いることができる。着色顔料の配合割合は、使用する着色顔料の種類や希望する着色の色によって適宜調整することができ、特に制限はされない。本発明の接着材の粘度は特に制限されず、ロールコーター、フローコーター、スプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適した粘度またはコテやヘラ塗りに適した粘度に適宜調整することができる。接着材の粘度調整は、固形分含量(水分含量)を調節したり、粘着補強剤またはキレート化合物の種類やその配合割合を調節したり、また必要に応じてさらに増粘剤を配合して調節してもよい。ここで増粘剤も前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができる。さらに本発明の接着材には、その他の任意成分として、本発明の効果を妨げない範囲で、体質顔料、油、スサやツタなどの繊維、光触媒、分散剤、湿潤剤、減水剤、流動化剤、消泡剤、充填剤、pH調整剤、界面活性剤、防水剤等を配合することもできる。また、キレート化合物を含有する場合は、ポゾラン反応(硬化現象)の発生が抑制できるため、前述する非水硬化性接着剤と同様に、ケイ素化合物(一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウムなど)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、四塩化ケイ素、シラン、シリコン、ケイ素樹脂)またはこれを成分として含む物質(例えば、珪藻土、シリカ、ゼオライト、フライアッシュ、水ガラスなど)を配合することもできる。かかる接着材の表面材へのコーティング方法は、表面材の片面または両面に接着材層を形成する方法であれば特に制限されず、ロールコーターやフローコーター、ハケ、ローラーまたはコテやヘラ等を用いる塗付け方法及びスプレーや各種ガンを用いた吹きつけ方法等の慣用法を挙げることができる。表面材の表面に層をなすように塗布された接着材は、その上から1または複数の孔を有する表面材を積層し、押圧後乾燥することによって硬化する。乾燥には、自然乾燥法、通風乾燥法、強制乾燥法または加熱乾燥法のいずれもが使用できる。
本発明の機能性ボードは、シート状または板状の表面材が、石灰を主成分とする有色接着材層を間に介して積層されてなるボードであって、表面材の少なくとも一枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部の底部に形成されて開口部を通じて外部と接してなることを特徴とする。石灰を主成分とする有色接着材層は、石灰および水に加えて、キレート化合物および接着補強剤より成る群から選択される少なくとも1つを有するスラリーまたはペースト形態の接着材を、シート状または板状の表面材の片面または両面にコーティングすることによって形成される。石灰、キレート化合物および接着補強剤は、前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができ、また石灰、キレート化合物、接着補強剤および水の割合も前述の記載に従うことができる。キレート化合物と接着補強剤はいずれも石灰に初期接着性を付与するものであり、特にキレート化合物によれば石灰に粘性と耐ひび割れ性を付与することができる。なお、キレート化合物と接着補強剤とはそれぞれ単独で使用することもできるが、必要に応じて組み合わせて使用することもできる。特に接着補強剤として水ガラスを使用する場合は、ポゾラン反応を抑制する点からキレート化合物と併用することが好ましい。本発明の接着材は、上記組成を基本とするものであるが、本発明の効果を奏することを限度として、他の成分を含有することができる。かかる成分としては好適には顔料(白色顔料および着色顔料)を挙げることができる。石灰は本来白色を有するものである。しかしこれらにさらに白色顔料を配合することにより白色度を増したり、乾燥時の色むらや色差を抑制し、さらに着色した際の発色性をよくしたり色褪せを防止することができる。また着色顔料で着色することによって色とりどりの色彩を付与して意匠性を高めることができる。白色顔料や着色顔料は前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができる。白色顔料の配合割合は、本発明の効果を妨げるものでなければよく、特に制限されない。好ましくは接着剤に含まれる石灰100重量部に対して少なくとも0.05重量部であり、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上である。通常は石灰100重量部に対して0.1〜100重量部、0.1〜80重量部、0.5〜60重量部、1〜50重量部、1〜40重量部の範囲から適宜選択して用いることができる。着色顔料の配合割合は、使用する着色顔料の種類や希望する着色の色によって適宜調整することができ、特に制限はされない。本発明の接着材の粘度は特に制限されず、ロールコーター、フローコーター、スプレー、ローラーまたは刷毛塗りに適した粘度またはコテやヘラ塗りに適した粘度に適宜調整することができる。接着材の粘度調整は、固形分含量(水分含量)を調節したり、粘着補強剤またはキレート化合物の種類やその配合割合を調節したり、また必要に応じてさらに増粘剤を配合して調節してもよい。ここで増粘剤も前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができる。さらに本発明の接着材には、その他の任意成分として、本発明の効果を妨げない範囲で、体質顔料、油、スサやツタなどの繊維、光触媒、分散剤、湿潤剤、減水剤、流動化剤、消泡剤、充填剤、pH調整剤、界面活性剤、防水剤等を配合することもできる。また、キレート化合物を含有する場合は、ポゾラン反応(硬化現象)の発生が抑制できるため、前述する非水硬化性接着剤と同様に、ケイ素化合物(一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウムなど)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、四塩化ケイ素、シラン、シリコン、ケイ素樹脂)またはこれを成分として含む物質(例えば、珪藻土、シリカ、ゼオライト、フライアッシュ、水ガラスなど)を配合することもできる。かかる接着材の表面材へのコーティング方法は、表面材の片面または両面に接着材層を形成する方法であれば特に制限されず、ロールコーターやフローコーター、ハケ、ローラーまたはコテやヘラ等を用いる塗付け方法及びスプレーや各種ガンを用いた吹きつけ方法等の慣用法を挙げることができる。表面材の表面に層をなすように塗布された接着材は、その上から1または複数の孔を有する表面材を積層し、押圧後乾燥することによって硬化する。乾燥には、自然乾燥法、通風乾燥法、強制乾燥法または加熱乾燥法のいずれもが使用できる。
上記接着材を塗布する基板となるシート状または板状の表面材、また接着材から形成される有色接着材層の表面に積層されるシート状または板状の表面材は、いずれもその材質を特に問うものではない。例えば木材、繊維、複合材料、セラミック、ガラス、コンクリート、石膏、ゴム、紙、プラスチック〔熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エンジニアリングプラスチック(ナイロン、ポリアミド、ポリアセタールホモ重合体、ポリアセタール共重合体、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート)、プラスチック発泡体〕、金属(鋼板、アルミニウムまたはその合金、銅またはその合金、チタンまたはその合金など)などを挙げることができる。具体的には、建築用の内装(室内の壁、天井、床等)や外装に用いられるボード材料及びパネル材料、建具(戸、欄間、衝立、屏風、間仕切り(パーティション)など)や家具(収納家具、下駄箱、クローゼット、台所収納庫など)、梱包材(衣料や食料品を収納するダンボール、プラスチックまたはガラス製の梱包材やケース収納材)などの部材に使用されるシートまたは板を例示することができる。なお、シート状または板状の表面材は単層物であってもよいし、または2以上の層からなる積層物であってもよい。より具体的には、木質板、合板(ベニア合板、ランバーコア合板、ペーパーコアサンドイッチ合板、ボードコア合板)、中密度繊維板、プラスチック板、セメントモルタル、石綿セメント珪酸カルシウムボード、中空セメント板、木毛セメント板、発泡セメントボード、木片セメント板、セメントスラグ抄造板、セメントスラグ系成形板、押出成形セメント、パルプセメント板、鋼板パネル、コンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート、PCパネル、ALCパネル、石綿スレート、石膏ボード、石膏プラスター、漆喰ドロマイトプラスター、パーティクルボード、ケイ酸カルシウムボード、サイディングボード、ダンボール、ガラス製パネル、プラスチック製ボード(ウレタン系、スチレン系、エチレン系、フェノール系、イソシアネート系などの樹脂性ボードやポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォームなどの硬質発泡性合成樹脂素材からなる発砲ボード)例示することができる。シート状の表面材としては、例えば建築用の内装(室内の壁や天井等)に用いられるクロス材料(例えば紙や各種繊維からなる不織布または織布等の繊維質シート)を挙げることができる。具体的には、紙としては和紙、洋紙(上質紙、中質紙)、クラフト紙、薄葉紙、裏打紙、樹脂含浸紙等、ボール紙、厚紙等のいずれであってもよく、例えば難燃処理を施した紙であって壁紙の施工に適したもの、例えば難燃性裏打紙や不燃紙等も包含される。繊維質シートとしては、例えば天然繊維;ガラス繊維;またはポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ビニロン等の合成繊維などを構成素材として得られる多孔性の織布や不織布、編み物等を挙げることができる。有色接着材層を間に介して両側に積層される表面材は、その少なくとも1枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部の底部に形成されて開口部を通じて外部と接してなる(視覚的に現れてなる))ことを特徴とする。孔の形状は特にとわず、丸形状に限らず、花模様、昆虫模様、動植物模様、幾何学的模様などの各種装飾模様を所望の意匠性に応じて適宜設定することができる。孔の大きさも特に制限されない。孔によって形成される開口部の割合は、制限されないが、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上と適宜選択することができる。孔の配置も意匠に応じて適宜設定することができるが、表面材の表面全体に亘って散在するように配置することが好ましい。かかる開口部を設けることで、表面材と有色接着材層との接着性が促進されより強い接着性が得られるとともに、表面材とその開口部から現れる有色接着材層とにより、視覚的に識別可能な模様を形成することができる。さらに表面材に開口部を設けることで、石灰に起因して有色接着材層が有する各種の機能(揮発性有機化合物吸収性や消臭性などの空気浄化性、調湿性、防かび・抗菌性など)を有効に発揮することができる。また、開口部を表面材の表面全体に亘って散在するように配置することで有色接着材層が速やかに且つ均一に硬化し、表面材と有色接着材層とをむらなく強固に接着することにより経時的な剥離を防止することができる。
このため、本発明の機能性ボードは、特に建築部材として有用である。特に表面材として耐火素材を用い、且つ接着補強剤として水ガラスなどの無機質素材を用いることにより、耐火性の機能性ボートを提供することができる。またVOC吸着分解、消臭、調湿および防カビ・抗菌が望まれる家具、建具、梱包材、収納容器等の部材としても有用である。具体的には例えば建築物の天井、壁(内・外壁)、押入および床の下地材や化粧材として用いられる各種の建築部材(クロス、パネル、ボード、タイル)、または建具(戸、欄間、衝立、屏風、間仕切り(パーティション)など)や家具(収納家具、下駄箱、クローゼット、台所収納庫、物置)、梱包材や収納容器〔衣料、食料品(生鮮食料品を含む)、日用品などのダンボール製、プラスチック製またはガラス製の梱包材や収納容器)などの部材(例えば、棚板、側板、戸板、天板、底板、蓋板、背板、仕切板など)として有用である。本発明の機能性ボードによれば、漆喰の塗装に要する高度な技術を回避し、施工の手間や製造のコストダウンを図ることができる。またボートまたはパネル形態とすることによって、接着材層が建物の揺れや振動による影響をうけにくく、ひび割れしにくいという長所をも備えている。本発明はかかる機能性ボードと少なくとも一部に有する建具(戸、欄間、衝立、屏風、間仕切り(パーティション)など)や家具(収納家具、下駄箱、クローゼット、台所収納庫、物置)、梱包材や収納容器〔衣料、食料品(生鮮食料品を含む)、日用品などのダンボール製、プラスチック製またはガラス製の梱包材や収納容器)を提供するものである。かかる建具、家具、梱包材および収納容器によれば、上記機能性ボードを、表面材の開口部を外側にして配置することにより、意匠性に優れるとともに、大気中の有害物質や臭いを除去したり、湿度を適度に調節することができる。また、上記機能性ボードを、表面材の開口部を内側にして配置した建具、家具、梱包材および収納容器によれば、家具、梱包材および収納容器の内部やそこに収納された物品の臭い、VOCおよび湿気を除去し、かつカビや細菌の増殖を抑制することができる。さらに生鮮食料品の場合(例えば、野菜や魚肉など)、臭いの発生を抑制し、またその鮮度を維持することも可能である。
図1は本発明の機能性ボートの一例を示す平面図を示す。当該図は、開口部を有する表面材側から見た平面図であり、開口部の底部に有色接着材層が見えている(図中、斜線で示す)。図2は、図1に示す機能性ボードをa−a線に沿って切断した場合の各種断面部を示す。本発明の機能性ボートは、図2Aに示すように、基板となる板状またはシート状の単層の上に有色接着材層が積層され、その上に仕上げ層となる所望の形状の孔(開口部)を有する板状またはシート状の単層が積層され、これらが一体となって形成されたものであってもよい。なお、本発明の機能性ボートは、図2Bに示すように、基板または/および仕上げ層となる板状またはシート状の層が、異なる素材からなる2以上の複数層から形成されていてもよい。さらに、本発明の機能性ボートは、図2Cに示すように、基板となる板状またはシート状の両面に有色接着材層が積層され、さらに各有色接着材層の上に開口部を有する仕上げ層が積層されてなるものであってもよい。図2Cの態様によれば、開口部を有する仕上げ層(すなわち模様面)を両面に有する機能性ボードを提供することができる。なお、模様面を両面に有する機能性ボードは、Cの態様の他、図2Aに示すボード2枚をそれぞれ基板を内側にしてはり合わせることによって作成することができる。図3は、本発明の機能性ボートを内側面(図では側面)に有する梱包材(例えば、ダンボール箱、またはプラスチック容器)の斜視図を示す。図では、内側の側面に本発明の機能性ボートを備えたダンボール箱を例示するが、側面に限定されず、底または蓋の内側面に機能性ボートを備えるものであってもよい。かかる梱包材は、衣料品や食品の収納容器として有効に利用することができる。
III.機能性メッシュシート
本発明の機能性メッシュシートは、メッシュシートの繊維部に、石灰を主成分とする組成物が開口部を損なわないように付着してなるメッシュシートである。石灰を主成分とする組成物は、石灰および水に加えて、キレート化合物および接着補強剤より成る群から選択される少なくとも1つを有するスラリーまたはペースト形態の組成物を、メッシュシートの繊維部に付着させて乾燥することによって形成される。付着させる方法はメッシュシートのメッシュ部(開口部)が閉口しない方法であれば特に制限されず、フローコーター、ロールコーター、浸漬法、スプレーないしは各種ガンを用いた吹きつけ方法、片面または両面にコーティングする方法などの慣用法を挙げることができる。乾燥には、自然乾燥法、通風乾燥法、強制乾燥法または加熱乾燥法のいずれもが使用できる。石灰、キレート化合物および接着補強剤は、前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができ、また石灰、キレート化合物、接着補強剤および水の割合も前述の記載に従うことができる。キレート化合物と接着補強剤はいずれも石灰に初期接着性を付与するものであり、特にキレート化合物によれば石灰に粘着性と耐ひび割れ性(耐剥がれ性、耐脱落性)を付与することができる。なお、キレート化合物と接着補強剤とはそれぞれ単独で使用することもできるが、必要に応じて組み合わせて使用することもできる。特に接着補強剤として水ガラスを使用する場合は、ポゾラン反応を抑制する点からキレート化合物と併用することが好ましい。本発明で使用する組成物は、上記組成を基本とするものであるが、本発明の効果を奏することを限度として、他の成分を含有することができる。かかる成分としては、顔料(白色顔料、着色顔料)、増粘剤、体質顔料、油、スサやツタなどの繊維、光触媒、分散剤、湿潤剤、減水剤、流動化剤、消泡剤、充填剤、pH調整剤、界面活性剤、防水剤等を配合することもできる。また、キレート化合物を含有する場合は、ポゾラン反応(硬化現象)の発生が抑制できるため、前述する非水硬化性接着剤と同様に、ケイ素化合物(一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウムなど)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、四塩化ケイ素、シラン、シリコン、ケイ素樹脂)またはこれを成分として含む物質(例えば、珪藻土、シリカ、ゼオライト、フライアッシュ、水ガラスなど)を配合することもできる。上記組成物を付着するメッシュシートは、いずれもその材質を特に問うものではなく、天然繊維〔種子毛繊維、ジン皮繊維、葉脈繊維、その他(ヤシ繊維、い草繊維、麦わら繊維)などの植物繊維;まゆ繊維、獣毛繊維その他(羽毛繊維など)の動物繊維〕、化学繊維〔無機繊維(金属繊維、ガラス繊維、岩石繊維)、再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ)、半合成繊維(アセテート、鳥アセテート、プロミックス)、合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリ塩化ビニル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ビニリデン、ポリエチレン、ポリクラール)〕またはこれらの混合繊維のいずれを使用することができる。好ましくは可紡性のある繊維、具体的には単糸以外の撚りあわせ糸(双糸、三子糸など)、合糸、ひき揃え糸(二本諸、三本諸)、紡績糸などである。かかる繊維からなるメッシュシートによれば、石灰を主成分とする組成物の付着性(くいつき)がよく剥がれや脱落を抑えることができる。本発明の機能性メッシュシートは、石灰に起因して各種の機能(揮発性有機化合物吸収性や消臭性などの空気浄化性、調湿性、防かび・抗菌性など)を有効に発揮することができる。このため、エアコンや空気清浄機のフィルター;虫除けネット;床下、押入、物置、流しの下または下駄箱などの防臭・防虫(防ダニ、防白蟻)・防カビシートとして有効に使用することができる。
本発明の機能性メッシュシートは、メッシュシートの繊維部に、石灰を主成分とする組成物が開口部を損なわないように付着してなるメッシュシートである。石灰を主成分とする組成物は、石灰および水に加えて、キレート化合物および接着補強剤より成る群から選択される少なくとも1つを有するスラリーまたはペースト形態の組成物を、メッシュシートの繊維部に付着させて乾燥することによって形成される。付着させる方法はメッシュシートのメッシュ部(開口部)が閉口しない方法であれば特に制限されず、フローコーター、ロールコーター、浸漬法、スプレーないしは各種ガンを用いた吹きつけ方法、片面または両面にコーティングする方法などの慣用法を挙げることができる。乾燥には、自然乾燥法、通風乾燥法、強制乾燥法または加熱乾燥法のいずれもが使用できる。石灰、キレート化合物および接着補強剤は、前述する非水硬化性接着剤で使用されるものを同様に使用することができ、また石灰、キレート化合物、接着補強剤および水の割合も前述の記載に従うことができる。キレート化合物と接着補強剤はいずれも石灰に初期接着性を付与するものであり、特にキレート化合物によれば石灰に粘着性と耐ひび割れ性(耐剥がれ性、耐脱落性)を付与することができる。なお、キレート化合物と接着補強剤とはそれぞれ単独で使用することもできるが、必要に応じて組み合わせて使用することもできる。特に接着補強剤として水ガラスを使用する場合は、ポゾラン反応を抑制する点からキレート化合物と併用することが好ましい。本発明で使用する組成物は、上記組成を基本とするものであるが、本発明の効果を奏することを限度として、他の成分を含有することができる。かかる成分としては、顔料(白色顔料、着色顔料)、増粘剤、体質顔料、油、スサやツタなどの繊維、光触媒、分散剤、湿潤剤、減水剤、流動化剤、消泡剤、充填剤、pH調整剤、界面活性剤、防水剤等を配合することもできる。また、キレート化合物を含有する場合は、ポゾラン反応(硬化現象)の発生が抑制できるため、前述する非水硬化性接着剤と同様に、ケイ素化合物(一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩(ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウムなど)、窒化ケイ素、炭化ケイ素、四塩化ケイ素、シラン、シリコン、ケイ素樹脂)またはこれを成分として含む物質(例えば、珪藻土、シリカ、ゼオライト、フライアッシュ、水ガラスなど)を配合することもできる。上記組成物を付着するメッシュシートは、いずれもその材質を特に問うものではなく、天然繊維〔種子毛繊維、ジン皮繊維、葉脈繊維、その他(ヤシ繊維、い草繊維、麦わら繊維)などの植物繊維;まゆ繊維、獣毛繊維その他(羽毛繊維など)の動物繊維〕、化学繊維〔無機繊維(金属繊維、ガラス繊維、岩石繊維)、再生繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ)、半合成繊維(アセテート、鳥アセテート、プロミックス)、合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリ塩化ビニル、ビニロン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ビニリデン、ポリエチレン、ポリクラール)〕またはこれらの混合繊維のいずれを使用することができる。好ましくは可紡性のある繊維、具体的には単糸以外の撚りあわせ糸(双糸、三子糸など)、合糸、ひき揃え糸(二本諸、三本諸)、紡績糸などである。かかる繊維からなるメッシュシートによれば、石灰を主成分とする組成物の付着性(くいつき)がよく剥がれや脱落を抑えることができる。本発明の機能性メッシュシートは、石灰に起因して各種の機能(揮発性有機化合物吸収性や消臭性などの空気浄化性、調湿性、防かび・抗菌性など)を有効に発揮することができる。このため、エアコンや空気清浄機のフィルター;虫除けネット;床下、押入、物置、流しの下または下駄箱などの防臭・防虫(防ダニ、防白蟻)・防カビシートとして有効に使用することができる。
実験例1
表1に記載の成分を調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、ペースト形態の接着剤(実施例1〜3、比較例1)を調製した。なお、キレート化合物としてグルコン酸ナトリウム(実施例1)、クエン酸ナトリウム(実施例2)、及びEDTA・4ナトリウム(実施例3)をそれぞれ用いた。次いで調製した各ペースト状の接着剤をそれぞれ500gずつ耐水性のフィルムバック〔サラン−UB#158:旭化成(株):厚み15μm(ASTM D−3985)、酸素透過度10ml/(m2・day・MPa)(20℃、75%RH)(ASTM D−3985)、透湿度1g/(m2・day)(38℃、90%RH)(ASTM F−372)〕に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールし、下記に示す性能評価試験に供した。
<接着剤の軟度安定性>
フィルムバックに収容された実施例1〜3及び比較例1の接着剤について常温(20±5℃)下で保存して、調製から24時間後及び48時間後のペーストの軟度(接着剤の柔らかさ)を観察し、下記の基準に従って評価した。なお、軟度安定性は、下記評価に示すように、各接着剤について調製直後の軟度を基準として各々評価した。
軟度安定性評価
◎:そのままで極めて良好(調製直後とほぼ同様の柔らかさを有する)
○:若干締まった状態になるが、フィルムバックを数回揉むと簡単に軟らかさが回復する(調製時とほぼ同様の柔らかさに戻る)
△:若干硬く締まった状態になり、調製時と同様の柔らかさに戻すためには、フィルムバックをかなり強い力で複数回揉む必要がある(調製時とほぼ同様の柔らかさに戻る)
×:かなり硬く締まった状態になり、フィルムバックを揉むと柔らかくなるものの調製時と同様の柔らかさには戻らない。
<粘着性(初期接着性)>
上記接着剤について、調製直後、保存後24時間後、及び48時間後のものを用いて、試験板(フレキシブル板)に1mm厚でヘラ塗りし、次いで上から非通気性のビニルシートを積層して押圧し、5分間放置した。その後シートを剥がし、その際の引っ張り強度から接着剤の初期接着性を評価した。なお、いずれの接着剤も塗工前にはフィルムバックを十分に揉んで、比較例1の保存後48時間のものを除いて、調製時とほぼ同様の柔らかさに調整してから使用した。なお、初期接着性は、下記基準をもとに評価した。
初期接着性評価
◎:極めて良好、○:良好、△:普通、×:付着性なし
結果を、基材への塗工性(作業性)を含めて表1に併せて示す。
表1に記載の成分を調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、ペースト形態の接着剤(実施例1〜3、比較例1)を調製した。なお、キレート化合物としてグルコン酸ナトリウム(実施例1)、クエン酸ナトリウム(実施例2)、及びEDTA・4ナトリウム(実施例3)をそれぞれ用いた。次いで調製した各ペースト状の接着剤をそれぞれ500gずつ耐水性のフィルムバック〔サラン−UB#158:旭化成(株):厚み15μm(ASTM D−3985)、酸素透過度10ml/(m2・day・MPa)(20℃、75%RH)(ASTM D−3985)、透湿度1g/(m2・day)(38℃、90%RH)(ASTM F−372)〕に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールし、下記に示す性能評価試験に供した。
<接着剤の軟度安定性>
フィルムバックに収容された実施例1〜3及び比較例1の接着剤について常温(20±5℃)下で保存して、調製から24時間後及び48時間後のペーストの軟度(接着剤の柔らかさ)を観察し、下記の基準に従って評価した。なお、軟度安定性は、下記評価に示すように、各接着剤について調製直後の軟度を基準として各々評価した。
軟度安定性評価
◎:そのままで極めて良好(調製直後とほぼ同様の柔らかさを有する)
○:若干締まった状態になるが、フィルムバックを数回揉むと簡単に軟らかさが回復する(調製時とほぼ同様の柔らかさに戻る)
△:若干硬く締まった状態になり、調製時と同様の柔らかさに戻すためには、フィルムバックをかなり強い力で複数回揉む必要がある(調製時とほぼ同様の柔らかさに戻る)
×:かなり硬く締まった状態になり、フィルムバックを揉むと柔らかくなるものの調製時と同様の柔らかさには戻らない。
<粘着性(初期接着性)>
上記接着剤について、調製直後、保存後24時間後、及び48時間後のものを用いて、試験板(フレキシブル板)に1mm厚でヘラ塗りし、次いで上から非通気性のビニルシートを積層して押圧し、5分間放置した。その後シートを剥がし、その際の引っ張り強度から接着剤の初期接着性を評価した。なお、いずれの接着剤も塗工前にはフィルムバックを十分に揉んで、比較例1の保存後48時間のものを除いて、調製時とほぼ同様の柔らかさに調整してから使用した。なお、初期接着性は、下記基準をもとに評価した。
初期接着性評価
◎:極めて良好、○:良好、△:普通、×:付着性なし
結果を、基材への塗工性(作業性)を含めて表1に併せて示す。
キレート化合物を配合しない石灰を含む接着剤(比較例1)は、24時間の保存によって、調製時の柔らかさが消失し、フィルムバック中の内容物が凝集して締まった状態になっており、48時間後には僅かに離水も認められた。一方、キレート化合物としてグルコン酸ナトリウムを配合した石灰を含む接着剤(実施例1)は、48時間の保存後も調製時の柔らかさを有していた。キレート化合物としてクエン酸ナトリウムやEDTA・2Naを配合した石灰を含む接着剤(実施例2および3)は、24時間の保存で若干締まった感じになったが、手で揉むと容易に調製時の柔らかさが回復した。こうした現象の理由は定かではないが、上記結果から、キレート化合物を配合することでカルシウムイオンが捕捉封鎖されて、コロイド化学的な相互作用による石灰粒子の凝集が抑制されるものと考えられた。このことから、キレート化合物を配合することによって、石灰を含む流体の特性であるチクソトロピー性が緩和低減できることがわかった。また、石灰にキレート化合物を配合した接着剤(実施例1〜3)は、水と練り合わせることによって粘性が生じ、その結果、表1に示すように伸展性がよく基材塗工性(作業性)に優れ、また良好な初期接着性を発揮した。それに対して、石灰にキレート化合物を配合しない比較例1の接着剤は粘性がなく、伸展性および初期接着性もよくなかった。しかし、実施例1〜3も比較例1の接着剤も完全に乾燥固化した後は、15kg/cm2以上の接着強度を示した。
実験例2
キレート化合物として表2に記載する化合物を使用して、石灰を含む各種の接着剤を作成し、実験例1と同様の方法により軟度安定性と初期接着性を評価した。
キレート化合物として表2に記載する化合物を使用して、石灰を含む各種の接着剤を作成し、実験例1と同様の方法により軟度安定性と初期接着性を評価した。
具体的には表3〜4に記載の各成分を塗材調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、接着剤(実施例4〜19)を調製した。次いで調製した各接着剤(実施例4〜19)をそれぞれ500gずつ耐水性のフィルムバック〔サラン−UB#158:旭化成(株):厚み15μm(ASTM D−3985)、酸素透過度10ml/(m2・day・MPa)(20℃、75%RH)(ASTM D−3985)、透湿度1g/(m2・day)(38℃、90%RH)(ASTM F−372)〕に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールし、実験例1と同様にして性能評価試験(軟度安定性および初期接着性試験)に供した。結果を表3〜4に合わせて示す。
キレート化合物を配合しないで石灰を含む接着剤(実施例19)は、24時間の保存によって、調製時の柔らかさが消失し、フィルムバック中の内容物が凝集して締まった状態になった。またポリカルボン酸系分散剤を配合した石灰を含む接着剤(実施例18)も、24時間の保存によって調製時の柔らかさが消失して内容物が凝集して多少締まった状態になった。これはフィルムバックを揉むともとの柔らかさが回復したが、保存後48時間もたつと、さらに凝集が進行し、もとの柔らかさに戻すにはかなりの力を要した。一方、キレート化合物を配合した石灰を含む水含有接着剤(実施例4〜17)は、上記の現象が有意に解消されており、24〜48時間の保存によっても調製時の柔らかさがほぼ維持されているか、または少し揉み返すことで調製時の柔らかさに戻すことができた。特にこの実験例では、キレート化合物としてグルコン酸ナトリウム(カルボン酸系キレート化合物)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)(ホスホン酸系キレート化合物)、またはアスコルビン酸ナトリウム(還元性有機酸系キレート化合物)を配合した接着剤に、優れた軟度安定性が認められた。また、石灰にキレート化合物を配合した接着剤(実施例4〜17)は、水と練り合わせることによって粘性が生じ、その結果、表3〜4に示すように伸展性がよく基材塗工性(作業性)に優れ、また良好な初期接着性を発揮した。石灰に接着補強剤として合成樹脂エマルションだけを配合した実施例18と19の接着剤は、粘性および伸展性がやや劣るものの良好な初期接着性を示した。また実施例4〜19の接着剤は完全に乾燥固化した後の接着強度はいずれも15kg/cm2以上であった。
実験例3
表5に記載の固形成分を水に分散させて、スラリー形態の接着剤(実施例20〜23)を調製した。具体的には表5に記載の各成分を調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、接着剤(実施例20〜23)を調製した。また比較として、実施例22の処方においてキレート化合物を配合しない以外は同様にして接着剤(比較例2)を調製した。次いで調製した各接着剤(実施例20〜23、比較例2)をそれぞれ500gずつ耐水性のフィルムバック〔サラン−UB#158:旭化成(株):厚み15μm(ASTM D−3985)、酸素透過度10ml/(m2・day・MPa)(20℃、75%RH)(ASTM D−3985)、透湿度1g/(m2・day)(38℃、90%RH)(ASTM F−372)〕に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールした。調製直後、及び常温(20±5℃)下で48時間放置した後の、外観および性状(塗材の柔らかさ・流動性を含む)をそれぞれ評価した。結果を表5に示す。
表5に記載の固形成分を水に分散させて、スラリー形態の接着剤(実施例20〜23)を調製した。具体的には表5に記載の各成分を調合用ミキサーに入れて撹拌することにより固形分を水に分散させて、接着剤(実施例20〜23)を調製した。また比較として、実施例22の処方においてキレート化合物を配合しない以外は同様にして接着剤(比較例2)を調製した。次いで調製した各接着剤(実施例20〜23、比較例2)をそれぞれ500gずつ耐水性のフィルムバック〔サラン−UB#158:旭化成(株):厚み15μm(ASTM D−3985)、酸素透過度10ml/(m2・day・MPa)(20℃、75%RH)(ASTM D−3985)、透湿度1g/(m2・day)(38℃、90%RH)(ASTM F−372)〕に充填して開口部を気密状態に脱気しながらヒートシールした。調製直後、及び常温(20±5℃)下で48時間放置した後の、外観および性状(塗材の柔らかさ・流動性を含む)をそれぞれ評価した。結果を表5に示す。
比較例2の接着剤は、調製時にすでに内容物の凝集が認められ、48時間経過後にはその凝集物が硬化して全体として非常に硬い組成物となっていた。これは珪藻土の珪素化合物と消石灰のカルシウムイオンとが反応して、ポゾラン(シリカ質化合物)が生じたためと考えられた。一方、実施例20〜23の接着剤はいずれも珪素化合物を含んでいるにも拘わらず凝集や硬化といった不都合な現象(ポゾラン)は認められず、48時間後経過後も柔らかで調製時の流動性を備えていた。このことから、石灰を含む接着剤中にキレート化合物を配合することで、珪素化合物と反応してポゾランを生じることをも防止できることがわかった。斯くして接着剤の成分として、石灰に加えてゼオライトや珪藻土を使用することが可能となり、その結果、石灰の調湿性を補強することができる。また、接着剤の接着補強剤として、合成樹脂エマルションやポリビニルアルコールなどの有機化合物に代えて、無機接着剤である水ガラス(Na2O・2SiO2/45%水溶液)を使用することが可能となり、その結果、無機100%の接着剤を調製することができる。また実施例20〜23の接着剤はいずれも完全に乾燥固化した後の接着強度はいずれも18kg/cm2以上であった。
10.機能性ボード
11.孔を有する表面材層(仕上げ材)
12.有色接着材層
13.表面材層(基材)
14.開口部(孔)
20.梱包材(ダンボール箱)
11.孔を有する表面材層(仕上げ材)
12.有色接着材層
13.表面材層(基材)
14.開口部(孔)
20.梱包材(ダンボール箱)
Claims (17)
- 石灰、キレート化合物および水を含有することを特徴とする非水硬化性接着剤。
- キレート化合物が、分子量1000以下の有機系キレート化合物または無機系キレート化合物である、請求項1記載の非水硬化性接着剤。
- 有機系キレート化合物が、カルボン酸系キレート化合物、ホスホン酸系キレート化合物、燐酸系キレート化合物、スルホン酸系キレート化合物および還元性有機酸系キレート化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2記載の非水硬化性接着剤。
- さらに接着補強剤を含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
- さらにケイ素化合物を含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
- スラリーまたはペースト形態で容器に収納されてなるものである請求項1乃至5のいずれかに記載の非水硬化性接着剤。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載する非水硬化性接着剤を用いて接着された接着部を有する接着物。
- 建材、家具、建具、梱包材、収納容器である請求項7記載の接着物。
- シート状または板状の表面材が、石灰を主成分とする有色接着材層を間に介して積層されてなるボードであって、表面材の少なくとも一枚が1または複数の孔を有して開口しており、有色接着材層が当該開口部の底部に形成されて開口部を通じて外部と接してなる機能性ボード。
- 表面材とその開口部底部に形成された有色接着材層とにより、視覚的に識別可能な模様を形成してなる請求項9記載の機能性ボード。
- 建具、家具、梱包材もしくは収納容器の部材または建材である請求項9または10記載の機能性ボード。
- 請求項9または10記載の機能性ボードを少なくとも1部に有する建具、家具、梱包材または収納容器。
- 請求項9または10記載の機能性ボードを少なくとも1部に、開口部を有する面を内側にして有する家具、梱包材または収納容器。
- 生鮮食品または衣料の収納容器である請求項13記載の収納容器。
- メッシュシートの繊維部に、石灰を主成分とする組成物が付着してなる機能性メッシュシート。
- 石灰を主成分とする組成物が、石灰および水に加えて、キレート化合物及び接着補強剤からなる群から選択される少なくとも1つを含有するスラリーまたはペースト形態の組成物がメッシュシートの繊維部に付着して乾燥したものである請求項15に記載する機能性メッシュシート。
- エアコンまたは空気清浄機のフィルター、虫除けネット、または防臭・防虫(防ダニ、防白蟻)・防カビシートである、請求項15または16に記載する機能性メッシュシート。
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-
2006
- 2006-02-06 JP JP2006060190A patent/JP2007211225A/ja active Pending
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