JP3974273B2 - 通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に集中制御局が複数の子局に単一の伝送路を介してデータ変調信号を伝送する通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話など無線通信システムにおいて、アンテナを有する地上局としてのアンテナ局と集中制御局との間を光ファイバで結び、集中制御局で無線信号の形態に変調した信号をアンテナ局に光伝送し、当該アンテナ局ではこの受け取った信号をアンテナから無線送信するというシステムが開発されている。この構成の場合、アンテナ局の基本構成がアンテナと光電変換装置のみで済むため、無線信号のデータレートや変調方式に依存しなくなる。そのため、無線方式の変更があっても、アンテナ局の置き換えやアンテナ局の構成要素の変更が不要となる。
【0003】
ところで、近年、携帯電話等の加入者の増大に伴う回線数不足や伝送速度の高速化に対応するために、既存周波数帯からミリ波、準ミリ波のような高い周波数帯を使用する無線通信の研究が行われており、これらのシステムでも、アンテナ局と集中制御局間を光ファイバで結ぶ検討がなされている。
【0004】
そして、光ファイバで結ぶ形態として、PON(passive optical network)の利用がある。PONは、図16(a),(b)に示すように、集中制御局1と複数のアンテナ局2間を、中間にパッシブな光分岐結合器3を設けた光ファイバ4で結ぶと共に、集中制御局1から光ファイバ4に送信した光信号をこの光ファイバ4の中間の前記光分岐結合器3により分岐させ、各アンテナ局2に分配する形態である。
【0005】
このように、PONでは、光ファイバの途中にパッシブな光分岐手段を挿入して複数のアンテナ局2を収容する形態であるので、集中制御局1の光送受信器や伝送用の光ファイバが共有化でき、その分、設備が削減できる利点がある。
【0006】
ところで、PONでは、集中制御局1から送信された光信号は分岐されて、複数のアンテナ局2に同じ信号が届く。従って、複数のアンテナ局から放射される無線信号が全く同じで良いのであれば問題ないが、通常、異なるアンテナ局からは異なる無線信号が送信される。
【0007】
そこで、従来、図17に示すスペクトラム配置例のように、集中制御局から送信される光信号は、中間周波サブキャリア信号をアンテナ局毎に変えて周波数多重し、送る方法が提案されていた。そして、この場合、各々のアンテナ局では光信号を受信後、自局から送信する分をフィルタなどで取り出して、無線信号の周波数に変換し、アンテナから送信するという手法をとる。
【0008】
図17の例では、100[MHz]近辺にアンテナ局2−1への信号、200[MHz]近辺にアンテナ局2−2への信号、300[MHz]近辺にアンテナ局2−3への信号、というように中間周波サブキャリア信号の周波数を適宜間隔あけて割り当て、周波数多重している。そのため、仮に、各アンテナ局2−1,…2−3から送出する無線信号が2[GHz]帯であるとすると、アンテナ局2−1では信号を1.9[GHz]分だけ、また、アンテナ局2−2では信号を1.8[GHz]分だけ、また、アンテナ局2−3では信号を1.7[GHz]分だけ、それぞれアップコンバートする必要が生じることになる。
【0009】
一方、無線信号では異なるアンテナ局が送出する信号の周波数が相対的に同期している必要があり、厳密な周波数制御が必要である。光サブキャリア伝送を使用した無線システムでは従来、図18のように、データ信号Sd の他にアンテナ局から放射する電波の周波数安定性を保つための信号であるパイロットキャリア信号Spcを送信し、各アンテナ局でデータ信号Sd をこのパイロットキャリア信号Spcを用いて周波数変換する方法が提案されていた。
【0010】
その結果、アンテナ局から送出する無線信号の周波数を集中制御局で一括して管理することが可能であった。
【0011】
しかしながら、図17のように、各々のアンテナ局宛のデータ信号のサブキャリア周波数が異なると、そのサブキャリア周波数が異なるデータ信号毎にそれぞれ周波数変換用のパイロットキャリア信号を用意する必要が生じることから、パイロットキャリア信号はデータ信号の多重数分、送る必要が生じる。そして、これらは光伝送時に多重して送ることになる。
【0012】
その結果、パイロットキャリア信号も含めたトータル信号数が増え、光伝送時のデータ信号の光変調度が、パイロットキャリア信号に割かれる分、減少して伝送品質が劣化する。
【0013】
無線システムでは、複数の無線基地局(アンテナ局)が同一のサービスを提供するときに、隣接する基地局同士の信号が干渉しないよう、同一周波数帯でもほんの少しずつ離れた周波数を使用することがある。
【0014】
例えば、2[GHz]帯の中で100[kHz]間隔で離れているなどである。このようなアンテナ局を一つのファイバで収容する場合、無線領域での周波数差のままサブキャリア多重して、パイロットキャリアは一つのみを伝送するというシステムを構築することは可能である。
【0015】
しかし、この場合、集中制御局1からの光信号を受信したアンテナ局2は100[kHz]といった非常に狭い間隔で並んでいる信号から、自局で使用する信号を選択しなければならないから、非常に急峻で周波数の安定したフィルタが必要となり、コスト高となる。また、CDMA方式のような周波数多重でない無線方式を採用する無線システムでは、各アンテナ局から送信される信号が全く同一の周波数帯であるため、急峻なフィルタを用いて1つのパイロットキャリア信号のみで済ますという方法は使用できない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
携帯電話などのようなシステムでは、点在して設ける複数のアンテナ局と集中制御局との間を光ファイバで結ぶ構成が利用されるが、このような構成の通信システムにおいて、光ファイバの途中にパッシブな光分岐手段を挿入して複数のアンテナ局を収容する形態であるPONを利用すると、集中制御局の光送受信器や伝送用の光ファイバが共有化でき、設備が削減できる利点がある。
【0017】
ところで、PONでは、集中制御局から送信された光信号は分岐されて、複数のアンテナ局に同じ信号が届く。そして、通常、異なるアンテナ局からは異なる周波数で無線信号が送信されるので、これに対処するには、図17に示す如きスペクトラム配置例のように、集中制御局から送信される光信号は、中間周波サブキャリア信号をアンテナ局毎に変えて周波数多重し、送ると云った方法が考えられている。そして、この場合、各々のアンテナ局では光信号を受信後、自局から送信する分をフィルタなどで取り出して、無線信号の周波数に変換し、アンテナから送信するという手法をとることになる。
【0018】
無線システムでは使用する無線信号の周波数帯が決まっているため、この場合、各アンテナ局では送信する無線信号をその周波数帯に合わせるためには、それぞれアップコンバートする必要が生じることになる。
【0019】
一方、無線信号では異なるアンテナ局が送出する信号の周波数が相対的に同期している必要があり、従って、厳密な周波数制御が必要である。そこで、光サブキャリア伝送を使用した無線システムでは従来、図18のように、データ信号Sd の他にパイロットキャリア信号Spcを送信し、各アンテナ局でデータ信号Sd をこのパイロットキャリア信号Spcを用いて周波数変換するようにし、その結果、アンテナ局から送出する無線信号の周波数を集中制御局で一括して管理することができた。
【0020】
しかしながら、図17のように、各々のアンテナ局宛のデータ信号のサブキャリア周波数が異なると、そのサブキャリア周波数が異なるデータ信号毎にそれぞれ周波数変換用のパイロットキャリア信号を用意する必要が生じることから、パイロットキャリア信号はデータ信号の多重数分、送る必要が生じる。そして、これらは光伝送時に多重して送ることになる。
【0021】
その結果、パイロットキャリア信号伝送用に必要な帯域もその分、広がることになるので、光伝送時のデータ信号の光変調度が、パイロットキャリア信号に割かれる分、減少して伝送品質が劣化する。
【0022】
従って、パイロットキャリア信号の数は、できれば少なくしたいところである。
【0023】
また、無線システムでは、複数の無線基地局(アンテナ局)が同一のサービスを提供するときに、隣接する基地局同士の信号が干渉しないよう、同一周波数帯でも僅かずつ離れた周波数を使用することがある。例えば、2[GHz]帯の中で100[kHz]程度離すと云った具合である。そして、このようなアンテナ局を一つの光ファイバで繋いだ場合には、無線領域での周波数差のままサブキャリア多重し、パイロットキャリア信号は一つのみとするようなシステムを構築することは可能である。
【0024】
しかし、この場合、集中制御局からの光信号を受信したアンテナ局は100[kHz]といった非常に狭い間隔で並んでいる信号から、自局で使用する信号を選択しなければならないから、非常に急峻で周波数の安定したフィルタが必要となり、コスト高となる。但し、CDMA方式のような周波数多重でない無線方式を採用する無線システムでは、各アンテナ局から送信される信号が全く同一の周波数帯であるため、1つのパイロットキャリア信号のみで済ますことはできない。
【0025】
構成の簡易化を図るためには、上述のように、サブキャリア多重されたデータ信号から、自局で使用するデータ信号を簡易なフィルタにより分離できるようにする必要があるが、そのためには大きな周波数間隔でサブキャリア多重を実施したいところである。
【0026】
しかしそのためには、複数のパイロットキャリア信号が必要となり、それがために、データの伝送品質が劣化の問題が避けられない。また、複数のパイロットキャリアを用意する回路が必要となり、系が複雑になる。
【0027】
そこで、この発明の目的とするところは、周波数変換に必要なパイロットキャリア信号の数を少なくでき、しかも、大きな周波数間隔でサブキャリア多重を実施できて、データ信号を簡易なフィルタにより分離可能となり、安価で構成が簡易な通信システムを提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のように構成する。
【0029】
[1]本願第1の発明は、下り信号処理系に係わるものであって、3つ以上のデータ信号、すなわち、3系統以上のデータ信号をそれぞれ別のアンテナより送信する場合に、各データ信号の周波数変換に用いるパイロットキャリア信号を2種だけ使用し、これとその系統のデータ信号のキャリアとを用いて、その系統のデータ信号を所望の基準周波数の信号に変換し、送信することができるようにする。
すなわち、 3系統以上の各系統別のデータ信号を周波数多重して伝送し、これら各系統別のデータ信号は受信後に目標とする周波数帯に周波数変換するようにした通信システムであって、前記3系統以上のデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記目標とする周波数帯の信号帯域幅より広く設定する通信システムにおいて、
第1のパイロットキャリア信号と第2のパイロットキャリア信号を前記3系統以上のデータ信号と同時に伝送し、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と前記3系統以上のデータ信号の周波数のうち、いずれでも一つを加算すると、前記目標とする周波数帯の周波数となるよう、前記3系統以上のデータ信号のそれぞれの中心周波数、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数、および、前記第2のパイロットキャリア信号を周波数配置することを特徴とする。
【0030】
このシステムでは、例えば、集中制御局と複数のアンテナ局とこれらを繋ぐ光伝送路とから構成される場合に、集中制御局から複数のアンテナ局へ3系統以上のデータ信号(3系統以上のデータ信号)が周波数多重されて伝送され、アンテナ局ではこれを受信後に目標とする周波数帯に周波数変換してアンテナより放射するが、集中制御局から第1および第2のパイロットキャリア信号を前記3系統以上のデータ信号と同時に伝送し、これを受信した側ではこれらより目標とする周波数帯に周波数変換する。この発明では、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記第2のバイロットキャリア信号の周波数の整数倍と前記3系統以上のデータ信号のどれでも一つの周波数を加算すると、前記目標とする周波数帯の周波数となるように、前記3系統以上のデータ信号それぞれの中心周波数、前記第1のパイロットキャリアの周波数、および、前記第2のパイロットキャリアの周波数を設定しておく。
【0031】
本発明では、集中制御局から複数のアンテナ局に向けて光伝送されるデータ信号は、図17のように、簡易なフィルタで分離できる程度に広い周波数間隔でサブキャリア多重される。
【0032】
データ信号の他にパイロットキャリア信号を送信するが、従来とは異なり、パイロットキャリア信号の数はデータ信号数に無関係に2つのみである。2つのパイロットキャリア周波数をそれぞれ整数倍したものとデータ信号のサブキャリア周波数を適宜加算減算すると、アンテナから送出する際の周波数となるように、2つのバイロットキャリア周波数およびデータ信号のサブキャリア周波数を設定する。なお、整数倍の整数とは、“0”および正負の整数すべてを含む。
【0033】
パイロットキャリア周波数は逓倍器あるいはミキサなどによって逓倍される。信号や逓倍されたパイロットキャリアの周波数の加算減算もミキサを用いて行われる。
【0034】
このようにすることによって、例えば光伝送路としてPONを使用し、当該PONでアンテナ局を3つ以上収容する構成としても、光信号に乗せるパイロットキャリア信号は2波のみで済む。また、データ信号のサブキャリア周波数間隔を、簡易なフィルタで切り出せる程度の十分広い間隔にすることができる。その結果、データ信号の光変調度が多数のパイロットキャリアのために犠牲になることなく、良好な伝送が可能となる。また、光を受信したのちに、必要な信号を切り出す過程が簡易で低コストになる。
【0035】
[2]本発明では、2つのパイロットキャリア周波数をそれぞれ整数倍したものとデータ信号のサブキャリア周波数を適宜加算減算した際に、アンテナから送出する際の周波数となるように、2つのパイロットキャリア信号の周波数とデータ信号のサブキャリア周波数を設定する。そして、このような、データ信号およびパイロットキャリア信号の周波数配置のうち、比較的実現性の高い配置の1つとして、本願第2の発明では、前記3つ以上のデータ信号の周波数間隔は一定の周波数の整数(≧1)倍であり、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数と前記第2のパイロットキャリア信号の周波数との差が前記一定の周波数とすることを特徴とするものである。
【0036】
図3のように、各アンテナ局宛のデータ信号を周波数ΔFの整数(≧1)倍間隔で周波数F1 ,F2 ,…FP に配置する。隣接するサブキャリア周波数のデータ信号間の周波数間隔は、例えば、Fi-1 とFi の間がΔFであって、Fi とFi+1 の間が2ΔFと云うように、1つの伝送システム内で異なっていても良い。パイロットキャリア信号はf1 およびf2 に配置されており、f2 −f1 =ΔFである。
【0037】
無線信号をアンテナから送出するときの周波数をF0 とする。サブキャリア周波数F1 のデータ信号に関してF0 =n×f1 +m×f2 +F1 であると仮定する。
【0038】
n,mは整数である。F2 −F1 がk×ΔFであるならば、F2 を使用するアンテナ局では、nをkだけ増やし、mをkだけ減らすと、同様にn×f1 +m×f2 +F2 =F0 となる。同様にして、F3 ,…に関してもF0 を合成することができるようなn,mが存在する。
【0039】
このような周波数配置では、n+mが常に一定となるため、F0 を合成するためのデバイスが一定個数のミキサで済む。また、2つのパイロットキャリア信号の周波数が近いため、これらを処理するためのデバイス(ミキサ、アンプ、スイッチ、分配器)などが、比較的狭帯域なもので済み、その分、低コスト化できる。
【0040】
[3]また、本願第3の発明では、[1]項の構成において、前記3系統以上のデータ信号の周波数間隔を所定周波数の整数(≧1)倍とし、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数を前記所定の周波数とすることを特徴としている。
【0041】
図7のように第2のパイロットキャリアの周波数f2を、サブキャリア多重されたデータ信号の最小周波数間隔ΔFとする。サブキャリア多重されたデータ信号の周波数間隔は第2の発明の場合と同様にΔFの整数(≧1)倍である。まず、n×f1 +Fi (1≦i≦p)がF0 となるようにf1 を決定する。(Fi −Fi-1 )/ΔF=ki-1 とすると、Fi-1 に関しては、n×f1 にk1−1逓倍された第2のパイロットキャリアを足すことによりF0 となる(n×f1 +k -1×ΔF+Fi-1 =F0 )。
【0042】
同様にして(Fi+1 −Fi )/ΔF=ki であるFi+1 に関しては、ki ×ΔFだけ引くとF0 となる(n×f1 −ki ×ΔF+Fi+1 =F0 )。
【0043】
すべてのデータ信号に関して、同様に、周波数変換によってF0 を合成することができる。
【0044】
この構成ではnが固定であるため、通常の逓倍数固定の逓倍器が使用できる。ki は可変であるが、ΔFが比較的低い周波数であるため、逓倍数可変であっても、逓倍器は比較的低コストに得られる。その結果、全体的にコストを低くすることができる。
【0045】
さらに、上述の発明の概念を、アンテナ局から集中制御局へ伝送する形態に応用する。
【0046】
[4]本願第4の発明は、上り信号処理系に係わるものであって、パイロットキャリア信号を2種使用し、これと受信信号のキャリアとを用いて、データ信号を所望の周波数の信号に変換し、送信信号に渡すことができるようにする。ここでは、3つ以上のデータ信号、すなわち、3系統以上のデータ信号をそれぞれ別のアンテナより受信する場合に、各データ信号の周波数変換に用いるパイロットキャリア信号を2種だけ使用し、これとその系統のデータ信号のキャリアとを用いて、その系統のデータ信号を所望の周波数の信号に変換し、集中制御局に光伝送することができるようにするものである。
【0047】
すなわち、アンテナ局が特定の周波数帯の合計3つ以上のデータ信号が周波数変換され、周波数多重伝送され、周波数多重伝送時の前記3つ以上のデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記特定の周波数帯の信号帯域幅より広い通信システムにおいて、
周波数変換を行う装置は、その装置を有する局以外から伝送されてきた第1のパイロットキャリアの周波数の整数倍と、前記局以外から伝送されてきた前記第2のパイロットキャリアの周波数の整数倍を加算した周波数のキャリアを用いて、前記データ信号を周波数変換することを特徴とする通信システムを提供する。各アンテナ局のアンテナで受信した無線信号は、同一の周波数帯の信号である。これらをそのまま光信号に変換して、複数のアンテナ局からPONを通して集中基地局にの光信号を多重すると、信号が重なってしまう。
【0048】
集中制御局が複数のアンテナ局からの光信号を、光の段階で分離してから受信する場合は周波数が重なっていても問題ない。しかし、より低コストなシステムでは、受信器で光信号を分離せずに受信できるよう、それぞれのアンテナ局でサブキャリア周波数を変えて送信する手法をとることがある。各アンテナ局では、アンテナで受信した無線信号を周波数変換してから光信号に変換する。
【0049】
このとき、本願第1の発明の場合と同様に、十分な周波数間隔でデータ信号がサブキャリア多重されるような周波数に変換すれば、集中基地局で受信したときに分離しやすい。周波数変換に使用するキャリアとして、アンテナ局以外、例えば、集中制御局から伝送されてきた2つのパイロットキャリアを使用する。それらを適宜逓倍、加算して用いることによって、各アンテナ局が光信号を送信する際のサブキャリア周波数が相対的に安定化される。
【0050】
[5]本願第5の発明は、2種のパイロットキャリア信号を用いて周波数変換する形態の下り信号処理系、上り信号処理系を用いる場合に、子局に当該下り信号処理系と上り信号処理系両方を備える構成にかかわる。
【0051】
すなわち、親局から1つ以上の子局に対して3系統以上の下りデータ信号を周波数多重して伝送し、各子局で受信後に目標周波数帯に周波数変換するようにし、また、前記1つ以上の子局では特定周波数帯の3系統以上の上りデータ信号を周波数変換し、周波数多重して前記親局へ伝送するようにした通信システムであって、前記3系統以上の下りデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記目標周波数帯の信号帯域幅より広く設定すると共に、周波数多重伝送時の前記3系統以上の上りデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記特定の周波数帯の信号帯域幅より広く設定した通信システムにおいて、
親局では子局へ第1のパイロットキャリア信号と第2のパイロットキャリア信号とを前記3系統以上の下りデータ信号と同時に伝送し、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と前記3系統以上の下りデータ信号のどれでも一つの周波数を加算すると、前記目標とする周波数帯の周波数となる値に前記3系統以上の下りデータ信号それぞれの中心周波数、前記第1及び第2のパイロットキャリア信号の周波数が決定されており、前記子局においては、前記親局から伝送されてきた第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記親局から伝送されてきた前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍を加算した周波数のキャリアを用いて、前記上りデータ信号を周波数変換する構成とする。
【0052】
本願第5の発明は[1]項に示した本願第1の発明と[4]項に示した第4の発明の両者の特長を備えており、さらに、第1の発明の構成(下り)で使用された2つのパイロットキャリアを、[4]項に示した第4の発明の構成(上り系統)に用いる。このようにすることによって、本願第1の発明の効果、本願第4の発明の効果に加えて、子局、例えば、アンテナ局ではパイロットキャリアが共用化でき、設備が削減できる。
さらに、親局、例えば、集中制御局ではアンテナ局からサブキャリア周波数が安定化された光信号が送られてくるため、上りデータ信号の分離、復調が容易になる。さらに、親局でサブキャリア多重信号を生成するときに使用するローカルキャリアと、子局から送信されてきたサブキャリア多重信号を復調に適した周波数に変換するためのローカルキャリアが共通化でき、コストが削減できる。
【0053】
[6]さらに、本願第6の発明では、[5]項に示した本願第5の発明の構成における前記子局において、前記第1のパイロットキャリアの整数倍と前記第2のパイロットキャリアの整数倍を加算したローカルキャリアを合成し、前記ローカルキャリアを用いて、前記下りデータ信号を前記目標とする周波数帯に周波数変換し、前記特定の周波数帯の上りデータ信号を前記ローカルキャリアを用いて周波数変換することを特徴とする。
【0054】
本願第5の構成において、子局、例えばアンテナ局で、2つのパイロットキャリアを用いて下り信号を周波数変換するとき、あらかじめパイロットキャリア信号の逓倍、加算、減算を行ってローカルキャリア信号を生成する。生成されたローカルキャリア信号と、サブキャリア多重されている下りデータ信号から選択した1つを混合、例えばミキサにより混合し、目標の周波数帯に変換する。さらに、生成されたローカルキャリア信号を用いて、上り信号を所望のサブキャリア周波数に変換する。
【0055】
このようにすることによって、子局内で上りおよび下りデータ信号の周波数変換器の構成部品の大部分を共用化することが可能となって設備が簡素化される。また、親局でもサブキャリア多重信号を生成するときに使用するローカルキャリア信号と、子局から送信されてきたサブキャリア多重信号を、復調に適した周波数に変換するためのローカルキャリア信号が共通化でき、その分、コストが削減できる。
【0056】
[7]本発明は、光通信システムに適用した場合により高い効果が得られる。そこで、本願第7の発明では、前記通信システムはサブキャリア光伝送システムに適用することを特徴とする。
【0057】
本発明の構成において、親局、例えば集中制御局と、子局、例えばアンテナ局の間の伝送系は、無線・有線、光・電気のいずれでもよい。しかし、光ファイバを使用した光通信システムは雑音が小さく、周囲の電磁界からの誘導を受けないことから、伝送品質が良い。そこで、本発明では本願第1から第6の発明の構成を光通信システムで構成し、より良い品質を得る。
【0058】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を用いて説明する。以下の説明では本発明に本質的に関連する構成要素のみを示し、実際には必要でも、本発明と深い関連のない増幅器等の部品は示していない。
【0059】
(第1の実施例)
本発明の基本は、集中制御局から複数のアンテナ局にサブキャリア多重された変調済みのデータ信号を分配する形態において、アンテナ局から放射する電波の周波数安定性を保つためのパイロットキャリアの数を少なくし、かつ、使用するデータ信号が、光受信後に簡易なフィルタで分離できるようにすることを目的として、アンテナ局から放射する電波の周波数安定性を保つためのパイロットキャリアの数を2つにし、かつ、使用するデータ信号が、光受信後に簡易なフィルタで分離できるよう、十分広い周波数間隔でサブキャリア多重されるようにする。具体的にはパイロットキャリアの数を2つだけにし、パイロットキャリアの周波数間隔と、データ信号の周波数間隔を等しくする。
【0060】
本発明は、3つ以上のデータ信号、すなわち、無線信号として送信しようとするする3系統以上のデータ信号に対して、パイロットキャリア信号は2種だけあれば3つ以上ある各系統のデータ信号を、それぞれ所望のキャリア周波数の無線信号に変換できるようにすることを第1の特徴としており、第1の実施例においては、そのための基本的構成の例を下り信号処理系について説明することとする。
【0061】
図1は、本願第1の発明の実施形態を示すブロック構成図である。図中、1は集中制御局、2−1,2−2,…2−pはそれぞれアンテナ局、3は光分岐結合器であり、また、4は光ファイバであって、集中制御局1とアンテナ局2−1,2−2,…2−nを繋ぐ伝送路である。アンテナ局2−1,2−2,…2−pは、所要のサービスエリア毎に配置されており、集中制御局1は、これらアンテナ局2−1,2−2,…2−pを管理運用するものであって、各アンテナ局2−1,2−2,…2−pから送信させるべきデータ信号と2種のパイロットキャリア信号とを合成して対応する各アンテナ局2−1,2−2,…2−pに与える構成である。
【0062】
集中制御局1は、レーザ素子5、レーザドライバ7、合成器8、周波数変換器9−1,9−2,…、変調器10−1,10−2,…、第1及び第2のパイロットキャリア発生器12−1,12−2、入力端子11−1,11−2,…とを備える。
【0063】
また、アンテナ局2−1,2−2,…2−pは、フォトダイオード6、データ信号分離器13、パイロットキャリア分離器14−1,14−2、周波数変換器15、アンテナ16とを備えて構成してある。
【0064】
集中制御局1は、複数のアンテナ局2−1,2−2,…2−pを制御するものであり、入力端子11−1,11−2,…は送信するデータを入力する端子である。
【0065】
変調器10−1,10−2,…は、各入力端子11−1,11−2,…に対応しており、対応する入力端子11−1,11−2,…から入力されたデータによって変調された信号を対応する周波数変換器9−1,9−2,…に出力するものであり、周波数変換器9−1,9−2,…は、この変調された入力信号を周波数変換してして出力するものである。
【0066】
第1及び第2のパイロットキャリア発生器12−1,12−2は、それぞれ異なる周波数のパイロットキャリア信号を発生する回路であり、合成器8はこれら2種のパイロットキャリア信号及び、周波数変換器9−1,9−2,…出力を合成する回路であり、レーザドライバ7は、この合成器8で合成された信号対応にレーザ素子5をドライブするものであり、レーザ素子5はこのレーザドライバ7により、合成器8の合成信号対応に光変調したレーザ光を出力して光ファイバ4に送り出すものである。
【0067】
また、アンテナ局2−1,2−2,…2−pにそれぞれ設けられたフォトダイオード6は、光ファイバ4を介して送られてきた光信号を電気信号に変換するためのものであり、データ信号分離器13は、この電気信号からデータ信号成分を分離するものであり、第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2はフォトダイオード6からの電気信号から第1及び第2のパイロットキャリアを分離するものである。
【0068】
また、周波数変換器15は、分離されたこれら第1及び第2のパイロットキャリアおよびデータ信号を周波数変換してデータをアンテナ16に送り出すものである。
光ファイバ4は集中制御局1とアンテナ局2−1,2−2,…2−nとを繋ぐ光伝送路であり、途中に光分岐結合器3が挿入されている。この光分岐結合器3は、レーザ素子5からの光信号を分岐して、接続されているすべてのアンテナ局2−1,2−2,…2−nに当該光信号を分配するものである。
【0069】
本システムにおいては、集中制御局1から各アンテナ局2−1,2−2,…2−pに向けて光伝送されるデータ信号は、例えば、図17に示すように、簡易なフィルタで分離できる程度に広い周波数間隔でサブキャリア多重されるものとする。
【0070】
データ信号の他にパイロットキャリア信号を送信するが、本システムでは、パイロットキャリア信号の種類はデータ信号数に関係なく2種のみである。そして、当該2種のパイロットキャリア信号は、これらパイロットキャリア信号の周波数をそれぞれ整数倍したものとデータ信号のサブキャリア周波数とを適宜加算減算した場合に、アンテナから送出する際の周波数となるように、周波数の値を予め設定してあるものとする。
【0071】
このような構成の本システムにおいて、集中制御局1内では、各入力端子11−1,11−2,…からアンテナ局2−1,2−2,…2−pへ送信するデータが入力される。これらのデータは各入力端子11−1,11−2,…対応の各変調器10−1,10−2,…に与えられ、ここでQPSK、QAM等適切な形態に変調される。
【0072】
そして、各変調器10−1,10−2,…対応の周波数変換器9−1,9−2,…に与えられ、ここで適切なサブキャリア周波数に変換される。
【0073】
この時、複数のデータ信号のサブキャリア周波数は、図2のように互いに十分離れているものとする。例えば、各データ信号の帯域幅が20[MHz]程度なら、100[MHz]程度の間隔があけられる。
【0074】
また、一方、第1及び第2のパイロットキャリア発生器12−1,12−2では、それぞれ異なる周波数のパイロットキャリア信号を発生しており、これらパイロットキャリア信号は合成器8に入力される。
【0075】
そして、合成器8においては、各周波数変換器9−1,9−2,…から出力されたデータ信号と、第1及び第2のパイロットキャリア発生器12−1,12−2から発生した第1及び第2のパイロットキャリア信号が多重される。そして、この多重された信号は、レーザドライバ7に入力され、レーザ素子5で光信号に変換される。
【0076】
このレーザ素子5で変換されて出力された光信号は、光ファイバ4に入力される。光ファイバ4には途中に光分岐結合器3が挿入されており、レーザ素子5からの光信号は分岐されて、接続されているすべてのアンテナ局2−1,2−2,…2−pに分配される。
【0077】
各アンテナ局、例えばアンテナ局2−1に伝送されてきた光信号はフォトダイオード6で電気信号に変換される。得られた電気信号から、データ信号分離器13によって自局宛に送られてきたデータ信号が分離される。データ信号分離器13は例えば、比較的Q値の低い簡易なフィルタである。フォトダイオード6で得られた信号からさらに、第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2によって元の第1のパイロットキャリア信号及び第2のパイロットキャリア信号を抽出する。
【0078】
第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2は、例えば、Q値の低い簡易なフィルタである。
【0079】
データ信号分離器13で分離されたデータ信号、および、第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2で分離された2つのパイロットキャリア信号は、周波数変換器15に入力される。そして、この周波数変換器15では、これらの周波数を適宜、逓倍、加算、減算して、データ信号を目標とする無線周波数に変換する。
【0080】
周波数変換器15は、主に、ミキサ、逓倍器、フィルタ、スイッチなどから構成されており、具体的な構成は、周波数配置の方法に対応して後述する。
【0081】
周波数変換器15により、所望の無線周波数に変換されたデータ信号は、自局のアンテナ16から空中に放射され、自局の受け持つサービスエリア内の端末へと送られる。
【0082】
このような本実施形態によれば、集中制御局1から複数のアンテナ局2−1,2−2,…2−pへデータ信号をサブキャリア光伝送するとき、各データ信号の周波数間隔を十分大きくとりながらも、パイロットキャリア信号が2種のみで良いように、パイロットキャリア信号の周波数を整数倍したものとデータ信号のサブキャリア周波数を適宜加算減算した場合に、アンテナから送出する際の周波数となる関係に、周波数値を予め設定するようにした。
【0083】
そして、各データ信号の周波数間隔を十分大きくとった結果、アンテナ局では、サブキャリア多重された信号から自局宛の信号を簡易なフィルタで抽出することが可能となる。
【0084】
また、上述の関係になるように、パイロットキャリア信号の周波数を設定したことから、パイロットキャリア信号の数が2つのみでありながら、アンテナから送出する信号が高い周波数安定性を持つという、パイロットキャリア信号を使用する利点を維持することができ、しかも、パイロットキャリア信号の数が2波と少ないため、光伝送時のデータ信号成分の変調度を著しく下げることがなく、良好な品質の伝送が可能となる。
【0085】
本発明では、集中制御局から複数のアンテナ局に向けて光伝送されるデータ信号は、簡易なフィルタで分離できる程度に広い周波数間隔でサブキャリア多重するようにした。
【0086】
また、データ信号の他にも集中制御局から複数のアンテナ局に対してパイロットキャリア信号を送信するが、従来とは異なり、パイロットキャリア信号の種類はデータ信号数に関係なく2種のみである。2種のパイロットキャリア信号は、これら2つのパイロットキャリア信号の周波数をそれぞれ整数倍したものとデータ信号のサブキャリア周波数を適宜加算減算すると、アンテナから送出する際の周波数にアップコンバージョンできるような関係に、周波数設定されている。
【0087】
つまり、2つのパイロットキャリア信号それぞれの周波数およびデータ信号のサブキャリア周波数を設定する。なお、ここで云う“整数倍”の“整数”には、“0”および正負の整数すべてを含む。
【0088】
パイロットキャリア周波数は逓倍器あるいはミキサなどによって逓倍される。信号や逓倍されたパイロットキャリアの周波数の加算減算もミキサを用いて行われる。
【0089】
このようにすることによって、PONでアンテナ局を3つ以上収容しても、光信号に乗せるパイロットキャリア信号は2波のみで済む。また、データ信号のサブキャリア周波数間隔を、簡易なフィルタで切り出せる程度の十分広い間隔にすることができる。
【0090】
その結果、データ信号の光変調度が多数のパイロットキャリアのために犠牲になることなく、良好な伝送が可能となる。また、光を受信したのちに、必要な信号を切り出す過程が簡易で低コストになる。
【0091】
次に、2種のパイロットキャリア信号の周波数配置をどのようにするか、その具体例について第2の実施例として説明する。
【0092】
(第2の実施例)
図3は2種のパイロットキャリア信号の具体的周波数配置例を示す図である。図3に示すように、各アンテナ局2−1,2−2,…2−nに送信される変調済みのデータ信号は中心周波数F1 ,F2 ,…Fp にサブキャリア多重される。隣接するデータ信号との周波数差はΔFまたはΔFの整数倍である。
【0093】
パイロットキャリア信号の周波数はそれぞれf1 ,f2 であり、これらf1 とf2 の周波数差はΔFである。また、図3ではこれらf1 ,f2 なる周波数のパイロットキャリア信号は、F1 ,F2 ,…Fp の配置領域より高い周波数領域に配置してある。
【0094】
以下、本発明の動作を具体的な数値例を用いて説明する。
【0095】
1 が100[MHz]、F2 が200[MHz]、F3 が400[MHz]、F4 が500[MHz]の4つのデータ信号がサブキャリア多重され、第1のパイロットキャリア信号の周波数f1 が2[GHz]、第2のパイロットキャリア信号の周波数f2 が1.9[GHz]であるとする。
【0096】
また、アンテナ局でアンテナ16から送出される無線周波数F0 は22[GHz]であるとする。
【0097】
1 のデータ信号を使用するアンテナ局では、サブキャリア多重された光信号から、フィルタでF1 のデータ信号と周波数f1 なる第1のパイロットキャリア信号及び周波数f2 なる第2のパイロットキャリア信号とを抽出する。
【0098】
そして、これらを用いてF1 (=100[MHz])のデータ信号を22[GHz]にアップコンバートするには、第1のパイロットキャリア信号(周波数f1 )を10逓倍した周波数(20[GHz])に、第2のパイロットキャリア信号(周波数f2 =1.9[GHz])を足し、これにデータ信号の周波数F1 (100[MHz])を足せば良い。すなわち、
1 (=2[GHz])×10+f2 (=1.9[GHz])+F1 (=100[MHz])=20+1.9+0.1=22[GHz]
であり、その結果、100[MHz]なる周波数のF1 のデータ信号は、f1 なる第1のパイロットキャリア信号及びf2 なる第2のパイロットキャリア信号とを用いて22[GHz]のF0 にアップコンバートすることができる。
【0099】
また、F2 (=200[MHz])の信号をF0 にアップコンバートする場合は、第1のパイロットキャリア信号(周波数f1 )を9逓倍し(18[GHz])、第2のパイロットキャリア信号(周波数f2 )を2逓倍(3.8[GHz])したものにF2 (200[MHz])の信号を足せばよい。すなわち、
1 (=2[GHz])×9+f2 (=1.9[GHz])×2+F2 (=200[MHz])=18+3.8+0.2=22[GHz]
であり、その結果、200[MHz]なる周波数のF2 なるデータ信号は、f1 なる第1のパイロットキャリア信号及びf2 なる第2のパイロットキャリア信号とを用いて22[GHz]のF0 にアップコンバートすることができる。
【0100】
(=400[MHz])の信号をF0 にアップコンバートする場合は、第1のパイロットキャリア信号(周波数f1 )を7逓倍し(14[GHz])、第2のパイロットキャリア信号(周波数f2 )を4逓倍したもの(7.6[GHz])にF3 (400[MHz])を足せば良い。すなわち、
1 (=2[GHz])×7+f2 (=1.9[GHz])×4+F3 (=400[MHz])=14+7.6+0.4=22[GHz]
であり、その結果、400[MHz]なる周波数のF3 なるデータ信号は、f1 なる第1のパイロットキャリア信号及びf2 なる第2のパイロットキャリア信号とを用いて22[GHz]のF0 にアップコンバートすることができる。
【0101】
4 (=500[MHz])の信号をF0 にアップコンバートする場合は、第1のパイロットキャリア信号(周波数f1 )を6逓倍し(12[GHz])、第2のパイロットキャリア信号(周波数f2 )を5逓倍したもの(9.5[GHz])にF4 (500[MHz])を足せば良い。すなわち、
1 (=2[GHz])×6+f2 (=1.9[GHz])×5+F4 (=500[MHz])=12+9.5+0.5=22[GHz]
であり、その結果、500[MHz]の周波数のF4 なるデータ信号は、f1 なる第1のパイロットキャリア信号及びf2 なる第2のパイロットキャリア信号とを用いて22[GHz]のF0 にアップコンバートすることができる。
【0102】
このようにして、2種のパイロットキャリア信号のみを使用して、すべてのアンテナ局で各信号をF0 にアップコンバートすることができる。
【0103】
<周波数変換器15の構成例>
次に、図4、図5、図6を参照して周波数変換器15の構成例を5種類ほど示しておく。
【0104】
[周波数変換器構成例1]
図4(a)にアンテナ局における周波数変換器15の構成例を示す。
【0105】
図4(a)に示す構成の周波数変換器15は逓倍器17−1,17−2、ミキサ18−1,18−2、フィルタ19−1,19−2からなるものであって、逓倍器17−1は入力端子20−1からの入力信号を“|n|”逓倍してミキサ18−1に与えるものである。また、ミキサ17−1には入力端子20−3からの信号が入力され、この信号と逓倍器17−1からの“|n|”逓倍された信号とを混合するものである。フィルタ19−1はバンドパスフィルタであって、このミキサ18−1からの信号のうちの所望の周波数成分を抽出するものである。
【0106】
また、逓倍器17−2は入力端子20−2からの入力信号を“|m|”逓倍してミキサ18−2に与えるものである。また、ミキサ18−2にはバンドパスフィルタ19−1からの信号が入力され、この信号と逓倍器17−2からの“|m|”逓倍された信号とを混合するものである。フィルタ19−2はバンドパスフィルタであって、このミキサ18−2からの信号のうちの所望の周波数成分を抽出するものである。
【0107】
このような、図4(a)に示す如き構成の周波数変換器15は、入力は周波数f1 、f2 のパイロットキャリア信号と、例えば中心周波数F1 のデータ信号である。
【0108】
入力端子20−1から入力された周波数f1 の第1のパイロットキャリア信号は、逓倍器17−1によって必要な逓倍数(|n|)だけ逓倍される。
【0109】
例えば、上述のF1 のデータ信号の例であれば、10逓倍される。入力端子20−2から入力された周波数f2 の第2のパイロットキャリア信号は逓倍器17−2によって必要な逓倍数(|m|)だけ逓倍される。
【0110】
上述の例では、1逓倍、すなわち、全く逓倍されず、そのまま通過する。入力端子20−3から入力された中心周波数F1 (100[MHz])のデータ信号は、“|n|”逓倍されたf1 のパイロットキャリア信号(20[GHz])と、ミキサ18−1によって混合される。ミキサ18−1より出力された和周波(20.1[GHz])および差周波(19.9[GHz])のうち、フィルタ19−1で和周波(20.1[GHz])を選択して出力する。
【0111】
フィルタ19−1の出力は、“|m|”逓倍された周波数f2 のパイロットキャリア信号(1.9[GHz])と、ミキサ18−2によって混合される。
【0112】
ミキサ18−2より出力された和周波(22[GHz])と差周波(18.2[GHz])のうち、フィルタ19−2が和周波の成分(22[GHz])を選択して出力する。
【0113】
このようにして周波数変換器15では目標周波数にアップコンバートされたデータ信号を得ることができる。
【0114】
[周波数変換器構成例2]
図4(b)に、アンテナ局における周波数変換器15の別の構成例を示す。
【0115】
図4(b)に示す構成の周波数変換器15は逓倍器17−1,17−2、ミキサ34−1,34−2、フィルタ35−1,35−2からなるものであって、逓倍器17−1は入力端子20−1からの入力信号を“|n|”逓倍してミキサ34−1に与えるものである。
【0116】
また、逓倍器17−2は入力端子20−2からの入力信号を“|m|”逓倍してミキサ34−1に与えるものであり、ミキサ34−1はこれら逓倍器17−1,17−2からの逓倍出力を混合するものである。
【0117】
フィルタ35−1はバンドパスフィルタであって、ミキサ34−1からの信号のうちの所望の周波数成分を抽出し、ミキサ34−2に出力するものである。
【0118】
ミキサ34−2には入力端子20−3からの信号が入力され、この信号とフィルタ35−1を透過した信号とを混合してフィルタ35−2に出力するものである。また、フィルタ35−2はバンドパスフィルタであって、ミキサ34−2からの信号のうちの所望の周波数成分を抽出するものである。
【0119】
このような図4(b)の如き構成の周波数変換器15は、入力は周波数f1 、f2 のパイロットキャリア信号と、例えば周波数F1 のデータ信号である。
【0120】
入力端子20−1から入力された周波数f1 のパイロットキャリアは逓倍器17−1によって必要な逓倍数(|n|)だけ逓倍される。例えば、上述のF1 のデータ信号の例であれば、10逓倍される。
【0121】
入力端子20−2から入力された周波数f2 のパイロットキャリアは逓倍器17−2によって必要な逓倍数(|m|)だけ逓倍される。
【0122】
上述の例では、1逓倍、すなわち、全く逓倍されずそのまま通過する。“|n|”逓倍されたf1 のパイロットキャリア信号(20[GHz])と“|m|”逓倍された周波数f2 のパイロットキャリア信号(1.9[GHz])はミキサ34−1によって混合され、和周波(21.9[GHz])および差周波(18.1[GHz])が出力される。
【0123】
このうち、フィルタ35−1によって和周波(21.9[GHz])が選択され出力される。入力端子20−3から入力された中心周波数F1(100[MHz])のデータ信号とフィルタ35−1の出力は、ミキサ34−2によって混合される。ミキサ34−2から出力された和周波(22[GHz])と差周波(21.8[GHz])のうち、フィルタ35−2が和周波の成分(22[GHz])を選択して出力する。
【0124】
このようにして周波数変換器15では、目標周波数にアップコンバートされたデータ信号を得ることができる。
【0125】
[周波数変換器構成例3]
周波数変換器15の別の構成例について図5を参照して説明する。
周波数変換器15に用いる逓倍器17−1、17−2は、それぞれの逓倍数“|m|”、“|n|”が固定で良いならば、通常の逓倍数固定の周波数逓倍器を用いれば良い。しかし、システム構成によっては逓倍数が変化することもある。すなわち、自局宛に送られてくるデータ信号のサブキャリア周波数が変化する場合もある。
そのような場合は、図5のように逓倍器を構成すると良い。この例は、1逓倍(逓倍せず)からk逓倍までの逓倍数可変型となっている。すなわち、図5において、21−1,21−2,21−3,…は切り替えスイッチであり、22−1,22−2,22−3,…はミキサ、23−1,23−2,23−3,…23−(k−1)はフィルタ、24は分配器、25は切り替えスイッチ、26は入力端子、41は出力端子である。
【0126】
切り替えスイッチ21−1は、入力端子26からの入力を分配器24側に導くか、端子27−1の側に導くかを選択切り替えするための経路切替スイッチであり、端子27側に切り替えると逓倍せずにそのまま入力信号を出力する構成となる。
【0127】
また、分配器24は、入力端子26からの信号をk個の経路に分配するものであり、ミキサ22−1は分配器24の分配する出力2つを用いて混合するものであり、入力端子26からの入力2つを混合することから元の信号を2逓倍して出力するものとなる。また、フィルタ23−1はバンドパスフィルタであり、このミキサ22−1の出力の和周波成分を抽出するためのものである。
【0128】
切り替えスイッチ21−2はこのフィルタ23−1の出力を次段のミキサ22−2に導くか、または出力端子25側に導くための経路切り替えのスイッチであり、ミキサ22−2はフィルタ23−1の出力と分配器24にからの出力を混合して出力するものである。ミキサ22−2は2逓倍処理するミキサ22−1の出力に、元の周波数の信号である分配器24からの出力を混合して出力するものであるため、ここでは3逓倍の周波数アップコンバージョンが成されることになる。また、フィルタ23−2はバンドパスフィルタであり、このミキサ22−2の出力のうち、和周波成分を抽出するためのものである。
【0129】
切り替えスイッチ21−3はこのフィルタ23−2の出力を次段のミキサ22−3に導くか、または出力端子25側に導くための経路切り替えのスイッチであり、ミキサ22−3はフィルタ23−2の出力と分配器24からの出力を混合して出力するものである。ミキサ22−3は3逓倍処理するミキサ22−2の出力に、元の周波数の信号である分配器24にからの出力を混合して出力するものであるため、ここでは4逓倍の周波数アップコンバージョンが成されることになる。
【0130】
同様にして、切り替えスイッチとミキサ、フィルタをk−1段シリアルに接続される構成とすることにより、k−1段目ではk逓倍の周波数アップコンバージョンが成される構成となる。
【0131】
スイッチ25は端子27−1からの信号(元のままの信号)と各段の周波数アップコンバージョンされた信号のうちのいずれかを選択して出力端子41に出力するためのものである。
【0132】
この図5の例では、1逓倍(逓倍せず)からk逓倍まで可変である。入力端子26から入力されたパイロットキャリア信号はスイッチ21−1に入力する。1逓倍、すなわち、逓倍しないで入力信号をそのまま出力する場合は、スイッチ21−1によって入力端子26を端子27−1へ接続し、同時に、出力側のスイッチ25を端子27−1につながる端子に接続する。
【0133】
このようにして、1逓倍のキャリアが出力される。2逓倍以上する場合は、スイッチ21−1を切り替えて分配器24の側に接続する。
【0134】
分配器24によって入力信号はk個に分配される。そのうち2つは、ミキサ22−1の2つの端子へ入力される。ミキサで発生したこれらの和周波成分をフィルタ23−1で選択し出力する。
【0135】
フィルタ23−1の出力はスイッチ21−2に接続されており、スイッチ21−2が端子27−2側に接続されれば2逓倍で出力、次のミキサ22−2側に接続されれば3逓倍以上される。同様に、以後ミキサとフィルタが交互に接続されて、必要数だけ逓倍されたところで出力端子に接続されるように、スイッチ21−1,21−2,…および、スイッチ25を制御する。
【0136】
このようにすることによって、逓倍数可変の逓倍器が構成できる。
【0137】
なお、逓倍数可変の逓倍器の構成方法は、他にもある。例えば、ダイオードなどの非線形素子に信号を入力し、非線形素子の出力にフィルタバンクを接続する。
【0138】
フィルタバンクを構成するそれぞれのフィルタは、それぞれの高調波に対応した透過特性を持ち、フィルタバンクの中から所望の逓倍数に対応したフィルタを選択することによって、逓倍数可変の逓倍器が構成できる。
【0139】
[周波数変換器構成例4]
周波数変換器15の更に別の構成例を図6を参照して説明する。
逓倍数を変化させる場合、データ信号を所望の無線周波数に変換する周波数変換器15を、図6のようにミキサとスイッチで構成することもできる。
【0140】
すなわち、図6において、28−1,28−2,…28−(n+m−1),28−(n+m)はミキサであり、29−1,29−2,…29−(n+m−1),29−(n+m)はフィルタ、30−1,30−2,…30−(n+m−1)はスイッチ、31−1,31−2は分配器、32−1,32−2,32−3は入力端子である。
【0141】
これらのうち、入力端子32−1は、周波数f1 なる第1のパイロットキャリア信号の入力端子であり、入力端子32−2は周波数f2 なる第2のパイロットキャリア信号の入力端子であり、入力端子32−3はF1 なるデータ信号を入力するための端子である。
【0142】
分配器31−1は、入力端子32−1より入力される第1のパイロットキャリア信号をn+m分配するものであり、分配器31−2は、入力端子32−2より入力される第2のパイロットキャリア信号をn+m分配するものである。
【0143】
スイッチ30−1は、分配器31−1と分配器31−2の分配出力のうち、いずれか一方を選択してミキサ28−1に渡すための経路切り替えスイッチであり、また、スイッチ30−2は、分配器31−1と分配器31−2の分配出力のうち、いずれか一方を選択してミキサ28−1に渡すための経路切り替えスイッチであり、ミキサ28−1はこれらスイッチ30−1およびスイッチ30−2で選択されて入力された信号を混合して出力するものである。フィルタ29−1はバンドパスフィルタであって、このミキサ28−1で混合された信号の帯域成分を抽出するフィルタである。
【0144】
また、スイッチ30−3は、分配器31−1と分配器31−2の分配出力のうち、いずれか一方を選択してミキサ28−2に渡すための経路切り替えスイッチであり、また、ミキサ28−2はフィルタ29−1の出力とスイッチ30−3を介して与えられた分配器31−1または分配器31−2の分配出力とを混合してフィルタ29−2に出力するものである。フィルタ29−2はバンドパスフィルタであって、このミキサ28−2で混合された信号のうち所望の成分を抽出するフィルタである。
【0145】
同様に、スイッチ30−(n+m)は、分配器31−1と分配器31−2の分配出力のうち、いずれか一方を選択してミキサ28−(n+m−1)に渡すための経路切り替えスイッチであり、また、ミキサ28−(n+m−1)は前段のフィルタ29−(n+m−2)の出力とスイッチ30−(n+m)を介して与えられた分配器31−1または分配器31−2の分配出力とを混合してフィルタ29−(n+m−1)に出力するものである。フィルタ29−(n+m−1)はバンドパスフィルタであって、このミキサ28−(n+m−1)で混合された信号のうち所望の成分を抽出するフィルタである。
【0146】
また、ミキサ28−(n+m)は、フィルタ29−(n+m−1)の出力と入力端子32−3からの信号F1 とを混合してフィルタ29−(n+m)に出力するものである。フィルタ29−(n+m)はバンドパスフィルタであって、このミキサ28−(n+m)で混合された信号のうち所望の成分を抽出するフィルタである。フィルタ29−(n+m)の出力が最終となるものであり、当該周波数変換器15の出力として出力端子32に出力される構成である。
【0147】
このような構成において、入力端子32−1、32−2からそれぞれ周波数f1 、f2 の2種のパイロットキャリア信号が入力される。これらはそれぞれ分配器31−1、31−2によって可能性のある最大逓倍数に分岐される。
【0148】
分配器32−1,32−2の出力は、2×1のスイッチ30−1,30−2,… にそれぞれ1本ずつ入力される。スイッチ30−1,30−2,30−3…30−(n+m)の出力はそれぞれ対応するミキサ28−1,〜28−(n+m−1)に接続されている。(この構成ではn,mそれぞれの値が変化してもn+mの値は一定である。)
本システムでは、ミキサ28−1,28−2,…28−(n+m−1)の各入力として、f1 ,f2 ,F1 の信号のいずれかが直接入力される端子が、ミキサ28−1では2つ、ミキサ28−2〜28−(n+m−1)では1つずつあり、これら入力を合わせると、n+m個の入力端子があることになる。
【0149】
そのうち、n個に周波数f1 のパイロットキャリア信号を入力し、m個に周波数f2 のパイロットキャリア信号が入力されるように、スイッチ30−1,30−2,…を制御する。各ミキサ28−1,28−2,…の後段のフィルタ29−1,29−2,…はミキサから混合されて出力される信号と、直接入力されるf1 ,f2 ,F1 の信号のいずれかの信号との差周波と和周波のうち、和周波を選択して出力する。
【0150】
このようにすると、フィルタ29−(n+m−1)からはn逓倍された周波数f1 のパイロットキャリア信号と、m逓倍された周波数f2 のパイロットキャリア信号の周波数が加算されたキャリアが出力される。そして、これと、端子32−3から入力された中心周波数F1 のデータ信号とがミキサ28−(n+m)によって混合される。
【0151】
その結果、ミキサ28−(n+m)からそれらの和周波と差周波が出力され、フィルタ29−(m+n)によって和周波が選択されて出力端子に出力されるので、f1 ×n+f2 ×m+F1 なる逓倍数の信号が得られるようになる。
【0152】
このように逓倍数が所望に変化する場合の周波数変換器を構成することができる。
【0153】
[周波数変換器構成例5]
周波数変換器15の更に別の構成例を説明する。
これまでの例ではn,mは“0”または正の整数であった。
しかし、本発明ではn,mは負の値をとることができる。例えば、目標周波数F0 、パイロットキャリア周波数f1 、f2 (=f1 −ΔF)であり、サブキャリア周波数Fi のデータ信号との関係が
10×f1 +Fi =F0
であるとする。
【0154】
サブキャリア周波数Fi+1 (=Fi +ΔF)のデータ信号に対しては、
9×f1 +f2 +Fi =F0
すなわち、n=9、m=1とどちらも正の値でF0 を合成することができる。
【0155】
一方、サブキャリア周波数Fi-1 (=Fi −ΔF)のデータ信号に対しては、11×f1 −f2 +Fi-1 =F0 とn=11、m=−1と一方を負の値にすることで対応できる。
【0156】
負の値、すなわち、周波数合成時の減算は、例えば、図4(a)に示す周波数変換器の構成例に当てはめてみると、ミキサ18−2によって発生した和周波と差周波のうち、フィルタ19−2で差周波を選択し出力することによって実行できる。
【0157】
そして、n,mに負の値を許容することによって、データ信号のサブキャリア周波数の上限および下限、すなわち、サブキャリア多重した場合のチャンネル数の制限が緩和されることになり、柔軟なシステムが構築できる。
【0158】
以上、周波数変換器の構成例について種々述べた。次にパイロットキャリア分離器について説明する。
【0159】
[パイロットキャリア分離器]
各アンテナ局2−1,2−2,…2−nにそれぞれ設けられるパイロットキャリア分離器(図1の14−1、14−2)は、上述のようにQ値の低いフィルタで実現できる。しかし、フィルタと同時にPLL(位相同期ループ)を用いると、より品質の良いパイロットキャリア信号を分離することができる。
【0160】
集中制御局1から送られてきた光信号を受信すると、必要なデータ信号、パイロットキャリア信号の他に、様々な雑音成分を含んでいる。
【0161】
光信号が元来持つ相対強度雑音と呼ばれる雑音や、光受信器の発生する熱雑音、フォトダイオードに光電流が流れることによって発生するショット雑音などである。これらの雑音は一般に、白色雑音である。
【0162】
このような白色雑音を含む光信号からパイロットキャリア信号を分離する際に、パイロットキャリア分離器14−1,14−2としてQ値の低いフィルタのみの構成であった場合は、雑音成分も多く切り出してしまう。
【0163】
雑音量に対する要求はシステムによって異なり、フィルタで切り出したまま使用できるシステムもある。しかし、雑音要求の厳しいシステムもあるこのようなシステムの場合では、Q値の低いフィルタの後段にPLLを設けるようにする。このようにすることによって、パイロットキャリア信号のキャリア対雑音比を大きくすることができる。
【0164】
また、従来の技術の項でも触れたように、複数のアンテナ局2−1,2−2,…2−nそれぞれにおいて、自局のアンテナ16から放射する無線信号の中心周波数が微妙に異なるシステムがある。
【0165】
例えば、同じ2[GHz]帯の電波を放射していても、あるアンテナ局から放射される無線信号の中心周波数は“2.000000[GHz]”であり、別のアンテナ局から放射される無線信号の中心周波数は“2.000100[GHz]”であり、…と云った具合に、例えば、100[kHz]間隔で異なるといったケースである。
【0166】
この場合でも、本発明では、光伝送するときのサブキャリア信号の周波数間隔を、無線領域の周波数間隔(例えば100[kHz])よりもはるかに大きくとる。このようにする結果、アンテナ局でのデータ分離等の処理が容易になった。
【0167】
各アンテナ局2−1,2−2,…2−nそれぞれから放出される無線信号の周波数が微妙に異なるシステムに対して本発明を適用する場合、光伝送時のサブキャリア信号周波数に、各アンテナ局2−1,2−2,…2−nの無線電波の周波数差(例えば100[kHz])に対応する周波数差を、あらかじめオフセットとして与えておくようにする。
【0168】
このようにすると、光伝送時のサブキャリア信号周波数間隔が非常に大きいため、その程度のオフセットは全く本発明の動作に影響を与えない。
【0169】
以下に例を挙げて説明する。
今、アンテナ局2−1では自局アンテナ16から放射する信号の中心周波数がF01であり、アンテナ局2−2では自局アンテナ16から放射する信号の中心周波数がF02(=F01+ΔFR )であるとする。
【0170】
一方、光伝送される時の第1及び第2のパイロットキャリア信号の周波数はf1 ,f2 (=f1 +ΔF)である。F1 のデータ信号に関しては、例えば、F01=7×f1 +3×f2 +F1 となるような中心周波数F1 でデータ信号がサブキャリア伝送されてくる。
【0171】
2 のデータ信号に関しては、
2 =8×f1 +2×f2 +F2
となるような中心周波数F2でデータ信号がサブキャリア伝送されてくる。
【0172】
この時、2つのデータ信号の中心周波数F1 とF2 との差を、
ΔF+ΔFR
となるように、F1 およびF2 を決定する。
【0173】
ΔF>>ΔFR
であるので、
ΔF+ΔFR ΔF
である。
【0174】
そして、ΔFR がサブキャリア周波数の上述したオフセット分である。
【0175】
本発明における実施形態では、説明を簡単にするため、このような小さなオフセットに関しては今まで特に明記していないし、以後の例においても特段触れない。しかし、本発明を実施する際には本節で述べたような手法を採ることもあり得ることを断っておく。
【0176】
(第3の実施例)
次に、本願第3の発明に関する実施の形態を説明する。図7はその光伝送時のサブキャリア周波数配置である。データ信号が中心周波数F1 ,F2 ,…,Fp にサブキャリア多重されている。
【0177】
隣接するデータ信号間の中心周波数間隔はΔFの整数(≧1)倍である。周波数f1 の第1のパイロットキャリア信号は、前述の第2の実施例で説明したケースと同様、F1 ,F2 ,…,Fp の周波数配置領域より高い領域の周波数に配置されている。
【0178】
一方、周波数f2 のパイロットキャリア周波数は、F1 ,F2 ,…,Fp の周波数配置領域より低い領域の周波数に配置されており、この例では0+ΔFである。
【0179】
中心周波数F1 のデータ信号に関して、アンテナから信号を放射するときの周波数F0 は、F0 =n×f1 +F1 であるとする。中心周波数F2 (=F1 +ΔF)のデータ信号に関しては、周波数F0 をF0 =n×f1 −f2 +F2 のように合成する。
【0180】
1 に関しては、周波数f2 の第2のパイロットキャリア信号の逓倍数mをm=0として合成し、F2 に関しては逓倍数mをm=−1として合成する。F3 、F4 ,…Fp についても同様に合成する。
【0181】
逓倍数mが負になるのが好ましくない場合は、サブキャリア周波数の最も大きいデータ信号Fp について、F0 =n×f1 +Fp となるようにし、Fp-1 (=Fp −ΔF)に関してはF0 =n×f1 +f2 +Fp-1 となるようにし、順次同様に周波数合成されるようにすればよい。
【0182】
また、適当なサブキャリア周波数Fi のデータ信号に関してF0 =n×f1 +Fi となるようにして、Fi よりサブキャリア周波数が小さいデータ信号に関しては、適宜、f2 の整数倍を加算し、Fi よりサブキャリア周波数が大きいデータ信号に関しては、適宜、f2 の整数倍を減算するようにしてもよい。
【0183】
この実施例を適用したシステムの構成例は図1と同様である。また、アンテナ局2−1,2−2,…2−pにおける周波数変換器15の構成は、図8の如きである。
【0184】
図8(a)に示す構成の周波数変換器15は逓倍器36−1,36−2、ミキサ37−1,37−2、フィルタ38−1,38−2からなるものであって、逓倍器36−1は入力端子20−1からの入力信号を“|n|”逓倍してミキサ37−1に与えるものである。また、ミキサ37−1には入力端子20−3からの信号が入力され、この信号と逓倍器36−1からの“|n|”逓倍された信号とを混合するものである。フィルタ38−1はバンドパスフィルタであって、このミキサ37−1からの信号のうちの所望の周波数成分を抽出するものである。
【0185】
また、逓倍器36−2は入力端子20−2からの入力信号を“|m|”逓倍してミキサ37−2に与えるものである。また、ミキサ37−2にはフィルタ38−1からの信号が入力され、この信号と逓倍器36−2からの“|m|”逓倍された信号とを混合するものである。フィルタ38−2はバンドパスフィルタであって、このミキサ37−2からの信号のうちの所望の周波数成分を抽出するものである。
【0186】
図8の構成を説明する例として、その局の使用するデータ信号の中心周波数がF3 (=F1 +2×ΔF)であり、周波数変換の目標中心周波数はF=n×f1 +F1 であるとする。
【0187】
図8(a)において、入力端子20−3から中心周波数F3のデータ信号が入力される。
【0188】
一方、端子20−1からは周波数f1 の第1のパイロットキャリア信号が入力され、逓倍器36−1でその周波数がn(>0)逓倍される。図4での場合と異なり、nの値はデータ信号のサブキャリア伝送時の中心周波数によらず、一定である。
【0189】
入力端子20−3から入力された中心周波数F3 のデータとn逓倍された周波数f1 の第1のパイロットキャリア信号は、ミキサ37−1で混合され、和周波(n×f1 +F3 )および差周波(n×f1 −F3 )が得られる。そして、このミキサ37−1から出力されるこの和周波(n×f1 +F3 )および差周波(n×f1 −F3 )のうち、フィルタ38−1は和周波を選択し、出力する。
【0190】
また、入力端子20−2からは周波数f2 (=ΔF)の第2のパイロットキャリア信号が入力され、これは逓倍器36−2によって“|m|”逓倍される。ここでの例では、逓倍数m=−2であるので、逓倍器36−2で2逓倍される。
【0191】
フィルタ38−1の出力と逓倍器36−2の出力はミキサ37−2によって混合され、その結果、ミキサ37−2からは両者の和周波(n×f1 +F3 +|m|×f2 )および差周波(n×f1 +F3 −|m|×f2 )が出力される。
【0192】
ここでは、逓倍数mが負の値であるので、フィルタ38−2は差周波を選択し出力する。その結果、フィルタ38−2からの目標周波数F0 の出力が出されることになる。
【0193】
周波数変換器15は、図8(b)のように構成してもよい。
図に示す構成の周波数変換器15は逓倍器36−1,36−2、ミキサ39−1,39−2、フィルタ40−1,40−2からなるものであって、逓倍器36−1は入力端子20−1からの入力信号を“|n|”逓倍してミキサ34−1に与えるものである。
【0194】
また、逓倍器36−2は入力端子20−2からの入力信号を“|m|”逓倍してミキサ39−1に与えるものであり、ミキサ39−1はこれら逓倍器36−1,36−2からの逓倍出力を混合するものである。
【0195】
フィルタ40−1はバンドパスフィルタであって、ミキサ39−1からの信号のうちの帯域周波数成分を抽出し、ミキサ39−2に出力するものである。
【0196】
ミキサ39−2には入力端子20−3からの信号が入力され、この信号とフィルタ40−1を透過した信号とを混合してフィルタ40−2に出力するものである。また、フィルタ40−2はバンドパスフィルタであって、ミキサ39−2からの信号のうちの所望の周波数成分を抽出するものである。
【0197】
このような構成の周波数変換器15は、端子20−1から周波数f1 の第1のパイロットキャリア信号が入力される。そして、この第1のパイロットキャリア信号は逓倍器36−1でn(>0)逓倍される。
【0198】
ここで、nの値は前述した図4の構成の場合と異なり、データ信号のサブキャリア中心周波数によらず一定である。
【0199】
また、入力端子20−2から周波数f2 の第2のパイロットキャリア信号が入力され、逓倍器36−2によって“|m|”逓倍される。
【0200】
3 の例では逓倍数mは−2であるので、逓倍器36−2で2逓倍することになる。
【0201】
n逓倍された周波数f1 の第1のパイロットキャリア信号と、“|m|”逓倍された周波数f2 の第2のパイロットキャリア信号はミキサ39−1に与えられ、ここで混合される。その結果、和周波(n×f1 +|m|×f2 )および差周波(n×f1 −|m|×f2 )がこのミキサ39−1から出力される。
【0202】
前述したように、mが負の値であるので、ミキサ39−1から出力される和周波(n×f1 +|m|×f2 )および差周波(n×f1 −|m|×f2 )のうち、フィルタ40−1では差周波を選択するようにする。そして、フィルタ40−1の出力は、ミキサ39−2に入力する。
【0203】
ミキサ39−2では、入力端子20−3から入力された中心周波数F3 のデータ信号と、フィルタ40−1の出力を混合する。この結果、ミキサ39−2からは両者の和周波(n×f1 −|m|×f2 +F3 )と、差周波(n×f1 −|m|×f2 −F3 )とが出力されることになる。この出力信号はフィルタ40−2に与えられる。
【0204】
フィルタ40−2では、ミキサ39−2から出力された和周波(n×f1 −|m|×f2 +F3 )および差周波(n×f1 −|m|×f2 −F3 )のうち、和周波を選択するようにする。その結果、フィルタ40−2からは目標周波数F0 の出力が出されることになる。
【0205】
以上の例では、nが光伝送時のサブキャリア周波数によらず一定とした。nがアンテナ局によって変わることを許容するならば、条件によっては、nおよびmの絶対値を少なくできる場合がある。ここでの条件とは、f1 がf2 (=ΔF)の整数倍の場合である。その例を示しておく。
【0206】
例えば、f1 =3×f2 であるとき、中心周波数がF4 (=F1 +4×ΔF)のデータ信号について考える。
【0207】
アンテナ16から放出される無線信号の中心周波数はF0 (=n×f1 +F1 )とする。この場合、前節の例と同様に、f1 をn逓倍し、これよりf2 を4逓倍したものとの差をとり、F4 を加算する。すなわち、n×f1 −4×f2 +F4 なる処理をする。このように周波数変換すれば、目標周波数F0 が得られる。
【0208】
また、この他、f1 =3×f2 であることから、(n−1)×f1 −f2 +F4 というように周波数変換処理しても目標周波数F0 が得られる。この時、第1のパイロットキャリア信号の周波数f1 は“n−1”逓倍し、第2のパイロットキャリア信号の周波数f2 は“|m|−3”逓倍して用いる。
【0209】
<複数アンテナ収容のアンテナ局とする例>
以上の説明は、アンテナ局当たり1アンテナ構成のシステムを対象としており、集中制御局1から周波数多重されて伝送される複数のデータ信号のうち、各アンテナ局2−1,2−2,…2−pそれぞれで1つを抽出して使用する構成であった。
【0210】
しかし、1つのアンテナ局で複数のアンテナを備えた構成とする場合などもあり、1つのアンテナ局で複数のデータ信号を使用する必要が生じることがある。
【0211】
図9にそのような場合のアンテナ局2の構成例を示す。
図9において、6はフォトダイオードであり、13−1,13,−2,…13−Nはデータ信号分離器、14−1は第1のパイロットキャリア分離器14−1、14−2は第2のパイロットキャリア分離器、41は周波数変換器、16−1,…16−Nはそれぞれアンテナである。
【0212】
これらのうち、フォトダイオード6は集中制御局1から光ファイバにて伝送されてきた光信号を光電変換して電気信号として得るものであり、第1のパイロットキャリア分離器14−1はこの電気信号から、第1のパイロットキャリア信号を抽出するものであり、第2のパイロットキャリア分離器14−2はフォトダイオード6からの電気信号から第2のパイロットキャリア信号を抽出するものである。
【0213】
また、データ信号分離器13−1,13−2,…13−Nはアンテナ数対応に設けてあって、フォトダイオード6からの電気信号からそれぞれアンテナ16−1,…16−Nのうちの対応する特定のアンテナ用のデータ信号を抽出するものであり、簡易なフィルタなどで構成される。
【0214】
また、周波数変換器41はこれらデータ信号分離器13−1,13−2,…13−Nそれぞれのデータ信号をアンテナ16−1,16−2,…16−N対応に、そのアンテナで放射される周波数に変換するものである。
【0215】
アンテナ16−1,16−2,…16−Nは、周波数変換器41によって周波数変換された信号を空中に送信するものである。
【0216】
このような構成において、集中制御局1から伝送されてきた光信号はフォトダイオード6で光電変換され電気信号となる。このフォトダイオード6で受信され光電変換されて得られた電気信号から、第1のパイロットキャリア分離器14−1によって第1のパイロットキャリア信号が抽出され、第2のパイロットキャリア分離器14−2によって第2のパイロットキャリア信号が抽出される。
【0217】
アンテナ局2でN個(N≧2)のデータ信号を使用する場合、簡易なフィルタなどで構成されるデータ信号分離器13−1,13−2,…13−Nによってそれぞれのデータ信号が分離される。
【0218】
分離されたそれぞれのデータ信号は、周波数変換器41によってアンテナ16−1,16−2,…16−Nで放射される周波数に変換される。そして、アンテナ16−1,16−2,…16−Nに送られて空中に放射される。
【0219】
なお、本システムで用いる周波数変換器41は、図4や図8の構成をデータ信号数分、設けた構成であっても良いし、パイロットキャリア信号の周波数を所望逓倍し、加算していく部分で、各データ信号に共通の部分は共通化しても良い。
【0220】
このような形態では、Nの数が多い場合、これまでの例のように集中制御局1とアンテナ局2を1対多で接続するのではなく、1:1で接続しても良い。
【0221】
以上は何れも送信系(下り信号処理系)についての説明であった。しかし、受信系も必要であるので、次に本システムの受信系(上り信号処理系)について第4の実施例として説明する。
【0222】
(第4の実施例)
本願第4の発明に関する実施の形態を示す。ここに示す例は、受信系(上り信号処理系)に係わるものであって、3つ以上のデータ信号、すなわち、3系統以上のデータ信号をそれぞれ別のアンテナより受信する場合に、各データ信号の周波数変換に用いるパイロットキャリア信号を2種だけ使用し、これとその系統のデータ信号のキャリアとを用いて、その系統のデータ信号を所望周波数の信号に変換し、集中制御局に光伝送することができるようにするものである。
【0223】
図10はこのような本システムの受信系すなわち、上り信号処理系についての実施形態を示す図である。図に示すように、この受信系のシステム構成としては、集中制御局1内にデータ分離復調器46とフォトダイオード45とを備えている。
【0224】
また、複数のアンテナ局2−1,2−2,…2−pには、レーザ素子47と周波数変換器43とを備えている。また、周波数変換器43は第1及び第2のパイロットキャリア入力端子44−1,44−2を備えており、第1のパイロットキャリア入力端子44−1から第1のパイロットキャリア信号を入力し、第2のパイロットキャリア入力端子44−2から第2のパイロットキャリア信号を入力する構成となっている。
【0225】
複数のアンテナ局2−1,2−2,…2−pと集中制御局1とは光ファイバ4により結ばれており、途中に設けられた光分岐結合器3により、各アンテナ局2−1,2−2,…2−pで受信した変換された光信号が結合され、集中制御局1に導かれるようになっている。
【0226】
周波数変換器43は、第1及び第2のパイロットキャリア信号をパイロットキャリア信号入力端子44−1,44−2より得、また、受信したデータ信号のキャリア成分を用いてこれらより、データ信号を中心周波数F1Rに周波数変換するものである。第1及び第2のパイロットキャリア信号はアンテナ局2−1以外から伝送されてきたものであるが、送信系(下り信号処理系)で分離した集中制御局1からのパイロットキャリア信号を使用するのが最も合理的である。
【0227】
レーザ素子47は、周波数変換器43で周波数変換した中心周波数F1Rのデータ信号を光信号として光ファイバ4に光サブキャリア伝送するものである。
【0228】
また、集中制御局1のフォトダイオード45は、光ファイバ4にて光サブキャリア伝送されてきた光信号を電気信号に変換するものであり、データ分離復調器46はフォトダイオード45で変換された電気信号を各チャネル別のデータ信号に分離し、復調するものである。
【0229】
このような構成の本システムは、各アンテナ局2−1,…2−pにおいてそれぞれの局のアンテナ42で受信された中心周波数FR のデータ信号はそれぞれの局の周波数変換器43によって周波数変換される。周波数変換器43にはパイロットキャリア入力端子44−1および44−2から周波数f1 とf2 の2つのパイロットキャリア信号が入力される。
【0230】
これらのパイロットキャリア信号はアンテナ局2−1以外から伝送されてきたものである。そして、アンテナ局2−1の周波数変換器43では、この2つのパイロットキャリア信号を適宜逓倍したものと、中心周波数FR のデータ信号の周波数を適宜加算減算して、データ信号を中心周波数F1Rに周波数変換する。F1Rに周波数変換されたデータ信号はレーザ素子47によって光信号に変換され集中制御局1に光サブキャリア伝送される。
【0231】
同様に、アンテナ局2−2では自局以外から伝送されてきた2種のパイロットキャリア信号を適宜逓倍したものと、中心周波数FR のデータ信号の周波数を適宜加算減算して、データ信号を中心周波数F2Rに周波数変換する。F2Rに周波数変換されたデータ信号は自局のレーザ素子47によって光信号に変換され集中制御局1に光サブキャリア伝送される。
【0232】
また、同様に、アンテナ局2−pでは自局以外から伝送されてきた2種のパイロットキャリア信号を適宜逓倍したものと、中心周波数FR のデータ信号の周波数を適宜加算減算して、データ信号を中心周波数FpRに周波数変換する。FpRに周波数変換されたデータ信号は自局のレーザ素子47によって光信号に変換され集中制御局1に光サブキャリア伝送される。
【0233】
このようにして各アンテナ局2−2,…2−pで、中心周波数FR のデータ信号を、光サブキャリア伝送に適した周波数に周波数変換し、光信号に変換し、集中制御局1に光サブキャリア伝送する。ただし、光サブキャリア伝送するときの周波数は図11(a)に示すように、各アンテナ局で異なる。従って、各アンテナ局の周波数変換器43では、2つのパイロットキャリア信号の逓倍数や加算減算の符号が異なる。
【0234】
これら複数のアンテナ局2−2,…2−pから出力された光信号を、光分岐結合器3で結合し、集中基地局1のフォトダイオード45で電気信号に変換する。フォトダイオード45で受信され、変換された電気信号のスペクトルは図11(b)のように各局毎に分離できるよう、中心周波数に差がある。受信された信号はデータ分離・復調器46によって、各々のデータ信号に分離され復調される。
【0235】
このようにすることによって、同じ周波数帯のデータ信号を各アンテナ局で異なるサブキャリア周波数に変換する際のサブキャリア周波数が相互に安定化される。
【0236】
ところで、図9で示した下り信号(送信信号)処理系の場合と同様に、上り信号(受信信号)処理系の場合も一つのアンテナ局に複数のアンテナが備えられている構成が採用される場合がある。このような構成の場合、複数のアンテナで受信したデータ信号を異なるサブキャリア周波数に変換して集中制御局に光伝送する。
【0237】
図12に、その場合でのアンテナ局2−1の構成例を示す。図において、42−1,…42−Nはそれぞれ別系統のアンテナであり、43は周波数変換器、47はレーザ素子、48は結合器である。これらのうち、周波数変換器43は複数のアンテナ42−1,…42−Nにてそれぞれ受信された無線信号を各々異なるサブキャリア周波数に変換するものであり、パイロットキャリア入力端子44−1,44−2から入力される周波数f1 とf2 のパイロットキャリア信号を使用してこれを行うものである。
【0238】
結合器48は、周波数変換器43から出力される各アンテナ系統別のサブキャリア信号を結合するものであり、レーザ素子47はこの結合されたサブキャリア信号を光信号に変調して光ファイバに出力するものである。
【0239】
このような構成の本システムは、アンテナ局2−1に設けられた複数のアンテナ42−1,…42−Nで無線信号を受信し、これらの受信された無線信号は周波数変換器43で各々異なるサブキャリア周波数に変換される。周波数変換器43には周波数f1 とf2 のパイロットキャリア信号がパイロットキャリア入力端子44−1,44−2から入力される。
【0240】
これらのパイロットキャリア信号はアンテナ局2−1の外部から伝送されてきたものである。周波数変換器43では、これらのパイロットキャリア信号をそれぞれ適切に逓倍加算減算して、アンテナで受信された信号を周波数変換する。
【0241】
それぞれのアンテナで受信された信号毎にパイロットキャリア信号の逓倍数、場合によっては加減算の符号が異なる。
【0242】
周波数変換器43内の逓倍加減算手段はそれぞれのアンテナに対応して独立のものを備えていても良いし、共通化できる部分は共通化してもよい。
【0243】
周波数変換器43で、このように各々異なるサブキャリア周波数に周波数変換された信号は結合器48で結合され、レーザ47で光信号に変換されて、集中制御局に伝送される。このとき、図10の場合と同様に複数のアンテナ局からの信号が結合されて集中制御局に伝送されるようにしても良いし、アンテナ局と集中制御局が1:1に接続されていても良い。
【0244】
以上説明した例は、いずれもアンテナ局として、下り信号処理系のみを備えた構成の例か、または、上り信号処理系のみを備えた構成の例であった。しかし、下り信号処理系および上り信号処理系を内蔵したアンテナ局も必要であるので、その例を以下説明する。
【0245】
(第5の実施例)
下り信号処理系と上り信号処理系とを内蔵したアンテナ局の例を説明する。
【0246】
これは、本願第5および第6の発明の実施の形態に対応するものである。
ここに説明する通信システムにおいては、これまでに例示した下り信号に適用する形態と、上り信号に適用する形態の両方の特徴を備えている。さらに、アンテナ局では集中制御局から送られてきた光信号に含まれている2つのパイロットキャリア信号を、アンテナで受信した上り信号の周波数変換の際にも利用する。
【0247】
図13にアンテナ局の構成例を示す。図13(a)は図1および図10のアンテナ局の構造を同時に備えており、さらに、下り信号を処理する系のパイロットキャリア分離器14−1および14−2の出力が分岐されて、上り信号を処理する系の周波数変換器43のパイロットキャリア入力端子44−1、44−2に入力されている。
【0248】
すなわち、アンテナ局2−1(2−2,…2−p)は、その下り信号処理系を、フォトダイオード6、データ信号分離器13、第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2、周波数変換器15、アンテナ16とより構成してあり、上り信号処理系を、アンテナ42、周波数変換器43、そして、レーザ素子47とより構成してある。
【0249】
第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2で第1及び第2のパイロットキャリア信号を抽出するが、これらパイロットキャリア信号は下り信号系の周波数変換器15で使用するばかりでなく、上り信号処理系の周波数変換器43にも与えられ、当該周波数変換器43は、第1及び第2のパイロットキャリア信号をパイロットキャリア信号入力端子44−1,44−2より得、また、受信したデータ信号のキャリア成分を用いてこれらより、データ信号を中心周波数FIRに周波数変換する構成である。
【0250】
このように、下り信号処理系における第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2で抽出した第1及び第2のパイロットキャリア信号を、下り信号処理系の周波数変換器15で使用するばかりでなく、上り信号処理系の周波数変換器43でも使用して上り信号を周波数変換する。
なお、図13(a)の構成においては、伝送されてきたパイロットキャリア信号を分離した後、周波数変換器15,43内でおのおの独立に逓倍、加算減算し、周波数変換して所要の周波数を得るようにするが、逓倍、加算減算の機能の一部を供用できる部分は共用すると云った形態にしてもよい。例えば、図13(b)の如きである。
【0251】
図13(b)では、図13(a)の構成における周波数変換器15および43が一体化された構成の周波数変換器49を使用している。この周波数変換器49は、逓倍、加算減算の機能の一部が上り信号、下り信号で共用化されている形態となっている。
【0252】
周波数変換器49内では下り信号用の周波数変換器を構成する図4や図8の逓倍器出力、場合によってはミキサ出力を分岐して、上り用の周波数変換にも利用する。
【0253】
さらには、図14のように第1及び第2のパイロットキャリア分離器14−1,14−2の出力をローカルキャリア生成部52に入力し、ローカルキャリア生成部52で、上り信号および下り信号を周波数変換するときに用いるローカルキャリア信号を生成する。
【0254】
上り信号用の周波数変換器50および下り信号用の周波数変換器51では、ローカルキャリア生成部52で生成されたローカルキャリア信号を周波数変換前の信号(の周波数)に加算または減算するのみである。従って、周波数変換器50,51は主にミキサ1つとフィルタ1つからなるシンプルな構成となっている。
【0255】
以上の例では、上り信号用と下り信号用のアンテナを別個のものとして説明した。しかし、上り信号用と下り信号用のアンテナを共用可能であるならば、1本のアンテナにサーキュレータを接続して上り系と下り系をこのサーキュレータを介して接続して共用するようにしても良い。
【0256】
このような形態では、集中制御局1において、下り信号用のサブキャリア信号を生成するときに使用するローカルキャリア信号と、上り信号用のサブキャリア信号を復調前に周波数変換するために使用するローカルキャリア信号とを共用することが可能となる。図15にその場合での集中制御局1の実施形態をブロック図で示す。
[サブキャリア信号共用型集中制御局の構成例]
図15に示すサブキャリア信号共用型集中制御局1は、下り系(送信系)として、レーザ素子5、レーザドライバ7、合成器8、周波数変換器9−1,9−2,…9−p、変調器10−1,10−2,…、第1及び第2のパイロットキャリア発生器12−1,12−2、入力端子11−1,11−2,…11−p、ローカル発生器54−1,…54−pとを備える。
【0257】
入力端子11−1,11−2,…11−pは送信するデータを入力する端子である。
【0258】
変調器10−1,10−2,…10−pは、各入力端子11−1,11−2,…9−pに対応しており、対応する入力端子11−1,11−2,…11−pから入力されたデータを変調して対応する周波数変換器9−1,9−2,…9−pに出力するものである。
【0259】
ローカル発生器54−1,…54−pは、それぞれ別のローカルキャリア信号を発生する装置であり、各周波数変換器9−1,9−2,…9−p別に設けられていて対応する周波数変換器9−1,9−2,…9−pにローカルキャリア信号を供給する構成である。周波数変換器9−1,9−2,…9−pは、この変調して入力された信号を当該信号の周波数とローカルキャリア信号を使用して所望中心周波数のデータ信号に変換し、出力するものである。
【0260】
第1及び第2のパイロットキャリア発生器12−1,12−2は、それぞれ異なる周波数のパイロットキャリア信号を発生する回路であり、合成器8はこれら2種のパイロットキャリア信号及び、周波数変換器9−1,9−2,…9−pの出力を合成する回路であり、レーザドライバ7は、この合成器8で合成された信号対応にレーザ素子5をドライブするものであり、レーザ素子5はこのレーザドライバ7により、合成器8の合成信号対応に光変調したレーザ光を出力して光ファイバ4に送り出すものである。
【0261】
受信系すなわち、上り信号処理系の構成は、フォトダイオード53とデータ分離復調器55−1,…55−p、周波数変換器56−1,…56−p、復調器57−1,…57−pとより成る。
【0262】
フォトダイオード53は、分岐結合器に結合され、光ファイバ4を介して伝送されてきた各アンテナ局側からの光信号を受信して電気信号に変換するものであり、データ信号分離器55−1,…55−pは、フォトダイオード53からの電気信号から複数あるアンテナ局のうちの対応する特定のアンテナ局用のデータ信号を分離抽出するものであり、簡易なフィルタなどで構成される。
【0263】
周波数変換器56−1,…56−pは、それぞれデータ信号分離器55−1,…55−p対応に設けられており、前記ローカル発生器54−1,…54−pのうちの対応するものからローカルキャリア信号の供給を受けると共に、対応するデータ信号分離器55−1,…55−pから得られたデータ信号を用いてこれらより、データ信号を周波数変換するものである。
【0264】
復調器57−1,…57−pは、周波数変換器56−1,…56−pに対応して設けてあり、それぞれ対応する周波数変換器56−1,…56−pから周波数変換して与えられるデータ信号を復調して出力するものである。
【0265】
このような構成において、チャネル別の端子11−1,…11−pに入力された各チャネルのベースバンドのデータ信号は、それぞれの端子11−1,…11−p対応の変調器10−1,…10−pでQPSKなどの帯域信号に変調される。
【0266】
そして、この変調器10−1,…10−pで変調された信号はそれぞれの対応する周波数変換器9−1,…9−pで光伝送用のサブキャリア信号に周波数変換される。すなわち、周波数変換器9−1,…9−pでは、入力された帯域信号に、各周波数変換器9−1,…9−p対応のローカル発生器54−1,…54−pの発生するローカルキャリア信号の周波数を加算または減算して周波数変換を行う。
【0267】
また、第1及び第2のパイロットキャリア発生器12−1,12−2は、それぞれ異なる周波数のパイロットキャリア信号を発生する。そして、合成器8はこれら2種のパイロットキャリア信号及び、周波数変換器9−1,9−2,…9−pの出力を合成して、レーザドライバ7に与え、レーザドライバ7は、この合成器8で合成された信号対応にレーザ素子5をドライブして合成器8の合成信号対応に光変調したレーザ光を発生し、光ファイバ4に送り出す。
【0268】
上り信号処理系では、光ファイバ4を介して伝送されてきた光信号を、フォトダイオード53にて電気信号に変換し、各データ信号分離器55−1,…55−pに与える。
【0269】
各データ信号分離器55−1,…55−pではこの電気信号からそれぞれ所定のチャネルのデータ信号を分離する。そして、周波数変換器56−1,…56−pは、それぞれ対応するデータ信号分離器55−1,…55−pから与えられるデータ信号について、ローカルキャリア信号を用いて所要の中心周波数の信号に変換する。
【0270】
すなわち、周波数変換器56−1,…56−pには、前記ローカル発生器54−1,…54−pのうちの対応するものからローカルキャリア信号の供給を受ける。そしてこのローカルキャリア信号と、対応するデータ信号分離器55−1,…55−pから得られたデータ信号のキャリア成分を用いてこれらより、データ信号を特定の中心周波数に周波数変換する。ここで、特定の中心周波数とは、変調器10−1,10−2,…10−pの出力周波数と同じ周波数である。
【0271】
周波数変換器56−1,…56−pにて周波数変換されて得られたデータ信号はそれぞれの対応する復調器57−1,…57−pにて復調される。
【0272】
この実施例では、集中制御局1内に下り信号処理系と上り信号処理系とを設けた構成において、ローカルキャリア信号を下り信号処理系と上り信号処理系とで共用させる構成とした。
【0273】
すなわち、ローカルキャリア信号は周波数変換器9−1の場合、ローカル発生器54−1から入力され、周波数変換器9−2の場合、ローカル発生器54−2から入力され、…周波数変換器9−pの場合、ローカル発生器54−pから入力され、と云った具合に、その系統毎の対応するローカル発生器より供給されるが、また上り信号処理系の周波数変換器56−1,…56−pにも与えられるようにした。すなわち、周波数変換器56−1の場合、ローカル発生器54−1から入力され、周波数変換器56−2の場合、ローカル発生器54−2から入力され、…周波数変換器56−pの場合、ローカル発生器54−pから入力され、と云った具合である。
【0274】
図13や図14に示した如き構成のアンテナ局から送信されてきた上りサブキャリア信号は、本発明では下りサブキャリア信号と同様、図17の如く、十分な周波数間隔を持たせて多重されており、その周波数間隔は下りサブキャリア信号の周波数間隔と同様である。
【0275】
そこで、集中制御局1では、ローカル発生器54−1の出力を分岐して、一方は周波数変換器9−1に、他方は周波数変換器56−1に入力する。フォトダイオード53で電気信号に変換され、データ信号分離器55−1で各々に分離された上りデータ信号は、周波数変換器56−1によって、復調器57−1で復調されるのに適した周波数に変換される。
【0276】
周波数変換器56−1でローカル発生器54−1からのローカルキャリアを使用することにより、復調器57−1に入力される信号の周波数を容易に高精度で制御できる。
【0277】
このようにすることによって、上り信号のサブキャリア多重時のアンテナ局相互のサブキャリア周波数が容易に安定化でき、さらに、集中制御局での上り信号の復調器入力の周波数が安定化され、復調のための周波数制御が容易になる。さらに、集中制御局でローカル発生器が共用でき設備の削減につながる。さらに、アンテナ局でローカルキャリアを生成してから上り、下りの信号の周波数変換に共用することによって、アンテナ局の周波数変換部が簡素化できる。
【0278】
アンテナ局で上り信号および下り信号を周波数変換する時の周波数変換幅は上り下りで異なっていても良い。さらに、下り信号が図17のようにサブキャリア多重されていた場合、上り信号も同様の順序で、すなわち周波数の小さい方からアンテナ局2−1、2−2、2−3と並んでいる必要はなく、上り信号の周波数変換幅を適宜変更することによって順番が変わっていても良い。
【0279】
また、アンテナから放射される無線信号周波数が上りと下りで大きく異なる場合、アンテナ局での上り信号の周波数変換幅と下り信号の周波数変換幅を故意に変えて、光サブキャリア伝送されるときに周波数がほぽ同じ周波数帯になるようにしてもよい。低価格に光サブキャリア伝送できるサブキャリア周波数帯が限られているため、このようにすることによって低価格化できる。
【0280】
これまでの例では、アンテナ局にアンテナが上り信号系用、下り信号系用各1本ずつある場合について説明したが、上り信号系用、下り信号系用個別の場合(図9、図12)と同様にそれぞれが複数個あっても良い。
【0281】
また、以上の実施の形態はPONと呼ばれる光ファイバネットワークの形態に特化して記述したが、本発明は他の形態、例えば、有線同軸伝送や、光ファイバで伝送後同軸ケーブルで分岐されるHFC(Hybrid Fiber Coax)などにも適用することが可能である。
【0282】
尚、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、種々変形して実施可能である。
【0283】
【発明の効果】
以上述べたように本発明は、複数の無線アンテナ局をPONで収容する場合に、より簡便な光伝送系で、アンテナ局間の周波数安定性を保てるようになるものである。すなわち、集中制御局から複数のアンテナ局にサブキャリア多重された変調済みのデータ信号を分配する形態において、アンテナ局で使用するデータ信号が、光受信後に簡易なフィルタで分離できるよう十分広い周波数間隔でサブキャリア多重し、かつ、各アンテナ局から放出される電波の周波数を同期させるために必要なパイロツトキャリアの数が(アンテナ局の数ではなく、)2つだけで良すむようにした。
【0284】
その結果、各アンテナ局間で周波数同期をとりつつも、光サブキャリア伝送時のデータ信号の変調度がパイロットキャリアのために犠牲になることなく、良好な伝送が可能となる他、光を受信したのちに、必要な信号を切り出す過程が簡易で低コスト化が図れるようになる通信システムが提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための図であって、本発明の第1の実施例における下り信号系のシステム構成図である。
【図2】本発明を説明するための図であって、本発明の第1の実施例を説明するための図である。
【図3】本発明を説明するための図であって、本発明の第2の実施例としての2種のパイロットキャリア信号の具体的周波数配置例を示す図である。
【図4】本発明を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における周波数変換器15の構成例を示す図である。
【図5】本発明を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における周波数変換器15の構成例を示す図である。
【図6】本発明を説明するための図であって、本発明の第2の実施例における周波数変換器15の構成例を示す図である。
【図7】本発明を説明するための図であって、本発明の第3の実施例における2種のパイロットキャリア信号の具体的周波数配置例を示す図である。
【図8】本発明を説明するための図であって、本発明の第3の実施例における周波数変換器の構成例を示す図である。
【図9】本発明を説明するための図であって、本発明の第3の実施例における1つのアンテナ局で複数のアンテナを備えた構成とする場合のアンテナ局2の構成例を示す図である。
【図10】本発明を説明するための図であって、本発明の第4の実施例における受信系(上り信号処理系)についての構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明を説明するための図であって、本発明の第4の実施例における各アンテナ局2−2,…2−pで光サブキャリア伝送に適した周波数に変換する場合における各アンテナ局別の周波数状態を説明するスペクトル図である。
【図12】本発明を説明するための図であって、本発明の第5の実施例におけるアンテナ局の構成例を示す図である。
【図13】本発明を説明するための図であって、本発明の第5の実施例におけるアンテナ局の別の構成例を示す図である。
【図14】本発明を説明するための図であって、本発明の第5の実施例における更に別のアンテナ局の構成例を示す図である。
【図15】本発明を説明するための図であって、本発明システムにおけるサブキャリア信号共用型の集中制御局の構成例を示すブロック図である。
【図16】本発明の背景技術を説明するためのシステム構成図である。
【図17】従来技術の問題点を説明するための図である。
【図18】従来例技術のの問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1…集中制御局
2,2−1,…2−p,16,42…アンテナ局
3…光分岐結合器
4…光ファイバ
5…レーザ素子
6…フォトダイオード
7…レーザドライバ
8…合成器
9,15…周波数変換器
10…変調器
11…入力端子
12…パイロットキャリア発生器
13…データ信号分離器
14…パイロットキャリア分離器
17…逓倍器
18,22…ミキサ
19,23…フィルタ
20…入力端子
21,25,30…スイッチ
24…分配器
26…入力端子
27…端子
28,34,37,39…ミキサ
29,35,38,40…フィルタ
31…分配器
32…入力端子
33…出力端子
36…逓倍器
41,43,49,50,51,56…周波数変換器
44…パイロットキャリア入力端子
45,53…フォトダイオード
46…データ分離復調器
47…レーザ素子
48…結合器
52…ローカルキャリア発生器
54…ローカル発生器
55…データ信号分離器
57…復調器

Claims (10)

  1. 3系統以上の各系統別のデータ信号を周波数多重して伝送し、これら各系統別のデータ信号は受信後に目標とする周波数帯に周波数変換するようにした通信システムであって、前記3系統以上のデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記目標とする周波数帯の信号帯域幅より広く設定する通信システムにおいて、
    前記3系統以上のデータ信号の周波数間隔は所定の周波数の整数(≧1)倍であり、
    第1のパイロットキャリア信号と第2のパイロットキャリア信号を前記3系統以上のデータ信号と同時に伝送し、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数と前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の差は前記所定の周波数であって、
    さらに、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記3系統以上の内のいずれか一つのデータ信号の周波数を加算すると、前記目標とする周波数帯の周波数となるよう、前記いずれか一つのデータ信号の周波数が決定されていることを特徴とする通信システム。
  2. 3系統以上の各系統別のデータ信号を周波数多重して伝送し、これら各系統別のデータ信号は受信後に目標とする周波数帯に周波数変換するようにした通信システムであって、前記3系統以上のデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記目標とする周波数帯の信号帯域幅より広く設定する通信システムにおいて、
    前記3系統以上のデータ信号の周波数間隔は所定の周波数の整数(≧1)倍であり、
    第1のパイロットキャリア信号と第2のパイロットキャリア信号を前記3系統以上のデータ信号と同時に伝送し、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数は前記所定の周波数であって、
    さらに、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記3系統以上のデータ信号のいずれか一つの周波数を加算すると、前記目標とする周波数帯の周波数となるよう、前記いずれか一つの周波数が決定されていることを特徴とする通信システム。
  3. 一つ以上の子局において、同一の特定の周波数帯について前記一つ以上の子局の異なるアンテナで受信された合計3系統以上のデータ信号を周波数変換し、周波数多重して親局へ伝送するようにした通信システムであって、周波数多重伝送時の前記3系統以上のデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記特定の周波数帯の信号帯域幅より広く設定した通信システムにおいて、
    親局から前記一つ以上の子局に対し、第1のパイロットキャリア信号と第2のパイロットキャリア信号とを伝送し、
    各前記子局において、周波数変換するための手段は、前記親局から伝送されて来た前記第1および第2のパイロットキャリア信号を用い、この第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍を加算した周波数のキャリアを用いて、前記データ信号を周波数変換する構成とすることを特徴とする通信システム。
  4. 親局から1つ以上の子局に対して3系統以上の下りデータ信号を周波数多重して伝送し、各子局で受信後に目標周波数帯に周波数変換するようにし、また、前記1つ以上の子局では特定周波数帯の3系統以上の上りデータ信号を周波数変換し、周波数多重して前記親局へ伝送するようにした通信システムであって、前記3系統以上の下りデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記目標周波数帯の信号帯域幅より広く設定すると共に、周波数多重伝送時の前記3系統以上の上りデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記特定の周波数帯の信号帯域幅より広く設定した通信システムにおいて、
    前記3系統以上の下りデータ信号の周波数間隔は所定の周波数の整数(≧1)倍であり、
    親局では子局へ第1のパイロットキャリア信号と第2のパイロットキャリア信号とを前記3系統以上の下りデータ信号と同時に伝送し、
    前記第1のパイロットキャリア信号の周波数と前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の差は前記所定の周波数であって、
    さらに、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記3系統以上の内のいずれか一つの下りデータ信号の周波数を加算すると、前記目標とする周波数帯の周波数となるよう、前記いずれか一つの下りデータ信号の周波数が決定されており、
    前記子局において、周波数変換するための手段は、前記親局から伝送されてきた第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記親局から伝送されてきた前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍を加算した周波数のキャリアを用いて、前記上りデータ信号を周波数変換する構成とすることを特徴とする通信システム。
  5. 親局から1つ以上の子局に対して3系統以上の下りデータ信号を周波数多重して伝送し、各子局で受信後に目標周波数帯に周波数変換するようにし、また、前記1つ以上の子局では特定周波数帯の3系統以上の上りデータ信号を周波数変換し、周波数多重して前記親局へ伝送するようにした通信システムであって、前記3系統以上の下りデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記目標周波数帯の信号帯域幅より広く設定すると共に、周波数多重伝送時の前記3系統以上の上りデータ信号すべてを含む信号帯域幅は、前記特定の周波数帯の信号帯域幅より広く設定した通信システムにおいて、
    前記3系統以上の下りデータ信号の周波数間隔は所定の周波数の整数(≧1)倍であり、
    親局では子局へ第1のパイロットキャリア信号と第2のパイロットキャリア信号とを前記3系統以上の下りデータ信号と同時に伝送し、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数は前記所定の周波数であって、
    さらに、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記3系統以上の内のいずれか一つの下りデータ信号の周波数を加算すると、前記目標とする周波数帯の周波数となるよう、前記いずれか一つの下りデータ信号の周波数が決定されており、
    前記子局において、周波数変換するための手段は、前記親局から伝送されてきた第1のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍と、前記親局から伝送されてきた前記第2のパイロットキャリア信号の周波数の整数倍を加算した周波数のキャリアを用いて、前記上りデータ信号を周波数変換する構成とすることを特徴とする通信システム。
  6. 前記子局において、
    前記周波数変換手段は、前記第1のパイロットキャリア信号の整数倍と前記第2のパイロットキャリア信号の整数倍を加算したローカルキャリア信号を合成し、このローカルキャリア信号を用いて、前記下りデータ信号を前記目標とする周波数帯に周波数変換し、前記特定の周波数帯の上りデータ信号を前記ローカルキャリア信号を用いて周波数変換する構成であることを特徴とする請求項第4または請求項第5の通信システム。
  7. 前記3系統以上の下りデータ信号の前記周波数間隔に、子局間に生ずる微小周波数差がオフセットとして加算されていることを特徴とする請求項4乃至請求項6いずれか1項記載の通信システム。
  8. 前記通信システムはサブキャリア光伝送システムであることを特徴とする請求項1乃至請求項いずれか1項記載の通信システム。
  9. 前記第1のパイロットキャリア信号の周波数がf 、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数がf 、前記目標とする周波数帯の周波数がf であるとき、
    前記3系統以上のデータ信号のうちの第1のデータ信号の周波数F が、
    =n×f +m×f +F (n、mは正の整数値)
    を満たすように決定されているとき、前記3系統以上のデータ信号のうち前記第1のデータ信号よりも前記所定の周波数Δfのk倍だけ離れた第2のデータ信号の周波数F2は、
    =(n−k)×f +(m+k)×f +F
    を満たすように決定されることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
  10. 前記所定の周波数がΔf、前記第1のパイロットキャリア信号の周波数がf 、前記第2のパイロットキャリア信号の周波数がf =Δf、前記目標とする周波数帯の周波数がf であるとき、
    前記3系統以上のデータ信号のうちの第1のデータ信号の周波数F が、
    =n×f +F (nは正の整数値)
    を満たすように決定されているとき、前記3系統以上のデータ信号のうち前記第1のデータ信号よりも前記所定の周波数Δfのk 倍だけ離れた第2のデータ信号の周波数F は、
    =n×f +k ×f +F
    を満たすように決定されることを特徴とする請求項2記載の通信システム。
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