JP3973705B2 - 磁気バーコード用磁性粒子粉末の製造方法 - Google Patents

磁気バーコード用磁性粒子粉末の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子からなる磁気バーコード用磁性粒子粉末の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知の通り、バーコードは、バーの幅及びバーとバーとの間隔をいろいろ組み合わせることによって情報を記号化、このバーコードを黒地(黒バー)の反射率及び印刷濃度と白地(白バー)の反射率とを光学的に読み取ることにより情報が得られるものであり、商品等の入出庫、在庫管理、自動仕分け、配送、工程管理など、いわゆる物流システムに広く汎用されている。
【0003】
近時、バーコードを光学的な読み取りだけでなく、バーコードを磁性インクで印字して磁気的に読み取ることも行なわれるようになった。例えば、特開平4−185675号公報の「‥‥磁性インクを用いて、一般の物品にバーコード・パターンを形成し、磁気読み取りセンサによりバーコード・パターンを認識できる‥‥」なる記載の通りである。
【0004】
磁気的に読み取るバーコード(以下、磁気バーコードという。)は、主として、プリペイドカード、キャッシュカード、クレジットカード、通行券、入場券などの磁気カード類に応用して磁気カード類の不正使用を防止することに用いられている。
【0005】
例えば、特開平3−281397号公報の「‥‥磁気記録カード類に関する不正使用の防止策が施されているにも拘わず、今日のようなカードの普及社会においては、さまざまな偽造・変造・不正使用が考えられ、常に新しい対策やシステムが求められている‥‥」なる記載及び特開平1−109524号公報の「‥‥磁気カードの一部に真偽判定用の符号を形成し、その符号を磁気ヘッドで読取ることで真偽の判定を行い、カードのセキュリティを向上させるという方法が採用されている。‥‥このような真偽判定用符号が磁気印刷パターン‥‥形成され‥‥」なる記載の通りである。
【0006】
磁気カード類の不正使用を防止する磁気印刷パターンのうち、磁気バーコードは、例えば、前掲特開平4−185675号公報の「‥‥この磁性体インクには、‥‥一般的に樹脂、磁性体、添加剤等を混合後、‥‥分散外力の大きな分散機によって‥‥分散を行い、‥‥得ていた。‥‥」なる記載の通り、樹脂、磁性体及び添加剤とを混合・分散して磁性インクとし、磁気カード類にバーコードを印字することによって形成される。
【0007】
なお、磁性インクは、磁気バーコードにとどまらず、特殊な文字、書体、記号、符号などを印字・印刷して小切手、手形その他の帳票類の分類、記帳などの自動処理に利用されているMICR法やIDカードなどにも使用されている。
【0008】
これらの先行技術としては、前掲特開平1−109524号公報、前掲特開平3−281397号公報、前掲特開平4−185675号公報、特開平3−93869号公報及び特開平6−53024号公報等が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
保磁力Hcが高い磁性粒子粉末を用いた磁性インクによって磁気バーコードを印字する場合には、次の通りの問題がある。
【0010】
即ち、前掲特開平1−109524号公報の「‥‥従来の磁気記録媒体では、磁気印刷パターンの磁性顔料の抗磁力が大きい。‥‥このために、真偽判定用符号を読み取るために一度外部磁界をかけると、磁気印刷パターンに残留磁化が生じ、‥‥カードのセキュリティに利用されている符号の目視が可能になるという問題点を有していた。‥‥」なる記載、前掲特開平3−93869号公報の「‥‥保磁力の小さな材料、例えば、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉、カーボニル鉄粉などの純鉄をフィラーとする磁性インクが使用されている。‥‥」なる記載及び前掲特開平6−53024号公報の「‥‥この磁気バーコードに用いる磁性体としては、安価にして、安定性が高く比較的高い磁化量‥‥と比較的低い保磁力‥‥が必要である‥‥」なる記載の通りの問題である。
【0011】
そこで、前掲特開平1−109524号公報においては、「‥‥抗磁力が30Oe以下であるために、外部磁界にさらしても、残留磁化が小さく、‥‥目視することができない。したがって、消磁という特別な処理をしなくとも、極めて簡単な構成でセキュリティを高めることができる。‥‥」なる記載の技術手段が採られている。このように、磁気バーコードに使用する磁性粒子粉末は、保磁力Hcが低く飽和磁化値σsが大きいことが要求されているのである。
【0012】
従来、磁気バーコードを印字するための磁性インクに用いる磁性粒子粉末としては、前掲特開平1−109524号公報では「‥‥Cu−Znフェライト、Mn−Znフェライト又はNi−Znフェライトの微粉等の軟磁性フェライト粉および鉄粉等の軟磁性金属粉、Mo−パーマロイ粉、センダスト粉等の軟磁性合金粉などがある。‥‥」、前掲特開平3−281397号公報では「‥‥このような低保磁力の軟質磁性材料としては、Fe、‥‥パーマロイ、センダスト、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mnフェライト、Znフェライト、‥‥等の金属・合金及び金属化合物が使用できる。‥‥」、特開平4−185675号公報では「‥‥有機磁性体は‥‥有機金属ポリマー‥‥前記有機磁性体と併用される無機磁性体は‥‥鉄、ニッケル、コバルト及びその合金、並びに酸化物‥‥スピネル型フェライト‥‥ガーネット‥‥等が含まれる。‥‥」及び特開平6−53024号公報では同公報に開示された「特定のスピネル型の結晶構造を有する酸化物磁性粉末」等多くの各種軟質磁性材料粒子粉末が提案されている。
【0013】
しかし、前記各種軟質磁性材料粒子粉末は、微粒子のものも得られてはいるが、一般には、その粒子径は1μm以上と大きいものであり、その粒度分布は悪いものである。また、磁性粒子の粒子径が大きいことと粒度分布が悪いことによって磁性インクとした際に、磁性粒子が沈降したりすることによってバラツキが生じ印刷ムラなどの不具合が生じる。
【0014】
また、前掲特開平3−93869号公報では「‥‥Fe系磁性粉末としては、粒径が100〜5000Åの超微粒子が使用される。‥‥」なる記載の通り、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、超微粒子による超常磁性を利用して保磁力Hcを低くしたものであるが、粒子径があまりに小さいことにより粒子表面の活性度が高く空気中において酸化されやすい。また、磁性インクとする場合には、超微粒子であることによって分散に問題が生じたり、、塗膜とした場合の充填量も低くなって飽和磁化値が得られ難い。
【0015】
本発明者は、磁気バーコード用磁性粒子粉末として最適な磁性粉末、即ち、適切な粒子形状と粒子径であって、しかも、大きい飽和磁化値と低い保磁力を有する鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末について検討した。
【0016】
なお、球形を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末としては、特開昭63−105901号公報に記載されているものがあるが、同公報に記載されている金属磁性粒子粉末は、静電複写用の磁性トナー及びキャリア等の材料粒子粉末であるから保磁力Hcの低いものでも80Oe程度であり、特に、飽和磁化値σsが最も大きい184.5emu/gのものは、保磁力Hcも206Oeと高いものであり、磁気バーコード用磁性粒子粉末として使用するには問題がある。
【0017】
そこで本発明は、飽和磁化値σsが大きく、しかも、保磁力Hcが低い球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子からなる磁気バーコード用磁性粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0018】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0019】
即ち、本発明は、平均粒子径が0.1〜0.5μm、圧縮密度が3.5〜4.5g/cc、BET比表面積が3.5〜10.0m/gであり、且つ、10kOeの磁場における保磁力Hcが15〜30Oe、飽和磁化値σsが150〜210emu/gである球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子からなる磁気バーコード用磁性粒子粉末の製造方法であって、粒状マグネタイト粒子粉末を還元性ガス雰囲気下、600〜700℃の温度範囲で加熱還元することを特徴とする磁気バーコード用磁性粒子粉末の製造方法である。
【0020】
次に、本発明実施にあたっての諸条件について述べる。
【0021】
先ず、本発明における球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末について述べる。
【0022】
本発明における金属磁性粒子粉末の平均粒子径は、0.1〜0.5μmである。0.1μm未満の場合には、保磁力Hcが30Oeを越えるほど高くなり、0.5μmを越える場合には、粒子径が大きいことによって磁性インクとした際に、磁性粒子が沈降したりすることによってバラツキが生じ印刷ムラなどの不具合が生じる。好ましくは0.15〜0.28μmの範囲である。
【0023】
10kOeの磁場における保磁力Hcは15〜30Oeである。15Oe未満であってもよいが得られ難く、30Oeを越える場合には、残留磁化σrが高くなるので磁気バーコードとした際のセキュリティー性が低下する。
【0024】
10kOeの磁場における飽和磁化値σsは150〜210emu/gである。150emu/g未満の場合には、磁気バーコードの磁気読み取り性に問題が生じ、210emu/gを越える磁性粒子粉末を得ることは困難である。好ましくは170〜200emu/gの範囲である。
【0025】
本発明における金属磁性粒子粉末の10kOeの磁場における残留磁化値σrは、前記保磁力Hcの範囲内であって前記飽和磁化値σsの範囲内とした場合には2.0〜8.0emu/gである。
【0026】
本発明における金属磁性粒子粉末の圧縮密度は3.5〜4.5g/ccであることが好ましい。3.5g/cc未満の場合には、磁気バーコードとした場合の塗膜中における磁性粒子粉末の含有量を高くすることができず、磁気バーコードとした場合の飽和磁化値が不足することがある。4.5g/ccを越える場合には、特に不都合な点はないが、通常、4.5g/cc程度以下となる。
【0027】
BET比表面積は3.5〜10.0m2 /gであることが好ましい。3.5m2 /g未満の場合には、磁性粒子の粒子径が大きくなるので、粒子径が大きいことによって磁性インクとした際に、磁性粒子が沈降したりすることによってバラツキが生じ印刷ムラなどの不具合が生じる。10.0m2 /gを越える場合には、塗料化が困難となることがある。
【0028】
次に、本発明における金属磁性粒子粉末は、出発原料である粒状マグネタイト粒子粉末を還元性ガス雰囲気下、600〜700℃の温度範囲で加熱還元することにより得られる。
【0029】
出発原料である粒状マグネタイト粒子粉末は、▲1▼硫酸第一鉄等の第一鉄塩を含む酸性水溶液中の酸根に対して0.98〜1.3当量の塩基性物質またはその水溶液を添加して得たFe(OH)2 コロイドを含むpH10以上の水溶液を45℃以上70℃以下の温度に保持して酸化反応を行うことにより粒状又は立方状を呈したマグネタイト粒子を得る方法(特公昭44−668号公報)、▲2▼第一鉄塩水溶液にアルカリを添加して、該水溶液中の第一鉄の5〜30mol%を第一鉄からなる鉄沈澱物として懸濁させ、該懸濁液中の全第一鉄濃度が1〜2mol/lの範囲にある懸濁液を調製し、次いで、この懸濁液の温度を60〜90℃に保持し、かつ懸濁液のpHが常に5〜6の範囲に維持されるようにアルカリを連続的に添加しながら酸化反応をすることにより粒状マグネタイト粒子を得る方法(特公昭49−35520号公報)及び▲3▼第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中の第一鉄に対し0.80〜0.99当量の水酸化アルカリとを反応させて得られた水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩反応水溶液に、30〜100℃の温度範囲で加熱しながら酸素含有ガスを通気することにより球状を呈したマグネタイト粒子を生成させる第一段と、該第一段反応終了後残存第一鉄に対し1.00当量以上の水酸化アルカリを添加し第一段反応と同一条件下で加熱酸化する第二段との二段階反応からなる球状を呈したマグネタイト粒子を得る方法(特公昭62−51208号)等により得ることができる。
【0030】
また、上記各マグネタイト粒子を得る方法において、Si、Zn、Mn、Ni、Cu、Mgなどから選ばれる金属化合物の1種又は2種以上の異種元素を添加して得られたマグネタイト粒子であってもよい。
【0031】
また、加熱還元時の加熱処理による粒子間の焼結を防止する為に、あらかじめ出発原料とする粒状マグネタイト粒子に、Al、Si、Pなどから選ばれる金属化合物の1種又は2種以上で被覆処理を施しておくことが好ましい。
【0032】
加熱還元温度は、600〜700℃の範囲である。600℃未満場合には、得られる金属磁性粒子粉末の保磁力Hcが高くなる。700℃を越える場合には、粒子間の焼結が過度となり、粒子の崩れが大きくなりすぎる。好ましい範囲は630〜680℃である。
【0033】
還元性ガス雰囲気は、水素ガスなどの還元性ガスを通気すればよい。
【0034】
加熱還元後の球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を周知の方法、例えば、トルエン等の有機溶剤中に浸漬する方法及び還元後の前記還元後の還元性ガスを一旦不活性ガスに置換した後、不活性ガス中の酸素含有量を徐々に増加させながら最終的に空気とすることによって徐酸化する方法等により空気中に取り出すことができる。
【0035】
尚、得られた球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を周知の方法、例えば、Si、Ti、Al等のカップリング剤や各種界面活性剤等で被覆処理してもよい。
【0036】
【作用】
前述の通りの構成を採る本発明の作用は、次の通りである。
【0037】
前掲特開昭63−105901号公報に記載されている鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁力Hcが低いものでも80Oe程度以上であるのに対し、本発明における球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁力Hcが30Oe以下である理由について、本発明者は次のように考えている。
【0038】
通常、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末においては、単結晶グレインがつながって針状を構成している場合には、形状異方性によって高い保磁力Hcを得ることができる。それに対し単結晶グレインがかたまって粒状や球状を構成している場合には、単結晶グレイン同志が互いに保磁力Hcを打ち消しあって、得られる保磁力Hcが低いものとなっている。
【0039】
しかし、その場合においても、前掲特開昭63−105901号公報に記載されている鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末に見られるように、粒子径によっても異なるが保磁力Hcは80Oe程度以上である。
【0040】
ところが、600〜700℃の温度で加熱還元した場合には、得られる鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁力Hcを30Oe以下とすることができたのである。
【0041】
本発明者は、前記単結晶グレインがかたまって粒状や球状を構成している場合においても、粒状や球状を呈したマグネタイト粒子粉末を加熱還元処理により金属磁性粒子粉末とするにあたって、加熱還元温度を高くすればする程、得られる鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁力Hcが高くなるという知見を多くの実験から得ている。
【0042】
即ち、350℃から550℃へと加熱還元温度を高くすると、粒状や球状を呈したマグネタイト粒子を構成する単結晶グレインが還元されて、グレイン間の結合がゆるやかになり、割れ目やポアが発生するために形状異方性の作用・効果が生じて、保磁力Hcが高くなるものと考えられる。
【0043】
そこで、加熱還元温度を高くして550℃を越える温度とすると、単結晶グレインが成長して前記割れ目やポアがなくなることにより逆に保磁力Hcは低くなりはじめる。本発明における600〜700℃の温度範囲においては保磁力Hcが30Oe以下となったのである。
【0044】
この結果から、単結晶グレインがかたまって球状を呈した粒子の内部で、それを構成している単結晶グレイン同志が焼結して大きな単結晶を構成する粒子となり、保磁力Hcが低くなったのではないかと考えている。
【0045】
また、飽和磁化値σsについては、加熱還元温度を高くすると徐々に大きくなり、ついには飽和してほとんど変化しなくなった。
【0046】
このようにして、本発明における球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を得ることができたのである。
【0047】
尚、粒状又は立方状を呈したマグネタイト粒子粉末も、加熱還元処理などの加熱処理によって、丸みを帯びて、所謂、球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子とすることができる。
【0048】
【実施例】
次に、実施例、比較例及び参考例により、本発明を説明する。
【0049】
尚、以下の実施例、比較例及び使用例における粒子の形状は、透過型電子顕微鏡及び走査型電子顕微鏡により観察したものである。
【0050】
球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の平均粒子径は、電子顕微鏡写真から求めた値を用いた。
【0051】
磁気特性は、「振動試料型磁力計 VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を用いてマグネタイト粒子粉末は最大外部磁場5kOe、金属磁性粒子粉末は最大外部磁場10kOeで測定した値である。また、磁気シートの磁気特性は最大外部磁場500Oeで測定した値である。
【0052】
BET比表面積は、「Mono Sorb MS−11」(湯浅アイオニックス(株)製)を用いBET法により求めた。
【0053】
添加化合物や被覆化合物の含有量は、蛍光X線分析により測定した。
【0054】
圧縮密度CDは、直径25mmの金型に金属磁性粒子粉末20gを入れ、1ton/cm2 の圧力を加えて粒子粉末の円柱状成形体を作製し、その径と高さを実測して成形体の体積v(cm3 )を求めて、計算式CD(g/cm3 )=20/vから求めた。
【0055】
なお、磁気バーコードとしての特性は、磁気シートを作成して求めたシート特性により示す。
【0056】
<マグネタイト粒子粉末の製造>
実施例1〜7;
【0057】
実施例1
Fe2+1.5mol/lを含む硫酸第一鉄水溶液20lをあらかじめ、反応器中に準備されたFeに対しSi換算で0.3原子%を含むようにケイ酸ナトリウム(3号水ガラス、SiO2 28.55%)18.9gを添加して得られた2.64−NのNaOH水溶液20lに加え(Fe2+に対し0.88当量に該当する。)、pH値が6.7、温度93℃においてFe(OH)2 とを含む第一鉄塩水溶液の生成を行った。
【0058】
上記Fe(OH)2 を含む第一鉄塩水溶液に温度93℃において毎分100lの空気を240分間通気してマグネタイト粒子を含む第一鉄塩水溶液を生成した。
【0059】
次いで、上記マグネタイト粒子を含む第一鉄塩水溶液に2.64−NのNaOH水溶液4lを加え(Fe2+に対し1.06当量に該当する。)、pH値が11.8、温度93℃において毎分20lの空気を60分間通気してマグネタイト粒子を生成した。
【0060】
生成粒子は、常法により、濾別、水洗、乾燥、粉砕した。
【0061】
得られたマグネタイト粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、平均粒子径が0.22μmの球状を呈した粒子であり、蛍光X線分析の結果、Feに対しSiを0.29原子%含有したものであって、BET比表面積は7.1m2 /gであり、磁気特性は保磁力が60Oe、飽和磁化値が84.9emu/gであった。
【0062】
実施例2〜7
第一鉄塩水溶液の濃度及び使用量、水酸化アルカリ水溶液の濃度、添加化合物の種類、添加量及び添加時期、反応pH並びに反応温度を種々変化させた以外は実施例1と同様にしてマグネタイト粒子粉末を得た。
【0063】
この時の主要製造条件及び諸特性を表1に示した。
【0064】
【表1】
Figure 0003973705
【0065】
<球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の製造>
実施例8〜14、比較例1〜3;
【0066】
実施例8
実施例1で得られたSiを含有する球状を呈したマグネタイト粒子粉末を用い、該球状を呈したマグネタイト粒子粉末120gを3lの一端開放型レトルト容器中に投入し、駆動回転させながらH2 ガスを毎分30lの割合で通気し、還元温度680℃で120分間還元した。
【0067】
還元して得られた鉄合金を主成分とする磁性粒子粉末は、空気中に取り出したとき急激な酸化を起こさないように、一旦、トルエン中に浸漬して、これを蒸発されることにより、粒子表面に安定な酸化被膜を施した。
【0068】
得られた鉄合金を主成分とする金属粒子粉末は、図1及び図2に示す電子顕微鏡写真 (×10000及び×50000) から明らかな通り、粒子相互間のからみ合い等がなく、平均径が0.29μmの球状を呈した粒子であった。
【0069】
また、この球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、蛍光X線分析の結果、Feに対しSiを0.29原子%含有したものであって、平均粒子径が0.23μm、保磁力Hcが25Oe、飽和磁化値σsが183emu/g、圧縮密度CDが3.9g/cc、BET比表面積値が5.6m2 /gであった。
【0070】
実施例9
実施例2で得られたSiを含有する球状を呈したマグネタイト粒子の水洗終了後のプレスケーキ1515g(固形分として1000gに相当する。) を水15l中に投入し、強力撹拌機により分散スラリーとした。このときのスラリーのpHは8.9であった。つづいて酢酸を用いてpHを6.0に調整した後、Ni (CH3 COO)2 ・4H2 Oを32.2(Ni/Feとして1.0原子%に相当する)を溶解した溶液を添加し10分間撹拌混合した。続いてMg (CH3 COO)2 ・4H2 Oを19.5g(Mg/Feとして0.7原子%に相当する) を溶解した溶液を添加した。充分に撹拌混合して均一化した後アンモニア水を用いてpHを9.3に調整した後濾過、乾燥した。
【0071】
このようにして得られた、NiとMg化合物とで表面被覆処理を施したSi含有の球状を呈したマグネタイト粒子粉末120gを実施例8と同様にして700℃で120分間加熱還元した。引き続き窒素ガス雰囲気中で室温まで冷却した後、N2 ガス5l/min、空気2l/minの割合の混合ガスを通気し、酸化による発熱により温度が40℃に到達したら空気の流れを遮断してN2 ガスのみを通気するようにして、発熱がなくなるまで表面酸化処理を行った。更にN2 ガス流量を次第に0とし、空気のみを通気しても再び発熱しないことを確認してNi、Mg、Siを含有する鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を空気中に取り出した。
【0072】
得られた鉄合金を主成分とする金属粒子粉末は、電子顕微鏡写真観察の結果、粒子相互間のからみ合い等がなく、平均径が0.24μmの球状を呈した粒子であり、蛍光X線分析の結果、Feに対しNi、Mg、Siをそれぞれ1.0原子%、0.7原子%、0.47原子%含有したものであって、平均粒子径が0.24μm、保磁力Hcが17Oe、飽和磁化値σsが195emu/g、圧縮密度CDが4.2g/cc、BET比表面積値が4.9m2 /gであった。
【0073】
実施例10〜14及び比較例1〜3
出発原料の種類、被覆金属の添加の有無、種類及び被覆量並びに加熱還元温度及び時間を種々変化させた以外は、実施例9又は10と同様にして鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を得た。
【0074】
この時の主要製造条件及び諸特性を表2に示した。尚、比較例1の電子顕微鏡写真(×10000及び×50000)を図3及び図4に示した。
【0075】
【表2】
Figure 0003973705
【0076】
<磁気シートの作成>
参考例1〜7;
【0077】
参考例1
実施例8で得られた鉄合金を主成分とする磁性粒子粉末100重量部、VAGF(塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体:米国U.C.C.社製)10重量部、ニッポラン2301(ウレタン樹脂:日本ポリウレタン社製)10重量部、レシチン0.5重量部、トルエン5.7重量部、MEK(メチルエチルケトン)80.5重量部、シクロヘキサノン80.5重量部、Ai2 3 1重量部及びカーボンブラック2重量部をサンドグラインダーによって60分間混合・分散した。
【0078】
次に、コロネートL(三官能性低分子量イソシアネート化合物:日本ポリウレタン社製)3重量部を混合して、磁性塗料を製造した.
【0079】
上記磁性塗料を厚さ14μmのポリエステルベースフィルム上に塗布し、次いで、乾燥することにより膜厚7μmの磁気シートを作成した。
【0080】
磁気シートの磁気特性は、保磁力Hcが27Oe、飽和磁束密度Bmが2240Gaussであった。
【0081】
参考例2〜7
鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、参考例1と同様にして磁気シートを得た。
【0082】
この時の諸特性を表3に示した。
【0083】
【表3】
Figure 0003973705
【0084】
【発明の効果】
本発明における球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、飽和磁化値σsが大きく、しかも、保磁力Hcが低いことによって、前出参考例に示した通り、磁気シートの諸特性から磁気カード類の不正使用を防止するために磁気カード類に印字する磁気バーコード用として最適な磁性材料粉末である。
【0085】
また、本発明における球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、球状を呈していることから磁性インクとする際の分散性にも優れており、磁気バーコードにとどまらず、特殊な文字、書体、記号、符号などを印字・印刷して小切手、手形その他の帳票類の分類、記帳などの自動処理に利用されているMICR法やIDカードなどにも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例8で得られた球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×10000)である。
【図2】 実施例8で得られた球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×50000)である。
【図3】 比較例1で得られた球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×10000)である。
【図4】 比較例1で得られた球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×50000)である。

Claims (1)

  1. 平均粒子径が0.1〜0.5μm、圧縮密度が3.5〜4.5g/cc、BET比表面積が3.5〜10.0m/gであり、且つ、10kOeの磁場における保磁力Hcが15〜30Oe、飽和磁化値σsが150〜210emu/gである球状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子からなる磁気バーコード用磁性粒子粉末の製造方法であって、粒状マグネタイト粒子粉末を還元性ガス雰囲気下、600〜700℃の温度範囲で加熱還元することを特徴とする磁気バーコード用磁性粒子粉末の製造方法
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