JP3973561B2 - カリウムチャネル開口薬 - Google Patents

カリウムチャネル開口薬 Download PDF

Info

Publication number
JP3973561B2
JP3973561B2 JP2002584905A JP2002584905A JP3973561B2 JP 3973561 B2 JP3973561 B2 JP 3973561B2 JP 2002584905 A JP2002584905 A JP 2002584905A JP 2002584905 A JP2002584905 A JP 2002584905A JP 3973561 B2 JP3973561 B2 JP 3973561B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
alkyl
acid
potassium channel
channel opener
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002584905A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2002087559A1 (ja
Inventor
祐治 今泉
智彦 大和田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Original Assignee
Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Tanabe Pharma Corp filed Critical Mitsubishi Tanabe Pharma Corp
Publication of JPWO2002087559A1 publication Critical patent/JPWO2002087559A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3973561B2 publication Critical patent/JP3973561B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/185Acids; Anhydrides, halides or salts thereof, e.g. sulfur acids, imidic, hydrazonic or hydroximic acids
    • A61K31/19Carboxylic acids, e.g. valproic acid
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P13/00Drugs for disorders of the urinary system
    • A61P13/10Drugs for disorders of the urinary system of the bladder
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/12Antihypertensives

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Cardiology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Description

本発明はカリウムチャネル開口薬に関するものである。
カルシウム依存性カリウムチャネル(「BKチャネル」と呼ぶ場合もある。)は細胞膜上に存在し、カリウムイオンを選択的に透過させる蛋白質である。このチャネル蛋白質は細胞内に面したアミノ酸配列にカルシウム結合部位を有しており、カルシウムの結合によりチャネル活性が増大する性質を有している。すなわち、細胞内カルシウム濃度の上昇により、単位時間あたりに個々のカルシウム依存性カリウムチャネルの開口している確率(開口確率)が増大し、細胞膜のカリウム透過性の上昇をもたらす。3種類のカルシウム依存性カリウムチャネルが知られているが、これらのうち大コンダクタンス・カルシウム依存性カリウムチャネルは血管、膀胱、気管支、消化管など各種臓器の構成要素である平滑筋及び中枢・末梢神経に存在するが、心筋には発現していない。
細胞膜電位はナトリウム、カリウム、塩素、カルシウムなどのイオンの細胞膜透過性のバランスで決定されるため、カリウムチャネル開口率が選択的に上昇するとカリウム透過性が優位になり、細胞は過分極する。従ってカルシウム依存性カリウムチャネルの開口は、例えば平滑筋細胞を過分極させ、電位依存性カルシウムチャネルの活性を低下させ、細胞外液からカルシウム流入を抑制する。その結果として、細胞内カルシウム濃度が減少し、平滑筋が弛緩する。従って、カルシウム依存性カリウムチャネルの開口は、本態性高血圧症、緊張性膀胱、気道過敏症などの病態において定常的に収縮気味(過緊張)の平滑筋組織を弛緩させる。
また強い刺激が加わり、過剰活動(過興奮)によりカルシウム濃度が上昇している神経細胞に対しても過分極を介した興奮抑制作用を示す。逆に、BKチャネル閉口作用を持つ化合物のマウス中枢神経への投与は痙攣をもたらす。このように、カルシウム依存性カリウムチャネルを含むカリウムチャネル活性変化による病態が近年明らかになったため、カリウムチャネル作用薬による治療についての可能性は益々増大している。その中でも、カルシウム依存性カリウムチャネル開口薬は最も注目されつつあるものの1つである(Shieh, C.C., et al., Pharmacol. Rev., 52, pp.557-593, 2000)。
カルシウム依存性カリウムチャネル活性化作用を持つ物質としては、天然物から単離されたMaxikdiol(Singh, S., et al., J. Chem. Soc. Perkin. Trans. I, pp.3349-3352, 1994)、Dehydrosoyasaponin-I(McManus, O.B., et al., Biocchemistry, 32, pp.6128-6133, 1993)、L-735,334(Lee, S.H., et al., J. Nat. Prod., 58, pp.1822-1828, 1995)、合成化合物としてデンマークのニューロサーチ社や米国のブリストルマイヤーズスクイブ社が開発しているNS−1619および関連化合物(Olesen, S.P. et al., 欧州特許公開0477819A2、Olsen, S.P. et al., Euro. J. Pharmacol., 251, pp.53-59, 1994)などが知られている。
Figure 0003973561
しかしながら、Dehydrosoyasaponin-IとL-735,334は比較的分子量が高く、かつ作用様式に難点があり、NS−1619関連化合物は活性が低く、作用が特異的でないという問題を有している。また、Maxikdiolは優れた活性を有しているものの、天然物であり入手が極めて困難である。従って、Maxikdiolと同等またはより高いBKチャネル開口活性を有し、作用の特異性の高い薬剤の開発が切望されている。
発明の開示
本発明の課題は、カリウムチャネル開口薬、好ましくはカルシウム依存性カリウムチャネル開口薬を提供することにある。より具体的には、Maxikdiolと同等またはより高いBKチャネル開口活性を有し、かつその作用が特異的なカリウムチャネル開口薬、好ましくはカルシウム依存性カリウムチャネル開口薬を提供することが本発明の課題である。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、Pimaric acid及びその類縁化合物が極めて優れたカリウムチャネル開口作用を有しており、しかもその作用が特異的であることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明は、下記の一般式(I):
Figure 0003973561
(式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、
及びRはそれぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、----で表される3つの結合はいずれも単結合であるか、又は3つの結合のうちの1つの結合が二重結合であり、他の結合は単結合である)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含むカリウムチャネル開口薬を提供するものである。
この発明の好ましい態様によれば、R1、R3、R4、及びR5がアルキル基又はアルケニル基であり、R6及びR7が水素原子であり、R2がカルボキシル基である化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含む上記のカリウムチャネル開口薬が提供される。より好ましい態様として、下記の化合物:(1)R1がアルキル基であり、R2がカルボキシル基であり、R3がアルキル基であり、R4がアルケニル基であり、R5がアルキル基であり、R6及びR7が水素原子である化合物、(2)R1がアルキル基であり、R2がカルボキシル基であり、R3がアルキル基であり、R4がアルキル基であり、R5がアルケニル基であり、R6及びR7が水素原子である化合物、及び(3)R1がアルキル基であり、R2がカルボキシル基であり、R3がアルキル基であり、R4がアルキル基であり、R5がアルキル基であり、R6及びR7が水素原子である化合物、並びに生理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む上記のカリウムチャネル開口薬が提供され、さらに好ましい態様として、ピマル酸、ジヒドロピマル酸、サンダラコピマル酸、イソピマル酸、及びジヒドロイソピマル酸、並びに生理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む上記のカリウムチャネル開口薬が提供される。
また、本発明により、下記の一般式(II):
Figure 0003973561
(式中、R11、R13、及びR18はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、
14、R15、R16、R17、R19、R20、及びR21はそれぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、R20及びR21は互いに結合してオキソ基を形成してもよい)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含むカリウムチャネル開口薬が提供される。
この発明の好ましい態様によれば、R11、R13、及びR18がアルキル基であり、R12がカルボキシル基であり、R14、R15、及びR16が水素原子である化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含む上記のカリウムチャネル開口薬が提供され、さらに好ましい態様によれば、R11、R13、及びR18がアルキル基であり、R12がカルボキシル基であり、R14、R15、R16、R20、及びR21が水素原子であり、R17及びR19がハロゲン原子である化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含む上記カリウムチャネル開口薬が提供される。
本発明により提供される上記のカリウムチャネル開口薬は好ましくはカルシウム依存性カリウムチャネル開口薬であり、例えば、本態性高血圧症、緊張性膀胱、気道過敏症、又は虚血性中枢神経障害の予防及び/又は治療に用いることができる。
別の観点からは、本発明により、上記のカリウムチャネル開口薬の製造のための上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩の使用;本態性高血圧症、緊張性膀胱、気道過敏症、又は虚血性中枢神経障害の予防及び/又は治療方法であって、上記一般式(I)又は一般式(II)でされる化合物又は生理学的に許容されるその塩の予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;及びヒトを含む哺乳類動物においてカリウムチャネル、好ましくはカルシウム依存性カリウムチャネルを開口させる方法であって、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。
また、ヒトを含む哺乳類動物における平滑筋を弛緩する方法であって、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;ヒトを含む哺乳類動物において中枢神経を保護する方法であって、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;ヒトを含む哺乳類動物における平滑筋を過分極する方法であって、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法;並びにヒトを含む哺乳類動物における中枢神経細胞を過分極する方法であって、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩の有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法提供される。
本明細書において用いられる用語の意味は以下のとおりである。
「アルキル基」と言う場合には、直鎖状、分岐鎖状、環状、又はそれらの組み合わせのいずれでもよく、例えば炭素数1から12個、好ましくは炭素数1から8個、より好ましくは炭素数1から6個、特に好ましくは炭素数1から4個程度のアルキル基を用いることができる。本明細書において言及するアルキル部分を有する置換基(例えばアルケニル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基など)のアルキル部分についても同様である。
アルケニル基に含まれる二重結合の位置及び個数は特に限定されないが、二重結合の数は1から3個であることが好ましく、より好ましくは1又は2個であり、特に好ましくは1個である。アルケニル基としては、アリル基又はビニル基が好ましく、特に好ましいのはビニル基である。二重結合について幾何異性が生じる場合には二重結合の配置はZ又はEのいずれでもよい。
「ハロゲン原子」(又は「ハロゲン」)と言う場合には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよい。「ハロゲン化アルキル基」上に存在するハロゲン原子の種類、個数、及び置換位置は特に限定されず、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれでもよいが、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。ハロゲン化アルキル基としては、例えばトリハロゲン化メチル基が好ましく、特に好ましいのはトリフルオロメチル基又はトリクロロメチル基である。
「ヒドロキシアルキル基」上に存在するヒドロキシ基の個数及び置換位置は特に限定されないが、好ましくは1から4個程度であり、より好ましくは1又は2個、特に好ましくは1個である。ヒドロキシアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基が好ましい。「アミノアルキル基」に存在するアミノ基の個数及び置換位置は特に限定されないが、好ましくは1から4個程度であり、より好ましくは1または2個、特に好ましくは1個である。アミノアルキル基としてはアミノメチル基が好ましい。
「アリール基」としては、単環性又は縮合環性のアリール基のいずれでもよく、例えば、フェニル基又はナフチル基などを用いることができる。アリール基は1個又は2個以上のヘテロ原子を環構成原子として含んでいてもよい。このような例としてピリジル基、フリル基、チエニル基、又はピロリル基などを挙げることができる。「アシル基」はベンゾイル基などのアリールカルボニル基、又はアセチル基などのアルカノイル基のいずれでもよい。
1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7、並びにR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、及びR21が示すアルキル基、アルケニル基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、カルバモイル基、又はスルホン酸アミド基は、さらに1個又は2個以上の置換基を有していてもよい。置換基の種類、置換位置、及び個数は特に限定されず、2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていてもよい。例えば、アリール基が置換基を有する場合としてフルオロフェニル基、ヒドロキシフェニル基などを挙げることができ、アシル基が置換基を有する場合として、例えばクロロベンゾイル基、トリフロロアセチル基などを挙げることができるが、置換基の例はこれらに限定されることはない。
本明細書において示される上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物において、特に立体化学を表示していない場合には、任意の立体異性体であることを意味しており、純粋な形態の任意の立体異性体のほか、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体、ジアステレオ異性体の混合物などが本発明の範囲に包含される。一般式(I)で表される化合物の好ましい例として、以下の化合物群A1からA4を挙げることができる。下記A1からA4までの式中の立体配置は絶対配置を示す。
Figure 0003973561
1、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立にアルキル基又はアルケニル基であることが好ましい。R1がアルキル基であり、R3がアルキル基であり、R4がアルケニル基であり、かつR5がアルキル基であるか、R1がアルキル基であり、R3がアルキル基であり、R4がアルキル基であり、かつR5がアルケニル基であることがより好ましく、R1がメチル基であり、R3がメチル基であり、R4がビニル基又はエチル基であり、かつR5がメチル基であるか、R1がメチル基であり、R3がメチル基であり、R4がメチル基であり、R5がビニル基又はエチル基であることがさらに好ましい。
2はカルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基であることが好ましく、カルボキシル基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましい。R6及びR7はともに水素原子であることが好ましい。特に好ましい化合物は下記の化合物である。
Figure 0003973561
上記に示した特に好ましい化合物のうち、ピマル酸(Pimaric acid)は樹脂酸性成分として公知の化合物である。また、サンダラコピマル酸(Sandaracopimaric acid)、イソピマル酸(Isopimaric acid)、及びジヒドロイソピマル酸(dihydroisopimaric acid)も市販品を入手することができる。上記一般式(I)で表される化合物は、例えば上記のピマル酸、ジヒドロピマル酸、サンダラコピマル酸、イソピマル酸、又はジヒドロイソピマル酸を出発原料として、当業者に周知の官能基変換を行うことにより製造することができる。例えば、ピマル酸においてR4として存在するビニル基を通常の手段により還元することにより、R4がエチル基のジヒドロピマル酸を製造することができ、R2として存在するカルボキシル基をエステル化することにより、R2がアルコキシカルボニル基である化合物を製造することができる。
また、一般式(II)で表される化合物において、好ましい立体化学は下記に示すとおりであり(式中の立体は絶対配置を示す)、R11、R13、及びR18がアルキル基であり、R12がカルボキシル基であり、R14、R15、及びR16が水素原子であることが好ましく、より好ましくは、R11、R13、及びR18がアルキル基であり、R12がカルボキシル基であり、R14、R15、R16、R20、及びR21が水素原子であり、R17及びR19がハロゲン原子である。R11及びR13が示すアルキル基としてはメチル基が好ましく、R18が示すアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが好ましい。R18が示すアルキル基として特に好ましいのはイソプロピル基である。R17及びR19が示すハロゲン原子としては塩素原子が好ましい。
また、一般式(II)で表される化合物において、R20がヒドロキシ基であり、かつR21が水素原子である化合物、及びR20及びR21が一緒になってオキソ基を形成した化合物も好ましい。例えば、R11、R13、及びR18がアルキル基であり、R12がカルボキシル基であり、R14、R15、及びR16が水素原子であり、R17及びR19がハロゲン原子又は水素原子であり、R20がヒドロキシ基であり、R21が水素原子である化合物、及びR11、R13、及びR18がアルキル基であり、R12がカルボキシル基であり、R14、R15、及びR16が水素原子であり、R17及びR19がハロゲン原子又は水素原子であり、R20及びR21が一緒になってオキソ基を形成した化合物が好ましい。より具体的には、好ましい一般式(II)の化合物として下記の化合物を例示することができ、これらのうち(1)で表される化合物が特に好ましい。下記の(1)から(3)の化合物はいずれも市販されている。
Figure 0003973561
本発明のカリウムチャネル開口薬の有効成分としては、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物のほか、置換基の種類に応じて生理学的に許容されるその塩を用いることができる。塩の種類は生理学的に許容されるものであれば特に限定されず、酸付加塩、塩基付加塩のいずれであってもよい。酸付加塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩を挙げることができ、塩基付加塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、エチルアミン塩などの有機アミン塩を挙げることができる。グリシンなどのアミノ酸との塩を用いてもよい。
本発明のカリウムチャネル開口薬の有効成分としては、遊離形態の化合物又は生理学的に許容されるその塩のほか、それらの任意の水和物又は溶媒和物を用いてもよい。溶媒和物を形成する溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、アセトン、エタノール、テトラヒドロフランなどを挙げることができる。また、上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物は、上記式中に含まれる不斉炭素のほか、置換基の種類に応じてさらに1個以上の不斉炭素を有する場合がある。従って、このような不斉炭素の存在に基づいて光学活性体又はジアステレオ異性体などの立体異性体が存在する場合があるが、純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、ラセミ体などを本発明のカリウムチャネル開口薬の有効成分として用いてもよい。
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明のカリウムチャネル開口薬は血管、膀胱、気管支、消化管など各種臓器の構成要素である平滑筋及び中枢・末梢神経に存在するカルシウム依存性カリウムチャネル蛋白質に作用し、単位時間あたりに個々のカルシウム依存性カリウムチャネルの開口している確率(開口確率)を増大させ、細胞膜のカリウム透過性の上昇をもたらす。この結果として、平滑筋細胞を過分極させ、電位依存性カルシウムチャネルの活性を低下させる。そして、細胞外液からカルシウム流入を抑制することにより平滑筋を弛緩させ、神経細胞をカルシウム過負荷による障害から保護する。
従って、本発明のカリウムチャネル開口薬は、本態性高血圧症を含む高血圧症、緊張性膀胱、末梢循環障害、気道過敏症、知覚神経過敏症、中枢性痙攣などの疾患において定常的に収縮気味(過緊張)の平滑筋組織を弛緩させることができ、これらの疾患の予防及び/又は治療のための医薬として有用である。また、中枢及び末梢神経細胞、特に中枢神経細胞を保護するための医薬としても有用である。もっとも、本発明のカリウムチャネル開口薬の適用対象は、上記の特定の疾患に限定されることはなく、平滑筋を弛緩させることによって予防及び/又は治療が可能な各種の疾患や神経細胞を保護することによって予防及び/又は治療が可能な各種の疾患に対して適用可能である。
本発明のカリウムチャネル開口薬は、上記の式(I)又は一般式(II)で表される化合物及び生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの水和物及び溶媒和物からなる群から選ばれる物質の1種又は2種以上を有効成分として含んでてもよい。本発明の医薬としては上記物質それ自体を投与してもよいが、好ましくは、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することができる。経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、及び貼付剤等を挙げることができる。
上記の医薬組成物は1種又は2種以上の製剤用添加物を加えて製造することができる。製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができるが、これらは医薬用組成物の形態に応じて当業者が適宜選択可能である。
本発明のカリウムチャネル開口薬の投与量は特に限定されず、その作用の種類や作用の強弱などに応じて適宜選択することができ、さらに患者の体重や年齢、疾患の種類や症状、投与経路など通常考慮すべき種々の要因に応じて、適宜増減することができる。一般的には、経口投与の場合には成人一日あたり0.01〜1,000mg程度の範囲で用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されることはない。実施例に用いたピマル酸は米国ICN社より購入した。
例1
(A)実験系
カルシウム依存性カリウムチャネル(以下、実施例において「BKチャネル」と略す)は2種の蛋白質α(BKα)及びβ(BKβ)サブユニットが各4つずつ会合して機能する。BKαはチャネル本体を形成し、BKβは活性調節因子である。BKチャネル開口作用を選択的に検出するために、本来的にそれを持たない培養細胞(ヒト胎児腎臓由来培養細胞HEK293細胞)にBKチャネルを遺伝子導入により人為的に発現させ、探索実験系を構築した。Ahringらの方法(Ahring P.K., et al., FEBS Lett., 415, pp.67-70, 1997)に準じて、ラット子宮平滑筋由来BKαとBKβ1遺伝子cDNA(GenBank accession numbers; U55995およびAF020712)をHEK293細胞へリン酸カルシウム沈殿法により導入し、BKαあるいはBKαβを定常的に高発現させた。
(B)測定法と結果
(a)Inside-out patch clamp法による単一チャネル電流記録
Inside-out patch clamp法により、チャネルを含む細胞膜の断片を単離して細胞膜内側の環境を人為的に調節しながら、単一チャネルの開閉を直接観察することができる。チャネル機能解析法としてだけでなく、チャネル作用薬の定量的な効力検定を行うためにも、充分に確立された方法である(Hamil, O.P., et al., Pfl gers Archiv., 391, pp.85-100, 1981)。本測定で用いられたHEK293細胞に発現したBKα及びBKαβは、パッチ膜内外の溶液が140mM Kを含む場合に、単一チャネルコンダクタンスがどちらも230−240pSを示し、これまでの文献に良く適合する性質を有することを確認した。
この条件下でピマル酸のBKαに対する作用と効力を測定した。図1の上段はパッチ膜電位を細胞内面が外面に対して+40mVの状態で、細胞内面のCa濃度が0.1μMの場合のBKα単一チャネル記録を示す(上段;上向き矩形がチャネル開口による電流を示す)。ピマル酸を細胞内面側の溶液に10μM以下の濃度で加えると、チャネル活性が著しく上昇し(中段)、ピマル酸の除去によりその作用は消失した。
図2には、このような電流記録を30秒間連続して行った結果をヒストグラムとして示した。Current Amplitudeの0pAは閉口を意味する。ピマル酸を1μM又は10μMの濃度で加えることにより、開口した状態の時間が増加し、特に10μMでは2つのチャネルが同時に開口する場合があることが示された。図3にこの条件下でのピマル酸の濃度とBKチャネル活性化作用の関係を示す。ピマル酸3μM以上の濃度で顕著な開口確率上昇が認められた。また、細胞内面側Ca濃度が0.3μM、パッチ膜電位+40mVの場合には、1μMで開口確率が3倍となった。
(b)Whole cell voltage-clamp法による膜電流記録
BKαチャネルの開口による細胞全体の膜電流をWhole cell voltage-clamp法により記録した。この方法は細胞膜上に多数発現したイオンチャネルが総和としてどのような機能を示すかを検討するために頻用され、やはり充分に確立された方法である(Hamill, O.P.上掲書)。BKαチャネルを発現させた単一HEK293細胞にこの方法を適用したところ、細胞外液に加えた1μMのピマル酸は+60mVにおけるBKα電流を約50%増大させ、顕著な開口作用を示した。ピマル酸の作用はBKチャネル抑制薬の1mM tetraethylammoniumにより完全に抑制されたことからもBKチャネル開口作用であることが確認された。
以上の結果から、ピマル酸がBKαに作用しBKチャネル開口作用を示すこと、細胞外液に投与することにより作用が発現し、洗浄により速やかに作用が消失することが示され、その作用はMaxikdiolの文献上の効力と比較して少なくとも3倍以上であった。BKチャネル開口作用の知られている公知化合物であるNS−1619と比較すると10倍以上の効力を持つと考えられる。これらの結果から、ピマル酸がBKチャネル開口薬として極めて有用であると結論できた。
例2
一般式(II)で表される化合物として上記に示した化合物(1)(ジクロロデヒドロアビエチン酸:dichrolodehydroabietic acid)を用いてBKチャネル開口作用を検討した。
(1)材料と方法
(a)Whole cell電流記録
whole-cell patch clamp法によりラット由来BKα+β1サブユニットを定常的に発現させたHEK293細胞全体の電流を記録した。実験は全て22−24℃で行った。
溶液:
ピペット内液(mM)140KCl,4MgCl2,5ATP,10HEPES,5EGTA(pCaを固定するためにCaCl2を適量加え、pCa6.5に調整)。pHはKOHにより7.2に調整した。
細胞外液(mM)137NaCl,5.9KCl,2.2CaCl,1.2MgCl2,14Glucose,10HEPES。pHはNaOHにより7.4に調整した。
(b)Single-channel電流記録
inside-out patch clamp法によりラットBKα+β1サブユニットを定常的に発現させたHEK293細胞で単一チャネル電流を記録した。実験は全て22−24℃で行った。
溶液:
細胞内液(mM)140KCl,1.2MgCl2,14Glucose,5EGTA(pCaを固定するためにCaCl2を適量加え、pCa7に調整)。pHはNaOHにより7.2に調整した。
細胞外液(mM)140KCl,4MgCl2,5ATP,10HEPES,0.05 EGTA。pHはKOHにより7.2に調整した。
被検薬物は脂溶性が高く、水に難解であるのでDMSOで溶解して30mMのストックソリューションとして保存した。投与に際し、DMSOの溶液中の最終濃度は最高でも0.03%とした。なお、DMSOは0.3%以下ではBK電流になんら影響を及ぼさないことを確認している。
(2)結果
BK(α+β1)チャネルを定常的に発現させた細胞に対し、Whole-cell patch clamp法により細胞全体の電流を記録した。このとき細胞内液のCa2+濃度はCa2+−EGTA 緩衝液によりpCa6.5に固定している。保持電位−60mVから+10mVへ脱分極パルスを150ミリ秒加えて、惹起される電流を観察した。脱分極刺激により、BK(α+β1)チャネル特有の緩徐に活性化される外向き電流が観察された(図4Bのcontrol)。Whole-cell確立後、約20分後安定した電流測定が得られたところで記録を開始した。100nMの被検薬物を投与したところ電流はやがて増強され、さらに薬物濃度を上げていくとそれに応じて電流が大きくなっていくのが観察された。その後、洗浄により電流はほぼ投与前のレベルにまで戻った(図4A)。この活性化作用は4例の記録をもとに統計解析したところ100nMで電流を1.90±0.21倍に、300nMで2.54±0.14倍に、そして1μMで6.37±0.91倍に活性化させた。これはpimaric acidが1μMで電流を1.92±0.24倍活性化させるのに比べて明らかに効力が強いことを示している(図4C)。
BKチャネルは細胞内のCa2+濃度上昇により活性化する。そのため、被検薬物に細胞内Ca2+を上昇させる作用があれば、それによってもチャネルの活性化が起こることになる。そこで、whole-cellの記録に際して、ピペット内液に5mM EGTAとCaCl2を加えることによって細胞内Ca2+濃度をpCa6.5付近に緩衝させて、影響をほとんど排除させている。
さらにこの点を確認するために単一チャネルでの電流測定を行った。BK(α+β1)チャネルを定常的に発現させた細胞に対し、inside-out patch clamp法により単一チャネルの電流を記録した。このとき細胞内液(細胞膜の内側に接する液)はpCa7.0に固定した。保持電位を+40mVにしチャネルの開口確率の変化を観察した。被検薬物を細胞内膜側に投与すると100nM以上でチャネルの活性化が見られ、洗浄により作用は消失した(図5A)。原トレースから開閉口現象のヒストグラムを作成した。薬物投与に伴ってチャネル開口を示す10pA付近のピークが大きくなり、洗浄により作用は消失した(図5B)。このヒストグラムをもとにチャネル開口確率を算出して濃度作用関係を図5Cを得た。この結果から、被検薬物の作用が濃度依存的であることが分かる。
本発明の医薬は極めて優れたカリウムチャネル開口作用を有しており、しかもその作用が特異的であることから、本態性高血圧症、緊張性膀胱、気道過敏症、又は虚血性中枢神経障害の予防及び/又は治療に有用である。
第1図は、ピマル酸を投与したときのチャネル活性化の結果を示す。上段及び下段はそれぞれ時間経過の早いトレース及び時間経過の遅いトレースを示す。 第2図は、ピマル酸の投与前、1μM投与後、10μM投与後、及び洗浄後の単一BKチャネル電流値(横軸)と単位時間あたりの出現頻度(縦軸)のヒストグラムを示す。図中、CONTROLは対照、1μMは1μM投与後、10μMは10μM投与後、WASH OUTは洗浄後の結果を示す。 第3図は、ピマル酸の濃度とBKチャネル活性化作用の関係を示す。縦軸は開口確率(NPo)、横軸はピマル酸の濃度を示す。 第4図は、一般式(II)で表される化合物の代表的化合物としてジクロロデヒドロアビエチン酸を投与したときのチャネル活性化の結果を示す(Whole-cell電流記録)。図中、Aは薬物投与にともなう経時変化を示し、Bは図Aに示した各点での電流の原トレースを示し、Cは3種の被検薬物についてBK(α+β1)電流増強作用についての用量−作用関係を示した図である。図C中、○はジクロロデヒドロアビエチン酸(2Cl・DhA)、□はアビエチン酸(AbA)、△はピマル酸(PiA)の結果を示す。 第5図は、一般式(II)で表される化合物の代表的化合物としてジクロロデヒドロアビエチン酸を投与したときのチャネル活性化の結果を示す(single-channel電流記録)。図中、Aは保持電位を+40mVにしチャネルの開口確率の変化を観察した結果を示し、Bは原トレースから作成した開閉口現象のヒストグラムを示し、Cは濃度作用関係を示す。

Claims (9)

  1. 下記の一般式(I):
    Figure 0003973561
    (式中、R、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、
    及びRはそれぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、R及びRは互いに結合して環を形成してもよく、----で表される3つの結合はいずれも単結合であるか、又は3つの結合のうちの1つの結合が二重結合であり、他の結合は単結合である)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含むカリウムチャネル開口薬。
  2. 、R、R、及びRがアルキル基又はアルケニル基であり、R及びRが水素原子である化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含む請求の範囲第1項に記載のカリウムチャネル開口薬。
  3. 下記の化合物:(1)Rがアルキル基であり、Rがアルキル基であり、Rがアルケニル基であり、Rがアルキル基であり、R及びRが水素原子である化合物、(2)Rがアルキル基であり、Rがアルキル基であり、Rがアルキル基であり、Rがアルケニル基であり、R及びRが水素原子である化合物、及び(3)Rがアルキル基であり、Rがアルキル基であり、Rがアルキル基であり、Rがアルキルであり、R及びRが水素原子である化合物、並びに生理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む請求の範囲第1項に記載のカリウムチャネル開口薬。
  4. ピマル酸、ジヒドロピマル酸、サンダラコピマル酸、イソピマル酸、及びジヒドロイソピマル酸、並びに生理学的に許容されるそれらの塩からなる群から選ばれる物質を有効成分として含む請求の範囲第1項に記載のカリウムチャネル開口薬。
  5. 下記の一般式(II):
    Figure 0003973561
    (式中、R11、R13、及びR18はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、
    14、R15、R16、R17、R19、R20、及びR21はそれぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシルサム酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルホン酸アミド基、アルデヒド基、又はニトリル基を示し、R20及びR21は互いに結合してオキソ基を形成してもよい)で表される化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含むカリウムチャネル開口薬。
  6. 11、R13、及びR18がアルキル基であり、R14、R15、及びR16が水素原子である化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含む請求の範囲第5項に記載のカリウムチャネル開口薬。
  7. 11、R13、及びR18がアルキル基であり、R14、R15、R16、R20、及びR21が水素原子であり、R17及びR19がハロゲン原子である化合物又は生理学的に許容されるその塩を有効成分として含む請求の範囲第5項に記載のカリウムチャネル開口薬。
  8. カルシウム依存性カリウムチャネル開口薬である請求の範囲第1項ないし第7項のいずれか1項に記載のカリウムチャネル開口薬。
  9. 本態性高血圧症、緊張性膀胱、気道過敏症、又は虚血性中枢神経障害の予防及び/又は治療に用いる請求の範囲第1項から第8項のいずれか1項に記載のカリウムチャネル開口薬。
JP2002584905A 2001-04-25 2002-04-24 カリウムチャネル開口薬 Expired - Fee Related JP3973561B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001127054 2001-04-25
JP2001127054 2001-04-25
JP2001337723 2001-11-02
JP2001337723 2001-11-02
PCT/JP2002/004085 WO2002087559A1 (fr) 2001-04-25 2002-04-24 Agent d'ouverture du canal potassique

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2002087559A1 JPWO2002087559A1 (ja) 2004-09-09
JP3973561B2 true JP3973561B2 (ja) 2007-09-12

Family

ID=26614147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002584905A Expired - Fee Related JP3973561B2 (ja) 2001-04-25 2002-04-24 カリウムチャネル開口薬

Country Status (8)

Country Link
US (2) US7385083B2 (ja)
EP (1) EP1421936A4 (ja)
JP (1) JP3973561B2 (ja)
KR (1) KR20040015145A (ja)
CN (1) CN1522142A (ja)
AU (1) AU2003255184A1 (ja)
CA (1) CA2445330A1 (ja)
WO (1) WO2002087559A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545731A (ja) * 2010-10-27 2013-12-26 シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ 生物学的特性を賦与されたジテルペノイド誘導体

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2007040006A1 (ja) * 2005-09-06 2009-04-16 国立大学法人京都大学 ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体PPARγ活性化剤、および該活性化剤を含有する特定症状の予防または改善用組成物
WO2007040005A1 (ja) * 2005-09-06 2007-04-12 Kyoto University ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体PPARα活性化剤、および該活性化剤を含有する特定症状の予防または改善用組成物
JP4873614B2 (ja) * 2006-01-16 2012-02-08 国立大学法人 東京大学 カリウムチャネル開口薬
EP1925301A1 (en) * 2006-11-24 2008-05-28 DSMIP Assets B.V. Use of tricyclic diterpenes and their derivatives for the treatment, co-treatment or prevention of inflammatory disorders and/or joint disorders
CA2708611A1 (en) * 2007-12-11 2009-06-18 Stephen H. Monroe Composition of aqueous buffer solution for the treatment of cellular environment and ion channels and methods for using same
JP2009209068A (ja) * 2008-03-03 2009-09-17 Univ Of Tokyo カリウムチャネル開口薬
US8575338B2 (en) * 2008-04-09 2013-11-05 Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation Pyrimidine, pyridine and triazine derivatives as maxi-K channel openers
JP5590286B2 (ja) * 2009-09-04 2014-09-17 国立大学法人岩手大学 新規なCa2+シグナル伝達阻害剤
CN102746259B (zh) * 2012-06-04 2015-04-29 中山大学 半日花烷型二萜类化合物、柏子仁提取物及其制备方法和应用
WO2016114707A1 (en) * 2015-01-12 2016-07-21 Elinder Fredrik Dehydroabietic acid (dhaa) derivatives for use as ion channel openers
US20200239412A1 (en) * 2017-09-29 2020-07-30 Fredrik Elinder New derivates of dhaa with electrostatic tuning

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2809301B2 (ja) * 1993-12-09 1998-10-08 田辺製薬株式会社 苦味隠蔽された経口投与製剤
GB2337752A (en) * 1998-05-28 1999-12-01 Merck & Co Inc Immunosuppresant tricyclic compounds
AU1071200A (en) * 1998-10-19 2000-05-08 Biotech Australia Pty Limited Systems for oral delivery

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545731A (ja) * 2010-10-27 2013-12-26 シグマ−タウ・インドゥストリエ・ファルマチェウチケ・リウニテ・ソシエタ・ペル・アチオニ 生物学的特性を賦与されたジテルペノイド誘導体

Also Published As

Publication number Publication date
KR20040015145A (ko) 2004-02-18
CN1522142A (zh) 2004-08-18
US7385083B2 (en) 2008-06-10
AU2003255184A1 (en) 2003-11-13
EP1421936A1 (en) 2004-05-26
US20060235072A1 (en) 2006-10-19
US7495127B2 (en) 2009-02-24
US20040116482A1 (en) 2004-06-17
CA2445330A1 (en) 2002-11-07
JPWO2002087559A1 (ja) 2004-09-09
EP1421936A4 (en) 2008-11-05
WO2002087559A1 (fr) 2002-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7495127B2 (en) Potassium channel opener
JP7419486B2 (ja) τリン酸化を阻害する方法
EP1771162B1 (en) Capsaicin inhibitors for the treatment of obesity-related disorders
US20170258786A1 (en) Rbp4 antagonists for the treatment of age-related macular degeneration and stargardt disease
US20100144858A1 (en) Treatment of movement disorders with a metabotropic glutamate 4 receptor positive allosteric modulator
WO2009133294A2 (fr) Molecules inhibant une voie metabolique impliquant la proteine tyrosine kinase syk et procede d'identification de ces molecules
JP6573618B2 (ja) 尿失禁予防用及び/又は治療用新規医薬組成物
WO2001047558A1 (fr) Medicaments protegeant les nerfs
EA035016B1 (ru) Проникающее в мозг производное оксима хромона для терапии леводопа-индуцированной дискинезии
JP2014514259A (ja) 疼痛および他の障害の処置のための化合物および方法
US20150105324A1 (en) Compositions and methods for treating ptsd and related diseases
EP3386510B1 (fr) Derives phosphores pour la prevention ou le traitement des myopathies et traumatismes musculaires
US20220401430A1 (en) Allosteric modulators of the mu opioid receptor
US20090221610A1 (en) Compositions and Methods for Treating Cognitive Disorders
US20060040254A1 (en) Method for identifying bronchoconstriction relaxing substances
EP2755650B1 (fr) Utilisation de la 3-(r)-[3-(2-methoxyphenylthio)-2-(s)-methyl-propyl]amino-3,4-dihydro-2h-1,5-benzoxathiepine pour le traitement du cancer et en particulier pour la prevention et/ou le traitement des metastases cancereuses
Kuisle Pacemaker channel function and regulation in the healthy and epileptic thalamus
Ádám et al. Second Joint Meeting of the LXXIV Annual Meeting of the Hungarian Physiological Society and the Hungarian Society for Experimental and Clinical Pharmacology
Kargl et al. 16 th Scientific Symposium of the Austrian Pharmacological Society (APHAR)
OA16756A (fr) Utilisation de la 3-(R)-[3-(2methoxyphenylthio)-2-(S)-methyl-propyl]amino3,4-dihydro-2H-1,5-benzoxathiepine pour le traitement du cancer et en particulier pour la prévention et/ou le traitement des métastases cancéreuses.
JP2015166385A (ja) 疼痛および他の障害の処置のための化合物および方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070313

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070514

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070612

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070612

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100622

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110622

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110622

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120622

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120622

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130622

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees