JP3973298B2 - 網の経路制御方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は網(ネットワーク)の経路制御方法及び装置に関し、特に階層化された網の経路制御方法及び装置に関するものである。
オフィスやキャンパスにおけるインターネット/イントラネットはその急速な普及に伴い、従来のように実験的な網から業務の中核を担う網へと変貌している。これに伴い、網の構成をシンプルにすることで、網の管理を簡素にする階層化網が着目されて来ている。
【0002】
【従来の技術】
1.IPアドレスとその表記法
現在、一般的に使用されているIP(Internet Protocol)アドレスであるIPv4(IPversion4) アドレスは図10に示すように32ビットのアドレス長を持っており、任意の、例えば8ビット毎に'.' で区切って表記(階層化)する。アドレスは個々のノード毎に割り振られ、当該ノードが所属する網NWを示すネットワーク部と個々のノード(ホスト)HSTを示すホスト部の2部から成り、このIPアドレスの後ろに'/' を付けて対象とするネットワーク部のビット数を表記するのが一般的である。
【0003】
例えば図示のアドレス「133.160.115.5/24」は「133.160.115.5」の先頭24ビット(133.160.115) がネットワーク部で、「5」がホスト部であることを示す。またホスト部が「0」のIPアドレスは網自身を指す。すなわち、アドレス「133.160.115」の網は「133.160.115.0/24」と表記される。
【0004】
2.現在のIP網の構成
現在のIP網では例えば図11に示すように網NW1とNW2とがルータRAで接続され、網NW2とNW3とがルータRBで接続され、網NW2とNW4とがルータRCで接続されているような場合、アドレス「133.160.115.0/24」の網NW1と、アドレス「133.160.116.0/24」の網NW3とが隣接しておらず、網NW2が介在している。
【0005】
このように、上記の表示によるアドレスを有するIP網では、任意の網が介在する可能性があり、アドレスに基づいた階層化が行われていない。
【0006】
3.IPv4の経路選択方法
パケットは各網の境界設置されたルータにより経路選択が行われ、またこれに必要な経路情報はルータ間で定期的に交換されている。
従来の経路情報の交換例が図12に示されている。アドレス「133.160.115.0/24」の経路情報がルータRAからルータRBに交換されており、これによりルータRBはアドレス「150.123.212.0/24」の先にアドレス「133.160.115.0/24」の網NW1が存在することが分かる。
【0007】
同様にルータRAはルータRBからの経路情報によりアドレス「150.123.212.0/24」の網NW2の先にアドレス「133.160.116.0/24」の網NW3が存在することを知る。ルータRCとルータRA, RBとの経路情報交換も同様である。各ルータはこの経路情報をテーブル化して次回の経路交換時に更新する。
【0008】
図12で経路交換された網におけるパケット中継の例が図13に示されており、以下に順を追って説明する。
(1) ホストHaからホストHbに宛てに送信された送信先アドレス(Dst)「133.160.116.1」を有するIPパケットP1は「133.160.115.0/24」の網NW1のルータであるルータRAに与えられる。
【0009】
(2) ルータRAは自身の送信先アドレスのネットワーク部(133.160.116.)全体を対象に経路情報テーブル(ルーティングテーブル)を検索する。この例では、ルータRBに関するアドレス「133.160.116.0/24」の網NW3とルータRCに関するアドレス「133.160.117.0/24」の網NW4とがテーブルに格納されている。
【0010】
(3) テーブル検索結果からルータRAはルータRBが次の送信先であることを把握し、ルータRBにパケットP1を転送する。
(4) パケットP1を受信したルータRBはパケットP1のネットワーク部(133.160.116)から自身の配下の網NW3宛のパケットであることを知り、次いでパケットP1のホスト部(0/24)を見てホストHbへパケットP1を転送する。
【0011】
ここで重要な点は上記(2)項と(4)項において、経路検索をネットワーク部全てを対象に行っていることである。これは網がIPアドレスに基づいて階層化されていないため、例えばルータRAはネットワーク部の一部(133.160)だけを対象にした検索ではルータRBとルータRCのどちらに送信してよいか判断できないからである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
昨今のインター/イントラネットの大規模化に伴い、網構成をシンプルにし、集中管理を行い易くするニーズが高まっている。このため階層的なIP網の構築が着目されている。
【0013】
しかしながら、階層化IP網を実現するためには上記のように、
▲1▼網構成そのものがIPアドレスに基づいた階層構造となっていない、
▲2▼経路制御が階層化に対応した仕組みになっていない、
という問題点がある。
【0014】
このうち前者▲1▼についてはアドレスの階層化を推し進めることで網構成をも階層化しようとする新しいバージョンのIP=IPv6(version6)が標準化団体で検討されるなど、解決が進みつつあるが、後者▲2▼の問題点はまだ解決されていない。
従って本発明は、上位ビットから任意のビット長で任意に区切ることにより階層化されたIPアドレスを共有する網が上位の該階層化されたIPアドレスの階層化網により相互接続可能となるようにルータ間で交換した経路情報に基づき経路検索を行う網の経路制御方法及び装置において、経路検索時に参照すべき送信先アドレスの領域を限定して階層情報の交換を簡素化し高速な経路検索を実現することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
1.基本概念
階層化が進んだ網での経路制御はIPアドレスのネットワーク部全てを対象に行う必要はなく、階層毎に行えばよい。例えば図1に示す網はIPアドレスの構造に基づいて階層化した網である。
【0016】
この網において、アドレス「α.A.a.0/24」の網NW111上のホストHAがアドレス「β.B.a.0/24」の網NW221上のホストHBへパケットPを送信する場合、アドレス「α.0.0.0/8」配下の網NW10ではホストHBのアドレス中「β」についてのみ着目して経路選択を行えばよく、ホストHBで経路選択を行うのはアドレス「β.0.0.0/8」配下の網NW20に入ってからでよい。つまり常に全ネットワーク部を対象に経路検索を行う必要がない。
【0017】
このため本発明では、
▲1▼上述した従来の経路情報交換の内容に加えて階層情報も交換する、
▲2▼パケットの送信先IPアドレスに階層情報を付与する、
という手法により、各ルータでの経路検索時に送信先アドレスの一部、すなわちネットワーク部内の適切な階層位置のみを対象に経路選択を行うことを可能とする。
【0018】
2.解決手段
図1に示す階層化網は以下のルールで構築された網である。
▲1▼上位階層は下位階層を包含してなくてはならない(図1の例においてアドレス「α.A.a.0/24」の網NW111と「α.A.b.0/24」の網NW112との間に「α.B.b.0/24」の網を置くことはできない) 。
▲2▼同一上位階層に接続する同階層の網は接続可能である( 図1の例においてアドレス「α.A.a.0/24」の網NW111と「α.A.b.0/24」の網NW112とは接続可) 。
【0019】
図1に示される階層化網対応ルータR2〜R6は階層化網用に経路制御を行い、それに基づいてパケット中継処理を行うルータであり、特にルータR4について図示したように、図2に示すパケット送受信手段1、図3に示す経路テーブル保持手段2、図4に示すパケット作成手段3、図5に示す経路情報受信手段4、図6に示す経路情報送信手段5、及び図7に示す中継パケット処理手段6を有する。以降、単にルータと称する時には階層化網対応ルータを指すものとする。
【0020】
なお上記のルータ構成要素中のパケット送受信手段1、経路テーブル保持手段2、パケット作成手段3、経路情報受信手段4を用いることで階層化網上のホストHAを実現できるが、これらの各手段1〜4は以下に述べる階層化網対応ルータに包含される機能なため、以下では特に区別はしない。
【0021】
各ルータが保持する各手段1〜6はアドレスの階層を示すIPアドレスに付与した独自の拡張子である階層情報としての階層化拡張子を扱えるものとする。これらは、自ルータを境界としている階層化網の内の最上位の階層化網の階層化拡張子を経路情報に含めて交換することにより行われる。
【0022】
この場合、受信した経路情報中の階層化拡張子は全てルータに保持される。
【0023】
階層化拡張子を用いたアドレス表記は、例えば「133.160.115.0/17/24」となり、この例では「133.160.115.0」の17ビット目から24ビット目にかけての階層、すなわち「115」の階層を示す。また、拡張子「115/16/24」は17ビット目から24ビット目にかけての階層が「115」であることを示す。
【0024】
以下、各ルータ内の各手段1〜6について説明する。
2.1 パケット送受信手段1(図2参照):
IPパケットを送受信するための手段であり、パケット受信部11と、パケット送信部12から成る。
【0025】
パケット受信部11:いわゆるIPパケットの受信部であり、伝送路から受信したパケットが経路情報なら経路情報受信手段4へ、それ以外なら中継パケット処理手段6に渡す。
パケット送信部12:いわゆるIPパケットの送信部であり、経路情報送信手段5または中継パケット処理手段6から渡されたパケットに対し伝送路への送信処理を行う。
【0026】
2.2 経路テーブル保持手段2(図3参照):
経路情報をテーブルとして保持する手段であり、非階層化網用テーブル部21と、階層化網用テーブル部22から成る。
非階層化網用テーブル部21:階層化されていない網への経路情報を保持する従来のテーブル部である。
階層化網用テーブル部22:階層化網への経路情報を保持するテーブルである。
【0027】
2.3 パケット作成手段3(図4参照):
上位層からの要求により自ルータ/ホストが送信元となり、パケットを作成/送信する手段であり、パケット作成部31と経路検索部32から成る。
パケット作成部31:自ノードが送信するパケットを作成する部であり、次の機能を有する。
【0028】
▲1▼上位層からの指示によりIPパケットを作成する。
▲2▼該パケットの送信先アドレスに対する経路検索を経路検索部32に指示し、送信先が階層化網の場合には検索結果に基づく階層化拡張子の付与を行う。
▲3▼該パケットの送信をパケット送受信手段1に依頼する。
【0029】
経路検索部32:パケット作成部31から指示された送信先アドレスに対して、経路テーブル保持手段2を用いて経路検索を行う機能を有する。なお検索結果が階層化網用テーブル部22内にあった場合には、検索結果と併せて階層化拡張子もパケット作成部31に渡す。
【0030】
2.4 経路情報受信手段4(図5参照):
隣接ルータから受信した経路情報に基づいて、経路テーブルを作成する手段であり、階層化網用経路情報抽出部41と非階層化網用テーブル構築部42と階層化網用テーブル構築部43から成る。
【0031】
階層化網用経路情報抽出部41:パケット送受信手段1より渡された経路情報パケット内の各々のエントリに対し、階層化拡張子の有無に基づいて階層化網のエントリか、非階層化網のエントリかの分類を行う。
非階層化網用テーブル構築部42:階層化網用経路情報抽出部41により抽出された非階層化網宛の経路情報のエントリを経路テーブル保持手段2の非階層化網用テーブル部21に書き込む、従来の経路テーブル構築部である。
【0032】
階層化網用テーブル構築部43:階層化網用経路情報抽出部41により抽出された階層化網宛の経路情報のエントリから、自ルータ/ ホストにおいて検索対象となる階層のみを抽出して経路テーブル保持手段2の階層化網用テーブル部22を書き込む。
【0033】
2.5 経路情報送信手段5(図6参照):
経路情報を隣接ルータやホストに送信する手段であり、タイマ部51と階層指示部52と送信経路情報作成部53から成る。
タイマ部51:経路情報の送信を一定時間毎に送信経路情報作成部53に経路情報の送付先を指示する機能を有する従来のタイマ部である。
【0034】
階層指示部52:経路情報を送信する隣接網の階層を送信経路情報作成部53に通知する機能を有する。なお階層指示部52は隣接網の階層をユーザからの指定もしくはここに記載しない何らかの手段により予め知っているものとする。
送信経路情報作成部53:非階層化網用テーブル部21と階層化網用テーブル部22から経路情報を作成し、パケット送受信手段経由で隣接ルータやホストに送信する手段である。
【0035】
非階層化網用テーブル部21からの経路情報の作成は従来と同様であり、階層化網用テーブル部22からは階層指示部52から指示に基づいて階層化に対応した経路情報を作成する。
【0036】
2.6 中継パケット処理手段6(図7参照):
パケット送受信手段1より受信したパケットに対し、中継処理を行う手段であり、階層化対応網宛パケット選択部61、非階層化網宛パケット用経路制御部62、非階層化網宛経路テーブル検索部63、階層化網宛パケット用経路制御部64、特定階層経路テーブル検索部65、不特定階層用経路テーブル検索部66、及び同一網内パケット転送部67から成る。
【0037】
階層化対応網宛パケット選択部61:パケット送受信手段1から渡されたパケットの階層化拡張子の有無に基づいて送信先が階層化網か否かを判断し、階層化網であれば階層化網宛パケット用経路制御部64に、非階層化網であれば非階層化網宛パケット用経路制御部62に中継パケットを渡す機能を有する。
【0038】
また、送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットとルータ自身が所属する網自身のIPアドレスが合致した場合、送信先となっているホストは当該ルータが所属する網内にあると判断し、同一網内パケット転送部67に中継パケットを転送し送信先ホスト自身にパケットを配送する。
【0039】
非階層化網宛パケット用経路制御部62:パケットの送信先アドレスのネットワーク部への経路テーブルの検索を非階層化網宛経路テーブル検索部63に指示し、検索結果から分かる次に中継処理を行うルータへパケット送受信手段1を通して、パケットを送信する機能を有する従来の経路制御部である。
【0040】
非階層化網宛経路テーブル検索部63:パケットの送信先アドレスのネットワーク部全体から次に送信すべきルータを経路テーブル保持手段2の非階層化網用テーブル部21から検索し、その検索結果を非階層化網宛パケット用経路制御部62に通知する機能を有する従来の経路テーブル検索部である。
【0041】
階層化網宛パケット用経路制御部64:階層化網宛てのパケットに対する経路制御部であり、以下の機能を有する。
▲1▼送信先アドレスに階層化拡張子が付与されており、かつ階層化拡張子が示す階層の送信先アドレスが中継処理をするルータの同階層のアドレスと異なる場合、本制御部は階層化拡張子が示す階層の網にパケットはまだ到達していないと判断する。この場合、経路検索を特定階層パケット用経路テーブル検索部に指示し、検索結果に基づき送信処理を行う。
【0042】
▲2▼上記以外、すなわち送信先アドレスに階層化拡張子が付与されており、かつ階層化拡張子が示す階層の送信先IPアドレスが中継処理をしているルータの同階層のアドレスと同値の場合、以下の処理が行われる。
【0043】
パケットが階層化拡張子が示す階層の網に到達したと判断し、送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットを対象に経路検索するよう不特定階層経路テーブル検索部65に指示し、その結果、不特定階層経路テーブル検索部66から通知された階層情報を新たな階層拡張子として書き換えた後に送信処理を行う。
【0044】
特定階層経路テーブル検索部65:階層化網宛パケット用経路制御部64の指示に基づいて、経路テーブル保持手段2の階層化網用テーブル部22に対して、送信先IPアドレスの内、階層化拡張子で示された範囲のみを対象に経路テーブルの検索を行い、検索結果を階層化網宛パケット用経路制御部64に通知する機能を有する。
【0045】
不特定階層経路テーブル検索部66:階層化網宛パケット用経路制御部64の指示に基づいて、経路テーブル保持手段2の階層化網用テーブル部22に対して、送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットを対象に経路テーブルの検索を行い、検索結果を階層化網宛パケット用経路制御部64に通知する機能を有する。
【0046】
同一網内パケット転送部67:ルータと同一網内にいるホストにパケットを転送する部であり、パケットの送信先IPアドレスから階層化拡張子を除去し、さらにARP(Address Resolution Protocol)等の既存の同一網内送信手段を用いてパケットを送信先となっているホスト自身に転送する機能を有する。
【0047】
3.通信手順
3.1経路情報受信
(1)経路情報交換用パケットを受信したパケット送受信手段1のパケット受信部11は経路情報のパケットであると判断して、経路情報受信手段4へ該パケットを渡す。
【0048】
(2)経路情報受信手段4の階層化網用経路情報抽出部41において、経路情報の各エントリが階層化網を対象にしているかを各エントリにおける階層化拡張子の有無により仕分けし、階層化拡張子を有するエントリは階層化網用テーブル構築部43に、階層化拡張子を有さないエントリは非階層化網用テーブル構築部42に渡す。
【0049】
(3)階層化網用テーブル構築部43では階層化拡張子が示す階層のアドレス情報を対象として経路テーブルを作成し、階層化網用テーブル部22に書き込む。
(4)非階層化網用テーブル構築部42では従来技術を用いて階層化に対応しない経路テーブルを作成し、非階層化網用テーブル部21に書き込む。
【0050】
以上により階層化網への経路情報と非階層化網への経路情報の両方に対して、経路検索用テーブルが作成できる。
3.2経路情報送信
(1)経路情報送信手段5内のタイマ部51が送信経路情報作成部53に経路情報を送信する隣接網を通知する。
【0051】
(2)送信経路情報作成部53が非階層化網用テーブル部21と階層化網用テーブル部22から経路情報を以下の手順で作成する。
▲1▼経路情報を送信する隣接網の階層以上を対象とし、階層化網用テーブル部22から経路情報のエントリを作成する。このとき各エントリに対象とする階層を明示するために階層化拡張子を付与する。なお隣接網の階層は階層指示部52から予め通知されている。
【0052】
▲2▼従来技術を用いて非階層化網用テーブル部21から経路情報のエントリを作成する。
(3)送信経路情報作成部53は項で作成したエントリを含む経路交換用パケットを作成し、パケット送受信手段1を経由して▲1▼項においてタイマ部51から指示された隣接網へ送信する。
【0053】
3.3パケット中継処理
(1)経路情報交換用パケット以外を受信したパケット送受信手段1のパケット受信部11が中継すべきパケットであると判断して、中継パケット処理手段6へ渡す。
【0054】
(2)中継パケット処理手段6の階層化対応網宛パケット選択部61において、パケットの送信先が階層化網を対象にしているかをパケットの送信先IPアドレスに階層化拡張子が付与されているか否かによって判断し、階層化拡張子を有するパケットは階層化網宛パケット用経路制御部64に、有さないパケットは非階層網宛パケット用経路制御部62に渡される。以降の処理は次の3 つに分かれる。
【0055】
(a)非階層化網宛パケットの中継処理
i. 非階層化網宛パケット用経路制御部62は非階層化網宛経路テーブル検索部63にパケットの送信先アドレスへの経路検索を依頼する。
ii. 非階層化網宛経路テーブル検索部63は非階層化網用テーブル部21から次に送信すべきルータを検索し、検索結果を非階層化網宛パケット用経路制御部62に指示する。
iii. 非階層化網宛パケット用経路制御部62は検索結果であるルータにパケット送受信手段1経由でパケットを送信する。
【0056】
(b)階層化網宛パケットの中継処理(同一もしくは上位階層宛処理)
i. 階層化網宛パケット用経路制御部64はパケットに付与された階層化拡張子からで示される階層の送信先アドレスと中継処理を行っているルータ自身の同階層のアドレスを比較する。これらが異なる場合には特定階層経路テーブル検索部65に階層化拡張子と送信先アドレスのうち階層化拡張子が示すアドレスだけを渡す。
【0057】
ii. 特定階層経路テーブル検索部65は階層化拡張子で示された階層のアドレスのみを対象に階層化網用テーブル部22から、次に送信すべきルータを検索し、結果を階層化網宛パケット用経路制御部64に通知する。
iii. 階層化網宛パケット用経路制御部64は検索結果であるルータにパケット送受信手段1経由で本パケットを送信する。
iv. なお本処理ではパケットに付与されている階層化拡張子は変更されない。
【0058】
(c)階層化網宛パケットの中継処理(下位階層宛処理)
i. 階層化網宛パケット用経路制御部64はパケットに付与された階層化拡張子からで示される階層の送信先アドレスと中継処理を行っているルータ自身の同階層のアドレスを比較する。
【0059】
これが同一値でかつ送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットとルータ自身が所属する網自身のIPアドレスが合致しなかった場合、パケットは自身の階層化拡張子が示す階層では送信先アドレスと同一の階層に到達したが、まだ送信先ホストが所属する網には到達していないことを意味する。このため、本制御部は送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットを対象に経路検索するよう不特定階層経路テーブル検索部66に指示する。
【0060】
ii. 不特定階層経路テーブル検索部66は階層化網宛パケット用経路制御部64から渡されたアドレスを対象に階層化網用テーブル部22から、次に送信すべきルータを検索し、検索結果を階層化網宛パケット用経路制御部64に通知する。
なお、このとき階層化網用テーブル部22のエントリに記載されている階層化拡張子も併せて通知する。
【0061】
iii. 階層化網宛パケット用経路制御部64はパケットに付与されていた階層化拡張子を不特定階層経路テーブル検索部66から通知された階層化拡張子に書き換え、さらに検索結果であるルータにパケット送受信手段1経由で本パケットを送信する。
【0062】
(d)階層化網宛パケットの中継処理(同一網内ホスト宛転送処理)
i. 階層化網宛パケット用経路制御部64はパケットに付与された階層化拡張子で示される階層の送信先アドレスと中継処理を行っているルータ自身の同階層のアドレスとを比較する。
【0063】
これが同一値でかつ送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットとルータ自身が所属する網自身のIPアドレスが合致した場合、パケットは送信先ホストが属する網のルータに到達したことを意味する。このため本制御部はパケットを同一網内パケット転送部67に渡す。
【0064】
ii. 同一網内パケット転送部67はパケットに付与されていた階層化拡張子を除去し、さらにARP(Address Resolution Protocol)等の既存の同一網内送信手段を用いてパケットを送信先となっているホスト自身に転送する。
【0065】
3.4パケット送信処理
(1)上位層からの要求により本ルータ自身が送信元となり、パケットを送信する処理を以下に示す。上位層からの指示に基づいてパケット作成手段3のパケット作成部31はIPパケットを作成し、上位層から指示された送信先アドレスに対して経路検索を行うよう経路検索部32に指示する。
【0066】
(2)経路検索部32は送信先パケット作成部31から指示された送信先アドレスに対して、経路テーブル保持手段2を用いて経路検索を行う。検索結果が階層化網用テーブル部22内のエントリであった場合には検索結果である次に送るべきルータのアドレスとエントリが持つ階層化拡張子をパケット作成部31に渡す。
【0067】
(3)パケット作成部31は経路検索部32からの応答に基づき、送信先が階層化網の場合、検索結果に基づきIPパケットの送信先アドレス部に階層化拡張子を付与し、パケット送受信手段1を経由してパケットを検索結果のルータに送信する。 (4)送信先が非階層化網の場合には従来通り、階層化拡張子を付与せずにパケット送受信手段1を経由して検索結果のルータにパケットを送信する。
【0068】
以上の動作から、本発明では階層化アドレスに基づいて階層的に構築されたIP網において、経路交換時及びパケット中継時に階層化拡張子を導入することで送信先アドレスの一部のみを対象とした階層化経路制御を実現することができる。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る網の経路制御方法及び装置の一実施例を述べる。この実施例は経路情報の交換の例と、交換された経路情報に基づくパケット中継の例と、に分けて示す。なお本実施例で用いる網は以下のような構成となっている。
【0070】
▲1▼IPアドレスの上位8ビット毎に3階層化されている。すなわち/1/8の階層、/9/16 の階層、/17/24の階層であり、上述した拡張子のルールに則って階層化されている。
▲2▼例えばアドレス「202.33.10.0/24」と「202.33.95.0/24」は階層化されていない網であり、それぞれ階層化網と接続されている。階層化網内のルータでは非階層化網のアドレスが既知であるとする。
【0071】
1.経路情報の交換
図8に本発明による経路情報の交換例を示す。本図下部の矢印はルータ間で交換される経路情報である。例えばルータR2はルータR3からアドレス「145.0.0.0/1/8」及び「133.30.0.0/9/16」という網接続されたアドレス階層の内、最上位階層に属する二つの階層化対応の経路情報と、アドレス「202.33.95.0/24」という一つの階層化未対応の経路情報を受信しており、ルータR2からR3へはアドレス「133.160.10.0/17/24」という一つの階層化対応の経路情報と、アドレス「202.33.10.0/24」という一つの階層化未対応の経路情報を送信している。
【0072】
以下、ルータR2,R3,R4までの経路情報の交換例について説明する。
(1) ルータR2における経路情報の受信
(a)ルータR2はルータR1から経路情報パケット(図示せず)を受信し、経路情報受信手段4内の階層化網用経路情報抽出部41が該パケットから「202.33.10.0/24」のエントリを検出し、さらにこのエントリに階層化拡張子が付いていないことから非階層網への経路情報であると判断し、非階層
化網用テーブル構築部42に経路テーブル保持手段2内の非階層化網用テーブル部に本エントリを書き込むよう指示する。
【0073】
(b)ルータR2はルータR3から経路情報パケットを受信し、経路情報受信手段4内の階層化網用経路情報抽出部41が該パケットから「202.33.95.0/24」のエントリに階層化拡張子がついていないことから非階層化網への経路情報であると判断し、非階層化網用テーブル構築部42経由で非階層化網用テーブル部21に該エントリを書き込む。
【0074】
一方、階層化網用経路情報抽出部41は該パケットの「145.0.0.0/1/8」, 「133.30.0.0/9/16」の二つのエントリには階層化拡張子が付与されていることから階層化網への経路情報であると判断し、経路テーブル保持手段2内の階層化網用テーブル構築部43に階層化網用テーブル部22への書き込みを指示する。階層化網用テーブル構築部43は階層化拡張子が示す部分のみ、すなわち「145/1/8」と「30/9/16」を階層化網用テーブル部22に書き込む。
【0075】
(c)以上でルータR2の経路テーブルが完成する。本テーブルはルータR1, R2, R3からの次回の経路交換により更新される。
(2) ルータR2における経路情報の送信
(a)ルータR2の経路情報送信手段5のタイマ部51がルータR3への経路情報の送信を送信経路情報作成部53に指示する。
【0076】
(b)ルータR2の経路テーブルのうちルータR3以外からの経路情報で作成されたエントリとルータR2とルータR3が共有しない網NW111(133.160.10.0)について経路情報を作成し、送信する。すなわち「133.160.10.0/17/24」と「202.33.10.0/24」の二つのエントリを含む経路情報パケットがルータR3に送信される。 (c)同様な手段でルータR2はルータR1へ経路情報を定期的に送信する。
【0077】
(3) ルータR3における経路情報の受信
ルータR2における手順と同様にルータR2とルータR4から経路情報を受信し、経路テーブルの作成を行う。
(4) ルータR3における経路情報の送信
(a)ルータR3の経路情報送信手段5のタイマ部51がルータR4への経路情報の送信を送信経路情報作成部53に指示する。
【0078】
(b)ルータR3の経路テーブルのうちルータR4以外からの経路情報で作成されたエントリとルータR2とルータR3が共有しない網NW112(133.160.55.0)、すなわち「133.160.10.0/17/24」,「133.160.55.0/17/24」,「202.33.10.0/24」の三つのエントリがルータR4に送信される経路情報の対象となる。
【0079】
しかしながら、送信経路情報作成部53は階層指示部52からの通知で予めルータR3は自身が「133.160.0.0/9/16」と「133.30.0.0/9/16」の境界ルータ、すなわち「/9/16」階層の境界ルータであることを知っているため、「133.160.10.0/17/24」及び「133.160.55.0/17/24」は「133.160.0.0/9/16」にまとめられる。
【0080】
すなわち、経路情報における階層化の変更が送信経路情報作成部53で行われ、「133.160.0.0/9/16」と「202.33.10.0/24」の2 エントリを含む経路情報がルータR4に送信される。
(c)ルータR3からルータR2への経路情報の送信も前項と同様であり、「133.30.22.0/17/24」を「133.30.0.0/9/16」として、ルータR4経由のエントリ(145.0.0.0/1/8と202.33.95.0/24) と併せて送信する。
【0081】
(5) ルータR4における経路情報の受信
ルータR2における手順と同様にルータR3とルータR5から経路情報を受信し、経路テーブルの作成を行う。
【0082】
(6) ルータR4における経路情報の送信
(a)ルータR3と同様の手順で経路情報を送信する。なおルータR4は「/1/8」階層の境界ルータであるため、非階層化網へのエントリに加えて、「145.0.0.0/1/8」をルータR3に、「133.0.0.0/1/8」をルータR5に経路情報として送信する。
【0083】
2.パケットの中継動作
2.1階層化網へのパケット中継
図8のように経路情報の交換が行われた交換網において、階層化網へのパケット送信の例、すなわちルータR1からホストH1(145.66.89.5) へパケットP1が送信/ 中継される様子を図9に示す。なお、以下の説明ではルータR1からホストH1への送信を例示しているが、送信は任意のホスト又はルータから可能であり、同様に受信も任意のホスト又はルータで可能である。
【0084】
(1) ルータR1のパケット送信
(a)上位層からの指示によりルータR1のパケット作成手段3のパケット作成部31がH1宛のパケットP1を作成し、経路検索部32に「145.66.89.5」を対象とした経路検索を行うよう指示する。
【0085】
(b)経路検索部32はまず階層化網用テーブル部22を検索し、「145/1/8」に合致したことから次の中継ルータがルータR2であること、階層が「/1/8」であることをパケット作成部31に通知する。
(c)パケット作成部31は経路検索部32からの応答に基づいて、パケットP1の送信先アドレスに階層化拡張子「/1/8」を付与し、パケットP1をルータR2に送信する。
【0086】
(2) ルータR2の中継
(a)ルータR2の中継ルータR2の中継パケット処理手段6はパケット送受信手段1経由でパケットP1を受信し、パケットP1に階層化拡張子が付与されていることから、階層化網宛パケット選択61は階層化網宛のパケットであると判断し、パケットP1は階層化網宛パケット用経路制御部64に渡される。
【0087】
(b)階層化網宛パケット用経路制御部64は階層化拡張子が示す階層の送信先アドレスの値「145」がルータR2自身の同階層のアドレスの値「133 」と異なるため、特定階層経路テーブル検索部65に「145/1/8」の経路検索を指示する。
【0088】
(c)特定階層経路テーブル検索部65は経路テーブル保持手段2の階層網用テーブル部22に対して、「145/1/8」を対象に経路検索を行い、次の中継ルータがルータR3であることを階層化網宛パケット用経路制御部64に通知する。
(d)階層化網宛パケット用経路制御部64はパケット送受信手段1経由でルータR3にパケットP1を送信する。
【0089】
(3) ルータR3の中継
ルータR2での中継処理と同様の処理によりパケットP1はルータR4に送信される。
(4) ルータR4の中継
(a)ルータR4の中継パケット処理手段6はパケット送受信手段1経由でパケットP1を受信し、パケットP1に階層化拡張子が付与されていることから、階層化網宛パケット選択部61は階層化網宛パケットであると判断し、パケットP1は階層化網宛パケット用経路制御部64に渡される。
【0090】
(b)階層化網宛パケット用経路制御部64は階層化拡張子が示す階層の送信先アドレスの値「145」がルータR2自身の同階層のアドレスの値「145」が同一のため、不特定階層経路テーブル検索部66に「145」以下の全てのアドレス「66.89.5/9/32」を対象にした経路検索を指示する。
【0091】
(c)不特定階層経路テーブル検索部66は経路テーブル保持手段2の階層化網用テーブル部22に対して、「66.89.5/9/32」を対象に経路検索を行い、「66/9/16」のエントリにヒットしたことから次の中継ルータがルータR5であること、階層が「/9/16」であることを階層化網宛パケット用経路制御部64に通知する。
【0092】
(d)階層化網宛パケット用経路制御部64はパケットP1に付与されていた階層化拡張子を「/9/16」に付け換え、ルータR5にパケット送受信手段1経由でパケットP1を送信する。
(5) ルータR5の中継
ルータR2での中継処理と同様の処理によりパケットP1はルータR6に送信される。
(6) ルータR6の中継
(a)ルータR6の中継パケット処理手段6はパケット送受信手段1経由でパケットP1を受信し、パケットP1に階層化拡張子が付与されていることから、階層化網宛パケット選択部61は階層化網宛パケットであると判断し、パケットP1は階層化網宛パケット用経路制御部64に渡される。
【0093】
(b)階層化網宛パケット用経路制御部64は階層化拡張子が示す階層の送信先アドレスの値「66」がルータR6自身の同階層のアドレスの値「66」同一であり、さらに「66」より下位ビットのネットワーク部もルータR6自身が所属する網NW221(145.66.89.0/17/24) と合致するため、送信先ホストは同一網内にあると判断し、同一網内パケット転送部67に渡される。
【0094】
(c)同一網内パケット転送部67はARP(Address Resolution Protocol)等の既存の同一網内送信手段を用いてパケットP1をホストH1に配送する。
【0095】
2.2非階層化網へのパケット中継
図8に示すように経路情報の交換が行われた網において、非階層化網へのパケット送信の例をやはり図9に示す。本例ではルータR1からホストH2(202.33.95.4) へパケットP2が送信、中継されている。非階層化網宛のパケットには、全中継処理を通じて階層化拡張子は付与されず、各ルータは中継パケット処理手段6内の非階層化網宛経路テーブル検索部63により従来手法を用いた経路検索を行う。
なおここではルータからホストへの送信を例示しているが、送信は任意のホスト、ルータから可能であり、同様に受信も任意のホスト、ルータで可能である。
【0096】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明に係る網の経路制御方法及び装置によれば、各ルータが、該ルータを境界としている階層化網の内の最上位の階層化網の階層情報を階層化拡張子として経路情報に含めて交換するとともに、送信元ホストがパケットの送信先ホストのIPアドレスに該階層情報を付与して送信し、中継するルータが該階層情報に基づいて該経路検索を行うように構成したので、IP網において下記の効果が得られる。
【0097】
▲1▼各ルータが経路検索に用いる階層情報を階層化拡張子としてパケットに付与し、各ルータにおいて階層を絞った経路検索を可能とする。
▲2▼階層化拡張子による経路情報の交換をルータ間で行うことで階層を特定した経路検索用テーブルの作成を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る網の経路制御方法及び装置の基本原理を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る網の経路制御方法及び装置に使用されるルータを構成するパケット送受信手段の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る網の経路制御方法及び装置に使用されるルータを構成する経路テーブル保持手段の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る網の経路制御方法及び装置に使用されるルータを構成するパケット作成手段の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る網の経路制御方法及び装置に使用されるルータを構成する経路情報受信手段の構成例を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る網の経路制御方法及び装置に使用されるルータを構成する経路情報送信手段の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る網の経路制御方法及び装置に使用されるルータを構成する中継パケット処理手段の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る網の経路制御方法及び装置を使用した経路情報交換の実施例を示した図である。
【図9】本発明に係る網の経路制御方法及び装置を使用したパケット中継の実施例を示した図である。
【図10】従来より知られたIPv4のアドレス構造を示した図である。
【図11】従来より知られた非階層的なIP網構成例を示した概念図である。
【図12】従来より知られた経路交換例を示した概念図である。
【図13】従来より知られたパケット転送例を示した概念図である。
【符号の説明】
NW10〜12,111,112,121,20〜22,211,212,213 網(ネットワーク)
R1〜R7 ルータ
A,B ホスト
1 パケット送受信手段
2 経路テーブル保持手段
3 パケット作成手段
4 経路情報受信手段
5 経路情報送信手段
6 中継パケット処理手段
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (13)

  1. 上位ビットから任意のビット長で任意に区切ることにより階層化されたIPアドレスを共有する網が上位の該階層化されたIPアドレスの階層化網により相互接続可能となるようにルータ間で交換した経路情報に基づき経路検索を行う網の経路制御方法において、
    各ルータが、該ルータを境界としている階層化網の内の最上位の階層化網の階層情報を該経路情報に含めて交換するとともに、送信元ホストがパケットの送信先ホストのIPアドレスに該階層情報を付与して送信し、中継するルータが該階層情報に基づいて該経路検索を行うことを特徴とした方法。
  2. 請求項1において、
    各ルータが、該パケットに付与された階層情報が示す階層化されたIPアドレスと自ルータ中の該階層情報における同階層のIPアドレスとが同一の場合には該パケットに付与された階層情報が示す階層より下位の階層に対して経路検索を行い、それ以外の場合には該パケットに付与された階層情報が示す階層のIPアドレスのみを用いて経路検索を行うことを特徴とした方法。
  3. 請求項1又は2において、
    各ルータは、該パケットに該階層情報が付与されていないときには、該階層情報が有る網への経路と異なる経路検索を行うことを特徴とした方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    該ホストとして、該ルータを用いることを特徴とした方法。
  5. 上位ビットから任意のビット長で任意に区切ることにより階層化されたIPアドレスを共有する網が上位の該階層化されたIPアドレスの階層化網により相互接続可能となるようにルータ間で交換した経路情報に基づき経路テーブルにより検索を行う網の経路制御装置において、
    各ルータが、該ルータを境界としている階層化網の内の最上位の階層化網の階層情報を該経路情報に含めて交換し経路テーブルとして保持するとともに、送信元となるホストがパケットの送信先となるホストのIPアドレスに該階層情報を付与して送信し、中継するルータが該階層情報に基づいて該経路テーブルによる検索を行うことを特徴とした装置。
  6. 請求項5において、
    各ルータは、該パケットに該階層情報が付与されていないときに、該階層情報が有る網への経路と異なる経路検索を行うための別の経路テーブルを備えていることを特徴とした装置。
  7. 請求項5又は6において、
    各ルータが、該パケットを送受信するためのパケット送受信手段と、該経路情報を経路テーブルとして保持する経路テーブル保持手段と、上位層からの要求により該送信元ホストとなるときにパケットを作成/送信するパケット作成手段と、隣接ルータから受信した該経路情報に基づいて該経路テーブルを作成又は更新する経路情報受信手段と、該経路情報を隣接ルータや該送信先ホストに送信する経路情報送信手段と、該パケット送受信手段から受信したパケットに対して中継処理を行う中継パケット処理手段と、で構成されており、該中継パケット処理手段が、該パケットに付与された階層情報が示す階層化されたIPアドレスと自ルータ中の該階層情報における同階層のIPアドレスとが同一の場合には該パケットに付与された階層情報が示す階層より下位の階層に対して該経路テーブルによる検索を行い、それ以外の場合には該パケットに付与された階層情報が示す階層のIPアドレスのみを用いて該経路テーブルによる検索を行うことを特徴とした装置。
  8. 請求項7において、
    該パケット送受信手段が、伝送路から受信したパケットが該経路情報なら該経路情報受信手段へ、それ以外なら中継パケット処理手段に渡すパケット受信部と、該経路情報送信手段又は該中継パケット処理手段から渡されたパケットに対し伝送路への送信処理を行うパケット送信部と、で構成されていることを特徴とした装置。
  9. 請求項7において、
    該経路テーブル保持手段が、階層化されていない網への該経路情報を保持する非階層化網用テーブル部と、階層化網への該経路情報を保持する階層化網用テーブル部と、で構成されていることを特徴とした装置。
  10. 請求項7において、
    該パケット作成手段が、該ホストが送信するパケットを作成するパケット作成部と、該パケット作成部から指示された送信先アドレスに対して該経路テーブル保持手段に基づき経路検索を行う経路検索部と、で構成されていることを特徴とした装置。
  11. 請求項9において、
    該経路情報受信手段が、該パケット送受信手段から渡された経路情報内の各々のエントリに対し、階層化拡張子の有無に基づいて階層化網のエントリか、非階層化網のエントリかの分類を行う階層化網用経路情報抽出部と、該階層化網用経路情報抽出部により抽出された非階層化網宛の経路情報のエントリを該経路テーブル保持手段の該非階層化網用テーブル部に書き込む非階層化網用テーブル構築部と、で構成されていることを特徴とした装置。
  12. 請求項9において、
    該経路情報送信手段が、該経路情報の送信を一定時間毎に該送信経路情報作成部に該経路情報の送付先を指示するタイマ部と、該経路情報を送信する隣接網の階層を送信経路情報作成部に通知する階層指示部と、で構成され、該送信経路情報作成部が、該非階層化網用テーブル部及び該階層化網用テーブル部から該経路情報を作成し該パケット送受信手段経由で隣接ルータ又は該ホストに送信することを特徴とした装置。
  13. 請求項9において、
    該中継パケット処理手段が、階層化対応網宛パケット選択部、非階層化網宛パケット用経路制御部、非階層化網宛経路テーブル検索部、階層化網宛パケット用経路制御部、特定階層用経路テーブル検索部、不特定階層用経路テーブル検索部、及び同一網内パケット転送部から成り、該階層化対応網宛パケット選択部が、該パケット送受信手段から渡されたパケットの階層化拡張子の有無に基づいて送信先が階層化網か否かを判断し、該階層化網であれば該階層化網宛パケット用経路制御部に、非階層化網であれば該非階層化網宛パケット用経路制御部にそれぞれ該パケットを渡し、該送信先アドレスに該階層化拡張子が付与されており、かつ該階層化拡張子が示す階層の送信先IPアドレスが中継処理をしているルータの同階層のアドレスと同値の場合、該送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットとルータ自身が所属する網自身のIPアドレスが合致した場合、該送信先ホストがルータの所属網内にあると判断し、該同一網内パケット転送部を介して該送信先ホスト自身にパケットを配送し、該非階層化網宛パケット用経路制御部が、該パケットの送信先アドレスのネットワーク部への経路テーブルの検索を該非階層化網宛経路テーブル検索部に指示し、検索結果から分かる次に中継処理を行うルータへ該パケット送受信手段を通して該パケットを送信し、該非階層化網宛経路テーブル検索部が、該パケットの送信先アドレスのネットワーク部全体から次に送信すべきルータを該経路テーブル保持手段の非階層化網用テーブル部から検索し、その検索結果を該非階層化網宛パケット用経路制御部に通知し、該階層化網宛パケット用経路制御部が、送信先アドレスに階層化拡張子が付与されており、かつ該階層化拡張子が示す階層の送信先アドレスが中継処理をするルータの同階層のアドレスと異なる場合、該階層化拡張子が示す階層の網に該パケットは未だ到達していないと判断して経路検索を該特定階層パケット用経路テーブル検索部に指示し、検索結果に基づき送信処理を行い、これ以外の場合には、該パケットが階層化拡張子が示す階層の網に到達したと判断し、該送信先IPアドレスのネットワーク部における該階層化拡張子より下位のビットを対象に経路検索するよう該不特定階層経路テーブル検索部に指示し、その結果、該不特定階層経路テーブル検索部から通知された階層情報を新たな階層拡張子として書き換えた後に送信処理を行い、該特定階層経路テーブル検索部が、該階層化網宛パケット用経路制御部の指示に基づいて該経路テーブル保持手段の該階層化網用テーブル部に対して該送信先IPアドレスの内、該階層化拡張子で示された範囲のみを対象に経路テーブルの検索を行い、検索結果を該階層化網宛パケット用経路制御部に通知し、該不特定階層経路テーブル検索部が、該階層化網宛パケット用経路制御部の指示に基づいて該経路テーブル保持手段の該階層化網用テーブル部に対して該送信先IPアドレスのネットワーク部における階層化拡張子より下位のビットを対象に経路テーブルの検索を行い、検索結果を該階層化網宛パケット用経路制御部に通知し、そして、該同一網内パケット転送部が、ルータと同一網内にいる該ホストにパケットを転送することを特徴とした装置。
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