JP3973228B2 - 水系ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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トリアゾール化合物の含有率がこの範囲であると、特に優れた防錆性を有する水系ポリウレタン樹脂組成物となる。
ポリオールの酸素含有率は、好ましくは1〜15重量%である。酸素含有率がこの範囲であると絶縁性硬化物の耐湿熱性が特によくなる。
また、ヨウ素価は、好ましくは1〜120である。ヨウ素価がこの範囲であると絶縁性硬化物の耐熱性が特によくなる。
ここで酸素含有率(重量%)は
また、ヨウ素価は、JIS K 3331-1995に従って測定される。
さらに誘電率が6以下(1MHz)、絶縁破壊電圧が15KV/mm以上が好ましい。
絶縁性ポリウレタン樹脂は、ポリオールの酸素含有率、溶出イオン濃度あるいは溶出イオンの種類の数等を調整することによって、得られる絶縁性硬化物の体積固有抵抗値を、1010Ω・cm以上、好ましくは1011Ω・cm以上に調整して得ることができる。特に体積固有抵抗値が1011Ω・cm以上であると、硬化物の絶縁性が良好に保持され、例えばフィルムコンデンサの絶縁材料、電子部品の封止剤等として好適に使用できる。
体積固有抵抗値の測定は、JIS C 2105に従って行う。具体的には、東亜電波工業社製SE−10Eを用い、25±5℃、65±5%RHで、サンプル(厚さ:3mm)に500Vの測定電圧を印加し、60秒後の数値を測定する。
脂肪酸と反応するポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール及びジエチレングリコール等のグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及びトリエタノールアミン等の3官能ポリオール、ジグリセリン及びペンタエリスリトール等の4官能ポリオール、ソルビトール等の6官能ポリオール、シュガー等の8官能ポリオール、これらのポリオールに相当するアルキレンオキサイドと脂肪族、脂環族、芳香族アミンとの付加重合物や、該アルキレンオキサイドとポリアミドポリアミンとの付加重合物等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ポリトリレンポリイソシアネート(粗TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)等が挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等が挙げられる。脂環式ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。この他に、上記ポリイソシアネートをカルボジイミドで変性したポリイソシアネート(カルボジイミド変性ポリイソシアネート)、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ウレタンプレポリマー(例えばポリオールと過剰のポリイソシアネートとの反応生成物であってイソシアネート基を分子末端にもつもの)等も使用できる。これらは単独あるいは混合物として使用してもよい。
これらの中でも、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、カルボジイミド変性ポリイソシアネートが好ましい。
(1)ポリオール、ポリイソシアネート、及びNCO基反応性の活性水素及び下記する塩形成剤と反応して塩を形成する基(塩形成基)を含有する化合物とから塩形成基を含有する絶縁性ウレタンプレポリマーを得、該絶縁性塩形成基含有ウレタンプレポリマーを前記塩形成基と反応して塩を形成する塩形成剤を使用して水中に分散させ、得られた水系組成物に鎖延長剤を加えて前記絶縁性ウレタンプレポリマーと反応させて一液型絶縁性ポリウレタン樹脂を含有する水系ポリウレタン樹脂組成物を得る。
塩形成基を含有する化合物として、(i)グリコール酸、アミノカルボン酸、ヒドロキシ酸、ヒドロキシルスルホン酸等の塩形成性のカルボン酸またはスルホン酸基を有する化合物、(ii)アミノアルコール類やアミン類等の酸で中和可能な第4級または第3級基になり得る基を有する化合物、(iii)2−クロロエタノール、2−ブロモメタノール等の第4級化反応を起こすハロゲン原子または相当する強酸のエステルを含有する化合物等が挙げられる。
該塩形成基と反応して塩を形成する塩形成剤としては、化合物(i)に対応する塩形成剤として、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、アンモニア、第3級アミン化合物、化合物(ii)に対応する塩形成剤として、例えば、塩酸、硝酸、酢酸、メチルクロライド等の無機及び有機酸類、反応性ハロゲン原子を有する化合物等、化合物(iii)に対応する塩形成剤として、例えば、第3級アミン、スルフィド類、フォスフィン類等が挙げられる。
界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウムまたはナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム塩等のアニオン性界面活性剤等が挙げられる。
レンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、水素添加ジフェニルメタンジアミン、ヒドラジン等の多価アミン化合物、ポリアミドポリアミン、ポリエチレンポリイミン等が挙げられる。
水系ポリウレタン樹脂組成物中のトリアゾール化合物の含有量は、一液型絶縁性ポリウレタン樹脂に対して0.005〜2重量%であり、0.01〜1重量%が好ましい。
特に、プリントサーキットボードや温度センサーの絶縁材料として用いた場合、及びフィルムコンデンサの下塗り塗料として用いた場合、防錆性に優れ、かつ得られた絶縁性硬化物は耐熱性及び耐湿熱性に優れるので、プリントサーキットボードや温度センサーの電気回路やフィルムコンデンサが高温になっても、あるいは該ボード、温度センサー、フィルムコンデンサを水廻り製品等の高温多湿の条件下で長時間使用しても、該プリントサーキットボードや温度センサーを封止している絶縁性硬化物は適切な硬さ、絶縁性などの電気特性を保つことができ、かつ電気回路を始めとする金属に錆が発生することも殆どない。
ポリオールとして、1,2−ポリブタジエンポリオール(ポリオールA、水酸基価:45mgKOH/g)と、リシノール酸とトリメチロールプロパンとを反応させて得たポリエステルポリオール(ポリオールB、水酸基価:37mgKOH/g)との混合物(ポリオールA:ポリオールB=80:20(重量比))を、ポリイソシアネートとしてナフチレンジイソシアネートを使用し、これらを1:2(ポリオール:ポリイソシアネートの当量比)で90℃1時間反応させ、NCO基を末端に含む絶縁性ウレタンプレポリマーを得た。これをメチルエチルケトン(MEK)とトルエン(1:1重量比)との混合溶媒に溶解し、絶縁性ウレタンプレポリマーを50重量%含む溶液を得た。得られた絶縁性ウレタンプレポリマー溶液に、鎖延長剤としてジメチロールウレアを得られた末端NCO基を含む絶縁性ウレタンプレポリマー2当量に対して1当量添加、混合して60℃で1時間反応させ、一液型絶縁性ポリウレタン樹脂を含有する溶液を得た。イオン交換水を、得られた絶縁性ポリウレタン樹脂含有溶液に対し1倍量添加し、該溶液を水に分散させた。次いで冷却分離器付真空脱溶剤機で水分散体の脱MEK/トルエンを80℃、3トールで2時間行い、次いで、1,2,3−ベンゾトリアゾールを一液型絶縁性ポリウレタン樹脂に対して0.001重量%加え、一液型絶縁性ポリウレタン樹脂を53重量%含む水系ポリウレタン樹脂組成物を得た。
防錆試験
得られた水系ポリウレタン樹脂組成物を、真鍮板(50mm×50mm、厚さ:1mm)に、厚さ0.1mmとなるように塗布し、硬化させ、試験片を得た。得られた試験片を5℃、25℃、60℃のイオン交換水、100ml中に10日間放置し、その後試験片を水から取出して、室温で42日間放置した。試験片の表面積(250mm2)に対する錆付着面積の割合を計算した。
(評価)
◎:10%未満
○:10%以上20%未満
△:20%以上50%未満
×:50%以上
得られたサンプルについて、下記する熱処理及び湿熱処理を行い、これらの処理前後の体積固有抵抗値、硬度及び重量を測定した。
ヤマト科学(株)製のDN−62恒温槽中に得られたサンプルを150℃で24時間放置する。
湿熱処理
株式会社平山製作所製プレッシャークッカー PC−242HS−A中で得られたサンプルを121℃、100%RH、2気圧の条件下で24時間放置する。
東亜電波工業社製SE−10Eを用い、25±5℃、65±5%RHで、サンプル(50mm×50mm、厚さ:3mm)に500Vの測定電圧を印加し、60秒後の数値を測定する。
サンプル(50mm×50mm、厚さ:3mm)を2枚重ねて(厚さ:6mm)、硬度をJIS K 6253に従って測定する。硬度計は高分子計器株式会社アスカーA型を用いる。
1,2,3−ベンゾトリアゾールの量を表1に示す量とした以外は、参考例1と同様にして、水系ポリウレタン樹脂組成物を得た。
得られた水系ポリウレタン樹脂組成物を用いて、参考例1と同様にして防錆試験を行った。また、得られた水系ポリウレタン樹脂組成物から、参考例1に準じて、サンプルを得た。参考例1と同様にして、得られたサンプルの熱処理及び湿熱処理前後の体積固有抵抗値、硬度及び重量を測定した。結果を表1に示す。
参考例1と同様にして一液型絶縁性ポリウレタン樹脂を水分散体として得た後、防錆剤を添加しなかった。
得られた水分散体を用いて、参考例1と同様にして、防錆試験を行った。また、得られた水分散体から、参考例1に準じて、サンプルを得た。参考例1と同様にして、得られたサンプルの熱処理及び湿熱処理前後の体積固有抵抗値、硬度及び重量を測定した。結果を表1に示す。
防錆剤として、1,2,3−ベンゾトリアゾールの代わりに、安息香酸とトリエチルアミンの1:1(モル比)混合物を、一液型絶縁性ポリウレタン樹脂に対して2.0重量%添加した以外は参考例1と同様にして、水系ポリウレタン樹脂組成物を得た。
得られた水系ポリウレタン樹脂組成物を用いて、参考例1と同様にして、防錆試験を行った。また、得られた水系ポリウレタン樹脂組成物から、参考例1に準じてサンプルを得た。参考例1と同様にして、得られたサンプルの熱処理及び湿熱処理前後の体積固有抵抗値、硬度及び重量を測定し、また、防錆試験を行った。結果を表1に示す。
一方、酸素含有率が20重量%以下及びヨウ素価が155以下のポリオールを使用して得た一液型絶縁性ポリウレタン樹脂と、1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する実施例2〜4、参考例1、2の水系ポリウレタン樹脂組成物から得たサンプルは、いづれも、耐熱性及び耐湿熱性に優れ、かつ防錆試験の結果も全て優れていた。
Claims (5)
- 酸素含有率が20重量%以下及びヨウ素価が155以下のポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られた絶縁性ウレタンプレポリマーに、鎖延長剤を更に反応させて得られた一液型絶縁性ポリウレタン樹脂(ただし、該一液型絶縁性ポリウレタン樹脂は、ポリオール及び鎖延長剤の活性水素の合計に対して、ポリイソシアネートのイソシアネート基が1.4〜2.2倍当量となるように配合されたものである)を水に分散させてなる水分散体と、一液型絶縁性ポリウレタン樹脂に対して0.005〜2重量%のトリアゾール化合物とを含有することを特徴とする水系ポリウレタン樹脂組成物。
- 電気または電子部品の絶縁用である請求項1記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
- 電気または電子部品がプリントサーキットボードである請求項2記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
- 電気または電子部品が温度センサーである請求項2記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
- フィルムコンデンサの下塗り塗料用である請求項1または2記載の水系ポリウレタン樹脂組成物。
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