JP3971587B2 - 管渠内のライニング施工方法及びその施工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、下水道管、上水道管及びガス管等の既設の管渠において、その管渠の内面にライニング層を施工するための管渠内ライニング施工方法及びその装置に関し、更に詳しくは、長尺の板状体よりなる帯状部材を螺旋状に捲回して形成された管状体いわゆるライニング管を管渠内に挿入してなされるライニング施工を実施する管渠内ライニング施工方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
管渠内において、自転動をもって自己推進する製管装置を用いて、両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の帯状部材を製管装置の成形フレーム周りに螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて管状体を形成するとともに該管状体を残置し、この既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもって管状体を付加形成するライニング施工方法は、既に提案され、公知となっている。
すなわち、特開平8−261363号公報に開示された技術は、成形フレームを屈撓自在となし、円形断面の管渠に限定されず矩形断面の管渠にも適用され、かつ、弾性状のライニング管を管渠の断面に可及的に近づけて成形しうるものである。また、特開平9−57850号公報に開示された技術は、円形断面の管渠に適用されるものであり、小径のライニング管を形成するとともに該ライニング管の径を拡径し、該円形管渠の断面一杯にライニング管を形成するものである。
しかしながら、前者(特開平8−261363号公報)にあっては、成形されるライニング管は密着状態を保持することは困難で多少なりとも縮径するものであり、断面損失は避けられない。また、後者(特開平9−57850号公報)にあっては、確かに管渠の断面一杯にライニング管を形成することができるが、拡径操作をその都度する必要があり、もしくは連続操作によっても帯状部材の送り込み操作が容易でなく、作業の隘路となっている。
【0003】
そこで、本出願人は先に、特願2000−377828(以下「先発明」という)において、中折れが規制され屈撓自在の成形フレームを使用し、この成形フレームの接合機構部の取付け部の中折れ規制を解除し、当該部分でのライニング管を内方に折り込みつつライニング管を形成し、当該部分を過ぎたライニング管はその弾性をもって外方へ復元し、結果として可及的に管渠の断面一杯にライニング管を形成し、断面損失を生じさせない管渠内のライニング施工方法及びその施工装置を提案した。
しかしながら、当該先発明においては、既設管渠と該ライニング管との一体化のための充填材の注入は当該ライニング管が管渠に密接するものであることから、却って困難であるとの新たな課題が生じるものとなっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記先発明を更に発展させたものであり、そのライニング管の形成とともに既設管渠との間隙に固結材を充填し、全体として強度のある管渠構造を得る管渠内のライニング施工方法及びその施工装置を提供することを目的とする。
本発明はこのため、接合機構部に近接する位置に注入管を配し、ライニング管が内方に折り込まれた状態を保持する間に該注入管より充填材を注入する、ことをもってこの目的を達成し得るとの知見に基づいてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の管渠内のライニング施工方法及びその施工装置は具体的には以下の構成を採る。
すなわち、第1番目の発明は管渠内のライニング施工方法に係り、請求項1に記載のとおり、
実質的に凸に開く閉合断面を有する管渠内において、その外面の長手方向に凹溝を有するとともに両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の弾性を有する帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて形成された管状体を残置させ、前記既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもって管状体を付加形成する方法であって、 リンク体の連なりよりなるリンク機構をもって屈撓自在とされるとともに各リンク体の中折れが規制された閉合状の成形フレーム;前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する複数の案内ローラ;前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配されるとともに帯状部材を挟着・接合する外面ローラと内面ローラとからなり、かつ該外面ローラは前記帯状部材の凹溝に嵌まり込む鍔部を有する接合機構部;前記接合機構部に配され、その外面が最外方へ突出して管渠の壁面に当接する回転自在の当接ローラ;前記接合機構部の外面ローラに隣り合い、該接合機構部の進行後方に配され、少なくとも該外面ローラの奥方に充填材の吐出口を有する注入管;を有し、
前記接合機構部の取り付けられる成形フレームのリンク体の中折れ規制は解除され、
前記成形フレームの回転をなすとともに、前記当接ローラが常時管渠の壁面に当接され、前記接合機構部のリンク体を中折れ状態として該成形フレーム回りに帯状部材を螺旋状に捲回してライニング管を形成するとともに、
該ライニング管の形成に同期して前記注入管より所要量の固結材を注入する、ことを特徴とする。
上記記述において、「凸に開く閉合断面」は円形断面並びに該円形断面に近似する楕円形(卵形)断面、馬蹄形断面を含め、更には短形断面(正方形、長方形)を含めるものであって、別の観点から言えば、接線が外方に向く(内方に向かない)断面形状と定義できる。
上記構成において、
1)当接ローラは以下の実施の形態で示されるように、接合機構部に連動して配され、その外面が最外方へ突出し、帯状部材の螺旋捲回される方向へ送り駆動力を付与する送りローラであること、
2)当接ローラは以下の実施の形態で示されるように、スペーサローラであること、は適宜採択される選択的事項である。
更に、上記1)2)のいずれかにおいて、
3)固結材はセメントペーストであること、
4)固結材は発泡性合成樹脂材であること、
は適宜採択される選択的事項である。
【0006】
(作用)
施工に先立ち、成形フレーム回りに帯状部材を捲回した後、接合機構部の取付け部をそのリンクをもって内方へ折り込み、装置の全体を管渠の断面に対応させ、しかる後、管渠内に装入する。
施工装置を駆動させ、帯状部材の閉合部位で接合機構部の外面ローラ及び内面ローラの挟着作用により相接する継手相互は係合される。外面ローラは帯状部材の外面に形成された凹溝に係合することにより、新たに供給される帯状部材とともに所定のピッチで管軸方向に前進し、接合機構部は常に閉合部位に位置する。これにより、本ライニング施工装置は全体的に公転し、帯状部材は連続的に閉合されて製管される。
このとき、接合機構部に取り付けられる成形フレームのリンク体は、管壁に当接する当接ローラを介して中心方向への押圧力を受け、中折れ状態となる。成形フレーム回りに捲回されるライニング管は接合機構部の取付け部のリンク部のみ管壁から離れ、その余の部分は帯状部材の弾性をもって外方へ広がり管壁と密着状態を保つ。
ライニング管の形成の進行に伴い、接合機構部より後方のライニング管は漸次凹断面より凸断面に復帰し、全周にわたって管壁に密接する。
また同時に、このライニング管の形成過程において、固着材供給装置を駆動して注入管の先端注入部よりセメントペースト、セメントモルタル、発泡性合成樹脂材等の固着材を所定量注入する。
注入された固着材は、管渠と製管されたライニング管との間に充填され、該固着材の発泡とともに固結により、所要の強度を発現し、該固着材を介してライニング管と管渠との一体化がなされる。
【0007】
第2番目の発明は第1番目の発明を実施するライニング管施工装置であって、請求項6に記載のとおり、
実質的に凸に開く閉合断面を有する管渠内において、その外面の長手方向に凹溝を有するとともに両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の弾性を有する帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて形成された管状体を残置させ、前記既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもって管状体を付加形成するライニング施工装置であって、
リンク体の連なりよりなるリンク機構をもって屈撓自在とされるとともに各リンク体の中折れが規制された閉合状の成形フレーム;前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する複数の案内ローラ;前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配されるとともに帯状部材を挟着・接合する外面ローラと内面ローラとからなり、かつ該外面ローラは前記帯状部材の凹溝に嵌まり込む鍔部を有する接合機構部;前記接合機構部に配され、その外面が最外方へ突出して管渠の壁面に当接する回転自在の当接ローラ;前記接合機構部の外面ローラに隣り合い、該接合機構部の進行後方に配され、少なくとも該外面ローラの奥方に充填材の吐出口を有する注入管;を有し、
前記接合機構部の取り付けられる成形フレームのリンク体の中折れ規制は解除されてなる、ことを特徴とする。
上記構成において、
1)当接ローラは以下の実施の形態で示されるように、接合機構部に連動して配され、その外面が最外方へ突出し、帯状部材の螺旋捲回される方向へ送り駆動力を付与する送りローラであること、
2)当接ローラは以下の実施の形態で示されるように、スペーサローラであること、
3)成形フレームには該成形フレームの周長を自在に変更できる周長調製機構が配されること、
は適宜採択される選択的事項である。
【0008】
当該施工装置は前記した第一発明方法の実施に使用され、施工において当接ローラーをもってその接合機構部が内方へ折り込まれライニング管を凹曲させ、かつその凹曲部空間で固結材の注入がなされる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の管渠内用ライニング施工装置及びその施工方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図22は本発明の管渠用ライニング施工装置の一実施形態を示す。すなわち、図1及び図2は本ライニング施工装置Sの全体の概略を示し、図3〜図22は本ライニング施工装置Sの各部の構成を示す。また、図28は帯状部材の一態様を示す。
これらの図において、Pは円形断面をなす管渠、Rはライニング管を示す。なお、本装置Sの進行方向(矢印イ)をもって、前部、後部とする。
【0010】
帯状部材100(図28参照)
図28は本実施形態のライニング施工において使用される帯状部材の一例を示す。
帯状部材100は本体が一定厚さの平板状をなし、その外面の長手方向に適宜数(図例では7)の突条102が連続的に縦設される。突条102に先端部にはフランジ102aが形成される。突条102の相互間は溝104もしくは溝空間を形成する。内面106は実質的に平滑に形成される。
帯状部材100の両側には互いに内外に重合して係合する接合部100A,100Bが形成される。すなわち、前縁側接合部100Aはその前端部の突条102Aの基部が膨径され、その内面側より凹溝110が縦設され、更にこの突条102Aより張出し部112が連設される。後縁側接合部100Bは後端部の突条102Bより張出し部114が張設され、該張出し部114の端部寄りに前記前縁側接合部100Aの凹溝110に係合する凸条116が縦設される。
接合時において、相隣れる帯状部材100の前縁部と後縁部とが重なり合い、前縁側接合部100Aに後縁側接合部100Bが後記する接合ローラ部の外面ローラと内面ローラとの挟着作用を受けて、凹溝110内に凸条116が、また、突条102Bのフランジ102a内に張出し部112の端部がそれぞれ嵌り込み、接合される。この場合、主たる係合は凹溝110と凸条116とによりなされ、張出し部112と突条102Bとは従たる係合をなすものであり、従って、場合によっては従たる係合は省略されうる。
更に、本実施形態では張出し部112,114の当接部分にはシール材118が介装され、接合性を高める。なお、接合部100A,100Bにおける嵌合係合で十分であれば、当該シール材118を省略することができる。
帯状部材は合成樹脂の素材をもって作成され、特に成形性の観点から押出し形成により連続的に成形できる塩化ビニール(PVC)樹脂が好適である。しかし金属製による成形を妨げるものではない。
【0011】
ライニング施工装置S(図1〜図22参照)
図1〜図22を参照して、本実施形態のライニング施工装置Sの構成を説明する。
図1及び図2に示されるように、このライニング施工装置Sは、所定幅を有し複数のリンク体により構成されるリンク機構をもって屈撓自在の環状体をなす成形フレーム1、この成形フレーム1に介装される周長調整機構2、この周長調整機構2に併設される間隔保持機構3、該成形フレーム1のリンク機構の各軸部に配される複数の案内ローラ4、該成形フレーム1に取り付けられ、内面ローラ5と外面ローラ6とを含む接合機構部7、更には接合機構部7に隣り合って配される固着材注入機構部8の主要部からなる。なお、間隔保持機構3は省略できるものであり、場合によっては周長調整機構2も省略できる。
【0012】
以下、各部の細部構造を説明する。
成形フレーム1(図1〜図13参照)
成形フレーム1は、所要の幅をもって環状体をなし、全体がリンク機構をもって外径方向へは屈撓自在となっており、かつ横剛性を有し、その一部は接合機構部7の取付け部となる。すなわち、この環状体の屈撓性は複数のリンク体10が軸部11を介して連なったリンク連鎖より得られる。
【0013】
(リンク機構)(図3・図4参照)
リンク体10は、本実施形態では、図3・図4に示されるように、外側リンク体10Aと、内側リンク体10Bとの2態様を採り、交互に配される。
外側リンク体10Aは、全体としてH形をなし、相平行する側板12とこれらの中央部においてこれらを剛的に繋ぐ連結板13とからなる。側板12の両側には円形の軸孔14が開設される。 内側リンク体10Bは、コ字形をなす2つの分割体10bより組み立てられて全体として外側リンク体10Aと同形のH形をなす。すなわち、この分割体10bは、短側板16と背板17とからなるコ字体をなし、背板17相互を対接してボルト・ナット(図示せず)により剛結され、H形体として一体的に組み立てられる。短側板16には外側リンク体10Aの側板12の軸孔14に対応して円形の軸孔18が開設される。
しかして、外側リンク体10Aと内側リンク体10Bとは、外側リンク体10Aの側板12の内側に内側リンク体10Bの側板16を重ねるとともに、それらの軸孔14,18の軸心を一致させ、該軸孔14,18内に固定保持された軸受20を介して軸部11が挿通され、リンク機構を構成する。
【0014】
(中折れ防止機構)(図5参照)
リンク体10の相互は180°を基準に、外折れが可能とされるが、中折れは防止される。但し、後記するように取付け部はこれに該当しない。
このため、中折れ防止機構が設けられるものであって、図5にその一例を示す。すなわち、一方のリンク体10(I)の側板の端部にはストッパー用の凹部22が凹設され、他のリンク体10(II)の側板には先のリンク体10(I)側に突設するストッパー23が固設されてなり、ストッパー23がストッパー凹部22の一方の端面22aに当接することにより中折れが阻止される。また、ストッパー23はストッパー凹部22の他方の端面22bに当接するまで外折れが可能である。凹部22の開き角度(α、例えば30°)が揺動幅となる。すなわち、その一態様として180°を限度に150°まで外折れ可能となる。
【0015】
(取付け部)(図6・図7参照)
成形フレーム1は取付け部を有し、該取付け部を介して接合機構部7が取り付けられる。
取付け部も成形フレーム1の一部を構成し、リンク体を構成する。すなわち、取付け部は図6・図7に示すように、内面ローラ5を抱持し、該内面ローラ5の軸部をもって揺動する2つの分割体25,26からなり、外側の分割体26は接合機構部7との取付けに供される。該取付け部の回転方向のリンク体10b’は、その前側板を後方へ後退され、細幅状をなす。その後退幅は帯状部材100を受け入れるに十分な幅とされる。
【0016】
しかして、該取付け部においては、中折れ防止機構とは逆の態様の、外折れが防止され、一定の角度の中折れが許容される中折れ機構が設けられる。
すなわち、図7に示されるように、分割体26の側板の端部には回転軸周りに凹部27が形成され、分割体25の側板には凹部27内に嵌まり込むストッパー28が固設され、該ストッパー28は凹部27の端面27a,27bに当接して凹部27の広がり角度β(例えば60°)の範囲にわたって中折れを許容する。図例ではストッパー28は凹部27の端面27aに当接して180°を保持し、これより240°まで内折れが可能となる。勿論、この中折れ角度は成形フレーム1の周長に応じて適宜に決められる。中折れ角度は、180°の直線状態を対称軸(y)として管渠Pの内壁面の円弧形と対称となる円弧の角度を採る(図24参照)。
【0017】
本実施の形態の成形フレーム1においては、17個のリンク体より構成されているが、これを減少させることも、あるいは増加させることも自由である。要は、施工対象となる管渠の径に合わせて増減される。
【0018】
周長調整機構2(図2、図8〜図10参照)
周長調整機構2は成形フレーム1のリンク機構の適宜箇所に配され、当該成形フレーム1の周長を調整する。
図8〜図10に示されるように、本周長調整機構2は、本実施形態では内側リンク体10Bに装着され、更に具体的には当該分割体10bの背板17間に装着される。
しかして、この周長調整機構2は、相対向する背板17に固設されたナット体30と、このナット体30間に螺装され回動部32を有する調整ボルト31とからなる。
【0019】
以下、更に詳しくその構成を述べる。
分割体10bの背板17には、本機構2の取付け位置に対応して下方に張出し部17aが延設され、この張出し部17aを利用して調整ボルト31の遊挿されるボルト挿通孔34が開設される。なお、背板17の高さが十分であれば、張出し部17aは必要でないことは勿論である。ナット体30は、その内部に貫通状にねじ孔35を有する円筒体をなし、このボルト挿通孔34に臨んで背板17に溶接をもって強固に固設される。なお、対となるナット体30のねじ孔35a,35bのねじは互いに逆に切られている。
調整ボルト31は、十分な強度を持ち、中央の回動部32を挟んで両端部に向けて互いに逆方向にねじが切られたねじ部31a,31bを有し、それらのねじ部31a,31bを対応するナット体30のねじ孔35a,35bに螺合される。回動部32は調整ボルト31に一体的に形成され、外面が6角ナット状をなし、スパナ等の回動手段が把持され回動操作を受ける。
本実施形態の周長調整機構2は、1つの内側リンク体10Bにおいて幅方向に2つ設けられているが、3つ以上であってもよく、その数に限定されない。また、図2に示されるように、形成フレーム1の4箇所に配されているが、配置箇所は適宜に決められ、その数に限定されない。
しかして、調整ボルト31の回動により、そのねじ部31a,31bに螺合された相対向するナット体30は、互いに引き寄せられる方向あるいは離れる方向に移動し、これにより一対となった分割体10bの背板15間の距離γを自在に調整する。
【0020】
間隔保持機構3(図11〜図13参照)
間隔保持機構3は周長調整機構2に併設され、本実施形態では内側リンク体10Bの両端部に同一構成をもって配される。
すなわち、図11〜図13に示されるように、本間隔保持機構3は、分割体10bの相対向する背板15に固設されるテーパー板40と、これらの両テーパー板に挟着される内方及び外方間隔保持体41,42と、これらの間隔保持体41,42間に装着されるボルト43とからなり、更には外方間隔保持体42間に架け渡される連結板44を含む。
(テーパー板40)
テーパー板40は一定幅をなし、中央部より内方及び外方へ向けて厚さの低減するテーパー面40aが形成される。該テーパー板40の幅方向の両端部あるいは一端部にはガイド壁40bが形成されるが、該ガイド壁40bは適宜省略可能である。2つのテーパー板40は相対向して、分割体10bの背板17に溶接あるいはビスをもって固定される。
(内方・外方間隔保持体41,42)
内方間隔保持体41は一定幅をなし、厚さにおいて内方から外方へ向けて、テーパー板40のテーパー面40aに合致するテーパー面41aが形成される。該内方間隔保持体41の中央にはボルト43のボルト杆を受け入れるボルト挿通孔46が貫通状に開設される。
外方間隔保持体42は、幅及び厚さにおいて内方間隔保持体41と構成を同じくし、その中央にはボルト43のボルト杆のねじ部と螺合するねじ孔47が開設される。
(ボルト43)
ボルト43は、ボルト頭部43aとボルト杆部43bとからなり、ボルト杆部43bにはねじ部43cが形成される。該ボルト43は、ボルト杆部43bが内方間隔保持体41のボルト挿通孔46に遊挿され、ねじ部43cが外方間隔保持体42のねじ孔47に螺合する。
(連結板44)
連結板44は、細長の平板体からなり、両側に配される外方間隔保持体42を繋ぐべく、その上面に固設される。該連結板44にはボルト挿通孔48が開設され、外方間隔保持体42の進退動に伴うボルト43の抜差しを許容する。
【0021】
図11〜図13において、図11・図12は、周長調整機構2が収縮されて、内側リンク体10Bの相互が狭まった状態(間隔a)における間隔保持機構3の状態を示す。図13は、周長調整機構2が伸長されて、内側リンク体10Bの相互が広まった状態(間隔b)における間隔保持機構3の状態を示す。
【0022】
案内ローラ4(図1〜図4、図6〜図9参照)
案内ローラ4は、成形フレーム1の各軸部11に回転自在に装着される。該案内ローラ4は本実施例では軸部11に一体に取り付けられたものとなっているが、軸受を介して取り付ける態様もある。ローラ本体は硬質の合成樹脂体あるいは金属体よりなり、帯状部材100の内面に当接する。標準の案内ローラ4(4a)はリンク体10の内幅一杯の長さを有するが、後記する接合機構部7の所要数(通常は1)の前方部の案内ローラ4(4b)は帯状部材100の幅だけ短くされる(図6・図7参照)。
【0023】
接合機構部7(図1・図2、図6、図14〜図16参照)
接合機構部7は、成形フレーム1の取付け部に装着される。
該接合機構部7は、内面ローラ5と外面ローラ6とが組となった接合ローラ部50を主体とし、かつ、これらのローラ5,6の同期回転を図る歯車機構51を収めるとともに、該歯車機構51に連動する送り機構52を保持する箱体53、及び該箱体53に取り付けられローラ5,6の回転駆動源としての油圧モータ54を含む。そして、該接合機構部7は螺旋状に捲回される帯状部材100の接合部、すなわち当該帯状部材100が最初に閉合する位置に対応して配される。
【0024】
(箱体53)
箱体53は、図14・図15に示されるように、上部分53Aと下部分53Bとに分かれ、上部分53Aはピン軸56回りに開放可能とされ、閉合装置57をもって上部分53Aを下部分53Bへ閉合する。
箱体53は上下部分53A,53Bにわたってその前後面により歯車機構51の軸部の保持をなす。また、箱体53の下部分53Bにおいて、前面部は油圧モータ54の取付け部に供され、後面部は成形フレーム1の取付け部のリンク体に取り付けられる。
箱体53の他の側面には上部分53Aを下部分53Bへ閉合する閉合装置57が取り付けられる。図示するものはその一例であって、上部分53Aから突設されたリブ58に連結棒59が枢着され、また、下部分53Bにはリブ58と同位相で二又状の受棚60が突設され、連結棒59はこの受棚60の凹部に入り込む。連結棒59にはコイルばね61及びその下部のねじ部に螺合するナット62が順次装着され、ナット62の締込みをもってコイルばね61を受棚60の下面に押し付けるようにされている。これにより、コイルばね61の弾性により上部分52Aの締付け力が適宜に調整される。
【0025】
(歯車機構51)
歯車機構51は、図15に示されるように、箱体53の前後壁にわたって下方より順次、回転自在に架け渡された3つの軸部64,65,66を有し、各軸部59,60,61に歯車67,68,69が固設される。そして、第2の軸部65には内面ローラ5が連結され、第3の軸部66には外面ローラ6が連結される。図示されるように、第1の軸部64の回転に対して第2軸部65は逆方向に、第3軸部66は順方向に回転し、ひいては内面ローラ5と外面ローラ6とは互いに逆回転となる。なお、これらの歯数を調整することにより軸部65,66の回転数、ひいてはローラ5,6の回転数を調整することができる。更に、第3の軸部66に間隔保持用のスペーサローラ70が回転自在に取り付けられる。
本実施形態では3つの軸部64,65,66は回転軸受をもって支持固定されてなるが、すべり軸受を用いることは自由である。
更に、第3の軸部66に間隔保持用のスペーサローラ70が回転自在に取り付けられる。該スペーサローラ70は後記する送りローラ73と実質的に同径(小径を含む)とされ、その外周を管渠Pの内壁面に当接する。なお、該スペーサローラ70は適宜省略されうる。
【0026】
(送り機構52)
送り機構52は、箱体53の外部において第2の軸部60に固設される駆動スプロケット72、第3の軸部61に回転自在に装着されるスプロケット付き送りローラ73(73aはその送りローラ部、73bはそのスプロケット部)及びチェーン74からなる。もっと詳しくは、駆動スプロケット72は、その外周に歯車歯72aを有し、キーを介して、もしくはスプライン係合をもって第2の軸部65に固定され、該軸部65と一体に回転する。
スプロケット付き送りローラ73は、小径部のスプロケット部73bと大径部の送りローラ部73aとからなり、軸受を介して第3の軸部66に回転自在に装着される。スプロケット部73bはその外周に歯車歯を有する。送りローラ部73aは、本実施形態では鋼製素材よりなるが、適宜、その外周に帯状の弾性輪(図示せず)を装着されうる。
チェーン69は、駆動スプロケット72とスプロケット付き送りローラ73のスプロケット部73bとに巻き掛けられ、駆動スプロケット72の駆動力をスプロケット付き送りローラ73に伝達する。
しかして、送りローラ73の回転は管渠Pの管壁に当接し、その回転をもって本装置Sの回転速度を決めるが、その速度は後述する接合ローラ部50により製管されるライニング管Rの成形速度に同期する。
【0027】
本装置Sにおいて、自然状態すなわち非拘束状態において、この送り機構52の送りローラ73を含む差し渡し寸法が最大径をなす。
【0028】
本送り機構52とスペーサローラ70との関係に付いては、本実施の形態においては両者は併設されたものであるが、どちらか一方を省略してもよく、更には、送りローラ73の駆動系を省いて該送りローラ73にスペーサローラの機能を持たせることもできる。
【0029】
(油圧モータ54)
油圧モータ54は、その駆動軸54aを第1の軸部59に連結して箱体64の前面に取り付けられる。
該油圧モータ54には、該油圧モータ54に油を送るイン側配管76aと、該油圧モータ54から油を排出するアウト側配管76bとが接続される。更に、これらの配管76は、箱体53あるいは成形フレーム1の適宜位置に取り付けられる回転継手77(図1参照)に接続され、該回転継手77には外部の圧力源に連なる配管78が接続される。
該回転継手77は、円筒状の固定体77Aと該固定体77Aに嵌まり込む回転体77Bとの組合せよりなり、固定体77Aにはインポートaとアウトポートbとが開設され、インポートaは配管76のイン側配管76aに接続され、アウトポートbは配管76のアウト側配管76bに接続される。回転体77Bは固定体77A内に液密を保って回転自在に嵌合され、その端面に2つの接続口c,dを有する。回転体77B内には、この2つの接続口c,d(イン用接続口c,アウト用接続口d)に連通する油圧通路e,fが穿設され、それぞれは連通孔g,hを介して該回転体77Bの周面の円周方向に凹設された油溝i,jに連通する。油溝iはインポートaに連通し、油溝jはアウトポートbに連通する。
固定体77Aと回転体77Bとの液密を保障すべく、各油溝i,jの両側部にOリングが装着される。
しかして、該回転継手77のイン用接続口cに外部配管78のイン側78aが接続され、該回転継手77のアウト用接続口dに外部配管78のアウト側78bが接続される。更にまた、外部配管78は油圧駆動源Gに接続される。
この回転継手77を介することにより、回転動作を伴う油圧モータ54側の配管76と、回転動作のない外部側配管78との間の作動流体の授受をなす。
この歯車機構51・油圧モータ54により、油圧モータ54の駆動力は第1の軸部64に伝達され、かつ、歯車機構51を介して第2・第3の軸部65,66に伝達される。第2軸部65と第3軸部66とは互いに逆回転となる。
【0030】
(接合ローラ部50)
接合ローラ部50は、図16に示すように、内面ローラ5と外面ローラ6とが互いに管軸方向に相並んで、かつ、両ローラ5,6の間に帯状部材100を挟着するように所定の間隔を保って配される。
そして、前記したように、内面ローラ5は第2の軸部65に直結的に取り付けられ、外面ローラ6は第3の軸部66に直結的に取り付けられる。
【0031】
図16は接合ローラ部50の詳細構造を示す。
図16は接合ローラ部50の内面及び外面の2つのローラ5,6を拡大して示すとともに、これらのローラ5,6と帯状部材100との対応関係を示す。図示されるように、本実施形態ではこれらのローラ5,6は帯状部材100の複数(本実施形態では3)スパンにわたって配される。また、Hは帯状部材100相互の最初の閉合部を示す。
【0032】
内面ローラ5は円筒状をなし、帯状部材100の内面に密着し、閉合部Hを含め、外面ローラ6をもって外方から押圧される帯状部材100を支持する。なお、内面ローラ5の前端部には拡径部5aが形成され、かつ該拡径部5aに帯状部材100の内面の溝110に係合する鍔5bが突設されるものであるが、適宜省略されうる。
【0033】
外面ローラ6は円筒本体6aに所定間隔をもって複数の輪状鍔部6bが形成されてなり、これらの輪状鍔部6bは帯状部材100の突条102間の溝104に嵌まり込む。また、円筒本体6aの外周は帯状部材100の突条102の外面に圧接される。該円筒本体6aの外面にはローレット加工が施され、帯状部材100との滑りを防ぐ。また、その一部6a’は小径にされ、突条102から外れる。
輪状鍔部6bに付き、閉合部Hに対応する2個一対の輪状鍔部6b’はその周側部が帯状部材100に当接する。他の輪状鍔部6bについては格別当接する必要はなく、突条102間の溝104に嵌まり込むことが肝要である。
【0034】
この接合機構部7のライニング管Rへの取付けは、箱体53の上部分53Aを開放し、外面ローラ6の輪状鍔部6bを帯状部材100の突条102のピッチに合致させ、かつ、閉合部Hに輪状鍔部6b’を位置させ、しかる後、上部分53Aを下部分53Bに閉合し、閉合装置57を閉鎖し、そのナット62を締め込んでなす。
【0035】
固着材注入機構部8(図17〜図21参照)
固着材注入機構部8は、1本の注入管80を主体とし、その先端に注入部81を有し、基端には回転継手部82が接合され、接合機構部7に隣り合い、かつその回転後方部に配されるとともに、該接合機構部7の回転継手77に連動する。
【0036】
(注入管80)
注入管80は、剛性を有する折り曲げ管よりなり、接合機構部7の箱体53の側面に固定された支持金具84を介して固定把持され、所定の位置状態を保持する。すなわち、該注入管80は各屈曲部を介し、接合ローラ部50の外面ローラ6に平行する水平部80a、箱体53の側面に沿う鉛直部80b、該鉛直部80bより回転継手部82に向かう取付け部80c、よりなる。なお言えば、支持金具84より先端側が剛性を要し、支持金具84より回転継手82に付いては可撓性を有してもよい。
更に、注入管80の取付け部80cの途中には手動式の開閉弁85が配され、開閉動作をなす。
本注入管80は図示されるように接合機構部7の接合ローラ部50に相並び、かつ該接合ローラ部50に対して進行方向の後方に配される。(注入部81)
注入部81は、注入管80の水平部80aの先端部において、接合ローラ部50の外面ローラ6の先端より更に奥方の部分に形成され、管径方向に付き管中心方向に向けて、かつ接合機構部7の進行後方へ向けて、単一の注入口81aが開設されている。
該注入部81は取外し式となし得る。
更にまた、該注入部81は複数の注入口を所定間隔を保って開設する態様を採ることもできる。この場合、該注入部81は少くとも一つの帯状部材100の幅と同等の長さを有する。また、注入口の間隔は帯状部材100のフランジ102相互の隙間の間隔に一致される。
なお、単一の注入口81aはセメントペーストに適用され、複数の注入口は発泡性合成樹脂材に適用される。
【0037】
(回転継手部82)(図19・図20参照)
本固着材注入機構部8の回転継手部82は、本実施形態では油圧モータ54の回転継手77と共用される。
すなわち、回転継手77において、固定体77Aにポートlが開設され、回転体77Bにはその端面に接続口mを有し、回転体77B内には接続口mに連通する液体通路nが穿設され、連通孔oを介して該回転体77Bの周面の円周方向に凹設された凹溝pに連通する。
しかして、該回転継手部82のポートlに注入管80が接続され、接続口mに固着材供給管86が接続される。固着材供給管86を介して送り込まれる流動状もしくは液状の固着材FLは、接続口mから液体通路nを通り、連通孔oを介して凹溝pに導かれ、しかる後ポートlより注入管80へ流出する。
固着材供給管86の他端には、この固着材供給管86に固着材を送り込む固着材供給装置Kが配される。
本実施形態の回転継手部82は、油圧モータ54の回転継手77と共用となっているが、別体であることを妨げるものではない。この場合には回転継手の機構は簡単で済む。
【0038】
固着材供給装置K,K1(図21・図22参照)
固着材供給装置Kは、流動状もしくは液状の固着材Fを回転継手部82を介して固着材注入機構部8の注入管80に所定の圧力で供給する機能を有し、少なくともポンプ機能を備える。
図21に示す固着材供給装置Kはセメントペースト・セメントモルタル用であり、圧送装置87は、ホッパー87aを介して供給されるセメントペースト・セメントモルタルを電動モータMによって駆動されるセメントポンプ87bにより供給管86に送り出す。セメントポンプ87bはその螺旋翼87cの送り作用により送り出し圧力を得る。なお、セメントポンプ87bはこの形式に限定されず、他の形式(例えばプランジャー式、など)を採用することは自由である。該圧送装置87は車輪88aをもって移動可能な台車88上に載置され、本製管装置Sの進行とともに前進する。該台車88は一般に牽引式を採るが、自走式を採ることを妨げるものではない。
更にまた、図22は別な態様の固着材供給装置K1を示し、液状の固着材を使用するものの使用例である。容器89に貯溜された液状の固着材Fを電動式ポンプ90をもって汲み上げ、所定の圧力で回転継手部82へ送る。この容器89も適宜台車(図示せず)に搭載され、移動可能とされる。
なお、これらの該固着材供給装置K,K1から固着材注入機構部8までの距離は、固着材の固結時間を考慮して、短か目にされる。
【0039】
固着材
本発明のライニング施工方法の実施に使用される固着材はセメントペースト、セメントモルタル、接着性合成樹脂材(液状)が使用される。
セメントペーストとしての固着材は、セメント材・水を主体として他に適宜の混和材料、特には発泡性を発揮する発泡剤・ガス発生剤(例えばアルミ粉末等)等が添加されるとともに、適当な自己保持力を有するように粘度が調整される。あるいは又、セメントペースト材に細砂を加え、モルタルを使用することもできる。この場合においても、適宜に同様の混和材料が添加される。
合成樹脂素材の固着材はいわゆる発泡性合成樹脂が使用される。
本発泡性合成樹脂固着材は未硬化状において粘着性を有し、液状体をなす。また、硬化後において所要の強度を発揮する。
この発泡性合成樹脂固着材は、発泡の時期・度合を反応促進・抑制剤、発泡剤、整泡剤により適宜調整される。通常は反応開始時期が遅延されるようにされる。また、粘度・粘着性を増粘剤により調整され、ライニング管Rの下方に垂れ下がらない粘度にされるとともにライニング管Rの溝面に付着する粘着度にされる。発泡ポリウレタン、発泡ユリア樹脂、発泡フェノール樹脂等の現場発泡プラスチックはこのような発泡性合成樹脂に好適なものとして適用される。
発泡ポルウレタンにおいては、反応遅延剤、発泡剤、整泡剤及び増粘剤等よりなるポリオール成分(A液、100部)とイソシアネート成分(B液、50〜150部)とを混合攪拌し、高粘度(2000ポアズ)にした混合液を得る。発泡してウレタンフォームが形成される。発泡剤としてはフロン等が使用され、増粘剤としては炭酸カルシウム、タルク等が使用される。
発泡ユリア樹脂においても、粘度を調整して高粘度にした水溶液状のユリア樹脂に、フロン、ブタン等の発泡剤を加え、所定時間後に発泡するよう調合する。
【0040】
ライニング施工方法
叙上のライニング施工装置Sは以下のように管渠内のライニング施工に適用され、操作される。
図23〜図26はその一態様のライニング施工工事の概要を示す。この施工工事では地下埋設管渠として円形断面をなす下水道管渠Pへの適用例を示す。図において、Q1は上流側人孔、Q2は下流側人孔である。
図23に示されるように、地上部においては、上流側人孔Q1側では帯状部材100を巻き付けた回転台付き巻出し装置Tが配され、下流側人孔Q2側では油圧駆動源Gが配される。工事は上流側から下流側に沿ってなされる。
【0041】
本ライニング施工装置Sの管渠P内への搬入
本ライニング施工装置Sを人孔Q1を介して更生の対象となる管渠P内に搬入する。本施工装置Sの成形フレーム1は組立て可能となっており、人孔Q1内への搬入は容易である。すなわち、人孔Qの開口部は小さいが、1つの内側リンク体10Bの背板17相互のボルト・ナットを取り外すか、あるいは1つの周長調整機構2の調整ボルト31を取り外すことにより、その搬入は容易になされる。搬入後、人孔Q内において、再びボルト・ナットあるいは調整ボルト31を取り付け、成形フレーム1を環状体となす。更に、接合機構部7はこの成形フレーム1に取付け可能となっており、現場での取付けも容易である。このとき同時に、固着材注入機構部8の設置もなされる。
【0042】
成形フレーム1の周長の調整
本施工装置Sにおける成形フレーム1の周長を調整する。すなわち、該成形フレーム1の周長調整機構2の調整ボルト31を回動し、その間隔γを調整する。普通には、調整ボルト31を中立状態に位置させる。これにより、成形されるライニング管Rの周長を規定する。また、間隔保持機構3の内方及び外方間隔保持体41,42は互いに可及的離れた状態とされる。
なお、成形フレーム1の周長、詳しくは案内ローラ4の外方包絡線の長さを管渠Pの内径の周長に一致させる。
周長調整機構2の調整が終了すれば、間隔保持機構3におけるボルト43を回動し、内方及び外方間隔保持体41,42を互いに引き寄せ、テーパー板40のテーパー面40aに当接させる。
【0043】
ライニング施工
ライニング施工は以下の手順に基づいてなされる。
(1) 帯状部材100を人孔Q1内に引き込み、人孔Q1内において予め組み立てた本施工装置Sを駆動し、該帯状部材100を接合機構部7の駆動とともに、その成形フレーム1 回りに帯状部材100を数回数回(3回程度)捲回し、ライニング管(これを開始用ライニング管という)Roを作製する。この開始用ライニング管Roの内面の周長は本施工装置Sの周長に等しい。また、この開始用ライニング管Roは帯状部材100の弾性により拘束力の加わらない自然状態で円形を保持する。
或いは、上記方法に替えて、以下の手順で開始用ライニング管Roを作製することもできる。
(1a)帯状部材100を人孔Q1内に引き込み、人孔Q1内において帯状部材100を手作業にて数回(3回程度)捲回し、開始用ライニング管Roを作製する。
しかる後、この開始用ライニング管Roの内側に本施工装置Sの成形フレーム1を組み込み、該開始用ライニング管Roの前縁において、本ライニング施工装置Sの接合機構部7を所定状態に設置する。すなわち、接合ローラ部30の内面ローラ5と外面ローラ6とをライニング管Roの閉合部Hに配するものであり、外面ローラ6の輪状鍔部6aを帯状部材100の溝104に嵌め込み、特に輪状鍔部6bを閉合部Hに正確に当接する。また、内面ローラ5の鍔5bを帯状部材100の凹溝110に係合させる。
【0044】
(2) 人孔Q内において、上記の状態の開始用ライニング管Roを組み付けた本施工装置Sに付き、接合機構部7を取り付けた成形フレーム1の取付け部をそのリンクを介して中折れ状態とし、接合機構部7を開始用ライニング管Roとともに半径方向に引き込む。このとき、該接合機構部7の送りローラ73の外端を自然状態での開始用ライニング管Roの円周上に置く、もしくは円周上よりわずかに外方へ突出するようになす。
このようにして、管渠P内に挿入する前段階としてのライニング管(これを初期ライニング管という)Riを形成する。
この取付け部の引込み操作において、保形用具を使用すると便利である。
【0045】
図24はこの保形用具Jの一例を示す。
この保形用具Jは、実質的に180°を超える円弧板(押し当て板)300と、該円弧板300の両端部の内側に固設される端部ねじ孔部材302と、これらのねじ孔部材302間に中央ねじ孔部材304を介して介装される2つの固定用ねじ棒306と、前記中央ねじ孔部材304のねじ孔に螺合される引込み用ねじ棒308と、からなる。
もっと詳しくは、円弧板300は円弧状をなす鋼製板よりなり、若干の弾性を有し、その外側面は成形フレーム1の内周面に当接する。端部ねじ孔部材302にはねじ孔302aが螺設され、固定用ねじ棒306の一方のねじ306aを受け入れる。中央ねじ孔部材304には固定用ねじ棒306の他方のねじ306bを受け入れるねじ孔304aが螺設され、またその中央には引込み用ねじ棒308のねじ308aが螺合されるねじ孔304bが螺設される。固定用ねじ棒306のねじ306aと306bとは逆ねじとなっている。引込み用ねじ棒308の他端は成形フレーム1あるいは接合機構部7への取付け部308bとなっている。
引込み用ねじ棒308と接合機構部7との取付けは、図24(b) にその一態様が示されるように、引込み用ねじ棒308の取付け部308bは円板状をなし、接合機構部7の箱体53の裏面から突設された反力受け部材310に回転自在に係合するものである。
この保形用具Jの使用に付いては、この保形用具Jを成形フレーム1の内方に所定状態に配し、先ず、固定用ねじ棒306を回動させて円弧板300の径を拡張させ、成形フレーム1の内周に押し付けて固定する。また、接合機構部7に取付け部308bをもって回転自在に係合する引込み用ねじ棒308を回動し、接合機構部7を径方向に引き込み、成形フレーム1の取付け部のリンク部を中折れ状態とする。
なお、保形用具Jは同等の機能を有するものであれば、上記の態様に限定されない。
【0046】
(3) この状態の本施工装置Sを管渠P内に引き入れ、管渠Pの適宜位置(通常は管渠の入り口端部)に仮固定する。
この引き入れに際し、初期ライニング管Riを含め、本施工装置Sの全ては管渠Pの内径に収まる状態となっているので、その引入れ操作に格別の困難はない。
しかる後、保形用具Jを取り外す。
【0047】
(4) 本施工装置Sを駆動し、ライニング管Rを製管する。
すなわち、送り機構32の送りローラ73は管渠Pの管壁に当接し、管壁からの反作用を受けて本施工装置Sを回転駆動させる。また、接合機構部7の内外面ローラ5,6を回転駆動し、内面ローラ5と外面ローラ6との挟着力をもって、帯状部材100の閉合部Hにおいて、その継手構造により初期ライニング管Riに連なって新たに供給される帯状部材100は接合される。成形フレーム1は成形されたライニング管Rの内面を案内ローラ4の回転をもって移動してゆく。これにより帯状部材100は螺旋状に捲回され、ライニング管Rが製管される。
そして、形成されたライニング管Rは残置され、本施工装置Sの全体は管周方向に公転するとともに、新たな帯状部材100が付加されつつ管軸方向に前進する。
この工程において、成形クレーム1の回転に伴い、周長調整機構2に加わる力は、間隔保持機構3によって受けられ、当該周長調整機構2に過大な応力は生じない。
【0048】
(4A)この工程において、本施工装置Sの接合機構部7においてはライニング管Rは内方に折れて凹曲面となり、該接合機構部7の通過とともに円形すなわち凸曲面に復帰し、更には後方に残置されたランニング管Rはその弾性により円形状に復帰する。
すなわち、図25・図26に示されるように、接合機構部7に把持されるライニング管Rの部位においては、送りローラ73・接合機構部7を介して中心方向への押圧力を受け、凹曲面(A)となっているが、接合機構部7より周方向並びに奥行き(軸)方向に遠ざかるにつれ、ライニング管Rの弾性により漸次凸曲面(B)となる。この場合、凸曲面(B)は管渠Pの壁面に密着するか、あるいは該壁面に可及的近傍に近接するものであり、望ましい態様からすれば、外ローラ6の内接点から管渠Pの内壁面(送りローラ73の接点)までの距離xの1/2を通る線yを対称軸として対称形を採る。
【0049】
(4B)また同時に、この工程において、固着材供給装置Kを駆動し、圧送装置87を作動してホッパー87aから供給されるセメントペーストを供給管86を介して送り出し、回転継手82を介し、固着材注入機構部8の注入管80の注入部81よりセメントペーストとしての固着材を所定量注入する。
流動状の固着材Fは接合機構部7の外面ローラ6の奥方におけるライニング管Rの凹曲面(A)の空間部に吐出され、接合機構部7の進行に伴い該凹曲面(A)は次第に凸曲面(B)に変じ、壁面に密着し、これにより該固着材は幅広に広がり、かつ帯状部材100の溝部104内に入り込む。
なお又、発泡性合成樹脂よりなる固着材に付いては、固着材供給装置K1を駆動し、容器89の液状の固着材をポンプ90をもって汲み上げ、所定の圧力で供給管86・回転継手部82を介して、固着材注入機構部8の注入管80の注入部81より発泡性合成樹脂固着材Fを所定量注入する。
固着材は帯状部材100の溝部104内に注入されるが、その粘着力によりライニング管Rの表面、すなわち帯状部材100の溝部104内に付着し、下方へ垂れ下がることはなく、発泡とともに固結する。
【0050】
(4C)また、この工程において、帯状部材100は地上部に配された巻出し装置Tより順次供給される。該巻出し装置Tは、図23にその構成の一例を示すように、人孔Q1の開口部周りに配された円形軌状200上に転子202を介して回転台204が回転自在に配備され、この回転台204に帯状部材100を繰出し自在に巻き付けた巻胴206が回転自在に支持されてなる。これにより、円形軌条200に沿う回転台204の水平面での回転と巻胴206の鉛直面での回転とが合成される。
製管動作に伴い帯状部材100はねじれ回転をなすが、巻出し装置Tにおいてはこの回転に同期して回転台204をもってこれに追従する。
【0051】
(5) 注入された固着材(セメントペースト・セメントモルタル)は、管渠Pと製管されたライニング管Rとの間に充填され、該固着材の発泡とともに固結により、所要の強度を発現し、該固着材を介してライニング管Rと管渠Pとの一体化がなされる。
すなわち、ライニング管Rの表面に吐出された固着材はライニング管Rの溝部104に入り込み、該溝部104で発泡作用により膨張し、次いで固結が始まる。該固着材はその膨張作用により溝部104内で緻密化し、かつ固結することによりライニング管Rの補剛性が高まる。また、該溝部104の固結材が管渠Pの内壁面に固着することにより、管渠Pとライニング管Rとの一体化がなされる。
また、固着材が発泡性合成樹脂接着素材の場合においても、コンクリート製の管渠Pに対しては強固に付着し、合成樹脂製ライニング管Rに対してはその凹溝すなわち帯状部材100の溝部104内に充填され、螺旋状をなす溝部104内に拘束され、3者すなわちライニング管R・固着材・管渠Pは一体化される。
【0052】
(6) 管渠Pの所定長(通常には人孔Q1からQ2までの全長区間)にわたってライニング管Rが施工されると、本施工装置Sが取り外される。本施工装置Sでは周長調整機構2を有することにより、本取外し作業は容易に行われる。先ず、間隔保持機構3において、そのボルト43を回動し、内方及び外方間隔保持体41,42を互いに引き離し方向に移動させ、定着を解除する。しかる後、周長調整機構2の調整ボルト31を回動し、間隔を縮小させる。これにより、成形フレーム1は全体的に径を縮小させ、ライニング管Rから分離し、本施工装置Sの取外しがなされる。
本施工装置Sはまた、既に述べたように分割することができ、人孔Qを介して外部への搬出も容易である。 以上をもって、本実施形態の施工工事は完了する。
【0053】
以上のように、この実施の形態のライニング施工によると、ライニング管Rの成形の進行とともに管渠Pの断面一杯にライニング管Rを形成することができるものであり、断面損失を生じることなく、かつ同時に固結材の注入がなされ、固結材の固結による管渠Pとライニング管Rとの一体化による複合管が得られ、全体として経済的な施工を達成しえる。また、固結材の固結により止水性が向上する。
更に、このライニング管Rの形成と同時に固結材の注入がなされ、施工の効率が飛躍的に向上する。更にまた、該固結材の固結によるライニング管R自体の補剛性が増大し、かつ、固結材を介しての管渠Pとライニング管Rとが一体化し、強固な複合管が得られる。
【0054】
叙上の施工方法では、円形断面の管渠への適用を示したが、卵形断面、馬蹄形断面の管渠への適用は上記に準じて施工される。
【0055】
矩形断面の管渠に付いても本ライニング施工方法は適用される(図27参照)。
施工装置Sに付いては実質的な変更はない。保形用具Jに付いても、成形フレーム1に当接する円弧板300部分が矩形管渠の下半に相似するように変更される以外は実質的に変更はない。
施工に当たっては、管渠への装入に先立って、成形フレーム1回りに帯状部材100を巻き付け、保形用具を装着して所定の形状の初期ライニング管Riを得る。しかる後、この初期ライニング管Riを管渠内へ引き入れ、前述に準じて施工を行う。
接合機構部7が角部に至るとき、成形フレーム1の取付け部のリンクは形状に沿って角部の変化に追従する。
【0056】
本発明は叙上の実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の基本的技術思想の範囲内で種々設計変更が可能である。すなわち、以下の態様は本発明の技術的範囲内に包含される。
1)帯状部材は図例のものに限定されない。要は弾性を有し、両側縁部が嵌合状に係合するものであればよい。
2)接合機構部7において、油圧駆動に限定されるものではなく、空気圧モータあるいは電動モータを採用することができる。空気圧モータを採るとき、回転継手77の採用に変わりがないが、電動モータを採るとき、回転継手に替えて回転ブラシを採る。
あるいはまた、手動機構を除外するものではなく、歯車機構31を介してハンドル操作をもってローラ5,6を駆動する。
【0057】
【発明の効果】
本発明のライニング施工方法によれば、通常の屈撓性を有する成形フレームを使用することにより、特別な拡径操作を伴うことなく、容易な操作をもって管渠の断面一杯にライニング管を形成することができるものであり、断面損失を生じることなく、経済的な施工を達成しえる。
同時に、ライニング管の成形の進行とともに固結材の注入がなされ、充填材注入作業の効率が向上し、更にはこの固結材の固結によるライニング管の補剛性の増大が図られるとともに、固結材を介して管渠Pとライニング管Rとの一体化による複合管が得られ、全体として施工効率の飛躍化と経済的な施工を達成しえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の管渠内のライニング施工装置の一実施形態の全体を示す縦断面図。
【図2】 本ライニング施工装置の一部を省略した正面図。
【図3】 ライニング施工装置を構成する成形フレームの一部断面平面図(図4の3方向矢視図)。
【図4】 成形フレームの一部断面側面図(図3の4方向矢視図)。
【図5】 成形フレームの中折れ防止機構を示す図。
【図6】 成形フレームの取付け部の側面図。
【図7】 成形フレームの取付け部の平面図(図6の7方向矢視図)。
【図8】 成形フレームに配された周長調整機構及び間隔保持機構の一部断面平面図。
【図9】 図8の9−9線断面図。
【図10】 図8の10−10線断面図。
【図11】 間隔保持機構の拡大断面図。
【図12】 図11の12−12線断面図。
【図13】 間隔保持機構の動作図。
【図14】 接合機構部の正面図。
【図15】 接合機構部の縦断面図。
【図16】 接合機構部の接合ローラの構成図。
【図17】 固着材注入機構部の構成を示す側面図(図18の17方向矢視図)。
【図18】 図17の18方向矢視図。
【図19】 回転継手部の構成を示す一部断面一部側面図。
【図20】 図19の20方向矢視図。
【図21】 固着材供給装置の一例示図。
【図22】 固着材供給装置の他の例示図。
【図23】 ライニング施工工事の一態様の全体を示す概要図。
【図24】 保形用具の一例示図。
【図25】 ライニング施工工事(円形断面管渠)の要領図。
【図26】 接合機構部回りのライニング管の状態を示す図。
【図27】 ライニング施工工事(矩形断面管渠)の他の要領図。
【図28】 (a) 図は本発明で使用される帯状部材の一態様を示す断面図。
(b) 図はこの帯状部材相互の接合関係を示す断面図。
【符号の説明】
P…管渠、R…ライニング管、S…ライニング施工装置、J…保形用具、1…成形フレーム、2…周長調整機構、3…間隔保持機構、4…案内ローラ、5…内面ローラ、6…外面ローラ、7…接合機構部、8…固着材注入機構部、10…リンク体、73…送りローラ、80…注入管、81…注入部、100…帯状部材、104…凹溝

Claims (8)

  1. 実質的に凸に開く閉合断面を有する管渠内において、その外面の長手方向に凹溝を有するとともに両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の弾性を有する帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて形成された管状体を残置させ、前記既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもって管状体を付加形成する方法であって、
    リンク体の連なりよりなるリンク機構をもって屈撓自在とされるとともに各リンク体の中折れが規制された閉合状の成形フレーム;
    前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する複数の案内ローラ;
    前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配されるとともに帯状部材を挟着・接合する外面ローラと内面ローラとからなり、かつ該外面ローラは前記帯状部材の凹溝に嵌まり込む鍔部を有する接合機構部;
    前記接合機構部に配され、その外面が最外方へ突出して管渠の壁面に当接する回転自在の当接ローラ;
    前記接合機構部の外面ローラに隣り合い、該接合機構部の進行後方に配され、少なくとも該外面ローラの奥方に充填材の吐出口を有する注入管;
    を有し、
    前記接合機構部の取り付けられる成形フレームのリンク体の中折れ規制は解除され、
    前記成形フレームの回転をなすとともに、前記当接ローラが常時管渠の壁面に当接され、前記接合機構部のリンク体を中折れ状態として該成形フレーム回りに帯状部材を螺旋状に捲回してライニング管を形成するとともに、
    該ライニング管の形成に同期して前記注入管より所要量の固結材を注入する、ことを特徴とする管渠内のライニング施工方法。
  2. 請求項1において、当接ローラは接合機構部に連動して配され、その外面が最外方へ突出し、帯状部材の螺旋捲回される方向へ送り駆動力を付与する送りローラである管渠内のライニング施工方法。
  3. 請求項1において、当接ローラはスペーサローラである管渠内のライニング施工方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、充填材はセメントペーストである管渠内のライニング施工方法。
  5. 請求項1ないし3のいずれかにおいて、充填材は発泡性合成樹脂材である管渠内のライニング施工方法。
  6. 実質的に凸に開く閉合断面を有する管渠内において、その外面の長手方向に凹溝を有するとともに両側縁部に継手が形成され連続的に供給される長尺の弾性を有する帯状部材を螺旋状に捲回し、相接する継手相互を係合させて形成された管状体を残置させ、前記既に形成された管状体の前方に新たに供給される帯状部材をもって管状体を付加形成するライニング施工装置であって、
    リンク体の連なりよりなるリンク機構をもって屈撓自在とされるとともに各リンク体の中折れが規制された閉合状の成形フレーム;
    前記成形フレーム回りに回転自在に装着され、帯状部材を螺旋状に捲回して形成されるライニング管の内面に当接する複数の案内ローラ;
    前記成形フレームを介して取り付けられ、前記既に形成されたライニング管と新たに供給される帯状部材との閉合部位に配されるとともに帯状部材を挟着・接合する外面ローラと内面ローラとからなり、かつ該外面ローラは前記帯状部材の凹溝に嵌まり込む鍔部を有する接合機構部;
    前記接合機構部に配され、その外面が最外方へ突出して管渠の壁面に当接する回転自在の当接ローラ;
    前記接合機構部の外面ローラに隣り合い、該接合機構部の進行後方に配され、少なくとも該外面ローラの奥方に充填材の吐出口を有する注入管;
    を有し、
    前記接合機構部の取り付けられる成形フレームのリンク体の中折れ規制は解除されてなる、
    ことを特徴とする管渠内のライニング施工装置。
  7. 請求項6において、当接ローラは接合機構部に連動して配され、その外面が最外方へ突出し、帯状部材の螺旋捲回される方向へ送り駆動力を付与する送りローラである管渠内のライニング施工装置。
  8. 請求項6において、当接ローラはスペーサローラである管渠内のライニング施工装置。
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