JP3970571B2 - 磁気記憶素子の書き込み回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子の移動による電磁気学的な作用で情報を記憶する磁気記憶素子(Magnetic Random Access Memory)の書き込み動作に関するものある。
【0002】
【技術的背景】
計算機の歴史上、初期の記憶装置に使われたコアメモリはJ.W.Forrester : "Digital Information Storage in Three-Dimensions Using Magnetic Cores", Journal of Applied Physics, vol.22, Jan. 1951.で発表され、また、磁気薄膜メモリはA.V.Pohm, S.V.Rubens: "A Compact Coincident-Current Memory", Proc., Eastern Joint Comp. Conf., Dec. 1956.で発表された。
また、最近の磁気メモリについて、磁気抵抗メモリは、例えば、US Patent No.5173873、ホール効果磁気メモリは、例えば、G.A.Prinz: "Hybrid ferromagnetic semiconductor devices", Science, vol.250, pp.1092-97, 1990.に記載されており、集積化された電流一致法や単一の全電流による誘導起電力で読み出す磁気メモリは、例えば、US Patent No.5329486, 特開平8−171792, US Patent No.6166944等に記載されている。
これら磁気記憶素子の強磁性体や、強磁性体と磁気検出素子からなる磁気回路に関して、記憶する残留磁化の磁束が環状に閉じているものと閉じていないものとがある。
【0003】
初期の磁気記憶素子としては、閉磁路を形成する磁気コアや開磁路を形成する磁気薄膜メモリがある。これらは受動的な磁気素子のみで構成されており、電磁誘導で読み書きしている。そのため、これらの磁気素子の個々を特定する必要から、少なくとも書き込みに選択と書き込み動作を兼ねて、電流一致法が用いられている。最近の磁気抵抗やホール効果を利用した磁気メモリや、集積化されたもの(例えば、US Patent No.5329486参照)までは、この考えを継承してきた。
一方、それらの用途として、磁気抵抗やホール効果を利用した磁気メモリや集積化された磁気メモリ(例えば、US Patent No.5329486や特開平8-171792参照)は、不揮発性の特徴をもったEEPROMやFlushメモリの一種としての利用が考えられてきた。
【0004】
最近の磁気メモリは、磁気を記憶する磁気回路の方式に2種類がある。一つは誘導起電力で読み出す磁気メモリで閉磁路を形成したもので、磁束が環状に閉じていることから電磁誘導で読み書きしている。この磁束が閉じているものはdiv M=0で、どこにも磁極は現れないから反磁場は完全に0で、極めて保磁力の小さな強磁性体でも大きな残留磁化が生じる特徴がある。他方、強磁性体と磁気検出素子からなるものは、開磁路を形成し両端の磁極から磁気が外部に漏れていて、その磁化方向を高感度に検出して読み出している。言い換えると、磁束が閉じていない強磁性薄膜片は大きな保磁力が必要で、外部に出てくる磁気の一部を大きな磁気検出能力を持つ磁気検出素子で読み出している。
【0005】
すなわち、これらの磁気記憶セルの構造は記憶素子の読み書きに利用した磁気現象で分類すると、
(i)書き込み、読み出しに電磁誘導を用いた構造
(ii)書き込みに電磁誘導、読み出しに磁気検出素子を組み合わせた構造
がある。
一方、磁気記憶素子のデータの読み出し方法には、
(I)破壊読み出し方法
(II)非破壊読み出し方法
がある。
この破壊読み出しと壊れない非破壊読み出しは、構造と密接に関係している。上述の(i)の構造での非破壊読み出しは少ない電流で働き、また、(ii)の構造は磁気を検出する磁気検出素子を働かせる小さな電流が必要になる。
非破壊読み出しをするメモリは、大小2種類の電流、又は、書き込み電流と磁気検出素子を働かせる小さな読み出し電流が必要になり、これらは何れも読み書き動作電流の差が大きくなる。また、非破壊読み出しは磁気を反転しない、又は、大きな電流で働かせないことから、高速に動作する。
一方、これら磁気記憶素子の書き込み、又は、破壊読み出しには(i)、(ii)の何れの構造も過去の記憶を消去、又は、書き換えに足りる大きな書き込み電流、又は、長い時間が必要である。
【0006】
最近の磁気メモリは不揮発、非破壊で高速に読み出せるのが特徴である。最近の磁気メモリの例として、磁気抵抗メモリでは、巨大磁気抵抗現象を利用したGMR−MRAM(Giant Magneto Resistive Magnetic Random Access Memory )とトンネル効果磁気抵抗現象を利用したTMR−MRAM(Tunnel Junction Magneto Resistive Magnetic Random Access Memory)があり、また、集積化された強磁性体と電磁誘導を利用した磁気メモリFMRAM(Feromagnetic Random Access Memory)もある。
特に、これら最近の磁気メモリは読み出しの速度が速く、又は、消費電力が少なく、相対的に書き込み時間が長くなる、又は、消費電力が大きくなり、読み書きの非対称性が問題となっている。
【0007】
これらの磁気メモリは、メモリの機能で重要な不揮発性、非破壊、高速読み出し動作の特徴があり、主に書き込み動作を工夫することで、主記憶から前記のFlushメモリ的利用まで、幅広い用途が考えられる。
そのために磁気記憶セルの読み書き動作を分類すると
(1)書き込み動作、
(2)破壊読み出し動作、
(3)非破壊読み出し動作、
があり、破壊読み出しは書き込みと同じで、書き込み(1)、又は、破壊読み出し(2)と非破壊読み出し(3)のすべての動作でバランスが取れて速やかに働くことが求められる。
【0008】
この磁気記憶素子の動作において、書き込み動作(1)や破壊読み出し動作(2)は、電磁気学的な作用で磁区の反転を引き起こす電子の移動が必要である。非破壊読み出し動作(3)は、磁区を反転させないで誘導起電力を得る読み出し電流、又は、磁気検出器を働かせる磁気検出電流が必要である。この非破壊読み出し動作(3)は、書き込み(1)電流や破壊読み出し(2)電流に比べて小さいことが特徴である。
特に、最近の磁気メモリは非破壊読み出しが特徴で、書き込みは大きな消費電力や時間を要し、その差が大きく非対称でバランスが良くない。
すなわち、上述の(1),(2)の動作は対称性があるが大きな電流が必要であり、(3)の非破壊読み出し動作は、強磁性体、又は、強磁性体と磁気検出素子を組み合わせた(i),(ii)何れの構造に対しても非対称であるが、小さな電流で高速に動作する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、磁気記憶素子への書き込みや破壊読み出しに対して、大きい電流が必要であり、この大きな電流を印加するためノイズも大きくなる等の不具合を解消し、データの読み書きを速やかに行うことを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、磁化状態でデータを記憶する磁気記憶素子の書き込み回路であって、該磁気記憶素子は、アドレス選択線と書き込み線とで選択され、前記書き込み線で前記磁気記憶素子へ駆動電流を印加するとともに、前記駆動電流が印加されたのと同一の書き込み線に重畳して、書き込み電流を前記磁気記憶素子に対して印加し、前記書き込み電流は、前記駆動電流に対して時間差を有して前記磁気記憶素子に印加し、前記磁気記憶素子を予め全て同じ磁化状態とした後、前記駆動電流は、前記磁気記憶素子に対して、書き込むデータに関わらず1方向に流し、前記書き込み電流は、書き込むデータに応じて印加するかしないかで、前記磁気記憶素子の磁化状態を変化させることを特徴とする書き込み回路である。
さらに、破壊読み出し電流も前記駆動電流に重畳して前記磁気記憶素子に印加し、前記破壊読み出し電流は、前記駆動電流に対して時間差を有して前記磁気記憶素子に印加することもできる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、図面中、同一の要素には同一の符号を付すものとする。また、本発明は、電子の移動に伴う電磁気学的な作用でデータを書き込む、強磁性体の磁気記憶素子のプリ・カーレント・ドライブ方法に関することから、磁気検出素子の読み出し動作の説明や2次元断面で磁気検出素子の一部が図示できない部分は省略する。
磁気記憶素子においては、高速で働く非破壊読み出しや磁気抵抗やホール素子を用いた読み出しに比べ、書き込みと破壊読み出しは大きな動作電力と時間が必要である。さて、磁気記憶素子の働きは、
(1)書き込み動作
(2)破壊読み出し動作
(3)非破壊読み出し動作の読み書き動作
(4)それを補助する駆動
に分けることができる。本発明においては、それらの動作に先駆けて駆動して準備を整え、読み書き動作を重畳させることにより、読み書き動作を静かで速やかにして非対称性を緩和する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態である、磁気記憶素子のプリ・カーレント・ドライブ回路の構成を示す図である。
図1において、記憶部20は、複数のマトリクス状に配置された複数の磁気記憶セル30で構成されており、アドレス入力線12からのアドレスにより選択された磁気記憶セル30に対して、データ入力線14からのデータを書き込んだり、データ出力線16に記憶されているデータを読み出したりすることができる。アドレス入力線からのアドレスは、磁気記憶セル30を選択するために、アドレス選択回路40とデータ書き込み選択回路50に入力され、所定の磁気記憶セルに対して、双方の回路40および50から列と行を選択することにより、書き込んだり、読み出したりすることができる。この磁気記憶セル30の読み出し・書き込み動作については後で詳しく説明する。
【0013】
図2は、本発明の電子の移動に伴う電磁気学的な作用で働かせる磁気記憶セル30の動作原理と構造を示している。図2(a)は磁気記憶セルを構成する磁気記憶素子の磁化曲線を示し、図2(b)は、磁気記憶セルの回路で、磁気記憶素子の磁路が閉じたものを示し、図2(c)は集積回路での図2(b)の構成を示ている。
図2(b),図2(c)におけるトランジスタ36は、情報を記憶する強磁性体、又は、強磁性体と磁気検出素子からなる受動的な素子34を働かせるのに、電子の移動を制御して電磁気学的な作用で選択し、駆動および読み書き動作の制御を行っている。トランジスタ36のゲートは、図1のアドレス選択回路40からのマトリクスの列に対応するアドレス選択線76に接続され、マトリクスの列を構成する複数の磁気記憶素子に対して電流を流すことができるようにする。この状態で、データ書き込み選択回路50からマトリクスの行に対応する駆動読み書き線72を介して電流を流すと、マトリクスの列と行とで選択された特定の磁気記憶セル30の磁気記憶素子34に対して、書き込みや読み出しが行われる。
【0014】
記憶を保持する強磁性体の磁化の様子を図2(a)の磁化曲線で示している。図2(a)において、強磁性体における、ヒステリシス・ループを描いて遷移する安定した残留磁化の第1の値(図ではA点)、と第2の値(図ではB点)の状態を、データの”1”,”0”に対応させて記憶に利用している。データの”1”,”0”を、磁化の強さと方向にして書き込むため、図2(b),図2(c)のように電子の流れを中心を通している。図2(b),図2(c)は、閉磁路を形成した磁気記憶素子の書き込み読み出しの双方に電流による電磁誘導現象を用いた例である。読み書きで磁化する場合、磁束が閉じているので、div M=0となって反磁場は完全に0である、そのため、極めて保磁力の小さい強磁性体でも残留磁化を生じ、かつ安定に保磁され、このような外部に磁束が漏れない環状構造では中心部に電流を通す駆動が有効に働く。
なお、記憶に利用する強磁性体の磁束は、図2(b),図2(c)のように閉磁路を形成し環状に閉じているもの以外にも、閉じていないものがある。
【0015】
一方、読み出しは、
(i)誘導起電力の検出
(ii)外部に出た磁気の検出
により行っている。外部に出た磁気の検出には、例えば、GMRやTMRの磁気抵抗素子やホール素子を用いることができる。
また、読み出しは、記憶内容を破壊して読み出す「破壊読み出し」と、非破壊で読み出す「非破壊読み出し」がある。
【0016】
非破壊読み出しには、電磁誘導により誘導起電力を読み出す方法と、磁気検出素子で読み出す方法がある。磁気抵抗素子やホール素子は、一般に非破壊で読み出すことができる。
非破壊で読み出すとき、長時間のデータを保持している場合や連続して読み出す(断続して同じ方向に電流を流す)場合は、記憶した磁気モーメントが消耗する。このため、消耗した磁気モーメントやピン止めされた磁気モーメントが復元するために、時間を適切な間隔で設けることや、再書き込みを行うことで、記憶を保つ必要がある。
【0017】
これら磁気記憶素子の材料となる微細な強磁性体は、自然材料や人工超格子の薄膜や結晶として作られ、その性質は導電性強磁性体材料と絶縁性強磁性体材料がある。これらの強磁性体を磁化するには、その近傍や内部にマクロ的には電磁誘導として知られている電子の移動による電磁気学的作用により、磁界の変化を起こさせる必要がある。このため、ナノテクノロジによる微細な導線、トンネル効果や絶縁破壊等による電流路等により、近傍や内部に電子を流すことで、ミクロ的にこの現象を起こさせて、磁界の変化を得ている。
磁気素子としては、例えば、円形や方形の強磁性体とその中央部に設けた電極とをごく薄い絶縁体を挟んで、トンネル効果を起こさせるようにすることもできる。これには、例えば、強磁性薄膜の両面の中央の一部に電極を設け、トンネル効果や絶縁破壊が起こる108[V/m]程度かそれ以上の電界をかけて電流路を形成する。このとき、強磁性体薄膜と中央部の電極を挟む絶縁体が50[nm]であれば、両電極間に5[V]程度の動作電圧をかけてトンネル効果を起こさせて、電流路を形成して読み出せるようにすることができる。又、同様の構成で、それ以上の電圧をかけて破壊することにより、導通させて電流路を形成して電磁誘導で読み出せるようにすることもできる。
【0018】
さて、強磁性体の記憶素子への書き込みや破壊読み出しにおいて、本発明のプリ・カーレント・ドライブする書き込みや破壊読み出しは、最初にヒステリシス特性に従って、閾値を越えない範囲で駆動読み書き線72に予め電流を流して駆動しておき、次にそれに書き込みデータ、読み出し選択電流を重畳させて行う。
【0019】
図3は、図2の磁気記憶セル30におけるプリ・カーレント・ドライブの動作を示している。
強磁性体は、初期化された状態では、磁化Mと磁界HのM−H曲線の原点にあり、磁化されると磁化の強さに応じた第1の状態(図2(a)のA点)、又は、第2の状態(図2(a)のB点)に遷移する。さらに磁化を強めると飽和し、その後、磁化をやめても第1の状態(図2(a)のA点)、又は、第2の状態(図2(a)のB点)の残留磁化が記憶データとして残る。
図2および図3において、電流の強さで、磁気素子を飽和させることができる飽和電流をIm,状態遷移開始する状態遷移電流をIth,とする。また、駆動電流をId,書き込み電流をIw,読み出し電流をIrとする。
【0020】
図3(a)は、アドレスされた磁気記憶セル30に対して、データ書き込み選択回路50から、駆動読み書き線72を介して磁気記憶素子34に印加する駆動電流Idを示している。駆動電流Idの値はIth>Id>Im/2である。図3(b)は、磁気記憶素子34へ、駆動書き込み線72を介して、駆動電流Idに重畳して加える書き込み・読み出し電流Iw,Irを示している。書き込み電流Iw,読み出し電流Irの値も、Ith>Iw>Im/2,Ith>Ir>Im/2である。
図3(c)は、重畳された駆動電流+書き込み・読み出し電流を示している。すなわち、書き込みは、駆動電流Id+書き込み電流Iw≧飽和電流Imを使用する。同様に、破壊読み出しは、駆動電流Id+破壊読み出し電流Ir≧飽和電流Imである。図3(c)には、書き込む場合や破壊読み出しの場合の電流を示している。一方、非破壊読み出しは、読み出し電流Irを閾値を越えない範囲でIm/2程度とし、その値は高速に読み出すのにはより少なく、また、高い出力を得るためにはより多くし、さらに、磁気抵抗やホール素子で読み出すのにはそれらの検出素子に適したものとする。
図3(d)は、読み出し線74に読み出されたデータ検出電流を示している。このデータ検出電流を用いて、図3(e)に示されているようなデータ出力を得ることができる。
なお、良好なヒステリシス特性をもつ強磁性体に対しては、閾値の近くまで駆動しても情報を保持し、大きな読み出し電流Irを与えられるので大きな誘導起電力が得られる。
【0021】
データが確定して、データが”1”か”0”であることが分かると、それに従い、データの”1”,”0”に応じて、+Id、又は、−Idの駆動電流を選択して磁気記憶素子を駆動する。このように、書き込みされる前にデータの値に応じて、+Id、又は、−Idの駆動電流を磁気記憶素子に加えて準備する。次にデータに応じて、+Iw、又は、−Iwの書き込み電流を加えて、書き込みを行う磁気記憶素子のヒステリシス特性の状態を遷移させる。これをまとめると、書き込みは、表1のように、電流を各磁気記憶セルに加える。
【表1】
プリ・カーレント・ドライブ方法による書き込み
このように、駆動電流の方向は、書き込みデータの値により定まり、書き込みデータが確定しないと磁気記憶セルに駆動電流を加えることができない。
【0022】
しかしながら、以下に述べるように、アドレスが定まると、書き込みデータの値が定まらないうちに、駆動電流を磁気記憶セルに加えることができる記憶方法もある。
まず、磁気記憶部20の初期化状態として、全ての磁気記憶セルに対して、表2の様に値”0”を書き込む。これがこの記憶方法の前提条件である。
【表2】
他のプリ・カーレント・ドライブ方法の初期化
さて、この様な前提条件であれば、データの値が”1”のときのみ、磁気記憶セルの磁気記憶素子に”1”を書き込む様にすればよい。データの値が”0”のときは、磁気記憶セルの磁気記憶素子にデータを書き込み電流Iwを印加せず、書き込まないようにする。こうすることで、無効な書き込み動作を避けることができる。このようにすると、駆動電流Id+書き込み電流Iwは、書き込み動作が生じるデータが”1”のときのみ、書き込みに対して有効になればよい。これをまとめると、表3のようになる。
【表3】
他のプリ・カーレント・ドライブ方法による書き込み
表2,表3から分かるように、このようにすれば、駆動電流Idは常に同じ方向に印加することができる。このため、書き込みの際に、データが確定する前でも、アドレスが確定すれば、駆動電流を磁気記憶セルに加えることができる。なお、このように書き込み制御を行う磁気記憶装置は、ライト・ワンス(write once)のメモリとして使用する。
【0023】
本発明の磁気素子の書き込み駆動は、図2に示したもの以外にも、上述したように、読み出しに巨大磁気抵抗を利用したものや、読み出しにトンネル効果磁気抵抗を用いるもの、読み出しにホール効果を利用するもの等にも適用することができる。
また、受動的に電流一致法で、磁気記憶素子に対して選択・書き込みを行う磁気記憶に対してもこの書き込み駆動を適用することができる。この場合は、合計した駆動電流IdがIth>Id>Im/2であり、駆動電流Idと書き込み電流Iwの和が、飽和電流Im以上であるように、制御して磁気記憶素子に印加する。
【0024】
【発明の効果】
上述するように、本発明の構成により、書き込み電流や破壊読み出し電流を、2段階で磁気記憶素子に対して加えており、電流の変化量が少なくなるので、電流により発生するノイズが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記憶装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の磁気記憶セルの構成例を示す図である。
【図3】本発明の駆動を説明するための図である。
【符号の説明】
12 アドレス入力線
14 データ入力線
16 データ出力線
20 磁気記憶部
30 磁気記憶セル
34 磁気記憶素子
36 トランジスタ
40 アドレス選択回路
50 データ書き込み選択回路
60 データ読み出し回路
72 駆動読み書き線
74 読み出し線
76 アドレス選択線
Claims (2)
- 磁化状態でデータを記憶する磁気記憶素子の書き込み回路であって、
該磁気記憶素子は、アドレス選択線と書き込み線とで選択され、
前記書き込み線で前記磁気記憶素子へ駆動電流を印加するとともに、前記駆動電流が印加されたのと同一の書き込み線に重畳して、書き込み電流を前記磁気記憶素子に対して印加し、
前記書き込み電流は、前記駆動電流に対して時間差を有して前記磁気記憶素子に印加し、
前記磁気記憶素子を予め全て同じ磁化状態とした後、前記駆動電流は、前記磁気記憶素子に対して、書き込むデータに関わらず1方向に流し、前記書き込み電流は、書き込むデータに応じて印加するかしないかで、前記磁気記憶素子の磁化状態を変化させることを特徴とする書き込み回路。 - 請求項1記載の書き込み回路において、
さらに、破壊読み出し電流も前記駆動電流に重畳して前記磁気記憶素子に印加し、前記破壊読み出し電流は、前記駆動電流に対して時間差を有して前記磁気記憶素子に印加することを特徴とする書き込み回路。
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